JP4055379B2 - ディスプレイ用フィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テトラアザポルフィリン系色素 、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素を含有する層を有することを特徴とするディスプレイ用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カラー画像の表示装置として、陰極管、蛍光表示管、電界放射、プラズマパネル、液晶、及びエレクトロルミネッセンス等による各種の表示装置が開発されている。これらは、赤、青、緑の三原色発光の組み合わせを利用し画像表示をする形式を取っているが、その際、上記三原色以外の発光を、所謂バンドパスフィルターを用いて吸収し、鮮明なカラー画像を得、かつ、画像の色バランスを補正する必要がある。該バンドパスフィルターとしては、色素を用いたものの検討が各種なされているが、この場合、目的とする吸収以外に吸収がないこと、及び、色素の耐熱性及び耐光性が重要な因子となる。
【0003】
ディスプレイ用の色調整フィルターに関しては、市販の色素を用いて特定の波長の光を選択吸収するものについて各種検討がなされているが、これらの色調整方法では、必要な3原色成分まで一部吸収してしまうために色バランスが悪くなってしまったり、ディスプレイ画面が暗くなってしまうという問題があった。
また、最近では、特開2000−43175公報等において、スクアリリウム系化合物を含有する反射防止フィルムについての開示があるものの、当該スクアリリウム系化合物の具体的例示として、ジピラゾリルスクアリリウムについての開示はなく、また、その構造と各波長における光線透過率との相関についてもいっさい記載がない。
【0004】
一方、ジピラゾリルスクアリリウム系化合物に関しては、Angew. Chem. Internat.Edit., vol.7(1968), p.530にN−フェニル型のジピラゾリルスクアリリウムがオレンジ色の色素である旨の開示があるものの、その吸収スペクトル波形等についての記載はない。
また、US4175956号公報には、電子写真感光体として有用な赤色の色素としてN−フェニル型のジピラゾリルスクアリリウムについての開示があるのみで、各波長における光線透過率についての記載はない。
【0005】
加えて、特に、プラスマディスプレイパネルでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起されて真空紫外線を放射し、その真空紫外線による赤、青、緑のそれぞれの蛍光体の発光を利用して三原色発光を得るという方式が採られているため、そのネオン原子が励起された後に基底状態に戻る際に発する590nm付近を中心とする所謂ネオンオレンジ光の発光があり、そのオレンジ色が赤色に混ざって鮮やかな赤色が得られ難いという欠点がある。特にこのオレンジ色の遮蔽に関しては、三原色発光のうちの赤色発光部分が600〜650nm付近に隣接しているため、オレンジ光のみを遮蔽し、且つ、赤色発光には影響を及ぼさないことが要求されている。
【0006】
このネオンオレンジ光を吸収するための色素の一つとして、例えば、特開2000−275402号公報及びWO 01/10971号公報には、テトラアザポルフィリン系色素を用いたディスプレイ用フィルターの例が開示されているが、ジピラゾリルスクアリリウム系化合物との組み合わせに関しての記載はない。
また、色バランスの補正に当たっては、通常、複数の色素が使用されるが、この場合、混合した複数の色素の相互作用により、耐熱性や耐光性等がそれぞれの色素単独で使用した場合に比較して低下してしまうことも多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、赤、青、緑の3原色発光に影響を及ぼさず、光線透過率曲線における480〜520nmの波長域、550〜610nmの波長域にシャープな吸収を有し、かつ380〜420nmの波長域に吸収を有する優れた色調整フィルター、色純度改善フィルター、色再現範囲拡大フィルター等を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、一般式(III)で表されるジピラゾリルスクアリリウム系色素と一般式(I)で表されるテトラアザポルフィリン系色素及び一般式(II) で表されるジピラゾリルメチン系色素とを組み合わせることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を解決するに至った。すなわち本発明の要旨は、下記一般式(I)で表されるテトラアザポルフィリン系色素、下記一般式(II)で表されるジピラゾリルメチン系色素及び下記一般式(III)で表されるジピラゾリルスクアリリウム系色素を含有することを特徴とするディスプレイ用フィルター。
【0009】
【化4】
【0010】
〔式(I) 中、R1 〜R8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を示し、また、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8は各々連結して脂肪族炭素環を形成しても良い。Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子又はオキシ金属原子を示す。〕
【0011】
【化5】
【0012】
〔式(II)中、R9は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は水素原子を示し、R10は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノ基又は水素原子を示し、R11は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は水素原子を示し、Xは、酸素原子又はNH基を示し、これらのR10、R11、及びXは、両方のピラゾール環の間で互いに異なっていてもよい。〕
【0013】
【化6】
【0014】
