JP4036361B2 - ミシンの送り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被縫製物の送りを行うミシンの送り装置に関するものであり、特に、その送り量を調節する調節機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、生地の特性に対応した縫製を行うために、主送り歯に対する副送り歯の送り量を調節する調節機構を備えたミシンとして、例えば、偏平縫いミシンや縁かがり縫いミシンが知られている。
【0003】
最初に、偏平縫いミシンの送り調節機構(差動送り調節機構)の構造を説明する。
このミシンは、例えば、特開平9−140966号公報に開示されているように(図7〜図9を参照)、ミシン主軸Mに装着した偏心カム105と主送り軸101とを主送りリンク111により直接的に連結し、ミシン主軸Mの回転に応じて主送り軸101が軸心回りに揺動する構造を備える。そして、主送り軸101及び差動送り軸102は、針落ち位置の前後に配置される主送り歯104a及び差動送り歯104bと連結している。従って、後述するように、主送り軸101及び差動送り軸102の揺動に伴い主送り歯104aと差動送り歯104bが前後方向へ往復運動する構造となっている。
【0004】
次に、主送り軸101の揺動を差動送り軸102へ伝動するための伝動機構と差動送り軸101の揺動角度のみを変更することで、差動送り歯104bの前後動作量を主送り歯の前後動作量に対して相対的に変更する差動送り調節機構について説明する。
【0005】
伝動機構は、主送り軸101の端部に基端を嵌着された調節アーム112と、差動送り軸102の該当位置に基端を嵌着された差動送りアーム122とを、差動送りリンク123を介して連結して構成される。
【0006】
そして、主送り軸101に生じる揺動を、調節アーム112、差動送りリンク123及び差動送りアーム122を介して差動送り軸102に伝える。そして、差動送り軸102の揺動を、差動送り軸102の端部に固設された揺動アーム140及び連結リンク141を介して差動送り台142に伝えることで、差動送り台142に支持された差動送り歯104bが前後動する構造となっている。
【0007】
なお、図9においては、調節アーム112と差動送りアーム122との連結部を明示するため、差動送り軸102の図示を省略し、差動送りアーム122の基端側を破断して示してある。また、理解を容易にするために、図7において主送り軸101及び差動送り軸102については、その一部のみを図示している。また、符号103は主送り歯104a及び差動送り歯104bを上下動させるための上下送り軸を示している。
【0008】
次に、差動送り調節機構について説明する。
【0009】
差動送り調節機構は、調節アーム112、スライダ114、差動送りアーム122、差動送りリンク123等から概略構成される。
【0010】
調節アーム112は、所定の曲率を有する円弧形のアームであり、調節アーム112の一方側の表面には、調節アーム112の曲率に沿って上下方向に凹溝が形成されている。そして、差動送りリンク123は、調節アーム112の凹溝内に摺動自在に保持されたスライダ114と差動送りアーム122の先端部分との間に架設されている。
【0011】
差動送り軸102の揺動角度は、主送り軸101の揺動角度に対し、調節アーム112のアーム長(調節アーム112上のスライダ114の摺動位置から主送り軸101の軸心までの長さ)に対する差動送りアーム122のアーム長(差動送り軸102の軸心から差動送りリンク123の連結位置までの長さ)の比に応じて変化する。
【0012】
また、差動送りアーム122のアーム長は一定であるのに対し、調節アーム112のアーム長は調節アーム112上のスライダ114の摺動位置に応じて調節可能となっている。
【0013】
スライダ114の摺動位置の調節方法は、まず、差動調節つまみ182を回転操作し、差動調節ねじ180を回転させることにより移動ナット181が上下に移動する。この移動に伴って差動調節レバー108bの係止部位が上下に押圧されて、差動調節レバー108bが枢軸108aと共に揺動する。そして、この揺動がミシンベッドB1の内部への枢軸108aの延長端に嵌着された揺動アーム108に伝わり、該揺動アーム108は、前記調節つまみ182の操作量に応じて上下に揺動する。そして、揺動アーム108が揺動すると、揺動アーム108の後端に枢支された第1の連結リンク191が上下に引かれ、連結リンク191の他端に連結された摺動子190がリニアガイド109に案内されて摺動する。そして、この摺動が第2の連結リンク192を介して前記スライダ114に伝達され、スライダ114が調節アーム112に沿って摺動せしめられ、適宜の位置に拘束されることで完了する。
