JP4046967B2 - 画像処理装置およびその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置およびその方法に関し、例えば、出力デバイスによって出力されたカラーパッチの測色結果から作成されるプリンタモデルからデバイス非依存データをデバイス依存データに変換する変換テーブルを作成する画像処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタの色再現処理における色再現効果を向上させる色修正手法として、入力色空間を行列演算して出力色空間を得るカラーマスキング法や、ルックアップテーブル(LUT)によって入力色空間から出力色空間を得る方法が多く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カラープリンタの出力特性には、強い非線型性があり、カラーマスキング法のような大域的な方法、つまり行列値を変更すると出力色空間全体に影響するような方法では、すべての色域でカラープリンタの特性を充分に近似することは困難である。また、LUTを用いる方法も、カラーマスキング法でテーブル値が求められている場合が多く、色再現の困難さに違いはない。
【0004】
また、カラープリンタで用いられるCMYK色空間は、出力するカラープリンタの特性に依存することが多く、様々なデバイスに柔軟に対応できるような単一の手法を見出すことは困難である。
【0005】
本発明は、カラープリンタがもつ強い非線形出力特性を精度よく近似し、高精度な色再現が可能な色変換処理用の変換テーブルを作成することを目的とする。
【0006】
また、カラープリンタごとの特性の違いを吸収し、様々なカラープリンタで高精度な色再現を実現するための、変換テーブルの作成方法および装置を提供することを他の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0008】
本発明にかかる画像処理方法は、出力デバイスによって出力されるカラーパッチの測色結果から、デバイス依存データをデバイス非依存データに変換するプリンタモデルを作成して、前記プリンタモデルからデバイス非依存データをデバイス依存データに変換する変換テーブルを作成する画像処理方法であって、前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルの単色パッチに対応するデバイス非依存測色値を用いて前記単色パッチの濃度を推定し、前記単色パッチの濃度から前記出力デバイスの階調特性データを算出して、前記出力デバイスの階調特性を線形に変換するための変換条件を算出し、前記変換条件を用いて、前記出力デバイスの階調特性データを線形に変換して得られる CMYK 値、および、前記階調特性データの算出に使用した測色結果を含む前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルに基づき、前記変換テーブルを作成するためのプリンタモデルを作成することを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる画像処理装置は、出力デバイスによって出力されるカラーパッチの測色結果から、デバイス依存データをデバイス非依存データに変換するプリンタモデルを作成して、前記プリンタモデルからデバイス非依存データをデバイス依存データに変換する変換テーブルを作成する画像処理装置であって、前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルの単色パッチに対応するデバイス非依存測色値を用いて前記単色パッチの濃度を推定し、前記単色パッチの濃度から前記出力デバイスの階調特性データを算出して、前記出力デバイスの階調特性を線形に変換するための変換条件を算出する算出手段と、前記変換条件を用いて、前記出力デバイスの階調特性データを線形に変換して得られる CMYK 値、および、前記階調特性データの算出に使用した測色結果を含む前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルに基づき、前記変換テーブルを作成するためのプリンタモデルを作成する作成手段とを有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる一実施形態の画像処理装置を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
【第1実施形態】
図1は実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示す画像処理装置に入力される信号は、何らかのデバイスに依存する色空間の画像信号で、例えば、あるスキャナにより原稿から読み取られた画像を示すRGB信号であったり、あるプリンタに出力すべきCMYK信号であってもよい。本実施形態を複写機に適用する場合は、入力信号はスキャナで読み取られた画像を示すRGB信号である。また、プルーフ(試し刷り、校正刷り)を目的とする場合は、ターゲットである印刷機へ出力されるCMYK信号である。
【0013】
このような入力信号は、入力色→Lab変換部101に入力されて、デバイスに独立な色空間であるLab色空間の信号に変換される。この変換は、入力色→Lab変換LUT102を用いるLUT変換により実現される。
【0014】
入力色→Lab変換LUT102のテーブルには、入力信号の色空間に対応するテーブルをセットする必要がある。例えば、スキャナAのRGB色空間に依存する画像信号が入力される場合は、スキャナAのRGB色空間に従属するRGB値とLab値との対応を表す三次元入力-三次元出力のRGB→Lab変換テーブルを入力色→Lab変換LUT102のテーブルとしてセットする。同様に、プリンタBのCMYK色空間に従属する画像信号が入力される場合は、プリンタBの色空間に従属するCMYK値とLab値との対応を表す四次元入力-三次元出力のCMYK→Lab変換テーブルを入力色→Lab変換LUT102のテーブルとしてセットする。
【0015】
図2はRGB→Lab変換テーブルの一例を示す図で、それぞれ8ビットのRGB値とLab値との対応を示している。実際のテーブルには代表的なRGB値をアドレスとするLab値が格納されているので、入力色→Lab変換部101は、入力されるRGB値の近傍のLab値をテーブルから取り出し、取り出したLab値を補間演算することで、入力されるRGB値に対応するLab値を取得する。
【0016】
入力色→Lab変換部101から出力されるLab信号は、Lab→デバイスRGB変換部104により、デバイスRGB→Lab変換LUT105に基づき、デバイスRGB色空間の信号に変換される。この変換処理の詳細は後述する。
【0017】
ここで、入力信号の色空間がRGB色空間である場合、その色域はプリンタの色再現域よりも広い場合が多い。このため、入力色→Lab変換部101から出力されるLab信号を、色空間圧縮変換部103においてプリンタ107の色再現範囲へマッピング(ガマットマッピング)した後、Lab→デバイスRGB変換部104に入力するものとする。ガマットマッピングの具体的な方法としては例えば、特開平8-130655号公報に開示されている均等色空間内において色空間圧縮処理を行う方法などを用いればよいが、他の周知の色空間圧縮方法を用いてもよい。
【0018】
Lab→デバイスRGB変換部104から出力されるデバイスRGB色空間の信号は、デバイスRGB→CMYK変換部106により、プリンタ107に従属なCMYK色空間の信号に変換された後、プリンタ107に送られる。RGB→CMYK変換についても様々な方法があり、どのような方法を用いても構わないが、例えば、次の変換式(1)を用いる。
C=(1.0 - R) - K
M=(1.0 - G) - K …(1)
Y=(1.0 - B) - K
K=min{(1.0 - R), (1.0 - G), (1.0 - B)}
【0019】
[Lab→デバイスRGB変換]
次に、Lab→デバイスRGB変換部104の詳細について説明する。
【0020】
Lab→デバイスRGB変換部104は、予め得られているデバイスRGB値とLab測色値との対応関係に基づき信号を変換する。図3はデバイスRGB値⇔Lab測色値の対応関係を得て、Lab→デバイスRGB変換を行う手順を示すフローチャートである。勿論、既に、RGB値⇔Lab測色値の対応関係が得られている場合は、ステップS1およびS2は省略される。
【0021】
●ステップS1
カラーパッチ生成部108により、図4に示すような複数のカラーパッチからなるサンプル画像を生成する。そして、生成されたサンプル画像のRGB信号をデバイスRGB→CMYK変換部106を通してプリンタ107に出力し、サンプル画像109を得る。
【0022】
