JP4052703B2 - アルコール類の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この出願の発明は、カルボニル化合物を医薬、農薬あるいは多くの汎用化学品の合成中間体として有用なアルコー類に高収率にしかも高速に水素化することのできるアルコール類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
均一系触媒を使用してカルボニル化合物類の水素化により対応するアルコール類を製造することは周知である。例えば(1) Comprehensive Organometallic Chemistry, Vol. 4,931頁(1982), Eds.G.Wilkinson, F.G.A.Stone and E.W.Abel に記載されたルテニウム錯体を用いる方法、(2)Inorg,Nucl.Chem.Letters,Vol.12,865頁(1976);J.Organomet. Chem., Vol.129, 239頁(1977);Chem.Letters,261頁(1982)およびTetrahedron Letters, Vol.35,4963頁(1994)に記載されたロジウム錯体を用いる方法、(3) J.Am.Chem.Soc.,Vol.115,3318頁(1993)に記載されたイリジウム錯体を用いる方法等が知られている。また、(4)J.Am.Chem.Soc.,Vol.117,2675-2676頁(1995)に記載されるホスフィンおよびジアミン配位子の存在下に水素化する方法なども知られている。
【0003】
しかしながらこれらの従来の方法では、錯体触媒の水素化活性が低く、比較的高温あるいは高い水素圧を必要とするため実用的には必ずしも適さないという問題点がある。さらに、前記(4)文献記載との方法は、選択性および活性の点で優れているもののホスフィン−ルテニウム錯体を用いているので、毒性の観点から特に安全とは言えず、かつ、工業的に回収使用する場合にも難点がたった。
【0004】
そこで、この出願の発明は、上記従来技術における欠点を克服し、安価で実用的なルテニウム錯体を使用し、極めて高活性な触媒系を提供し、この触媒系を用いてのアルコール類の製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわちこの出願の発明は、上記課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
第1:液体反応媒体中において、下式
RuXmLn
(式中、Xは水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基を示し、Lは、オレフィン類配位子または芳香族化合物配位子を示し、m、nは、各々、1〜6の整数を示す。)で表される遷移金属触媒と、一般式NR 3 R 4 R 5 で示される第1級アミンまたは第2級アミン、および一般式NR 6 R 7 N−Z−NR 8 R 9 で示されるジアミン(R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 、R 9 は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、またはアリール基を示す。Zは炭素数1〜5のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。)から選ばれる少なくとも1種の含窒素有機化合物と塩基と気体水素の存在下にカルボニル化合物を気体水素と反応させて対応するアルコール類に水素化することを特徴とするアルコール類の製造方法。
第2:遷移金属触媒の配位子Lは、オレフィン系環状化合物である上記第1のアルコール類の製造方法。
第3:オレフィン系環状化合物は、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、またはノルボナジエンである上記第2のアルコール類の製造方法。
第4:遷移金属触媒の配位子Lは、ベンゼン、p−シメン、メシチレン、ナフタレン、またはアントラセンである上記第1のアルコール類の製造方法。
第5:塩基がアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物または塩、あるいは四級アンモニウム塩である上記第1ないし第4のいずれかのアルコール類の製造方法。
第6:カルボニル化合物が一般式
【化2】
(式中、R1 、R2 は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または複素環基、もしくはRO−またはRO−CO−で、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基または複素環基を示し、R1 およびR2 は、結合して環を形成していてもよく、ただし、R1 およびR2 がともにハロゲン原子となることがないことを示す。)で表わされる上記第1ないし第5のいずれかのアルコール類の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下、この実施の形態について詳しく説明する。
まず、アルコール類製造のための原料化合物としてのカルボニル化合物であるが、このものはカルボニル基(−CO−)を持つ任意のものであってよいが、代表的には、次式
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1 、R2 は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または複素環基、もしくはRO−またはRO−CO−で、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基または複素環基を示し、R1 およびR2 は、結合して環を形成していてもよく、ただ、R1 およびR2 がともにハロゲン原子となることがないことを示す。)で表われるものが示される。
【0010】
炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基の各種のもので、また複素環基についても、フリル基、チェニル基、イミダゾール基、ピペリジル基、ピリジン基、カルバゾール基等の各種のものであってよい。
