JP4051827B2 - 車両の駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の駆動力源から車輪に対してトルクを伝達することができるように構成された車両のための駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の燃費を改善し、かつ排ガス量を低減する目的で、駆動力源として内燃機関および電動機を搭載したハイブリッド車が提案されている。このようなハイブリッド車の一例が、特開平9−117009号公報に記載されている。この公報に記載されたハイブリッド車は、内燃機関および電動機の動力が、動力伝達経路を介して駆動輪(車輪)に伝達されるように構成されているとともに、この動力伝達経路には変速機および減速機が設けられている。また、動力伝達経路における内燃機関と電動機との間には、クラッチ(入力クラッチ)が設けられている。このハイブリッド車によれば、電動機が単独で車両を走行させるモードと、内燃機関が単独で車両を走行させるモードと、内燃機関および電動機の両方により車両を走行させるモードとを選択することができる。また、このハイブリッド車によれば、電動機単独モードでクラッチを解放することにより、内燃機関が電動機の負荷になることを防止できるとされている。
【0003】
また、特開平9−209790号公報には、停車時に一時的にエンジンを停止するいわゆるエコラン制御を実施することのできる制御装置が記載されている。この種の車両では、停止信号などによって車両が停止した場合にエンジンを停止するので、排ガスおよび燃料消費量を低減することができる。しかしながら、発進時にエンジンを再始動する必要があり、その際に始動の遅れがあると搭乗者に違和感を与えることになる。そのため、上記の公報に記載された装置では、停止状態を維持するためのブレーキが解除されたことによりエンジンの再始動をおこない、またバッテリの充電状態が低下した停車時にはバッテリの充電状態の低下に基づいてエンジンを再始動するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平9−117009号に記載された発明では、電動機のみを使用して走行するいわゆるモータ走行モードを設定することを前提としているので、モータ走行モードの際には、入力クラッチを解放してエンジンを動力伝達系統から切り離し、エンジンによるフリクションロスを回避することができるが、そのシステムをいわゆるエコラン車に適用するとすれば、エンジンの再始動時に入力クラッチを係合させて電動機によってエンジンを回転させることになる。その場合、燃料の欠乏などの理由でエンジンを再始動できなければ、車両が発進することができなくなってしまう。また、特開平9−209790号公報に記載された発明においても、再発進に先立ってエンジンを始動する制御を実行するものの、その際にエンジンの始動の不良が発生した場合には、車両がそのまま発進することができなくなってしまう。
【0005】
このような場合の対処の仕方として、従来、スタータによってエンジンを強制的に回転させ、そのエンジンを介して駆動輪にトルクを伝達することにより、退避走行をおこなうことが知られている。しかしながらこのような退避走行は、きわめて特殊な事態であるとして効率が考慮されておらず、そのため電力消費量が多くなってしまい、バッテリに対する負荷が過剰になったり、あるいはバッテリの充電量が少ない場合には、必要な走行をおこなうことができない可能性がある。
【0006】
この発明は、上記の技術的課題に着目し、エンジンなどの駆動力源を一時的な停車時に停止させた後、その再始動に不良が生じた場合の走行を確保することのできる駆動制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、第1の駆動力源の出力トルクを車輪に対して選択的に伝達する入力クラッチと、その入力クラッチを介さずに車輪に対して駆動トルクを出力する第2の駆動力源と、前記第1の駆動力源にトルク伝達可能に連結された第3の駆動力源とを備え、一時的な停車時に前記第1の駆動力源を停止しかつ再始動する車両の駆動制御装置において、前記一時的な停車の際の第1の駆動力源の停止後の再始動の可否を判断する再始動判断手段と、第1の駆動力源の再始動が不可であることを前記再始動判断手段が判断した場合に第2の駆動力源と第3の駆動力源とのうちの動作させるべき駆動力源を選択する駆動力源選択手段と、その駆動力源選択手段で選択された駆動力源に応じて前記入力クラッチの係合・解放を制御する入力クラッチ制御手段とを備え、前記入力クラッチ制御手段は、前記駆動力源選択手段で第2の駆動力源が選択された場合には前記入力クラッチを解放させ、かつ前記駆動力源選択手段が前記第3の駆動力源を選択した場合には前記入力クラッチを係合させる手段を含むことを特徴とする駆動制御装置である。
【0011】
したがって請求項1の発明では、第1の駆動力源を再始動できない場合に走行のための駆動力源として第2の駆動力源もしくは第3の駆動力源が選択され、その選択された駆動力源に基づいて入力クラッチが係合もしくは解放させられるので、車輪に確実に駆動トルクが伝達されるうえに、不必要に動力を消費することが回避される。より具体的には、請求項3の発明によるように、第2の駆動力源で走行する場合には、入力クラッチが解放させられて第1の駆動力源が、車輪へのトルク伝達系統から遮断され、第1の駆動力源を不必要に回転させることによる動力の損失が回避され、さらに第3の駆動力源で走行する場合には、入力クラッチが係合させられてその出力トルクが車輪に対して確実に伝達される。
【0012】
請求項2の発明は、入力部から出力部へのトルク伝達経路を成立させる走行ポジションと入力部から出力部へのトルク伝達経路を成立させない非走行ポジションとを選択することのできる変速機における前記入力部に、第1の駆動力源が入力クラッチを介して連結され、かつ前記変速機の入力部に第2の駆動力源が連結された車両の駆動制御装置において、前記第1の駆動力源の始動の際に前記変速機で設定されている前記ポジションを判断するポジション判断手段と、そのポジション判断手段で判断された前記変速機のポジションに応じて前記入力クラッチの係合・解放の制御をおこなう入力クラッチ制御手段とを備えていることを特徴とする駆動制御装置である。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2の構成において、前記入力クラッチ制御手段は、前記変速機で前記走行ポジションが設定されている場合に前記入力クラッチを解放させる手段を含むことを特徴とする駆動制御装置である。
【0014】
したがって請求項2および請求項3の発明では、第1の駆動力源を始動する際にその出力側に連結されている変速機が走行ポジションに設定されていれば、入力クラッチによって第1の駆動力源と変速機とが遮断されるので、第1の駆動力源の出力側に負荷がない状態で第1の駆動力源が始動され、したがってその始動性が良好になる。その場合、第1の駆動力源の始動をおこなえない場合には、入力クラッチを解放したまま第2の駆動力源を動作させることにより、車両が走行することが可能になる。さらに、変速機が非走行ポジションに設定される場合には、入力クラッチを係合させて第1の駆動力源と第2の駆動力源とを連結し、その状態で第2の駆動力源を動作させることにより、第2の駆動力源で第1の駆動力源を始動のために回転させることが可能になる。
【0015】
そして、請求項4の発明は、第1の駆動力源から車輪に到るトルク伝達経路に介在されかつ係合することによりトルクを伝達する係合装置と、前記第1の駆動装置が動作することにより前記係合装置を係合状態とすることのできる係合駆動装置とを備え、一時的な停車時に前記第1の駆動力源を停止しかつ再始動する車両の駆動制御装置において、前記一時的な停車の際の第1の駆動力源の停止後の再始動の可否を判断する再始動判断手段と、第1の駆動力源の再始動が不可であることを前記再始動判断手段が判断した場合に前記係合装置を係合状態とすることのできる他の係合駆動装置とを備えていることを特徴とする駆動制御装置である。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記係合装置は、入力クラッチを含み、その入力クラッチを介さずに前記車輪に対して駆動トルクを出力する第2の駆動力源と、前記第1の駆動力源の再始動が不可であることを前記再始動判断手段が判断した場合に前記入力クラッチを解放するとともに第2の駆動力源を動作させる駆動制御手段とを更に備えていることを特徴とする車両の駆動制御装置である。
