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JP4054111B2 - 半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いる半導体ウエハの裏面研削方法 - Google Patents

半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いる半導体ウエハの裏面研削方法 Download PDF

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JP4054111B2 JP16938498A JP16938498A JP4054111B2 JP 4054111 B2 JP4054111 B2 JP 4054111B2 JP 16938498 A JP16938498 A JP 16938498A JP 16938498 A JP16938498 A JP 16938498A JP 4054111 B2 JP4054111 B2 JP 4054111B2
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片岡  真
健太郎 平井
英樹 福本
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いる半導体ウエハの裏面研削方法に関する。詳しくは、半導体集積回路の製造工程において、半導体ウエハの裏面を研削加工する際に半導体ウエハの破損、汚染を防止するために、半導体ウエハの集積回路が組み込まれた側の面(以下、ウエハの「表面」という)に粘着剤層を介して直接貼着される半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム及び、該粘着フィルムを用いる半導体ウエハの裏面研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、半導体集積回路は高純度シリコン単結晶等をスライスしてウエハとした後、イオン注入、エッチング等により集積回路を組み込み、さらにウエハの裏面をグラインディング、ポリッシング、ラッピング等により研削し、ウエハの厚みを100〜600μm程度まで薄くしてから、ダイシングしてチップ化する方法で製造されている。これらの工程の中で、ウエハの裏面を研削加工する際に半導体ウエハの破損、汚染を防止するために、半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムが用いられている。
【0003】
具体的には、ウエハ表面に半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムをその粘着剤層を介して直接貼着してウエハ表面を保護した後、該ウエハの他の面(以下、ウエハの「裏面」という)を研削する。研削が完了した後、該粘着フィルムはウエハ表面より剥離される。従来の半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを、ウエハの周辺部まで集積回路が組み込まれている、すなわち、ウエハの最外周までスクライブラインが達しているような半導体ウエハの裏面を研削する際に用いた場合には、スクライブラインに起因する凹部を通してウエハ表面と粘着剤層との間に水が浸入し、それに起因してウエハが破損したり、水と共に研削屑が浸入してウエハ表面を汚染することがあった。この問題を防止するために、粘着フィルムの粘着剤層の厚みを厚くし、ウエハ表面の凹部と粘着剤層の密着性を向上させる手段がとられている。しかしながら、この手段を用いた場合には、粘着フィルムのウエハ表面に対する粘着力がウエハの強度以上に大きくなり、ウエハの厚み、表面形状等の諸条件によっては、裏面研削後に該粘着フィルムをウエハ表面から剥離する際に、自動剥がし機で剥離トラブルが発生したり、時にはウエハを完全に破損してしまうことがあった。
【0004】
このような問題を解決する手段として、例えば特開昭60−189938号公報には、半導体ウエハの裏面を研磨するにあたり、このウエハの表面に感圧性接着フィルムを貼り付け、上記の研磨後この接着フィルムを剥離する半導体ウエハの保護方法において、上記の感圧性接着フィルムが光透過性の支持体とこの支持体上に設けられた光照射により硬化し三次元網状化する性質を有する感圧性接着剤層とからなり、研磨後この接着フィルムを剥離する前にこの接着フィルムに光照射することを特徴とする半導体ウエハの保護方法が開示されている。
【0005】
上記の発明に開示されている半導体ウエハの保護方法は、剥離前に光照射することによって粘着フィルムのウエハ表面に対する粘着力を低下させることができるため、剥離時の作業性・ウエハ破損の問題を考慮せずに裏面研削時のウエハ表面に対する密着性を十分に大きくすることができ、前述のウエハ表面と粘着剤層との間への水及び研削屑の浸入の問題は解決される。
【0006】
しかしながら、この粘着フィルムを用いた場合には、裏面研削後にウエハ表面から粘着フィルムを剥離するまでの間に光照射することを必要とするため、光照射設備を工程中に導入する必要があり、装置が大型化・複雑化したり、工程が複雑化して作業性が低下したりする問題があった。また、光照射により発生するオゾンによって作業環境が悪化するという問題もあった。さらに、ウエハの表面形状や光照射強度・時間等の諸条件によっては、粘着剤層の硬化不良により剥離後のウエハ表面に糊残りの問題が発生することがあった。その問題を防止するためには光照射装置内を窒素等の不活性ガスで充填する必要があり、製造コストが上昇すると共に、工程のさらなる大型化・複雑化を招くという問題があった。
【0007】
また、特開平5−335288号公報には、支持シートに感圧接着層を設けてなり、その感圧接着層がゲル分率40%以上であり、かつ水溶性ポリマーを含有することを特徴とする半導体ウエハの保護部材が開示されており、その場合、感圧接着層が水溶性ポリマーとして分子量5000以下のポリプロピレングリコールを含有するのが好ましい旨が記載されている。
【0008】
上記の発明に開示されている半導体ウエハの保護部材(粘着フィルム)は、その感圧接着層(粘着剤層)に水溶性ポリマーを含有することによって、該保護部材を回路パターン形成面等から剥離した後に、有機溶剤による前洗浄をすることなく直接水洗しても充分に清澄に洗浄処理でき、従って有機溶剤による前洗浄を省略できると記載されている。さらに、裏面研磨時等における接着界面への水の浸入防止、研磨屑による回路パターン形成面等への汚染防止、剥がれによるウエハ損傷の防止等の保護機能、及び剥離時における研磨ウエハ等の割れ防止の剥離容易性も満足し、且つ、ブリードで半導体ウエハに付着した水溶性ポリマーも水洗で容易に洗浄することができるとも記載されている。
【0009】
しかしながら、この保護部材を半導体ウエハの裏面研削用に用いた場合、ウエハの表面形状、裏面研削条件、剥離条件等の諸条件によっては、該保護部材をウエハから剥離する際に粘着剤層の一部が凝集破壊によりウエハ表面に残り(以下、糊残りと称する)、ウエハ表面を汚染することがあった。この凝集破壊による糊残りは、水洗によっても完全には除去できないことがあり、回路の電極部に生じた場合にはボンディング時にボンディング不良が発生したり、その他の部分に生じた場合にはパッケージング不良が発生したりすることがあった。
【0010】