【0014】
このように、スライダ114の摺動位置を調節することで差動送り歯104bの送り量を主送り歯104aの移動量に対して相対的に変更する差動調節が可能となる。
【0015】
上述のような伝動機構及び差動送り調節機構によれば、差動送り軸102の揺動角度を調節することにより、差動送り歯104bの送り量(前後方向への移動量)を主送り歯104aの送り量に対して任意に変更する差動調節が可能となり、縫製生地の種類に応じた適正な生地の送り量を得ることが可能となる。
【0016】
次に、縁かがり縫いミシンの送り調節機構の構造を、図10に基づき説明する。
送り軸150は、図示省略のリンクによりミシン主軸151に連結されている。そして、ミシン主軸151の回転に連動して、送り軸150は揺動する。この送り軸150には、一端側が固定された、主送り腕152と副送り腕153とが装備されている。主送り腕152は、図示省略のリンクにより、主送り揺動桿154に連結されている。主送り揺動桿154の他端側には、主送り歯155が固定されている。
【0017】
副送り腕153の他端側腕には、スライダ156が装着されている。このスライダ156は、送りリンク157の一端側に連結されている。送りリンク157の他端側は、副送り揺動桿158に連結されている。この副送り揺動桿158の他端側には、副送り歯159が固定されている。
【0018】
また、スライダ156は、第1調節リンク160、支軸162、第2調節リンク161を介して、送り調節軸163に連結されている。作業者が送り調節軸163を回動させて、所定位置で停止させると、副送り腕153と送りリンク157の連結位置が変更される。この連結位置の変更により、副送り歯159の前後方向の送り量を調整する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の偏平縫いミシンの差動送り調節機構ではスライダ114と調節アーム112との間で、また、縁かがり縫いミシンの送り調節機構ではスライダ156と副送り腕153との間で、磨耗が発生しミシンの寿命を短くしていた。これは、偏平縫いミシンの場合、スライダ114は、第2連結リンク192、第1連結リンク191を介して摺動子190の支点M1を中心に半径R1で、その運動が規制される。これに対して、主送り軸101の揺動はスライダ114に対して、その軸心m2を中心に半径r2の揺動運動を付与する。この円弧差により、揺動運動中のスライダ114に磨耗が発生し、耐久性に問題が生じた。
【0020】
また、縁かがり縫いミシンの場合、スライダ156は、支軸162の軸心L1を中心に半径N1でその運動が規制される。これに対して、送り軸150の揺動はスライダ156に対して、その軸心L2を中心に半径N2の揺動運動を付与する。この円弧差により、揺動運動中のスライダ156に磨耗が発生し、耐久性に問題が生じた。
【0021】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、送り調節機構を用いて、送り量を調節するミシンの送り装置において、磨耗の発生を防止し、耐久性を有するミシンの送り置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
被縫製物を送るための主送り歯及び差動送り歯をそれぞれ前後動させるために各軸心回りに揺動する主送り軸(1)及び差動送り軸(2)と、
前記主送り軸の揺動を複数の連結部材を介して前記差動送り軸に伝達する伝達機構(30)と、
前記主送り軸及び差動送り軸の揺動角を変更し、前記主送り歯及び差動送り歯の前後動作量を調節する主送り調節機構(20)と、
前記差動送り軸の揺動角を変更し、差動送り歯の前後動作量を主送り歯の前後動作量に対して相対的に変更する差動送り調節機構(50)とを備えたミシンの送り装置において、
前記伝達機構は、主送り軸に装着された主送り腕(31)と、差動送り軸に装着された差動送り腕(32)と、前記主送り腕と差動送り腕を連結可能な差動送りリンク(33)とからなると共に、
前記差動送り調節機構は、
前記差動送りリンクに連結されると共に、前記差動送り腕に摺動自在に支持されると共に、所定位置で連結される摺動部材(51)と、
前記摺動部材に回動可能に支持される可動部材(52)と、
前記主送り軸が前記可動部材に付与する揺動運動軌跡と一致するように、前記可動部材の運動を制限可能なガイド部材(53、54)と、を備えた構成とした。
【0023】
請求項1記載の発明によれば、差動送り調節機構を構成する摺動部材と差動送り腕との間に磨耗が発生しにくいので、装置の寿命が向上する。
【0024】