一般式(a)で示すカルボニル化合物は具体的にはR1 、R2 は同じかもしくは異なっていてもよく、さらにR1 とR2 が結合して環を形成してもよい置換あるいは無置換の基であり、具体的にはR1 、R2 において、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが、アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、メンチル基、2,3,4−トリメチル−3−ペンチル基、2,4−ジメチル−3−ペンチル基などが、アラルキル基としてはベンジル基、2−フェニルエチル基、2−ナフチルエチル基、ジフェニルメチル基などが、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フリル基、チオフェニル基、などが、アルケニル基としては2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、トランス−β−スチリル基、3−フェニル−1−プロペニル基、1−シクロヘキセニル基などが、アルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基などが、アリールオキシ基としてはフェノキシ基などが、アルキルオキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基などがそれぞれ例示される。これらの基がさらに置換基で置換されている場合の置換基としては、前記したと同様のハロゲン原子、前記したと同様のアルコキシル基、前記したと同様のアリールオキシ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基、n−プロピルチオ基、t−ブチルチオ基などの低級アルキルチオ基、フェニルチオ基などのアリールチオ基、ニトロ基、水酸基などが例示される。
【0011】
このようなカルボニル化合物の水素化には、この発明では、均一水素化触媒含窒素有機化合物塩基の三成分触媒系が使用されるが、このうちの均一水素化触媒については、反応条件下に液体反応媒体に可溶化されるRu(ルテニウム)の錯体が効果的に用いられる。
【0012】
ルテニウム錯体触媒を示すと、次式
【0013】
【化3】
【0014】
(Xは水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基を示し、Lは、オレフィン類配位子または芳香族化合物配位子を示し、m、nは、各々、1〜6の整数を示す。)のものが示される。
式RuXmLnで示されるルテニウム錯体におけるL:オレフィン類配位子としては、例えば、エチレン、アリル、ブタジエン、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、ノルボナジエン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、などが例示される。さらに環状化合物としては、次式で表すことができる単環もしくは多環化合物がある。
【0015】
【化4】
【0016】
R1 〜R5 は同じかもしくは異なる置換基からなり、たとえば水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基またはアルキルオキシカルボニル基を示すことができる。具体的には、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが、アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、メンチル基、2,3,4−トリメチル−3−ペンチル基、2,4−ジメチル−3−ペンチル基などが、アラルキル基としてはベンジル基、2−フェニルエチル基、2−ナフチルエチル基、ジフェニルメチル基などが、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フリル基、チオフェニル基、などが、アルケニル基としては2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、トランス−β−スチリル基、3−フェニル−1−プロペニル基、1−シクロヘキセニル基などが、アルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基などが、アリールオキシ基としてはフェノキシ基などが、アルキルオキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基などがそれぞれ例示される。これらの基がさらに置換基で置換されている場合の置換基としては、前記したと同様のハロゲン原子、前記したと同様のアルコキシル基、前記したと同様のアリールオキシ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基、n−プロピルチオ基、t−ブチルチオ基などの低級アルキルチオ基、フェニルチオ基などのアリールチオ基、ニトロ基、水酸基などが例示される。置換基はその数は1〜5の任意の数であり、場所は任意の場所を選ぶことができる。
【0017】
芳香族化合物配位子としては、ベンゼン、p−シメン、メシチレン、ヘキサメチルベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどが例示されるが、さらに配位子となり得る芳香族化合物は、次式で表すことができる単環もしくは多環芳香族化合物である。
【0018】
【化5】
【0019】
Ra 〜Rf は同じかもしくは異なる置換基からなり、たとえば水素、飽和あるいは不飽和炭化水素基、アリル基、異原子を含む官能基を示すことができる。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ベンジル、ビニル、アリル、フェニル、ナフチルなどの不飽和炭化水素等の基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等の異原子を含む官能基を示すことができる。置換基はその数は1〜6の任意の数であり、場所は任意の場所を選ぶことができる。
【0022】
たとえば出発原料となるルテニウム錯体の例としては、塩化ルテニウム(III) 水和物、臭化ルテニウム(III) 水和物、沃化ルテニウム(III) 水和物等の無機ルテニウム化合物、〔2塩化ルテニウム(ノルボルナジエン)〕多核体、〔2塩化ルテニウム(シクロオクタジエン)〕多核体等のジエンが配位したルテニウム化合物、〔2塩化ルテニウム(ベンゼン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(p−シメン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(トリメチルベンゼン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(ヘキサメチルベンゼン)〕二核体等の芳香族化合物が配位したルテニウム錯体等が用いられる。この他、ジアミン配位子あるいはジアミン配位子と置換可能な配位子を有するルテニウム錯体であれば、特に、上記に限定されるものではない。例えば、COMPREHENSIVE ORGANOMETALIC CHEMISTRY II7巻 294−296ページに示された、種々のルテニウム錯体を出発原料として用いることができる。