近年、半導体業界の技術革新、低コスト化への要求に伴い、半導体ウエハは年々大口径化・薄層化する傾向にある。特に、パッケージングの薄層化や、スマートカード用途の様に薄肉であることが求められる半導体チップの需要が増加していることに伴い、裏面研削後の半導体ウエハの厚みはますます薄くなりつつある。裏面の研削に要する時間はウエハの面積と共に増大するため、前述した研削中の水及び研削屑の浸入によるウエハの破損・汚染の問題はウエハが大口径化するほど発生しやすいと考えられる。さらに、ウエハの厚みが薄くなるにつれてウエハ自体の強度が低下することを考慮すれば、前述した剥離時にウエハが破損する問題も、ウエハの薄層化に伴ってますます深刻化していくものと予想される。
【0011】
加えて、近年の半導体ウエハ表面の多様化により、粘着剤の一部が残り易い表面形状を有するウエハが多くなってきている。例えば、上記スマートカード用途に適したチップを有するウエハとして、高さ5〜100μmの突起状のハイバンプ電極を有するウエハが生産されるようになってきている。上記のような突起状のハイバンプ電極を表面に有する半導体ウエハの裏面を研削する場合には、研削後のウエハから粘着フィルムを剥離する際に、ウエハの表面に粘着剤の一部が残り(以下、糊残りと称する)ウエハ表面を汚染することがあった。この糊残りによる汚染は、特にハイバンプ電極の周辺に発生することが多く、その場合には洗浄等の後処理によっても汚染の除去が困難であり、特に大きな問題となることがあった。このようなハイバンプ電極周辺に発生する糊残りによる汚染は、上記特開平5−335288号公報に開示されている半導体ウエハの保護部材を用いた場合でも、水洗による汚染の除去が不十分となることがあった。
【0012】
このような状況の中で、裏面研削時にはウエハ表面の凹部にまで良好に密着して、ウエハ表面と粘着剤層との間へ水が浸入することによるウエハの破損や、研削屑が浸入することによるウエハ表面の汚染を起こすことがなく、それでいて剥離時には適正な粘着力で剥離できるためにウエハの破損も発生せず、且つ、新たな設備投資をすることなく従来の工程のままで使用することが可能であり、さらに、粘着剤層の一部が残りやすい表面形状のウエハに対しても、糊残りしてウエハ表面を汚染することのない半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムが求められている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、半導体ウエハの裏面を研削する際に、ウエハ表面と粘着剤層との間への水及び研削屑の浸入によるウエハの破損及び汚染の防止を図ることができ、且つ、剥離時にウエハを破損せず、しかも糊残りによるウエハ表面の汚染を生じることのない半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム、及びそれを用いる半導体ウエハの裏面研削方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のアルキレングリコール系重合体を必須成分として含有した、特定の組成の粘着剤層を有する半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを採用することによって、上記目的を達成しうることを見出し、本発明に到った。
【0015】
すなわち、本発明は、半導体ウエハの裏面を研削する際にその回路形成表面に貼着される半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムであって、基材フィルムの片表面に、(イ)架橋剤と反応し得る官能基を有するアクリル酸アルキルエステル系粘着剤ポリマー100重量部、(ロ)1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架橋剤0.5〜15重量部、及び、(ハ)アルキレン基の炭素数が3〜4のアルキレングリコール重合体及びエチレンオキサイドの共重合率が20重量%以下であるオキシエチレン−アルキレン基の炭素数が3〜4のオキシアルキレン共重合体から選ばれた少なくとも1種の分子量が6000〜20000のアルキレングリコール系重合体を前記(イ)と(ロ)の和100重量部当たり5〜20重量部含む、厚み5〜100μmの粘着剤層が形成され、且つ、該粘着フィルムのSUS304−BA板に対する粘着力が40〜400g/25mmであることを特徴とする半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムである。
【0016】
上記アルキレングリコール系重合体は、ポリプロピレングリコール、及びエチレンオキサイドの共重合率が20重量%以下であるオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体から選ばれた少なくとも一種の重合体であることが望ましい。
【0017】
また、本発明の他の発明は、半導体ウエハの回路形成表面に上記粘着フィルムを貼着して、半導体ウエハの裏面を研削し、研削終了後に該粘着フィルムを剥離することを特徴とする半導体ウエハの裏面研削方法である。
【0018】
以上の如く、本発明に係る粘着フィルムの特徴は、分子量を特定した特定のアルキレングリコール系重合体を必須成分として含有する特定の組成の粘着剤層を有することにある。
【0019】
本発明によれば、半導体ウエハの裏面を研削するに際し、ウエハ表面と粘着剤層との間に水及び研削屑が浸入することに起因するウエハの破損及びウエハ表面の汚染が起こらない。粘着力が適正な範囲にあるため、粘着フィルムをウエハから剥離する際のウエハの破損が起こらず、光照射装置等の設備を新たに工程に導入する必要もない。さらに、粘着フィルムをウエハから剥離した後に糊残りが生じないので、半導体ウエハの表面を汚染することがない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、基材フィルムの片表面に特定の組成の粘着剤層が形成された半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム、及び該粘着フィルムを使用する半導体ウエハの裏面研削方法である。
【0021】
本発明の半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムは、基材フィルムまたは剥離フィルムの片表面に、アクリル酸アルキルエステル系粘着剤ポリマー、架橋剤、特定のアルキレングリコール系重合体、その他必要に応じて他の添加剤を含む溶液またはエマルジョン液(以下、これらを総称して粘着剤塗布液という)を塗布、乾燥して粘着剤層を形成することにより製造される。
【0022】
粘着剤塗布液を基材フィルムの片表面に塗布して粘着剤層を形成する場合は、環境に起因する汚染等から保護するために、塗布した粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。他方、剥離フィルムの片表面に粘着剤塗布液を塗布して粘着剤層を形成する場合は、該粘着剤層を基材フィルムへ転写する方法が取られる。基材フィルム及び剥離フィルムのいずれの片表面に粘着剤塗布液を塗布するかは、基材フィルム及び剥離フィルムの耐熱性、半導体ウエハ表面の汚染性を考慮して決める。例えば、剥離フィルムの耐熱性が基材フィルムのそれより優れている場合は、剥離フィルムの表面に粘着剤層を設けた後、基材フィルムへ転写する。耐熱性が同等または基材フィルムが優れている場合は、基材フィルムの表面に粘着剤層を設け、その表面に剥離フィルムを貼着する。
【0023】
しかし、半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムは、剥離フィルムを剥離した時に露出する粘着剤層の表面を介して半導体ウエハ表面に貼着されることを考慮し、粘着剤層による半導体ウエハ表面の汚染防止を図るためには、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、その表面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、これを基材フィルムへ転写する方法の方が好ましい。