また、請求項1記載の前記ガイド部材は、一軸線方向に調節可能で、その軸線が前記送り軸軸心と交差するように設けた調節部(53a)と、所定位置で前記揺動運動軌跡と一致する案内部(53b)と、を備える構成としても良い。この所定位置、例えば一般的に使用頻度が高い差動比1:1のときに、揺動運動軌跡が一致するようにすれば、より確実に調節機構の磨耗を防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるミシンの送り装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態は、図1〜図5に示す如く、ミシンベッドB1の内部には、図示しないミシンモータからの伝動により軸心回りに回転するミシン主軸Sが架設され、ミシン主軸Sとほぼ平行に主送り軸1、差動送り軸2及び上下送り軸3が架設されている。そして、主送り軸1及び差動送り軸2は後述する伝動機構を介して、各軸の軸心回りに揺動可能となっている。なお、上下送り軸3も軸心回りに揺動するが、周知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0030】
また、ミシンベッドB1(ミシンベッド本体部)の正面視左方向に突出して略矩形筒状のシリンダーベッドB2(シリンダーベッド部)が設けられている。そして、ミシン主軸S、主送り軸1、差動送り軸2及び上下送り軸3は、シリンダーベッドB2の内部まで延長され、針落ち位置の直下に配置される送り歯機構4に連結している。
そして、主送り歯4a及び差動送り歯4bは、前記シリンダーベッド部B2に配置されている。また、後述する主送り調節機構20及び差動送り調節機構50は、ミシンベッド本体部B1内に配置されている。
【0031】
送り歯機構4は、針落ち位置の前後に配された差動送り歯4b及び主送り歯4aに送り動作(前後動及び上下動)を行なわせる機構である。なお、送り歯機構4については公知の技術であるため、以下、簡単に説明する。
【0032】
主送り歯4aを支持する主送り台40と差動送り歯4bを支持する差動送り台41とを、前後方向へ摺動可能に組み合わせ、これら主送り台40及び差動送り台41の前後両側に、角駒42、43を嵌合する。角駒42及び43は、それぞれ上下送り軸3及びミシン主軸Sの先端に各別の偏心環を介して枢支されている。また、主送り軸1の先端部に固設された揺動アーム44と主送り台40とを連結リンク45を介して連結し、同様に、差動送り軸2の先端に固設された揺動アーム46と差動送り台41とを連結リンク47を介して連結した構造を備えている。
【0033】
上述のような送り歯機構4により、主送り歯4aと差動送り歯4bは、主送り軸1及び差動送り軸2の揺動に応じた各別の前後動と上下送り軸3の揺動に応じた上下動とが合成された長円運動を行い、針落ち位置に供給される縫製生地(被縫製物)に、針の上下動に対応した間欠的な送りを与えることができる。
【0034】
次に、ミシン主軸Sから主送り軸1への伝動機構10(以下、「主送り軸への伝動機構10」という。)について説明する。
【0035】
主送り軸への伝動機構10は、ミシン主軸Sに装着された主送り偏心カム11に連結する主送りロッド12の先端部と、主送り軸1の所定位置に基端を嵌着された主送り腕13の先端部とを、主送りリンク14を介して直接的に連結した構造を備える。
【0036】
なお、主送りロッド12は、その一端が正面視略U字状に形成されており、このU字状の部分により主送りリンク14及び後述する主送り調節リンク21が挟持された状態でそれぞれ回動可能に軸支されている。
【0037】
このような構造を備える主送り軸への伝動機構10は周知の技術であるため、以下、簡単に説明する。まず、ミシン主軸Sが回転した場合、主送り偏心カム11に連結された主送りロッド12には、主送り偏心カム11の偏心量に応じたストロークの往復動が生じる。そして、主送りリンク14を介して主送り腕13の先端部分が前後方向に押し引きされ、この主送り腕13に嵌着された主送り軸1が軸心回りに揺動する。そして、この揺動が前記揺動アーム44と連結リンク45を介して主送り台40に伝えられ、主送り台40に支持された主送り歯4aが前後動することになる。
【0038】
次に、主送り軸1及び差動送り軸2の揺動角度を一括して変更することにより、主送り歯4a及び差動送り歯4bの前後方向の移動量を一括して変更するための主送り調節機構20について説明する。
【0039】
主送り調節機構20は、主送り調節リンク21、主送り調節台22、主送り調節ネジ23等から概略構成される。
【0040】
上述のように、主送り調節リンク21は、その一方の端部が主送りロッド12と主送りリンク14との連結部分に回動可能に軸支されており、他方の端部が支軸24を介して主送り調節台22に回動可能に連結されている。
