JP4053191B2 - 締結部材の分解方法及びその分解装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、頭部と胴部からなりかつ胴部が母材に形成されている締結穴に挿通されしかもその頭部がその締結穴の周縁部に接触されてその母材と締結状態となっている締結部材を、その母材から分解する締結部材の分解方法及びその分解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板、プラスチックス等の母材同士、あるいは、この母材に他の部材を接合する接合技術として、溶接、接着、機械的締結等の技術が知られている。
【0003】
溶接技術は、接合強度が大きいという長所があるが、大がかりで高価な設備を必要とすると共に、安全性を確保するために大きなスペースを必要とするという短所がある。
【0004】
接着技術は、これに比較して安価でかつ小さなスペースで作業を行うことができるという長所があるが、接着剤が固化するまで母材の姿勢を一定に保っておかなければならず、接合に時間がかかるという短所がある。
【0005】
また、溶接や接着は、母材の接合時に接合不良が発生して接合し直したり、母材をリサイクルして使用し直したりしたい場合に、母材を傷つけずにその接合部分からこの母材同士を分解することが極めて難しい。
【0006】
一方、機械的締結技術には各種の締結技術が知られており、代表的な機械的締結技術として、ネジ締結、ピン締結、リベット締結がある。
【0007】
ネジ締結には、例えば、図92(a)に示すように、母材1、2の締結穴1a、2aに挿通された締結部材としてのボルト3とこのボルト3に螺着されている締結部材としてのナット4とをスパナを用いて締め付けることによって、母材1、2同士を機械的に接合する方法、図92(b)に示すように、締結部材としてのタッピングビス5をドライバーを用いて締結穴1a、2aに形成されているネジ部に螺合させて、母材1、2を締め付けることにより母材1、2同士を機械的に接合する方法が知られている。
【0008】
ピン締結には、例えば、図93(a)に示すように、締結部材としてのピン6を締結穴1a、2aに挿通し、カシメマシーン、カシメ工具を用いてそのピン6の両端部をカシメることによって母材1、2同士を機械的に接合する方法、図93(b)に示すように、締結部材としての軸7を母材1の締結穴に挿通し、カシメマシーン、カシメ工具を用いて軸7の端部をカシメることによって、軸7を母材1に機械的に接合する方法が知られている。
【0009】
リベット締結には、図94(a)に示す締結部材としてのソリッドリベット8、図94(b)に示す締結部材としてのチューブラリベット9を母材1、2の締結穴1a、2aに挿通して、図94(d)、図94(e)に示すように、そのソリッドリベット8、チューブラリベット9の端部を圧潰することにより母材1、2同士を機械的に接合する方法、図94(c)に示す締結部材としてのブラインドリベット10を母材1、2の締結穴1a、2aに挿通して、後述する芯軸を用いてそのブラインドリベット10の端部を圧潰することにより図94(f)に示すように母材1、2同士を機械的に接合する方法が知られている。
【0010】
そのブラインドリベット10は、図94(c)に示すように、リベットボディ11と、このリベットボディ11の軸穴11aに挿通されたマンドレル(芯軸)12とからなり、例えば、以下の手順によって母材1、2同士が機械的に締結される。
【0011】
このリベット締結では、まず、ブラインドリベット11の胴部11bを図95(a)に示すように母材1、2の締結穴1a、2aに差し込み、図95(b)に示すようにマンドレル12の端部にブラインドリベット締結装置13をセットする。
【0012】
そして、図95(c)に示すように、リベットボディ11の頭部11cにブラインドリベット締結装置13のノーズピース13aを密着させて、頭部11cをノーズピース13aにより母材1に押しつけつつ、ブラインドリベット締結工具13をトリガーする。
【0013】
これにより、ブラインドリベット締結装置13の締結軸把持部としてのジョー部材13bによってマンドレル12が掴まれて押しつけ方向と反対方向に引っ張られ、胴部11bの母材2の背面側に突出している部分が塑性変形して押し潰され、母材2にカシメ付けられて圧着される。
【0014】
この状態で、ジョー部材13bを更に押しつけ方向と反対方向に引っ張ると、図95(d)に示すように、マンドレル12が縮径部12bの部分で破断されて、母材1と母材2とがブラインドリベット10によって締結される。
【0015】
このブラインドリベット10によれば、押しつけ方向と反対方向に引っ張って締結を行う作業方法であるので、図95(a)〜図95(d)に示すように、母材1、2の背面側を支持せずに、母材1、2の締結作業を行うことができることになり、母材1、2の背面側に手が入らないような箇所の締結に適している。
【0016】
なお、図96に示すように、一方の母材1に予め一体的に形成された軸7(胴部11b)を、他方の母材2の締結穴2aにカシメ付けて、母材1、2を機械的に接合するいわゆるバーリングカシメという機械的締結技術も知られている。
【0017】
このような機械的締結技術は、溶接接合技術に比較して、大型の装置を必要とせず、狭いスペースでも安全を確保しつつ容易に締結作業を行うことができるという長所がある。また、接着接合技術に比較して、迅速に母材1、2を接合できるという長所がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピン締結、リベット締結、バーリングカシメ等の機械的締結に用いられる締結部材は、その胴部が塑性変形されることによって母材に締結されるので、締結部材の母材への締結時に締結不良が発生して締結部材から母材を取り外すとき、母材のリサイクル使用のため締結部材から母材を取り外すときに、その締結部材を破壊しなければならず、その分解作業に手間がかかり、また、分解時に母材を傷つけるという不具合がある。すなわち、この種の締結部材の分解技術として、一般に、図97に示す方法が知られている。その一例を締結部材としてのブラインドリベット10の分解を例に挙げて説明する。
【0019】
まず、ドリル14によって、ブラインドリベット10の頭部11cを切削し、このブラインドリベット10の頭部11cを胴部11bから除去する。その後、胴部11bが締結穴1a、2aから抜け出る方向にその切削部を叩いて、母材1、2からブラインドリベット10を抜き取る。
【0020】
この従来の締結部材の分解方法では、ドリル14の準備、選定、切削作業等の段取りに手間がかかる。また、図98に示すように、頭部11cの切削時に、ドリル14の先端部が母材1に達して、この母材1の締結穴1aが切削され、締結穴1aが大きくなると、この母材1をリサイクルしてブラインドリベット10を用いて再締結したとしても、十分な締結力を確保することができず、一般に、締結部材の分解作業を行ったときに母材1、2に傷をつけると、その母材1、2をリサイクルによって再使用することが困難である。
【0021】
また、この種のドリルを用いての締結部材の分解方法の場合には、締結部材の頭部を切削する際に、ドリル14の回転によって締結部材が連れ回りして、母材1に擦り傷が付いたり、頭部11cの切削ができなかったりするという問題もある。特に、母材1が製品の外装に用いられるものでは、母材1の表面に擦り傷がついていたりすると、製品の商品価値が著しく低下するので、そのような擦り傷のついている母材1をリサイクルで再使用することはできず、分解時の母材の不良率が著しく高くなる。
【0022】
そこで、ドリル14の回転に伴う締結部材の連れ回りを阻止するために、図97に示すように、頭部11c又は胴部11bをプライヤー又はペンチ等の把持工具15によって掴んで、連れ回りを阻止しつつドリル14によって頭部11cを切削しているが、この作業を一人で行うと危険であるため、二人以上で行っており、分解作業に人件費がかさむという問題がある。
【0023】
ところが、締結部材の頭部11cが皿形形状で、この頭部11cを把持工具15で掴みにくいとき、締結部材が母材1、2の背面側で手が入らない箇所を締結しているときには、胴部11bを把持工具15によって掴めないため、連れ回りを防止し難い。
【0024】
なお、図92(a)、図92(b)に示すネジ締結の場合には、母材1、2から締結部材としてのボルト3、ナット4、タッピングビス5を容易に取り外すことができる場合も多いが、ネジ締結の場合でも、ボルト3とナット4との螺合部が錆び付いて固着しているとき、タッピングビス5と締結穴1a、2aとの螺合部が固着しているとき、ネジ山が破損してボルト3とナット4とからなる締結部材が母材1、2に対して空回りするという不具合がある。また、ボルト3の角頭部、ナット4の角部、タッピングビス5の頭部が損傷していたりした場合には、ボルト3、ナット4、タッピングビス5の取り外しに多大の困難を伴う。
【0025】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、母材に締結された締結部材を、母材を損傷することなく容易かつ迅速に母材から除去することのできる締結部材の分解方法及びその分解装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の締結部材の分解方法は、頭部と胴部とからなり該胴部が母材に形成されている締結穴に挿通されかつ前記頭部と前記母材との間に前記胴部の外径以上の大きさの内径を有ししかも胴部軸方向に厚さを有する補助部材が介在されて前記母材と締結状態となっている締結部材の頭部と胴部との境界領域を前記頭部から前記胴部に向かって切断して、前記胴部から前記頭部を分離することによって、前記母材から前記締結部材を除去可能とする締結部材の分解方法において、前記境界領域が前記締結穴の穴径よりも小さくかつ前記胴部の外周面に略平行な円筒領域であり、前記境界領域を切断する前に、前記補助部材を破壊して該補助部材を除去した後に該補助部材の除去により前記頭部と前記母材との間に生じた隙間に前記胴部軸方向と直交する方向から把持手段を挿入して前記胴部を把持することによって前記締結部材を固定することを特徴とする。
請求項2に記載の締結部材の分解装置は、頭部と胴部とからなり該胴部が母材に形成されている締結穴に挿通されかつ前記頭部と前記母材との間に前記胴部の外径以上の大きさの内径を有ししかも胴部軸方向に厚さを有する補助部材が介在されて前記母材と締結状態となっている締結部材の胴部と頭部との境界領域を切断して前記頭部と前記胴部とを分離する切断手段が設けられている分解装置において、前記境界領域は前記締結穴の穴径よりも小さく、かつ、前記胴部の外周面に略平行な円筒領域であり、前記切断手段には、前記締結穴の穴径以下でかつ前記境界領域を切断可能な大きさの径を有する先端が設けられ、前記切断手段に前記境界領域を切断するための切断力を付与する切断力付与手段が設けられ、前記補助部材を破壊して該補助部材を除去した後該補助部材の除去により前記頭部と前記母材との間に生じた隙間に前記胴部軸方向と直交する方向から挿入されて胴部を把持することによって前記締結部材を固定する把持手段が設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、母材に締結された締結部材を、母材を損傷することなく容易かつ迅速に母材から除去することができる。また、把持手段によって締結部材の揺動が防止されるので、境界領域の切断を確実に行うことができる。すなわち、切断刃が頭部に衝突するときに生じる反力を吸収することができる。
【0097】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を締結部材の分解方法及びその分解装置を図面を参照しつつ説明する。
【0098】
以下に説明する分解装置は、ネジ締結、ピン締結、リベット締結、バーリングカシメ等の機械的締結に用いられる締結部材を分解するのに用いることが可能であるが、説明の便宜上、締結部材としてのブラインドリベット10を主に分解対象として説明する。このブラインドリベット10は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の事務機の締結部材として広く使用されている。
[簡単な構造の分解装置]
図1において、符号100A1は簡便な分解装置を示している。この分解装置100A1は略円柱状の分解装置本体101と分解装置本体101と一体で切断手段としての略円筒状の切断刃102とからなる。その切断刃102の先端部(傾斜部)は刃先部104とされている。その刃先部104は先端に向かうに伴って縮径され、刃先部104の先端は鋭利な円筒形状の刃先103とされている。図2はその分解装置の外観形状を示している。その刃先103は円周方向全体に一様に形成されている。この刃先部104は、その外周面が先端から所定角度で傾斜されたテーパ面104aとなっている。その刃先103の直径は母材1の締結穴1aの穴径d1よりも小さい。
【0099】
なお、母材2の締結穴2の穴径d2は、穴径d1よりも大きい。これは、締結部材をカシメたときにカシメにより塑性変形したカシメ付け部が母材2の締結穴2aに食い込むことによる母材2の変形を避けるためである。
【0100】
その分解装置100A1は、母材1の表面側からブラインドリベット10の頭部11cに当接され、リベットボディ11の胴部11bと頭部11cとの境界領域Aを切断するのに用いられる。その境界領域Aは締結穴1aの内周面と平行な胴部軸方向に延びて円筒形状を呈している。この境界領域Aの直径は締結穴1aの穴径d1よりも小さい。
【0101】
この分解装置100A1を用いてのブラインドリベット10の分解は、以下に説明する手順によって行われる。
【0102】
まず、図1に示す頭部11cを上から見て、締結穴1aに対して略同心円となる部位に、その分解装置100A1の刃先103が位置するようにして、分解装置100A1をその頭部11cに当てがう。これにより、刃先103が円筒状の境界領域Aの真上にほぼ位置される。
【0103】
次に、この分解装置100A1の分解装置本体101の頂部をハンマー等で殴打して、切断刃102に矢印a1で示す方向の衝撃力(切断力)を加える。すると、刃先部104が、図3に示すように、頭部11cと胴部11bとの間の境界領域Aに食い込んで、ブラインドリベット10の頭部11cと胴部11bとが切断され、頭部11cが胴部11bから分離される。その際、頭部11cには切断刃104のテーパ面104aによって外側に向かう方向の力が加わるので、頭部11cと胴部11bとの分離が容易に行われる。
【0104】
すなわち、図3に示すように、刃先部104の外周面側に形成されたテーパ面104aによって、ブラインドリベット10の頭部11cが切断刃102に絡み付きにくい形状に変形されて切断されるので、胴部11bから分離された頭部11cが切断刃102の外周部に絡み付くことがなく、切断後の頭部11cの処理が容易であり、母材1、2に締結されたブラインドリベット10を母材1、2を傷つけることなく容易かつ迅速に除去できる。
【0105】
この分解装置100A1によれば、刃先103が母材1、2の締結穴1a、2aの中心軸と平行な方向に移動して頭部11cと胴部11bとの境界領域Aを切断する分解方法であり、従来のドリルを用いて頭部11cを切削して除去する分解方法ではないので、ブラインドリベット10の分解時に、このブラインドリベット10が空回りしたり、この空回りによって母材1、2に擦り傷がついたりすることが防止でき、母材1、2からブラインドリベット10を容易かつ迅速に除去できる。
【0106】
また、この分解装置100A1を用いる分解方法によれば、ブラインドリベット10の頭部11cや胴部11bをプライヤーやペンチ等の把持工具を用いて掴んで固定する必要もない。従って、例えば、この分解装置100A1を用いれば、図4に示すように、このブラインドリベット10の頭部11cの形状が皿状で、その頭部11cが母材1内に埋没していて把持工具で頭部11cを掴むことが困難な場合、ブラインドリベット10の胴部11bの塑性変形部(カシメ部)11dが母材2に食い込んでいて把持工具でその胴部11bを掴むことが困難な場合でも、母材1、2からブラインドリベット10を容易かつ迅速に除去できる。[切断力付与手段を有する分解装置の例1]
図1に示す分解装置100A1を用いての締結部材の分解には、ハンマー等の工具を必要とした。分解装置100A1を使用する際に余分な工具を必要とするのは、その準備等に手間がかかることになり、あまり望ましいことではない。
【0107】
図5はそのハンマー不要の分解装置100A2の一例を示すものである。この図5に示す分解装置100A2は切断力付与手段200を有する。この切断力付与手段200は本体カバーとしての切断刃支持体201と切断力付与部材202とからなる。切断刃支持体201は筒状(円筒とは限らない)であり、切断刃102を矢印a2方向に進退動可能に支持している。切断力付与部材202は例えば油圧シリンダ又はエアーシリンダから構成されている。切断刃支持体201にはその頂部に加圧経路201aが形成されている。この加圧経路201aを通じて油圧シリンダ又はエアーシリンダにオイル又はエアーを送ることにって油圧シリンダ又はエアーシリンダが駆動される。これによって、切断刃102が矢印a2方向に可動される。
【0108】
この油圧シリンダ又はエアーシリンダへのオイル又はエアーの供給手段には、ブラインドリベット10を母材1、2に締結するためのブラインドリベット締結装置13の駆動源としてのオイル又はエアーの供給手段をそのまま利用することができる。その切断刃支持体201には、作業者が分解装置100A2を片手で容易に操作できるように、例えば、ピストル型形状の握り部を設けることが望ましい。
【0109】
この分解装置100A2によれば、ハンマー等の工具が不要で、ブラインドリベット締結装置13と同様のボタン操作によって、切断刃102に切断力を付与することができるので、この分解装置100A2の取り扱いに特殊技能や熟練技術が不要となり、安全性も向上する。
[切断力付与手段を有する分解装置の例2]
図5に示す分解装置100A2では切断刃102に切断力を付与するためにオイル又はエアー供給手段が必要であった。図6、図7はオイル又はエアー供給手段等の外部駆動源を用いなくとも切断刃102に切断力を付与できる分解装置100A3を示している。
【0110】