請求項6の発明は、請求項4または5の発明において、前記他の係合駆動装置は、電力で動作して油圧を発生する電動オイルポンプと、油圧を蓄えるアキュームレータとを含むことを特徴とする車両の駆動制御装置である。
請求項7の発明は、請求項5または6の発明において、入力された動力を変速して前記車輪に出力する変速機を更に備え、前記第2の駆動力源は、前記変速機の入力側に連結されていることを特徴とする車両の駆動制御装置である。
請求項8の発明は、請求項4ないし7のいずれかの発明において、シフトポジションを選択するシフトレバーを操作することにより切り換え動作するマニュアルバルブが前記各係合駆動装置に連通して設けられるとともに、前記係合装置を制御するソレノイドバルブが前記各係合駆動装置に対して前記マニュアルバルブとは並列に接続されて設けられていることを特徴とする車両の駆動制御装置である。
【0016】
したがって、請求項4ないし8の発明では、第1の駆動力源を再始動する場合、その再始動が不可であれば、係合駆動装置が動作しないが、これに替えて他の係合駆動装置が動作して係合装置が係合状態とされるので、トルクの伝達経路が確立され、その結果、何らかの駆動装置によって第1の駆動力源から車輪に到るトルク伝達経路にトルクを入力することにより、車両を走行させることが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図2はこの発明の一実施形態であるハイブリッド車のパワープラントの一例を示している。車両の動力源としての内燃機関1は、要は、燃料を燃焼させて動力を出力する装置であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを採用することができる。また内燃機関1には、レシプロエンジンやロータリーエンジンあるいはタービンエンジンであってもよい。なお、以下の説明では、内燃機関1をエンジン1と記す。
【0018】
またエンジン1は、電子スロットルバルブ1Aの開度や燃料噴射量あるいは点火時期などを電気的に制御できるように構成され、さらにエンジン1を始動させるスタータ1Bが設けられている。そして、エンジン1を制御するための電子制御装置(E/G−ECU)8が設けられている。この電子制御装置8は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。以下、各種の電子制御装置が説明されているが、その構成はこのエンジン1用の電子制御装置8とほぼ同様である。そして、この電子制御装置8において、アクセル開度や車速、変速信号、エンジン水温などの入力データに基づいて予め記憶しているプログラムに従って演算をおこない、その演算結果に基づいて制御信号を出力するように構成されている。
【0019】
さらに、内燃機関1の出力側に入力クラッチ122を介して、他の駆動力源としての機能を有する電動機(MG)2が接続されている。また、電動機2の出力側にはトルクコンバータ(T/C)4を介して自動変速機3が配置されている。この自動変速機3は、変速機構5と、この変速機構5およびトルクコンバータ4を制御する油圧制御部7とを有している。
【0020】
その電動機2は、要は、電力が供給されてトルクを出力する装置であり、直流モータや交流モータを採用することができ、さらには固定永久磁石型同期モータなどの発電機能を兼ね備えたいわゆるモータ・ジェネレータを使用することができる。なお、以下の説明では、電動機2をモータ・ジェネレータ2と記す。また、モータ・ジェネレータ2の回転数および回転角度を検出するレゾルバ2Aが設けられている。さらに、モータ・ジェネレータ2には、インバータ9を介してバッテリ10が接続されている。
【0021】
そして、モータ・ジェネレータ2を制御するコントローラとしての電子制御装置(MG−ECU)11が設けられている。この電子制御装置11は、入力されるデータに基づいて演算をおこなって、モータ・ジェネレータ2に供給する電流や周波数、モータ・ジェネレータ2を発電機として用いてバッテリ10に充電する電力、モータ・ジェネレータ2を発電機として機能させる場合の回生制動トルクなどを制御するように構成されている。
【0022】
図3は、この発明のハイブリッド車のパワープラントを示すスケルトン図である。エンジン1のクランクシャフト1Cと、トルクコンバータ4のフロントカバー120が接続されている動力伝達軸121との間に、前記入力クラッチ122が配置されている。この入力クラッチ122は、エンジン1と動力伝達軸121との間の動力伝達状態を制御する機能を有している。この実施形態では、入力クラッチ122として公知の摩擦式クラッチが用いられている。すなわち、入力クラッチ122は、シリンダおよびピストンならびにリターンスプリング(いずれも図示せず)などを有する。そして、入力クラッチ122は、ピストンに作用する油圧により、入力クラッチ122の係合・解放を制御するように構成されている。また、この動力伝達軸121には、モータ・ジェネレータ2のロータ(図示せず)が連結されている。
【0023】
前記トルクコンバータ4は、油圧により動作が制御されるように構成されており、フロントカバー120に一体的に結合されたポンプインペラ47と、変速機構5の入力軸57に取り付けられたタービンランナ61と、トルクコンバータ4の一部を構成しているケーシング内部のオイルの流れの向きを変えるステータ56と、フロントカバー120と入力軸57との間の動力伝達状態を切り換えるロックアップクラッチ62とを有している。
【0024】
ロックアップクラッチ62が解放されると流体による動力伝達状態になり、ロックアップクラッチ63が係合されると機械的な動力伝達状態になる。なお、ロックアップクラッチ62が解放された状態では、ステータ56の機能により、ポンプインペラ47からタービンランナ61に伝達されるトルクを増幅することができる。
【0025】
また、トルクコンバータ4と変速機構5との間には、機械式オイルポンプ6が配置されている。この機械式オイルポンプ6の回転軸は、ポンプインペラ47に接続されている。したがって、この機械式オイルポンプ6は、エンジン1またはモータ・ジェネレータ2の動力により駆動することができる。また、車輪96Aから入力される動力を機械式オイルポンプ6に伝達することにより、機械式オイルポンプ6を駆動することもできる。機械式オイルポンプ6は、入力クラッチ122およびトルクコンバータ4ならびに自動変速機3に供給する油圧の元圧を発生する機能を有している。なお、この機械式オイルポンプ6が請求項4ないし8の発明における係合駆動装置に相当している。
【0026】
一方、図3に示す自動変速機3は、前進5段・後進1段の変速段を設定することができるように構成されている。すなわちここに示す自動変速機3は、トルクコンバータ4および機械式オイルポンプ6に続けて副変速部81と、主変速部82とを備えている。その副変速部81は、いわゆるオーバードライブ部であって1組のシングルピニオン型遊星歯車機構83によって構成され、キャリヤ84が前記入力軸57に連結され、またこのキャリヤ84とサンギヤ85との間に一方向クラッチF0 と一体化クラッチC0 とが並列に配置されている。なお、この一方向クラッチF0 はサンギヤ85がキャリヤ84に対して相対的に正回転(入力軸57の回転方向の回転)する場合に係合するようになっている。またサンギヤ85の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。そしてこの副変速部81の出力要素であるリングギヤ86が、主変速部82の入力要素である中間軸87に接続されている。
