JP4044865B2 - 空胴共振器を用いたフィルタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望の周波数帯を通過し、不要な周波数帯を阻止するマイクロ波やミリ波用のフィルタに関する。さらに詳しくは、レーダ装置などの大電力を扱う装置に組み込まれて使用される、空胴共振器を用いたフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空胴を用いた帯域通過フィルタとして、図5に概念図で示される構造のものが知られている。これは、矩形導波管31にアイリス板32を挿入した構造で、アイリス板32が誘導性の結合窓(リアクタンス素子)として作用し、これが複数枚、約λg/2の間隔で配置されている。ここでλgは管内波長である。この2枚のアイリス板32と矩形導波管31の管壁で囲まれた空間により空胴共振器が構成され、隣接する共振器により所望の帯域特性が得られるように、アイリス板32が形成されている。図5に示される例では、3個の空胴共振器が接続されたものであり、このように複数の空胴共振器を接続してフィルタを構成することで、1個の空胴共振器でフィルタを構成するのに比べて、阻止帯域の減衰量を急激に、すなわち通過帯域に近い阻止周波数において大きな減衰量が得られるフィルタを構成することが可能である(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
近年、パルスレーダ装置においても、電波資源の有効利用などの観点から、不要輻射に対する規制が厳しくなりつつある。パルスレーダ装置はパルス駆動であるので、送信周波数の近傍にパルス波形のフーリエ変換に対応したスペクトラムの広がりが生じる。不要輻射規制では、このパルス駆動に起因するスペクトラムの広がりも規制対象となっている。このスペクトラムの広がりを抑えることを目的として、急激な減衰特性をもった複数個の空胴共振器を用いたフィルタを利用することが考えられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−308012号公報(図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような複数個の空胴を用いた大電力用の帯域通過フィルタでは、その特性を調整することが困難であるという問題がある。すなわち、複数の空胴共振器は、その製造段階での微妙な寸法のバラツキによる特性のバラツキを製造後に調整する機構を設ける必要があるが、複数個の空胴共振器は相互に結合しているため、いずれかの空胴共振器の調整と、フィルタの周波数特性との関係が一定せず、試行錯誤をしなければならない。従来の調整機構として一般的には、空胴共振器にネジを設け、そのネジの空胴共振器への挿入長を変化させることで、その部分での容量値を変化させ、空胴共振器の共振周波数を変化させるものが用いられている。このようなネジの挿入長の変化であれば、試行錯誤を行っても部品の機械的疲労は生じないし、挿入長を大幅に変化させることにより、フィルタの周波数特性のどの部分に影響するかが分りやすいため調整することは可能である。
【0006】
しかし、レーダ装置などの大電力のマイクロ波やミリ波を使用する装置においては、挿入されたネジの先端部分で、マイクロ波電界集中による放電が発生する可能性があるので、空胴共振器内にマイクロ波電界が集中する突起部分を設けることはできない。そのため、空胴を変形して調整をする必要があるが、壁面を変形する場合、調整を何回も繰返すと金属疲労を生じるため何回もやり直すことができないと共に、大幅に変形をさせて周波数特性のどこに影響するかを確かめることもできない。また、設計段階においても、3段以上の空胴共振器が接続された形状のフィルタを、そのままの形状でシミュレーションを行い、機械寸法を決定することも困難である。そのため、1個の空胴共振器の場合には壁面を変形させることにより共振周波数の調整を行うことはあるが、空胴共振器を多段に接続するフィルタでは実用化されていない。結果として、大電力用で、スペクトラムの広がりも抑制し得るような減衰特性の急峻なフィルタは実用化されていない。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、複数の空胴共振器の特性調整を容易に行うことが可能で、また、設計段階でのシミュレーションを容易に、すなわち短期間で設計を行うことが可能な構造のフィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による空胴共振器を用いたフィルタは、共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面を有する空胴共振器が、前記変形可能な壁面と対向する壁面に形成される第1の結合窓を介して2個接続されることにより単位フィルタが形成され、該単位フィルタには他の空胴共振器または導波管と結合するための第2および第3の結合窓が前記変形可能な壁面と異なる壁面の2ヵ所に形成され、前記単位フィルタが、前記第2および第3の結合窓の少なくとも一方を介して複数個接続されていることを特徴とする。