【0024】
本発明で用いる基材フィルムとしては、合成樹脂をフィルム状に成型加工したフィルムを用いる。基材フィルムは単層体であっても、また、積層体であってもよい。基材フィルムの厚みは10μm〜500μmが好ましい。より好ましくは70〜500μmである。基材フィルムの原料樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂が挙げられる。これらの中で、裏面研削中のウエハの保護性能を考慮すれば、ASTM−D−2240−86、またはJIS Kー7215−1986に規定されるショアーD型硬度が40以下である原料樹脂が特に好ましい。これらの樹脂をフィルム状に成型加工する際には、必要に応じて、安定剤、滑剤、酸化防止剤、顔料、ブロッキング防止剤、可塑剤、等を添加してもよい。基材フィルムを成型加工する際に安定剤等の各種添加剤を添加した場合、添加剤が粘着剤層に移行して、粘着剤の特性を変化させたり、ウエハ表面を汚染することがある。このような場合には、基材フィルムと粘着剤層の間にバリヤー層を設けることが好ましい。
【0025】
また、半導体ウエハの裏面を研削した後に施されるエッチング液によるエッチング処理の際にも引き続き半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを用いて半導体ウエハの表面を保護する場合には、耐薬品性に優れた基材フィルムを使用することが好ましい。例えば、基材フィルムの粘着剤層を設ける側とは反対側の面にポリプロピレン等の耐薬品性フィルムを積層する等である。
【0026】
基材フィルムと粘着剤層との接着力を向上させるため、基材フィルムの粘着剤層を設ける面には、コロナ処理または化学処理を予め施すことが好ましい。また、基材フィルムと粘着剤層の間に下塗剤を用いてもよい。
【0027】
本発明に使用する基材フィルムは、カレンダー法、Tダイ押出法、インフレーション法等、公知の技術により製造されるものの中から、生産性、得られるフィルムの厚み精度等を考慮して選択することができる。
【0028】
本発明に使用する剥離フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。必要に応じてその表面にシリコーン処理等が施されたものが好ましい。剥離フィルムの厚みは、通常10〜200μmであり、好ましくは30〜100μmである。
【0029】
本発明に用いる粘着剤塗布液は、その基本成分であるアクリル酸アルキルエステル系粘着剤ポリマー、凝集力を上げたり粘着力を調整するための、架橋反応性官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤、特定のアルキレングリコール系重合体を含む溶液またはエマルジョン液である。
【0030】
本発明に用いるアクリル酸アルキルエステル系粘着剤ポリマーは、アクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとして、架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマーを含むモノマー混合物を共重合して得られる。
【0031】
主モノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用しても、また、2種以上を混合して使用してもよい。主モノマーの使用量は粘着剤ポリマーの原料となる全モノマーの総量中に、通常、60〜99重量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0032】
上記主モノマーと共重合させる、架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル−ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル−ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これらの一種を上記主モノマーと共重合させてもよいし、また2種以上を共重合させてもよい。上記の架橋剤と反応しうる官能基を有するコモノマーの使用量は、粘着剤ポリマーの原料となる全モノマーの総量中に、通常、1〜40重量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0033】
本発明においては、上記粘着剤ポリマーを構成する主モノマー及び架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマーの他に、界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)を共重合してもよい。重合性界面活性剤は、主モノマー及びコモノマーと共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。重合性界面活性剤を用いて乳化重合した粘着剤ポリマーを用いた場合には、通常、界面活性剤によるウエハ表面に対する汚染が生じない。また、粘着剤層に起因する僅かな汚染が生じた場合においても、ウエハ表面を水洗することにより容易に除去することが可能となる。
【0034】
この様な重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製;アクアロンRN−10、同RN−20、同RN−30、同RN−50等〕、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製;アクアロンHS−10、同HS−20等〕、及び分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系のもの〔花王(株)製;ラテムルS−120A、同S−180A等〕等が挙げられる。
【0035】
さらに必要に応じて、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート、2−(1−アジリジニル)エチルアクリレート、2−(1−アジリジニル)エチルメタクリレート等の自己架橋性の官能基を持ったモノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性二重結合を持ったモノマー、ジビニルベンゼン、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の多官能性のモノマー等を共重合してもよい。
【0036】
粘着剤ポリマーを重合する方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、等既知の様々な方法が採用できるが、得られる粘着剤ポリマーの分子量及びそれにともなう粘着剤の凝集力への影響を考慮する必要がある。これらの重合方法の内、高分子量のポリマーが得られること、塗布、乾燥工程における環境汚染、塗布性等を勘案すると乳化重合法が好ましい。
【0037】
粘着剤ポリマーの重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられるが、粘着剤の製造コスト、モノマーの官能基の影響及び半導体ウエハ表面へのイオンの影響、等を等慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−ターシャル−ブチルパーオキサイド、ジ−ターシャル−アミルパーオキサイド等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物、等が挙げられる。