【0041】
主送り調節台22は、その一方の端部において上述のように支軸24を介して主送り調節リンク21と連結し、他方の端部において、枢軸25回りに回動可能に軸支されている。なお、枢軸25は、その一方の端部においてシリンダーベッドB2と接合している。
【0042】
また、図1に示すように、主送り調節台22には突出部22aが設けられており、この突出部22aが、ミシンベッドB1の前壁に螺合する主送り調節ネジ23の先端部分と当接している。また、主送り調節台22は、ミシンベッドB1の前壁との間に張架されたばね23aにより前向きに付勢されている。なお、図2及び図3においては突出部22a、主送り調節ネジ23、ばね23aの図示を省略している。
【0043】
そして、主送り調節ネジ23の操作を、主送り調節ネジ23のミシンベッドB1の内部への突出長さを増す方向に行なった場合、主送り調節台22は、ばね23aの付勢力に抗して枢軸25回りに回動し、逆に、ミシンベッドB1の内部への突出長さを減じる方向に行なった場合、主送り調節台22は、ばね23aの付勢力に従って回動する。従って、主送り調節ネジ23を操作することで、主送り調節台22と主送り調節リンク21とを連結する支軸24の位置を変更できる。
【0044】
ここで、上述のように、主送りロッド12は主送り調節リンク21と連結しており、この主送り調節リンク21は支軸24により軸支されている。従って、主送りロッド12の往復動は、支軸24を中心とした主送り調節リンク21の回動軌跡に沿って決定される。
【0045】
また、主送り調節リンク21の回動軌跡を変更するには、主送り調節台22を回動させることで支軸24の主送りロッド12に対する相対位置を変更する、即ち、主送り調節リンク21の水平面に対する傾斜角を変更することで可能となる。
【0046】
従って、主送り調節ネジ23を回転操作し、主送り調節台22を所定量回動させることによって、支軸24の位置が変更され、主送り調節リンク21の回動軌跡が変化し、主送りロッド12の往復動の軌跡が変更される。
【0047】
そして、この主送りロッド12の往復動の軌跡の変更により主送りリンク14の前後方向の移動量が変更され、主送り腕13に嵌着された主送り軸1の軸心回りの揺動角を変更できる。
【0048】
ここで、主送り軸1と差動送り軸2とは、後述する伝動機構30を介して連結されているため、主送り軸1の揺動角の変更により差動送り軸2の揺動角も同時に変更されることになる。
【0049】
従って、上述のような構造を備える主送り調節機構20により、主送り軸1及び差動送り軸2の揺動角度を一括して変更でき、主送り歯4a及び差動送り歯4bの前後方向の移動量を一括して変更できる。
【0050】
次に、主送り軸1から差動送り軸2への伝達機構30について説明する。
差動送り軸への伝達機構30は、主送り腕31と、差動送り腕32と、差動送りリンク33とから構成される。主送り腕31は一端側を主送り軸1に固定されている。差動送り腕32の一端側は差動送り軸2に固定されている。差動送りリンク33は、一端側33aが主送り腕31に連結されており、他端側33bが差動送り調節機構50を介して差動送り軸32に位置調節可能に連結される。
【0051】
差動送り調節機構50は、差動送り調節スライダー(摺動部材)51と、差動送り角駒(可動部材)52と、差動送り角駒ガイド(ガイド部材)53と、差動送りガイド台(ガイド部材)54から構成される。
【0052】
差動送り調節スライダー(摺動部材)51は、軸部51aと、その軸部の一端部に固定された溝部51bとから構成される。溝部51bは、上下方向に沿って中空の箱状である。そして、溝部51bは、差動送り腕の円弧状の腕部32aに挿入され、摺動自在に支持される。軸部51aは、差動送りリンク33の他端側33bに設けた孔33baに連結される。また、孔33baより突出した軸部51aは、差動送り角駒52の孔52aに装着される。差動送り角駒(可動部材)52は、中心部に連結孔52aが形成されるとともに、上下方向にR状の外周52b、52cが形成されている。
【0053】
差動送り角駒ガイド53(ガイド部材)は、軸状の調節部53aと、この調節部53aの上端側に設けた案内部53bを備えている。調節部53aは、上下方向に沿ってその軸心Zが伸びるとともに、下端部に装着孔53aaが形成されている。案内部53bは、差動リンク33側に向けて開口している円弧状の溝部53baを有する。この円弧状の溝部53baに、R状差動送り角駒52外周が遊びをもって嵌合する。そして、差動送り角駒ガイド53が差動送り角駒52を摺動自在に支持する。また、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部53baの中心点Xは、差動送り軸軸心側に配置されている。