カラーパッチ生成部108で生成されるサンプル画像は、デバイスRGB色空間を均等分割するように作成される。図4の例では、RGBそれぞれ8ビットのRGB色空間を9×9×9に均等分割して729個のパッチを得る。本来、プリンタ107に従属な色空間はCMYK色空間であるが、RGB色空間からの変換ルールによりCMYK色空間に変換可能であるという意味で、RGB色空間をプリンタ107に従属な色空間であると考える。
【0023】
●ステップS2
得られたサンプル画像109の各カラーパッチをカラーパッチ測色部110により測色し、各カラーパッチのLab測色値を得る。得られたLab測色値は、図5に示されるようにLab色空間上に分布する。この操作により、カラーパッチ生成部108で生成されたRGB値、および、カラーパッチ測色部110で測色されたLab測色値が得られ、デバイスRGB→Lab変換LUT105のテーブルを得ることができる。このデバイスRGB→Lab変換LUT105を用いてLab→デバイスRGB変換を行う。
【0024】
ところで、LUTを利用する場合、周知の手法である立方体補間や四面体補間などの補間演算が利用される。これらの補間演算はLUTの入力側に相当するグリッドが等間隔である必要がある。デバイスRGB→Lab変換LUT105のテーブルにおけるデバイスRGB値は均などに並んでいるが、Lab測色値は均などに並んではいない。このため、Lab値を入力とする場合、デバイスRGB→Lab変換LUT105のテーブルは等間隔のグリッドをもつLUTを構成しない。従って、単純に、Lab値を入力する補間演算を行うことはできない。そこで、以下の手順により、Lab→デバイスRGB変換を行う。
【0025】
●ステップS3
デバイスRGB→Lab変換LUT105のテーブルに含まれるLab値と、入力Lab値との距離d(Lab色差式による色差と等価)を計算してメモリに格納する。
【0026】
●ステップS4
図6に示すように、入力Lab値(◎)に対して、距離dが小さい順にN個のエントリ(●)を選択する。このとき、距離dが小さい順に下記のように表記する。
ここで、d1 < d2 < d3 < … < dN
【0027】
●ステップS5
入力Lab値に対する変換値(RGB値)を次式により計算する。
RGB = (1/N)×Σi=1 NRGBi×f(di)
ここで、f(x) = 1/(1+x4)
【0028】
関数f(x)は図7に示すような特性をもつから、上式による計算は、Lab色空間上で、より近傍にあるLab測色値に対応するRGB値に、より大きい重みを付けて補間演算を行っていることになる。
【0029】
補間演算に用いるサンプル点の数Nは、Lab色空間全域において、定数(例えば8)にすることもできる。しかし、デバイスRGB→CMYK変換部106における変換手法によっては、図5に示すように明度L*が低い領域に測色値が集中するために、Nを定数にすると不都合が生じることがある。つまり、測色値が集中する領域においては距離dが極めて小さくなり、Nが小さいと、少数のサンプル点に大きい重みを付けて補間演算が行われ、その結果、デバイスRGB色空間における階調ジャンプ、低明度領域でのホワイトバランスの崩れ、などの問題を生じ易い。
【0030】
そこで、図8に示すように、入力Lab値のL*値に応じてサンプル点の数を変化させて補間演算を行えば、上記の問題を効果的に解決することができる。勿論、明度が高い領域においても、補間演算に使うサンプル数が制限されることになり、色の濁りなどが生じ難くなる。なお、図8に示す関数N(L*)の一例は、L*=0で128、L*=100で4になる1/4乗関数を示している。
【0031】
上記ステップS3からS5の処理を入力Lab値すべてに繰り返し施せば、Lab信号をデバイスRGB信号に変換することができる。
【0032】
【第2実施形態】
以下、本発明にかかる第2実施形態の画像処理装置を説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0033】
図9は第2実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。第2実施形態の画像処理装置は、デバイスに独立な色空間の信号からプリンタ107の色空間の信号への変換を、入力信号をデバイスに独立な色空間の信号へ変換する際と同様に、LUTで行う点で第1実施形態の画像処理装置と異なる。
【0034】
Lab→CMYK変換部803は、Lab→CMYK変換LUT804を用いて、Lab信号をプリンタ107に従属なCMYK色空間の信号に変換する。Lab→CMYK変換部803から出力されるCMYK信号はプリンタ107に送られる。Lab→CMYK変換LUT804は、次のようにして作成される。
【0035】
カラーパッチ生成部808で生成されたサンプル画像のCMYK信号はプリンタ107に出力され、サンプル画像109が得られる。
【0036】
得られたサンプル画像109の各カラーパッチをカラーパッチ測色部110により測色し、各カラーパッチのLab測色値を得る。得られたLab測色値およびカラーパッチ生成部808で生成されたCMYK値に基づき、Lab→CMYK変換LUT作成部810においてCMYK→Lab変換LUTを作成する。そして、作成されたCMYK→Lab変換LUTに基づき、第1実施形態と同様の方法を用いてLab→CMYK変換LUT804を作成する。
【0037】
例えば、Lab値を8ビット信号とすると、L*値は0から255まで、a*およびb*値は-128〜127までである。Labの各範囲を16ステップで刻んでLabのグリッドを構成すれば、173=4913回の計算によりLab→CMYK変換LUT804のテーブルができあがる。
【0038】
第1実施形態においては、LUTによりLab色空間からデバイスRGB色空間へ変換した後、演算処理によりデバイスRGB色空間からCMYK色空間へ変換したが、これら変換処理を、第2実施形態では一つのLUTで行うことができ、変換処理を効率化することができる。
【0039】
【第3実施形態】
以下、本発明にかかる第3実施形態の画像処理装置を説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0040】
図10は第3実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図で、近年、インターネットで標準的な色空間になりつつあるsRGB色空間の入力信号を入力する構成を有する。sRGB色空間は、XYZ色空間との対応が定義付けられていて、デバイスに独立な色空間と考えることが可能である。そこで、sRGB値をXYZ値やLab値に変換し、さらに、上述したようなLab色空間からプリンタ色空間への変換を行えば、プリンタ107により、sRGB色空間の信号によって表される画像を再現することが可能になる。
【0041】
図10において、sRGB→CMYK変換部901は、sRGB→CMYK変換LUT902を用いて、sRGB色空間の入力信号をプリンタ107に従属なCMYK色空間の信号に変換する。sRGB→CMYK変換部901から出力されるCMYK信号はプリンタ107に送られる。sRGB→CMYK変換LUT902は、次のようにして作成される。
【0042】
カラーパッチ生成部108で生成されたサンプル画像のRGB信号は、デバイスRGB→CMYK変換部106によりプリンタ107に従属なCMYK信号に変換された後、プリンタ107に出力され、サンプル画像109が得られる。
【0043】
得られたサンプル画像109の各カラーパッチをカラーパッチ測色部110により測色し、各カラーパッチのLab測色値を得る。得られたLab測色値およびカラーパッチ生成部108で生成されたRGB値に基づき、sRGB→CMYK変換LUT作成部908は、sRGB→CMYK変換LUT902のテーブルを作成する。
【0044】
sRGB→CMYK変換LUT作成部908の処理は、第1実施形態で説明したデバイスRGB→CMYK変換処理をカラーパッチ生成部108で生成されたRGB値に施して得たCMYK値と、Lab測色値に定義式に従うLab→XYZおよびXYZ→sRGB変換を施して得たsRGB値とからsRGB→CMYK変換LUT902のテーブルを作成する。例えば、sRGB信号を8ビット信号とすると、sRGBの各範囲を16ステップで刻んで17×17×17のsRGBのグリッドを構成すれば、173=4913回の計算によりsRGB→CMYK変換LUT902のテーブルができあがる。
【0045】
以上説明した第1から第3実施形態それぞれによれば、カラープリンタや印刷機がもつ強い非線型出力特性を精度よく近似し、高精度な色再現を可能にする色変換方法を提供することができる。従って、デバイスに独立な色空間において、プリンタや印刷機の特性を良好に反映する色空間変換を行うため、どのような入力色空間に対しても、高精度な色再現がプリンタや印刷機で可能になる。
【0046】
なお、上記の実施形態においては、デバイスに独立な色空間をLab色空間として説明したが、他の均等色空間、例えばLuv色空間を用いてもまったく同様の効果を得ることができる。
【0047】
【第4実施形態】