〔式(III) 中、R12は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は水素原子を示し、R13は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノ基又は水素原子を示し、Yは、酸素原子又はNH基を示し、これらのR12、R13、及びYは、両方のピラゾール環の間で互いに異なっていてもよい。〕に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のディスプレイ用フィルターに用いられる、前記一般式(I) で表されるテトラアザポルフィリン系色素のR1〜R8において、ハロゲン原子としては、例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のものが挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のものが挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、アルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基等の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基で1置換又は2置換されたアミノ基挙げられ、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、ペンタデシルチオ基等の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のものが挙げられ、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基が挙げられる。
【0016】
又、前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;水酸基;又は、弗素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0017】
また、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8が各々連結して、-(CH2)3-,-(CH2)4-, -(CH2)5- 等の脂肪族炭素環を形成していても良い。
前記一般式(I) において、R1〜R8としては、前記の中で、(1) アルコキシ基或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、(2) 直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を置換基として有していてもよいシクロアルキル基、(3) アルキル基、アルコキシ基或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、アリール基、(4) ハロゲン原子、又は(5)それぞれが連結して脂肪族炭素環を形成している場合が好ましく、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基或いは連結して-(CH2)3-又は-(CH2)4-を形成している場合が特に好ましい。
【0018】
前記一般式(I) におけるMとして好ましくは、2個の水素原子;或いは、無機化学命名法1990年規則に基づく周期律表の2属、3属、4属、8属、9属、10属、11属、12属、13属、14属又は15属に属する元素から選ばれる、2価の金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子又はオキシ金属原子を示すが、その具体例として、2価の金属原子としては、Cu,Zn,Fe,Co,Ni,Ru,Rd,Pd,Mn,Sn,Mg,Ti等が挙げられ、3価1置換金属原子としては、Al-Cl,Ga-Cl,In-Cl,Fe-Cl,Ru-Cl等のハロゲン原子、水酸基又はアルコキシ基で1置換された金属原子が挙げられ、4価2置換金属としては、SiCl2,GeCl2,TiCl2,SnCl2,Si(OH)2,Ge(OH)2,Mn(OH)2,Sn(OH)2等のハロゲン原子、水酸基又はアルコキシ基で2置換された金属原子が挙げられ、オキシ金属としては、VO,MnO,TiO等が挙げられる。このうち好ましくは、VO、Cu、Ni、Coが挙げられ、更に好ましくは、VO及びCuが挙げられる。
【0019】
以上説明した本発明の一般式(I)のテトラアザポルフィリン系色素の好ましい具体例を以下に示す。
【0020】
【化7】
【0021】
尚、本発明の前記テトラアザポルフィリン系色素は、例えば、前記一般式(I) における置換基MがMg原子である化合物に酢酸を反応させて、Mg金属原子をはずすことによりMが2個の水素原子となった化合物を得る方法、又、一般式(I) における置換基MがMg原子である化合物に各種の金属塩を反応させて、Mが上記に規定したような2価の金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子又はオキシ金属原子となった化合物を得る方法等、J.Gen.Chem.USSR ,vol.47,1954〜1958(1977) に記載される方法に準じて、或いはその他公知の方法を組み合わせることにより合成することができる。
【0022】
本発明のディスプレイ用フィルターに用いられる、前記一般式(II)で表されるジピラゾリルメチン系色素のR9及びR11におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のものが挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0023】
又、前記アルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;スルホンアミド基;アルキルスルホンアミド基;ジアルキルスルホンアミド基;ニトロ基;水酸基;及び、弗素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0024】
前記R9 及びR11 としては、(1) アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、(2) アルキル基、アルコキシ基、スルホンアミド基、アルキルスルホンアミド基、ジアルキルスルホンアミド基、ニトロ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基、(3) 水素原子、が好ましく、特に、R9 としては、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又はフェニル基が好ましく、R11 としては、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は、アルキル基或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、フェニル基が好ましい。
【0025】