【0038】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。半導体ウエハ表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物がさらに好ましい。4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が特に好ましい。
【0039】
本発明に用いる架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤は、粘着剤ポリマーが有する官能基と反応させ、粘着力及び凝集力を調整するために用いる。架橋剤としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物、及びヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。
【0040】
これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記架橋剤の中で、エポキシ系架橋剤は架橋反応の速度が遅く、反応が十分に進行しない場合には粘着剤層の凝集力が低くなり、半導体ウエハ表面の形状によっては粘着剤層に起因する汚染が生じることがある。したがって、適宜、アミン等の触媒を含有するか、もしくは触媒作用のあるアミン系官能基をもつモノマーを粘着剤ポリマーに共重合するか、架橋剤を使用する際にアミンとしての性質を有するアジリジン系架橋剤を併用することが好ましい。
【0041】
架橋剤の含有量は、通常、架橋剤中の官能基数が粘着剤ポリマー中の官能基数よりも多くならない程度の範囲で含有する。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合など、必要に応じて過剰に含有してもよい。好ましい含有量は、粘着剤ポリマー100重量部に対し架橋剤0.5〜15重量部である。少ないと、粘着剤層の凝集力が不十分となり、ウエハ表面(特にハイバンプ電極を有するウエハの場合には該ハイバンプ電極の周辺)に粘着剤層に起因する糊残りを生じやすくなったり、粘着力が本発明の範囲を外れて、高くなり、粘着フィルムをウエハ表面から剥離する際に自動剥がし機で剥離トラブルが発生したり、ウエハを完全に破損したりする場合がある。多過ぎると、粘着剤層とウエハ表面との密着力が弱くなり、研削中に水や研削屑が浸入し、ウエハを破損したり、研削屑によるウエハ表面の汚染が生じたりすることがある。
【0042】
本発明の粘着フィルムの粘着剤層は、上記、アクリル酸アルキルエステル系粘着剤ポリマー、架橋剤の他に、特定のアルキレングリコール系重合体を必須成分として含有する。粘着剤層に特定のアルキレングリコール系重合体を含有することにより、粘着剤層とウエハ表面との密着性が向上し、ウエハ裏面を研削する際のウエハ表面と粘着剤層の間への水浸入を防止する(以下、耐水性)効果があり、しかも、粘着フィルムをウエハ表面から剥離する際のウエハの破損も起こらず、粘着剤層に起因するウエハ表面(特にハイバンプ電極を有するウエハの場合には該ハイバンプ電極の周辺)への汚染も生じない。
【0043】
本発明においては、アルキレングリコール系重合体の分子量を後述する特定の範囲に限定している。詳細な理由は明確ではないが、アルキレングリコール系重合体の分子量をこの範囲内におくことによって、ウエハ裏面研削中における耐水性が向上すると共に、ウエハ表面(特にハイバンプ電極を有するウエハの場合には該ハイバンプ電極の周辺)の粘着剤層に起因する汚染が減少する効果がある。
【0044】
本発明でいうアルキレングリコール系重合体とは、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアルキレンオキサイドと称されるものを含み、ポリマーの主鎖がポリエーテルの構造を持つものをいう。アルキレングリコール系重合体は、水、アルコール類、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類等を開始剤として、金属アルコキシド、有機金属化合物、無機金属塩、アルカリ金属水酸化物、第3アミン化合物、酸等の触媒存在下で、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状エーテルを開環付加させて重合する方法等により合成される。さらに、ポリマーの末端にある水酸基の水素原子が、アルキル基によって置換された構造のポリエーテルも含む[この場合、得られたポリマーの分子量は、アルキル基置換前のポリマーの分子量(水酸基及び官能基数より換算)より推定]。
【0045】
本発明において粘着剤層中に含有するアルキレングリコール系重合体は、上記で定義したアルキレングリコール系重合体の中で、アルキレン基の炭素数が3〜4のアルキレングリコール重合体、及び、エチレンオキサイドの共重合率が20重量%以下であるオキシエチレン−アルキレン基の炭素数が3〜4のオキシアルキレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種以上のアルキレングリコール系重合体である。
【0046】
具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のホモポリマー、エチレンオキサイドの共重合率が20重量%以下のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体等のコポリマー等のポリエーテル類が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、これらの中で、製造コスト等を考慮すれば、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドの共重合率が20重量%以下のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体が好ましい。
【0047】
アルキレン基の炭素数が2以下であるアルキレングリコール重合体、エチレンオキサイドの共重合率が20重量%を超えるオキシエチレン−オキシアルキレン共重合体の場合、耐水性が低下し、ウエハの裏面研削中に半導体ウエハの表面と粘着剤層の間に水が浸入することがある。半導体ウエハの表面と粘着剤層の間に水が浸入した場合、ウエハが破損したり、ウエハ表面が研削屑等で汚染されることがある。また、アルキレン基の炭素数が5以上のアルキレングリコール系重合体は入手が困難となる。
【0048】
本発明において粘着剤層が含有するアルキレングリコール系重合体の平均分子量(水酸基価及び官能基数より換算)は、6000〜20000である。分子量が高くなるほどウエハ表面に対する汚染が減少する傾向があることを考慮すれば分子量が高い方が好ましいが、分子量がこの範囲よりも高くなればアルキレングリコール系重合体の製造自体が困難となる傾向がある。分子量がこの範囲よりも低くなると、ウエハ表面(特にハイバンプ電極を有するウエハの場合には該ハイバンプ電極の周辺)に粘着剤層に起因する汚染が生じる傾向がある。
【0049】
アルキレングリコール系重合体の含有量は、前記粘着剤ポリマー及び架橋剤の和100重量部に対して5〜20重量部である。含有量が少ないと耐水性が低下し、裏面研削中にウエハ表面と粘着剤層との間に水が浸入してウエハを破損したり、裏面の研削屑が浸入することによる汚染を生じやすくなる傾向にある。また、含有量が多いとウエハ表面に粘着剤層に起因する汚染を生じることがある。
【0050】
