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JP4032999B2 - 車輪支持用転がり軸受ユニット - Google Patents

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JP4032999B2
JP4032999B2 JP2003059284A JP2003059284A JP4032999B2 JP 4032999 B2 JP4032999 B2 JP 4032999B2 JP 2003059284 A JP2003059284 A JP 2003059284A JP 2003059284 A JP2003059284 A JP 2003059284A JP 4032999 B2 JP4032999 B2 JP 4032999B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の車輪並びにロータ或はドラム等の制動用回転体を支持する車輪支持用転がり軸受ユニットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車輪を構成するホイール1、及び、制動装置であるディスクブレーキを構成する、制動用回転体であるロータ2は、例えば図8に示す様な構造により、懸架装置を構成するナックル3に回転自在に支承している。即ち、このナックル3に形成した円形の支持孔4部分に、本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニット5を構成する外輪6を、複数本のボルト7により固定している。一方、上記車輪支持用転がり軸受ユニット5を構成する、特許請求の範囲に記載した内輪であると同時に回転側軌道輪であるハブ8に上記ホイール1及びロータ2を、複数本のスタッド9とナット10とにより結合固定している。
【0003】
上記外輪6の内周面には複列の外輪軌道11a、11bを、外周面には固定側フランジ12を、それぞれ形成している。この様な外輪6は、この固定側フランジ12を上記ナックル3に、上記各ボルト7で結合する事により、このナックル3に対し固定している。
【0004】
これに対して、上記ハブ8は、ハブ本体13と内輪14とを組み合わせて成る。このうちのハブ本体13の外周面の一部で、上記外輪6の外端開口(軸方向に関して外とは、自動車への組み付け状態で幅方向外側となる部分を言い、図1、3、5〜8の左側。反対に、自動車への組み付け状態で幅方向中央側となる、図1、3、5〜8の右側を、軸方向に関して内と言う。本明細書全体で同じ。)から突出した部分には、特許請求の範囲に記載したフランジである回転側フランジ15を形成している。上記ホイール1及びロータ2はこの回転側フランジ15の片側面(図示の例では外側面)に、上記各スタッド9とナット10とにより、結合固定している。
【0005】
又、上記ハブ本体13の中間部外周面で、上記複列の外輪軌道11a、11bのうちの外側の外輪軌道11aに対向する部分には、第一の内輪軌道17を、上記ハブ本体13に対し直接形成している。更に、上記ハブ本体13の内端部外周面に形成した小径段部18に上記内輪14を外嵌固定して、上記ハブ8を構成している。そして、この内輪14の外周面に形成した第二の内輪軌道19を、上記複列の外輪軌道11a、11bのうちの内側の外輪軌道11bに対向させている。
【0006】
これら各外輪軌道11a、11bと第一、第二の各内輪軌道17、19との間には、それぞれが転動体である玉20、20を複数個ずつ、それぞれ保持器21、21により保持した状態で転動自在に設けている。この構成により、背面組み合わせである複列アンギュラ型の玉軸受を構成し、上記外輪6の内側に上記ハブ8を、回転自在に、且つ、ラジアル荷重及びスラスト荷重を支承自在に支持している。尚、上記外輪6の両端部内周面と、上記ハブ本体13の中間部外周面及び上記内輪14の内端部外周面との間には、それぞれシールリング22a、22bを設けて、上記各玉20、20を設けた内部空間と外部とを遮断している。更に、図示の例は、駆動輪(FR車及びRR車の後輪、FF車の前輪、4WD車の全輪)用の車輪支持用転がり軸受ユニット5である為、上記ハブ本体13の中心部に、スプライン孔23を形成している。そして、このスプライン孔23に、等速ジョイント24のスプライン軸25を挿入している。