以下、本発明にかかる第4実施形態の画像処理装置を説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0048】
第4実施形態は、デバイスRGB→CMYK変換部106における変換方法を、第1実施形態とは異なる方法に置き換えた例である。
【0049】
図11は、第4実施形態のデバイスRGB→CMYK変換部106における処理の流れを示す図である。入力され、[0:1]に正規化されたデバイスRGB値は、ステップS1001で反転処理されてCMY信号に変換される。その後、ステップS1002において、次式に示すようにパラメータγを用いたガンマ変換が施される。なお、第4実施形態においては、上式におけるパラメータγを1.6とする。
C = Cγ
M = Mγ
Y = Yγ
【0050】
ガンマ変換されたCMY信号は、ステップS1003において、以下に説明するようなグリッド(格子点)を用いた補間演算が施されることによって、CMYK信号に変換される。
【0051】
補間演算処理(S1003)において用いられるグリッド1004は、CMYそれぞれが[0:1]の範囲を取るCMY空間における立方体の頂点に位置し、各グリッドは下表に示すCMYK値に対応する。
【0052】
符号1005で示す入力CMY値は、上記の各CMYグリッドとの距離が算出される。そして、その距離に応じた重みによる対応CMYK値に対する線形の重み付け演算により、CMYK値が出力される。
【0053】
一般に、電子写真プリンタであればトナーの転写性や定着性などによって、また、インクジェットプリンタであればインクの浸透性などによって、理想的なトナー(インク)量が記録紙に乗らない場合がある。これにより、二次色(R、GおよびB)を二色のトナーで出力できない、あるいは、ブラックを三色または四色のトナーで出力できないといった問題が発生する。
【0054】
第4実施形態では、出力対象であるプリンタ107において、二次色については1.8色分のトナーしか記録紙に乗らず、ブラックについては2.2色分のトナーしか記録紙に乗らないものとする。従って、上表において、レッド、グリーンおよびブルーの各色を示すCMY値 (0, 1, 1) (1, 0, 1) (1, 1, 0)に対応するCMYK値は、それぞれ (0.0, 0.9, 0.9, 0.0) (0.9, 0.0, 0.9, 0.0) (0.9, 0.9, 0.0, 0.0)に設定されている。また、ブラックに対応するCMYK値は(0.4, 0.4, 0.4, 1.0)に設定されている。
【0055】
より一般的に表現すれば、二次色トナー量をcol2、Bkトナー量をcol4とすると、レッド、グリーン、ブルーおよびブラックの対応CMYK値を、以下のように設定することができる。なお、第4実施形態において、col2=1.8、col4=2.2とする。
R = { 0, col2/2, col2/2, 0 }
G = { col2/2, 0, col2/2, 0 }
B = { col2/2, col2/2, 0, 0 }
Bk = { (col4 - 1)/3, (col4 - 1)/3, (col4 - 1)/3, 1 }
【0056】
もちろん、上述した対応CMYK値や定義はこの例に限定されるものではなく、デバイス特性あるいは出力目的に応じて任意に設定することができる。例えば、ブラックの対応CMYK値を(0, 0, 0, 1)にすれば、(R, G, B)=(0, 0, 0)で表される純黒色を黒トナー単色で印刷することができ、100%UCRが実現できる。
【0057】
第4実施形態においても、第1実施形態のステップS1と同様に、カラーパッチ生成部108から出力されたカラーパッチに基くデバイスRGB→CMYK変換を行うことによって、プリンタ107からサンプル画像109を出力する。そして、ステップS2と同様に、得られたサンプル画像109の各カラーパッチをカラーパッチ測色部110で測色し、各カラーパッチのLab測色値を得る。
【0058】
得られたLab測色値は、図12に示すように、Lab色空間上に分布する。図12によれば、第1実施形態の図5に示した、式(1)によるデバイスRGB→CMYK変換を用いた出力パッチのLab測色値分布と比較して、L*が低い領域における分布密度が薄くなり、L*が高い領域における分布密度が高くなっている。
【0059】
従って、第4実施形態におけるデバイスRGB→CMYK変換に基づいて求められたサンプルを用いれば、第1実施形態で述べたような問題、つまり、低明度領域でのサンプル密集に起因するデバイスRGB色空間における階調ジャンプ、低明度領域でのホワイトバランスの崩れなどの問題に対して、第1実施形態の図8に示した、サンプル点数の変化が不要になり、問題を容易に解決することができる。
【0060】
カラーパッチの測色値の分布密度をなるべく明度L*に依存しないものにするためには、第4実施形態で説明したように、出力プリンタの階調特性に応じてガンマ変換のパラメータ(γ値)を適当に変化させればよいが、ガンマ変換に代えて多項式関数などの他の計算方法を用いることも有効である。
【0061】
【第5実施形態】
以下、本発明にかかる第5実施形態の画像処理装置を説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0062】
図13は第5実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。第5実施形態においては、第2実施形態と同様に、デバイスに独立な色空間の信号からプリンタ107の色空間の信号への、LUTによる変換を説明する。さらに、そのLUTの作成方法についても詳細に説明する。
【0063】
上述した各実施形態においては、出力デバイスのプロファイルの作成方法を説明した。すなわち、デバイス値(例えばCMYK値)→Lab値変換用のLUT、および、Lab→デバイス値(例えばCMYK値)変換用のLUTがそれぞれ出力デバイスのデスティネーションプロファイルおよびソースプロファイルに相当する。
【0064】
プルーフ(試し刷り、校正刷り)を目的として、ターゲットである印刷機の出力特性に合わせて色変換された画像を、複写機やプリンタでプリントする場合がある。このようなプルーフを行うには、上述した各実施形態で説明した方法によって、プルーフに用いられる出力デバイスにサンプル画像データを供給し印刷させ、得られたサンプル画像の各カラーパッチの測色値からプロファイルを作成する必要がある。そして、作成したプロファイルを使用して色変換を施した画像を出力デバイスでプリントすることになる。
【0065】
以下では、プルーフに用いる出力デバイスのプロファイル作成処理ついて説明する。なお、作成するプロファイルはプルーフ用に限られず、通常の出力(印刷)にも使用できることはいうまでもない。
【0066】
図13に示す、CMYK→Lab変換部1201、Lab→CMYK変換部1202、プリンタ107、CMYK→Lab変換LUT1204、および、Lab→CMYK変換LUT1205による構成は、一般的なプルーフシステムの構成である。
【0067】
CMYK→Lab変換部1201に入力されるCMYK信号は、ターゲットである印刷機の特性に依存したCMYK信号で、その印刷機に従属するCMYK色空間とデバイス独立色空間(Lab色空間)との対応関係を保持するCMYK→Lab変換LUT1204を用いたCMYK→Lab変換により、デバイスに独立な色空間であるLab色空間の信号に変換される。
【0068】
変換によって得られたLab信号は、Lab→CMYK変換部1202により、プリンタ107に従属するCMYK色空間とLab色空間との対応関係を保持するLab→CMYK変換LUT1205を用いてCMYK色空間の信号に変換され、プリンタ107へ出力される。
【0069】
このように、第5実施形態におけるCMYK→Lab変換およびLab→CMYK変換はともに、LUTを読み込み、そのLUTを入力信号でアドレッシングして補間演算を行うことにより実行される。
【0070】
このようなカラーマッチング方法は、PostScript(Adobe社の登録商標)におけるCRDを用いたカラーマッチング、あるいは、ICCプロファイルを用いたカラーマッチングの際に行われる。とくに、ICCプロファイルは、デバイス従属な色空間とデバイス独立な色空間との相互変換が可能になるように、CMYK→Lab変換LUTおよびLab→CMYK変換LUTを備える。
【0071】
Lab→CMYK変換LUT1205およびCMYK→Lab変換LUT1204は、カラーパッチ生成部1206から出力されたCMYKカラーパッチをプリンタ107から出力し、得られたサンプル画像109をカラーパッチ測色部110で測色した測色値に基づき、Lab→CMYK変換LUT作成部1211およびCMYK→Lab変換LUT作成部1212において作成される。
【0072】