【0010】
この構造にすることにより、単位フィルタごとにフィルタの周波数特性を調整することができるため、単位フィルタを構成する2個の空胴共振器で共振周波数を調整することができる。そのため設計も容易になり、製造上のバラツキを補正する程度に作り込むことができるため、調整も僅かな調整ですみ、非常に簡単に所望の共振特性が得られる。その結果、壁面の変形により調整を行っても、金属疲労を生じることなく、確実に調整することができる。そして、その単位フィルタを所望の結合度が得られる結合窓を介して接続するだけで、多段の空胴共振器を形成することができるため、ビスを挿入することなく、空胴共振器を多段に接続した非常に高性能なフィルタを簡単に得ることができる。
【0011】
前記単位フィルタの第1の結合窓が、前記空胴共振器の前記変形可能な壁面と対向する壁面に形成されることにより、前記単位フィルタが形成される構造にすることができる。このような構造にすることにより、変形可能な壁面が第1の結合窓と対向する側に設けられ、導波管による電波の進行方向と直角方向に2個の空胴共振器を並べて単位フィルタを構成することができるため、導波管による電波の進行方向に多段に単位フィルタを接続しても、進行方向の長さが短くて小型のフィルタを構成することができる。
【0012】
本発明による空胴共振器を用いたフィルタの製造方法は、共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面を有する空胴共振器を、第1の結合窓を介して2個接続すると共に、他の空胴共振器または導波管と結合するための第2および第3の結合窓を前記変形可能な壁面と異なる壁面の2ヵ所に形成することにより単位フィルタを形成し、前記変形可能な壁面を変形することにより、前記単位フィルタの周波数特性を調整すると共に、該単位フィルタを、前記第2および第3の結合窓の少なくとも一方を介して複数個接続することを特徴とする。なお、単位フィルタの接続は、それぞれの単位フィルタの周波数特性を調整した後に接続してもよいし、後述する図1の例に示されるように、予め結合度の弱い接続導波管を介して接続しておいて、個々の単位フィルタの共振周波数を調整してもよい。
【0013】
この構成にすることにより、空胴共振器を多段に接続してフィルタを構成する場合でも、個々の単位フィルタでその周波数特性を調整して接続すればよいため、従来の空胴共振器が直接何段も接続され、1個の空胴共振器の共振周波数を調整すると隣接する空胴共振器の共振周波数にも影響し、フィルタの周波数特性の調整が非常に複雑であるという問題を解消し、簡単に多段の空胴共振器を有するフィルタを得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明のフィルタについて、その一実施形態の断面説明図((b)は(a)のB−B線断面)が示される図1を参照しながら説明をする。
【0017】
本発明による空胴共振器を用いたフィルタは、図1に断面説明図が示されるように、共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面11a、11bを有する2個の空胴共振器10a、10bが、第1の結合窓13を介して接続されることにより第1の単位フィルタ1が形成され、その単位フィルタ1には導波管または他のフィルタと結合するための第2および第3の結合窓14、15が変形可能な壁面11a、11bとは異なる壁面の2ヵ所に形成されている。そして、第2の単位フィルタ2も同様に、共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面21a、21bを有する2個の空胴共振器20a、20bが、第1の結合窓23を介して接続されることにより形成され、複数個の単位フィルタ1、2が、第2および第3の結合窓14、15、24、25の少なくとも一方を介して複数個接続されている。
【0018】
図1に示される例は、第1および第2の単位フィルタ1、2をそれぞれ2個の空胴共振器10(10a、10b)および20(20a、20b)で構成し、それぞれの空胴共振器10、20として円筒空胴を用いた例が示され、それぞれの円筒空胴は、通過帯域において、TM010モードで共振する寸法に形成されている。そして、2個の円筒空胴10a、10bが、その軸方向と垂直な面で第1の結合窓13を介して結合されると共に、第1の結合窓13が形成された面と対向する壁面11a、11bがそれぞれ共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面11a、11bとして形成されている。この変形可能な壁面11a、11bは、他の壁面より薄く形成されると共に、ボス12a、12bが取り付けられ、このボス12a、12bの部分を押し込んだり、引っ張り上げたりすることにより、変形し得るように形成されている。
【0019】