【0007】
上述の様な車輪支持用転がり軸受ユニット5の使用時には、図8に示す様に、外輪6をナックル3に固定すると共に、ハブ本体13の回転側フランジ15に、図示しないタイヤを組み合わせたホイール1及びロータ2を固定する。又、このうちのロータ2と、上記ナックル3に固定した、図示しないサポート及びキャリパとを組み合わせて、制動用のディスクブレーキを構成する。制動時には、上記ロータ2を挟んで設けた1対のパッドをこのロータ2の制動用摩擦面である両側面に押し付ける。尚、本明細書中で制動用摩擦面とは、制動用回転体がロータである場合には、このロータの軸方向両側面を言い、制動用回転体がドラムである場合には、このドラムの内周面を言う。
【0008】
又、上述の様な車輪支持用転がり軸受ユニット5のハブ8を構成するハブ本体13の要部を焼き入れ硬化する事が、例えば特許文献1、2に記載される等により、従来から知られている。これら各特許文献1、2に記載された車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ハブ本体の回転側フランジの内側面基部乃至小径段部に掛けての部分を焼き入れ硬化している。そして、走行時に加わるモーメント荷重に対する、上記回転フランジの強度を向上させると共に、上記ハブ本体の外周面各部の耐摩耗性及び転がり疲れ寿命の向上を図っている。
【0009】
一方、自動車の制動時にしばしば、ジャダーと呼ばれる、不快な騒音を伴う振動が発生する事が知られている。この様な振動の原因としては、ロータ2の側面とパッドのライニングとの摩擦状態の不均一等、各種の原因が知られているが、上記ロータ2の振れも、大きな原因となる事が知られている。即ち、このロータ2の側面はこのロータ2の回転中心に対して、本来直角となるべきものであるが、不可避な製造誤差等により、完全に直角にする事は難しい。この結果、自動車の走行時に上記ロータ2の側面は、多少とは言え、回転軸方向(図8の左右方向)に振れる事が避けられない。この様な振れ(図8の左右方向への変位量)が大きくなると、制動の為に1対のパッドのライニングを上記ロータ2の両側面に押し付けた場合に、上記ジャダーが発生する。又、上記回転側フランジ15の側面にドラムブレーキを構成するドラムを固定した場合に、このドラムの内周面がドラムの回転中心に対して完全に平行でなければ、シューをこの内周面に押し付けた場合に、やはりジャダーの如き振動が発生する。
【0010】
この様な原因で発生するジャダーを抑える為には、上記ロータ2の側面の軸方向の振れ(アキシアル振れ)、又はドラムの内周面の径方向の振れを抑える(小さくする)事が重要となる。そして、この振れを抑える為には、上記ハブ本体13の回転中心に対する回転側フランジ15の取付面26(上記ロータ2を取り付ける面)の直角度を向上させる事が重要となる。この為に従来から、特許文献3、4等に記載されている様に、車輪支持用転がり軸受ユニットの構成各部材を組み立てた後、回転側フランジの取付面を加工する事により、この取付面の直角度を向上させる技術が知られている。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−21858号公報
【特許文献2】
特開2002−87008号公報
【特許文献3】
米国特許第6,071,180号明細書
【特許文献4】
米国特許第6,364,426号明細書
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献3、4等に記載されている様な技術により上記取付面26の直角度を向上させれば、上記ジャダーの発生を相当程度低減できると考えられる。但し、上記特許文献3、4等に記載されている様な技術により上記取付面26の直角度を向上させても、この取付面26にホイール1及びロータ2を支持固定するのに伴ってこの取付面26が歪んだ場合には、このロータ2の側面が軸方向に振れるのを必ずしも十分に抑えられず、上記ジャダーの発生防止の効果が損なわれる。
【0013】
上記ホイール1及びロータ2を上記取付面26に支持固定するのに伴ってこの取付面26が歪むのを防止する為には、この取付面26を備えた回転側フランジ15の硬度を高くする事が考えられる。この回転側フランジ15の一部(内側面基端部)を焼き入れ硬化する技術は、特許文献1、2にも記載されているが、これら各特許文献1、2に記載された従来技術は、上記回転側フランジ15の内側面基端部を焼き入れ硬化するに留まり、上記ホイール1及びロータ2を上記取付面26に支持固定する際に応力が加わる部分の変形防止を考慮したものではない。