ここで、Lab→CMYK変換LUT作成部1211においては、第1実施形態のLab→デバイスRGB変換部104およびデバイスRGB→CMYK変換部106における処理と同様に、サンプル画像のLab測色値からCMYK値への変換を行うことにより、Lab→CMYK変換LUT1205を作成する。しかし、第1実施形態におけるLab→CMYK変換は、RGBカラーパッチの測色値に基づいて演算されるものであるため、第5実施形態におけるCMYKカラーパッチの測色値をそのまま適用することはできない。そこで第5実施形態においては、RGBカラーパッチの測色値テーブルを擬似的に作成するために、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209を設けている。
【0073】
一方、CMYK→Lab変換LUT作成部1212においては、CMYKカラーパッチの測色値テーブルを用いた補間演算によって、CMYK→Lab変換LUT1204を作成する。
【0074】
作成されたLUTは記憶部1213に記憶され、Lab→CMYK変換部1202で参照されるLab→CMYK変換LUT1205としてセットされたり、他の印刷機に対するプルーフシステムのためにCMYK→Lab変換部1201で参照されるCMYK→Lab変換LUT1204としてセットされ、利用される。図13に示す各処理部の動作の詳細は後述する。
【0075】
図14は、第5実施形態の画像処理装置を計算機システム上で実現する際の構成例を示す図であり、ごく一般的な計算機システムの構成を示している。
【0076】
図13に示した各処理部(1201、1202、1206、1209、1211および1212)は、RAM1303あるいはROM1304に格納されたプログラムモジュールとして実現され、CPU1302によって読み出されて実行される。また、図13に示した各LUT(1204および1205)は、RAM1303上に確保されたメモリ領域として実現される。また、プリンタ1312がCPU1302で実行されるプリンタドライバによりプリンタI/F1311を介して制御されることによって、図13のプリンタ107として機能する。なお、プリンタ107としては、ネットワークI/F1305を介してネットワーク1306上に存在する他のプリンタを用いてもよい。
【0077】
また、カラーパッチ測色部110は、シリアルI/F1309を介して制御されるカラー測色器1310によって実現される。記憶部1213としてはHDD1308を用いる。モニタ1314は、ビデオI/F1313を介して制御され、各モジュールを制御するためのグラフィックユーザインタフェイス(GUI)、カラーパッチ表示などに利用される。また、キーボード1301およびマウス1307は、GUIを介したユーザ入力などに用いられる。
【0078】
以下、図15Aおよび図15Bを参照して、図13に示した各処理部の動作を詳細に説明する。
【0079】
図15Aは、第5実施形態におけるパッチ生成・測色系およびCMYK→Lab変換LUT作成部1212の詳細動作を説明するための図である。
【0080】
図15Aにおいて、カラーパッチ生成部1206で生成したCMYK画像をプリンタ107に出力して得られるサンプル画像109を、カラーパッチ測色部110で測色することにより、CMYK→Lab測色値対応テーブル1401を得る。
【0081】
カラーパッチ生成部1206では、例えば、以下のようなCMYK値をもつカラーパッチ画像を生成する。
【0082】
ここでは、C、MおよびYのそれぞれが32刻み、Kが51刻みの値を取り、9×9×9×5個の色値をもつカラーパッチを生成することにする。もちろん、CMYK値はこれに限られるものではない。これらCMYK値と、そのCMYK値に対応するパッチの測色値(全9×9×9×5個)の組み合わせが、CMYK→Lab測色値対応テーブル1401になる。
【0083】
次に、CMYK→Lab変換LUT作成部1212における動作について詳細に説明する。CMYK→Lab変換LUT作成部1212は、CMYKグリッド発生部1402、CMYK→Lab変換部1403からなり、上述したように作成されたCMYK→Lab測色値対応テーブル1401を参照して、CMYK→Lab変換LUT1204を作成する。
【0084】
CMYKグリッド発生部1402では、カラーパッチ生成部1206で発生したようなCMYK値の組み合わせを、ユーザの指定したグリッド数の数だけ発生させる。例えば、CMYKをそれぞれ32刻みとして、9×9×9×9個のCMYK値を発生させる。こうして生成されたCMYK値は、CMYK→Lab変換部1403に入力され、パッチ生成/測色によって得られたCMYK→Lab測色値対応テーブル1401を用いた補間演算により、Lab値に変換される。変換されたLab値は、CMYKグリッド発生部1402で発生したCMYK値の情報とともに、CMYK→Lab変換LUT1204として格納される。
【0085】
図15Bは、第5実施形態におけるデバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209およびLab→CMYK変換LUT作成部1211の詳細動作を説明するための図である。
【0086】
図15Bにおいて、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209は、デバイスRGBグリッド発生部1410で発生されたRGB値をデバイスRGB→CMYK変換部1411でCMYK値に変換した後、CMYK→Lab変換部1412において、図15Aに示したパッチ生成/測色によって得られたCMYK→Lab測色値対応テーブル1401を参照してLab値に変換することにより、デバイスRGB→Lab変換LUT1413を得る。なお、CMYK→Lab変換部1412としては、CMYK→Lab変換LUT作成部1212で用いられるモジュールであるCMYK→Lab変換部1403を共用してもよい。
【0087】
例えば、デバイスRGBグリッド発生部1410の発生するRGBグリッド値を下表のようにすれば、これらのグリッド値に対するLab値を算出することができる。つまり、RGBカラーパッチを生成して測色した場合と同等のLab値が得られる。
【0088】
次に、Lab→CMYK変換LUT作成部1211における動作について詳細に説明する。Lab→CMYK変換LUT作成部1211は、Labグリッド発生部1420、色空間圧縮変換部1421、Lab→デバイスRGB変換部1422、および、デバイスRGB→CMYK変換部1423からなり、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209において作成されたデバイスRGB→Lab変換LUT1413を参照して、Lab→CMYK変換LUT1205を作成する。なお、デバイスRGB→CMYK変換部1423としては、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209で用いられるモジュールであるデバイスRGB→CMYK変換部1411を共用してもよい。
【0089】
Labグリッド発生部1420は、ユーザにより指定されたグリッド数でLabグリッド値を生成する。例えば、Lab値を8ビット信号として、ユーザが17×17×17のグリッドを指定した場合、L*の0から255まで、a*およびb*の-128から127までを、それぞれ16刻みの値をとるものとして、4913(=17×17×17)個のLabグリッド値を生成する。こうして生成されたLab値は、第1実施形態の色空間圧縮変換部103を共用可能な色空間圧縮変換部1421、Lab→デバイスRGB変換部1422、第1実施形態のデバイスRGB→CMYK変換部106を共用可能なデバイスRGB→CMYK変換部1411によって、CMYK値に変換される。変換されたCMYK値は、Labグリッド発生部1420で発生したLabグリッドの情報とともに、Lab→CMYK変換LUT1205として格納される。
【0090】
図16は、第5実施形態の処理を制御するためのユーザインタフェイス(UI)の一例を示す図で、図14に示す計算機システム上において、ビデオI/F1313を介してモニタ1314上に表示される。
【0091】
図16に示すGUI1500は、カラーパッチ生成部1206が出力するパッチ画像を表示するビュー1501をもつ。ビュー1501は、カラーパッチ生成部1206におけるパッチ生成が正常であるか否かを確認するために用いられる。また、ボタン1502〜1505はそれぞれ、パッチ出力、測色、CMYK→Lab変換LUT作成、およびLab→CMYK変換LUT作成の指示ボタンであり、各処理の開始を指示する。
【0092】
LUT作成の際には、CMYK→Lab変換LUT設定フィールド1506内のグリッド数設定ボックス1507において、CMYK→Lab変換LUTのグリッド数を設定できる。これは例えばプルダウンメニューとして、9×9×9×9や17×17×17×17などのグリッド数が選べるようにしておけばよい。
【0093】
