JP4043884B2 - 水性光重合性樹脂組成物の製造方法及び水性光重合性樹脂組成物 - Google Patents
水性光重合性樹脂組成物の製造方法及び水性光重合性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線或いは紫外線等の活性エネルギー線の照射によって硬化可能な水性光重合性樹脂組成物に関するものであり、塗料、印刷インキ、接着剤、充填剤、成形材料及びレジスト等として、特にプリント配線板に使用される水性フォトレジストとして好適な水性光重合性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種産業等で使用する有機溶剤、洗浄溶剤等が、大気中に放出されることによる地球規模での大気汚染が進み、生物への影響が懸念されている。このため、各種塗料、インキ及び接着剤等の用途に使用する樹脂組成物において、水性化による無溶剤化の試みがなされている。
反応性樹脂の水性化の方法のひとつとして、カルボキシル基を有する重合体にエポキシ基及び不飽和基を有する化合物を付加反応させ、カルボキシル基及び不飽和基を有する反応性樹脂を製造し、当該樹脂をアルカリにより中和し、又場合によっては乳化剤を使用して、水中又は有機溶剤含有水溶液中に懸濁又は乳化させる方法がある。
【0003】
特開平11−172177、同11−258797号各公報には、プリント配線板製造用フォトレジストインク等として有用であって、水性化が可能であり、水又は希アルカリ水溶液で現像可能な感光性樹脂組成物として、(A)ポリビニルアルコール系重合体にスチリルピリジニウム基もしくはスチリルキノリニウム基を導入してなる水溶性の感光性樹脂、又はポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加してなる水溶性の感光性樹脂、(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、或いは、分子中にカルボキシル基と、少なくとも2個のエチレン性不飽和基とを併せ持つ感光性プレポリマー、(C)光重合開始剤、及び(D)水を含んで成る感光性樹脂組成物が記載されている。
【0004】
特開平10−195142号公報には、1個以上のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの1種以上又は該(メタ)アクリレートとこれ以外の1個のエチレン性不飽和基を有する単量体の1種類以上とを150〜310℃の重合温度において重合して得られる、酸価が50〜500で、数平均分子量が1,000〜15,000である(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する重合体を、アルカリ性の水性媒体中に溶解又は分散させ、当該重合体に1個のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを付加反応させる反応性樹脂水分散体の製造方法が開示されている。
【0005】
しかし、従来の技術では、反応性樹脂を水性化する際には、そこに含まれる溶剤を蒸発等により除去する操作が必要であるだけでなく、反応性樹脂から溶剤を完全に留去することが困難であり、このため製品が臭気を有するものとなったり、又溶剤をできるだけ留去しようとすればそのために長時間を要することになり、その結果反応性樹脂はその硬化反応を助長する嫌気的雰囲気に長時間さらされるため最終製品の保存安定性が悪化したり、又着色することがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶剤臭気や保存安定性やAPHA500以上の着色がAPHA500未満に改善され、硬化物のパターン形成性に優れた水性光重合性樹脂組成物及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、バインダーポリマーとして、共重合可能な不飽和カルボン酸(a)と不飽和カルボン酸以外の不飽和化合物(b)との共重合体が有するカルボキシル基に、脂環式骨格を有するエポキシ基含有不飽和化合物(c)を付加させた変性共重合体(A)のカルボキシル基の一定量以上を塩基(B)で中和し、且つ反応溶媒としてsec-ブチルアルコールを用いることで、水性化の際に容易に溶剤が除去される水性光重合性樹脂組成物を発明した。
【0008】
すなわち、本発明の第1は、エチレン性不飽和カルボン酸(a)を必須単量体成分として、sec−ブチルアルコールからなる溶媒(S)の存在下に、重合して得られたカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂(p)と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(c)とを、温度90℃〜130℃で反応させて得られた反応物(A1)のカルボキシル基の一部を塩基(B)で中和し、水を加えた後、溶媒(S)を除去して、水に置換した樹脂(A1n)を得、重合性ビニルモノマー(C)を加える水性光重合性樹脂組成物の製造方法を提供する。
また、本発明の第2は、樹脂(A1n)と重合性ビニルモノマー(C)の配合割合が、樹脂(A1n)が50〜90質量%、重合性ビニルモノマー(C)が10〜50質量%である上記発明1に記載の水性光重合性樹脂組成物の製造方法を提供する。
さらに、本発明の第3は、上記発明1又は2に記載の製造方法によって得られる水性光重合性樹脂組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の水性光重合性樹脂組成物は、変性共重合体(A)のカルボキシル基の一部をアミン中和することで水への溶解度を高めた樹脂(An)に、重合性ビニルモノマー(C)を配合してなる。
上記変性共重合体(A)は、変性共重合体(A1)、変性共重合体(A2)、又はこれらの混合物である。
また、樹脂(An)は、変性共重合体(A1)のカルボキシル基の一部を塩基(B)で中和して水への溶解度を高めた樹脂(A1n)、変性共重合体(A2)のカルボキシル基の一部を塩基(B)で中和して水への溶解度を高めた樹脂(A2n)、又はこれらの混合物である。