すなわち、TM010モードは、円筒空胴の軸方向に高周波電界が形成されるモードであり、高周波電界に垂直な方向となる壁面を変形させることにより、その壁面とその対向面との間に形成されている容量値が変化し、共振周波数が変化しやすいため、この軸方向と垂直な面が、共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面11a、11bとされている。たとえば壁面11a、11bを押し込んで対向面との間隔を狭くすると、容量値は増加して共振周波数が低下し、逆に壁面11a、11bを引っ張り上げると、容量値が低下し共振周波数が高くなる。
【0020】
この空胴共振器10a、10bは、たとえばアルミニウムなどの柔らかい材質で形成され、さらに変形可能な壁面11a、11bは、他の部分よりも薄く、たとえば1mm程度の厚さに形成されている。その結果、ボス12a、12bの部分を治具などを用いて、上下させることにより、簡単に共振周波数を微調整することができる。しかし、変形可能な壁面を、空胴共振器を形成する材質よりも柔らかい材質で形成してもよく、また、空胴共振器を形成する材質自身も、アルミニウムには限定されず、銅や黄銅など他の材料でもよい。
【0021】
図1に示されるフィルタを設計するには、第1の結合窓13で結合された2つの空胴共振器10a、10bを一対と考え、第1導波管(入力側導波管)7aと接続導波管7bとの間でフィルタとしての所望の挿入損失などの特性が得られるように、その一対のみで空胴共振器10a、10b、第1、第2および第3の結合窓13、14、15を設計する。具体的には、図1に示される空胴共振器10a、10bがTM010モードで、通過周波数帯9.4GHzで共振するように直径がφ24.1mm、高さが20mmの円筒空胴に形成され、この通過周波数帯域での挿入損失が最小となるように結合窓13〜15が決定されている。第1の結合窓13は、金属板に矩形形状のスリットが2ヵ所設けられた構造で、第2および第3の結合窓14、15は、矩形導波管の一面の幅を狭めた窓として形成されている。なお、第1の単位フィルタ1についてのみ説明したが、第2の単位フィルタ2についても、同じ部分の符号の10番台が20番台に変っているだけで、全く同様に設計され、その説明を省略する。
【0022】
この一対の空胴共振器10a、10bからなる単位フィルタ1の周波数特性は、図3に示されるように、9.4GHzでリターンロスは小さく、挿入損失も殆どないが、リターンロスや挿入損失の急峻性は欠け、9.3GHzや9.5GHzでも、遮断特性は充分ではない。
【0023】
図1に示される例では、第1および第2の単位フィルタ1、2は、それぞれ同一の周波数特性が得られるように形成され、接続導波管7bを介して接続されている。すなわち、第1の単位フィルタ1の第2の結合窓14側には、第1導波管(入力側導波管)7aが接続され、第1の単位フィルタ1の第3の結合窓と第2の単位フィルタ2の第3の結合窓25とが接続導波管7bを介して接続され、第2の単位フィルタ2の第2の結合窓24には、第2導波管(出力側導波管)7cが接続されている。この接続導波管7bの長さは、約1/4波長(管内波長)の長さに形成されている。1/4波長の長さに形成されることにより、隣接する空胴間の結合が疎となるため、通過周波数帯域内のリップルが小さく、良好な周波数特性になると共に、単位フィルタの設計および調整を行いやすい。すなわち、この接続導波管7bの長さが0の状態では、理論的には最も結合が強く急峻な減衰特性を得られるが、隣接する空胴共振器間が影響し合うため、リップルの小さなフィルタの設計や調整をすることができなくなる。
【0024】
なお、図1に示される例では、接続導波管7bが、第1の単位フィルタ1と第2の単位フィルタ2との間の隔壁6の一部に形成され、第1および第2の単位フィルタ1、2を分離することができない。しかし、この接続導波管7bの長さを約1/4波長の長さにすれば、単位フィルタ間の結合が疎となり、それぞれ別々に設計することができ、2空胴で所望の周波数特性が得られるように、各空胴の寸法や、結合窓13〜15の寸法を決めることができる。その結果、電磁界シミュレータによりシミュレーションを行い、正確に特性を合せて作り込むことができ、僅かな調整ですむため、第1および第2の単位フィルタ1、2がそれぞれ分離されていなくても、単位フィルタごとに共振周波数を調整することができる。しかし、後述する図2に示されるように、単位フィルタ間を分離して、導波管部を有するフランジの形に形成し、それぞれの単位フィルタをネジなどにより接続する構造にすることもできる。
【0025】
図1に示されるように、2個の空胴共振器からなる第1および第2の単位フィルタ1、2を2個接続して、4個の空胴共振器からなるフィルタの周波数特性が図4に示されている。図4から明らかなように、2個の空胴共振器からなる単位フィルタのみの場合の周波数特性である図3の特性と比較して、2個の単位フィルタの周波数特性は、周波数特性の急峻性が得られ、9.35GHz以下、および9.45GHz以上の周波数帯を完全に遮断することができる。この2個の単位フィルタ、すなわち4個の空胴共振器からなるフィルタにより、従来の図5に示される3空胴からなるフィルタよりも、入力側導波管7aと出力側導波管7cとの間の寸法を小さくしながら、良好な減衰特性が得られた。