Lab→CMYK変換LUT設定フィールド1508内においては、グリッド数設定ボックス1509でグリッド数の設定が行えるのに加えて、出力プリンタのデバイス特性が設定できる。デバイス特性の個別設定フィールド1510においては、二次色トナー量、ブラックトナー量、階調補正ガンマを数値設定でき、これらの数値は、第4実施形態で説明したパラメータcol2、col4およびγとして設定され、デバイスRGB→CMYK変換部1411(1423)における変換の際のパラメータとして使用される。これら個別の設定値は、デバイス特性の「保存」ボタン1513によって保存可能で、保存した設定値はデバイス特性の「読込」ボタン1514を押すことによって、再び読み込んで使用することができる。
【0094】
また、デバイス特性の推奨値を得たい場合は、デバイス推奨値設定フィールド1511でデバイスの種類を指定すればよい。すなわち、選択可能な複数のデバイスについて、そのデバイス名とそれぞれに適した二次色トナー量、ブラックトナー量および階調補正ガンマが予め記憶されていて、ユーザがデバイス名を指定すれば、指定デバイスに対応する適切な二次色トナー量、ブラックトナー量および階調補正ガンマが自動的にセットされる。なお、セットされた値を個別設定フィールド1510の各設定欄に表示するようにしてもよい。
【0095】
なお、個別設定およびデバイス推奨値設定は、ラジオボタンによって排他的に指定可能にする。例えば、一方が指定されている場合は他方をグレーアウト表示とすることによって、選択状態が把握し易くなる。
【0096】
図17Aから図17Eは、GUI1500上の「パッチ出力」ボタン1502、「測色」ボタン1503、「CMYK→Lab変換LUT作成」ボタン1504および「Lab→CMYK変換LUT作成」ボタン1505を押すことで各動作が指示された場合の各処理を示すフローチャートである。
【0097】
図17Aは「パッチ出力」ボタン1502が押されることによって開始される、図15Aに示したパッチ出力処理のフローチャートで、カラーパッチ生成部1206およびプリンタ107において実行される。
【0098】
まず、CMYK→Lab測色値対応テーブル1401を格納するためのメモリ領域を確保し(S1601)、カラーパッチを示すCMYK値を生成し(S1602)、そのCMYK値をCMYK→Lab測色値対応テーブル1401に格納する(S1603)。次に、デバイス推奨値設定フィールド1511で出力対象になるプリンタ107を選択し(S1604)、選択されたプリンタ107に対してカラーパッチのCMYK値を出力する(S1605)ことで、プリンタ107からサンプル画像109が出力される。
【0099】
サンプル画像109が得られた後、「測色」ボタン1503を押すことで、図15Aに示したサンプル画像109の測色処理が開始される。図17Bは測色処理を示すフローチャートで、測色処理はカラーパッチ測色部110によって実行される。
【0100】
プリンタ107から出力されたサンプル画像109をカラーパッチ測色部110(カラー測色器1310)にセットして、「測色」ボタン1503を押すと、カラー測色器1310に測色開始を指示するコマンドがシリアルI/F1309を介して送信され(S1611)、カラー測色器1310から測色値を受信する(S1612)。そして、受信した測色値をCMYK→Lab測色値対応テーブル1401に格納する(S1613)ことで、CMYK→Lab測色値対応テーブル1401が完成する。
【0101】
次に、各LUTの作成処理について説明する。
【0102】
図17Cは「CMYK→Lab変換LUT作成」ボタン1504を押すことによって開始される、図15Aに示したCMYK→Lab変換LUT作成処理のフローチャートで、CMYK→Lab変換LUT作成部1212において実行される。
【0103】
まず、グリッド数設定ボックス1507に設定されているグリッド数をチェックし(S1621)、CMYK→Lab変換LUT1204を格納するためのメモリ領域をグリッド数に応じて確保する(S1622)。そして、グリッド数に応じたCMYKグリッド値を生成し(S1623)、そのCMYKグリッド値をLab値に変換し(S1624)、そのLab値をCMYK→Lab変換LUT1204に格納する(S1625)ことで、CMYK→Lab変換LUTが完成する。
【0104】
図17Dおよび図17Eは「Lab→CMYK変換LUT作成」ボタン1505を押すことによって開始される、図15Bに示したLab→CMYK変換LUT作成処理のフローチャートで、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209およびLab→CMYK変換LUT作成部1211において実行される。
【0105】
まず、Lab→CMYK変換LUT設定フィールド1508内における各設定値(グリッド数、二次色トナー量、Blackトナー量および階調補正ガンマ値)を取得し記憶する(S1701)。次に、デバイスRGB→Lab変換LUT1413の作成処理を開始する(S1702)。
【0106】
ここで、デバイスRGB→Lab変換LUT作成の詳細を図17Eを参照して説明する。
【0107】
まず、デバイスRGB→Lab変換LUT1413を格納するためのメモリ領域を確保する(S1710)。そして、デバイスRGBのグリッド値を生成してデバイスRGB→Lab変換LUT1413に格納する(S1711)とともに、デバイスRGB→CMYK変換(S1712)およびCMYK→Lab変換(S1713)によって得られたLab値を、デバイスRGB→Lab変換LUT1413に格納する(S1714)ことで、デバイスRGB→Lab変換LUTが完成する。
【0108】
ステップS1702でデバイスRGB→Lab変換LUT1413が得られると、Lab→CMYK変換LUT1205を格納するためのメモリ領域を、グリッド数設定ボックス1509に設定されたグリッド数に応じて確保する(S1703)。そして、そのグリッド数に応じたLabグリッド値を生成する(S1704)。そのLabグリッド値は、色空間圧縮(S1705)、Lab→デバイスRGB変換(S1706)およびデバイスRGB→CMYK変換処理(S1707)を経てCMYK値に変換され、Lab→CMYK変換LUT1205に格納される(S1708)ことで、Lab→CMYK変換LUTが完成する。
【0109】
以上説明したように、第5実施形態によれば、出力デバイスのプロファイルを適切に作成することができるため、適切なプルーフ処理が行える。
【0110】
【第6実施形態】
以下、本発明にかかる第6実施形態の画像処理装置を説明する。
【0111】
第1実施形態で説明したように、Lab→デバイスRGB変換においては、RGBパッチの測色値の分布密度がなるべく明度L*によらず均一であることが望ましい。そこで、第1実施形態では測色値の分布が密集する低明度領域では計算に使用するLab値のサンプル数を多くし、測色値の分布が疎である高明度領域ではサンプル数を少なくする例を説明した。同様の目的を達成するために、第4実施形態および第5実施形態で説明したデバイスRGB→CMYK変換におけるパラメータγを、適当な値に調整すればよい。その調整の結果、図5に示すような、低明度領域に集中していた測色値の分布が、図12に示すような、明度L*によらない測色値の分布になることは既に説明したとおりである。
【0112】
上述した第5実施形態ではGUIを介してユーザがパラメータγを設定する例を示したが、第6実施形態ではパラメータγを自動設定する。
【0113】
図18は第6実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図で、図13に示す第5実施形態の構成に加えて、CMYKカラーパッチに対するLab測色値を解析してパラメータγを自動設定する、測色値分布解析部1901を設けたことを特徴とする。なお、その他の構成については第5実施形態と同様であるため、同一番号を付して、詳細説明を省略する。
【0114】
図19は測色値分布解析部1901の詳細構成を示すブロック図である。
【0115】
図19において、グレイ値生成部1910により複数点分のR=G=Bのグレイ値が生成されて、デバイスRGB→CMYK変換部1911に渡される。ここで変換されたCMYK値が、CMYK→Lab変換部1912においてカラーパッチ測色部110で生成されたCMYK→Lab測色値対応テーブル1401(図15A)に基づきLab値に変換され、グレイ値→L*テーブル1913が構成される。γ値算出部1914は、グレイ値→L*テーブル1913に基づいて、後述するように、適切なγ値を算出する。得られたγ値は、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209やLab→CMYK変換LUT作成部1211に与えられ、デバイスRGB→CMYK変換部1411および1423のパラメータとしてセットされる。
【0116】