本発明に用いる粘着剤塗布液には、上記の粘着剤ポリマー、架橋剤、アルキレングリコール系重合体の他に、粘着特性を調整するために、ロジン系、テルペン樹脂系等のタッキファイヤー、各種界面活性剤等を、本発明の目的に影響しない程度に適宜含有してもよい。また、粘着剤ポリマーがエマルジョン液である場合は、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の造膜助剤を本発明の目的に影響しない程度に適宜添加してよい。造膜助剤として使用されるジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びその誘導体は、粘着剤層中に多量に含有した場合、洗浄が不可能となる程度の多量のウエハ表面の汚染を招くことがあることを考慮すれば、粘着剤塗工後の乾燥時の温度で揮発するものを使用し、粘着剤層中への残存量を低くすることが好ましい。
【0051】
尚、本発明の粘着剤塗布液を調製する際に、粘着剤ポリマーがエマルジョン液である場合には、粘着剤塗布液中へのアルキレングリコール系重合体の分散を容易にするために、上記ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の造膜助剤中に該アルキレングリコール系重合体を予め溶解した後に、粘着剤ポリマーエマルジョン液に添加したり、本発明の目的に影響しない程度に適宜界面活性剤を併用したりすることが好ましい。
【0052】
粘着剤層の厚みは5〜100μmである。好ましい厚みは10〜70μmである。粘着剤層の厚みが薄くなると、耐水性が劣り裏面研削中にウエハ表面と粘着剤層との間に水が浸入して、ウエハを破損したり、ウエハ表面に研削屑による汚染が生じたりする傾向にある。厚みが厚くなると、粘着フィルムの作成が困難となったり、生産性に影響を与え製造コストの増加につながることがある。
【0053】
本発明の半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムの粘着力は、ウエハ表面の研削条件、ウエハの口径、研削後のウエハの厚み等を勘案して適宜調整できるが、粘着力が低すぎるとウエハ表面へのフィルムの貼付が困難となったり、裏面研削中にウエハ表面と粘着剤層との間に水が浸入し、ウエハが破損したり、ウエハ表面に研削屑等による汚染が生じたりする傾向にある。また、粘着力が高すぎると、裏面研削後に粘着フィルムをウエハ表面から剥離する際に、自動剥がし機で剥離トラブルが発生する等、剥離作業性が低下したり、ウエハを破損したりすることがある。通常、SUS304−BA板に対する粘着力に換算して40〜400g/25mm、好ましくは50〜350g/25mmである。
【0054】
基材フィルムまたは剥離フィルムの片表面に粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えばロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80〜200℃の温度範囲において10秒〜10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは80〜170℃において15秒〜5分間乾燥する。
【0055】
架橋剤と粘着剤ポリマーとの架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後に、半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを40〜80℃において5〜300時間程度加熱してもよい。
【0056】
本発明の半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムの製造方法は、上記の通りであるが、半導体ウエハ表面の汚染防止の観点から、基材フィルム、剥離フィルム、粘着剤主剤等全ての原料資材の製造環境、粘着剤塗布液の調製、保存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持されていることが好ましい。
【0057】
次に、本発明の半導体ウエハの裏面研削方法について説明する。
本発明の半導体ウエハの裏面研削方法は、半導体ウエハの裏面を研削する際に、上記方法により製造された半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを用いることに特徴がある。
【0058】
その詳細は、先ず、半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム(以下、粘着フィルムという)の粘着剤層から剥離フィルムを剥離し、粘着剤層表面を露出させ、その粘着剤層を介して、半導体ウエハの集積回路が組み込まれた側の面に貼着する。次いで、研削機のチャックテーブル等に粘着フィルムの基材フィルム層を介して半導体ウエハを固定し、半導体ウエハの裏面を研削する。研削が終了した後、粘着フィルムは剥離される。裏面の研削が完了した後、粘着フィルムを剥離する前にケミカルエッチング工程を経ることもある。また、必要に応じて、粘着フィルム剥離後に、半導体ウエハ表面に対して、水洗、プラズマ洗浄等の処理が施される。
【0059】
この様な裏面研削操作において、半導体ウエハは、研削前の厚みが、通常、500μm〜1000μmであるのに対して、半導体チップの種類等に応じ、通常、100μm〜600μm程度まで研削される。研削する前の半導体ウエハの厚みは、半導体ウエハの口径、種類等により適宜決められ、研削後の厚みは、得られるチップのサイズ、回路の種類、等により適宜決められる。
【0060】
粘着フィルムを半導体ウエハに貼着する操作は、人手により行われる場合もあるが、一般に、ロール状の粘着フィルムを取り付けた自動貼り機と称される装置によって行われる。この様な自動貼り機として、例えば、タカトリ(株)製ATM−1000B、同ATM−1100、帝国精機(株)製STLシリーズ等がある。
【0061】
裏面研削方式としては、スルーフィード方式、インフィード方式等の公知の研削方式が採用される。それぞれ、研削は水を半導体ウエハと砥石にかけて冷却しながら行われる。裏面研削終了後、必要に応じてケミカルエッチングが行われる。ケミカルエッチングは、弗化水素酸や硝酸、硫酸、酢酸等の単独もしくは混合液からなる酸性水溶液や、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液、からなる群から選ばれたエッチング液に、粘着フィルムを貼着した状態で半導体ウエハを浸漬する等の方法により行われる。該エッチングは、半導体ウエハ裏面に生じた歪の除去、ウエハのさらなる薄層化、酸化膜等の除去、電極を裏面に形成する際の前処理、等を目的として行われる。エッチング液は、上記の目的に応じて適宜選択される。
【0062】
裏面研削、ケミカルエッチング終了後、粘着フィルムはウエハ表面から剥離される。この一連の操作は、人手により行われる場合もあるが、一般には、自動剥がし機と称される装置により行われる。この様な、自動剥がし機としては、タカトリ(株)製ATRM−2000B、同ATRM−2100、帝国精機(株)製STPシリーズ等がある。
【0063】
粘着フィルムを剥離した後のウエハ表面は、必要に応じて洗浄される。洗浄方法としては、水洗浄、溶剤洗浄等の湿式洗浄や、プラズマ洗浄等の乾式洗浄等が挙げられる。湿式洗浄の場合、超音波洗浄を併用してもよい。これらの洗浄方法は、ウエハ表面の汚染状況により適宜選択される。
【0064】
本発明によれば、半導体ウエハの裏面を研削するに際し、研削中にウエハ表面と粘着剤層との間に水が浸入することに起因するウエハの破損も、研削屑が浸入することによるウエハ表面の汚染も発生することがない。粘着力が適正な範囲にあるため、半導体ウエハの表面から粘着フィルムを剥離する際にウエハを破損することもなく、光照射装置等の設備を新たに工程に導入する必要もない。さらに、粘着フィルムをウエハから剥離した後に糊残りがないので、半導体ウエハの表面を汚染することがない。