【0026】
本発明のフィルタによれば、2個の空胴共振器からなる単位フィルタを複数個接続することにより形成されているため、所望のフィルタ特性を単位フィルタで設計することができると共に、製造上のバラツキによる共振周波数の調整を、単位フィルタごとに周波数調整用の変形可能な壁面の変形で調整することができる。その結果、空胴共振器を多段に接続するフィルタでも、非常に簡単に設計することができ、また、非常に簡単に周波数特性を調整することができる。
【0027】
また、図1に示される例のように、単位フィルタとして、円筒空胴を円筒の軸方向に第2の結合窓を介して接続した構造で形成することにより、単位フィルタの2個の空胴共振器は入出力導波管によるマイクロ波進行方向と直角方向に接続されることになるため、入出力導波管の間の間隔は、4空胴でも2空胴の長さで形成することができ、前述の9.4GHzの場合、60mmの間隔で4空胴の多段フィルタを構成することができる。
【0028】
前述のように、本発明によるフィルタの製造方法は、共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面11a、11bを有する空胴共振器10a、10bを、第1の結合窓13を介して2個接続すると共に、導波管または他のフィルタと結合するための第2および第3の結合窓14、15を変形可能な壁面11a、11bと異なる壁面に2ヵ所形成することにより第1の単位フィルタ1を形成し、変形可能な壁面11a、11bを調整することにより、第1の単位フィルタ1の周波数特性を調整すると共に、第1および第2の単位フィルタ1、2を、第2および第3の結合窓14、15および24、25の少なくとも一方を介して複数個接続するものである。なお、各単位フィルタの調整と接続は、図1に示されるように、接続しておいてから調整しても前述のように調整することができ、後述する図2に示されるように、各単位フィルタを調整して製造しておいてから接続してもよい。
【0029】
この構成にすることにより、前述のように、それぞれの単位フィルタの周波数特性を別個に調整すればよいため、空胴共振器を多段に接続してフィルタを構成する場合でも、非常に簡単に設計をし、また、調整をすることができる。
【0030】
さらに、本発明による空胴共振器を用いたフィルタの周波数特性調整方法は、前述のように、複数個の空胴共振器の2個を単位とし、その2個の空胴共振器10a、10bそれぞれにおける一つの壁面11a、11bを、共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面で形成し、2個の空胴共振器の変形可能な壁面11a、11bをそれぞれ変形させることによりフィルタの周波数特性を調整するものである。
【0031】
すなわち、2個の空胴共振器を単位として、フィルタの設計および調整を行うため、ビスなどを空胴共振器内に挿入して、その挿入長により周波数特性を調整しなくても、空胴共振器の一壁面に、材質や壁面の厚さなどを変えたり、変形するためのボスなどを形成したりして、他の壁面よりも変形しやすく形成しておき、その壁面を押し込んだり、引っ張り出したりすることにより、非常に簡単に、微調整でも正確に、共振周波数の調整をすることができる。その結果、高特性の周波数特性が得られると共に、ビスなどを突出させていないため、レーダ装置用のフィルタなどの大電力用でも放電などを起すことなく使用することができる。
【0032】
図2は、本発明によるフィルタの他の構成例を示す図1と同様の断面説明図である。この例は、単位フィルタ1〜4が4個接続されると共に、各単位フィルタがそれぞれ別々に形成され、それぞれがフランジ部16(16a、16b)〜46(46a、46b)で、ビス8とナット9により固定される構造になっている。この4個の単位フィルタは、それぞれ同じ周波数特性になるように形成されるが、第2または第3の結合窓の寸法を変えるなどして、第2および第3の単位フィルタ2、3と、第1および第4の単位フィルタ1、4とでQ値を変えることにより、フィルタの遮断特性が改善されている。
【0033】
各単位フィルタの境界部は、前述のように、隔壁により仕切られるのではなく、空胴共振器を構成する一壁面にフランジ部16a、16bを形成し、そのフランジ部16a、16bを有する壁面に接続導波管17a、17bが形成されている。この接続導波管17a、17bは、通過周波数帯域での管内波長の約1/8、すなわち9.4GHzの通過周波数で、5.5mmに形成されている。そのため、4個の単位フィルタ(第1ないし第4の単位フィルタ1〜4)が、この接続導波管部17〜47で接続されることにより、結局2個の接続導波管で約1/4波長の長さとなり、前述と同様の理由で、通過周波数帯域内のリップルを小さくすることができる。