【0014】
一方、単に上記ホイール1及びロータ2を上記取付面26に支持固定する際に応力が加わる部分の変形防止を図る為、この取付面26を焼き入れ硬化すると、上記回転側フランジ15の靱性を確保する事が難しくなる。この理由は、上記取付面26を焼き入れ硬化すると、この取付面26部分に形成された焼き入れ硬化層と、シールリング22aとの摺動に伴う摩耗防止、或は曲げモーメントに対する疲労強度向上を目的として上記回転側フランジ15の内側面基端部に形成した焼き入れ硬化層とが、近接乃至は連続する為である。周知の様に、焼き入れ硬化層は、焼き入れしていない(生の)部分に比べて靱性が低く、亀裂損傷が発生し易い。従って、上記回転側フランジ15の内外両側面に焼き入れ硬化層を形成する事は好ましくない。
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、前述した従来から知られている車輪支持用転がり軸受ユニットと同様に、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪と、内周面に複列の外輪軌道を有し、この内輪の周囲にこの内輪と同心に配置された外輪と、上記各内輪軌道と上記各外輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備える。
そして、上記内輪と上記外輪とのうちで使用時に回転する回転側軌道輪の外周面に形成したフランジの側面に、制動用回転体とホイールとをねじ杆部材により結合固定された状態で使用される。
特に、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットに於いては、上記フランジのうちで上記ねじ杆部材の周囲に位置し、このねじ杆部材の緊締に伴って上記ホイールの一部により押圧される部分とこのねじ杆部材の軸方向に関して重畳する部分のうち、このねじ杆部材の全周を囲む位置に、焼き入れ硬化層を形成している。
【0016】
【作用】
上述の様に構成する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ねじ杆部材の緊締に伴ってホイールの一部により押圧される部分とこのねじ杆部材の軸方向に関して重畳する部分のうち、このねじ杆部材の全周を囲む位置に形成された焼き入れ硬化層の存在に基づき、上記ねじ杆部材の緊締に伴って回転側フランジが歪みにくくなる。この為、この回転側フランジに支持固定した制動用回転体の被制動面に振れが発生しにくくなり、制動時に於けるジャダーの発生防止を有効に図れる。
又、上記焼き入れ硬化層を上記回転側フランジの内側面側に形成する為、この回転側フランジの靱性を確保して、この回転側フランジを含む回転側軌道輪に、亀裂損傷を発生しにくいままにできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜2は、本発明に関する参考例の第1例を示している。ハブ本体13の外周面外端寄り部分に設けた回転側フランジ15の一部に複数(乗用車用の場合、一般的には4〜6個所)の取付孔16を、円周方向に関して等間隔に形成している。そして、これら各取付孔16に、ねじ杆部材である各スタッド9の中間部基端寄り部分を嵌合固定している。これら各スタッド9には、基端部に外向フランジ状の鍔部27を、中間部基端寄り部分にセレーション部28を、中間部乃至先端部に雄ねじ部29を、それぞれ形成している。この様な各スタッド9は、上記各取付孔16に上記回転側フランジ15の内側から外側に向け、上記雄ねじ部29を先にして挿通し、上記セレーション部28を上記取付孔16に圧入すると共に上記鍔部27を上記回転側フランジ15の内側面に当接させた状態で、この回転側フランジ15に、回転を阻止した状態で固定している。
【0018】