なお、デバイスRGB→CMYK変換部1911としては、第5実施形態においてデバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209内のモジュールとして、図15Bに示したデバイスRGB→CMYK変換部1411を共用してもよい。また同様に、CMYK→Lab変換部1912としては、図15Aに示した、CMYK→Lab変換LUT作成部1212内のモジュールであるCMYK→Lab変換部1403を共用してもよい。
【0117】
以下、第6実施形態におけるLab→CMYK変換LUT作成処理(図15B)について説明する。この処理は、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209およびLab→CMYK変換LUT作成部1211において実行され、その概要は第5実施形態で説明した図17Dと同様であるが、第6実施形態においては、図17DのステップS1702に示すデバイスRGB→Lab変換LUT作成処理が第5実施形態とは異なる。図20は、第6実施形態におけるデバイスRGB→Lab変換LUT作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【0118】
図20に示すように、第6実施形態においては、Lab→CMYK変換LUT作成処理の開始直後に、ステップS1901で測色値を解析してγ値を決定することを特徴とする。以降の処理は図17Eと同様である。
【0119】
以下、測色値分布解析部1901におけるγ値の算出方法について、図21のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0120】
●ステップS21
グレイ値生成部1910においてグレイ信号を生成し、そのグレイ信号に対するL*値を求める。
【0121】
例えば、グレイ値生成部1910でR=G=B=0、16、32、…、255のような複数のグレイ信号を生成し、そのグレイ信号をデバイスRGB→CMYK変換部1911でCMYK値に変換する。このとき、デバイスRGB→CMYK変換部1911におけるパラメータはγ=1.0とし、col2およびcol4は第5実施形態のGUIによって指定された値とする。
【0122】
次に、変換されたCMYK値を、CMYK→Lab変換部1912でLab値に変換する。これにより、グレイ信号に対するLab値が得られる。図22は、グレイ信号を[0:1]に正規化して対応するL*値をプロットしたグラフであり、これが、すなわちグレイ値→L*テーブル1913である。
【0123】
●ステップS22
図22に示すグレイ信号とL*値との対応関係(グレイ値→L*テーブル1913)を指数関数で近似する。
【0124】
まず、下式により、L*を[0:1]に正規化する。そして正規化されたグレイ-L*'曲線を、周知の関数フィッティング方法によって指数関数で近似することで、γ値を求める。
L*' = (L* - L*min)/(L*max - L*min)
【0125】
以上のようにして得られたγ値を、デバイスRGB→CMYK変換部1411および1423のパラメータとしてセットすることにより、デバイスRGB→Lab変換LUT作成部1209によって得られるデバイスRGB→Lab変換LUT1412、および、Lab→CMYK変換LUT作成部1211によって得られるLab→CMYK変換LUT1205は、そのLab値の分布がL*値に対して均一になる。
【0126】
また、γ変換ではなく、多項式により階調特性を補正する場合にも、得られたグレイ信号-L*曲線を多項式に当て嵌めるように演算すれば、同様の効果が得られる。
【0127】
以上説明したように、第6実施形態によれば、デバイスRGB→CMYK変換時に利用されるパラメータγを適切な値に自動設定することができる。
【0128】
【第7実施形態】
以下、本発明にかかる第7実施形態の画像処理装置を説明する。
【0129】
一般にCMYKによる画像形成を行う際は、Bk色の割合、すなわち墨入れ量の制御が重要になる。典型的な墨入れ量の制御方法は、墨すなわちBkのインク(またはトナー)量を低濃度領域では少なくし、高濃度領域に向かってBk量を増加させる。これにより、低濃度領域では色の鮮やかさを保ち、高濃度領域ではより引き締まった画像を得ることができる。
【0130】
一方、上記各実施形態において説明してきたデバイスRGB→CMYK変換の制御パラメータは、CMY空間での補間格子点であるRGBCMYWBkの八点のトナー量、および、補間演算を行うCMY空間へ入力されるCMY値のガンマ変換におけるγパラメータである。このとき、出力CMYK値の算出はCMY空間における線形補間演算によって行われるため、入力CMY値に対する出力CMYK値は、各色成分が一斉に線形に変化することになり、Bkの色成分だけを独立に制御することは不可能である。
【0131】
そこで、第7実施形態においては、上述した各実施形態の変形例として、上述した各実施形態で示したデバイスRGB→CMYK変換処理(例えば、図15BのRGB→CMYK変換部1411および1423)の際に、Bk色成分の独立制御を可能にする。なお、以下に説明する処理以外は、上述した各実施形態の処理と同一の処理を行う。
【0132】
図23は、第7実施形態におけるデバイスRGB→CMYK変換部の詳細構成を示すブロック図である。
【0133】
図23において、入力RGB値はまずCMY変換部2101において、下式のように反転変換される。
C = 1.0 - R
M = 1.0 - G
Y = 1.0 - B
【0134】
そして、γ変換部2102において、任意のγ値2111、あるいは、第6実施形態のように自動設定されたγ値2111を用いて、次式に示すようなガンマ変換が施される。
C' = Cγ
M' = Mγ
Y' = Yγ
【0135】
そして、補間演算部2103においてC'M'Y'信号に対して、上述した第4実施形態と同様に、CMY空間において八点の格子点を定義するトナー量制限から設定されたトナー値2112を用いた補間演算を施すことによってCMYK値が算出される。
【0136】
次に、第7実施形態に特徴的な構成である墨量調整部2104において、算出されたCMYK値に墨量調整関数2113を用いた墨量調整を行う。以下、この墨量調整処理について詳細に説明する。
【0137】
図24に墨量調整関数2113の一例を示す。図24において、横軸は変換前のBk値、縦軸は変換後のBk'値である。図24に示す墨量調整関数2113は三乗のべき関数として表される。
Bk' = Bk3
【0138】
上記の関数による変換をBkに対して行えば、Bk量が少ない低濃度領域ではBkの入り方をより少なくし、高濃度領域に向けて急峻にBkの入り方を多くするように制御することができる。また、Bkの入り方の制御をより柔軟に行うために、複数の墨量調整関数2113をLUT形式で保持しておくことにより、上記べき関数以外にも、解析的でない関数や自由曲線も選択可能に設定することも有効である。
【0139】
以下、墨量調整部2104における墨量調整処理について、図25のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0140】
●ステップS31
まず、墨量調整関数2113を用いて、補間演算により算出されたCMYKのBk値をBk'値に変換するBk調整を行う。すなわち、墨量調整関数2113をF(x)とすると、以下の演算を行う。
Bk' = F(Bk)
【0141】
●ステップS32
次に、ステップS31で調整した(減じた)Bk量を他のCMY値に振り分け加算することにより、補間演算で求められた総トナー量を維持する。加算方法を下式に示す。
C' = C +(Bk' - Bk)×C/(C + M + Y)
M' = M +(Bk' - Bk)×M/(C + M + Y)
Y' = Y +(Bk' - Bk)×Y/(C + M + Y)
【0142】
なお、調整した(減じた)Bk量のCMY値への振り分けは、上式のようにCMYの量に応じて振り分けることに限らず、場合によっては下式に示すように、各色に等分した加算を行うことも有効である。
C' = C +(Bk' - Bk)/3
M' = M +(Bk' - Bk)/3
Y' = Y +(Bk' - Bk)/3
【0143】
●ステップS33
ステップS31およびS32において得られたC'、M'、Y'およびBk'を墨量調整後の角良調整値CMYK'として出力する。
【0144】
このように、第7実施形態では、階調ガンマ、総トナー量(記録材総量条件)および墨量調整条件から、黒成分を含まない複数の色成分データで示されるデバイス依存の色データ(デバイス依存のRGB)を黒成分を含む複数の色成分データで示されるデバイス依存の色データ(CMYK)に変換する変換条件(RGB→CMYK変換処理)を作成し、デバイスRGB→Lab変換LUTおよびLab→CMYK変換LUTを作成する。従って、階調ガンマ、総トナー量だけでなく墨量を任意に調整することができる。
【0145】
以上説明したステップによって墨量調整が行われるが、これら各モジュールは第5実施形態と同様に、図14に示すような計算機システム上で動作するプログラムとして実現され、例えば図13に示した各処理部に対応する各モジュールと協調して動作する。