又、前記一般式(II)のR10 におけるアルキル基としては、前記R9及びR11 の部分で記載したと同様のアルキル基が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のものが挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、前記アルコキシ基を有するカルボニル基が挙げられ、アリール基としては、前記R9及びR11 の部分で記載したと同様のアリール基が挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、前記アリールオキシ基を有するカルボニル基が挙げられる。
【0026】
又、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、及びアミノ基の置換基としては、例えば、前記R9 及びR11 におけるアルキル基及びアリール基の置換基として挙げたと同様のアルキル基、同じくアルコキシ基、同じくアリール基、同じくアリールオキシ基、同じくスルホンアミド基、同じくアルキルスルホンアミド基、同じくジアルキルスルホンアミド基、同じくニトロ基、同じく水酸基、同じくハロゲン原子のほか、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等のアシル基;またはメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等のスルホニル基等も挙げられる。
【0027】
前記R10 としては、(1) アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、(2) アルコキシ基を置換基として有していてもよい、直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、(3) アルコキシ基を置換基として有していてもよい、アルコキシカルボニル基、(4) アルキル基、アルコキシ基、スルホンアミド基、アルキルスルホンアミド基、ジアルキルスルホンアミド基、ニトロ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、アリール基、(5) アルキル基、或いはアルコキシ基を置換基として有していてもよいアリールオキシ基を有するカルボニル基、又は(6) アルキル基、アシル基、又はスルホニル基を置換基として有していてもよい、アミノ基、が好ましく、特に、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ましい。
【0028】
又、前記一般式(II)において、Xとしては酸素原子が好ましい。更に、本発明において、前記一般式(II)で表されるジピラゾリルメチン系色素としては、前記R10 、R11、及びXは、両方のピラゾール環の間で互いに異なっていてもよいが、メチン基を挟んで左右対象であるものが好ましく、ジピラゾリルメチン系色素の好ましい具体例を以下に示す。
【0029】
【化8】
【0030】
尚、前記ジピラゾリルメチン系色素は、例えば、前記一般式(II)に対応するピラゾロン系化合物2モルに対して、オルト蟻酸アルキルエステル系化合物1モルを、無溶媒で加熱還流して縮合反応させる等、Liebigs Ann.Chem.,1680〜1688(1976)に記載される方法に準じて、又は、前記反応をN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の溶媒中、90〜200℃程度に加熱して、或いはその他公知の方法を組み合わせることにより合成することができる。
【0031】
本発明のディスプレイ用フィルターに用いられる、前記一般式(III)で表されるジピラゾリルスクアリリウム系色素のR12 におけるアルキル基及びアリール基としては、前記一般式(II)のR9 及びR11 の部分において挙げたと同様のアルキル基及びアリール基が挙げられる。
又、前記アルキル基及びアリール基の置換基としても、前記一般式(II)のR9及びR11 の部分において、アルキル基及びアリール基の置換基として挙げたと同様の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、スルホンアミド基、アルキルスルホンアミド基、ジアルキルスルホンアミド基、ニトロ基、水酸基、及び、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0032】
前記R12 としては、(1) アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は(2) 直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルコキシ基、スルホンアミド基、アルキルスルホンアミド基、ジアルキルスルホンアミド基、ニトロ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基、が好ましく、特に、アルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ましい。
【0033】
前記R13 におけるアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、及びアリールオキシカルボニル基としても、前記一般式(II)のR10 の部分において挙げたと同様のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、及びアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
【0034】
又、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、及びアミノ基の置換基としても、前記一般式(II)のR10 において、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、及びアミノ基の置換基として挙げたと同様の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、スルホンアミド基、アルキルスルホンアミド基、ジアルキルスルホンアミド基、ニトロ基、アシル基、スルホニル基、水酸基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0035】