図6はその分解装置100A3の外観図を示し、図7はその断面図を示している。この分解装置100A3の切断力付与手段200は、中空円筒状の切断刃102を進退動可能に支持する本体カバーとしての円筒状の切断刃支持体201と、その切断刃102に切断方向への切断力を付勢する切断力付勢手段としてのコイルスプリング(弾性部材)203と、このコイルスプリング203に切断刃102への付勢力を蓄積させるために、そのコイルスプリング203を収縮した状態に保持する切断力蓄積手段としてのストッパー(係止部材)204と、このストッパー204による切断刃102の係止を解除する解除手段(切断力解放手段)としての解除ボタン205とから構成されている。
【0111】
ストッパー204は分解装置本体101の外周部に形成され、バネ206によって突出方向に付勢されている。切断刃支持体201にはそのストッパー204に係合する係止穴201bが形成されている。解除ボタン205は切断刃支持体201に脱落不能に設けられている。この解除ボタン205は解除ピン(解除部材)205aとバネ207とを有する。解除ピン205aは係止穴201bに進入され、バネ207は解除ボタン205を突出方向に付勢している。
【0112】
この分解装置100A3を用いて、母材1、2に締結されたブラインドリベット10の分解は以下に説明する手順に従って行う。まず、切断刃102の刃先103を、ブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとの境界領域Aに臨ませ、この状態で、分解装置100A3の切断刃支持体201をブラインドリベット10の頭部11cに押し付ける。これにより、切断刃102がコイルスプリング203の伸張力に抗して、このコイルスプリング203を収縮させながら切断刃支持体201の内部に押し込まれる。
【0113】
これによって、コイルスプリング203に切断刃102への付勢力が蓄積される。ストッパー204が係止穴201bに対向する位置まで達すると、そのストッパー204がバネ206によって押し出されて係止穴201bに係合する。これにより、コイルスプリング203は付勢力が蓄積された状態に保持される。また、切断刃102も切断刃支持体201に押し込まれた状態に保持される。
【0114】
次に、解除ボタン205をバネ207の付勢力に抗して切断刃支持体201内に押し込むと、解除ピン205aによってストッパー204がバネ206の付勢力に抗して分解装置本体101内に押し込まれる。これによって、ストッパー204と係止穴201bとの係合が解除され、コイルスプリング203に蓄積されていた切断力としての伸張力が一気に解放され、切断刃102に切断力が与えられる。
【0115】
これによって、切断刃102の刃先部104が境界領域Aに沿って食い込んで、その境界領域Aが切断され、胴部11bと頭部11cとが分離される。この分解装置100A3によれば、オイル又はエアー供給手段等の外部駆動源を用いずに、その切断刃102に切断力を付与できるので、身近に外部駆動源がない場所で分解作業を行うときに好適である。
【0116】
この分解装置100A3では、切断刃102の外周部に段部105が形成され、切断刃支持体201の内周部にはその段部105に係合する段部208が形成されている。この段部105と段部208とは、図8に拡大して示すように、切断刃102の刃先103がブラインドリベット10の頭部11cと母材1との境界面近傍の切断分離箇所に達し、かつ、切断刃102の刃先部104の外周面が母材1の締結穴1aの縁部近傍に達したときに、切断刃102がこれ以上切断方向に移動されるのを阻止する役割を果たす。これによって、切断刃102の切断による母材1の損傷を確実に回避できる。この段部105と段部208とは、分解装置100A2にも同様の理由で設けられている。
【0117】
この分解装置100A3にも分解装置100A1と同様に、刃先部104にテーパ面104aが図9に示すように形成されている。このテーパ面104aは分解装置100A1の刃先部104に設けられているテーパ面104aと同様の作用を果たす。このテーパ面104aの傾斜角度θ1は、図8に示すように、切断刃102の刃先部104が頭部11cと母材1との切断分離箇所に達した状態で、刃先部104のテーパ面104aが母材1の締結穴1aの縁部近傍に位置する程度の角度に設計されていることが望ましい。
【0118】
すなわち、テーパ面104aの傾斜角度θ1を上述のように設計することによって、境界領域Aの切断時に、刃先部104のテーパ面104aと母材1の締結穴1aの縁部との干渉を回避することができることになり、境界領域Aの切断時に母材1の損傷を防止できる。分解装置100A1、100A2も同様である。
【0119】
この刃先部104のテーパ面104aの高さh1は、図10に示すように、頭部11cの切断刃102によって切断される境界領域Aの高さh2以上であることが望ましい。すなわち、h1≧h2。
【0120】
刃先部104のテーパ面104aの高さh1をh1≧h2とすることによって、胴部11bから分離された頭部11cの切断刃102への絡みつきを確実に防止できる。分解装置100A1、100A2も同様である。
【0121】
いいかえると、切断力付与手段200により切断手段102に与えられる切断力は、少なくとも境界領域Aの胴部11bと頭部11cとが互いに分離される分離箇所にテーパ面(傾斜部)が重なる程度の大きさであるとよい。
【0122】
また、外周面側に形成された傾斜部の先端の径が胴部11bの外径よりも小さく、切断刃102の円筒部の外径が胴部11bの外径以上で、切断力付与手段200により切断手段に与えられる切断力を、境界領域Aの胴部と頭部とが互いに分離される分離箇所に傾斜部が重なるようにかつ先端が前記胴部に食い込むようにして締結部材に与えても良い。
【0123】
更に言えば、切断手段を円筒部とこの円筒部に連続的に形成された傾斜部とから構成し、傾斜部の先端の径を締結穴の穴径以下でかつ前記境界領域を切断可能な大きさとし、切断手段によって、境界領域における胴部と頭部とが互いに分離する分離箇所に傾斜部が重なるようにして締結部材を切断しても良い。
【0124】
なお、切断手段によって、境界領域Aの胴部11bと頭部11cとが互いに分離される分離箇所に傾斜部が重なるようにしてかつ先端部が胴部11bに食い込むようにして締結部材を切断しても良い。
[切断刃102の刃先部104の内周面にテーパ面を設けた分解装置の例]
図11は切断刃102の刃先部104の内周面にテーパ面を設けた分解装置100A4を示している。その切断刃102の外径d3は、母材1の締結穴1aの穴径d1よりも小径(d1>d3)に形成されている。この分解装置100A4によれば、胴部11bが切断刃102に絡みつきにくい形状に内側に向けて変形されて切断されるので、切断刃102から胴部11bを容易に取り除くことができる。この分解装置100A4を用いれば、ピン締結によって母材1、2にカシメ付けられたピン6、軸7或いは頭部11cが皿状のブラインドリベット10を分解するのに最適である。
【0125】
すなわち、ピン6の端部は、例えば図12に示すように母材1、2にセットされかつカシメ治具17に支持されてポンチ16aによって叩かれて塑性変形され、母材1、2にカシメ付けられている。そのポンチ16aはカシメマシン16のスピンヘッド16bに取り付けられ、空圧ピストン16cによって叩かれる。
【0126】
この種のピン締結の場合、ピン6、軸7の母材1、2に対する締結力を向上させるため、又は、ピン6、軸7のカシメ部としての頭部11cの母材1、2からの突出量を少なくするために、図13に示すように、母材1の締結穴1aの縁部1bに、面取り、座ぐりなどの処理が施されている。なお、この図13では軸7によって母材1と母材2とが締結されている状態が示されている。
【0127】
このピン6、軸7のカシメ部は頭部11cが皿状に形成されているブラインドリベット10の場合と同様に、母材1の締結穴1aに食い込んだ状態で、母材1に締結されている。このように、母材1の締結穴1aにカシメ部11cが食い込んだピン6、軸7又は頭部11cが皿状のブラインドリベット10を、刃先部104の外周部に傾斜面104が形成されている分解装置100A1〜100A3を用いて分解した場合には、頭部11cが外側に向かって変形されるので、母材1の締結穴1aの縁部1bが損傷するおそれがある。
【0128】
これに対して、図13、図14に示すように、母材1の締結穴1aに頭部11cが食い込んだ形状のピン6、軸7の境界領域A、あるいは、ブラインドリベット10の皿状の頭部11cと胴部11bとの境界領域Aを、切断刃102の刃先部104の内周部にテーパ面104aが形成されている分解装置100A4を用いて分解する場合には、そのテーパ面104aによって、頭部11cが外側に向けて変形することが抑制されるので、母材1の締結穴1aの縁部1bが傷つくことを防止できる。
【0129】
その分解装置100A4の切断刃102の外径d3は、図13に示すように、母材1の締結穴1aの穴径d1よりも小径で、かつ、軸7(ピン6)の胴部11bの外径d4よりも大きいことが望ましい(d1>d3≧d4)。また、図14に示すように、切断刃102の切断時の移動ストロークH1は、頭部11cの切断部の厚さ(切断刃102の刃先103の食い込み量)h3と、切断部の表面から切断刃102の刃先103の原点位置までの離間距離h4(h4=0を含む)との和(h3+h4)となるように設定しておくのが望ましい。
【0130】
このように設定しておくと、境界領域Aの切断時に、切断刃102の刃先103を母材1の締結穴1aと軸7(ピン6)の胴部11bとの間で、かつ、胴部11bと頭部11cとの境界領域Aに位置させることができるので、境界領域Aの切断時に加わる刃先部104への負荷を小さくすることができ、かつ、あまりバリを発生させることなく、胴部11bから頭部11cを分離することができる。[切断刃位置決め部材を備えた分解装置の例1]
図15は切断刃位置決め部材300を設けた分解装置100Bを示し、分解装置100A3(図7参照)の改良品であり、図16は切断刃位置決め部材300を設けた分解装置100Cを示し、分解装置100A4(図11参照)の改良品である。その切断刃位置決め部材300はブラインドリベット10の軸穴11aに嵌合されて、ブラインドリベット10の境界領域Aを切断する際に切断刃102の位置決めを行う。この切断刃位置決め部材300は切断刃102の中央部に配設されて、軸穴11aの軸方向に進退動可能に支持されている。この切断刃位置決め部材300と切断刃102との間には、切断刃位置決め部材300を突出する方向に付勢するコイルバネ301が配設されている。切断刃位置決め部材300の先端部(嵌合部)300aは、通常、そのコイルバネ301によって刃先部104から突出している。
【0131】
分解装置100Bを用いての位置決め作用と分解装置100Cの位置決め作用とは同じであるので、分解装置100Cを用いての位置決めについて説明する。
【0132】
まず、図16に示すように、切断刃位置決め部材300の先端部300aを軸穴11aに嵌合させる。これによって、切断刃102の切断位置が位置決めされ、軸穴11aが切断基準位置決め部となる。この分解装置100Cを用いて、ブラインドリベット10の境界領域Aを切断したときには、境界領域Aの切断時に、切断刃102の切断位置がずれるのを防止できるので、ブラインドリベット10の胴部11bから頭部11cを確実に分離でき、かつ、バリの発生も極めて少なくなる。また、切断刃位置決め部材300は切断刃102に対して軸穴11aの延びる方向に進退動可能であるので、切断刃102の切断方向の可動を阻害されることがなく、従って、境界領域Aの切断も確実である。
【0133】
加えて、切断刃位置決め部材300はコイルバネ301によって軸穴11aの嵌合方向に付勢されているので、軸穴11aへの切断刃位置決め部材300の嵌合操作も容易である。この切断刃位置決め部材300に軸除去力を付与するためにコイルバネ301を用いても良い。
[切断刃位置決め部材を備えた分解装置の例2]
図17は図15に示す分解装置100Bの更に改良品を示している。ここでは、分解装置100Bの切断刃102の刃先103の径d5は、母材1の締結穴1aの穴径d1よりも小径で、かつ、ブラインドリベット10の胴部11bの外径d4よりも大きく形成されている(d1>d5≧d4)。また、この分解装置100Bの切断時の移動ストロークH1は、図18に示すように、頭部11cの切断部の厚さ(切断刃102の刃先103の食い込み量)h5と、この切断部の表面からこの刃先103の原点位置までの離間距離h6(h6=0を含む)との和(h5+h6)となるように設定するのが望ましい。
【0134】
このように設定することによって、境界領域Aの切断時に、切断刃102の刃先103を、締結穴1aと胴部11bとの間でかつこの胴部11bと頭部11cとの境界領域Aに位置させることができ、境界領域Aの切断時に加わる刃先部104への負荷を小さくすることができる。また、バリをあまり発生させることなく胴部11bから頭部11cを確実に分離できる。
[着脱可能な切断刃を備えた分解装置の例]
図19は着脱可能な切断刃102を備えた分解装置100B1を示し、この分解装置100B1は分解装置100Bの改良品であり、図20は着脱可能な切断刃102を備えた分解装置100C1を示し、この分解装置100C1は分解装置100Cの改良品である。図19に示す分解装置100B1では、分解装置本体101の外周部にネジ部101aが形成され、切断刃102の内周部にはそのネジ部101aに螺合するネジ部が形成されて、切断刃102は分解装置本体101に着脱可能に螺合固定されている。図20に示す分解装置100C1では分解装置本体101の内周部にネジ部101aが形成され、切断刃102の外周部にネジ部101aに螺合するネジ部が形成されている。この分解装置100B1、100C1は、切断刃102を分解装置本体101と螺合する方向と逆方向に回すことによって、切断刃102を分解装置本体101から取りはずことができる。
【0135】
この分解装置100B1、100C1によれば、分解対象としての締結部材の寸法、形状、サイズに応じて、締結部材に見合った切断刃102の刃先部104のみを交換することができ、締結部材の寸法、形状、サイズ毎に仕様の異なる分解装置を多数準備する必要がないので便利である。また、切断刃102の刃先104を研磨する必要が生じたときにも、分解装置本体101から刃先部104のみを取り外して研磨できることになり、研磨作業も容易である。
【0136】
加えて、この研磨作業等によって刃先部104の切断方向の寸法が短くなったとしても、分解装置本体101と切断刃102との軸方向への螺合位置を調整することにより、刃先103を常時一定位置に位置させることができる。
[締結部材分解時の衝撃緩和を緩和するための分解装置の例1]
締結部材の胴部と頭部との境界領域Aを上述の分解装置によって分解する際に、締結部材に相応の衝撃が加わり、この衝撃の度合い、母材1、2の厚さ、材質によって、その母材1、2の締結穴周辺の締結部位が変形する等の悪影響を受けるおそれがある。
【0137】
ここで、ピン締結の場合には、図12に示すように、カシメマシン16を用いて母材1、2にピン6(軸7)をカシメ付ける際にこのピン6(軸7)を支持するカシメ治具17を、ピン6(軸7)の境界領域Aの切断の際のサポート部材(支承手段)として使用することによって、境界領域Aの切断の際の衝撃を受け止めることができ、その母材1、2に加わる衝撃によって締結部位が悪影響を受けるのを防止できる。また、ソリッドリベット8、チューブラリベット9を用いてのリベット締結の場合にも、ピン締結のときと同様にカシメ治具を用いることができるので、境界領域Aの切断時にカシメ治具をサポート部材として使用して、切断の際の衝撃を受け止めることができ、母材1、2の締結部位への悪影響を回避できる。
【0138】
しかしながら、母材1、2への締結部材の締結時に、カシメ治具のようなサポート部材を使用しないブラインドリベット10のような締結部材の場合には、切断時の衝撃によって、母材1、2の締結部位が悪影響を受けるおそれが高い。そこで、図21に示す構成の締結部材を支承するサポート部材(支承手段)40’を用いるのが望ましい。このサポート部材40’を用いることによって、締結部材の境界領域Aの切断時に、母材1、2が悪影響を受けるのを防止できる。
【0139】
その図21に示すサポート部材40’は、例えば、図22に示すフレーム50’に配設されている。そのフレーム50’にはサポート部材40’の上方に臨むようにして分解装置100A’が支持され、サポート部材40’は高さ調整ネジ60’によって高さ調整可能とされている。この高さ調整ネジ60’を回転させると、サポート部材40’を切断刃102に対して離反・接近する方向に移動させることができ、これによって、サポート部材40’に支承された締結部材の切断刃102に対する支承高さ位置を調整できる。
【0140】
そのサポート部材40’には、例えば、図21に示すように、ブラインドリベット10の胴部11bのカシメ付け部11dが嵌合する凹部40aを設けることが好ましい。この凹部40aを有するサポート部材40’を用いる場合、ブラインドリベット10のカシメ付け部11dをこの凹部40aに示すように嵌合させることによって、ブラインドリベット10の境界領域Aの切断時に、ブラインドリベット10の揺動又は盲動を防止できるので、境界領域Aの切断をより一層確実に行うことができる。
【0141】
このサポート部材40’は、吸着部40bを有する構成とするのがより望ましい。母材2が鉄板等の磁性体である場合には、吸着部40bを永久磁石等の磁性体で構成するのがより望ましい。このように、サポート部材40’に吸着部40bを設ける構成とすれば、母材2を磁力によってサポート部材40’に吸着させることができるので、サポート部材40’に対する母材2のセットが容易である。また、この母材2をサポート部材40’に吸着させることによって、ブラインドリベット10の境界領域Aの切断の際に、ブラインドリベット10の揺動をより一層確実に防止でき、境界領域Aをより確実に切断できる。
[締結部材分解時の衝撃緩和を緩和するための分解装置の例2]
図23は分解装置100A’と締結部材のサポート部材とを備えた分解装置構造体を示している。符号70’はこの分解装置構造体を示している。この分解装置構造体70’は切断刃102を保持する切断刃保持部材71と、この切断刃102によって締結部材に加えられる切断力に抗して締結部材を支承するサポート部材(締結部材載置台)72と、切断刃保持部材71を上下動させて切断刃102に切断力を付与する切断力付与手段73とを備えている。この切断力付与手段73には油圧シリンダ又はエアシリンダが用いられる。切断力保持部材71、締結部材支承部材72、切断力付与手段73は分解装置構造体70’の本体フレーム74に固定されている。ここでは、サポート部材72には母材1、2を締結する締結部材としてブラインドリベット10が載置されている。