【0146】
図26は第7実施形態のプログラムによるユーザインタフェイス(UI)の一例を示す図で、第5実施形態のGUI画面(図16)に対して、墨量調整処理を制御するためのUI部品が加えられている。以下、図26に示すGUIについて説明するが、図16と同様の項目には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0147】
図26は、図16のGUI例に対して、墨版特性設定フィールド2301が付加されている。このフィールド2301からの設定に基づき、第7実施形態においてBkの入り方を調節する墨量調整関数2113の関数形が設定される。
【0148】
墨版特性設定フィールド2301における「ガンマ設定」ボタン2302は、下式の関数におけるγ値を設定するためのもので、その数値フィールドに設定された数値がγ値として設定され、墨量調整部2104で墨量調整関数2113として使用される。
Bk' = Bkγ
【0149】
また、図26に示すGUI例は、さらに「自由に設定」ボタン2303を備え、これが選択されると、墨量調整曲線パネル2304が表示される。このパネル2304において、墨量調整関数2113の関数形を自由曲線2305として任意に設定することが可能である。例えば図26に示すように、関数を示すグラフ上に表示された二つのマーク(図26には十字型のマークとして示す)をユーザが任意位置にドラッグし、グラフの原点、二つのマークおよび右上点を結ぶ曲線を所定の方法、例えばスプライン関数によって生成することで、自由曲線2305が設定される。
【0150】
ユーザが曲線2305を任意に設定した後、パネル2304のOKボタンを押すと、設定された曲線が墨量調整関数2113として設定される。このように、墨量調整関数2113として任意の曲線が設定された場合、ステップS31における墨量調整演算はLUTによって行われる。
【0151】
なお、ガンマ設定2302および自由に設定2303は、ラジオボタンによって排他的に指定可能にする。例えば、一方が指定(選択)されている場合、他方をグレーアウト表示とすることで、選択状態が把握し易くなる。
【0152】
また、デバイス推奨値設定フィールド1511で設定されたデバイスの種類に応じて、墨量調整関数2113の推奨値を設定するようにしてもよい。
【0153】
以上説明したように、第7実施形態によれば、設定された総トナー量を維持しつつ、墨量調整を行うことができる。従って、より柔軟な色分解を行うことができ、さらに、出力デバイスのプロファイルをより適切に作成することができる。
【0154】
【第8実施形態】
上記の実施形態で説明したデバイスRGB→CMYK変換部1411により変換されるCMYK色空間は、出力デバイスに依存したCMYK色空間である。そして、CMYK色空間は、出力デバイスが用いる色材の種類に対応したCMYK色成分で定義される色空間である。階調特性および形成されるプリンタモデルは、出力デバイスにより大きく異なる場合があり、そのため第1実施形態で説明したLab→デバイスRGB変換がうまく行えない場合がある。
【0155】
図27はCMYK入力に対するResponse Curve(CMYK値(%)と濃度の関係)の一例を示し、CMYK各色の階調特性を示している。印刷機の出力は、図27に示すような階調特性をもつものが多い。また、CMYK各色独立に一次元LUT変換を行うことにより、印刷階調をシミュレートするようなシステムも存在する。
【0156】
図27に示すような階調特性を有する出力デバイスについて、上記の実施形態で説明した方法を用いて、プリンタモデルのデバイスRGB→Lab変換LUTによって得られるLab値をプロットすると、図28に示すようになる。また、CMYK値(%)と濃度の関係(Response Curve)が線形である階調特性を有する出力デバイスについて、同様にプロットすると図29に示すようになる。
【0157】
なお、プリンタモデルのデバイスRGB→Lab変換LUTは、上記の各実施形態(例えば図15B)で説明したように、出力デバイスにより出力されたデバイスRGB→CMYK変換、および、CMYKカラーパッチの測色結果に応じたCMYK→Lab変換から求めることができる。
【0158】
図28と図29を比較すると、L*値が小さい領域で色立体の体積が異なっていることが分かる。非線形な階調特性を有する出力デバイスの色立体(図28)は、線形な階調特性を有する出力デバイスの色立体(図29)に比べて、「A」で示す領域の色が色立体内部に入り込んでいる。つまり、線形な階調特性を有する出力デバイスのプリンタモデルでは出力が可能であった「A」領域の色が、非線形な階調特性を有する出力デバイスのプリンタモデルでは出力不可能になる。
【0159】
第8実施形態では、求められるLab→デバイスRGB変換がより好ましくなるように、出力カラーパッチの測色値からプリンタモデルを作成するために、上記の実施形態で説明したデバイスRGB→CMYK変換を変形した例を説明する。
【0160】
以下では、CMYK値が濃度に対して線形な特性を有するCMYK色空間を標準的な色空間と考え、その色空間の色値を出力するデバイスRGB→CMYK変換を求める方法を説明する。
【0161】
図30は第8実施形態のデバイスRGB→CMYK変換部の構成例を示すブロック図である。
【0162】
入力されたデバイスRGB値は、第4実施形態と同様に、CMY変換部2701、γ変換部2702および補間演算部2703で処理されてCMYK値に変換される。第8実施形態では、これに続き、リニアリティ補正部2704により、濃度に対して線形なCMYK色空間への変換を行う。
【0163】
リニアリティ補正部2704は、CMYK各色に独立な一次元LUT変換から構成される。リニアリティ補正LUT2711は、CMYKカラーパッチの測色値であるCMYK→Lab測色テーブル2712から、リニアリティ補正LUT作成部2705によって作成される。なお、デバイスRGB→CMYK変換部としては、第7実施形態の処理を適用し、墨量調整部を組み合わせて使用することも可能である。
【0164】
図31はリニアリティ補正LUT作成部2705の処理を説明するフローチャートである。
【0165】
リニアリティ補正LUTの作成処理が開始されると、CMYK→Lab測色値テーブル2712から、CMYKの各単色に対応するLab測色値をCMYK各色ごとに読み込む(S2801)。例えば、C単色に対する測色値を読み込む場合は、第5実施形態で示した、下表の「カラーパッチ画像の測色値」の中から「C単色パッチの測色値」を抽出し読み込めばよい。
カラーパッチ画像の測色値
C単色パッチの測色値
【0166】
他のMYKについても同様な読み込み処理を行い、C-Lab、M-Lab、Y-LabおよびK-Labの四つの対応関係を得る。以降の処理で、これら四つの対応関係それぞれから、四つのリニアリティ補正LUT2711を求めるが、説明を簡単にするために、C単色のリニアリティ補正LUTを作成する方法のみを説明する。他のM単色、Y単色およびK単色についても、C単色と同様の処理を行い一次元LUTを作成する。
【0167】
次に、読み込まれたLab値から濃度を推定する(S2802)。第8実施形態では、予め求められているLab→濃度LUTと既知の補間演算方法を用いて、C単色パッチのLab値をC濃度値に変換する。
【0168】
ここで、Lab→濃度LUTの作成方法の一例を説明する。CMYKカラーパッチのLabを測色するとともに、濃度を測定する。Cに対応するLab→濃度LUTの作成は、C単色カラーパッチのLab測色値と濃度値とからLab⇔濃度対応テーブルを作成し、等間隔にとったLab値に対する濃度値を補間演算することによって行われる。M、YおよびKに対しても同様の処理を行いLab→濃度LUTを作成する。
【0169】
ステップS2802で得られるC濃度値は、C単色パッチに対するLab値から得られたものであるから、C単色パッチの値と組み合わせて、C単色値-C濃度値の対応関係を得る。さらに、この対応関係を正規化してC単色値-C濃度値テーブルを得る(S2803)。図32はこのテーブルを図示したものである。
【0170】
次に、C単色値-C濃度値テーブルの逆関数を求める(S2804)。ここで、C単色値とC濃度値との関係を線形な関係にするための変換を行うので、逆関数化はC濃度値とC単色値の対応関係を入れ替えるだけでいい。これを図示したものが図33である。
【0171】
次に、図33に示した対応関係の近似曲線を求め、補間処理を行うことにより、リニアリティ補正LUT2711を作成し出力し(S2805)、処理を終える。
【0172】
ここでは、Lab測色値しか得られない状況を考えて、予め得られているLab-濃度テーブルを用いた補間演算により、Lab値から濃度を推定する例を説明したが、濃度値を直接測定することが可能な状況では、CMYKパッチに対する濃度値を直接、測定するようにしてもよい。その場合、測定した濃度値は、より精度の高いものになり、補正精度の向上も見込まれる。