【0065】
本発明の半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いる半導体ウエハの裏面研削方法が適用できる半導体ウエハとして、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素−アルミニウム等のウエハが挙げられる。
【0066】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。以下に示す全ての実施例及び比較例において、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持された環境において粘着剤塗布液の調製及び塗布、並びに、半導体シリコンウエハの裏面研削等を実施した。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例に示した各種特性値は下記の方法で測定した。
(1)粘着力(g/25mm)
下記に規定した条件以外は、全てJIS Z−0237−1991に準じて測定した。23℃の雰囲気下において、実施例または比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を介して、5×20cmのSUS304−BA板(JIS G−4305−1991規定)の表面に貼着し、1時間放置した。試料の一端を挟持し、剥離角度180度、剥離速度300mm/min.でSUS304−BA板の表面から試料を剥離する際の応力を測定し、g/25mmの粘着力に換算した。
【0067】
(2)実用評価
高さ5μmのハイバンプ電極を有する100mm2の集積回路が周辺まで組み込まれた半導体シリコンウエハ(直径:200mm、厚み:600μm、スクライブラインの幅:100μm、スクライブラインの深さ:2μm)の表面に、実施例または比較例で得られた粘着フィルムを貼着し、研削機を用いて、水をかけて冷却しながら半導体シリコンウエハの裏面を研削して、厚みを約200μmとした。各粘着フィルム毎に10枚の半導体シリコンウエハについて評価した。研削終了後、半導体シリコンウエハの破損状況を破損した枚数で評価した。さらに破損しなかった半導体シリコンウエハについて、表面と粘着フィルムとの間に周辺から水が浸入したか否かを目視で観察し、水浸入が生じた枚数で評価した。水浸入の観察終了後、表面保護テープ剥がし機{タカトリ(株)製、MODEL:ATRM−2000B;使用剥がしテープ:ハイランド印フィラメントテープNo.897〔住友スリーエム(株)製〕}で該粘着フィルムを剥離した。該粘着フィルム剥離時の破損状況を破損した枚数で評価した。さらに、該粘着フィルム剥離時に破損しなかったウエハの表面を、洗浄機〔大日本スクリーン製造(株)製:D−SPIN 629〕を用いて水洗した後、光学顕微鏡〔(株)ニコン製:OPTIPHOT2〕を用いて50〜1000倍の範囲に拡大して、ウエハ表面の全チップに対してチップ毎に汚染の観察を行ない、汚染が発見された場合には、その汚染が研削屑によるものであるか、糊残りによるものであるかを確認したうえで、下記の基準で評価した。
汚染発生率(%)=〔(汚染チップ数)/(観察したチップ数)〕×100
尚、本発明でいう汚染チップ数とは、上記の方法で各チップを観察した際に、チップ上に視認される汚染が1点以上発見された場合にはそのチップを汚染チップであるとして計数したものである。
【0068】
実施例1
(基材フィルムの作製)
ショアーD型硬度が35のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂をT−ダイ押出機を用いて、厚み200μmのフィルムに形成した。この際、粘着剤層を形成する側にコロナ処理を施した。得られたフィルムの厚みバラツキは±1.5%以内であった。
(粘着剤主剤の重合)
重合反応機に脱イオン水150重量部、重合開始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を0.5重量部、アクリル酸ブチル73.25重量部、メタクリル酸メチル14重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル9重量部、メタクリル酸2重量部、アクリルアミド1重量部、水溶性コモノマーとしてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数の平均=約20)の硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製:アクアロンHS−20〕0.75重量部を用い、撹拌下で70℃において9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水エマルジョンを得た。これを14重量%アンモニア水で中和し、固形分40重量%の粘着剤ポリマーエマルジョン(粘着剤主剤)を得た。
(粘着剤塗布液の調製)
得られた粘着剤主剤エマルジョン100重量部(粘着剤ポリマー濃度40重量%)を採取し、さらに14重量%アンモニア水を加えてpH9.3に調整した。次いで、アジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、ケミタイトPZ−33〕2.0重量部、アルキレングリコール系重合体としてエチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体〔ペンタエリスリトール系、分子量8000(水酸基価及び官能基数より換算)〕5.0重量部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部を添加して粘着剤塗布液を得た。この際、アルキレングリコール系重合体とジエチレングリコールモノブチルエーテルを予め混合・溶解してから添加した。
【0069】
(粘着フィルムの作製)
この粘着剤塗布液をロールコーターを用いてポリプロピレンフィルム(剥離フィルム、厚み:50μm)に塗布し、120℃で2分間乾燥し厚み20μmの粘着剤層を設けた。これに前述のエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(基材フィルム)のコロナ処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤層を転写させた。転写後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却することにより半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は120g/25mmであった。
(粘着フィルムの評価)
得られた粘着フィルムを、高さ5μmのハイバンプ電極を有する100mm2の集積回路が周辺まで組み込まれた半導体シリコンウエハ(直径:200mm、厚み:600μm、スクライブラインの幅:100μm、スクライブラインの深さ:2μm)の表面(集積回路側)に貼着し、研削機を用いて、水をかけて冷却しながら半導体シリコンウエハの裏面を、研削後の厚みが約200μmになるまで研削した。同様のウエハ10枚に対して同様の操作を行った。研削中に破損したウエハは皆無であった。研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に水浸入は観察されなかった。これら10枚のウエハから、表面保護テープ剥がし機{タカトリ(株)製、MODEL:ATRM−2000B;使用剥がしテープ:ハイランド印フィラメントテープNo.897〔住友スリーエム(株)製〕}を用いて粘着フィルムを剥離した。粘着フィルム剥離中に破損したウエハは皆無であった。