【0027】
したがって副変速部81においては、一体化クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊星歯車機構83の全体が一体となって回転するため、中間軸87が入力軸57と同速度で回転し、低速段となる。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ85の回転を止めた状態では、リングギヤ86が入力軸57に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0028】
他方、主変速部82は三組の遊星歯車機構88,89,90を備えており、それらの回転要素が以下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構88のサンギヤ91と第2遊星歯車機構89のサンギヤ92とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機構88のリングギヤ93と第2遊星歯車機構89のキャリヤ94と第3遊星歯車機構90のキャリヤ95との三者が連結され、かつそのキャリヤ95に出力軸96(自動変速機3の出力部材)が連結されている。この出力軸96が、動力伝達装置(図示せず)を介して車輪96Aに接続されている。さらに第2遊星歯車機構89のリングギヤ97が第3遊星歯車機構90のサンギヤ98に連結されている。
【0029】
この主変速部82の歯車列では後進段と前進側の四つの変速段とを設定することができ、そのためのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されている第2遊星歯車機構89のリングギヤ97および第3遊星歯車機構90のサンギヤ98と中間軸87との間に第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第1遊星歯車機構88のサンギヤ91および第2遊星歯車機構89のサンギヤ92と中間軸87との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0030】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構88および第2遊星歯車機構89のサンギヤ91,92の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ91,92(すなわち共通サンギヤ軸)とトランスミッションハウジング20との間には、第1一方向クラッチF1 と多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されており、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ91,92が逆回転(入力軸57の回転方向とは反対方向の回転)しようとする際に係合するようになっている。多板ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構88のキャリヤ99とトランスミッションハウジング20との間に設けられている。
【0031】
そして第3遊星歯車機構90のリングギヤ100の回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブレーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがトランスミッションハウジング20との間に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ100が逆回転しようとする際に係合するようになっている。上述した各変速部81,82の回転部材のうち副変速部81のクラッチC0 の回転数を検出するタービン回転数センサ101と、出力軸96の回転数を検出する出力軸回転数センサ102とが設けられている。上記変速機構5の一部を構成する各種のクラッチやブレーキには、いわゆる、湿式油圧多板クラッチが用いられている。また、これらのクラッチやブレーキが請求項4ないし8の発明における係合装置に相当している。
【0032】
上記の自動変速機3では、各クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を、図4に示すように係合・解放することにより、前進第1段ないし第5段の変速段と、後進1段の変速段とを設定することができる。すなわち、自動変速機3は、その変速比を段階的に変更することのできる、いわゆる有段式の自動変速機である。なお、図4において、○印は摩擦係合装置が係合されることを意味し、空欄は摩擦係合装置が解放されることを意味し、◎印は、エンジンブレーキ時に摩擦係合装置が係合されることを意味し、△印は摩擦係合装置が係合されるものの、その摩擦係合装置は動力伝達に関係しないことを意味している。
【0033】
一方、図2に示すように、自動変速機3の変速比の制御範囲を設定するシフトレバー127が設けられている。このシフトレバー127と油圧制御部7とが機械的に連結されている。このシフトレバー127の操作により選択されるシフトポジションの一例が図5に示されている。すなわち、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、“4”ポジション、“3”ポジション、“2”ポジション、Lポジションを選択することができる。
【0034】
そして、シフトレバー127の操作により、非走行ポジション、例えばPポジションまたはNポジションが選択された場合は、自動変速機3が、入力部である入力軸57と出力部である出力軸96との間で動力(トルク)の伝達ができない状態になる。すなわちトルク伝達経路が成立しない。また、走行ポジション、例えば、Rポジション、Dポジション、“4”ポジション、“3”ポジション、“2”ポジション、Lポジションのうちのいずれかが選択された場合は、自動変速機3が、入力部である入力軸57と出力部である出力軸96との間で動力の伝達をおこなうことができる状態になる。すなわちトルク伝達経路が成立する。
【0035】
ここで、Dポジションは車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて、自動変速機3で前進第1速ないし第5速のいずれかを設定するためのポジションであり、また“4”ポジションは、第1速ないし第4速のいずれか、“3”ポジションは第1速ないし第3速のいずれか、“2”ポジションは第1速または第2速、Lポジションは第1速をそれぞれ設定するためのポジションである。“3”ポジションないしLポジションは、車両の惰力走行状態、つまりコースト状態でエンジンブレーキレンジを設定するポジションであり、それぞれのポジションで設定可能な変速段のうち最も高速側の変速段でエンジンブレーキを効かせるように構成されている。このエンジンブレーキ力は、図4の図表において、各変速段で「◎」印に対応する摩擦係合装置の係合により強められる。これら「◎」印に対応する摩擦係合装置は、各一方向クラッチに対して並列に設けられている。
【0036】
また、この実施形態においては、自動変速機3の変速比を、電子制御装置12に入力される信号に基づいて自動的に制御することのできる自動変速制御状態と、手動操作により制御することのできる手動変速制御状態とを相互に切り換えることができる。図6は、スポーツモードスイッチ76を示し、このスポーツモードスイッチ76は、例えばインストルメントパネル(図示せず)付近またはコンソールボックス(図示せず)付近などに配置されている。このスポーツモードスイッチ76がオンされると、前記手動変速制御状態が設定され、スポーツモードスイッチ76がオフされると、手動変速制御状態が解除される。
【0037】
