JP4055535B2 - 遊星歯車装置およびパワートレーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転部材同士の間で動力伝達をおこなう場合に、回転部材同士の回転速度を変換する遊星歯車装置およびパワートレーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両の駆動力源と車輪との間の動力伝達経路に設けられる変速機として、遊星歯車装置を有する変速機が知られている。この変速機に用いられる遊星歯車装置の一例が、下記の特許文献1(特開平8−270766号公報)に記載されている。この特許文献1に記載されている遊星歯車装置は、回転軸に形成されたサンギヤと、サンギヤの外側に配置されたリングギヤと、サンギヤおよびリングギヤに噛合するピニオンを保持するプラネタリキャリヤとを有する。また、回転軸の外周には固定スリーブが設けられており、固定スリーブにプラネタリキャリヤがスプライン嵌合されている。なお、遊星歯車装置に関連する技術として、上記の特許文献1の他に、下記の特許文献2および特許文献3が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−270766号公報(段落番号0019ないし段落番号0021、図1および図2)
【特許文献2】
特開平8−183347号公報
【特許文献3】
特開平8−326768号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の特許文献1に記載されているスプライン嵌合は、キャリヤが回転することを規制する機構であり、固定スリーブとキャリヤとが半径方向に相対移動して、ピニオンギヤとサンギヤおよびリングギヤとが半径方向に相対移動する問題があった。
【0005】
この発明は、ピニオンギヤとサンギヤおよびリングギヤとが半径方向に相対移動することを抑制することのできる遊星歯車装置およびパワートレーンを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、軸線を中心として回転可能なサンギヤおよびリングギヤと、サンギヤおよびリングギヤに噛合するピニオンギヤを保持するキャリヤとを有する遊星歯車装置において、回転不可能な固定部材が設けられており、この固定部材と前記キャリヤとを連結するスプライン嵌合部を形成するとともに、前記キャリヤに、前記軸線を中心とする第1環状面を設け、前記固定部材に、前記軸線を中心とする第2環状面を設け、前記第1環状面と前記第2環状面とを、前記軸線を中心として半径方向に対面させて配置した位置決め部を形成し、前記軸線を中心として前記位置決め部よりも前記スプライン嵌合部の方が外側に配置されているとともに、前記軸線方向における前記スプライン嵌合部の配置領域と、前記軸線方向における前記位置決め部の配置領域とが重なっていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項1の発明によれば、スプライン嵌合部により、キャリヤの回転が規制される。これに対して、第1環状面と第2環状面とが接触することにより、ピニオンギヤとサンギヤおよびリングギヤとの半径方向における相対移動が規制される。また、第1環状面と第2環状面との接触部分の摩擦力により、キャリヤの回転を規制する機能が高められる。
【0009】
また、請求項1の発明によれば、半径方向において、位置決め部に制約されることなくスプライン嵌合部を形成できるとともに、軸線方向における、スプライン嵌合部および位置決め部の配置スペースの拡大が抑制される。
【0010】
請求項2の発明は、エンジンの動力を車輪または第1モータ・ジェネレータに分配する動力分配機構と、前記車輪に動力を伝達する第2モータ・ジェネレータとが設けられているパワートレーンにおいて、前記第2モータ・ジェネレータと前記車輪との間の動力伝達経路に、請求項1に記載された遊星歯車装置が配置されているとともに、前記遊星歯車装置の入力部材の回転速度に対して出力部材の回転速度が減速される構成であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用が生じる他に、第2モータ・ジェネレータの動力を車輪に伝達する場合に、遊星歯車装置の入力部材の回転速度に対して、出力部材の回転速度が減速される。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を図面を参照しながら具体的に説明する。図2は、この発明の一実施例であるFF(フロントエンジンフロントドライブ;エンジン前置き前輪駆動)形式の車両VeのパワートレーンPTを示すスケルトン図である。