【0054】
差動送りガイド台54(ガイド部材)は、側面視Lの字状であり、一端部に上下方向に貫通する支持孔54aが形成されるとともに、図示省略のネジにより機枠に固定される。差動送りガイド台54の支持孔54aには、差動送り角駒ガイド53の軸状調節部53aが装着され、摺動自在に支持される。このため、差動送り角駒ガイド53とそれに装着される差動送り角駒52は、一軸線Z方向に移動可能に支持されている。この一軸線Zは、差動送り軸2の軸線Yと交差するように配置されている。
【0055】
次に、差動送り角駒ガイドの下端部の装着孔53aaには、連結ピン55が装着されている。連結ピン55には、差動調節腕56の一端側が連結される。図示省略のピンにより、差動調節腕56の他端側が、差動調節リンク57の一端側に連結される。差動調節リンク57の他端側は、調節軸58に固定される。この調節軸58には、図示省略のレバーが装備されており、作業者のレバー操作により調節軸58が回動する。
【0056】
第1実施形態の動作について説明する。
レバー操作により調節軸58が回動する。この調節軸58の回動により、差動調節リンク57、差動調節腕56、連結ピン55を介して、差動送り角駒ガイド53が軸心方向に(上下方向)上下動する。そして、所定位置、例えば一般的に使用頻度が高い差動比1:1のときに、調節軸58を停止させる。このとき、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部53baの中心点Xは、差動送り軸2の軸心Yと一致する長さに設定されている。
【0057】
ミシンが縫製を開始すると、主送り軸1の揺動は、差動送りリンク33を介して、差動送り角駒52、差動送り調節スライダー51、さらに、差動送り腕32、差動送り軸2に伝達される。そして、上記のように所定位置において、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部53baの中心点Xは、差動送り軸2の軸心Yと一致する長さに設定されている。このため、主送り軸1に揺動運動を付与され、差動送り軸軸心を中心とする差動送り角駒52の揺動運動軌跡は、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部53baの配置と一致する。この結果、主送り軸1の揺動運動が差動送り軸2に付与されても、差動送り調節スライダー51や、差動送り角駒52に付与された揺動運動に抗するような荷重がほとんど生じない。特に、差動送り調節機構50を構成する、差動送り調節スライダー(摺動部材)51と差動送り腕32との磨耗が防止されるので装置寿命が伸びる。
【0058】
次に、図6に基づき、この発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、この発明を縁かがり縫いミシンの送り調節機構に適用したものである。
尚、図8で説明した、主送り揺動桿154、副送り揺動桿(送り揺動桿)158、主送り歯155、副送り歯159、送り軸150、主送り腕152、副送り腕(送り腕)153、等同一の部材に関しては同じ符号を付す。
また、第2実施形態の送り調節機構60は、第1実施形態の差動送り調節機構50を180度回転したものであり、同一の部材に関しては同じ符号付し、詳細な説明を省略する。
【0059】
図示省略のリンクにより、送り軸150はミシン主軸に連結されている。ミシン主軸に連動して、送り軸150は揺動する。送り軸150には、個別に主送り腕(図示省略)と副送り腕153の一端側が固定されている。主送り腕の他端側は、主送り揺動桿154に連結されている。この主送り揺動桿154の一端側には、主送り歯155が固定されている。同様に、副送り腕153の他端側は、送り調節機構60を介して、送りリンク(連結部材)157の一端側に位置調節可能に連結される。また、送りリンク157の他端側は副送り揺動桿158に連結される。この副送り揺動桿158の一端側には、副送り歯159が固定されている。
【0060】
副送り腕153他端側と送りリンク157の一端側は、その連結位置を調節可能な送り調節機構60により連結されている。この送り調節機構(調節機構)60は、差動送り調節スライダー(摺動部材)51と、差動送り角駒(可動部材)52と、差動送り角駒ガイド(ガイド部材)53と、差動送りガイド台(ガイド部材)54から構成される。また、差動送り角駒ガイド53を移動させるために、差動調節腕56、差動調節リンク57、調節軸58等が備えられている。
【0061】
第2実施形態の動作について説明する。