ところで、図2に示すハイブリッド車には、前記機械式オイルポンプ6とは別の電動オイルポンプ110が設けられている。また、電動オイルポンプ110を駆動するための電動機110Aが設けられ、さらにその電動機110Aにはインバータ110Cを介してバッテリ110Bが接続されている。そして、インバータ110Cおよびバッテリ110Bを制御するコントローラとしての電子制御装置(ECU)110Dが設けられている。この電子制御装置110Dは、入力されるデータに基づいて演算をおこなって、電動機110Aを制御するように構成されている。この電動機110Aの回転数を制御することにより、電動オイルポンプ110の吐出量が増減される。そして、電動オイルポンプ110は、エンジン1の停止時などに駆動されるもので、機械式オイルポンプ6の機能と同じ機能を有している。なお、この電動オイルポンプ110が請求項4ないし8の発明における他の係合駆動装置に相当している。
【0038】
つまり、機械式オイルポンプ6および電動オイルポンプ110は、共に、自動変速機3およびトルクコンバータ4ならびに入力クラッチ122などの油圧式動作システムに供給される油圧の油圧源となっている。図7は、油圧制御部7を構成する油圧回路のうち、自動変速機3の摩擦係合装置および入力クラッチ122に対応する油圧回路の一部を示す図である。
【0039】
すなわち、オイルパン123とチェックボール機構150との間の油路には、機械式オイルポンプ6および電動オイルポンプ110が相互に並列に配置されている。チェックボール機構150の出力側にはプライマリレギュレータバルブ124が接続され、このプライマリレギュレータバルブ124の出力側には、マニュアルバルブ125および入力クラッチコントロールソレノイド(リニアソレノイド)126が相互に並列に接続されている。マニュアルバルブ125の出力ポートには、第1クラッチC1 および第2クラッチC2 が接続されている。このマニュアルバルブ125はシフトレバー127の操作により動作し、マニュアルバルブ125の動作により、マニュアルバルブ125と第1クラッチC1 および第2クラッチC2 とを接続するポートが開閉される。なお、第1クラッチC1 とマニュアルバルブ125との間にアキュムレータ(図示せず)を設けるとともに、第2クラッチC2 とマニュアルバルブ125との間にアキュムレータ(図示せず)を設けることもできる。また、入力クラッチコントロールソレノイド126の出力ポートには、入力クラッチ122が接続されている。したがって入力クラッチ122を、マニュアルバルブ125の動作状態に関係なく制御できるようになっている。
【0040】
そして、機械式オイルポンプ6および電動オイルポンプ110により、オイルパン123のオイルが汲み上げられるとともに、吐出圧の高いポンプの油圧が、チェックボール機構150を経由してプライマリレギュレータバルブ124の入力ポートに供給される。そして、プライマリレギュレータバルブ124により、ライン圧が、スロットル開度あるいはアクセル開度に応じた圧力に調圧される。このプライマリレギュレータバルブ124から出力される油圧が、マニュアルバルブ125の動作により、第1クラッチC1 または第2クラッチC2 に供給される。なお、前記アキュムレータにより、第1クラッチC1 または第2クラッチC2 に供給される油圧の急激な立ち上がりが抑制される。
【0041】
また、プライマリレギュレータバルブ124から出力された油圧が、入力クラッチコントロールソレノイド126の動作により入力クラッチ122に作用する。このように、入力クラッチコントロールソレノイド126は、入力クラッチ122とプライマリレギュレータバルブ124とを接続する油路に設けられており、入力クラッチ126に作用する油圧が、入力クラッチコントロールソレノイド126の機能により直接的に制御される。したがって、入力クラッチコントロールソレノイド126以外に格別の部品を設ける必要がなく、自動変速機3の製造コストを低減することができる。
【0042】
一方、図2に示すように、エンジン1のクランクシャフト1Cに対して、駆動装置127を介してモータ・ジェネレータ(MG)128が連結されている。モータ・ジェネレータ128は、その動力をエンジン1を介して車輪96Aに伝達する動力源としての機能と、エアコン用コンプレッサなどの補機(図示せず)を駆動する機能と、エンジン1の動力により駆動される発電機としての機能とを有している。この駆動装置127は、遊星歯車機構(図示せず)、およびこの遊星歯車機構によるトルク伝達状態を切り換える摩擦係合装置(図示せず)ならびに一方向クラッチ(図示せず)などを有する減速装置(図示せず)を備えている。また、駆動装置127は、エンジン1とモータ・ジェネレータ128との間の動力伝達経路を接続・遮断するクラッチ機構(図示せず)を備えている。また、モータ・ジェネレータ128には、インバータ129を介してバッテリ130が電気的に接続されているとともに、インバータ129およびバッテリ130を制御する電子制御装置(MG−ECU)131が設けられている。
【0043】
図8には、上記ハイブリッド車のシステムを総合的に制御する総合制御装置(ECU)104が示されている。そして、図2に示された各種の電子制御装置8,11,12,110D,131と総合制御装置104とが相互にデータ通信可能に接続されている。そして、エンジン1、駆動装置127の減速装置、モータ・ジェネレータ2,128、自動変速機3およびロックアップクラッチ62ならびに油圧制御部7、入力クラッチ122などの各装置は、車両の状態を示す各種のデータに基づいて制御される。
【0044】
具体的には、総合制御装置104に各種の信号を入力し、その入力された信号に基づく演算結果を制御信号として出力するようになっている。この総合制御装置104には、ミリ波レーダ装置からの信号、ABS(アンチロックブレーキ)コンピュータからの信号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュータからの信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッションスイッチからの信号、バッテリ10,130のSOC(State of Charge:充電状態)およびモータ・ジェネレータ2,128の温度などを含む機能検出信号が入力される。
【0045】
また、総合制御装置104には、ヘッドライトのオン・オフ信号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号、車速(出力軸回転数)信号、油温センサ3Aの信号、シフトポジションセンサの信号、サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触媒)温度、アクセル開度、カム角センサからの信号、スポーツシフト信号、車両加速度センサからの信号、駆動力源ブレーキ力スイッチからの信号、タービン回転数NT センサからの信号、レゾルバ2Aの信号などが入力される。
【0046】
また、出力信号の例を挙げると、点火信号、噴射(燃料の噴射)信号、前記モータ・ジェネレータ2,128を制御するコントローラとしての電子制御装置11,131への信号、駆動装置127の減速装置またはクラッチ機構に対する制御信号、ATソレノイドへの信号、ATライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアクチュエータへの信号、入力クラッチコントロールソレノイド126に対する制御信号、スポーツモードインジケータへの信号、VSCアクチュエータへの信号、ATロックアップコントロールバルブへの信号、電動オイルポンプ110を制御する電子制御装置110Dに対する信号などである。
【0047】
ここで、この発明の構成と実施形態の構成との対応関係をまとめて説明すると、エンジン1がこの発明の第1の駆動力源に相当し、モータ・ジェネレータ2がこの発明の第2の駆動力源に相当し、スタータ1Bもしくはモータ・ジェネレータ128がこの発明の第3の駆動力源に相当している。また、自動変速機が請求項2の発明における変速機に相当し、その自動変速機3におけるクラッチやブレーキが請求項4ないし8の発明における係合装置に相当している。そして、機械式オイルポンプ6が請求項4ないし8の発明における係合駆動装置に相当し、電動オイルポンプ110が請求項4ないし8の発明における他の係合駆動装置に相当している。