本参考例の場合、上記回転側フランジ15の内面の内径寄り部分に焼き入れ硬化層30を、高周波焼き入れ処理により、全周に亙って形成している。この焼き入れ硬化層30の外径D30は、前述の特許文献1、2に記載された構造に於ける焼き入れ硬化層の外径よりも十分に大きくしている。そして、後述する様な、ナット10の緊締に伴って上記回転側フランジ15に加わる荷重を、上記焼き入れ硬化層30により支承できる様にしている。この為に本参考例の場合には、上記外径D30を、ホイール1に形成した各円すい状凹面35の内接円の直径R35よりも大きく(D30>R35)している。更に本参考例の場合には、上記外径D30を、上記鍔部27を収納する為に上記回転側フランジ15の内側面複数個所に、上記各取付孔16と同心に形成した座ぐり部31の内接円の直径R31よりも大きく(D30>R31)している。尚、上記焼き入れ硬化層30の厚さ(内側面からの深さ)は、上記回転側フランジ15の靱性を確保しつつこの回転側フランジ15の変形を防止する面から規制するが、一般的な乗用車用の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合で、1〜4mm程度とする。
【0019】
上記焼き入れ硬化層30は、上記回転側フランジ15の内側面基部乃至小径段部に掛けての部分と同時に焼き入れ硬化する。即ち、本参考例の場合も、シールリング22aのシールリップの先端縁が摺接する上記内側面基部、第一の内輪軌道17部分、小径段部18(図8参照)を、摩耗防止、或は転がり疲れ寿命確保の面から焼き入れ硬化する。上記焼き入れ硬化層30を形成する為の熱処理(焼き入れ、焼き戻し処理)は、これら各部と同時に行なう。本参考例の場合、上記焼き入れ硬化層30は、円周方向に関して対称な形状にしている為、焼き入れの為の熱処理は、加熱コイルを固定したまま、前記ハブ本体13をその中心軸を中心として回転させる事により、容易に行なえる。しかも、上記加熱コイルと、焼き入れすべき上記ハブ本体13の表面との距離の不均一に基づく焼きむらの発生を防止できて、良質の焼き入れ硬化層30を得られる。
【0020】
又、前述の様にして上記回転側フランジ15に固定した上記各スタッド9により、この回転側フランジ15に、ホイール1とロータ2とを結合固定している。このうちのロータ2は、上記ハブ本体13の外周面で上記回転側フランジ15の外側に隣接する部分に形成した円筒面部32に外嵌して径方向に関する位置決めを図っている。そして、この状態で、上記ロータ2に形成した通孔33に、上記各スタッド9を挿通している。
【0021】
又、上記ホイール1は、鋼板にプレス加工を施す事により、或は軽合金を鋳造する事により、或は軽合金に鍛造加工を施す事により造られたもので、上記各スタッド9に整合する部分に、それぞれ通孔34を形成している。上記ホイール1の内側面でこれら各通孔34の周囲部分は、上記鋼板を曲げ形成する事により、或は軽合金の一部に肉盗みの如き凹部を形成する事により、摺鉢状の円すい状凹面35を形成している。これら各円すい状凹面35は、上記ホイール1を上記回転側フランジ15に取り付ける際に、上記各通孔34に上記各スタッド9を挿通する作業の容易化を図る案内の為と、これら各スタッド9に螺合し更に緊締したナット10の緩み止めを図るべく、ばね作用を持たせる為とに設けている。
【0022】
上述の様なホイール1を上記回転側フランジ15に結合固定するには、上記各スタッド9の先半部を上記各通孔34に挿通し、これら各スタッド9の雄ねじ部29に螺合したナット10を緊締する。このナット10の緊締の結果、上記ホイール1の内面で上記各円すい状凹面35の周縁部分が上記ロータ2の内径寄り部分の外側面に当接し、図1に矢印α、αで示す様に、当該部分を軸方向内方に向け強く押圧する。図2の鎖線γは、この矢印α、αで示す様に、上記各円すい状凹面35の周縁部分が上記回転側フランジ15の外側面を押圧する(範囲のうちの内周縁)部分を表している。これに対して、前記鍔部27が上記回転側フランジ15の一部を、図1に矢印βで示す様に、軸方向外方に向け強く押圧する。尚、上記鍔部27が上記回転側フランジ15の一部を押圧する位置は前記取付孔16の周囲部分であるが、上記矢印βは、上記鍔部17に基づく力が作用する中心に記載している。
【0023】
