JP4043004B2 - 耐応力腐食割れ性の優れた高強度、高靭性中空鍛造品の製造法および中空鍛造品 - Google Patents
耐応力腐食割れ性の優れた高強度、高靭性中空鍛造品の製造法および中空鍛造品 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐応力腐食割れ性に優れ、溶接組立の容易な高強度、高靭性中空鍛造品を提供する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギー資源としてのガス井、油井あるいは海底高深度地質調査用掘削機械として使用されるパイプを接続するフランジにも耐水素割れ性、高強度、高靭性を兼ね備えた特性が要求される。従来より薄肉のフランジにはAlSl4130系を90%以上のマルテンサイト組織にして使用されていた、しかしフランジの肉厚が厚くなると焼入性の問題から断面を90%以上のマルテンサイトにすることは困難である。一方、パイプに対しては耐硫化物応力割れ性を高めるために、細粒化、直接焼入、成分改良等の手段が検討されている。このように製造法の異なるフランジとパイプを溶接接合する場合、溶接部とフランジのみ後熱処理し、溶接熱影響部の硬さをHRc22以下に軟化させる必要がある。そうしないとパイプ部の特性が変化してしまう。
【0003】
しかしながら、上記のようにパイプの場合、肉厚が比較的薄いことと、その製造方法から種々の改善対策が取れるが、厚肉の鍛造品の場合、鍛造加工が加熱、加工の繰返しであり、圧延加工のような加熱温度、加工率を具合よく組合せることは非常に困難である。そのため、成分改良によることになる。しかし溶接組立構造の場合、溶接部の軟化処理により母材が軟化してしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した問題点を解決しようとするものであり、鋼成分と焼入焼戻時の鍛造品の形状を中空にしてミクロ組織を90%以上のマルテンサイトにし、溶接部の軟化加熱処理でも母材の硬さが大きく低下せず、耐力が65kgf/mm2以上確保できる耐応力腐食割れ性の優れた溶接組立の容易な高強度、高靭性中空鍛造品を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、質量%で、C:0.10〜0.2%未満、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.2〜1.0%、Cr:0.50〜1.50%、Mo:0.3〜1.0%、V:0.10%超〜0.20%、B:0.0005〜0.0030%、Al:0.01〜0.05%、Ti:0.01〜0.05%、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋳塊を熱間鍛造温度範囲に加熱して鍛造により中空鍛造品に成形し、次いで焼入れ焼戻し処理を行った後、パイプと溶接し、溶接熱影響部の硬さをHRc22以下になるようにAc1点以下に加熱して冷却することを特徴とする耐応力腐食割れ性の優れた高強度高靭性中空鍛造品の製造法である。そしてかかる方法により、耐力が65kgf/mm2以上で、かつNACE TM0177浴中において、耐力の80%負荷した時に720時間以上破断しない、耐応力腐食割れ性の優れた中空鍛造品が得られる。
【0006】
中空鍛造品はプレス等により成形するが、中実鍛造品の場合には焼入焼戻処理前に、仕上形状寸法に熱処理時の変形、酸化層等を加味した寸法に中空に切削加工する。
【0007】
本発明において上記のように鋼成分を限定した理由は下記のとおりである。
【0008】
C :Cは鋼の焼入性を高め、強度を向上させるために必須の元素である。0.10%未満では焼入性が不足し高強度が得られない。一方、0.2%以上になると溶接熱影響部の硬さが高くなる。したがって、C含有量は0.10〜0.2%未満とする。
【0009】
Si:Siは鋼の脱酸に有用な元素であり、焼戻し軟化抵抗を高め、耐硫化物応力割れ性を向上させる元素でもある。また、ESR溶解で鋼の清浄性を高める溶解法を取る場合、Alを適正範囲の歩留にするのに必要な元素である。その範囲は0.10〜0.50%で十分である。
【0010】
Mn:Mnも鋼の脱酸に有用な元素である。Cと同様に鋼の焼入性を高め、強度を向上させる。他方、Mnが1.0%を超えると靭性が低下する。Mnの望ましい含有量は0.2〜1.0%である。
【0011】
Cr:鋼の焼入性を高め強度を上昇させるとともに、耐応力腐食割れ性をも向上させる。1.50%を超えて添加すると耐応力腐食割れ性が低下するので、Crの適正な含有量は0.50〜1.50%である。
【0012】
Mo:MoはCrと同様に鋼の焼入性を向上させ、高強度化に寄与するととも に、溶接後熱処理時の軟化抵抗を高める。Moが過剰に多くなると巨大な Mo化合物が析出し、靭性を阻害するため、Moの適正含有範囲は0.3〜1.0%である。
【0013】
V :Vは0.1%超の添加で焼戻し軟化抵抗を上げ、また、細粒化に寄与して耐応力腐食割れ性を向上させる。しかし、0.2%を超えると偏析部に有害なV炭化物が生じ、耐応力腐食割れ性が低下する。Vの適正含有量は0.1%超0.20%以下である。
【0014】
B :Bは微量で鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、鍛造品のような厚肉材の焼入れ性を改善することに効果的な元素である。その効果が顕著になる 0.0005%以上の含有量とするのが良い。0.0030%を超えると鋼の靭性が低下するので、0.0005%〜0.0030%がよい。
【0015】
Al:AlはSiと同様脱酸効果があるが、鋼中のNと結合して結晶粒の成長を抑えて耐応力腐食割れ性の向上および溶接熱影響部の低温靭性を改善する。少なすぎるとその効果がなく、多すぎると介在物が増加して鋼の性質を脆化させるため、0.01〜0.05%がよい。