【0048】
つぎに、ハードウエアが上記のように構成されたハイブリッド車の制御例を図1のフローチャートに基づいて説明する。この図1の制御例は、請求項1の発明に対応するものである。まず、各種の電子制御装置8,11,12,13,110Dおよび総合制御装置104により、入力信号の処理がおこなわれる(ステップS1)。そして、車両の状態に基づいて、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2を駆動・停止する制御がおこなわれる。この実施形態においては、シフトレバー127により選択される各シフトポジションに対応して、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止を切り換えるための制御態様、すなわち、駆動力源切り換えマップが予め設定されている。
【0049】
図9ないし図12には、各シフトポジションに対応する駆動力源切り換えマップの一例と、各シフトポジションで自動変速機3の変速段を制御するための変速マップ(変速線図)の一例とが総括的に示されている。これらの駆動力源切り換えマップにおいては、車両の状態、具体的には車速およびアクセル開度をパラメータとし、かつ、実線で示す状態を境界として、エンジン駆動領域(運転領域)とモータ・ジェネレータ駆動領域とが設定され、車速およびアクセル開度をパラメータとして、破線で示す状態を境界として、自動変速機3の変速点(変速線)が設定されている。
【0050】
まず図9の駆動力源切り換えマップは、Dポジションに対応している。すなわち、車速V5以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域においては、自動変速機3が第1速〜第3速のいずれかの変速段に制御される。具体的には車速零〜車速V1の領域では第1速が設定され、車速V1〜車速V3の領域では第2速が設定され、車速V3〜車速V5の領域では第3速が設定される。なお、車速V3は車速V1よりも高速であり、車速V5は車速V3よりも高速である。これに対して、エンジン駆動領域においては、自動変速機3が第1速〜第5速のうちのいずれかの変速段に制御される。
【0051】
また、図10の駆動力源切り換えマップは“2”ポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V4以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域においては、自動変速機3が第1速または第2速のいずれかの変速段に制御される。具体的には車速零〜車速V1の領域では第1速が設定され、車速V1〜車速V4の領域では第2速が設定される。なお、車速V4は前記車速V3よりも高速であり、かつ、前記車速V5よりも低速である。これに対して、エンジン駆動領域においては、自動変速機3が第1速または第2速のいずれかの変速段に制御される。
【0052】
さらに、図11の駆動力源切り換えマップはLポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V2以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域およびエンジン駆動領域においては、自動変速機3の変速段が第1速に固定される。
【0053】
さらにまた、図12の駆動力源切り換えマップはRポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V2以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。なお、図9ないし図12の制御マップには示されていないが、モータ・ジェネレータ2およびエンジン1を共に駆動させ、その動力を車輪96Aに伝達する制御をおこなうこともできる。
【0054】
さらにこの実施形態において、スタータ1Bまたはモータ・ジェネレータ2またはモータ・ジェネレータ128によりエンジン1を始動させることができる。モータ・ジェネレータ2によりエンジン1を始動させる場合は、入力クラッチ122が係合され、モータ・ジェネレータ128によりエンジン1を始動させる場合は、駆動装置127のクラッチが係合される。
【0055】
このように、車速およびアクセル開度を含む停止条件または復帰条件の成立により、エンジン1を運転状態から自動停止させる制御と、自動停止しているエンジン1を運転状態に復帰させる復帰制御とがおこなわれる。また、図9および図10の変速マップにおいて、所定の変速比、例えば第2速が設定される領域(車速)は、各シフトポジション毎に相違しており、高速側の変速段の設定がなくなると(言い換えれば設定できる最小変速比が大きくなることに比例して)、第2速の設定される領域が広くなっている。具体的には図9の変速マップよりも図10の変速マップの方が、第2速の設定される領域が広くなっている。このように設定することにより、モータ・ジェネレータ駆動領域が可及的に増やされ、騒音および排気ガスを低減することができる。
【0056】
なお、電子制御装置12には、ロックアップクラッチ62の状態を制御するロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。このロックアップクラッチ制御マップは、車速およびアクセル開度をパラメータとしてロックアップクラッチ62の係合領域・半係合(スリップ)領域・解放領域を設定している。
【0057】
このようにして、車速およびアクセル開度に基づいて、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止が制御され、その動力が車輪96Aに伝達されて車両が走行する。また、車両の惰力走行時には、車輪96Aから入力される動力を、自動変速機3を経由して動力伝達軸121に伝達するとともに、この動力によりモータ・ジェネレータ2を発電機として機能させ、発生した電力をバッテリ10に充電することもできる。
【0058】
上記ステップS1についで、エンジン駆動領域(エンジン駆動モード)であるか否かが判断され(ステップS2)、ステップS2で否定的に判断された場合はそのままリターンされる。これに対して、ステップS2で肯定的に判断された場合はエンジン1の始動制御がおこなわれ、ついで、エンジン1が実際に始動したか否かが判断される(ステップS3)。
【0059】
ステップS3で肯定的に判断された場合はそのままリターンされ、点火装置または燃料噴射装置またはスタータ1Bの故障や異常などの理由により、エンジン1を始動させることができずにステップS3で否定的に判断された場合は、脱出モード、つまり、エンジン1以外の動力源により車両を走行させるモードを選択するための演算処理がおこなわれる(ステップS4)。ここで、エンジン1以外の動力源により車両を走行させるモードには、モータ・ジェネレータ2を単独で駆動させる第1のモードと、モータ・ジェネレータ128を単独で駆動させる第2のモードと、モータ・ジェネレータ2およびモータ・ジェネレータ128を共に駆動させる第3のモードとがある。これらのモードのいずれかを選択する場合の判断基準には、バッテリ10,130のSOCと、モータ・ジェネレータ2,128を駆動した場合におけるエンジン1の引きずり状態と、モータ・ジェネレータ2,128の温度とが含まれている。
【0060】
そして、モータ・ジェネレータ128を駆動するか否か、つまり、モータ・ジェネレータ128の駆動により、車輪96Aに対する動力(トルク)の伝達性能が向上するか否か、言い換えれば、車両の脱出性能を向上させることができるか否かが判断される(ステップS5)。ここで、バッテリ129のSOCが所定値以下であり、モータ・ジェネレータ128を駆動させることができない状態、またはモータ・ジェネレータ128の温度が所定値以上であり、その駆動が好ましくない状態、またはモータ・ジェネレータ128を駆動させることができても、エンジン1の引きずりが大きくなる状態などの判断が成立した場合は、ステップS5で否定的に判断され、モータ・ジェネレータ2を駆動するか否か、つまり、モータ・ジェネレータ2を駆動することにより、車両の脱出性能を向上させることができるか否かが判断される(ステップS6)。