【0070】
得られた半導体ウエハの表面を、洗浄機〔大日本スクリーン製造(株)製:D−SPIN 629〕を用いて水洗した後、顕微鏡によるウエハ表面の汚染状況の観察を行った。ウエハ表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0071】
実施例2
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の添加量を1.6重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の代わりに、エチレンオキサイドの共重合率が14重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体〔ペンタエリスリトール系、分子量10000(水酸基価及び官能基数より換算)〕を使用し、添加量を8.0重量部とした以外は全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は100g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であり、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウエハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0072】
実施例3
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の代わりにエポキシ系架橋剤〔ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX−611〕を使用し、添加量を4.8重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の代わりに、ポリプロピレングリコール〔グリセリン系、分子量6500(水酸基価及び官能基数より換算)〕を使用し、添加量を3.0重量部とした以外は全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は160g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であり、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウエハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0073】
実施例4
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の添加量を0.2重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の代わりに、エチレンオキサイドの共重合率が14重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体〔ペンタエリスリトール系、分子量10000(水酸基価及び官能基数より換算)〕を使用し、添加量を7.5重量部とした以外は全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は350g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であり、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウエハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0074】
実施例5
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の添加量を3.2重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の添加量を8.5重量部とした以外は全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は50g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であり、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウエハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0004054111
【0076】
比較例1
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の代わりに、エチレンオキサイドの共重合率が25重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体〔ペンタエリスリトール系、分子量8000(水酸基価及び官能基数より換算)〕を使用した以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は120g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であったが、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入の生じたウエハが1枚観察された。粘着フィルム剥離中に破損したウエハは皆無であった。しかし、表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面に、全チップ数に対して0.2%のチップに研削水の浸入に伴うシリコン屑等による汚染が観察された。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0077】
比較例2
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の添加量を0.8重量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は150g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であったが、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入の生じたウエハが1枚観察された。粘着フィルム剥離中に破損したウエハは皆無であった。しかし、表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面に、全チップ数に対して0.2%のチップに研削水の浸入に伴うシリコン屑等による汚染が観察された。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0078】
比較例3
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の添加量を1.2重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の添加量を10.3重量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は100g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であり、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウエハも皆無であった。しかし、表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面に、全チップ数に対して0.5%のチップのハイバンプ電極周辺に糊残りが観察された。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0079】