【0034】
なお、第1の単位フィルタ1は、フランジ部16a、16bと接続導波管部17a、17bおよびビス8とナット9で接続する部分以外の構成は、前述の図1に示される単位フィルタと同じ構成で、第2〜第4の単位フィルタ2、3、4も第1の単位フィルタ1と同じで、同じ部分には符号の10番台をそれぞれ20番台、30番台、40番台として同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
この構成にすることにより、それぞれの単位フィルタでフィルタの周波数特性を調整しておき、そのままビスとナットにより接続すればよいため、空胴共振器を多段に形成するフィルタでも、非常に簡単に製造することができる。
【0036】
前述の例では、単位フィルタとして、円筒空胴をその軸方向と垂直な面で結合する2個の空胴共振器で構成したが、この構成にすることにより、2個の空胴共振器をマイクロ波の進行方向と垂直方向に接続することができ、非常にコンパクトに構成することができる。しかし、円筒空胴に限らず、たとえば方形空胴TE101でも、前述の円筒空胴に変えて約1/2波長の長さの方形空胴で置き換え、第2および第3の結合窓を方形空胴の幅狭面に形成し、変形可能壁面を幅広面に形成することにより、前述と同様の入出力導波管間の短い距離で多段空胴のフィルタを得ることができる。方形空胴を用いる場合、入出力導波管間の寸法が長くはなるが、前述の図5に示される構造のように、2個の空胴共振器を接続した単位フィルタを、接続導波管を介して横方向に接続する構造にすることもできる。
【0037】
また、前述の各例では、第2および第3の結合窓が、それぞれ別々の空胴共振器に設けられていたが、減衰特性を急峻にするという点からはその方が好ましい。しかし、フィルタとしては、必ずしも別々の空胴共振器に設けられないで、単位フィルタのいずれかの2ヵ所に設けられていればよい。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、設計および調整を行いやすい単位フィルタを形成し、その単位フィルタを接続することによりフィルタを構成しているため、空胴共振器を多段に接続する場合でも、非常に簡単に所望の周波数特性を得ることができる。その結果、共振周波数の調整機構も、空胴共振器の壁面の変形により行うことができ、レーダ装置のような高出力の場合にも用いることができ、パルスレーダ装置でのパルス波形のフーリエ変換に対応するスペクトラムの広がりによるノイズでも遮断することができる。
【0039】
また、単位フィルタで設計、調整をすることができるため、非常に製造が容易になり、コストダウンを図れると共に、簡単に多段化を図ることができるため、非常にQ値が高く、急峻な減衰特性を有するなど、高性能なフィルタを安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフィルタの一実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図2】本発明によるフィルタの他の実施形態を示す断面説明図である。
【図3】図1に示される単位フィルタ1個のリターンロスおよび挿入損失の特性例を示す図である。
【図4】図1に示されるフィルタのリターンロスおよび挿入損失の特性例を示す図である。
【図5】従来の導波管型フィルタの一例を示す概念説明図である。
【符号の説明】
1 第1の単位フィルタ
2 第2の単位フィルタ
3 第3の単位フィルタ
4 第4の単位フィルタ
7b 接続導波管
10 空胴共振器
11 変形可能な壁面
13 第1の結合窓
14 第2の結合窓
15 第3の結合窓
Claims (2)
- 共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面を有する空胴共振器が、前記変形可能な壁面と対向する壁面に形成される第1の結合窓を介して2個接続されることにより単位フィルタが形成され、該単位フィルタには他の空胴共振器または導波管と結合するための第2および第3の結合窓が前記変形可能な壁面と異なる壁面の2ヵ所に形成され、前記単位フィルタが、前記第2および第3の結合窓の少なくとも一方を介して複数個接続されていることを特徴とする空胴共振器を用いたフィルタ。
- 共振周波数を調整し得るように変形可能な壁面を有する空胴共振器を、前記変形可能な壁面と対向する壁面に形成される第1の結合窓を介して2個接続すると共に、他の空胴共振器または導波管と結合するための第2および第3の結合窓を前記変形可能な壁面と異なる壁面に2ヵ所形成することにより単位フィルタを形成し、前記変形可能な壁面を変形することにより、前記単位フィルタの周波数特性を調整すると共に、該単位フィルタを、前記第2および第3の結合窓の少なくとも一方を介して複数個接続することを特徴とする空胴共振器を用いたフィルタの製造方法。
Priority Applications (1)
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