この様な矢印α、βで示した、逆方向に作用する力により、上記回転側フランジ15の一部で上記各取付孔16の周囲部分に、この周囲部分を折り曲げる方向の力が作用する。この力により上記回転側フランジ15の上記各取付孔16の周囲部分が変形すると、この回転側フランジ15に結合固定した前記ロータ2の両側面が前記ハブ本体13の回転に伴って軸方向に振れ、前述した様なジャダーが発生する。これに対して本参考例の場合には、上記各円すい状凹面35の周縁部分から上記矢印α、αで示す方向に作用する力の一部が、前記焼き入れ硬化層30部分で支承される。この焼き入れ硬化層30を形成した部分は、硬度が高く、外力により変形しにくい為、上記矢印α、αで示す方向に作用する力のうちの多くの部分が、上記焼き入れ硬化層30部分で支承される事になる。即ち、本参考 の場合には、上記矢印α、α方向に力が作用する部分と、前記各スタッド9の軸方向に関して重畳する部分の一部(回転側フランジ15の内径寄り部分)に、上記焼き入れ硬化層30を形成している。
【0024】
この様に構成している為、上記矢印α、α方向に作用する力のうち、上記焼き入れ硬化層30に向いた一部を除く残部は、焼き入れ硬化層を形成していない(生のままの)、比較的軟らかい部分に作用する。この軟らかい部分にのみ力が作用した場合には、この軟らかい部分が変形し、上記ジャダーの発生に結び付くが、本参考例の場合には、この軟らかい部分だけでなく、上記焼き入れ硬化層30部分にも同時に力が加わる。そして、この焼き入れ硬化層30部分が上記力に対して突っ張る事で上記軟らかい部分に作用する力を軽減し、この軟らかい部分が変形する事を防止する。この結果、上記回転側フランジ15のうちで、上記各取付孔16の周囲部分の変形が抑えられて、上記ジャダーの発生を防止できる。
【0025】
又、上記焼き入れ硬化層30は、摩耗防止及び曲げ剛性確保の為に上記回転側フランジ15の内側面基部に設けた焼き入れ硬化層と同じ側に設けている。従って、この回転側フランジ15に、焼き入れ硬化していない(生の)部分を十分に残せる。この結果、この回転側フランジ15の靱性を十分に確保し、前記ハブ本体13に衝撃荷重が加わった場合にも、この回転側フランジ15に割れ等の損傷が発生する事を有効に防止できる。又、ハブ本体13を焼き入れ硬化する際には、熱処理に伴う変形を生じる事が避けられない。この熱処理変形により、上記回転側フランジ15の外側面である取付面26が歪むと、上記ジャダーの原因となる。これに対して本参考例の場合には、この取付面26を焼き入れ硬化していない(取付面26は比較的軟らかいままである)為、上記焼き入れ硬化層30を形成する作業を含め、上記ハブ本体13に熱処理を施した後、上記取付面26に、旋盤等による仕上加工を容易に施せる。この為、上記ハブ本体13の回転に伴う上記取付面26のアキシアル振れを僅少に抑えた(振れ精度の良好な)車輪支持用転がり軸受ユニットを、低コストで得られる。
【0026】
次に、図3〜4は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合には、焼き入れ硬化層30aを、ねじ杆部材であるスタッド9の全周を囲む位置に形成している。この為に本例の場合には、鎖線γで示した、各円すい状凹面35の周縁部分が回転側フランジ15の外側面を押圧する(範囲のうちの内周縁)部分を、全周に亙ってバックアップできる。
【0027】
この様な本例の場合には、上記焼き入れ硬化層30aを形成する作業が面倒になるが、上記回転側フランジ15の変形を抑えて制動時にジャダーが発生するのを防止する効果は、上述した参考例の第1例の場合よりも良好になる。その他の部分の構成及び作用は、上述した参考例の第1例の場合と同様であるから、同様部分に関する図示並びに説明は省略する。
【0028】
次に、図5〜6は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、ハブ本体13の外周面に形成した回転側フランジ15の一部に複数(乗用車用の場合、一般的には4〜6個所)のねじ孔36を、円周方向に関して等間隔に形成している。そして、これら各ねじ孔36に、それぞれがねじ杆部材である各ボルト37の先端部に形成した雄ねじ部38を螺合し更に緊締している。
【0029】
この様な本例の場合には、上記回転側フランジ15の内側面に、全面に亙って焼き入れ硬化層30bを形成している。この様に広い範囲に亙って焼き入れ硬化層30bを形成する理由は、本例の構造の場合には、前述の図1〜2に示した様に、ねじ杆部材がスタッド9である場合に比較して、上記各ボルト37の緊締に伴って上記回転側フランジ15に大きな曲げ応力が加わる為である。この点に就いて、以下に説明する。
【0030】