前記R13 としては、(1) アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよい、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、(2) アルコキシ基を置換基として有していてもよい、直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、(3) アルコキシ基を置換基として有していてもよいアルコキシカルボニル基、(4) 直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アルコキシ基、スルホンアミド基、アルキルスルホンアミド基、ジアルキルスルホンアミド基、ニトロ基、水酸基、或いはハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基、(5) アルキル基、或いはアルコキシ基を置換基として有していてもよいアリールオキシ基を有するカルボニル基、又は(6) 直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アシル基、或いはスルホニル基を置換基として有していてもよいアミノ基、が好ましく、特に、アルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ましい。
【0036】
又、前記一般式(III) において、Yとしては酸素原子が好ましい。更に、前記一般式(III)で表されるジピラゾリルスクアリリウム系色素としては、前記R12 、R13 、及びYは、両方のピラゾール環の間で互いに異なっていてもよいが、スクアリリウム基を挟んで左右対象であるものが好ましく、ジピラゾリルスクアリリウム系色素の好ましい具体例を以下に示す。
【0037】
【化9】
【0038】
尚、前記ジピラゾリルスクアリリウム系色素は、例えば、前記一般式(III)に対応するピラゾロン系化合物2モルに対して、スクエア酸1モルを縮合反応させる等、Angew.Chem.,vol.77,680〜681(1965) に記載される方法に準じて、或いはその他公知の方法を組み合わせることにより合成することができる。
一般式(I)で表されるテトラアザポルフィリン系色素の光線透過率曲線における透過率の極小値を示す波長は、550〜610nm、好ましくは580〜600nmであり、一般式(II)で表されるジピラゾリルメチン系色素は380〜420nm、一般式(III)で表されるジピラゾリルスクアリリウム系色素は480〜520nmである。
【0039】
本発明のディスプレイ用フィルターは、上述の3種の化合物を含有するのが特徴である。
また、該フィルターの光線透過率曲線のそれぞれの極小値における半値幅は60nm以下が好ましい。特にテトラアザポルフィリン系色素の吸収及びジピラゾリルスクアリリウム系色素に該当する部分の吸収曲線は、シャープなバレー型を有するのが好ましく、又、その波長における透過率の極小値が、テトラアザポルフィリン系色素については、35%以下、更には30%以下であるのが好ましく、ジピラゾリルスクアリリウウ系色素については、55%以下、更には50%以下であるのが好ましい。
【0040】
該極小値間に位置する450nm、550nm及び650nmにおける透過率は60%以上、更には70%以上であることが好ましい。それにより、蛍光体の発光色である430〜470nm付近の青色発光、530nm付近を中心としたの緑色発光及び600〜640nm付近の赤色発光は遮蔽せず、590nm付近のネオン発光を効率的に遮蔽でき、しかも色調の調節、色純度の向上、色温度の向上ができるものである。
【0041】
本発明のディスプレイ用フィルターは、前記テトラアザポルフィリン系色素、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素を含有してなるが、その含有形態としては、代表的には、前記テトラアザポルフィリン系色素、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素について、各色素を含むそれぞれのバインダー樹脂からなる色素含有樹脂の積層体、前記テトラアザポルフィリン系色素、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素の混合物を含むバインダー樹脂からなる色素含有樹脂の単層シート或いはフィルム、又は、これらをシート状或いはフィルム状の透明基材上に積層させた積層体が挙げられる。
【0042】
尚、本発明のディスプレイ用フィルターは、テトラアザポルフィリン系色素、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素は、同一の層に含有させても、優れた耐熱性及び耐光性を有する。従って、製造工程の簡便さの点では、3種の色素を同一層に含有させるのが好ましいが、それぞれを別の層に含有させて積層させても良い。その場合、用いる色素に応じてそれぞれの層のバインダー樹脂を変えることによって、微妙な色調節を行うことができる。
【0043】
そして、積層体を作製するには、例えば、1)色素とバインダー樹脂とを適当な溶剤の溶液若しくは分散液とし、公知の塗布方法でシート状或いはフィルム状の透明基材上に塗布し、乾燥させる方法、2)熱可塑性樹脂における常法の成形法に従って、前記色素とバインダー樹脂とを溶融混練して押出成形、射出成形、圧縮成形等によってフィルム或いはシートに成形し、そのフィルム或いはシートを透明基材上に接着剤等により接着させる方法、3)前記色素とバインダー樹脂とを溶融混練してフィルム状或いはシート状に押出し、透明基材上に押出ラミネートする方法、4)前記色素とバインダー樹脂とを溶融混練して透明樹脂基材と共押出成形する方法、等の各種の方法を採ることができ、又、単層のシート或いはフィルムを作製するには、例えば、1)前記色素とバインダー樹脂とを適当な溶剤の溶液若しくは分散液としてキャリヤー上に流延し、乾燥させる方法、2)熱可塑性樹脂における常法の成形法に従って、前記色素とバインダー樹脂とを溶融混練して押出成形、射出成形、圧縮成形等によってフィルム或いはシートに成形する方法、等を採ることができる。
【0044】
以上の含有形態及びその作製方法の中で、本発明のディスプレイ用フィルターとしては、前記色素とバインダー樹脂とを適当な溶剤の溶液若しくは分散液とし、公知の塗布方法でシート状或いはフィルム状の透明基材上に塗布し乾燥させることにより、透明基材上に、前記色素を含むバインダー樹脂からなる色素含有樹脂層を形成させた積層体であるのが好ましい。
【0045】
本発明において、ディスプレイ用フィルターの作製は、それぞれのフィルター用途における層構成及び層材質等に準じた方法が採られるが、本発明において特に好ましいとするプラズマディスプレイパネル用フィルターにおいては、以下に説明する方法が好適である。
本発明のプラズマディスプレイパネル用のフィルターを構成する透明基材の材質としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない材料であれば特に制限はない。具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂等を挙げられ、これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が好ましい。