【0023】
上記のルテニウム錯体は高い活性を有する。上記のルテニウム錯体の使用量は反応容器や経済性によっても異なるが反応基質であるカルボニル化合物に対してモル比1/100〜1/100,000で用いることができ、好ましくは1/200〜1/10,000の範囲とする。
【0024】
また、この発明に用いられる塩基については、たとえば一般式MYで示されるものであって、Mはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属であり、Yはヒドロキシル基あるいはアルコキシ基、メルカプト基、ナフチル基を示すもの、具体的にはKOH、KOCH3 、KOCH(CH3 )2 、KC10H8 、LiOH、LiOCH3 、LiOCH(CH3 )2 等が例示される。さらに四級アンモニウム塩も同様に用いることができる。
【0025】
上記の塩基の使用量はルテニウム錯体に対して0.5〜100当量であり、好ましくは2〜40当量が望ましい。さらにこの発明においては、含窒素有機化合物を反応系に使用するが、この場合の含窒素有機化合物としては、代表的にはアミン、アミン誘導体、ニトリル、イソシアニド等があるが、なかでもアミンまたはアミン誘導体が適当なものとして挙げられる。
【0026】
使用に適したアミン化合物は一般式NR3 R4 R5 で示される第1級アミンまたは第2級アミン、あるいは一般式NR6 R7 N−Z−NR8 R9 で示されるジアミンがある。ここで、(R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 は、たとえば水素あるいは炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基等の炭化水素基のうちの同一あるいは異なる基を示し、環状アミンを形成してもよい。またZは炭素数1〜5のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基から選ばれる基を示す。その例としてアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、フェニルエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどのモノアミン化合物、さらにメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、1,2−シクロペンタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N′−トリメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなどジアミン化合物が例示される。
【0027】
これら化合物の使用量はルテニウム錯体に対し、モノアミン化合物の場合は1〜20当量で、さらに2〜8当量が好適であり、ジアミン化合物の場合は0.5〜20当量で好ましくは1〜6当量の範囲である。この発明の還元反応においては、これらアミン化合物の添加は必須であり、比較例に記載したように添加しない場合には、還元生成物の収率は極端に低下する。
【0028】
この発明の方法では、液体溶媒は、反応原料、触媒系を可溶化するものであれば適宜に用いることができる。その例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリドン、ピリジン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒を用いることができる。反応生成物がアルコールであることからアルコール系溶媒が好適である。これら液体溶媒は単独でも用いることができるがこれらのうちから混合溶媒としても使うことができる。
【0029】
溶媒の量は反応基質の溶解度および経済性により判断される。2−プロパノールの場合基質濃度は1%以下の低濃度から基質だけの無溶媒に近い状態で行うことができるが、好ましくは20〜50重量%で用いることができる。
この発明の方法における水素の圧力は、1〜200気圧の範囲で、好ましくは3〜100気圧の範囲が望ましい。
【0030】
反応温度は経済性を考慮して15℃から100℃で行うことが好ましいが25〜40℃の室温付近で反応を実施することができる。しかしながら本発明においては−30〜0℃の低温でも反応が進行することを特徴としている。反応時間は反応基質濃度、温度、圧力等の反応条件によって異なるが数分から10時間で反応は完結する。
【0031】
反応は反応形式がバッチ式においても連続式においても実施することができる。
【0032】
【実施例】
以下実施例を示し、さらに詳しくこの発明方法について説明する。
実施例1
〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)とエチレンジアミン(0.02mmol)とベンゾフェノン(91mg,5.0mmol)を10moの2−プロパノールと2mlのトルエンおよび100μlのDMFに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0033】
反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロールの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は99%以上であった。
実施例2
〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)とエチレンジアミン(0.02mmol)と2−クロルベンゾフェノン(1.083g,5.0mmol)を10moの2−プロパノールと2mlのトルエンおよび100μlのDMFに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0034】
反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロールの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は97%以上であった。
実施例3
〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmol)と2,4′−ジクロルベンゾフェノン(1.255g,5.0mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエンおよび100μlのDMFに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0035】