【0013】
図2において、1はエンジンであり、エンジン1はクランクシャフト2を有する。そのクランクシャフト2は、車両Veの幅方向に、かつ、水平に配置されている。また、クランクシャフト2の端部にはフライホイール3が形成されている。
【0014】
このエンジン1の外壁には、中空のトランスアクスルケース4が取り付けられている。トランスアクスルケース4は金属材料、例えば、アルミニウムなどの材料を用いて、ダイカスト法により製造したものである。トランスアクスルケース4の内部G1には、インプットシャフト5、第1のモータ・ジェネレータ6、動力分配機構7、変速機構8、第2のモータ・ジェネレータ9などが設けられている。インプットシャフト5は軸線A1を中心として回転する。インプットシャフト5におけるクランクシャフト2側の端部には、クラッチハブ10がスプライン嵌合されている。
【0015】
また、フライホイール3とインプットシャフト5との間におけるトルク変動を抑制・吸収するダンパ機構12が設けられている。前記第1のモータ・ジェネレータ6は、インプットシャフト5の外側に配置され、第2のモータ・ジェネレータ9は、第1のモータ・ジェネレータ6よりもエンジン1から遠い位置に配置されている。
【0016】
すなわち、エンジン1と第2のモータ・ジェネレータ9との間に第1のモータ・ジェネレータ6が配置されている。第1のモータ・ジェネレータ6および第2のモータ・ジェネレータ9は、電力の供給により駆動する電動機としての機能(力行機能)と、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。まず、第1のモータ・ジェネレータ6は、トランスアクスルケース4に固定されたステータ13と、回転自在なロータ14とを有している。
【0017】
一方、インプットシャフト5の外周には、中空シャフト17が取り付けられている。そして、インプットシャフト5と中空シャフト17とが相対回転可能に構成されている。トランスアクスルケース4の内面には隔壁4D,60,61が設けられている。また、中空シャフト17を回転可能に保持する軸受62,63が設けられており、軸受62が隔壁60に取り付けられ、軸受63が隔壁61に取り付けられている。
【0018】
また、前記動力分配機構7は、第1のモータ・ジェネレータ6と第2のモータ・ジェネレータ9との間に設けられている。この動力分配機構7は、いわゆるシングルピニオン形式の遊星歯車機構7Aを有している。すなわち、遊星歯車機構7Aは、サンギヤ18と、サンギヤ18と同心状に配置されたリングギヤ19と、サンギヤ18およびリングギヤ19に噛合するピニオンギヤ20を保持したキャリヤ21とを有している。そして、サンギヤ18と中空シャフト17とが連結され、キャリヤ21とインプットシャフト5とが連結されている。なお、リングギヤ19は、インプットシャフト5と同心状に配置された環状部材22の内周側に形成されており、この環状部材22の外周側にはカウンタドライブギヤ23が形成されている。このカウンタドライブギヤ23は、デファレンシャル(図示せず)などを経由して駆動輪95に連結されている。
【0019】
さらに、インプットシャフト5には、連結軸5Aが同心状に連結されている。インプットシャフト5と連結軸5Aとは一体回転可能である。そして、連結軸5Aの外周には中空シャフト24が回転可能に取り付けられており、この中空シャフト24の外周側に前記第2のモータ・ジェネレータ9が配置されている。第2のモータ・ジェネレータ9は、トランスアクスルケース4に固定されたステータ25と、回転自在なロータ26とを有している。このロータ26と中空シャフト24とが一体回転するように連結されている。中空シャフト24を回転可能に保持する軸受35,36が設けられており、軸受35,36がトランスアクスルケース4に取り付けられている。
【0020】