【0061】
ステップS6で肯定的に判断された場合はモータ・ジェネレータ2を単独で駆動させる第1のモードが選択され(ステップS7)、かつ、入力クラッチ122を解放し(ステップS8)、リターンされる。一方、前記ステップS6においては、バッテリ10のSOCが所定値以下であり、モータ・ジェネレータ2を駆動させることができない状態、またはモータ・ジェネレータ2の温度が所定値以上であり、その駆動が好ましくない状態などの判断が成立した場合は、ステップS6で否定的に判断されてそのままリターンされる。
【0062】
一方、前記ステップS5で肯定的に判断された場合は、モータ・ジェネレータ2を駆動して車両の脱出性能を向上させることができるか否かが判断される(ステップS9)。このステップS9においては、ステップS6と同様の判断基準に加えて、クラッチ122を係合してモータ・ジェネレータ2を駆動した場合に、エンジン1の引きずりが大きくならないか否かもその判断基準となる。
【0063】
ステップS9で肯定的に判断された場合はモータ・ジェネレータ2およびモータ・ジェネレータ128を共に駆動させる第3のモードが選択され(ステップS10)、かつ、入力クラッチ122を係合し(ステップS11)、リターンされる。その結果、モータ・ジェネレータ2の動力およびモータ・ジェネレータ128の動力が車輪96Aに伝達されてその駆動力が大きくなり、車両の脱出性能が向上する。これに対して、前記ステップS9で否定的に判断された場合は、モータ・ジェネレータ128を単独で駆動させる第2のモードが選択され、ステップS12に進む。この場合は、モータ・ジェネレータ128の動力のみにより車両が走行する。
【0064】
ここで、図1に示された機能的手段とこの発明の構成との対応関係を説明する。ステップS3を実行する機能的手段が、請求項1の発明および請求項5の発明における再始動判断手段に相当し、ステップS7,S8を実行する機能的手段が、請求項5の発明における駆動制御手段に相当する。また、ステップS5,S9 を実行する機能的手段が、請求項1の発明における駆動力源選択手段に相当し、ステップS8,S11を実行する機能的手段が、請求項1の発明における入力クラッチ制御手段に相当する。
【0065】
以上のように、図1の制御例によれば、エンジン1の停止中に復帰条件が成立してもエンジン1を始動させることができない場合、モータ・ジェネレータ2,128の少なくとも一方を駆動させるモードを選択し、そのモードに適合するように入力クラッチ122を制御することにより、車輪96Aに伝達される動力の伝達性能を可及的に向上させ、その駆動力を増加して車両の脱出性能を向上することができる。特にエンジン1を再始動できずにモータ・ジェネレータ2を動作させて走行する場合には、入力クラッチ122を解放してエンジン1を動力伝達系統から遮断するので、エンジン1を回転させることによるフリクションロスによる不必要な動力の消費を回避し、効率の良い走行をおこなうことができる。また、モータ・ジェネレータ128を動作させて走行する場合には、入力クラッチ122を係合させるので、モータ・ジェネレータ128の出力トルクを車輪96Aに確実に伝達することができる。
【0066】
ところで車両が停止している状態でエンジン1を始動する場合、エンジン1を回転させるためのトルクが車輪に伝達されると、車両が移動したり振動したりする。これを回避するために、停車状態でのエンジン1の始動時には、エンジン1と車輪96Aとのトルク伝達経路を遮断しておくことが好ましい。またその場合、エンジン1の始動に不良があれば、走行をおこなうために他の駆動装置を使用することが好ましい。以下に説明する例は、このような観点からエンジン1の始動とその不調が生じた際の走行とを確実におこなうように構成した制御例であり、請求項2および請求項3の発明の一具体例である。
【0067】
図13はその制御例を説明するためのフローチャートであって、上述した機械的な構成を有し、かつ制御系統を備えた車両において実行することができる。先ず、入力信号の処理(ステップS21)およびエンジン駆動モードが成立しているか否かの判断(ステップS22)を、図1に示す制御例と同様にしておこなう。エンジン1を駆動して走行する条件が成立していないことによりステップS22で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンする。これに対してエンジン1を駆動して走行する条件が成立していることによりステップS22で肯定的に判断された場合には、エンジン1の始動処理が実行される(ステップS23)。これは、エンジン1を始動するための各種の制御を実行することをその内容とするものであり、例えばエンジン用電子制御装置8に対して指令信号を出力し、また燃料の有無やエンジン水温などのエンジン1を駆動することのできる状態か否かの確認などが実行される。
【0068】
ついで自動変速機3が走行のためのポジション(例えばDポジション)に設定されているか否かが判断される(ステップS24)。これはシフト装置から出力される信号に基づいておこなわれる。このステップS24で否定的に判断された場合、すなわちPポジションやNポジションなどの非走行ポジションが設定されている場合には、走行することが予定されていないので、特に制御をおこなうことなくリターンする。これに対して走行ポジション(例えばDポジション)が設定されていることによりステップS24で肯定的に判断された場合には、入力クラッチ122が解放状態(オフ)に制御される(ステップS25)。エンジン1を始動するためにエンジン1を回転させるトルクが、車輪96A側に伝達されることを回避するためである。この状態で、入力クラッチ122を介さずにエンジン1に連結されているモータ・ジェネレータ128の始動処理が実行される(ステップS26)。すなわちこのモータ・ジェネレータ128にバッテリ130から電力を供給してこれを駆動し、エンジン1を回転させる制御が実行される。
【0069】
その場合、電気的なフェールや機械的な異常あるいはエンジン水温や触媒温度が高すぎるなどの異常がなければ、エンジン1が始動し、また反対に何らかの異常があればエンジン1の始動が不可となる。したがってステップS27では、エンジン1の始動の可否が判断される。具体的には、エンジン回転数NE が予め定めた基準回転数以上か否かなど、エンジン回転数NE に基づいて判断される。
【0070】
エンジン1が正常に始動した場合にはステップS27で肯定的に判断され、その場合は、入力クラッチ122が係合(オン)させられる(ステップS28)。すなわち車輪96A側にトルクが伝達される。その場合、走行のために制動が解除されていれば、車輪96Aに駆動トルクが生じて車両が走行する。あるいは停車状態を維持するために制動がおこなわれていれば、トルクコンバータ4で滑りが生じて車両が停止状態に維持される。
【0071】
他方、何らかの異常でエンジン1が始動せず、ステップS27で否定的に判断された場合には、自動変速機3に連結されているモータ・ジェネレータ2を駆動し、その停車状態から脱出する(ステップS29)。すなわちモータ・ジェネレータ2を駆動することによりその出力トルクが自動変速機3に入力され、また自動変速機3は走行ポジションに設定されていて所定の変速段(一般には前進第1速あるいは後進段)が成立し、トルクの伝達経路が確立されているので、モータ・ジェネレータ2の出力トルクが車輪96Aに伝達されて車両が走行する。その場合、入力クラッチ122は、エンジン1の始動のために解放状態になっており、モータ・ジェネレータ2を駆動する際にもその状態が維持されるので、エンジン1は車輪96Aに対するトルクの伝達例路から遮断された状態となっている。そのため、モータ・ジェネレータ2によってエンジン1を連れ回すことがなく、エンジン1のフリクションロスなどによって不必要に動力を消費することが防止される。言い換えれば、モータ・ジェネレータ2の出力する動力が走行のために有効に利用される。