反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロールの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は96%以上であった。
実施例4
〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmol)と4−クロルベンゾフェノン(1.083g,5.0mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエンに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0036】
反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロールの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は98%であった。
実施例5
〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmol)とアセトフェノン(0.601g,5.0mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエンおよび100μlのDMFに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0037】
反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液をガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物である1−フェニルエタノールの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は98%であった。
実施例6
〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmol)とシクロヘキサノン(0.491g,5.0mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエンおよび100μlのDMFに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0038】
反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液をガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物であるシクロヘキサノールの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は95%であった。
実施例7
〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmol)と2−オクタノン(0.641g,5.0mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエンに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0039】
反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液をガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物である2−オクタノールの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、生成物の収率は95%であった。
比較例1
〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01mmol)とKOH(0.04mmol)とベンゾフェノン(91mg,5.0mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエンに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。反応液を18時間攪拌の後、反応圧力を常圧にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘキサン/酢酸エチル=4:1)、高速液体クロマトグラフィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロールの同定と定量を行った。反応基質97%を残存し、生成物の収率は3%以下であった。
【0040】
【発明の効果】
この出願の発明は、以上詳しく説明したとおり、安価で実用的な、高活性ルテニウム触媒を使用し、効率的にアルコール類を製造することが可能となる。
Claims (6)
- 液体反応媒体中において、下式
RuXmLn
(式中、Xは水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基を示し、Lは、オレフィン類配位子または芳香族化合物配位子を示し、m、nは、各々、1〜6の整数を示す。)で表される遷移金属触媒と、一般式NR 3 R 4 R 5 で示される第1級アミンまたは第2級アミン、および一般式NR 6 R 7 N−Z−NR 8 R 9 で示されるジアミン(R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 、R 9 は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、またはアリール基を示す。Zは炭素数1〜5のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。)から選ばれる少なくとも1種の含窒素有機化合物と塩基と気体水素の存在下にカルボニル化合物を気体水素と反応させて対応するアルコール類に水素化することを特徴とするアルコール類の製造方法。 - 遷移金属触媒の配位子Lは、オレフィン系環状化合物である請求項1のアルコール類の製造方法。
- オレフィン系環状化合物は、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、またはノルボナジエンである請求項2のアルコール類の製造方法。
- 遷移金属触媒の配位子Lは、ベンゼン、p−シメン、メシチレン、ナフタレン、またはアントラセンである請求項1のアルコール類の製造方法。
- 塩基がアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物または塩、あるいは四級アンモニウム塩である請求項1ないし4のいずれかのアルコール類の製造方法。
- カルボニル化合物が一般式
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