従って、本発明の水性光重合性樹脂組成物は、樹脂(A1n)に有機溶剤(S)及び/又は重合性ビニルモノマー(C)を配合したもの、樹脂(A2n)に有機溶剤(S)及び/又は重合性ビニルモノマー(C)を配合したもの、樹脂(An)に有機溶剤(S)及び/又は重合性ビニルモノマー(C)を配合したもの、又はこれらの混合物である。
【0010】
変性共重合体(A1)
上記変性共重合体(A1)は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂(p)のカルボキシル基に、脂環式骨格を有するエポキシ基含有不飽和化合物(c)のエポキシ基を付加反応させたものである。
該カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂(p)は、エチレン性不飽和カルボン酸(a)を必須単量体成分として、該不飽和カルボン酸(a)以外の不飽和化合物(b)を必要に応じて加えられる成分として、これらを重合して得られた重合体である。
【0011】
エチレン性不飽和カルボン酸(a)
上記エチレン性不飽和カルボン酸(a)とは、分子中にエチレン性不飽和基を含有し且つ少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物であり、後述する「エチレン性不飽和カルボン酸(a)以外の不飽和化合物(b)」と共重合することができるものである。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸の他、下記一般式(1)で表せる化合物が例示できる。一般式(1)中、nは1〜10の整数を示し、R1は水素原子またはメチル基を示す。Xはアルキレン基、又はアリーレン基もしくはその(部分)水添基を示し、特に好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。一般式(1)の化合物は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンを付加して得られる化合物に、さらに脂肪族ポリカルボン酸又はその酸無水物を反応させることにより製造することができる。
CH2=R1(C=O)OCH2CH2O[(C=O)(CH2)5O]n(C=O)XCOOH ・・・(1)
上記で使用されるポリカルボン酸またはその酸無水物としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸等のポリカルボン酸、またはそのモノ又はジ無水物が挙げられるが、好ましくはジカルボン酸無水物である。
具体的には、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0012】
不飽和化合物(b)
エチレン性不飽和カルボン酸(a)以外の不飽和化合物(b)としては、上記不飽和カルボン酸(a)と共重合可能な化合物であって、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの他、一般式(2)で表される化合物のエステル類、スチレン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン類、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等が例示できる。
CH2=CR2(C=O)OCH2CH2O[(C=O)(CH2)5O]nH ・・・(2)
(式中、nは1〜10の整数であり、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
一般式(2)の化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンを付加させたものが挙げられる。
不飽和カルボン酸以外の不飽和化合物(b)としては、使用用途に応じて変更することができ、一般的にはメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルが使用される。
【0013】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂(p)中の、不飽和カルボン酸(a)と不飽和化合物(b)との構成モル比は、通常、3:7〜7:3である。この範囲で耐候性、密着性に優れる樹脂が得られるからである。
不飽和カルボン酸(a)と不飽和化合物(b)との重合反応は、常法に従って行われ、重合体(p)が得られる。
【0014】
脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(c)
脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(c)とは、分子内に少なくとも1種類以上の脂環式骨格内にエポキシ基を有する不飽和基含有エポキシ化合物であり、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートやそのカプロラクトン変性物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートやそのカプロラクトン変性物が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用して配合してもよい。脂環式骨格を有する化合物を配合することにより、組成物の耐水性及び耐酸性が向上する。
【0015】
変性共重合体(A1)は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂(p)のカルボキシル基に、脂環式骨格を有するエポキシ基含有不飽和化合物(c)のエポキシ基を付加反応させたものである。
脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(c)の使用量は、変性共重合体(A1)1kgに対し、二重結合量が、0.5〜4.0モル、特に1.0〜3.5モルになるように使用することが好ましい。0.5モルより少ない場合には、十分な硬化性が得られないことがあり、4.0モルより多い場合には貯蔵安定性に劣る場合がある。
【0016】
前記重合反応および上記付加反応には、溶剤(S)を使用することができる。この反応用溶剤(S)には特に制限はなく、原料及び生成物を溶解するものであればよい。例えば、sec-ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル類、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
ここで、溶剤に関して本発明者らは、溶剤除去が容易なのでアルコール系溶剤が好ましく、常圧沸点130℃以下のアルコール系溶剤がさらに好ましく、sec-ブチルアルコールが特に好ましいことを見出した。
【0017】
変性共重合体(A1)を得るための、エポキシ基とカルボキシル基の付加反応は、溶剤(S)の沸点以下で行うのがよい。溶剤の沸点付近で行うと反応液からの溶存酸素の放出が大きくなり、系内が反応性樹脂の硬化反応を助長する嫌気的雰囲気となる。また、温度130℃以下で行うことが好ましく、特に90℃〜130℃であることが好ましい。90℃より低いと実用上十分な反応速度が得られないことがあり、130℃より高いと熱によるラジカル重合によって二重結合部が架橋し、ゲル化物が生じることがある。
【0018】
付加反応においては、十分な反応速度を得るために、本反応は触媒を用いて行うのが好ましい。触媒としては、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィンなどのフォスフィン類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類、ジメチルスルフィドなどのスルフィド類などを用いることができるが、反応速度面からフォスフィン類が好ましい。
これらの触媒の量は脂環式骨格を有するエポキシ基含有不飽和化合物(c)に対して、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%使用する。触媒量が0.01重量%より少ない場合には十分な反応速度が得られないことがあり、10重量%より多く加えると生成した樹脂の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0019】
反応中のゲル物の生成を防止するために、本反応はハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジンなどの重合禁止剤存在下で行うことが好ましい。これらの重合禁止剤の量は反応液全体に対して1〜10000ppm(重量。以下同じ)であることが好ましい。重合禁止剤量が反応液全体に対して1ppm未満であると十分な重合禁止効果が得られないことがあり、10000ppmを越えると生成した樹脂の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。同様の理由から、本付加反応は分子状酸素含有ガス雰囲気下で行うことが好ましい。酸素濃度は反応系中に爆発性混合物を形成しないような濃度であればよいが、通常は1〜7%になるように調整する。
【0020】
変性共重合体(A2)
上記変性共重合体(A2)は、脂環式エポキシ基含有樹脂(q)のエポキシ基に、エチレン性不飽和カルボン酸(a)のカルボキシル基を付加反応させたものである。
該脂環式エポキシ基含有樹脂(q)は、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(c)を必須単量体成分として、(c)成分と(b)成分との共重合によって得られる。
上記(c)成分、(a)成分、(b)成分は、前記変性共重合体(A1)の項で述べたものと同じものが使用できる。
(c)成分と(b)成分を共重合させる場合には、変性共重合体(A2)に要求される後述する酸価と前記変性共重合体(A1)において述べた二重結合の量に合わせて選択される。
得られた樹脂(q)のエポキシ当量は250〜2,000、好ましくは280〜1,000の範囲である。
(a)成分の使用量は、変性共重合体(A2)1kgに含まれる二重結合量が、0.5〜4.0モル、特に1.0〜3.5モルになるように使用することが好ましい。0.5モルより少ない場合には、十分な硬化性が得られないことがあり、4.0モルより多い場合には貯蔵安定性に劣る場合がある。
変性共重合体(A2)の製造は、上記脂環式エポキシ基含有樹脂(q)と(a)成分を付加反応させて、該樹脂中に不飽和基を導入することにより行われる。
【0021】
水性光重合性樹脂組成物
本発明の水性光重合性樹脂組成物は、変性共重合体(A)のカルボキシル基の一部をアミン中和することで水への溶解度を高めた樹脂(An)に重合性ビニルモノマー(C)を配合してなる。
上記変性共重合体(A)は、変性共重合体(A1)、変性共重合体(A2)、又はこれらの混合物であるので、以下、変性共重合体(A)として説明する。
変性共重合体(A)は、その中に含まれるカルボキシル基の50〜100%が塩基(B)で中和される。中和されるカルボキシル基の割合が50%に満たないと、本発明の光重合性樹脂組成物の水に対する溶解性が不十分となり、沈殿や分離が生じる。
塩基(B)としては、有機アミンまたは無機アルカリ化合物等の一般に知られる種々の化合物が使用される。例えば、有機アミンとしてはトリエチルアミン等のアルキルアミン類、ジメチルアミノエタノール等のアルキルアルカノールアミン類、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられ、無機のアルカリ化合物としては苛性ソーダ等のアルカリ金属水酸化物やアンモニア等が挙げられる。
一方、本発明の光重合性樹脂組成物から得られる塗膜が十分なアルカリ(現像液)耐性を有するためには、使用する塩基(B)が塗膜工程において揮発することが好ましい。このため、使用する塩基(B)としては、上記列挙したものの内、沸点が200℃以下であるものが好ましい。