【0046】
また上記樹脂は、公知の射出成形、T ダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶融させてキャスティングする方法などを用い、フィルムまたはシート状に成形され、上記の樹脂には、一般的に公知である添加剤、耐熱老化防止剤、滑剤、帯電防止剤等を配合することができる。
その厚みとしては、通常、10μm〜5mmの範囲が望ましい。かかる透明基板を構成する基材は、未延伸でも延伸されていても良い。また、他の基材と積層されていても良い。
【0047】
更に、該透明基材は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施しても良い。
又、バインダー樹脂としては、実質的に透明であって、光の吸収や散乱の小さい材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及びその鹸化物、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、AS樹脂、PVPA、ナイロン、酢酸セルロース系樹脂、セルロース系樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ系樹脂等が挙げられ、このうち、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0048】
又、溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール類;アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶剤類等が挙げられる。
【0049】
尚、前記ジピラゾリルスクアリリウム系化合物と前記バインダー樹脂との溶液若しくは分散液には、ポリビニルブチラール系樹脂、フェノキシ系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のフェノール系樹脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン等のロジン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等等の分散剤が用いられてもよい。
【0050】
分散剤の使用量としては、用いられるジピラゾリルスクアリリウム系色素100重量部に対し、通常、0.01〜10重量部程度添加される。
又、前記色素(テトラアザポルフィリン系色素、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素の合計量)と前記バインダー樹脂、更に、必要に応じて用いられる前記分散剤の溶液若しくは分散液としての濃度は、通常、0.5〜50重量%であり、又、前記色素(テトラアザポルフィリン系色素、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素の合計量)、前記バインダー樹脂、及び前記分散剤の合計量に占める前記色素の割合は、通常、0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%とされる。
【0051】
又、前記テトラアザポルフィリン系色素、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素において、テトラアザポルフィリン系色素の量を1としたとき、前記ジピラゾリルメチン色素が0.2〜1程度、前記ジピラゾリルスクアリリウム系色素が0.1〜1.5程度の割合で用いられる。一般に、ジピラゾリルスクアリリウム系色素が過少であるとフィルターは緑味を帯び、過多であると赤味を帯びたものとなる。
【0052】
又、溶液若しくは分散液の透明基材上への塗布方法としては、例えば、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等が挙げられ、その塗布量は、乾燥膜厚として、通常、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmの範囲とされる。
【0053】
以上説明したように、本発明のディスプレイ用フィルターは、前記テトラアザポルフィリン系色素、前記ジピラゾリルメチン系色素及び前記ジピラゾリルスクアリリウム系色素の混合物を含むバインダー樹脂からなる樹脂層により形成された単層のシート或いはフィルム、又は、それぞれの色素を含むバインダー樹脂からなる層を積層させることによって形成された積層体を色素含有層として、シート状或いはフィルム状の透明基材上に形成させることを基本構成とするが、本発明のディスプレイ用フィルターは、更に、その前記色素含有樹脂中に、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、シアニン系、前記以外のテトラアザポルフィリン系、前記以外のスクアリリウム系、又は前記以外のメチン系等の色素を含有していてもよく、その含有形態としては、その前記テトラアザポルフィリン系色素、前記ジピラゾリルメチン系色素及び前記ジピラゾリルスクアリリウム系色素含有樹脂中に共存させてもよく、別に層を設けることとしてもよい。
【0054】
又、本発明のディスプレイ用フィルターは、更に、酸化防止剤や紫外線吸収剤を含有しているのが好ましい。これらの含有形態としては、酸化防止剤は色素含有樹脂層中に共存させるのが好ましく、又、紫外線吸収剤は、該樹脂層中に共存させてもよいが、紫外線吸収剤を含有させた独立の層として設けられているのが好ましく、例えば、前記テトラアザポルフィリン系色素、前記ジピラゾリルメチン系色素、及び前記ジピラゾリルスクアリリウム系色素含有樹脂において挙げたと同様のバインダー樹脂を用いて塗布法により、通常、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmの膜厚で、或いは、前記透明基材に含有させること等により、形成することができる。尚、紫外線吸収剤含有層を前記テトラアザポルフィリン系色素、前記ジピラゾリルメチン系色素及び前記ジピラゾリルスクアリリウム系色素含有樹脂層から独立した層として設ける場合には、紫外線吸収剤層をフィルターとしての使用時に前記色素含有樹脂層よりも外界側、すなわち、ディスプレイ接着面とは反対側に存在するように積層するか、もしくは、紫外線吸収剤を紫外線吸収剤を外界側に位置する層に共存させるのが好ましい。
【0055】