前記変速機構8は、回転軸線方向において、動力分配機構7と第2のモータ・ジェネレータ9との間に配置されており、この変速機構8は、いわゆるシングルピニオン形式の遊星歯車装置8Aを有している。すなわち、遊星歯車装置8Aは、中空シャフト24と一体回転するサンギヤ29と、サンギヤ29と同心状に配置され、かつ、環状部材22の内周に形成されたリングギヤ30と、サンギヤ29およびリングギヤ30に噛合するピニオンギヤ31を保持したキャリヤ32とを有している。また、キャリヤ32は隔壁4Dに回転不可能に固定されている。さらに、環状部材22は、2つの軸受33により回転自在に保持されている。一方の軸受33は隔壁4Dに取り付けられており、他方の軸受33は隔壁61に取り付けられている。
【0021】
図2に示すパワートレーンPTにおいては、エンジン1から出力されるトルクがインプットシャフト5を介してキャリヤ21に伝達される。キャリヤ21に伝達されたトルクは、リングギヤ19、環状部材22、カウンタドライブギヤ23を介して駆動輪95に伝達される。また、エンジン1のトルクをキャリヤ21に伝達する際に、第1のモータ・ジェネレータ6を発電機として機能させ、発生した電力を蓄電装置(図示せず)に充電することもできる。
【0022】
さらに、第2のモータ・ジェネレータ9を電動機として駆動させ、その動力を動力分配機構7に伝達することができる。第2のモータ・ジェネレータ9の動力が中空シャフト24を介してサンギヤ29に伝達されると、キャリヤ32が反力要素として作用する。すなわち、各ピニオンギヤ31は自転する一方、公転することなく、各ピニオンギヤ31のトルクがサンギヤ29に伝達される。この場合、サンギヤ29の回転速度に対して、リングギヤ30の回転速度が減速され、かつ、サンギヤ29の回転方向とは逆方向にリングギヤ30が回転する。
【0023】
このようにして、エンジン1の動力および第2のモータ・ジェネレータ9の動力が動力分配機構7に入力されて合成され、合成された動力が駆動輪95に伝達される。上記のように、図2に示すパワートレーンPTを有する車両Veは、エンジン1または第2のモータ・ジェネレータ9の少なくとも一方のトルクを駆動輪95に伝達することができる車両Ve、いわゆるハイブリッド車である。
【0024】
つぎに、上記遊星歯車装置8Aの取り付け構造の実施例を、順次説明する。
(第1実施例)
遊星歯車装置8Aの第1実施例を、図1および図3に基づいて説明する。隔壁4Dには軸孔70が形成されており、軸孔70内に前記中空シャフト24および連結軸5Aが配置されている。また、隔壁4Dは軸孔70に臨む環状の内周面71を有している。さらに、隔壁4Dであって、内周面71よりも外側には環状の凹部72が形成されている。さらにまた、隔壁4Dには凹部72に臨む内歯73が形成されている。内歯73は円周方向に凹部73Aと凸部73Bとを交互に配置したものである。
【0025】
また、隔壁4Dには潤滑油供給パイプ74が取り付けられており、潤滑油供給パイプ74の内部には油路75が形成されている。また、隔壁4Dには、中空シャフト24および連結軸5Aを取り囲むように、ぼぼ環状の油路76が形成されている。そして、油路75と油路76とが連通している。
【0026】
前記キャリヤ32は、環状のホルダ77および環状のプレート78と、ホルダ77とプレート78とを連結するピニオンシャフト79とを有している。ホルダ77は円筒部80を有しており、円筒部80には外周面81が形成されている。この円筒部80が軸孔70に嵌合されて、いんろう継手部C1が形成されている。つまり、隔壁4Dの内周面71と円筒部80の外周面81とが接触して、トランスアクスルケース4とキャリヤ32とが、軸線A1と交差する方向(つまり半径方向)に位置決めされている。
【0027】
また、ピニオンシャフト79は、軸線A1を中心とする同一円周上に複数配置されている。各ピニオンシャフト79には軸線方向に伸びた油路82が形成されているとともに、各ピニオンシャフト79を半径方向に貫通する油路83が形成されている。具体的には、油路83の中心線(図示せず)と軸線A1とが交差する方向に、油路83が形成されている。この油路83と油路82とは連通されている。なお、ピニオンシャフト79とピニオンギヤ31との間にはニードルベアリング85が設けられており、ピニオンギヤ31はピニオンシャフト79を中心として自転可能である。
【0028】
前記ホルダ77の外周には外歯84が形成されている。外歯84は凹部84Aと凸部84Bとを円周方向に交互に配置したものであり、外歯84と内歯73とが噛み合わされてスプライン嵌合部B1を形成している。このようにして、キャリヤ32がトランスアクスルケース4に固定されて、キャリヤ32が軸線A1を中心として回転することが防止されている。なお、軸線A1を中心として、いんろう継手部C1の外側にスプライン嵌合部B1が配置されている。