【0022】
重合性ビニルモノマー(C)
本発明で使用する水性光重合性樹脂組成物には、用途及び要求される塗膜性能等に応じて適宜、1個以上の(メタ)アクリル基を有する重合性ビニルモノマー(反応性希釈剤ともいう。)(C)を配合することができる。重合性ビニルモノマー(C)としては、変性共重合体(A)を溶解し得るものであれば特に制限はない。例えば、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等のアルキルあるいはシクロアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールまたはそのアルキレンオキサイドの(メタ)アクリレート等が例示できる。これらの内、引火点が100℃以上であるものが製造工程における安全性確保の面から好ましい。
【0023】
塩基(B)によって中和して水への溶解度を高めた変性共重合体(An)と重合性ビニルモノマー(C)の配合割合については、それぞれの成分の不飽和当量、Tg、酸価等により異なるが、得られる光重合性樹脂組成物を1として、変性共重合体(An)が50〜90質量%、重合性ビニルモノマー(C)が10〜50質量%であることが好ましい。重合性ビニルモノマー(C)が10質量%未満では、得られる水性光重合性樹脂組成物から得られる塗膜の架橋密度が上がらず、50質量%を超えると硬化塗膜の柔軟性が悪くなりいずれも好ましくない。
【0024】
重合開始剤(D)
本発明の水性光重合性樹脂組成物を硬化させる際に使用する重合開始剤(D)としては、特に制限はなく、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、キサントン類、パーオキサイド類等の公知慣用のものを用いることができる。重合開始剤は、硬化性樹脂組成物中に1〜10重量%の割合で配合することが好ましい。
【0025】
本発明の水性光重合性樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ樹脂等の反応性樹脂、硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、クレー及び炭酸カルシウム等の充填剤、フタロシアニングリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン及びカーボンブラック等の着色用顔料、密着性付与剤及びレベリング剤等の各種添加剤並びにハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等の重合禁止剤等を配合することができる。
これらの添加剤については、インキ、レジスト、塗料等の分野で通常用いられているものを使用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、以下の記載において「部」および「%」は、特に断らない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。
【0027】
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコにsec-ブチルアルコール325g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート15gを仕込み、98℃に昇温後、メタクリル酸224g、メタクリル酸ベンジル163g、sec-ブチルアルコール290g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合液を3時間かけて滴下し、さらに4時間熟成することにより、カルボキシル基を有する樹脂溶液を得た。反応は窒素気流下で行った。
続いて、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学工業(株)製「サイクロマーA200」)263g、トリフェニルフォスフィン3g及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.3gを加え、90℃で20時間反応させることにより、硬化性樹脂溶液を得た。反応は酸素7容量%、窒素93%容量の混気気流下で行った。
フェノールフタレイン指示薬を用い、0.1NKOHエタノール溶液を用いて滴定したところ、樹脂酸価は130KOHmg/gであった。
次に該変性共重合体100部に対してカルボキシル基を中和するのに必要なトリエチルアミン30部を添加し、40℃で1時間攪拌した。その後、水90部を加えた。これを減圧して加熱することにより、実質的に全量の有機溶剤と水の一部さらには過剰のアミンを除去した。このようにして得られた変性共重合体の水溶液の固形分は50%であった。
【0028】
(合成例2)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル325g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート15gを仕込み、95℃に昇温後、メタクリル酸224g、メタクリル酸ベンジル163g、プロピレングリコールモノメチルエーテル290g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合液を3時間かけて滴下し、さらに6時間熟成することにより、カルボキシル基を有する樹脂溶液を得た。反応は窒素気流下で行った。
続いて、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学工業(株)製「サイクロマーA200」)263g、トリフェニルフォスフィン3g及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.3gを加え、100℃で12時間反応させることにより、硬化性樹脂溶液を得た。反応は酸素7容量%、窒素93%容量の混気気流下で行った。