【0142】
切断刃保持部材71は切断刃102を着脱交換可能に保持するチャック部材、例えば、コレットチャック部材によって構成されているのが好ましい。このチャック部材を用いることによって、分解対象となる締結部材の仕様に見合うように、切断刃102を交換する際に、その切断刃102の着脱操作が容易となる。
【0143】
ここでは、サポート部材72は、本体フレーム74と一体の水平テーブル75の下面に配設されたエアーシリンダー76と、このエアーシリンダー76によって上下方向に進退するシリンダ軸77とによって、上下方向に可動されて、切断刃102に離反接近可能とされている。このように、サポート部材72を上下方向に可動させることによって、切断刃102の寸法等に応じて、刃先103に対するブラインドリベット10の高さを任意に調整できることになる。そのサポート部材72には、締結部材のカシメ部11dに嵌合する形状の凹部72aが設けられている。この凹部72aの構造及び機能はサポート部材40’の凹部40aと同様であるのでその説明を省略する。
【0144】
このものでは、切断力付与手段73を駆動して切断刃102を上下方向に進退させることによって、切断刃102に切断力が付与される。これによって、ブラインドリベット10の境界領域Aが切断され、ブラインドリベット10の胴部11bから頭部11cが分離され、ブラインドリベット10が母材1、2から除去される。
[母材に対する位置決め部材を備えた分解装置の例1]
図24は母材に対する位置決め部材を備えた分解装置100Dの断面図を示している。この分解装置100Dは分解装置100Bの改良品であって、この図24において、分解装置100Bの構成要素と同一構成要素については、分解装置100Bに付した符号と同一符号を付することとする。
【0145】
この分解装置100Dは切断刃支持体201に当接部材50が設けられている。この当接部材50は母材1に当接する当接部51を有する。この当接部51はブラインドリベット10の頭部11cを切断する際に母材1に当接される。この当接部材50の内径d6は少なくとも刃先部104の外径d3よりも大きく形成されている。その当接部51は母材1が鉄板製である場合には、この母材1を吸着する永久磁石からなることが望ましい。この当接部51は、例えば、永久磁石そのものを当接部材501に埋め込むことによって構成するか、当接部51に磁性粉末を混入して、この磁性粉末を磁化することによって永久磁石を構成する。
【0146】
この分解装置100Dによれば、ブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとの境界領域Aに沿ってブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとを切断するときに、当接部51が母材1に当接されて、切断刃支持体201と母材1との位置関係(母材1と切断刃102との位置関係)が一定に保たれる。
【0147】
従って、切断時に、作業者の切断刃支持体201の保持の仕方いかんによって、切断刃102に与えた切断力の反力によって切断刃支持体201の位置がずれて切断刃102の移動ストロークが変化したり、切断刃102の中心が頭部11cの中心からずれたり、切断刃102の移動方向が締結穴1aの軸方向に対して斜めに傾いたりすることを防止できる。
【0148】
ひいては、この分解装置100Dを用いると、母材1、2に締結されているブラインドリベット10を、母材1、2を損傷することなく1回の操作で円滑かつ確実に母材1、2から除去できる。
【0149】
当接部51に吸着力を与えた場合には、母材1と当接部51との密着力が高まるので、切断の際に切断刃支持体201と母材1との位置精度が向上する。また、切断の際に作業者が切断刃支持体201を母材1に強く押し付けずとも、母材1に当接部51を密着させることができるので、切断時の作業者の負担も軽減される。当接部51の磁力は切断刃102に付与される切断力の反力に抗して、当接部51と母材1とを密着状態に維持させる力を有していることが望ましい。このようにすれば、ブラインドリベット10の境界領域Aの切断時に切断力の反力が加わったとき、作業者が切断刃支持体201を掴んでいなくとも、当接部51の磁力によって母材1に分解装置100Dを密着状態に維持することができるので、作業者の負担を大幅に軽減できる。
【0150】
ここでは、当接部材50の外周部にネジ部52が設けられ、切断刃支持体201の内周部には、このネジ部52に螺合するネジ部が設けられている。このように、切断刃支持体201と当接部材50とを構成すれば、当接部材50を切断刃支持体201に着脱交換可能とすることができ、例えば、分解対象となる締結部材の寸法に応じて、当接部材50を交換することによって、その締結部材の寸法に見合うように切断刃102の移動ストロークを変更できることになり、従って、締結部材の寸法毎に切断刃102の移動ストロークが異なる専用の分解装置を多数準備する必要がなくなる。
【0151】
また、当接部材50と切断刃支持体201との螺合位置を調整することによって、当接部材50の切断刃102の切断方向に対する位置関係を調整できる。このようにすれば、例えば、切断刃102の刃先103を研磨等することによって、刃先部104の切断方向の寸法が変化した場合でも、切断刃支持体201に対して当接部51を切断方向に進退させることによって、切断刃102の刃先103が母材1に対して常に一定位置に臨むように刃先103の位置を調整できる。また、当接部材50を交換せずとも、分解対象となる締結部材の寸法に応じて、締結部材の寸法に見合うように、切断刃102の移動ストロークを変更できる。[母材に対する位置決め部材を備えた分解装置の例2]
図25は母材に対する位置決め部材を備えた分解装置100D’の部分断面図を示している。この分解装置100D’は分解装置100Dの改造品であり、この分解装置100D’には切断刃位置決め部材300が設けられていないが、切断刃位置決め部材300を設けても良い。
【0152】
この図25においては、当接部材50の当接部51は、母材1に当接する当接面50aと頭部11cに当接する当接面50bとを有している。この分解装置100D’によれば、例えば、締結不良等によって母材1、2とブラインドリベット10との間に、遊び(ガタツキ)があるような場合でも、当接面50aが母材1を押さえ付け、当接面50bが頭部11cを押さえ付けて、母材1、2と頭部11cとの位置関係を切断の際に固定できるので、ブラインドリベット10の境界領域Aの切断を円滑かつ迅速に行うことができる。また、切断刃102によって頭部11cを切断後、切断刃102が元の位置に復帰する際にも、当接面50bによって頭部11cが押さえ付けられるので、切断された頭部11cが切断刃102に絡みつくことを防止でき、切断作業効率が向上する。
【0153】
図26は母材に対する位置決め部材を備えた分解装置100D’の改良品を示す。この図26に示す分解装置100D’では当接面50bにスポンジ又はゴム等の弾性部材53が設けられている。この弾性部材53を設けることによって、頭部11cに対する当接面50bの圧着性が向上され、切断時に、切断刃102に対する頭部11cの位置ズレがより一層確実に解消される。
【0154】
なお、当接面50bは頭部11cの外周部に当接するテーパ面形状とするのが望ましい。このテーパ面形状の当接面50bを用いると、切断時に、頭部11cの外周部に当接面50bが頭部の周回り方向から当接して頭部11cを保持することになるので、切断刃支持体201の頭部11cに対する切断方向と直交する方向への位置ズレを防止でき、胴部11bと頭部11cとの境界領域Aを確実かつ正確に切断できる。
【0155】
図27は更に母材に対する位置決め部材を備えた分解装置100D’の改良品を示している。この図27に示す分解装置100D’では、当接面50bは頭部11cの外周部にほぼ密着して嵌合する凹部形状を呈している。このように、当接面50bを頭部11cの外周部に密着する凹部形状とすると、切断時に当接面50bが頭部11cの外周部に密着して嵌合し、切断刃支持体201の頭部11cに対する切断方向と直交する方向への位置ズレがより一層確実に解消されるので、境界領域Aを確実かつ正確に切断できる。
【0156】
図28は更に母材に対する位置決め部材を備えた分解装置100D’の改良品を示している。この図28に示す分解装置100D’には、当接面50bに頭部11cに食い込んで頭部11cを保持する保持部材(食い込み突起)54が設けられている。このものも、同様に、締結不良等によって母材1、2とブラインドリベット10との間に、遊び(ガタツキ)があるような場合でも、保持部材54によって頭部11cを保持できる。従って、ブラインドリベット10の境界領域Aの切断を円滑かつ迅速に行うことができる。また、切断刃102によって頭部11cを切断後、切断刃102が元の位置に復帰する際にも、保持部材54によって頭部11cが押さえ付けられているので、切断された頭部11cが切断刃102に絡みつくことが防止される。
[締結部材を把持する分解装置の例]
図33は、締結部材を把持する分解装置100Eの断面図を示している。この分解装置100Eは、スピンカシメ等のピン締結、リベット締結、バーリングカシメ等に用いる締結部材に適用できるが、ここでは、便宜上、ソリッドリベット8を分解対象として説明する。
【0157】
その分解装置100Eは、把持ユニット129と切断刃ユニット141とからなる。把持ユニット129は、図29に示すように、頭部11cを把持するためのホルダー130とこのホルダー130を締め付けるための締め付け部材132とから構成されて、いわゆる、コレットチャック構造になっている。
【0158】
ホルダー130は円筒状部131とテーパ部133とを有する。テーパ部133の下部には円筒状部131と同芯でかつ半径方向内方に向かって徐々に傾斜するチャック爪134が形成されている。そのチャック爪134の先端135は尖っている。
【0159】
ホルダー130にはテーパ部133を弾性変形させて、チャック爪134を互いに接近させる方向に移動させるための切り欠き溝136が図30に示すように形成されている。締め付け部材132は円筒状部131に嵌合する嵌合筒体から構成され、この嵌合筒体の内周面には、テーパ部133に対応するテーパ部137が形成されている。
【0160】
図31はそのホルダー130に締め付け部材132を嵌合させた状態を示し、締め付け部材132を下方に押し下げると、図32に示すように、テーパ部137によってテーパ部133が縮径される方向(チャック爪134が締め付けられる方向)に弾性変形され、チャック爪134の先端135によって形成される仮想円B1の直径B2が小さくなる。
【0161】
図32(a)は把持ユニット129をソリッドリベット8の頭部11cに係合させる直前の状態を示す。締め付け部材132を押し下げると、この図32(a)に示すように、矢印C1、C2方向の力がテーパ部133に加わり、チャック爪134が頭部11cと母材1との間に入り込んで、図32(b)に示すように、把持ユニット129が頭部11cに係合されて、把持ユニット129がソリッドリベット8と母材1とに対して固定される。これによって、ホルダー130の中心軸と胴部11bの軸心とが一致した状態となる。この把持ユニット129は切断刃支持体としての機能も果たす。
【0162】
切断刃ユニット141は、円筒状又は円柱状の分解装置本体142とこれに連続して一体の円筒状の切断刃142Aと押し出し部材143とから構成されている。切断刃142Aはその先端部分に刃先部142Bを有する。その刃先部142Bは先端から傾斜されており、刃先部142Bはその先端に母材1、2の締結穴1a、2aの内径d1、d2よりも小径の刃先142Cが設けられている。その刃先部142Bは締結穴1a、2aの内周面に略平行なソリッドリベット8の胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向の境界領域Aに沿った略円筒形状を呈している。分解装置本体142にはその軸方向に延びる挿通孔142Dが形成されている。押し出し部材43はその挿通孔142Dに挿通されている。
【0163】
この切断刃ユニット141は、図33に示すように、ホルダー130の円筒状部131にその軸方向に進退可能に配設されて、図示を略すエアーシリンダ又は油圧シリンダ又は手動によって駆動される。押し出し部材143は切断刃ユニット141に対して上下方向に進退可能である。なお、締め付け部材132を下方に押し下げる手段には、円筒状部131の外周部と締め付け部材32の内周部とにネジ部を設け、ホルダー130を締め付け部材132に対して回転させて軸方向に進退させる構成も考えられる。
【0164】
次に、分解装置100Eの作用について説明する。把持ユニット129のチャック爪134の先端135が頭部11cと母材1との間に入り込んで係合され、胴部11bの軸芯と把持ユニット129の中心軸線と切断刃ユニット141の中心軸線とが一致して、把持ユニット129が固定されているものとする。図示を略す切断力付与手段としてのエアーシリンダーによって切断刃142A(切断刃ユニット141)を矢印a3方向に可動させると、境界領域Aに沿って胴部11bと頭部11cとが分離される。境界領域Aの切断後、切断刃ユニット141はエアーシリンダによって元の位置に復帰される。
【0165】
この切断の際、胴部11bの軸芯と切断刃ユニット141の中心軸線とが一致した状態で固定されているので、切断刃142Aによって境界領域Aを正確に切断できる。また、把持ユニット129のチャック爪134が頭部11cと係合しているので、切断時の衝撃(切断刃142Aが頭部11cに衝突するときの反力)を把持ユニット129と切断刃ユニット141とによって吸収でき、母材1、2に衝撃が与えられることを防止でき、母材1、2の損傷が防止される。
【0166】
この分解装置100Eでは、胴部11bと頭部11cとを分離したときに、胴部11bが母材1、2の締結穴1a、2aに圧接されたまま止まっている可能性があるために、この胴部11bを強制的に締結穴1a、2aから除去するために、エアーシリンダーによって押圧力付与手段としての押し出し部材143を矢印a3方向に駆動する。これによって、締結穴1a、2aに止まっている胴部11bを締結穴1a、2aから除去できる。押し出し部材143は、胴部11bの除去終了後、元の位置に復帰される。これによって、ソリッドリベット8を母材1、2から除去して母材1と母材2との締結を解除できる。
【0167】
[分解装置100Eのチャック爪134の頭部11cへの食い込みを容易にするための方法1]
頭部11cと母材1との間に隙間がないと、分解装置100Eのチャック爪134を頭部11cと胴部11bとの間に容易に食い込ませることができない。そこで、この食い込みを容易にするために、ソリッドリベット8の頭部11cであって、母材1に臨む側の下部に図34(a)に示すように傾斜部21Aを形成する。この傾斜部21Aの傾斜角度θ2は図35に示すチャック爪134の傾斜角度θ3とほぼ同じかこれよりも若干大きく形成されている。この傾斜部21Aはアルミニウム系のリベットよりも鉄系のリベットに設けることが望ましい。鉄系のリベットは材質が固いため、傾斜部21Aを設けないとチャック爪134を食い込ませにくいからである。このソリッドリベット8を分解する際には、分解装置100Eを用いて図36に示すように、チャック爪134を食い込ませれば良い。
【0168】
そのソリッドリベット8は、図34(b)に示すように、頭部11cの下部に段差部21Bを有する段差付きのものであっても良く、この場合には、チャック爪134は鋭角でなくても良く、図37に示すように、把持ユニット129のチャック爪134の先端135は厚さt2の厚肉片から構成される。この厚さt2は段差部21Bの高さt1よりも若干小さい。この図37に示す把持ユニット129は図38に示すようにソリッドリベット8の頭部11cに形成された段差部21Bをチャック爪134の先端135によって把持する。なお、この段差部21Bはアルミニウム系リベットよりも硬い鉄系リベットに設けるのが望ましい。[分解装置100Eのチャック爪を頭部と母材1との間に食い込ませなくて固定ユニットを固定する例]
ここでは、ソリッドリベット8の頭部11cは、通常のソリッドリベット8の頭部11cよりも肉厚に形成され、図34(c)に示すように、肉厚部21Cを有する。この肉厚部21Cは図37に示す厚肉片からなるチャック爪134によってその外周部が図38に示すように把持される。この図34(c)に示すソリッドリベット8を用いた場合、図34(a)、図34(b)に示すソリッドリベット8に較べて把持力が若干劣るが、図34(a)、図34(b)に示すソリッドリベット8に較べてその製造コストを安くすることができる。
[分解装置100Eのチャック爪の頭部への食い込みを容易にするための方法2]この発明の実施形態では、図39に示すように、ソリッドリベット8の頭部11cと母材1との間にスペーサー部材(補助部材)としてのカラー21Dが介在され、このカラー21Dとソリッドリベット8とによって母材1と母材2とが締結される。
【0169】
すなわち、図39(a)に示すソリッドリベット8の胴部11bにカラー21Dを挿通し、図39(b)に示すように胴部11bを締結穴1a、2aに挿入して、胴部11bの突出端部をカシメ付けることによって、図39(c)に示すように、母材1と母材2とが締結される。
【0170】
そのカラー21Dは、図40(a)に示す平面形状を呈しており、その内径d7は胴部11bの外径d4よりも大きい。また、カラー21Dの外径d7’は頭部11cの外径d8よりも小さい。このカラー21Dはソリッドリベット8の分解の際に破壊される。この破壊を容易にするために、カラー21Dにはスリ割り21Eが形成されている。このカラー21Dには、カシメ方向の圧縮力には強く、かつ、半径方向内方の中心へ向かう圧縮力に対しては弱い材質を用いるのが望ましい。例えば、カラー21Dには粘り気のない鉄系の焼結合金を使用する。
【0171】
ここでは、チャック爪134の先端135の厚さt2はカラー21Dの厚さt3よりも若干小さく形成されている。これによって、チャック爪134が頭部11bと母材1との間の隙間に容易に挿入される。
【0172】