【0173】
第8実施形態によれば、CMYK値が濃度に線形になるように変換してプリンタモデルを構成するので、デバイスに独立な色空間における色空間変換の精度を高めることができ、出力デバイスの特性に依存することなく高精度なカラープロファイルを作成することができる。
【0174】
また、非線形の階調特性を有する出力デバイスに対しても、例えば図29に示される「A」領域について出力可能であることを反映した、つまり出力デバイスが出力可能な色立体を良好に反映したプリンタモデルを作成することができる。従って、プリンタモデルから作成されるデバイスRGB→Lab変換テーブルおよびLab→CMYK変換LUTを良好に作成することができる。
【0175】
【他の実施形態】
上記実施形態では、CMYKプリンタを用いて説明したが、他の記録材(例えば、CMYKインク、淡Cおよび淡Mを有する6色インクなど)を用いても構わない。
【0176】
また、上記各実施形態では、RGB→CMYK変換処理を用いて説明したが、デバイスRGBの代わりにCMYなどの黒成分を含まない3色成分を用いても構わない。これは、CMY変換部2101で行われる処理におけるRGBとCMYの関係式からも、RGBに代えてCMYを用いることが可能であることは明らかである。
【0177】
デバイス非依存の色データはLabに限らず、Luv、XYZなどの他の色データでも構わない。
【0178】
また、上記の各実施形態では、出力デバイスがCMYK四色の色材を用いるものとして説明したが、CMYKのほかに淡Cおよび淡Mを加えた六色の色材を用いる出力デバイスでも構わない。
【0179】
さらに、図15に代表されるように、デバイスRGBを用いて説明したが、上述したように、デバイスRGBをCMYに変換する式から明らかなように、CMYを用いるようにしても構わない。
【0180】
【他の実施形態】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0181】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0182】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0183】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0184】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、カラープリンタがもつ強い非線形出力特性を精度よく近似し、高精度な色再現が可能な色変換処理用の変換テーブルを作成することができる。
【0185】
また、カラープリンタごとの特性の違いを吸収し、様々なカラープリンタで高精度な色再現を実現するための、変換テーブルの作成方法および装置を提供することができる。
【0186】
従って、デバイスに独立な色空間における色空間変換の精度を高めることができ、出力デバイスの特性に依存することなく高精度なカラープロファイルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図、
【図2】 RGB→Lab変換テーブルの一例を示す図、
【図3】デバイスRGB値⇔Lab測色値の対応関係を得て、デバイスRGB→Lab変換を行う手順を示すフローチャート、
【図4】サンプル画像の一例を示す図、
【図5】カラーパッチ測色部による測色結果の一例を示す図、
【図6】サンプル点の選択を説明する図、
【図7】距離dに応じた重み付け関数を説明する図、
【図8】サンプル点の数を変化させる関数を説明する図、
【図9】第2実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図、
【図10】第3実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図、
【図11】第4実施形態のデバイスRGB→CMYK変換の処理の流れを示す図、
【図12】第4実施形態におけるカラーパッチ測色結果の一例を示す図、
【図13】第5実施形態の画像処理装置の構成例を示すブロック図、
【図14】第5実施形態を計算機システム上で実現する際の構成例を示す図、
【図15A】第5実施形態のパッチ生成・測色系およびCMYK→Lab変換LUT作成の詳細動作を示す図、
【図15B】第5実施形態のデバイスRGB→Lab変換LUT作成、および、Lab→CMYK変換LUT作成の詳細動作を示す図、
【図16】第5実施形態のGUIの一例を示す図、
【図17A】第5実施形態のパッチ出力処理を示すフローチャート、
【図17B】第5実施形態の測色処理を示すフローチャート、
【図17C】第5実施形態のCMYK→Lab変換LUT作成処理を示すフローチャート、
【図17D】第5実施形態のLab→CMYK変換LUT作成処理を示すフローチャート、
【図17E】第5実施形態のデバイスRGB→Lab変換LUT作成処理を示すフローチャート、
【図18】第6実施形態における画像処理装置の構成例を示すブロック図
【図19】第6実施形態の測色値分布解析部の詳細な構成例を示すブロック図、
【図20】第6実施形態のLab→CMYK変換LUT作成処理の際のデバイスRGB→Lab変換LUT作成処理を示すフローチャート、
【図21】第6実施形態の測色値分布解析によるガンマ値算出方法を示すフローチャート、
【図22】グレイ信号とL*値との関係を示す図、
【図23】第7実施形態におけるデバイスRGB→CMYK変換部の詳細な構成例を示すブロック図、
【図24】第7実施形態における墨量調整関数の一例を示す図、
【図25】第7実施形態における墨量調整処理を示すフローチャート、
【図26】第7実施形態のGUIの一例を示す図、
【図27】出力デバイスのCMYK値-濃度特性の一例を示す図、
【図28】図27の出力デバイスのプリンタモデル例を示す図、
【図29】 CMYK-濃度特性が線形な出力デバイスで得られるプリンタモデルの一例を示す図、
【図30】第8実施形態のデバイスRGB→CMYK変換部の構成例を示すブロック図、
【図31】リニアリティ補正LUT作成部の処理の流れを示す図、
【図32】 CMYK単色値-CMYK単色濃度テーブル例を示す図、
【図33】リニアリティ補正LUTを説明する図である。
Claims (4)
- 出力デバイスによって出力されるカラーパッチの測色結果から、デバイス依存データをデバイス非依存データに変換するプリンタモデルを作成して、前記プリンタモデルからデバイス非依存データをデバイス依存データに変換する変換テーブルを作成する画像処理方法であって、
前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルの単色パッチに対応するデバイス非依存測色値を用いて前記単色パッチの濃度を推定し、前記単色パッチの濃度から前記出力デバイスの階調特性データを算出して、前記出力デバイスの階調特性を線形に変換するための変換条件を算出し、
前記変換条件を用いて、前記出力デバイスの階調特性データを線形に変換して得られる CMYK 値、および、前記階調特性データの算出に使用した測色結果を含む前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルに基づき、前記変換テーブルを作成するためのプリンタモデルを作成することを特徴とする画像処理方法。 - 出力デバイスによって出力されるカラーパッチの測色結果から、デバイス依存データをデバイス非依存データに変換するプリンタモデルを作成して、前記プリンタモデルからデバイス非依存データをデバイス依存データに変換する変換テーブルを作成する画像処理装置であって、
前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルの単色パッチに対応するデバイス非依存測色値を用いて前記単色パッチの濃度を推定し、前記単色パッチの濃度から前記出力デバイスの階調特性データを算出して、前記出力デバイスの階調特性を線形に変換するための変換条件を算出する算出手段と、
前記変換条件を用いて、前記出力デバイスの階調特性データを線形に変換して得られる CMYK 値、および、前記階調特性データの算出に使用した測色結果を含む前記測色結果から得られる CMYK →デバイス非依存測色値テーブルに基づき、前記変換テーブルを作成するためのプリンタモデルを作成する作成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 - 画像処理装置を制御して、請求項1に記載された画像処理を実行することを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項3に記載されたコンピュータプログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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