フェノールフタレイン指示薬を用い、0.1NKOHエタノール溶液を用いて滴定したところ、樹脂酸価は120KOHmg/gであった。
次に該変性共重合体100部に対してカルボキシル基を中和するのに必要なトリエチルアミン30部を添加し、40℃で1時間攪拌した。その後、水90部を加えた。これを減圧して加熱することにより、実質的に全量の有機溶剤と水の一部さらには過剰のアミンを除去した。このようにして得られた変性共重合体の水溶液の固形分は50%であった。
【0029】
(合成例3)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコにジプロピレングリコールモノメチルエーテル325g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート15gを仕込み、95℃に昇温後、メタクリル酸224g、メタクリル酸ベンジル163g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル290g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合液を3時間かけて滴下し、さらに6時間熟成することにより、カルボキシル基を有する樹脂溶液を得た。反応は窒素気流下で行った。
続いて、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学工業(株)製「サイクロマーA200」)263g、トリフェニルフォスフィン3g及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.3gを加え、100℃で12時間反応させることにより、硬化性樹脂溶液を得た。反応は酸素7容量%、窒素93%容量の混気気流下で行った。
フェノールフタレイン指示薬を用い、0.1NKOHエタノール溶液を用いて滴定したところ、樹脂酸価は120KOHmg/gであった。
次に該変性共重合体100部に対してカルボキシル基を中和するのに必要なトリエチルアミン30部を添加し、40℃で1時間攪拌した。その後、水90部を加えた。これを減圧して加熱することにより、実質的に全量の有機溶剤と水の一部さらには過剰のアミンを除去した。このようにして得られた変性共重合体の水溶液の固形分は50%であった。
【0030】
(実施例1)
合成例1の変性共重合体水溶液40部に、反応性希釈剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート10部、光重合開始剤としてチバガイギー製「イルガキュア184」2.0部を配合させ、さらに青色染料(メチレンブルー)を配合して水性光重合性樹脂組成物を得た。
このものは、溶剤を含まないために臭気が大幅に改善された。
【0031】
(比較例1)
合成例2のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合体溶液を用いる以外は実施例1と同様にして水性光重合性樹脂組成物を得た。
【0032】
(比較例2)
合成例3のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合体溶液を用いる以外は実施例1と同様にして水性光重合性樹脂組成物を得た。
【0033】
以上の実施例および比較例の各水性光重合性樹脂組成物の性状とフォトレジストとしての性能評価を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例における樹脂組成物の着色レベルはAPHA500未満、比較例における樹脂組成物の着色レベルはAPHA500以上であった。
【0036】
保存安定性:
各例で得られた水性光硬化性樹脂組成物を25℃にて200時間、放置した後に目視による外観で評価した。
◎:全く変化なし、○:ほとんど粘度上昇なし、△:粘度上昇あり、×:凝集物、沈殿物が発生
硬化性試験:
得られた水性光硬化性樹脂を、銅張り積層板上にバーコーターにて10μm厚(乾燥80℃×10分後の厚み)に塗布し、ライン/スペース=30μm/30μmのパターンフィルムを使用して100mJ/cm2で密着露光し、1%炭酸ソーダで現像することにより得たレジストパターンで行った。パターン形成性はこのレジストパターンを電子顕微鏡で観察して評価した。エッチング耐性は、上記のレジストパターンを形成させた銅張り積層板を50℃の塩化第二鉄スプレイでエッチングして評価した。耐剥離性は、50℃の3%苛性ソーダ水溶液での耐剥離性で評価した。
【0037】
【発明の効果】
本発明により得られる水性光重合性樹脂組成物は、フォトレジストとしての諸特性において優れているのみでなく、有機溶媒使用量が極めて低減されたものである。このため、従来品よりも安全性に優れ、環境問題にも対応したフォトレジストを提供するという点で工業的に価値が大きいものである。
Claims (3)
- エチレン性不飽和カルボン酸(a)を必須単量体成分として、sec−ブチルアルコールからなる溶媒(S)の存在下に、重合して得られたカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂(p)と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(c)とを、温度90℃〜130℃で反応させて得られた反応物(A1)のカルボキシル基の一部を塩基(B)で中和し、水を加えた後、溶媒(S)を除去して、水に置換した樹脂(A1n)を得、重合性ビニルモノマー(C)を加える水性光重合性樹脂組成物の製造方法。
- 樹脂(A1n)と重合性ビニルモノマー(C)の配合割合が、樹脂(A1n)が50〜90質量%、重合性ビニルモノマー(C)が10〜50質量%である請求項1に記載のフォトレジスト用水性光重合性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法によって得られる水性光重合性樹脂組成物。
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