【0016】
Ti:Tiは鍛造加工における加熱および熱処理加熱中の結晶粒径制御元素である。また、鋼中にTiが含まれていれば鋼中の不純物であるNをTiNとして固定するので、前述のBがBNとして析出することなく、焼入性に有効に働く。TiはNを固定する以上には必要なく、その適正範囲は0.01〜 0.05%である。
【0017】
N :Nは不純物として鋼に存在するが、靭性および耐応力腐食割れ性を低下させるので0.01%以下とした。
【0018】
本発明の方法において、溶解と鋳造は通常の低合金鋼鍛造品の製造法と同様に行えばよい。ただし、不純物の少ない清浄鋼を得るためには、ESRのような二次溶解鋼が望ましい。鋳造後はプレスやハンマーなどで熱間鍛造される。この場合、フランジのような中空品は鍛造のときに中空鍛造するか、中実鍛造後穿孔するか、あるいは熱処理前に切削加工により孔開けする。
【0019】
鍛造終了した鍛造品は、焼入焼戻し前に最終形状寸法に、熱処理時の変形、脱炭等を加味した寸法に切削加工される。焼入れ温度はAc1+80℃以下が結晶粒粗大化防止の観点から望ましい。また焼入れは噴射式水流中で行う。焼戻し温度はAc1点以下で冷却は水冷が望ましい。焼入焼戻しが終った鍛造品は所定仕上寸法に加工し、パイプと溶接する。フランジ側の溶接熱影響部を軟化するための後熱処理はバーナなどの局部加熱では不均一になること、さらに高温(Ac1 点以下)が必要なため、加熱炉の中で加熱する必要がある。この場合、フランジ単体の硬さも焼戻し処理が追加されるので強度低下を起こすことから、この低下分も加味した最初の焼戻条件選定が必要になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0021】
請求項1に基づき表1の成分範囲で実体を製作した。ESR溶解した4トン鋼塊を使用し、1200℃の鍛造温度に加熱し、800φ×Lに鍛伸した。鍛伸後そのまま1200℃×20hrの均熱処理を施した後徐冷する。徐冷後500mm長さに切断し、再度1200℃に加熱後据込、穴明けし、外径950φ、内径300φに成形後空冷する。この素材を所定寸法のフランジに加工し焼入れを行なう。焼戻し条件は溶接後の後熱処理時に硬さが母材、母材のHAZ部共にHRc22以下で、耐力が65kgf/mm2以上になるように後熱処理時の硬さ低下を加味して行なう。以上の焼戻し処理を行ったフランジから試験材を採取し、入熱5kJ/mm相当の再現熱サイクルを付与し、後熱処理した。HAZ部の後熱処理後と母材の耐硫化物応力割れ性は、丸棒型引張試験片(平行部6.35φ×25.4mm)各鋼種とも2本にて評価した。負荷応力はそれぞれの実降伏応力の80%とした。試験溶液はNACE TM0177−90に規定されるNACE TM0177浴(0.5%酢酸+5%食塩水、1気圧硫化水素飽和25℃)とした。720hrsの試験期間中に破断しなかったものを耐硫化物応力割れ性良好とした。試験材の成分を表1に示し、その試験結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
表1に示すとおり、本発明の実施例a、bでは母材、HAZ部共破断がなく、耐応力腐食割れ性が優れている。これに対して、比較例cは焼戻処理により硬さをHRc22以下にできず耐応力腐食割れ性試験は実施していない。比較例dの場合は、母材は破断しなかったもののHAZ部は破断した。
【0025】
【発明の効果】
本発明で提供される中空鍛造品は、高強度、高靭性であり、HAZ部後熱処理での母材の軟化抵抗が高く、HAZ部および母材の耐硫化物応力腐食割れ性に優れ、溶接組立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例鋼の焼戻し硬さ特性を示すグラフである。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.10〜0.2%未満、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.2〜1.0%、Cr:0.50〜1.50%、Mo:0.3〜1.0%、V:0.10%超〜0.20%、B:0.0005〜0.0030%、Al:0.01〜0.05%、Ti:0.01〜0.05%、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋳塊を熱間鍛造温度範囲に加熱して鍛造により中空鍛造品に成形し、次いで焼入れ焼戻し処理を行った後、パイプと溶接し、溶接熱影響部の硬さをHRc22以下になるようにAc1点以下に加熱して冷却することを特徴とする耐応力腐食割れ性の優れた高強度高靭性中空鍛造品の製造法。
- 請求項1により得られた中空鍛造品であって、耐力65kgf/mm2以上で、かつNACE TM0177浴中において、耐力の80%負荷した時に720時間以上破断しない中空鍛造品。
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JP10121298A JP4043004B2 (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | 耐応力腐食割れ性の優れた高強度、高靭性中空鍛造品の製造法および中空鍛造品 |
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JPH11293333A JPH11293333A (ja) | 1999-10-26 |
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- 1998-04-13 JP JP10121298A patent/JP4043004B2/ja not_active Expired - Fee Related
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