図示省略のレバー操作により調節軸58が回動する。この調節軸58の回動により、差動調節リンク57、差動調節腕56、連結ピン55を介して、差動送り角駒ガイド53が軸心方向Zに(上下方向)上下動する。そして、所定位置、例えば一般的に使用頻度が高い差動比1:1のときに、調節軸58を停止させる。このとき、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部53baの中心点Xは、送り軸150の軸心Yと一致する長さに設定されている。
【0062】
ミシンが縫製を開始すると、送り軸150の揺動は、副送り腕153を介して、差動送り角駒52、差動送り調節スライダー51、さらに、送りリンク157、副送り揺動桿158に伝達される。そして、上記のように差動比1:1の所定位置において、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部53baの中心点Xは、送り軸150の軸心Yと一致する。
【0063】
このため、所定位置において、送り軸150に揺動運動を付与され、送り軸軸心を中心とする差動送り角駒52の揺動運動軌跡は、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部53baの円弧と一致する。この結果、送り軸150の揺動運動が副送り揺動桿158に付与されても、差動送り調節スライダー51や、差動送り角駒52に付与された揺動運動に抗するような荷重が生じない、すなわち、連結部材間で磨耗が生じないので、装置寿命が伸びる。
【0064】
この発明は上記実施形態に限定されることなく、種々変更可能である。
例えば、上記実施形態の差動送り調節機構50、送り調節機構60では、差動送り角駒ガイド53(ガイド部材)に案内部53bを1個設けたが、この軸心方向に複数個設けて、例えば、差動比1:1や1:2の場合等、複数の差動比の時、差動送り角駒ガイド53の円弧状溝部の中心点Xが、送り軸150の軸心Yと一致するように設けることも容易に考えられる。
【0065】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、差動送り調節機構を構成する摺動部材と差動送り腕との間に磨耗が発生しにくいので、装置の寿命が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の斜視図。
【図2】 第1実施形態の要部斜視図。
【図3】 図1のF方向より見た要部斜視図。
【図4】 図3の構成部品を分解した斜視図。
【図5】 第1実施形態の要部正面図。
【図6】 第2実施形態の正面図。
【図7】 従来のミシン送り装置を説明するための斜視図。
【図8】 従来例の差動送り調節機構の正面図。
【図9】 従来例の差動送り調節機構の要部斜視図。
【図10】 従来のミシンの送り装置の斜視図。
【符号の説明】
158・・副送り揺動桿(送り揺動桿)
150・・送り軸
153・・副送り腕(送り腕)
157・・送りリンク(連結部材)
60・・・調節機構
51・・・差動送り調節スライダー(摺動部材)
52・・・差動送り角駒(可動部材)
53・・・差動送り角駒ガイド(ガイド部材)
54・・・差動送りガイド台(ガイド部材)
53a・・調節部
53b・・案内部
1・・・・主送り軸
2・・・・差動送り軸
30・・・伝達機構
20・・・主送り調節機構
50・・・差動送り調節機構
31・・・主送り腕
32・・・差動送り腕
33・・・差動送りリンク
Claims (1)
- 被縫製物を送るための主送り歯及び差動送り歯をそれぞれ前後動させるために各軸心回りに揺動する主送り軸及び差動送り軸と、
前記主送り軸の揺動を複数の連結部材を介して前記差動送り軸に伝達する伝達機構と、
前記主送り軸及び差動送り軸の揺動角を変更し、前記主送り歯及び差動送り歯の前後動作量を調節する主送り調節機構と、
前記差動送り軸の揺動角を変更し、差動送り歯の前後動作量を主送り歯の前後動作量に対して相対的に変更する差動送り調節機構と、を備えたミシンの送り装置において、
前記伝動機構は、主送り軸に装着された主送り腕と、差動送り軸に装着された差動送り腕と、前記主送り腕と差動送り腕を連結可能な差動送りリンクとからなるとともに、
前記差動送り調節機構は、
前記差動送りリンクに連結されると共に、前記差動送り腕に摺動自在に支持されると共に、所定位置で連結される摺動部材と、
前記摺動部材に回動可能に支持される可動部材と、
前記主送り軸が前記可動部材に付与する揺動運動軌跡と一致するように、前記可動部材の運動を制限可能なガイド部材と、を備えることを特徴とするミシンの送り装置。
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