ここで、その酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリス−t−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のフェノール系、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)−ジトリデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト等の燐系のもの等が挙げられる。
このうち、フェノール系酸化防止剤又は燐系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の添加量としては、通常、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部用いられる。尚、上記酸化防止剤を過剰に用いた場合、強い光線が酸化防止剤に当たり、酸化防止剤自体が酸化されることで、スクアリリウム系色素の連鎖酸化反応が誘起され、かえって、スクアリリウム系色素の耐光性が劣化することがあるので、その場合には、紫外線吸収剤も併用することが好ましい。
【0056】
又、前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系、ヘキサデシル−2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中で、紫外線吸収吸収能や非着色性等の面から、50%透過率を示す波長が350〜420nmの範囲にあるものが好ましく、360〜400nmの範囲にあるものが特に好ましい。
【0057】
尚、前記紫外線吸収剤含有層を設ける代わりに、市販の紫外線カットフィルター、例えば、富士写真フィルム社製の「シャープカットフィルターSC−38」、「同SC−39」、「同SC−40」、三菱レーヨン社製の「アクリプレン」等を用いて積層してもよい。
又、本発明のディスプレイ用フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、帯電防止剤、滑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、充填材等の添加剤を適宜の含有形態で含有していてもよい。
【0058】
本発明のディスプレイ用フィルター、とりわけプラズマディスプレイパネル用フィルターは、更に、近赤外線吸収層、電磁波遮蔽層、光線反射防止層、ぎらつき防止(ノングレア)層、傷付き防止層等が設けられていてもよく、フィルター中の各層の配置は任意に選択すればよいが、この順に積層されているのが好ましい。これら各層の厚みは、通常、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μm程度とされる。
【0059】
ここで、近赤外線吸収層は、近赤外線吸収剤を前述したと同様にバインダー樹脂に含有させ独立した層として形成されてもよいが、近赤外線吸収剤を積層体として製造されるフィルターの各層間に使用される、後述する接着剤層又は傷付き防止層等のフィルター構成層のいずれか、或いは、適宜使用されるアンカーコート剤からなる層等に添加して形成することもできる。この近赤外線吸収層は、800〜1000nmの近赤外線透過率が10%以下であるのが好ましい。
【0060】
その近赤外線吸収剤としては、例えば、ニトロソ系化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、ジチオールニッケル錯塩系化合物、アミノチオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、及び前記以外のスクアリリウム系化合物やメチン系化合物等の有機物質、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、その他IUPAC無機化学命名法1990年規則に基づく周期律表の第4族、第5族、第6族に属する金属の酸化物、炭化物、又は硼化物等の無機物質等が挙げられる。
【0061】
電磁波遮蔽層は、ディスプレイ装置からの発光に伴い発生する電磁波による生体や電子機器への悪影響を防ぐために設けるものである。電磁波遮蔽層は、銀、銅、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ等のような金属又は金属酸化物の薄膜からなり、これらは真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング方法、CVD法、プラズマ化学蒸着法等の従来公知のドライプレーティング法を利用し、製造することができる。電磁波遮蔽層は、最もよく用いられるのは、酸化インジウムスズ(ITOと略記されることもある)の薄膜であるが、メッシュ状の穴を有する銅の薄膜や誘電体層と金属層を基材上に交互に積層させた積層体も好適に用いることができる。前記誘電体層としては、酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀- パラジウム合金が一般的である。積層体は、通常、誘電体層よりはじまり3〜13層程度の間で奇数層となるように積層される。
【0062】
電磁波遮蔽層は、前記のディスプレイ用フィルターのいずれかの層上にそのまま形成させても良いし、樹脂フィルムあるいはガラス上に蒸着あるいはスパッタリング後に、該フィルターと貼り合わせて形成させても良い。
反射防止層は、表面の反射を抑えて、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止するためのものである。反射防止層は、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物の薄膜からなる場合と、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させたものからなる場合とがあり、前者の場合には、電磁波遮蔽層のところで挙げたと同様のドライプレーティング法を用いて、単層あるいは多層の形態で、前記のディスプレイ用フィルターの層上にそのまま形成させる方法や樹脂フィルムあるいはガラス上に、蒸着あるいはスパッタリング後に、該フィルターと貼り合わせて形成させる方法が挙げられる。また、後者の場合は、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の使用される樹脂のフィルムまたはシートを接着剤によりディスプレイ用フィルターに接着する方法等、通常の樹脂積層体の作成方法が挙げられる。また、このほかに、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けるという手法を用いても良い。
【0063】
又、ノングレア層は、シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂等の微粉体をインキ化し、従来公知の塗布法で、本発明のフィルターのいずれかの層上に塗布し、熱或いは光硬化させることにより形成される。