この把持ユニット129のチャック爪135を、図41に示すように、カラー21Dの周面に係合させて把持する。次に、締め付け部材132を徐々に下降させる。すると、チャック爪134の先端135が互いに接近する方向に移動し、カラー21Dがその周面から圧縮される。更に、チャック爪134の先端135を絞り込むと、カラー21Dが破壊される。このカラー21Dが破壊された時点で、把持ユニット129を一旦母材1から取り外して、カラー21Dを除去する。次に、カラー21Dの除去によってできた隙間138(図42参照)にチャック爪134の先端135を再び挿入して、把持ユニット129を固定する。このとき、チャック爪134の先端135が胴部11bの周面に当接するまで締め付け部材132を押し下げる。これにより、把持ユニット129がソリッドリベット8の胴部11bに確実に固定される。
【0173】
次に、図43に示すように、図示を略すエアーシリンダによって、切断刃ユニット41を矢印a3方向に駆動して、胴部11bと頭部11cとを境界領域Aに沿って切断する。そして、この切断後、押し出し部材143を矢印a3方向に駆動して、胴部11bを締結穴1a、2aから除去する。この構成によっても、切断時の衝撃を把持ユニット129と切断刃ユニット141とによって吸収できるので、母材1、2に衝撃を与えることが防止され、母材1、2の損傷が防止される。
【0174】
ここでは、ソリッドリベット8を分解する前に、あらかじめ、カラー21Dを破壊する方法について説明したが、カラー21Dを破壊しなくともソリッドリベット8を分解することが可能である。
【0175】
カラー21Dの外径d7’は頭部11cの外径d8よりも小さいので、チャック爪134の先端135をカラー21Dの周面に係合させれば、チャック爪134を頭部11cの下部に係合させることができる。この場合、把持ユニット129のソリッドリベット8に対する軸方向の把持力は、カラー21Dを破壊して除去した後に把持する場合に較べて若干劣る。このような場合には、分解装置100Eを上から押さえておけば良い。これによって、分解装置100Eが胴部11bと頭部11cとの境界領域Aを切断するときの衝撃によって、ソリッドリベット8から外れるのを防止できる。この方法によれば、カラー21Dを破壊する必要がないので、ソリッドリベット8の分解作業を迅速に行うことができる。
【0176】
このカラー21Dは、例えば図40(b)に示すように、カラー21Dの周部にV字溝21Fが形成されているものを用いても良い。ここでは、V字溝21Fの個数は4個である。把持ユニット129によってこのカラー21Dを圧縮すると、V字溝21Fに応力が集中するので、カラー21DがこのV字溝21Fの近傍から破壊される。カラー21DにこのV字溝21Fを形成する代わりにU字溝を形成しても良い。また、これらの溝をカラー21Dの内周部に形成しても良い。
【0177】
更に、図40(c)に示すように、カラー21Dに均等間隔を開けて厚さ方向に貫通する貫通孔21Gを形成しても良い。ここでは、貫通孔21Gの個数は4個である。貫通孔21Gを設けた箇所は、他の箇所よりも半径方向内方への圧縮力に対して強度が弱くなっているので、この図40(c)に示すカラー21Dを用いても、その破壊が容易である。なお、ここでは、カラー21Dに貫通孔21Gを設ける構成としたが、カラー21Dの上面又は底面に有底孔又は有底溝を設ける構成としても良い。
【0178】
なお、図44a(a)〜図44(c)は、上端面に固着層21Hを形成したカラー21Dを示している。この固着層21Hは、例えば、両面テープ又は接着剤からなる。この固着層21Hを有するカラー21Dを用いれば、予め、図44(c)に示すようにカラー21Dをソリッドリベット8の頭部11cの底面に固着させておくことができる。この図44(c)に示すカラー付きのソリッドリベット8を使用すれば、母材1、2にソリッドリベット8をカシメ付けるたびに、カラー21Dを胴部11bに挿入する必要がなく、従って、カシメ作業時間の短縮とカラー21Dの挿入忘れとを防止できる。
[母材1、2から切断された締結部材の胴部11bを除去可能な分解装置の例1]図45は母材1、2から切断された締結部材の胴部11bを除去可能な分解装置100Fを示す。この分解装置100Fは境界領域Aに沿って胴部11bと頭部11cとを切断する切断刃102を有する。この分解装置100Fは胴部11bと頭部11cとの切断後、母材1、2に留まっている胴部11bを刃先103によって押圧して、胴部11bを母材1、2から押し出すに足りる移動ストロークを有する。この切断刃102は、図46に示すように、胴部11bの外径d4以上の内径d5を有し、かつ、母材1、2の締結穴1a、2aの穴径d1、d2以下の外径d3を有する円筒形状である。
【0179】
この分解装置100Fは図15に示す分解装置100Bの改良品であり、切断刃102の刃先部104のテーパ面104aが内周面側に形成されている点を除いて、その構造が分解装置100Bの構造と実質的に同一である。
【0180】
その切断刃102に切断力を付与して、境界領域Aの切断を行うと、図47(a)に示すように、切断刃102によって頭部11cと胴部11bとの境界領域Aが切断されて分離される。更に、切断刃102を下降させると、図47(b)に示すように、ブラインドリベット10の背面側の頭部11dに切断刃102の刃先103が当接する。この図47(b)に示す状態から、更に切断刃102を下降させると、切断刃102によって、ブラインドリベット10の胴部11bが母材1、2の締結穴1a、2aから押し出される。これによって、母材1、2からブラインドリベット10が図47(c)に示すように完全に除去される。このものによれば、切断刃102の外径d3が締結穴1a、2aの内径d1、d2よりも小さいので、切断された胴部11bを押し出す際に、切断刃102によって母材1、2が傷つくことが防止される。
【0181】
図45に示す分解装置100Fでは、刃先103を背面側の頭部11dに当接させて、切断された胴部11bを母材1、2の締結穴1a、2aから除去する構成としたが、図48に示すように、切断刃102の内径d5を胴部11bの外径d4とほぼ同じかこれよりも若干小さく形成しかつ外径d3を締結穴の穴径d1、d2以下に形成して、図49(a)〜図49(c)に示すように、刃先103により胴部11bの切断分離箇所103’を押しつつ切断刃102を下降させることによって、切断された胴部11bを締結穴1a、2aから除去するようにしても良い。このようにすれば、図45に示す分解装置100Fの移動ストロークに較べてその移動ストロークを小さくできる。また、切断刃102の刃先103を確実に胴部11bに当接させることができる。
【0182】
その切断刃102は、図50に拡大して示すように、境界領域Aに沿った円筒状の刃先部104を有し、この刃先部104は先端に向かうに伴って暫時径が小さくなるテーパ面104aとなっている。このテーパ面104aは切断刃102の外周面に形成されている。これによって、頭部11cの切断面が断面逆円錐台形状に切断されるので、頭部11cが刃先部104に食い込むのを防止できる。従って、切断刃102を用いて胴部11bを押し出す際に食い込みによる摩擦力を低減でき、母材1、2の締結穴1a、2aから胴部11bをスムーズに除去できる。
【0183】
これによれば、頭部が分離された胴部を切断手段によって締結穴1aから押し出すための押し出し力が切断力付与手段200によって与えられる。
[母材1、2から切断された締結部材の胴部11bを除去可能な分解装置の例2]図51は母材1、2から切断された締結部材の胴部11bを除去可能な分解装置100Gを示す。この分解装置100Gは分解装置100Fの改良品である。この分解装置100Gは胴部押し出し部材61Aを切断刃102と一体に有する。この胴部押し出し部材61Aは、切断刃102の軸部に形成された中空部102a内でブラインドリベット10の軸穴11aの軸方向に沿って進退可能である。この押し出し部材61Aには軸穴11aに嵌合する嵌合部61Bが設けられている。
【0184】
胴部押し出し部材61Aと切断刃102の上部との間には、胴部押し出し部材61Aに押し出し力を付与するコイルバネ62Aが設けられている。胴部押し出し部材61Aは、このコイルバネ62Aの付勢力によって、刃先103から通常突出されている。このコイルバネ62Aには圧縮によって押し出し力が蓄積される。その圧縮力はコイルスプリング203の切断力を解放することによって与えられる。
【0185】
この分解装置100Gによれば、まず、嵌合部61Bを軸穴11aに嵌合させて、切断刃102のブラインドリベット10に対する位置決めを行う。これによって、境界領域Aの切断時に、境界領域Aに対する切断刃102の切断位置のズレを防止できる。また、胴部押し出し部材61Aはコイルバネ62Aによって軸穴11aの嵌合方向へ付勢されているので、軸穴11aと嵌合部61Bとの嵌合も容易である。
【0186】
次に、切断刃102の刃先103が境界領域Aに臨むようにして切断刃支持体201を母材1に押し付ける。これによって切断刃102がコイルスプリング203の伸張力に抗してコイルスプリング203を収縮させながら切断刃支持体201内に押し込まれる。コイルスプリング203にはこれによって切断力が蓄積される。これらの作用は、図15に示す分解装置100Bと同じであるのでその詳細な説明は省略する。
【0187】
次に、解除ボタン205を操作して係止を解除すると、コイルスプリング203の伸張力によって切断力が解放され、切断刃102が一気に下降される。これによって、刃先部104が図52(a)に示すように境界領域Aに食い込んで胴部11bと頭部11cとが分離される。この分解装置100Gの切断時の移動ストロークは、頭部11cと母材1との分離破断箇所103’に達し、母材1の締結穴1aの縁部近傍に位置した状態で停止する程度のストローク量である。このストローク量を規定するために、切断刃支持体201の内周部には段部208が形成され、切断刃102にはこの段部208に係合する段部105が形成されている。
【0188】
この刃先部104の食い込みによって、境界領域Aが切断されると、コイルバネ62Aがコイルスプリング203の伸張力によって圧縮される。このコイルバネ62Aの圧縮力によって、コイルバネ62Aに押し出し力が蓄積される。このように、この分解装置100Gによれば、コイルスプリング203によって付与された切断力によって、切断刃102の刃先103が頭部11cと母材1との分離破断箇所103’に向けて移動することによって、胴部押し出し部材61Aに押し出し力が蓄積されるので、胴部押し出し部材61Aそれ自体に押し出し力を蓄積するための専用の手段を設ける必要がなく、分解装置100Gを小型化できる。
【0189】
従って、図52(b)に示すように、コイルバネ62Aに蓄積された押し出し力によって、胴部11bが締結穴1a、2aから押し出される。
【0190】
図53は母材1、2から切断された締結部材の脚部11bを除去可能な分解装置100G’を示している。この分解装置100G’は図24に示す分解装置100Dの改良品であり、図24に示す分解装置100Dに胴部押し出し部材61Aを設けたものであり、その他の構成は分解装置100Dと同一であるので、同一構成要素に同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
[締結部材の頭部をあらかじめ放射状に切断した後に締結部材の境界領域を切断する方法]
図54(a)〜図54(c)はブラインドリベット10の頭部11cを予め略放射状に切断する放射状切断刃600を示している。この放射状切断刃600は、ブラインドリベット10の頭部11cを切断する際に、ブラインドリベット10の軸穴11aに嵌合されて放射状切断刃600の切断位置を位置決めする切断刃位置決め部材としてのセンタリング軸400Aを有する。このセンタリング軸400Aに放射状刃602が配設されている。この放射状刃602は、センタリング軸400Aと一体に形成しても良く、センタリング軸400に対して着脱自在に一体化しても良い。この放射状刃602は、1個でも良いが、図54(a)〜図54(c)に示すように複数個であることが望ましい。
【0191】
この放射状刃602は、図54(a)、図54(b)に示すように、略均一な厚さを有する板状体からなるものであっても良いし、図54(c)に示すようにセンタリング軸400Aに向かって徐々に厚くなるくさび形状体であっても良い。
【0192】
この放射状刃602を複数個設ける場合、各放射状刃602の刃先603によってブラインドリベット10の頭部11cが略均等に分割して切断されるように、各放射状刃602の刃先603を略等間隔に配置することが好ましい。これによって、頭部11cの切断時に、各放射状刃602に加わる負荷が略均等化される。
【0193】
次に、この放射状切断刃600を用いて、ブラインドリベット10の頭部11cを放射状に切断する場合について説明する。
【0194】
まず、図55に実線で示すように、センタリング軸400Aの下端の嵌合部400aをブラインドリベット10の軸穴11aに嵌合させる。これにより、放射状切断刃600の各放射伏刃602の刃先603が、ブラインドリベット10の頭部11cに対して、それぞれ適切な切断位置にセンタリングされる。
【0195】
次いで、センタリング軸400Aの嵌合部400aが、ブラインドリベット10の軸穴11aに嵌合された状態で、放射状切断刃600に切断方向(矢印a4方向)への切断力を付与する。これにより、図55に鎖線で示すように、放射状切断刃600の各放射状刃602の刃先603が、ブラインドリベット10の頭部11cに食い込み、頭部11cが複数に放射状に分割された状態に切断される。
【0196】
例えば、図54(a)に示した4個の放射状刃602を備えた放射状切断刃600を用いて、ブラインドリベット10の頭部11cを切断した場合には、図56に示すように、ブラインドリベット10の頭部11cが4分割された状態に切断される。
【0197】
次に、これまでに説明した分解装置のいずれかを用いてブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとの境界領域Aに沿って切断する。この頭部11cの放射状の切断と境界領域Aの円筒状の切断とによって、胴部11bから頭部11cが複数に分割された状態で分離されて、母材1、2に締結されたブラインドリベット10が母材1、2から取り外される。
【0198】
この分解方法によれば、放射状切断刃600により頭部11cが予め放射状に複数に分割されるので、境界領域Aを切断するときに、切断刃102に加わる負荷が軽減され、切断刃102に付与する切断力が小さくて済み、分解装置の小型化が可能になる。また、頭部11cが胴部11bから複数に分割して分離されるので、切断後に頭部11cが切断刃102に絡み付くことがなく、分解装置と頭部11cとの分離性が向上される。
【0199】
ここで、放射状切断刃600の各放射状刃602の刃先603は、図55に角度θ4で示すように、センタリング軸400Aの嵌合部400aの軸中心に向かうに伴って頭部11cの方向に突出するように傾斜していることが望ましい。
【0200】
これによって、放射状切断刃600により頭部11cが切断される際に、放射状刃602の刃先603が頭部11cの軸中心から半径方向外方に向かって徐々に食い込むことになる。
【0201】
従って、この放射状切断刃600によれば、頭部11cを切断する時に、この放射状切断刃600に加わる負荷を軽減でき、放射状切断刃600に付与する切断力が小さくて済むので、放射状切断刃600による頭部11cの切断作業が容易化される。
[締結部材の端部を放射状に切断すると同時に境界領域を切断する分解装置の例]図57は締結部材の頭部を放射状に切断すると同時に境界領域を切断する分解装置100Hを示す。この分解装置100Hは分解装置100Gの改良品であり、放射状刃602を切断刃102の外周部に一体に形成したものである。また、切断刃102の中空部102a内に切断刃位置決め部材61A’が設けられ、この切断刃位置決め部材61A’はコイルバネ62A’によって突出方向に付勢されている。この切断刃位置決め部材61A’の先端部61B’は軸穴11aに嵌合される。
【0202】
この切断刃102と放射状切断刃600とが一体構成の分解装置100Hによれば、切断刃102によるブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとの境界領域Aの円筒状切断と、放射状切断刃600によるブラインドリベット10の頭部11cの放射状切断とを一度の切断動作で略同時に行うことができるので、分解装置の操作が容易となり、ブラインドリベット10の分解作業に要する時間を短縮できる。
【0203】
この分解装置100Hのその他の構成は、分解装置100Gの構成と実質的に同一であり、境界領域Aの円筒状切断と頭部11cの放射状切断とを除いて、その作用効果も実質的に同一であるので、同一構成要素に同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0204】
その放射状切断刃600は切断刃102に対して切断方向に移動調整可能とするのが望ましく、図58に示す分解装置100H’では、放射状切断刃600を切断刃102に螺合させることによって、放射状切断刃600が切断刃102に対して切断方向に移動調整可能となっている。
【0205】
この分解装置100H’によれば、例えば、切断刃102または放射状切断刃600の刃先103、603の研磨等によって、刃先103、603の切断方向の相対的位置関係が変化した場合でも、切断刃102に対して、放射状切断刃600を切断方向に沿って移動調整することによって、刃先103、603の切断方向の相対的位置関係を適正に調整できる。
【0206】
また、これによって、切断刃102と放射状切断刃600とを交換することなく、締結部材の境界領域A及び頭部11cの寸法に見合うように、刃先103、603の切断方向の相対的位置関係を変更できる。
【0207】
[連続的な穴を頭部に予め開けた後、胴部と頭部との間の境界領域Aを切断する方法]
図59は、連続的な穴を頭部に予め開けた後、境界領域Aを切断する方法に用いる分解装置100Iの概略構成を示す図である。この分解装置100Iは、把手220、円筒状構造体221、操作ボタン222、223等から構成されている。この分解装置100Iは、圧縮空気発生機225とエアーホース224とで連結され、圧縮空気によって作動する。
【0208】