上記回転側フランジ15を変形させようとする曲げ応力は、上記各ボルト37の雄ねじ部38と上記各ねじ孔36との螺合部に図6の矢印β方向に加わる力と、ホイール1の内側面に形成した円すい状凹面35の周縁部からロータ2を介して図6の矢印α、α方向に加わる力とに基づくモーメントとして発生する。そして上記曲げ応力の大きさは、上記両方向の力の作用点同士の間の距離に比例して大きくなる。前述の図1〜2に示した構造の場合、上記作用点間の距離L0 は、鍔部27と円すい状凹面35の周縁との間の径方向距離であるのに対して、本例の場合、上記作用点間の距離L1 は、上記螺合部と円すい状凹面35の内周縁との間の径方向距離になる。図1の距離L0 と図6の距離L1 とを比較すれば明らかな通り、本例の場合には、この作用点間の距離L1 が大きく(L1 >L0 )、上記回転側フランジ15を変形させようとする曲げ応力が大きくなる。そこで、上述の様に、広い範囲に亙って焼き入れ硬化層30bを形成して、上記回転側フランジ15の変形防止を図っている。
【0031】
尚、本例の様に広い範囲に亙って上記焼き入れ硬化層30bを形成する場合、この焼き入れ硬化層30bの硬度を高くし過ぎ、その結果上記各ねじ孔36部分の追従性が悪化すると、このねじ孔36と上記各ボルト37の雄ねじ部38との馴染み性が悪化する。そして、これら各ボルト37の雄ねじ部38或は上記各ねじ孔36の一部に過大な応力が発生し、当該部分の耐久性が損なわれる可能性がある。そこで本例の場合には、上記焼き入れ硬化層30bの硬度をHv400〜500程度に抑える。但し、その場合でも、この焼き入れ硬化層30bの内径側に連続し、シールリング22aのシールリップ(図8参照)の先端縁と摺接する、上記回転側フランジ15の内側面基端部の硬度は、Hv560〜800程度とする。この理由は、この回転側フランジ15の曲げ強度、並びに、当該部分の耐摩耗性を確保する為である。尚、この様に各部の硬度を異ならせるには、上記回転側フランジ15の内側面を、その基端部を含めて焼き入れした後、上記焼き入れ硬化層30b部分に施す焼き戻し処理(テンパー処理)の温度を、上記内径側に連続する部分に施す焼き戻し処理の温度よりも高くする。
【0032】
次に、図7は、本発明に関する参考例の第2例を示している。本参考例の場合には、上述した実施の形態の第2例の場合と同様に、回転側フランジ15の一部に形成した複数のねじ孔36に、それぞれがねじ杆部材である各ボルト37の先端部に形成した雄ねじ部38を螺合し更に緊締している。但し、本参考例の場合には、前述した参考例の第1例の場合と同様に焼き入れ硬化層30cを、上記回転側フランジ15の径方向に関して、上記各ボルト37の中心よりも内径側部分にのみ形成している。
【0033】
この様な本参考例の場合には、上記ボルト37の緊締に伴って上記回転側フランジ15が変形するのを防止する効果は、上述した実施の形態の第2例の場合に比べて若干劣るが、上記焼き入れ硬化層30cの加工作業が容易になる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第2例、或は前述した参考例の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
【0034】
尚、図示の例は何れも、駆動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットで、懸架装置に対し支持固定された外輪の内径側で、内輪であるハブが回転する構造に本発明を適用した場合に就いて示した。但し、本発明は、駆動輪用に限らず、従動輪(FR車及びRR車の前輪、FF車の後輪)用の車輪支持用転がり軸受ユニットにも適用できる。そして、従動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットのうちで、内輪回転型は勿論、懸架装置に支持された状態で回転しない内輪の周囲に、外輪であるハブを回転自在に支持する、外輪回転型の車輪支持用転がり軸受ユニットに本発明を適用する事もできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、以上に述べた通り構成され作用するので、車輪をハブの外周面に設けたフランジに固定するのに伴って、このフランジが変形する事を有効に防止できる。そして、このフランジに支持固定した制動用回転体の振れを防止して、制動時に発生する不快な騒音や振動を十分に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関する参考例の第1例を示す、図8のA部に相当する断面図。