また、ノングレア処理したフィルムを該フィルター上に貼りつけても良い。
又、傷付き防止層は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、多官能アクリレート等のアクリレートと光重合開始剤を有機溶剤に溶解或いは分散させた塗布液を従来公知の塗布法で、本発明のフィルターのいずれかの層上に、好ましくは、最外層に位置するように、塗布し、乾燥させ、光硬化させることにより形成される。
【0064】
本発明のディスプレイ用フィルター、特に、プラズマディスプレイパネル用フィルターは、好適には、前記透明基材、及び、前記テトラアザポルフィリン系色素 、前記ジピラゾリルメチン系色素及び前記ジピラゾリルスクアリリウム系色素含有樹脂層を基本構成層とし、必要に応じて、前記酸化防止剤層、前記紫外線吸収剤含有層、前記近赤外線吸収層、前記電磁波遮蔽層、前記光線反射防止層、前記ノングレア層、及び前記傷付き防止層等を有する積層体であるが、これらの各層の積層順序は特に限定されるものではなく又、積層方法も特に限定されるものではない。通常は、各層間に必要に応じて透明基材を挟みながら、接着剤を用いて積層体とするが、その場合、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、火炎処理、化学薬品処理等の表面処理を施したり、イソシアネート系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、アルキルチタネート系等の公知のアンカーコート剤を使用することにより、接着時の密着性がよくなったり、接着剤がムラ無く塗布できるので好ましい。
【0065】
また、本発明のディスプレイ用フィルターは、該フィルターをディスプレイ表示面に張り合わせるための粘着剤層を最外層に設けても良い。この粘着剤層により、例えば、ディスプレイの製造工程の途中またはディスプレイの製造後を問わず、簡便にディスプレイの前面にこのフィルターを貼着することができる。
このようにすることにより、従来は、ディスプレイ自体の前面に順番に近赤外線吸収フィルター、電磁波遮蔽フィルター等を配置する必要があったものが、本発明のフィルターを貼るだけとなり製造工程が簡便になるだけでなく、フィルターがディスプレイと一体形成されるので、ディスプレイ装置全体で見たときに薄肉化が可能となる。
【0066】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等のゴム類やポリアクリル酸メチル、ボリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のポリアクリル酸アルキルエステル等の低重合度樹脂が挙げられ、これらは単独に用いられても良いが、さらに粘着付与剤としてピッコライト、ポリベール、ロジンエステル等を添加したものを用いても良い。
【0067】
尚、ディスプレイ自体の表面が高温になるものの場合には、加熱によりガスが発生する場合があり、こういった場合にはガス吸収剤等の添加が必要になる。このような理由から、好ましい粘着剤としては、3mmのガラス板に30μm のポリエステルフィルムを、30μmの粘着剤で貼り合わせ、80℃で10日間保持後における180度剥離強度が300g/cm以上、好ましくは400g/cm以上という物性を有する粘着剤を用いるのが望ましい。
【0068】
粘着剤層形成方法としては、具体的には、上記ゴム類又は低重合度樹脂類をハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、脂肪族炭化水素系又は芳香族炭化水素系から選ばれる溶媒単独又は複数混合した溶剤系に分散又は溶解して粘度を調整したものをディッピング法、フロ- コート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、プレードコート法及びエアーナイフコ- ト法等の公知の塗工方法で塗工し、その後溶剤を乾燥させ、粘着剤層とする。
【0069】
この際の粘着剤層の厚みは、通常、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。粘着剤層の表面に剥離フィルムを設け、粘着剤層にゴミ等が付着しないように、プラズマディスプレイの表面に張り付けるまで粘着剤層を保護するのも良い。
この場合、フィルターの縁綾部の粘着剤層と剥離フィルムとの間に、粘着剤層を設けない部分を形成したり、非粘着性のフィルムを挟む等して非粘着部分を形成し、剥離開始部とすれば貼着時の作業がやりやすい。
【0070】
プラズマディスプレイにフィルターを貼着時、プラズマディスプレイの表面とフィルターとの間に気泡が入ると画像が歪んだり、見にくくなったりする等、実用上の大きな問題となるので気泡の巻き込みには十分に注意する必要がある。
本発明のディスプレイ用フィルターは、上述のように直接ディスプレイ表面上に貼りつけても良いが、さらに、あらかじめ透明のガラスや透明樹脂板等と貼り合わせた上で、ディスプレイ表面上に貼りつけても良い。
【0071】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
前記一般式(I)で表される色素として、I−1のテトラアザポルフィリン系色素0.0050g、一般式(II)で表される色素として、II−3のジピラゾリルメチン系色素0.0010g、一般式(III)で表される色素として、III−4のジピラゾリルスクアリリウム系色素0.0019gをトルエン0.795gに溶解した色素溶液0.25g、及び、バインダー樹脂としてのアクリル系樹脂(三菱レーヨン社製「ダイヤナールBR−80)の20重量%ジメトキシエタン溶液1.0gとを混合した後、透明基材としてのポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み100μm、三菱化学ポリエステルフィルム社製「PETフィルムT100E」)にバーコーターを用いて塗布し乾燥させて、膜厚6μmのジフェニルスクアリリウム系化合物含有樹脂層を形成することにより、プラズマディスプレイパネル用フィルターを作製した。
【0072】
得られたプラズマディスプレイパネル用フィルターについて、分光光度計(日立製作所製「U−3500」)を用いて光線透過率を測定し、その透過率曲線を図1に示した。
透過率の極小値における波長は592nm(透過率10.91%)及び504nm(透過率40.39%)であり、両極小値以外の領域には、大きな極小値はなく、可視光線透過率は64.61%であり、 又、JIS Z8729に規定されるL* a* b* 表色系における明度L* 、色座標a* 、b* は、2°視野、C光源において、L* =84.082、a* =9.668、b* =−11.913であり、プラズマディスプレイパネルの赤、青、緑の三原色発光の阻害が小さく、視野の明るさの低下がないと共に、ネオ