【0072】
ここで図13に示す具体例とこの発明との関係を説明すると、上記のステップS24を実行する機能的手段が、請求項2の発明におけるポジション判断手段に相当し、ステップS25,S28を実行する機能的手段が請求項2の発明における入力クラッチ制御手段に相当する。なお、図13に示す制御すなわち請求項2および請求項3の発明は、いわゆるエコランのための一時的なエンジン1の停止後の再始動の際の制御に限らず、エンジン1を始動する際の一般的な始動制御に適用することができる。
【0073】
ところで図2に示してあるように、油圧制御部7の元圧となる油圧を発生させる機械式オイルポンプ6が、トルクコンバータ4のポンプインペラ47に連結されていてエンジン1もしくはモータ・ジェネレータ2によって駆動されるように構成されている。したがってエンジン1の始動が不調であれば、機械式オイルポンプ6が駆動されず、油圧制御部7における元圧が得られなくなる。その場合、変速機構5を構成しているクラッチやブレーキが油圧によって係合するように構成されているので、これらが全て解放してしまい、トルクの伝達経路を確立できなくなり、そのため、たとえモータ・ジェネレータ2によって走行するとしても、直ちには発進することができなくなる可能性がある。このような不都合を回避するためにこの発明の制御装置は、以下の制御を実行するように構成されている。
【0074】
すなわち図14は、請求項4ないし8の発明に対応する制御例を説明するためのフローチャートである。この図14の制御例も、図2ないし図12に示すシステムでおこなうことができる。まず、入力信号の処理がおこなわれ(ステップS31)、図9ないし図12に示す駆動力源制御マップに基づいてエンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止が制御される。そして、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2が共に停止して停車しているか否かが判断される(ステップS32)。
【0075】
ステップS32で否定的に判断された場合はそのままリターンされ、ステップS32で肯定的に判断された場合は、その後にエンジン1の復帰条件が成立したか否かが判断される(ステップS33)。ステップS33で否定的に判断された場合はそのままリターンされ、ステップS33で肯定的に判断された場合はエンジン1の始動制御をおこない、かつ、実際にエンジン1が始動されたか否かが判断される(ステップS34)。
【0076】
ステップS34で肯定的に判断された場合はそのままリターンされ、ステップS34で否定的に判断された場合は、電動オイルポンプ110を駆動させるとともに、その油圧をプライマリレギュレータバルブ124により調圧して第1クラッチC1 または第2クラッチC2 に供給し、第1クラッチC1 または第2クラッチC2 を係合させる(ステップS35)。ついで、モータ・ジェネレータ2またはモータ・ジェネレータ128の少なくとも一方を駆動させる制御をおこない(ステップS36)、リターンする。ここで、モータ・ジェネレータ2またはモータ・ジェネレータ128の少なくとも一方を駆動する場合の判断基準は図1の制御例と同様であり、またクラッチ122の係合・解放も図1の制御例と同様である。
【0077】
ここで、図14に示す具体例と、この発明との対応関係を説明すると、ステップS34を実行する機能的手段が、請求項4ないし8の発明における再始動判断手段に相当し、また、ステップS35を実行することによって駆動される電動オイルポンプ110が、請求項4ないし8の発明における他の係合駆動装置に相当する。
【0078】
そして、図14の制御例においては、エンジン1が停止している状態において、第1クラッチC1 または第2クラッチC2 を係合させることができる。そのため、エンジン1を始動することができずにモータ・ジェネレータ2またはモータ・ジェネレータ128の少なくとも一方を駆動させる場合に、その出力トルクが自動変速機3を介して車輪96Aに直ちに伝達されて車輪96Aに対する動力の伝達性能が向上し、ひいては車両の脱出性能が向上する。
【0079】
図15は、図14の制御例を適用することの可能なシステムの、他の油圧回路を示す図であり、ここに示す構成の詳細は特願平11−124914号の明細書に記載されている。図15において、マニュアルバルブ125とプライマリレギュレータバルブ124との間の油路には、切換弁151を介してアキュムレータ152が設けられている。切換弁151はアキュムレータ152とプライマリレギュレータバルブ124との間の油路を遮断・接続する機能を有している。アキュムレータ152はピストンおよびスプリングを備え、かつ、公知の蓄圧機能を有している。このアキュムレータ152が請求項4ないし8の発明における他の係合駆動装置に相当する。なお、図15に示す他の構成は、図7に示す構成と同様であるから、図15に図7と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
この図15の油圧回路も、図2ないし図12に示すシステムにおいて採用することができる。したがって、図15の油圧回路を使用して図14に示す制御を実行した場合、エンジン1の運転中に切換弁151が解放されて、プライマリレギュレータバルブ124から出力されるライン圧を切換弁151を介してアキュムレータ152を供給してアキュムレータ152により蓄圧をおこなった後、切換弁151を閉じる制御がおこなわれる。そして、ステップS34で否定的に判断されてステップS35に至ると、切換弁151が解放されてアキュムレータ152の蓄圧がマニュアルバルブ125を介して第1クラッチC1 または第2クラッチC2 に供給され、第1クラッチC1 または第2クラッチC2 が係合する。したがって、図15の油圧回路に対して図14の制御例を用いた場合にも、前述と同様の効果を得ることができる。
【0081】
なお、この実施形態は、溝幅を変更することのできる一対のプーリと、一対のプーリに巻き掛けたベルトとを有する無段変速機(CVT)が、第3の動力源と車輪との間に配置されている駆動装置にも適用することができる。この場合は、プーリの溝幅が油圧制御装置により制御される。この油圧制御装置の油圧は、第1の動力源により駆動される機械式オイルポンプ(図示せず)および電動オイルポンプ(図示せず)により発生させることができる。
【0082】
前記プーリの溝幅を制御することにより、変速比やベルトの張力(言い換えればベルトとプーリとの係合状態)が制御される。このシステムにおいては、一対のプーリおよびベルトがこの発明の係合装置に相当し、機械式オイルポンプが請求項4の発明の係合駆動装置に相当し、電動オイルポンプが請求項4ないし8の発明の他の係合駆動装置に相当する。またこのシステムに対して、図15に示された油圧回路を適用することもできる。そして、図1の制御例または図14の制御例を、この図15の油圧回路を有するシステムに適用することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、第1の駆動力源を再始動できない場合に走行のための駆動力源として第2の駆動力源もしくは第3の駆動力源が選択され、その選択された駆動力源に基づいて入力クラッチが係合もしくは解放させられるので、車輪に確実に駆動トルクを伝達することができるうえに、不必要に動力を消費することを回避することができる。より具体的には、請求項2の発明によるように、第2の駆動力源で走行する場合には、入力クラッチが解放させられて、第1の駆動力源が車輪へのトルク伝達系統から遮断され、第1の駆動力源を不必要に回転させることによる動力の損失が回避され、さらに第3の駆動力源で走行する場合には、入力クラッチが係合させられてその出力トルクが車輪に対して確実に伝達されるから、駆動力を効率よく使用し、脱出性能を向上させることができる。