【0029】
この第1実施例では、いんろう継手部C1により、トランスアクスルケース4とキャリヤ32とが半径方向に位置決めされている。つまり、サンギヤ29およびリングギヤ30とキャリヤ32との同軸度が高められている。このため、サンギヤ29およびリングギヤ30と、複数のピニオンギヤ31との噛み合い負荷(荷重)を、各ピニオンギヤ31毎に均一に負担させることができる。したがって、円周方向において、特定のピニオンギヤ31、ピニオンシャフト79、ニードルベアリング85などの寿命が低下することを抑制できる。
【0030】
また、スプライン嵌合部B1により、トランスアクスルケース4とキャリヤ32とが円周方向に位置決め固定されている(回り止めされている)ことに加えて、隔壁4Dの内周面71と円筒部80の外周面81との接触部分の摩擦力により、トランスアクスルケース4とキャリヤ32との回り止め機能が一層向上している。さらに、軸線A1を中心とする半径方向に、いんろう継手部C1とスプライン嵌合部B1とが異なる位置に配置されている。具体的には、軸線A1を中心として、いんろう継手部C1の外側にスプライン嵌合部B1が配置されている。したがって、いんろう継手部C1に制約されることなく、スプライン嵌合部B1の凹部84Aの深さ、凸部84Bの高さを設定することができ、スプライン嵌合部B1を形成しやすい。
【0031】
また、軸線方向におけるいんろう継手部C1の配置領域と、軸線方向におけるスプライン嵌合部B1の配置領域とが、少なくとも一部で重なっている(オーバーラップしている)。したがって、軸線方向における、いんろう継手部C1およびスプライン嵌合部B1の配置領域の拡大を抑制でき、軸線方向にコンパクト化することができる。さらに、ピニオンシャフト79に形成された油路83は、その中心線と軸線A1とが交差する方向に貫通されている。具体的には、ピニオンシャフト79とニードルベアリングとの接触部分の荷重が最大となる領域以外の箇所に、ピニオンシャフト79の油路83の開口縁が形成されている。このため、ピニオンシャフト79であって、油路83の開口縁に応力集中が発生することを抑制できる。
【0032】
また、隔壁4Dの軸孔70およびキャリヤ32の円筒部80は、機械加工により高精度、低コストに製造できる。さらに、隔壁4Dの内歯73はダイカスト粗材であり、機械加工は施されておらず、低コストに製造できる。なお、潤滑油供給パイプ74の油路75から油路76に供給される潤滑油は、油路82,83を経由してニードルベアリング85付近に供給される。そして、ニードルベアリング85およびその周辺部位が潤滑および冷却される。
【0033】
(第2実施例)
遊星歯車装置8Aの第2実施例を、図4に基づいて説明する。図4の構成において、図1ないし図3の構成と同じ構成については、図1ないし図3の構成と同じ符号を付してある。この第2実施例においては、スプライン嵌合部B1の構造が、第1実施例とは異なる。この第2実施例においては、隔壁4Dには、軸線を中心とする円周方向に、複数箇所の係止爪86が設けられている。各係止爪86は中空シャフト24に向けて突出しており、各係止爪86には凹部87が形成されている。この凹部87は、軸線に直交する平面における断面形状が円弧状に構成されている。
【0034】
一方、キャリヤ32のホルダ77の外周には、円周方向の複数箇所に突起部88が形成されている。各突起部88は、軸線に直交する平面における外周面の断面形状が円弧状に構成されている。そして、突起部88の曲率半径と、凹部87の曲率半径とが略同一に設定されている。このように構成された突起部88が凹部87に配置されている。つまり、突起部88と係止爪86との係合力により、キャリヤ32とトランスアクスルケース4とが回り止めされている。
【0035】
この第2実施例においては、凹部87が、エンドミルなどの工具を用いて、高精度に機械加工されており、円周方向における凹部87と突起部88との隙間(ガタ)を可及的に少なくできる。したがって、第2モータ・ジェネレータ9のトルクが零となる場合、遊星歯車装置8Aに伝達されるトルクの向きが反転する場合などに、“キャリヤ32と隔壁4Dとが円周方向に相対移動してガタ打ち音が発生すること。”を抑制できる。また、スロッタなどの特殊な機械を用いることなく、凹部87を加工することができ、トランスアクスルケース4の製造コストが低下する。さらに、エンドミルで凹部87の加工をおこなう場合は、スロッタのように加工逃げ溝を確保する必要がなく、加工上の制約が少ない。なお、第2実施例において、第1実施例と同様の構成部分については、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