図60は分解装置100Iの円筒状構造体221の詳細構成を示す断面図である。円筒状構造体221は、ピストン226、230、スプリング227、231、パッキン228、接合部229、押さえ棒232、ピストン230に固定されている突出ピン233、針状部材234、アタッチメント240等から構成される。
【0209】
この円筒状構造体221にはエアーバルブ224vの切替動作によって、圧縮空気がエアホース224a、224bを通って、ピストン室251、252に供給される。エアーバルブ224vは分解装置100Iの内部に配設され、操作ボタン222、223に連動して動作が切り替えられる。
【0210】
針状部材234はピストン230の先端に形成されている。針状部材234は摩耗時の交換を考慮してピストン230と一体ではなく、交換可能に取り付けられるのが望ましい。円筒状構造体221の内周面には後述する直線状溝部と螺旋状溝部が形成されている。突出ピン233がこの直線状溝部に沿って動くことにより、ピストン230は等角度で間欠的に回転される。この回転については後に詳述する。
【0211】
図61(a)はピストン226と押さえ棒232との接合部229の組立前の詳細図を示している。ピストン226の先端には球部235が形成されている。押さえ棒232の上端は半球状の穴部241が形成され、ピストン226の球部235が入リ込む。球部235が穴部241に入っている状態で、二つのジョイント部材236を、球部235の上部を挟み込むようにしてセットする。その後に、結合板237とネジ238とによって、ジョイント部材236と押さえ棒232とを結合する。これにより、ピストン226と押さえ棒232とが回動自在に連結される。図61(b)はその組立後の接合部229を示している。
【0212】
図62(a)は、図60の矢印G方向から見たピストン230及び針状部材234を示している。図62(a)に示すように、針状部材234は、例えば直径4.8mmの円周線上に60度間隔で6本設けられている。ここで、針状部材234は、レイアウト上の制約がなければできるだけ多数配列することが望ましい。なお、締結穴1aの穴径d1は4.9mmで、円周線の直径は穴径d1よりも小さく、これにより母材1の損傷が防止されている。
【0213】
次に、分解装置100Iによって、締結部材の頭部11cに複数の穴を形成する動作を説明する。
【0214】
まず、操作ボタン222を押すと、エアーバルブ224vの切替動作によって圧縮空気がエアホース224bを通って、ピストン室252に入る。ピストン室252はパツキン228で密閉されているので、ピストン230は圧縮空気の力によって図60の矢印F方向に可動される。ピストン230は、アタッチメント240の内面に設けられたストッパー251’、251’に突き当たって停止する。
【0215】
次に、操作ボタン222の操作を解除すると、エアーバルブ224vの切替動作によって、ピストン室252の圧縮空気はエアホース224bを通って排気ポート224cから抜ける。従って、ピストン230はスプリング231の力により、ストツパー252’、252’に当たるまで戻る。
【0216】
次に、ピストン230の等角度間欠回転動作を説明する。
【0217】
図63は円筒状構造体221の内面展開図である。円筒状構造体221の内面には、ピストン230の外周面に配設されている円柱状の突出ピン233の外径よりも若千広い幅の溝部が形成されている。
【0218】
すなわち、円筒状構造体221の内面には、72度間隔に5箇所の直線状溝部253a〜253eが形成されている。その円筒状構造体221にはこれらの直線状溝部253a〜253eを連通する螺旋状溝部254a〜254eが形成されている。直線状溝部253a〜253eと螺旋状溝部254a〜254eの分岐点242a〜242eには、それぞれ板バネ239a〜239eが配設されている。突出ピン233はピストン230に固定されているので、突出ピン233が直線状溝部253a〜253eと螺旋状溝部254a〜254eに沿って移動すると、ピストン230が等角度で間欠的に回転される。
【0219】
なお、針状部材234の配列間隔が均一の場合、ピストン230の回転角度は、針状部材234の配列角度の整数倍でさえなければ、任意の角度を選択して良い。ピストン230の回転角度が針状部材234の角度の整数倍であると、針状部材234の本数に対応した個数の穴しか開けることができず、多数の穴を開けることができないからである。
【0220】
次に、直線状溝部253aから253bに沿って突出ピン233及びピストン230が移動する動作を例に挙げて説明する。
【0221】
まず、操作ボタン222を押すと、ピストン室252に空気圧が加わり、ピストン230が直線状溝部253aに沿って真っ直ぐに可動される。このとき、板バネ239aの先端部は、突出ピン233が通過する方向に対して下側に向いているので、突出ピン233の通過を許容する方向に弾性変形する。
【0222】
これによって、突出ピン233は分岐点242aをそのまま通過する。そして、ピストン230はアタッチメント部材240内面のストッパー251’、251’に突き当たって停止する。このように操作ボタン222を押したときには、ピストン230は回転しないで真っ直ぐに可動される。
【0223】
次に、操作ボタン222の操作を解除すると、ピストン230はスプリング231の力によって押し戻される。このとき、突出ピン233は、板バネ239aによって通過を阻止され、図63の矢印X方向に移動して、螺旋状溝部254aに入る。突出ピン233はピストン230に固定されているので、ピストン230がこの螺旋状溝部254aに沿って回転される。更に、ピストン230が押し戻されると、突出ピン233は直線状溝部253bに入る。これらの一連の動作によって、ピストン230は直線状溝部253aと253bとに対応する角度だけ回転する。この操作ボタン222の操作を繰り返す度に、ピストン230は押し出されて戻るときに72度回転し、ピストン230と一体の針状部材234が72度毎に回転する。
【0224】
次に、母材1、2から締結部材の胴部11bと頭部11cとを取り外すための、押さえ棒232の動作を説明する。
【0225】
操作ボタン223を押すと、エアーバルブ224vの切替動作によって圧縮空気はエアホース224aを通ってピストン室251に入る。これにより、ピストン226は図60の矢印F方向に押し出される。ピストン226は、円筒状構造体221内面のストッパー253’、253’に突き当たって停止される。なお、ピストン226は、接合部229を介してピストン230の中心部を貫通している押さえ棒232と連結されている。従って、操作ボタン223を押すと、押さえ棒232もピストン226に連動して矢印F方向に動く。
【0226】
そして、操作ボタン223の操作を解除すると、ピストン室251の圧縮空気はエアホース224aから排気ポート224cへ抜けるので、スプリング227の力により、ピストン226は、円筒状構造体221内面のストッパー254’、254’の位置まで戻る。ピストン226に連動して押さえ棒232も元の位置に戻る。
【0227】
なお、押さえ棒232とピストン230とは、特にピストン室252側において密閉性が要求される為、○リング等のパッキン228が配設されている。この分解装置100Iの構造上、パッキン228はスラスト方向の移動に対しては密閉性が良くなければならないが、押さえ棒232は接合部229によってピストン230とともに回動自在であり、パッキン228には回転方向の力が加わらないのでパッキン228の信頼性向上につながる。
【0228】
次に、分解装置100Iを用いてブラインドリベット10の分解を説明する。
【0229】
図64は分解装置100Iの針状部材234によって、頭部11cと胴部11bとの境界領域Aに沿って複数個の穴を形成した状態を示している。アタッチメント部材240の開口部内径は例えば9.7mmで、頭部11cの外径9.6mmよりもごく僅かに大きい。
【0230】
図64に示すように、頭部11cがアタッチメント部材240の中に入り込むように、上部から押さえて分解装置100Iをセットする。その後、操作ボタン222を押すと、針状部材234によって頭部11cに均等間隔で6箇所の穴243Aが形成される。ここで、針状部材234は頭部11cを貫通するが、針状部材234はストッパー251’でストロークを規制されているため、母材1、2を損傷することが防止される。
【0231】
第1回目の穴開け工程で複数個の穴を形成した後、操作ボタン222の操作を解除する。すると、針状部材234が72度回転しながら戻る。その後、更に、操作ボタン222を押すと、針状部材234は第1回目の複数個の穴が形成された箇所から72度ずれた箇所に穴を形成する。このようにして、操作ボタン222の操作を5回繰り返すことによって、頭部11cに30個の連続した円周状の穴列243が形成される。
【0232】
図65(a)は、分解装置Iによる操作ボタン222の1回の操作で、頭部11cに6個の穴243Aを形成した状態を示しれ、図65(b)はその繰り返し操作により、頭部11cに連続的な穴列243を形成した状態を示している。
【0233】
次に、母材1、2から胴部11bと頭部11cとを除去する動作を説明する。図66は分解装置100Iの押さえ棒232によって、胴部11bを取り外している状態を示している。頭部11cに穴列243を形成後、操作ボタン223を押すと、押さえ棒232が押し出され、胴部11bが加圧される。すると、押さえ棒232の加圧力によって、穴列243が破断され、頭部11cと胴部11bとが分離され、取り外される。このとき、予め複数個の穴列243からなる円周線上を破断することになるので、小さな加圧力で、胴部11bと頭部11cとを母材1、2から取り外すことができる。
【0234】
この分解装置100Iの場合、押さえ棒232の代わりに図62(b)に示す円筒状の切断刃102を用いることもできる。この切断刃102の外周部にはその周回り方向に針状部材234の逃げ溝234Aが形成されている。この逃げ溝234Aは針状部材234の延びる方向に延びている。このものによれば、穴列243を形成した後、この切断刃102によって境界領域Aを切断できる。
【0235】
また、押し出し棒232によって頭部11cと胴部11bとを分離することにしたが、例えば、分解装置100A1〜100A4の切断刃102の刃先103を穴列の円周線上に当てて、分解装置100A1〜100A4を用いて分解することもできる。この場合には、分解装置100A1〜100A4に加える切断力を小さくできる。また円筒状構造体221の構造を、ピストン226、押さえ棒232を必要としない分だけ簡略化することができる。
[切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置の例1]
図67は切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Jの概略構成を示している。この分解装置100Jは分解装置100A1の改良品である。この分解装置100Jは、切断刃102と、切断力付与部材202と、タッピング部材150と、保持力付与部材151とから構成されている。
【0236】
切断刃102は、ブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向に沿って、進退して胴部11bと頭部11cとを切断する。切断力付与部材202はブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとを切断する切断力を切断刃102に付与する。タッピング部材150はブラインドリベット10の軸穴11aをネジ切りして軸穴11aに螺合するタップ部150aを備えている。保持力付与部材151は切断力付与部材202により切断力が付与された際に、タップ部150aが軸穴11aに螺合状態のタッピング部材150に、切断力に抗してブラインドリベット10を固定する保持力を付与する。
【0237】
この分解装置100Jの切断刃102は、その軸中心がタッピング部材150の軸中心に一致するように、分解装置本体101に螺合されており、タッピング部材150に対して摺動自在に構成されている。
【0238】
分解装置本体101とタッピング部材150との間には、スプリング152が配設されている。スプリング152の弾力によって、タッピング部材150のタップ部150aが、切断刃102の刃先103から突出されている。このタップ部150aの刃先103からの突出量は、タッピング部材150の中間部位に一体形成された鍔部150bに、切断刃102に設けられた内方フランジ102bが当接することによって規制されている。
【0239】
切断力付与部材202は、エアー又は油圧を駆動源として動作し、これによって、切断刃102に所定の切断力を付与する。なお、この分解装置100Jの切断力付与部材202は、分解装置本体101と保持力付与部材151との間で動作し、これによって、スプリング152の弾力に抗して、切断刃102とタッピング部材150とが相対移動する。
【0240】
この分解装置100Jを用いて、ブラインドリベット10を分解するには、まず、図68(a)に示すように、タッピング部材150を所定方向に回転させ、そのタップ部150aによって軸穴11aにネジを切りながら、軸穴11aにタッブ部150aを螺合させる。次いで、軸穴11aにタップ部150aが螺合されている状態で、切断力付与部材202を動作させて、切断刃102に切断力を付与する。
【0241】
これにより、スプリング152の弾力に抗して、切断刃102とタッピング部材150とが相対移動する。このとき、タッピング部材150は、ブラインドリベット10に対して螺合されているので、切断力付与部材202により付与された切断力に抗して、保持力付与部材151によって、ブラインドリベット10を保持する保持力がタッピング部材150に付与される。
【0242】
この結果、図68(b)に示すように、胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向の境界領域Aに沿って、切断刃102が頭部11cに食い込む。これにより、タッピング部材150にブラインドリベット10が保持された状態で、切断刃102によって胴部11bと頭部11cとが切断され、母材1、2とブラインドリベット10とが分離可能な状態になる。
【0243】
このように、この分解装置100Jによれば、ブラインドリベット10を切断刃102に向けて引っ張り付けた状態で、その切断刃102の刃先103が、ブラインドリベット10の胴部軸方向に沿って直線的に移動されることによって、胴部11bと頭部11cとが切断されるので、母材1、2に加わる衝撃を緩和できる。また、この分解時にブラインドリベット10が空回りしたり、この空回りなどにより母材1、2が損傷したりすることが防止される。よって、頭部11cと胴部11bとを一度の操作で容易に切断することができる。
【0244】
また、ブラインドリベット10の切断時に、その頭部11c又は胴部11bをプライヤーやペンチ等の把持工具で掴んで固定しておく必要もないので、把持工具で掴みにくい場合でも、ブラインドリベット10を比較的容易に切断することができる。
【0245】
特に、この分解装置100Jによれば、タップ部150aによってブラインドリベット10が固定された状態で、切断刃102により胴部11bと頭部11cとが切断されるので、頭部11cに切断刃102が食い込む際の切断力によって、母材1、2が変形することがない。すなわち、切断の際の衝撃によって、母材1、2が凹むのを防止できる。
【0246】
また、タッピング部材150によってブラインドリベット10が固定されることにより、切断時に切断刃102に大きな切断力を加えることができ、ブラインドリベット10を確実に切断できる。
【0247】
更に、この分解装置100Jでは、切断刃102が分解装置本体101に螺合されている。これによって、タッピング部材150の鍔部150bの上面と分解装置本体101の下面との離間距離hを変化させることができ、タッピング部材150と切断刃102との相対位置関係を調整できる。従って、頭部11cに対する刃先103の食い込み量を調整できる。
【0248】
ここで、頭部11cに対する刃先103の食い込み量は、少なくとも、図68(b)に示すように、頭部11cと母材1との分離破断箇所に、切断刃102の刃先103が到達した状態で、該切断刃102の移動が規制されるように調整されることが好ましい。このように、頭部11cに対する刃先103の食い込み量を調整することによって、ブラインドリベット10の切断時の切断刃102の切断ストロークを一定にできるので、胴部11bと頭部11cとを確実に分離できる。また、オーバーストロークによる母材1の損傷を確実に回避できる。
【0249】
ここで、切断刃102の刃先103が、ブラインドリベット10の頭部11cと母材1との分離破断箇所に到達した状態とは、頭部11cと胴部11bとが完全に分離された状態、又は僅かな肉部を残して繋がった状態の何れの状態でもよい。
【0250】
また、この分解装置100Jは、その切断刃102の軸中心とタッピング部材150の軸中心とが一致するように構成されているので、ブラインドリベツト10の切断時の切断刃102と頭部11cとの位置関係が常時一定に保たれる。これにより、切断刃102の軸中心が頭部11cの軸中心からずれたり、切断刃102の食い込み方向が母材1、2の締結穴1a、2aの軸方向に対して傾いたりすることがなく、頭部11cに対して該切断刃102の刃先103を正確に位置決めできる。
【0251】
従って、この分解装置100Jは、頭部11cに切断刃102が食い込む際に、刃先103と頭部11cとの位置がずれて、頭部11cが正確に切断されなかったり、刃先103が母材側に食い込んで母材1が損傷したりする不具合が解消される。
【0252】
また、この分解装置100Jは、切断時にブラインドリベット10を保持するためのタッピング部材110が、ブラインドリベット10に対する切断刃102の切断刃位置決め手段としても機能するので、位置決め部材を独立した部品として設ける必要がなく、分解装置を簡素に構成することができる。
[切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置の例2]
図69は切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Kの構成を示しており、この分解装置100Kは分解装置100Jの改良品である。この図69において、分解装置100Jの各構成要素と同一構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0253】