【図2】 回転側フランジ及びスタッドを取り出して図1の右方から見た図。
【図3】 本発明の実施の形態の第1例を示す、図8のA部に相当する断面図。
【図4】 回転側フランジのみを取り出して図3の右方から見た図。
【図5】 本発明の実施の形態の第2例を、懸架装置への組み付け状態で示す断面図。
【図6】 図5のB部拡大図。
【図7】 本発明に関する参考例の第2例を示す、図6と同様の図。
【図8】 本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットの組み付け状態の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1 ホイール
2 ロータ
3 ナックル
4 支持孔
5 車輪支持用転がり軸受ユニット
6 外輪
7 ボルト
8 ハブ
9 スタッド
10 ナット
11a、11b 外輪軌道
12 固定側フランジ
13 ハブ本体
14 内輪
15 回転側フランジ
16 取付孔
17 第一の内輪軌道
18 小径段部
19 第二の内輪軌道
20 玉
21 保持器
22a、22b シールリング
23 スプライン孔
24 等速ジョイント
25 スプライン軸
26 取付面
27 鍔部
28 セレーション部
29 雄ねじ部
30、30a、30b、30c 焼き入れ硬化層
31 座ぐり部
32 円筒面部
33 通孔
34 通孔
35 円すい状凹面
36 ねじ孔
37 ボルト
38 雄ねじ部

Claims (3)

  1. 外周面に複列の内輪軌道(17、19)を有する内輪(13、14)と、内周面に複列の外輪軌道(11a、11b)を有し、この内輪(13、14)の周囲にこの内輪(13、14)と同心に配置された外輪(6)と、上記各内輪軌道(17、19)と上記各外輪軌道(11a、11b)との間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体(20、20)とを備え、上記内輪(13、14)と上記外輪(6)とのうちで使用時に回転する回転側軌道輪の外周面に形成したフランジ(15)の側面に、制動用回転体(2)とホイール(1)とをねじ杆部材(9、37)により結合固定された状態で使用される車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、上記フランジ(15)のうちで上記ねじ杆部材(9、37)の周囲に位置し、このねじ杆部材(9、37)の緊締に伴って上記ホイール(1)の一部により押圧される部分とこのねじ杆部材(9、37)の軸方向に関して重畳する部分のうち、このねじ杆部材(9、37)の全周を囲む位置に焼き入れ硬化層(30a、30b)を形成した事を特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
  2. ねじ杆部材が、その基端部をフランジに形成した取付孔に圧入固定された状態で、その中間部乃至先端部をこのフランジの外側面から突出させてホイールの通孔に挿通したスタッドであり、このスタッドの先端部でこのホイールの外側面から突出させた部分に螺合したナットを緊締する事により、このホイールの内側面の一部で上記通孔の周囲部分が上記フランジの外側面の一部に押圧されるものであり、このフランジの内側面の一部で上記通孔の周囲部分により押圧される部分と反対側部分に焼き入れ硬化層が形成されている、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
  3. ねじ杆部材がボルトであり、このボルトをホイールに形成した通孔に挿通し、その先端部をフランジに形成したねじ孔に螺合し更に緊締する事により、上記ホイールの内側面の一部で上記通孔の周囲部分が上記フランジの外側面の一部に押圧されるものであり、このフランジの内側面の一部で上記通孔の周囲部分により押圧される部分と反対側部分に焼き入れ硬化層が形成されている、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
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