ン発光の遮蔽性に優れた暗青色に調色されたフィルターであることが確認できた。
【0073】
更に、このフィルターを、100℃の恒温槽中に100時間放置した後、分光光度計(日立製作所製「U−3500」)を用いて吸光度を測定することにより色素の残存率 残存率を算出したところ、400nmで98.5%、503nmで99.2%、592nmで99.4%であり、耐熱性に優れたものであることが確認できた。
【0074】
尚、I−1のテトラアザポルフィリン系色素のみを使用して、上記と同様にフィルターを作成するとL* a* b* 表色系における明度L* 、色座標a* 、b* は、2°視野、C光源において、L* =88.656、a* =−1.451、b* =−19.236であり青色のフィルターであった。
実施例2
実施例1で得られたフィルターの色素含有樹脂層上に紫外線カットフィルター(シャープカットフィルターSC−39(富士写真フィルム(株))製を積層し、耐光性の良好なプラズマディスプレイパネル用フィルターを作製した。
【0075】
キセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製「FAL−25AX−HC.B.EC」)中で、照度73,000ルックス、ブラックパネル温度63℃、相対湿度33%の条件下で、紫外線吸収層を露光面として80時間露光処理した後、前記と同じ分光光度計で吸光度を測定し、その値から色素の残存率リウム系化合物の残存率を算出したところ、400nmで100%、503nmで100%、592nmで99.4%であり、耐光性が優れていることが確認できた。
【0076】
実施例3
前記一般式(I)で表される化合物として、I−2のテトラアザポルフィリン系色素0.0065g、一般式(II)で表される化合物として、II−3のジピラゾリルメチン系色素0.0013g、一般式(III)で表される化合物として、III−4のジピラゾリルスクアリリウム系色素0.0024gをトルエン1.034gに溶解した色素溶液0.25g、及び、バインダー樹脂としてのアクリル系樹脂(三菱レーヨン社製「ダイヤナールBR−80)の20重量%ジメトキシエタン溶液1.0gとを混合した後、透明基材としてのポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み100μm、三菱化学ポリエステルフィルム社製「PETフィルムT100E」)にバーコーターを用いて塗布し乾燥させて、膜厚6μmのジフェニルスクアリリウム系化合物含有樹脂層を形成することにより、プラズマディスプレイパネル用フィルターを作製した。
【0077】
得られたプラズマディスプレイパネル用フィルターについて、分光光度計(日立製作所製「U−3500」)を用いて光線透過率を測定し、その透過率曲線を図2に示した。透過率の極小値における波長は584nm(透過率16.88%)及び504nm(透過率40.43%)であり、両極小値以外の領域には、大きな極小値はなく、可視光線透過率は64.84%であり、 又、JIS Z8729に規定されるL* a* b* 表色系における明度L* 、色座標a* 、b* は、2°視野、C光源において、L* =84.380、a* =16.599、b* =−11.356であり、プラズマディスプレイパネルの赤、青、緑の三原色発光の阻害が小さく、視野の明るさの低下がないと共に、ネオ
ン発光の遮蔽性に優れた暗紫色に調色されたフィルターであることが確認できた。
【0078】
更に、このフィルターを、100℃の恒温槽中に100時間放置した後、分光光度計(日立製作所製「U−3500」)を用いて吸光度を測定することにより色素の残存率 残存率を算出したところ、400nmで100%、503nmで99.1%、583nmで100%であり、耐熱性に優れたものであることが確認できた。
【0079】
尚、I−2のテトラアザポルフィリン系色素のみを使用して、上記と同様にフィルターを作成するとL* a* b* 表色系における明度L* 、色座標a* 、b* は、2°視野、C光源において、L* =87.590、a* =7.320、b* =−21.063であり紫色のフィルターであった。
実施例4
実施例3で得られたフィルターの色素含有樹脂層上に紫外線カットフィルター(シャープカットフィルターSC−39(富士写真フィルム(株))製を積層し、耐光性の良好なプラズマディスプレイパネル用フィルターを作製した。
【0080】
キセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製「FAL−25AX−HC.B.EC」)中で、照度73,000ルックス、ブラックパネル温度63℃、相対湿度33%の条件下で、紫外線吸収層を露光面として80時間露光処理した後、前記と同じ分光光度計で吸光度を測定し、その値から色素の残存率を算出したところ、400nmで93.2%、504mで97.4%、584nmで83.7%であり、耐光性が優れていることが確認できた。
【0081】
【発明の効果】
本発明の、テトラアザポルフィリン系色素 、ジピラゾリルメチン系色素及びジピラゾリルスクアリリウム系色素を含有するディスプレイ用フィルターは、赤、青、緑の3原色発光に影響を及ぼさずに色調の調節、色純度の向上、色温度の向上等ができる透過率の良好な明るいフィルターであり、耐熱、耐光性等の耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1で得られたプラズマディスプレイパネル用フィルターの光線透過率曲線である。
【図2】 本発明の実施例3で得られたプラズマディスプレイパネル用フィルターの光線透過率曲線である。
Claims (3)
- 下記一般式(I)で表されるテトラアザポルフィリン系色素、下記一般式(II)で表されるジピラゾリルメチン系色素及び下記一般式(III)で表されるジピラゾリルスクアリリウム系色素を含有することを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項1に記載のディスプレイ用フィルターであって、さらに紫外線吸収剤含有層を有し、該紫外線吸収剤層が、色素含有樹脂層より外界側、すなわち、ディスプレイ接着面とは反対側に存在していることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- ディスプレイがプラズマディスプレイであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用フィルター。
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