この分解装置100Kは、切断力付与部材202は、タッピング部材150に回動可能に軸支された回動レバー160の支軸161を支点とし、回動レバー160の自由端部162を力点として、回動レバー160を回動させることによって、切断刃102に切断力を付与する。すなわち、この切断力付与部材202はてこの原理を利用して切断力を付与する。この切断力付与部材202は保持力付与部材としても機能する。
【0254】
この分解装置100Kによれば、分解装置100Jと同様に、タッピング部材150のタップ部150aによって軸穴11aにネジが切られる。これによって、図69(a)に示すように、軸穴11aにタップ部150aが螺合される。
【0255】
次に、この状態で、回動レバ一160をその支軸161を支点としてかつ回動レバー160の自由端部162を力点として、切断刃102に切断力を付与する方向に回動させる。
【0256】
これによって、図69(b)に示すように、回動レバー160の作用点としての切断力付与部材202が、分解装置本体101の上面に当接して、梃子の原理により、自由端部162(力点)に加えられた圧力を増大して、切断刃102に切断力を付与する。
【0257】
これによって、胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向の境界領域Aに沿って、切断刃102が頭部11cに食い込む。このとき、切断刃102の頭部11cへの食い込みによって、回動レバー160の切断力付与部材202に加わる切断力の反力が、回動レバー160の支軸161に作用する。そして、この回動レバー160の支軸161に作用する反力によって、切断刃102に付与された切断力に抗してブラインドリベット10を保持する保持力が、タッピング部材150に付与される。従って、ブラインドリベット10がタッピング部材150に保持された状態で、胴部11bと頭部11cとが切断される。
【0258】
このように、この分解装置100Kによれば、回動レバー160を回動させるだけの操作で、切断刃102に大きな切断力を付与し、且つ、タッピング部材150に対して確実に保持力を付与することができるので、例えば、エアーや油圧などの大掛かりな駆動源が不要となり、構成が簡素で取り扱いの容易な分解装置を提供することができる。
[切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置の例3]
図70は切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Lを示している。この分解装置100Lは分解装置100Jの改良品である。この図70において、分解装置100Jと同一構成要素については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0259】
この分解装置100Lは、切断力付与部材及び保持力付与部材が、タッピング部材150のネジ切り動作に連動して、胴部軸方向に切断刃102を押圧する切断刃押圧手段としての鍔部150bから構成されている。
【0260】
すなわち、この分解装置100Lによれば、まず、分解装置100Jと同様に、その図70(a)に示すように、タップ部150aによって、軸穴11aをネジ切りしながらタップ部150aを軸穴1aに螺合させる。
【0261】
このとき、タップ部150aによる軸穴11aのネジ切り動作に連動して、図70(b)に示すように、タッピング部材150の鍔部150bによって、切断刃102の内方フランジ102bの上面が押圧される。これにより、刃先103が胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向に沿って食い込んで、胴部と頭部11cとが切断される。
【0262】
このように、この分解装置100Lによれば、そのタップ部150aのネジ切り動作に連動して、切断刃102に切断力が付与される。これによって、タッピング部材150による軸穴11aのネジ切り動作と、切断刃102による胴部11bと頭部11cとの切断動作とを同時に行うことができる。従って、ブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとの切断作業に要する時間や手間を省くことができる。
[切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置の例4]
図71は切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Mを示している。
【0263】
この分解装置100Mは、既存のリベット締結装置13をその構造を変えずに、そのまま使用することができる。
【0264】
すなわち、リベット締結装置13は、例えば、図71に示すように、取手部331が設けられたピストル型である。この取手部331には、エアーバルブ332、エアーシリンダ333、トリガー334、調整つまみ335等が設けられている。エアーシリンダ333にはノーズケーシング337が取り付けられている。このノーズケーシング337内には図72に示すように、ジョーハウジング338が進退可能に格納されている。ジョーハウジング338には、ブラインドリベット10のマンドレル12を引っ張るためのジョー13b、ジョースプレター13c、バッファー部材13d、ロッキングリング13e、スプリング13f等が配設されている。このノーズケーシング337の工具端部337aにはノーズピース13a(図95(c)参照)が設けられている。
【0265】
このブラインドリベット締結装置13を分解装置100Mとして用いる場合には、ブラインドリベット締結装置13の工具端部337aに取り付けられているノーズピース13aを取り外す。このノーズピース13aの替わりに、図72、図73に示すように、胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向に沿って胴部11bから頭部11cを切断する切断刃102を、工具端部337aに取り付ける。
【0266】
この分解装置100Mを用いて、図72に示すように母材1、2に締結されたブラインドリベット10を分解するには、まず、図73(a)に示すように、軸穴11aに挿通可能な軸径を有するノックピン300Aを、頭部11c側から軸穴11aに挿通し、ノックピン300Aの頭部を叩いて、軸穴11a内に残留しているマンドレル12を、図73(b)に示すように、胴部11bから抜き取る。ここで、ノックピン300Aの代用品として後述する引っ張りピンを用いてもよい。
【0267】
その後、マンドレル12が抜き取られた軸穴11aに、図73(c)に示すように、塑性変形部(カシメ部)11d側から引っ張りピン420を挿通する。この引っ張りピン120の先端部を頭部11cから突出させる。この引っ張りピン420は、ブラインドリベット10の胴部11bの貫通穴11aの穴径d9(図73(b)参照)よりも小さい外径d10の軸部420aと、軸部420aに一体形成されたフランジ状のリベット当接部420bとを有している。なお、リベット当接部420bはここでは円盤状に形成されている。このリベット当接部420bの形状はこれに限らない。
【0268】
次いで、図74(a)に示すように、切断刃102を頭部11cに圧接させる。そして、頭部11cから突出した引っ張りピン420の軸部420aの先端部をジョー13bによって把持する。このとき、引っ張りピン420のリベット当接部420bが、胴部11bのカシメ部11dに当接するように、リベット締結装置13のジョー13bによって引っ張りピン420の軸部420aを把持する。
【0269】
この図74(a)に示す状態で、リベット締結装置13のトリガー334を引く。リベット締結装置13をトリガーすると、図71に示すリベット締結装置13のエアーバルブ332が開き、エアーホース336を通してエアーポンプ(図示を略す)からエアーシリンダ333に圧搾空気が供給される。この圧搾空気の圧力は調整つまみ335によって予め調整できる。
【0270】
エアーシリンダ333にエアーが供給されると、図74(a)に示すように、ジョースプレダー13cがスプリング13fの伸張力に抗して、エアーシリンダ333側に引き込まれて、ジョー13bに把持された引っ張りピン420の先端部が上方に引っ張られる。
【0271】
これにより、胴部11bに当接された引っ張りピン420のリベット当接部420bと、頭部11cに圧接した切断刃110とによりブラインドリベット10が挟み込まれて、図74(b)に示すように、胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向の境界領域Aに沿って、頭部11cに切断刃102の刃先103が食い込む。この結果、母材1、2に締結されたブラインドリベット10の胴部11bから頭部11cが切断されて、母材1、2とブラインドリベット10とが分離可能な状態になる。
【0272】
更に、この分解装置100Mによれば、図74(a)、(b)に示すように、引っ張りピン420のリベット当接部420bと、リベット締結装置13の工具端部337aに設けた切断刃102の刃先103とによって、母材1、2に締結されたブラインドリベット10が挟み込まれた状態で、頭部11cが胴部11bから切断されるので、頭部11cに刃先103が食い込む際の切断力によって母材1、2が変形することがない。
【0273】
また、この分解装置100Mによれば、母材1、2に締結されたブラインドリベット10の胴部11bの軸穴11aに挿通された引っ張りピン420を、ジョー13bによって引っ張るので、引っ張りピン420と切断刃102との位置関係が常に一定に保たれ、頭部11cに対して刃先103が正確に位置決めされる。従って、この分解装置100Mによれば、頭部11cに刃先103が食い込む際に、刃先103と頭部11cとの間の位置ずれの発生を防止できるので、頭部11cを正確な位置で切断でき、刃先103が母材1側に食い込んで母材1を損傷することがない。
【0274】
また、ブラインドリベット10の分解時に、引っ張りピン420と切断刃102とによって、胴部11bは挟持されるので、切断刃102に大きな切断力を加えることができ、胴部11bと頭部11cとを確実に切断できる。
【0275】
更に、この分解装置100Mは、既存のリベット締結装置13の工具端部337aに取り付けられているノーズチップ13aを取り外し、これに代えて切断刃102を取り付けるだけで、リベット締結装置13を分解装置100Mとして用いることができるので、極めて安価に構成することができる。また、リベット締結装置13を用いてブラインドリベット10を母材1、2に締結している際に、ブラインドリベット10を母材1、2から切断する必要が生じた場合に、ブラインドリベット10の切断作業や再締結作業を極めて迅速に行うことができる。また、この分解装置100Mによれば、その切断刃102を容易に着脱できるので、分解対象としてのリベットの大きさに適した寸法の切断刃102を容易に交換できる。
[切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置の例5]
図75は切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Nを示している。この図75において、分解装置100Mの各構成要素と同一構成要素については同一符号を付して、その説明は省略する。
【0276】
この分解装置100Nは、ブラインドリベット締結装置13の工具端部337aに取り付けられているノーズピース13aを取り外さずに使用することができる。すなわち、引っ張りピン420のリベット当接部420bには、胴部11bの塑性変形部11dを胴部軸方向に沿って切断する切断刃102’が形成されている。
【0277】
この分解装置100Nを用いての母材1、2に締結されたブラインドリベット10の分解を以下に説明する。マンドレル12は軸穴11aから既に抜き取られ、引っ張りピン420が図75(a)に示すように軸穴11aに挿通されているものとする。
【0278】
このものでは、リベット締結装置13の工具端部337aに設けたノーズピース13aを、図75(a)に示すように、母材1、2に締結されたブラインドリベット10の頭部11cに圧接させる。そして、引っ張りピン420のリベット当接部420bが胴部11bのカシメ部11dに当接するように、引っ張りピン420の軸部420aの先端部をジョー13bで把持する。
【0279】
その後、この図75(a)に示す状態で、トリガー334を引く。これによって、リベット当接部420bに形成されている切断刃102と、頭部11cに圧接されたノーズピース13aとによって、ブラインドリベット10が挟み込まれて、図75(b)に示すように、胴部11bのカシメ部11dに、胴部軸方向の境界領域Aに沿って切断刃102’が食い込む。この結果、母材1、2に締結されたブラインドリベット10の胴部11bのカシメ部11dが切断されて、母材1、2とブラインドリベット10とが分離可能な状態になる。なお、特許請求の範囲の中の「頭部」という用語には、このカシメ部11dが含まれている。
【0280】
このように、この分解装置100Nによれば、引っ張りピン420の軸部420aを既存のリベット締結装置13のジョー13bで引っ張るだけの構成であるので、工具端部337aに設けられているノーズピース13aを着脱する必要がなく、より簡素で安価な分解装置を提供できる。
[切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置の例6]
図76は切断刃102に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Oを示している。この図76において、分解装置100M、100Nの各構成要素と同一構成要素については同一符号を付してその説明は省略する。
【0281】
この分解装置100Oは、工具端部337aに取り付けられているノーズピース13aを取り外して、その工具端部337aに分解装置100Mに用いる切断刃102を取り付ける。また、引っ張りピン420には分解装置100Nに用いたものを用いる。これによって、分解装置100Oが構成される。
【0282】
この分解装置100Oを用いての分解を以下に説明する。
【0283】
すなわち、工具端部337aに設けられている切断刃102を、図76(a)に示すように、頭部11cに圧接させ、かつ、リベット当接部120bがカシメ部11dに当接するように、引っ張りピン420の軸部420aの先端部を、ジョー13bで把持する。
【0284】
次いで、図76(a)に示す状態で、トリガー334を引く。これにより、ブラインドリベット10の胴部11bに係止された引っ張りピン420のリベット当接部420bの切断刃102’と、工具端部337aに設けられた切断刃102とによりブラインドリベット10が挟み込まれて、図76(b)に示すように、胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向の境界領域Aに沿って、工具端部337aに設けられた切断刃102が頭部11cに食い込み、かつ、リベット当接部420bに設けられた切断刃102’が胴部11bのカシメ部11dに食い込む。この結果、工具端部337aに設けられた切断刃102により胴部11bから頭部11cが切断され、かつ、リベット当接部420bに設けられた切断刃102によりカシメ部11dが切断されて、母材1、2とブラインドリベット10とがより確実に分離できる状態になる。
[複数回の切断動作によって境界領域を切断する方法]
図77は複数回の切断動作によって締結部材の境界領域を切断する分解装置の主要部としての円筒状構造体221の断面図を示している。この分解装置の外観は図59に示す分解装置100Iと同一であり、その円筒状構造体221の構成もピストン230に図78に示す円筒状の切断刃102が設けられている点を除いて同一であるので、同一構成要素に同一符号を付して、その詳細な説明は省略することとし、異なる点についてのみ説明する。
【0285】
切断刃102にはその周回り方向に4個の切り欠き溝102Xが形成され、刃先部104はこれによって、その周回り方向に等間隔(45度)に分割されて、円弧状刃先(円弧状櫛刃)103とされている。なお、図78(a)では切断刃102の外周面側にテーパ面104aが形成され、図78(b)では切断刃102の内周面側にテーパ面104aが形成されている。
【0286】
図79(a)は、図77の矢印G方向から見たピストン230及び切断刃102を示している。図79(a)に示すように、円弧状刃先103は、例えば直径4.8mmの円周線上に45度間隔で4本設けられることになる。なお、締結穴1aの穴径d1は4.9mmで、円周線の直径は穴径d1よりも小さく、これにより母材1の損傷が防止されている。
【0287】
図80は円筒状構造体221の内面展開図であり、この円筒状構造体221の内面に形成されている直線状溝部、螺旋状溝部の個数は8個であり、その作用は図63に示すものと同一であるので、直線状溝部に符号253a〜253hを付し、螺旋状溝部符号254a〜254h、板バネに符号239a〜239hを付し、分岐点に符号242a〜242hを付して、詳細な説明は省略する。
【0288】
図81は、この分解装置の切断刃102によって、ブラインドリベット10の頭部11cと胴部11bとの胴部軸方向の境界領域Aに沿って、ブラインドリベット10の境界領域Aを切断している状態を示す断面図である。分解装置のアタッチメント240の開口部内径は、例えば9.7mmで、ブラインドリベット10の頭部11cの外径9.6mmよりもごく僅かに大きくなっている。
【0289】
まず、図81に示すように、頭部11cがアタッチメント240の中に入り込むように、上部から押さえて分解装置をセットする。その後、操作ボタン222を押圧すると、圧縮空気によってピストン230が押し出され、ピストン230の先端に取付けられている円弧状刃先103が頭部11cを均等間隔で部分的に切断する。ここで、ピストン230はストッパー240’、240’でストロークを規制されている為、母材1、2を損傷することはない。第一回の切断工程終了後、操作ボタン222の操作を解除する。すると、円弧状刃先103が45度回転しながら戻る。さらに、操作ボタン222を押すと、円弧状刃先103は、第一回目の切断箇所から45度ずれた箇所を切断する。
【0290】
以上のように、操作ボタン222の操作を少なくとも二回繰り返すことによって、頭部11cに円弧状刃先103に対応した円周状切断箇所103y’が形成される。これによって、頭部11cと胴部11bは切断される.