(第3実施例)
遊星歯車装置8Aの第3実施例を図5および図6に基づいて説明する。図5および図6の構成において、図1ないし図3の構成と同じ構成については、図1ないし図3と同じ符号を付してある。この第3実施例においては、C字形状のばね89が設けられている。ばね89は中空シャフト24を取り囲むように配置されており、ばね89の円周方向の一端90が、隔壁4Dの円周方向の端部に接触され、ばね89の円周方向の他端91が、キャリヤ32の一部、具体的には、凸部84Bの円周方向の端部に接触されている。ばね89は円周方向の弾性力を有しており、ばね89の弾性力により、キャリヤ32が、図6において時計方向に付勢されている。なお、中空シャフト24の外側における円周方向の空間であって、潤滑油供給パイプ74の配置空間以外の空間に、ばね89が配置されている。
【0037】
この第3実施例においては、ばね89の弾性力により、キャリヤ32を隔壁4Dに対して円周方向に押し付けて、キャリヤ32の凸部84Bと、隔壁4Dの凸部73Bとの間のガタを解消している。したがって、第2実施例と同様の作用効果を得ることができる。また、ばね89のばね常数を設定することにより円周方向に狭いスペースで、比較的大きな押し付け力を発生でき、大きなトルク変動まで対応できる。
【0038】
さらに、キャリヤ32と隔壁4Dとの間に形成されている空間を利用して、ばね89を配置しているため、トランスアクスルケース4が軸線方向に全長が大型化することを抑制できる。さらにまた、ばね89を係止するだけで他の固定用部品が不要であり、低コストである。なお、第3実施例において、第1実施例と同様の構成部分については、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
。
【0039】
(第4実施例)
遊星歯車装置8Aの第4実施例を、図7および図8に示す。図8は、図7のVIII−VIII線における部分的な断面図である。第4実施例において、図1ないし図3の構成と同じ構成については、図1ないし図3の構成と同じ符号を付してある。この第4実施例では、キャリヤ32の凹部73Aにスペーサ92が配置されている。スペーサ92は板形状の金属材料で構成されており、V字形状に屈曲されており、全体としてくさび形を構成している。またスペーサ92は、円周方向において、相互に隣り合う凸部73Bと凸部84Bとの間に配置されている。このスペーサ92の弾性力により、図8でした向きにキャリヤ32を回転させる付勢力が発生する。なお、スペーサ92が凹部73Aから軸線方向に移動して、凹部73Aから抜け出すことが、軸受33により規制されている。
【0040】
この第4実施例においては、スペーサ92により、キャリヤ32の円周方向において、キャリヤ32の凸部84Bと、隔壁4Dの凸部73Bとの間のガタが解消されている。したがって第2実施例と同様の効果を得ることができる。また、スペーサ92の剛性は、第2モータ・ジェネレータ9の最大トルク以上のトルクが遊星歯車装置8Aに伝達された場合に、スペーサ92が塑性変形する剛性となっている。したがって、第2モータ・ジェネレータ9のトルクが最大トルクであっても、スプライン嵌合部B1のガタ打ち音を確実に抑制できる。
【0041】
また、トランスアクスルケース4の組み立て工程において、軸受33をトランスアクスルケース4内に圧入する際に、軸受33の端面でスペーサ92を押圧しつつ、スペーサ92を凹部73A内に圧入できる。したがって、スペーサ92の組付け工程を別途設ける必要がなく、スペーサ92の組付けコストを低減できる。さらに、スペーサ92を凹部73A内に取り付けた後は、軸受33がスペーサ92の抜け止めとして機能するため、スペーサ92の抜け止めを別途設ける必要がなく、部品点数の増加を抑制できる。なお、第4実施例において、第1実施例と同様の構成部分については、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
(各実施例と発明との対応関係)