比較例4
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の添加量を0.04重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の添加量を3.0重量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は440g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であり、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。しかし、粘着フィルム剥離中に3枚のウエハが破損した。表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面に、全チップ数に対して18%のチップのハイバンプ電極周辺に糊残りが観察された。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0080】
比較例5
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の代わりにエポキシ系架橋剤〔ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX−611〕を使用し、添加量を7.2重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の添加量を6.0重量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は100g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に水浸入が原因で1枚のウエハが破損した。研削終了後、破損しなかった9枚のウエハのうちの5枚について、水浸入が観察された。粘着フィルム剥離中に破損したウエハは皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面に、全チップ数に対して8%のチップに研削水の浸入に伴うシリコン屑等による汚染が観察された。得られた結果を〔表2〕に示す。
比較例6
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、アジリジン系架橋剤の添加量を5.6重量部とし、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の添加量を9.0重量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は30g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であったが、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入の生じたウエハが1枚観察された。粘着フィルム剥離中に破損したウエハは皆無であった。しかし、表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面に、全チップ数に対して0.5%のチップに研削水の浸入に伴うシリコン屑等による汚染が観察された。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0081】
比較例7
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、エチレンオキサイドの共重合率が15重量%のオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体の代わりに、ポリプロピレングリコール〔グリセリン系、分子量4000(水酸基価及び官能基数より換算)〕を使用し、添加量を7.5重量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの粘着力は100g/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウエハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウエハは皆無であり、研削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウエハも皆無であった。しかし、表面を水洗した後の半導体シリコンウエハの表面に、全チップ数に対して0.4%のチップのハイバンプ電極周辺に糊残りが観察された。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0082】
【表2】
Figure 0004054111
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体ウエハの裏面を研削するに際し、裏面の研削応力に起因する研削中のウエハ破損が起こらないばかりでなく、ウエハ表面と粘着剤層との間に水及び研削屑が浸入することに起因するウエハの破損及びウエハ表面の汚染も起こらない。粘着力が適正な範囲にあるため、粘着フィルムをウエハから剥離する際のウエハの破損が起こらず、光照射装置等の設備を新たに導入する必要もない。さらに、粘着フィルムをウエハから剥離した後に糊残りがないので、半導体ウエハの表面を汚染することがない。

Claims (3)

  1. 半導体ウエハの裏面を研削する際にその回路形成表面に貼着される半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルムであって、基材フィルムの片表面に、(イ)架橋剤と反応し得る官能基を有するアクリル酸アルキルエステル系粘着剤ポリマー100重量部、(ロ)1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架橋剤0.5〜15重量部、及び、(ハ)アルキレン基の炭素数が3〜4のアルキレングリコール重合体及びエチレンオキサイドの共重合率が20重量%以下であるオキシエチレン−アルキレン基の炭素数が3〜4のオキシアルキレン共重合体から選ばれた少なくとも1種の分子量が6000〜20000のアルキレングリコール系重合体を前記(イ)と(ロ)の和100重量部当たり5〜20重量部含む、厚み5〜100μmの粘着剤層が形成され、且つ、該粘着フィルムのSUS304−BA板に対する粘着力が40〜400g/25mmであることを特徴とする半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム。
  2. アルキレングリコール系重合体が、ポリプロピレングリコール、及びエチレンオキサイドの共重合率が20重量%以下であるオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体から選ばれた少なくとも一種の重合体であることを特徴とする請求項1記載の半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム。
  3. 半導体ウエハの回路形成表面に請求項1又は2に記載の粘着フィルムを貼着して、半導体ウエハの裏面を研削し、研削終了後に該粘着フィルムを剥離することを特徴とする半導体ウエハの裏面研削方法。
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