図82(a)は、分解装置19による操作ボタン222の1回の操作で、頭部11cの円周線上に4ケ所の切断箇所103yを形成したことを示す。この切断箇所103yの間が未切断箇所103zとなっている。また、図82(b)は、操作ボタン222を少なくとも二回操作することにより、頭部11cに連続する円周状切断箇所103y’が形成されたことを示す。
【0291】
頭部11cに円周状切断箇所103y’が形成されることによって、頭部11cと胴部11bは切断される。しかし、胴部11bは母材1、2の貫通孔1a、2aに圧接される形で留まっているので、強制的に取り外す必要がある。図83はこの分解装置の押し出し手段としての押さえ棒232によって、胴部11bを取り外していることを示す。
【0292】
頭部11cに円周状切断箇所103y’が形成された後に、操作ボタン223を押圧すると、押さえ棒232が押し出され、胴部11bヘ力を加える。すると、押し出し力付勢手段としてのピストン226が駆動され、押さえ棒232の加圧力により、頭部11cを残したまま、胴部11bとマンドレル12aは取り外される。以上のような構成及び動作によって、ブラインドリベット10は分解し、母材1、2の締結は解除される。
【0293】
これによれば、刃先103の頭部11cへの当接位置を変えて切断されていない未切断箇所103zを切断するという作業が必要であるが、境界領域Aを切断する際の切断力を小さくでき、切断力に加わる負荷を軽減できるという利点がある。
【0294】
また、従来の分解方法では、分解が困難であった為に、被締結部材の再利用や締結部材のリサイクルが難しかったが、この分解装置を使用することによって、容易に締結部材と被締結部材とを分解することができるので、被締結部材の再利用と締結部材のリサイクルが可能となり、環境保護、省資源に役立つことができる。
【0295】
なお、この分解装置の切断刃102及びアタッチメント部材240は交換可能になっている。したがって、切断刃102の形状や、アタッチメント部材240の先端開口部の内径、ストッパー部の位置等を変更することができる。これによって、大きさの異なるリベットにも使用することが可能である。また、他の締結部材、例えばピンかしめ、バーリングカシメ等にも使用可能である。
〔変形例1〕
切断刃102として円弧角度が45度のものを用いたが、異なる円弧角度の切断刃を用いることもできる。図79(b)は、切断刃102の円弧角度が60度である円弧状刃先103を用いた例を示す。この円弧状刃先103は等間隔で4個配設されている。回転手段による一回当たりの回転角度は45度(所定角度)であるので、円弧状刃先103の円弧角度の方が大きくなっている。すなわち、円弧状刃先103の円周方向の長さは切り欠き溝102xの円周方向の長さよりも長くなっている。
【0296】
従って、第2回目の切断工程のときに、第一回目の切断工程による切断箇所の両端部をそれぞれ7.5度ずつオーバーラップして加工することが可能となる。このように、切断刃102の円弧角度を回転角度よりも大きくすることにより、第一回目の切断工程による切断箇所103yの両端部をオーバーラッブして加工することができる。これによって、切断箇所103yの端部における切断不良の発生を防止し、より確実な切断加工を行うことができる。この場合、回転手段による回転角度は、例えば、360度を円弧状刃先の個数の二倍で割った角度に設定すれば良い。
【0297】
このように、切断刃102の回転角度は、切断刃102の円弧角度と円弧状刃先103の個数とによって適宜に選択することができる。
〔変形例2〕
また、円筒状構造体221の内周面に溝部を形成する構成について説明したが、ピストン230の外周面に同様な溝部を形成して、この溝部の分岐点に板バネを配設し、突出ピン233を円筒状構造体221の内周面に固定する構造としても、ピストン230を間欠的に回転させることができる。これによって、円筒状構造体221の内周面に溝部を加工する必要がなく、ピストン230の外周面に溝加工すれば良いので、機械加工のコストを低減させることができる。
[分解装置のアタッチメント構造]
図84にアタッチメント部材としての分解装置100Pを示す。
【0298】
この分解装置100Pは、胴部軸方向に沿って胴部11bと頭部11cとの境界領域Aを切断する切断刃102と、境界領域Aを切断する切断力を切断刃102に付与する切断力付与手段200とを有する。
【0299】
切断力付与手段200は、本体カバーとしての切断刃支持体201と、切断刃102に付与する切断力を蓄積しかつ蓄積された切断力を解放することによって締結部材に向けて切断刃に切断力を与える切断力付勢手段203と、切断力付勢手段203に切断刃102に付与する切断力を蓄積させる切断力蓄積手段と、この切断力蓄積手段によって切断力付勢手段203に蓄積される切断力が、胴部11bと頭部11cとを切断できる状態に達した時に、切断力付勢手段203に蓄積された切断力を解放する切断力解放手段とを有する。なお、この切断刃102の外周面にはテーパ面104aが形成され、刃先103の大きさは胴部11bの外径よりも若干小さい。
【0300】
切断力付勢手段203はコイルスプリングから構成され、圧縮によって切断刃102に付与する切断力が蓄積される。切断力蓄積手段は、切断力付勢手段203を圧縮する圧縮部材621としての引っ張り軸と、切断力付勢手段203を圧縮する方向に圧縮部材621を移動させる圧縮部材移動手段とを有する。この圧縮部材移動手段にはブラインドリベット締結装置13が用いられる。
【0301】
切断力解放手段は、圧縮部材621に形成された破断部621cからなり、破断部621cは圧縮部材移動手段によって圧縮部材621が移動されて切断力付勢手段203に切断力が蓄積される過程で、切断力付勢手段203に蓄積された切断力によって破断される。
【0302】
言い換えると、この分解装置100Pはブラインドリベット締結装置13に締結されるアタッチメント部材を有する。
【0303】
このアタッチメント部材は、胴部軸方向に沿って一方が解放された中空形状の本体カバー201と、外径が締結穴の穴径以下でかつ内径が胴部の外径以下で胴部軸方向に沿って一方に解放されしかも他方に貫通孔を有する分解装置本体が設けられた中空形状の刃先部102と、貫通穴の穴径以下の大きさでかつブラインドリベット締結装置13に掴まれる軸部と分解装置本体101の裏面と係合する係合部とが設けられた引っ張り軸621と、本体カバー201と分解装置本体101との間に設けられた弾性部材203とを有する。
【0304】
この分解装置100Pを用いて母材1、2に締結されたブラインドリベット10を分解する方法を以下に説明する。
【0305】
まず、圧縮部材621の軸部621aを、切断刃102の端壁102dに形成された貫通穴102eと、切断刃支持体201の端壁201cに形成された貫通穴201dとに挿通する。
【0306】
そして、貫通穴102e、201dに挿通されて切断刃支持体201の端壁201cから突出した圧縮部材621の軸部621aの上端部を、図84に示すように、ブラインドリベット締結装置13のノーズピース13a内に挿通する。このとき、ブラインドリベット締結装置13のノーズピース13aの先端が、切断刃支持体201の端壁201cの上面に密着するように、圧縮部材621の軸部621aをブラインドリベット締結装置13にセットする。
【0307】
次いで、図85(a)に示すように、分解装置100Pの切断刃102の刃先103を、ブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとの境界領域Aに臨ませる。そして、この状態で、ブラインドリベット締結装置13のトリガーを引く。これにより、圧縮部材621の軸部621aがジョー13bによって掴まれて引き上げられる。そして、圧縮部材621の係合部621bが切断刃102の端壁102dの下面に係合する。この状態から、軸部421aが更に引き上げられ、図85(b)に示すように、コイルスプリング203が圧縮されて、コイルスプリング203に切断力が蓄積される。と同時に、切断刃102が引き上げられる。
【0308】
そして、このコイルスプリング203に蓄積された切断力が、ブラインドリベット10の胴部11bと頭部11cとを切断できる状態に達したときに、破断部621cが、図85(c)に示すように、コイルスプリング203に蓄積された切断力に負けて破断される。これによって、コイルスプリング203に蓄積された切断力が解放される。
【0309】
このコイルスプリング203に蓄積された切断力が解放されると、コイルスプリング203によってブラインドリベット10に向けての切断力が切断刃102に付勢される。これにより、切断刃102が胴部11bと頭部11cとの胴部軸方向に沿って食い込み、図85(d)に示すように、胴部11bと頭部11cとが切断刃102によって切断される。
【0310】
この分解装置100Pによれば、既存のブラインドリベット締結装置13を用いて、コイルスプリング203を圧縮して、コイルスプリング203に切断刃102に付勢する切断力を蓄積できるので、その構成が簡素である。
【0311】
また、この分解装置100Pによれば、図85(b)に示すように、ブラインドリベット締結装置13のノーズピース13aの先端が、切断刃支持体201の端壁201cの上面に密着した状態で、ブラインドリベット締結装置13のジョー13bにより圧縮部材621の軸部621aが掴まれてかつ引き上げられることによって、その切断刃支持体201がブラインドリベット締結装置13に定置される。
【0312】
ここで、圧縮部材621には、その軸部621aに、図86に示すように、その破断部621cを所定の問隔を開けて複数個(ここでは、4個)形成するのが望ましい。この場合には、リベット締結装置13のジョー13bに近い側から頭部11cに向かってその破断限界力が大きくなっている。
【0313】
この圧縮部材621を用いる場合には、図86に示すように、ブラインドリベット締結装置13のノーズピース13aと切断刃支持体201の端壁201cの上面との間に、圧縮部材621の破断部621cの間隔に略等しい高さのノーズカラー622を所定個数配設する。これによって、ジョー13bが圧縮部材621の軸部621aの掴む箇所を選択できる。
【0314】
この圧縮部材621を用いた場合には、圧縮部材621の軸部621aをリベット締結装置のジョー13bに装着して、引き上げることによって、圧縮部材621の軸部621aに形成された複数個の破断部621cを、このリベット締結装置13のジョー13bに近い側から順に破断させることができる。従って、この圧縮部材621は、その破断部621cの個数分だけ、圧縮部材621を繰り返し使用でき、圧縮部材621を節約できる。
【0315】
また、この圧縮部材621によれば、その軸部621aに形成された強度の異なる複数個の破断部621cを、ジョー13bにより選択的に把持して破断させることによって、コイルスプリング203に蓄積される切断力の大きさを変化させることができる。これにより、胴部11bと頭部11cとの強度に応じて切断力の大きさを選択できる。
【0316】
更に、圧縮部材621の破断部621cを、切断刃102に係合して切断刃102を引き上げる係合部621bと圧縮部材621の軸部621aとの間に形成し、破断部621cを破断させることによって、圧縮部材621を切断刃102から分離させるようにしてもよい。
【0317】
また、この圧縮部材621の先端を軸穴11aの穴径以下の大きさとして、切断刃102から突出させ、この圧縮部材621の突出部に、図84、図86に示すように、ブラインドリベット10の境界領域を切断する際に、軸穴11aに嵌合して切断刃102の切断位置を決めする位置決め部621dを一体形成してもよい。
【0318】
なお、分解装置100Pの切断刃102の切断時の移動ストロークは、図10に示すように、切断刃102に付与された切断力によって、切断刃102の刃先103が、少なくとも、頭部11cと母材1との切断分離箇所近傍に到達し、かつ、切断刃102の刃先部104の外周面が、母材1の締結穴1aの縁部近傍に位置した状態で、切断刃102の移動が停止されるように設定されていることが望ましい。
【0319】
そこで、この分解装置100Pには、図85(d)に示すように、切断刃102の外周面に規制部としての段部105を設け、切断刃支持体201の内周部の段部208に係合させることによって、図8に示すように所定の位置で、切断刃102の移動を停止させる構成とされている。これによって、切断刃支持体102が切断刃支持体201から脱落するのが防止される。
【0320】
また、この分解装置100Pの切断刃支持体201の端壁201cは、図84に示すように、軸部621aがブラインドリベット締結装置13のジョー13bにより引き上げられる際に、コイルスプリング203に蓄積された切断力に抗して、ブラインドリベット締結装置13のノーズピース13aを支承する支承部としての機能を果たす。
【0321】
このように、軸部621aをジョー13bにより引き上げる際に、この支承部によってノーズピース13aを支承することにより、コイルスプリング203を確実に圧縮でき、コイルスプリング203に切断力を無駄なく蓄積できる。この切断刃支持体201の端壁201cには、例えば、図87に示すように、ノーズピース13aに嵌合する嵌合穴201eが形成されていることが好ましい。
【0322】
このように、ノーズピース13aを嵌合穴201eに嵌合させて支承することにより、圧縮部材621の軸部621aをブラインドリベット締結装置13のジョー13bにより引き上げる際に、ブラインドリベット締結装置13のノーズピース13aが端壁201cから脱落することがなくなり、分解装置100Pの操作性が向上する。
【0323】
切断刃支持体201の端壁201cにパイプ部201fを設けても良い。このパイプ部201fは、例えば、図88に示すように、ジョー13bが収納されている円筒状ケースの外周面にネジ螺合される。
【0324】
このように、ブラインドリベット締結装置13の円筒状ケースの外周面に、パイプ部201fを螺合させることによって、ブラインドリベット締結装置13の円筒状ケースとパイプ部201fとの位置関係を調整できる。これにより、図86に示すノーズカラー622を用いることなく、圧縮部材621の軸部621aを掴む位置を選択できる。
【0325】
図89はアタッチメント構造の分解装置100qを示す。
【0326】
この分解装置100qは、その切断刃102によりブラインドリベット10の境界領域を切断する際に、母材1、2に対して当接する当接部材50を有する。この分解装置100qによれば、ブラインドリベット10の切断時に、切断刃支持体201に設けられた当接部材50が母材1に当接する。
【0327】
これによって、切断刃支持体201と母材1との位置関係、すなわち、母材1と切断刃102との位置関係が常時一定に保たれる。
【0328】
これにより、切断時の作業者によるブラインドリベット締結装置13の保持の仕方によって、切断刃102に付与された切断力の反力により切断刃支持体201の位置がずれて、切断刃102の移動ストロークが変化したり、また、切断刃102の中心が頭部11cの中心からずれたり、切断刃102の移動方向が母材1、2の締結穴1a、2aの軸方向に対して傾いたりすることがなくなる。
【0329】
従って、この分解装置100qによれば、母材1、2に締結されたブラインドリベット10を母材1、2を損傷することなく円滑且つ確実に母材1、2から取り外すことができる。
【0330】
この分解装置100qは、その母材1に対して当接する当接部材50の当接部51が、母材1を吸着する磁力を有していることが望ましい。この分解装置100qによれば、ブラインドリベット10の切断時に、その当接部材50の当接部51を、母材1に磁力により吸着させることができる。これにより、当接部材50の当接部51と母材1との密着性が高まるので、切断時における切断刃102と母材1、2との位置精度が向上される。また、切断時に作業者が分解装置100qを保持せずに、母材1に対して当接部材50の当接部51を密着させることができるので、切断時における作業者の負担が軽減される。
【0331】
当接部材50の当接部51に磁力を持たせるには、当接部材50をマグネット(永久磁石)で構成するか、あるいは、当接部材50に磁性体材料を混入して、その当接部51を磁化すればよい。
【0332】
ここで、当接部材50の当接部51の磁力は、ブラインドリベット10の切断時に、コイルスプリング203により切断刃102に付与された切断力の反力に抗して、切断刃支持体201に設けた当接部材50の当接部51を母材1に当接させる力以上の大きさを有していることが望ましい。また、当接部材50は、切断刃支持体201に対して着脱交換可能に構成されていることが好ましい。
【0333】
すなわち、当接部材50を切断刃支持体201に対して着脱交換可能に構成することにより、当接部材50のみを交換することで、例えば、分解対象となる締結部材の寸法に応じて、締結部材の寸法に見合うように切断刃102の移動ストロークを変更することができるので、締結部材の寸法毎に該切断刃102の移動ストロークの異なる専用の分解装置を多数用意しておく必要がなくなる。
【0334】
更に、当接部材50は、切断刃支持体201に対して、切断刃102の切断方向に沿って進退自在に構成されていることが好ましい。すなわち、当接部材50を切断刃支持体201に対して、切断刃102の切断方向に沿って進退自在に構成することにより、例えば、切断刃102の刃先103の研磨等によって刃先部104の切断方向の寸法が変化した場合でも、切断刃支持体201に対して当接部材50の当接部51を、切断刃102の切断方向に沿って進退させることによって、切断刃102の刃先103が常に一定した位置に臨むように刃先103の位置を調整できる。
【0335】
また、当接部材50の当接部51を切断刃102の切断方向に沿って進退させることによって、当接部材50を交換せずに、分解対象となる締結部材の寸法に応じて締結部材の寸法に見合うように切断刃102の移動ストロークを変更できる。
【0336】
ここで、当接部材50の当接部51を切断刃102の切断方向に沿って進退させる構造には、例えば、図89に示すように、切断刃支持体201に当接部材50をネジ52で螺合させればよい。
[作業ミスをしたリベットを分解するための生産ライン]
頭部と胴部とからなりかつ胴部が母材に形成されている締結穴に挿通されしかも前記頭部が前記締結穴の周縁部に接触されて該母材と締結状態となっている締結部材を除去することによって母材を回収する生産システムを以下に説明する。
【0337】
以下に、母材に対する締結部材の締結状況を検査し、検査に基づいて締結部材と母材との締結状況が不良のときに、頭部と胴部との境界領域から切断して胴部と頭部とを互いに分離し、母材から締結部材を除去して母材を回収する工程を図90を参照しつつ説明する。
S.1(リベット締結工程)
市販品のブラインドリベット締結装置13を用いて少なくとも2つの母材(ワーク)をブラインドリベットによって締結する。
S.2(締結具合い検査工程)
S.1のリベット締結工程において、例えば、締結したブラインドリベット10とワーク(母材1、2)との間に隙間が発生しているかどうか(ワークががたついているかどうか)、リベット10がワークの締結穴表面に対して斜めになっているかどうか等を検査する。この締結具合い検査工程は、リベット締結工程(S.1)と同時に実施しても良い。
S.3(リベット分解工程)
締結具合い検査工程(S.2)でリベット締結不備が発見されたときには、リベット分解装置(例えば、既存のリベット締結装置13を用いる分解装置100P)を用いて、リベット10をワークから除去する。このリベット分解工程(S.3)は締結具合い検査工程(S.2)と同時に実施しても良い。リベット締結具合検査工程(S.2)をリベット締結工程(S.1)と同時に実施する場合には、このリベット分解工程(S.3)をリベット締結工程(S.1)と同時に実施しても良い。
S.4(ワーク検査工程)
リベット分解工程(S.3)において分解されたワークを再利用できる場合には、再びリベット締結工程(S.1)に移行して、2つのワークをリベットによって締結する。
【0338】
リベット分解工程(S.3)において分解されたワークを再利用できない場合には、ワークを廃棄処分とする。
【0339】
すなわち、リベット分解工程(S.3)の分解作業によって、締結穴1a、2aが曲がったり、傷ついていたり、変形していたりする場合、ワークそのものが変形していたりした場合には、そのワークを廃棄処分とする。
S.5(ユニット組み付け工程)
締結具合い検査工程(S.2)において、締結良好と判定されたワークは、生産ラインのユニット組み付け工程に送られる。その工程数は例えばn(nは整数)である。
S.6(ユニット検査工程)
そのユニットはユニット検査工程に送られる。その工程数は例えばm(mは整数)である。このユニット検査工程においては、組み付けの良好性、性能検査等が行われる。全てのユニット検査工程において、検査を満足したときには、そのユニットが出荷される。
【0340】
この生産ラインは、作業者が各自各工程を手作業によって実施しても良いし、自動化ラインのロボットによって、自動的に実施しても良い。