【0085】
請求項2の発明あるいは請求項3の発明によれば、第1の駆動力源を始動する際にその出力側に連結されている変速機が走行ポジションに設定されていれば、入力クラッチによって第1の駆動力源と変速機とが遮断されるので、第1の駆動力源の出力側に負荷がない状態で第1の駆動力源が始動され、したがってその始動性を良好なものとすることができる。その場合、第1の駆動力源の始動をおこなえない場合には、入力クラッチを解放したまま第2の駆動力源を動作させることにより、車両が走行することが可能になり、さらに、変速機が非走行ポジションに設定される場合には、入力クラッチを係合させて第1の駆動力源と第2の駆動力源とを連結し、その状態で第2の駆動力源を動作させることにより、第2の駆動力源で第1の駆動力源を始動のために回転させることが可能になる。
【0086】
そして、請求項4ないし8の発明によれば、第1の駆動力源を再始動する場合、その再始動が不可であれば、係合駆動装置が動作しないが、これに替えて他の係合駆動装置が動作して係合装置が係合状態とされるので、トルクの伝達経路が確立され、その結果、何らかの駆動装置によって第1の駆動力源から車輪に到るトルク伝達経路にトルクを入力することにより、車両を走行させることが可能になり、またその際の発進の遅れが抑制もしくは改善され、その結果、車両のいわゆる脱出性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の駆動制御装置で実行される制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 この発明の一実施形態であるハイブリッド車のパワートレーンおよび制御系統を模式的に示すブロック図である。
【図3】 図2に示すパワープラントを具体化したスケルトン図である。
【図4】 図3の自動変速機の各変速段を設定するためのクラッチおよびブレーキの係合・解放を示す図表である。
【図5】 図2に示す自動変速機を制御するシフトレバーの操作により選択されるシフトポジションを示す概念図である。
【図6】 図2に示す自動変速機の変速段を手動操作により変更できる状態を設定・解除するためのスポーツモードスイッチを示す概念図である。
【図7】 図2に示す油圧制御部の油圧回路の要部を示す図である。
【図8】 この発明の一例における総合制御装置における入出力信号を示す図である。
【図9】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図10】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図11】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図12】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図13】 この発明の他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図14】 この発明の更に他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図15】 図1または図14の制御を適用することのできるシステムの油圧回路の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 1C…クランクシャフト、 3…自動変速機、 6…機械式オイルポンプ、 96A…車輪、 57…入力軸、 110…電動オイルポンプ、 121…動力伝達軸、 122…入力クラッチ、 C1 …第1クラッチ、 C2 …第2クラッチ。
Claims (8)
- 第1の駆動力源の出力トルクを車輪に対して選択的に伝達する入力クラッチと、その入力クラッチを介さずに車輪に対して駆動トルクを出力する第2の駆動力源と、前記第1の駆動力源にトルク伝達可能に連結された第3の駆動力源とを備え、一時的な停車時に前記第1の駆動力源を停止しかつ再始動する車両の駆動制御装置において、
前記一時的な停車の際の第1の駆動力源の停止後の再始動の可否を判断する再始動判断手段と、
第1の駆動力源の再始動が不可であることを前記再始動判断手段が判断した場合に第2の駆動力源と第3の駆動力源とのうちの動作させるべき駆動力源を選択する駆動力源選択手段と、
その駆動力源選択手段で選択された駆動力源に応じて前記入力クラッチの係合・解放を制御する入力クラッチ制御手段とを備え、
前記入力クラッチ制御手段は、前記駆動力源選択手段で第2の駆動力源が選択された場合には前記入力クラッチを解放させ、かつ前記駆動力源選択手段が前記第3の駆動力源を選択した場合には前記入力クラッチを係合させる手段を含むことを特徴とする車両の駆動制御装置。 - 入力部から出力部へのトルク伝達経路を成立させる走行ポジションと入力部から出力部へのトルク伝達経路を成立させない非走行ポジションとを選択することのできる変速機における前記入力部に、第1の駆動力源が入力クラッチを介して連結され、かつ前記変速機の入力部に第2の駆動力源が連結され、一時的な停車時に前記第1の駆動力源を停止しかつ再始動する車両の駆動制御装置において、
前記第1の駆動力源の再始動の際に前記変速機で設定されている前記ポジションを判断するポジション判断手段と、
そのポジション判断手段で判断された前記変速機のポジションに応じて前記入力クラッチの係合・解放の制御をおこなう入力クラッチ制御手段と
を備えていることを特徴とする車両の駆動制御装置。 - 前記入力クラッチ制御手段は、前記変速機で前記走行ポジションが設定されている場合に前記入力クラッチを解放させる手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の車両の駆動制御装置。
- 第1の駆動力源から車輪に到るトルク伝達経路に介在されかつ係合することによりトルクを伝達する係合装置と、前記第1の駆動装置が動作することにより前記係合装置を係合状態とすることのできる係合駆動装置とを備え、一時的な停車時に前記第1の駆動力源を停止しかつ再始動する車両の駆動制御装置において、
前記一時的な停車の際の第1の駆動力源の停止後の再始動の可否を判断する再始動判断手段と、
第1の駆動力源の再始動が不可であることを前記再始動判断手段が判断した場合に前記係合装置を係合状態とすることのできる他の係合駆動装置と
を備えていることを特徴とする車両の駆動制御装置。 - 前記係合装置は、入力クラッチを含み、
その入力クラッチを介さずに前記車輪に対して駆動トルクを出力する第2の駆動力源と、
前記第1の駆動力源の再始動が不可であることを前記再始動判断手段が判断した場合に前記入力クラッチを解放するとともに第2の駆動力源を動作させる駆動制御手段と
を更に備えていることを特徴とする請求項4に記載の車両の駆動制御装置。 - 前記他の係合駆動装置は、電力で動作して油圧を発生する電動オイルポンプと、油圧を蓄えるアキュームレータとを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の車両の駆動制御装置。
- 入力された動力を変速して前記車輪に出力する変速機を更に備え、
前記第2の駆動力源は、前記変速機の入力側に連結されていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両の駆動制御装置。 - シフトポジションを選択するシフトレバーを操作することにより切り換え動作するマニュアルバルブが前記各係合駆動装置に連通して設けられるとともに、前記係合装置を制御するソレノイドバルブが前記各係合駆動装置に対して前記マニュアルバルブとは並列に接続されて設けられていることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の車両の駆動制御装置。
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