つぎに、各実施例とこの発明の構成との対応関係を説明する。隔壁4Dを有するトランスアクスルケース4が、この発明の固定部材に相当し、キャリヤ32の外周面81が、この発明の第1環状面に相当し、隔壁4Dの内周面71が、この発明の第2環状面に相当し、いんろう継手C1がこの発明の位置決め部に相当し、サンギヤ29がこの発明の入力部材に相当し、リングギヤ30がこの発明の出力部材に相当する。
【0043】
なお、上記の各実施例では、遊星歯車装置8Aの軸線A1が、車両Veの幅方向に配置されているが、軸線が車両の前後方向に配置されている構成の遊星歯車装置およびパワートレーンに対しても、この発明を適用できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、スプライン嵌合部により、キャリヤの回転を規制できる一方、位置決め部により、ピニオンギヤとサンギヤおよびリングギヤとの半径方向における相対移動を規制できる。したがって、ピニオンギヤとサンギヤおよびリングギヤとの噛み合い部分の負荷を、各ピニオンギヤ毎にほぼ均一化することができる。また、第1環状面と第2環状面との接触部分の摩擦力により、キャリヤの回転を規制する機能が高められ、円周方向にキャリヤがガタつく(振動する)ことを低減することもできる。
【0045】
また、請求項1の発明によれば、スプライン嵌合部を形成し易くなるとともに、遊星歯車装置が軸線方向に大型化することを抑制できる。
【0046】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得られる他に、第2モータ・ジェネレータの動力を車輪に伝達する場合に、遊星歯車装置の入力部材の回転速度に対して、出力部材の回転速度が減速される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の遊星歯車装置の第1実施例を示す正面断面図である。
【図2】 この発明の遊星歯車装置を有するハイブリッド車のパワートレーンを示すスケルトン図である。
【図3】 図1の遊星歯車装置の側面図である。
【図4】 この発明の遊星歯車装置の第2実施例を示す示す側面図である。
【図5】 この発明の遊星歯車装置の第3実施例を示す正面断面図である。
【図6】 図5の遊星歯車装置の側面図である。
【図7】 この発明の遊星歯車装置の第4実施例を示す正面断面図である。
【図8】 図7のVIII−VIII線における断面図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 4D…隔壁、 4…トランスアクスルケース、 6…第1モータ・ジェネレータ、 7…動力分配機構、 8A…遊星歯車装置、 9…第2モータ・ジェネレータ、 29…サンギヤ、 30…リングギヤ、 31…ピニオンギヤ、 32…キャリヤ、 71…内周面、 81…外周面、 95…車輪、 A1…軸線、 B1…スプライン嵌合部、 C1…いんろう継手部、 PT…パワートレーン。
Claims (2)
- 軸線を中心として回転可能なサンギヤおよびリングギヤと、サンギヤおよびリングギヤに噛合するピニオンギヤを保持するキャリヤとを有する遊星歯車装置において、
回転不可能な固定部材が設けられており、この固定部材と前記キャリヤとを連結するスプライン嵌合部を形成するとともに、
前記キャリヤに、前記軸線を中心とする第1環状面を設け、前記固定部材に、前記軸線を中心とする第2環状面を設け、前記第1環状面と前記第2環状面とを、前記軸線を中心として半径方向に対面させて配置した位置決め部を形成し、前記軸線を中心として前記位置決め部よりも前記スプライン嵌合部の方が外側に配置されているとともに、
前記軸線方向における前記スプライン嵌合部の配置領域と、前記軸線方向における前記位置決め部の配置領域とが重なっていることを特徴とする遊星歯車装置。 - エンジンの動力を車輪または第1モータ・ジェネレータに分配する動力分配機構と、前記車輪に動力を伝達する第2モータ・ジェネレータとが設けられているパワートレーンにおいて、
前記第2モータ・ジェネレータと前記車輪との間の動力伝達経路に、請求項1に記載された遊星歯車装置が配置されているとともに、前記遊星歯車装置の入力部材の回転速度に対して出力部材の回転速度が減速される構成であることを特徴とするパワートレーン。
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