【0341】
なお、製品回収後のリサイクルのためのリベット分解作業の生産ラインは、以下に説明するようにすれば良い。
【0342】
ユーザーから製品を回収した場合、リベット締結状態のワーク(母材1、2)を分解装置によって分解する。分解したワークが再利用可能な状態のとき、そのワークを再利用する。その分解したワークが再利用不可能な状態のとき、そのワークを廃棄処分とする。金属製のワークと樹脂製のワークとが混在している場合には、これらのワークの分別作業を行ってから再利用することにすれば作業性が向上する。
[生産ラインに使用する自動リベット分解装置100r]
この生産ラインに使用する自動リベット分解装置100rには例えば、図91に示す構成のものを使用する。以下に、自動リベット分解装置100rの一例を説明する。
【0343】
符号703は複腕形ロボット装置を示している。この複腕型ロボット装置703は一対のアーム機構を有する。各アーム機構は、順次に連結された第1アーム704、第2アーム705、第3アーム706からなる。第1アーム704はベルト駆動ユニット(図示を略す)によって移動するベース711、ベース711に形成されたガイド711aに係合してベース711を案内するガイドレール712からなる。ベース711には第2アーム705が載置連結され、第2アーム705は原点O1で互いに交差する所定の3座標軸X1、Z1、Y1のうち座標軸X1の方向に移動される。
【0344】
符号716はそのベルト駆動ユニットの従動プーリー、符号717は駆動プーリ(図示を略す)と従動プーリ716とに巻掛けられて両端部がベースに固着されたベルトを示している。駆動プーリーはモータによって駆動されて、この駆動プーリの回転によってベルト717が走行され、同時に、ベース711がガイドレール712に案内されて第2アーム705を座標軸X1方向に高精度で移動させる。
【0345】
さらに、第2アーム705は第1アーム704のベース711上に固定されたフレーム718と、このフレーム718に形成されたスリット718aにガイドロッドが挿入されかつ第3アーム706の基端部706aが固定された移動ベース719と、移動ベース719に螺合するスクリュー(図示を略す)を回転させて移動ベース719を移動させるモータ720とからなる。この第2アーム705はモータ720の回転によって第3アーム706を移動ベース719と共に座標軸Z1方向に移動させる。
【0346】
モータ720によって回転駆動されるスクリューが螺合する移動ベース719の雄ネジは移動ベース719の移動の円滑化と高精度化とのために、多数のボールを内蔵するボールネジにより構成されている。また、ガイドロッドは移動ベース719の回り止めのために設けられている。第3アーム706は第2アーム705の移動ベース719に固定されて第2アーム705に連結された基端部706aを一端に有する第1アーム部材721と、基端部706aに対向する先端部706bを一端に有する第2アーム部材722と、第1アーム部材721の他端に第2アーム部材722の他端を連結しかつ第2アーム部材722を第1アーム部材721に対して回動させる関節部723とからなっている。そして、第3アーム706は関節部723によって先端部706bを所定の3座標軸X1、Z1、Y1のうち座標軸Y1方向に移動させる。なお、第3アーム706の先端部706bには、例えば、分解装置100Pを把持するハンド部725が設けられている。
【0347】
その複腕型ロボット装置703はコンピュータで自動制御され、生産ラインにおいて、母材1、2の締結不良が生じたとき、図90に示すフローチャートに従って、自動的に締結部材が分解される。
【0348】
【発明の効果】
請求項1ないし請求項2に記載の発明によれば、切断によって締結部材の頭部と胴部とを分離するので、締結部材を空回りさせることなく、かつ、母材を傷つけることなく、締結部材の頭部と胴部との切断を行うことができる。また、把持手段によって締結部材の揺動が防止されるので、境界領域の切断を確実に行うことができる。すなわち、切断刃が頭部に衝突するときに生じる反力を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 簡便な構成の分解装置100A1の概略構成を説明するための断面図である。
【図2】 図1に示す分解装置100A1の斜視図である。
【図3】 図1に示す分解装置100A1を用いて締結部材の境界領域の切断を説明するための図である。
【図4】 頭部が皿形状の締結部材の境界領域の切断を説明するための図である。
【図5】 切断力付与手段を有する分解装置100A2を説明するための図である。
【図6】 切断力付与手段を有する分解装置100A3の外観図である。
【図7】 図6に示す分解装置100A3の断面図である。
【図8】 図7に示す分解装置100A3を用いて締結部材の境界領域を切断した際の刃先部と分離破断箇所との位置関係を説明するための部分断面図である。
【図9】 図7に示す分解装置100A3を用いて切断された締結部材の頭部と刃先部との関係を説明するための部分断面図である。
【図10】 図7に示す分解装置100A3の刃先部の高さとこの刃先部により切断される分離破断箇所との関係を説明するための図である。
【図11】 刃先部の内周面にテーパ面を有する分解工具100A4の断面図である。
【図12】 カシメマシンを用いたピン締結技術を説明するための説明図である。
【図13】 ピン締結技術により母材に締結された軸を分解装置100A4を用いて切断する状態を示す部分断面図である。
【図14】 ピン締結技術により母材に締結された軸と分解装置100A4の刃先部との位置関係を説明するための断面図である。
【図15】 切断力付与手段を有する分解装置100Bの概略構成を示す断面図である。
【図16】 切断力付与手段を有する分解装置100Cの構成を示す概略断面図である。
【図17】 母材に締結された締結部材と分解装置100Bとの寸法関係を説明するための断面図である。
【図18】 母材に締結された締結部材と分解装置100Bとの高さ関係を説明するための断面図である。
【図19】 着脱可能な切断刃を有する分解装置100B1の構成を示す概略断面図である。
【図20】 着脱可能な切断刃を有する分解装置100C1の構成を示す概略断面図である。
【図21】 締結部材の境界領域の切断時に、この締結部材のカシメ付け部を支承するサポート部材の説明図である。
【図22】 サポート部材の他の構成を示す説明図である。
【図23】 分解装置を用いた締結部材分解装置構造体を示す図である。
【図24】 母材に対する位置決め部材を有する分解装置100Dの構成を示す断面図である。
【図25】 母材に対する位置決め部材を有する分解装置100D’の構成を示す断面図である。
【図26】 分解装置100D’の改良品を示す断面図である。
【図27】 分解装置100D’の更に他の改良品を示す断面図である。
【図28】 分解装置100D’の更に他の改良品を示す断面図である。
【図29】 図33に係わる把持ユニットの分解斜視図である。
【図30】 図29に示すホルダーを底面側から目視した平面図である。
【図31】 図29に示すホルダーを締め付け部材に取り付けた状態を示す断面図である。
【図32】 把持ユニットの作用を説明するための断面図であり、(a)は把持ユニットのチャック爪を胴部に係合させる直前の状態を示し、(b)はチャック爪を胴部係合させた状態を示す。
【図33】 図29に示す把持ユニットを有する分解装置の断面図である。
【図34】 締結部材の他の例を示し、(a)は頭部に傾斜面を有する締結部材、(b)は頭部に段差部を設けた締結部材、(c)は頭部に厚肉部を設けた締結部材をそれぞれ示す。
【図35】 図31に示す把持ユニットによって図34(a)に示す締結部材の胴部を把持した状態を示す図である。
【図36】 図34(a)に示す締結部材を図33に示す分解装置によって分解している状態を示す断面図である。
【図37】 図37に示す把持ユニットの他の例を示す断面図である。
【図38】 図37に示す把持ユニットを用いて、図34(b)に示す締結部材を把持している状態を示す断面図である。
【図39】 締結部材に挿入されるカラーの説明図であって、(a)はスリ割りが形成されているカラーを締結部材の胴部に挿入する直前の状態を示し、(b)は母材1、2にカラーが介在された締結部材を挿通した状態を示し、(c)は締結部材の胴部をカシメ付けて、母材1、2を締結部材によって締結した状態を示す。
【図40】 図39に示すカラーの平面図であり、(a)はスリ割りが形成されているカラーを示し、(b)はV溝が形成されたカラーを示し、(c)は貫通穴が形成されたカラーを示す。
【図41】 図39に示すカラーの破壊に用いる把持ユニットを示す断面図である。
【図42】 図39に示すカラーの破壊後に把持ユニットによって、締結部材の胴部を把持する直前の状態を示す断面図である。
【図43】 図41に示す把持ユニットによって締結部材の胴部を把持して、締結部材を切断刃ユニットによって切断する直前の状態を示す断面図である。
【図44】 カラーの他の例を示す図であって、(a)はスリ割り付きのカラーに固着層を設けた平面図を示し、(b)は(a)に示すカラーの側面図であり、(c)は(b)に示すカラーを締結部材の頭部下面に取り付けた状態を示す側面図である。
【図45】 締結部材の分解装置100Fの概略構成を示す断面図である。
【図46】 図45に示す分解装置100Fの切断刃の寸法を説明するための部分断面図である。
【図47】 図45に示す分解装置100Fを用いてブラインドリベットの境界領域を分解する過程を説明するための図であって、(a)は切断刃が頭部と胴部との境界領域に食い込んで、切断分離される直前の状態を示し、(b)は頭部と胴部との分離後に切断刃の刃先が背面側のカシメ付け部に当接している状態を示し、(c)はその切断刃によって胴部を締結穴から押し出している状態を示している。
【図48】 切断刃の胴部に対する寸法関係を変更した例を示す図である。
【図49】 図48に示す切断刃を用いて境界領域を切断する過程を説明するための図であって、(a)は切断刃が頭部に食い込んだ直後の状態を示し、(b)は切断刃が頭部と胴部との境界領域に食い込んで、切断分離される直前の状態を示し、(c)はその切断刃によって胴部を締結穴から押し出している状態を示している。
【図50】 図48に示す切断刃の頭部への食い込み状態を説明するための拡大断面図である。
【図51】 胴部押出手段を有する分解装置100Gの概略構成を示す断面図である。
【図52】 図51に示す分解装置100Gを用いてブラインドリベットの境界領域を切断する過程を示す図であって、(a)は境界領域の切断直後の状態を示し、(b)はその境界領域の切断後に、胴部押し出し手段によって胴部が締結穴から押し出されている状態を示している。
【図53】 図51に示す分解装置100Gの改良品であって、分解工具100G’の概略構成を示す断面図である。
【図54】 放射状切断刃の説明図であって、(a)は4個の板状体からなる放射状刃を有する放射状切断刃の斜視図を示し、(b)は3個の板状体からなる放射状刃を有する放射状切断刃の斜視図を示し、(c)は、4個のくさび状体からなる放射状刃を有する放射状切断刃を示している。
【図55】 図54(a)に示す放射状切断刃を用いて、ブラインドリベットの頭部を切断する状態を示す断面図である。
【図56】 放射状切断刃によって切断された頭部を示す斜視図である。
【図57】 放射状切断刃を一体に有する分解装置100Hの概略構成を示す断面図である。
【図58】 放射状切断刃を一体に有する分解装置100H’の概略構成を示す断面図である。
【図59】 穴形成手段を有する分解装置100Iの概略構成を示す斜視図である。
【図60】 図59に示す円筒状構造体の詳細構成を示す断面図である。
【図61】 図59に示す円筒状構造体の接合部の詳細構成を示す図であり、(a)は分解斜視図であり、(b)はその組立体を示す部分斜視図である。
【図62】 図60に示すピストンの説明図であって、(a)はそのピストンの底面図であり、(b)はピストンとして円筒状切断刃を用いた例をを示す部分斜視図である。
【図63】 図60に示す円筒状構造体の内面展開図である。
【図64】 針状部材によって頭部に複数の穴を形成している状態を示す断面図である。
【図65】 針状部材によって頭部に複数の穴を形成する工程の説明図であって、(a)は第1回目の工程によって頭部に形成された穴列を示し、(b)は複数回の工程によって頭部に形成された連続的な穴を示している。
【図66】 分解装置100Iを用いて胴部を締結穴から除去している状態を示す断面図である。
【図67】 切断刃に加わる衝撃緩和を図ることの可能な分解装置100Jの概略構成を示す断面図である。
【図68】 分解装置100Jを用いてブラインドリベットの境界領域を切断する過程を説明するための図であって、(a)は図67に示すタッピング部材を軸穴に螺合させた状態を示し、(b)は図67に示す切断刃によって境界領域を切断している状態を示している。
【図69】 切断刃に加わる衝撃緩和を図ることの可能な分解装置100Kの概略構成を示す断面図であり、(a)はタッピング部材を軸穴に螺合させた状態を示し、(b)は切断刃によって境界領域を切断している状態を示している。
【図70】 切断刃に加わる衝撃緩和を図ることの可能な分解装置100Lの概略構成を示す断面図であり、(a)はタッピング部材を軸穴に螺合させた状態を示し、(b)は切断刃によって境界領域を切断している状態を示している。
【図71】 切断刃に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Mの外観図である。
【図72】 図71に示すノーズケーシングの概略構成を示す断面図である。
【図73】 図71に示すマンドレルを軸穴から除去する過程を説明するための説明図であって、(a)はマンドレルをノックピンによって除去している状態を示し、(b)はマンドレルが除去された締結部材の断面図であり、(c)は図72に示す引っ張り棒を軸穴に挿通する直前の状態を示す断面図である。
【図74】 図71に示す分解装置100Mを用いてブラインドリベットの境界領域を切断する過程を説明するための図であって、(a)は切断刃が頭部に当接されている状態を示し、(b)は引っ張り棒の引っ張りによって、頭部にその境界領域に沿って切断刃の刃先部が食い込んだ状態を示している。
【図75】 引っ張り棒のリベット当接部に切断刃を形成して切断刃に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Nを示す説明図であって、(a)は引っ張り棒のリベット当接部をカシメ付け部に当接させた状態を示し、(b)はリベット当接部に形成されている切断刃によってカシメ付け部を切断している状態を示している。
【図76】 ノーズピースに設けられた切断刃とリベット当接部に設けられた切断刃とによってブラインドリベットの両頭部を切断することにより切断刃に加わる衝撃の緩和を図ることのできる分解装置100Oを示す説明図であって、(a)は両切断刃が各頭部に当接している状態を示し、(b)は各切断刃によって各頭部が切断されている状態を示している。
【図77】 複数回の切断動作によって締結部材の境界領域を切断する分解装置の主要部としての円筒状構造体を示す断面図である。
【図78】 図77に示す分解装置に用いる切断刃の一例を示す図であって、(a)は外周面にテーパ面が形成された切断刃の斜視図であり、(b)は内周面にテーパ面が形成された切断刃の斜視図である。
【図79】 図77に示すピストン及び切断刃の底面図であり、(a)は45度間隔で切断刃を形成した場合を示し、(b)は60度間隔で切断刃を形成した状態を示す。
【図80】 図77に示す円筒状構造体の内面展開図である。
【図81】 図78に示す円筒状切断刃を用いて境界領域を切断している状態を示す断面図である。
【図82】 図78に示す円筒状切断刃による頭部の切断状態の説明図であり、(a)は頭部に形成された切断箇所と未切断箇所とを示す図であり、(b)は複数回の切断動作により頭部に円周状切断箇所が形成された状態を示す図である。
【図83】 図78に示す円筒状切断刃による境界領域の切断後、胴部を締結穴から除去する状態を示す図である。
【図84】 アタッチメント構造の分解装置100Pの主要部を示す断面図である。
【図85】 図84に示す分解装置100Pを用いて境界領域を切断する過程を説明するための図であって、(a)は圧縮部材をジョー部材に把持させた状態を示し、(b)は切断力付勢手段に切断力を蓄積させた状態を示し、(c)は圧縮部材の破断部が破断された状態を示し、(d)は蓄積された切断力の解放によって境界領域が切断された状態を示している。
【図86】 圧縮部材としての引っ張りピンにその軸方向に沿って複数個の破断部を形成した分解装置100Pを示す図である。
【図87】 切断刃支持体の端壁に嵌合部を形成した分解装置100Pを示す図である。
【図88】 切断刃支持体の端壁にパイプ部を形成した分解装置100Pを示す図である。
【図89】 切断刃支持体に母材に当接する当接部材を設けた分解装置100qを示す図である。
【図90】 母材から締結部材を除去して母材を回収する生産システムを説明するためのフローチャートである。
【図91】 自動リベット分解装置の概略構成を示す斜視図である。
【図92】 ネジ締結技術の説明図であって、(a)はボルト・ナットによって母材を締結している状態を示し、(b)はタッピングビスによって母材同士を締結している状態を示す。
【図93】 ピン締結技術の説明図であって、(a)はカシメマシンを用いてピンの両端部をカシメることによって母材同士を締結している状態を示し、(b)は母材としての軸をカシメることによって軸の端部と母材とを締結している状態を示す。
【図94】 リベット締結技術の説明図であり、(a)はソリッドリベットを示し、(b)はチューブラリベットを示し、(c)はブラインドリベットを示し、(d)はソリッドリベットによって母材同士を締結している状態を示し、(e)はチューブラリベットによって母材同士を締結している状態を示し、(f)はブラインドリベットによって母材同士を締結している状態を示す。
【図95】 ブラインドリベットを用いて母材を締結する締結工程の説明図であり、(a)は母材1の締結穴にブラインドリベットを挿通する直前の状態を示し、(b)はそのブラインドリベットのマンドレルの端部をブラインドリベット締結装置のジョー部材によって把持する直前の状態を示し、(c)はそのジョー部材によってマンドレルの軸部を把持した状態を示し、(d)はそのジョー部材によってマンドレルの軸部を引っ張ることにより、マンドレルが破断箇所から破断されることによって、胴部の突出端部がカシメ付けられた状態を示している。
【図96】 バーリングカシメを示す断面図である。
【図97】 ドリルによって頭部を切削することにより締結部材を分解している状態を示す図である。
【図98】 ドリルによる分解方法の不具合を説明するための図である。
【符号の説明】
1、2 母材
1a、2a 締結穴
10 締結部材
11b 胴部
11c 頭部
102 切断手段
100A1 分解装置
A 境界領域
Claims (2)
- 頭部と胴部とからなり該胴部が母材に形成されている締結穴に挿通されかつ前記頭部と前記母材との間に前記胴部の外径以上の大きさの内径を有ししかも胴部軸方向に厚さを有する補助部材が介在されて前記母材と締結状態となっている締結部材の頭部と胴部との境界領域を前記頭部から前記胴部に向かって切断して、前記胴部から前記頭部を分離することによって、前記母材から前記締結部材を除去可能とする締結部材の分解方法において、前記境界領域が前記締結穴の穴径よりも小さくかつ前記胴部の外周面に略平行な円筒領域であり、前記境界領域を切断する前に、前記補助部材を破壊して該補助部材を除去した後に該補助部材の除去により前記頭部と前記母材との間に生じた隙間に前記胴部軸方向と直交する方向から把持手段を挿入して前記胴部を把持することによって前記締結部材を固定することを特徴とする締結部材の分解方法。
- 頭部と胴部とからなり該胴部が母材に形成されている締結穴に挿通されかつ前記頭部と前記母材との間に前記胴部の外径以上の大きさの内径を有ししかも胴部軸方向に厚さを有する補助部材が介在されて前記母材と締結状態となっている締結部材の胴部と頭部との境界領域を切断して前記頭部と前記胴部とを分離する切断手段が設けられている分解装置において、前記境界領域は前記締結穴の穴径よりも小さく、かつ、前記胴部の外周面に略平行な円筒領域であり、前記切断手段には、前記締結穴の穴径以下でかつ前記境界領域を切断可能な大きさの径を有する先端が設けられ、前記切断手段に前記境界領域を切断するための切断力を付与する切断力付与手段が設けられ、前記補助部材を破壊して該補助部材を除去した後該補助部材の除去により前記頭部と前記母材との間に生じた隙間に前記胴部軸方向と直交する方向から挿入されて胴部を把持することによって前記締結部材を固定する把持手段が設けられていることを特徴とする分解装置。
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