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JP4028032B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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JP4028032B2
JP4028032B2 JP21581297A JP21581297A JP4028032B2 JP 4028032 B2 JP4028032 B2 JP 4028032B2 JP 21581297 A JP21581297 A JP 21581297A JP 21581297 A JP21581297 A JP 21581297A JP 4028032 B2 JP4028032 B2 JP 4028032B2
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隆弘 芳村
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日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関し、例えば、層間絶縁膜にハイドロジェンシルセスキオキサン(hydrogen silsesquioxane : 以下、「HSQ」と称する。)からなる無機SOG(spin on glass)を用いた半導体装置及びその製造方法に適用して特に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの微細化により層間絶縁膜工程は益々複雑且つ高コスト化の道を辿っている。これは、従来の平行平板型のプラズマCVD(化学的気相成長)装置による絶縁膜では充分な段差被覆性を得られなかったり、SOGの埋め込み特性が充分でなかったりすることが原因である。
【0003】
この問題を解消するために、フッ素添加のプラズマTEOS(tetraethoxysilane)膜を導入したり、高密度型のプラズマCVD装置を導入したりといった高コストな技術変更が必要となってきている。
【0004】
また、平坦化技術の1つであるSOGエッチバック法では、特に有機SOGのカーボンによるポイズンドビア(ビア抵抗が増大する現象)を避けるために、SOGの層をビアコンタクトの側壁に残さぬようメタル配線上のSOGは総てエッチオフしてしまわなければならない。このため、充分な平坦性が得られなくなり、近年のリソグラフィーの短波長化に伴う焦点深度の縮小化についていけないという問題が有った。
【0005】
技術的側面だけで言えば、これらの問題は、高密度プラズマCVD装置やCMP(化学的機械研磨)法等の技術を使えば乗り越えることができる。しかし、そのためには、コストが非常に嵩むという問題が有った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、LSI等の層間絶縁膜に、ハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)という無機SOGを用いることが検討されている。このHSQは、図1に示すように、梯子型(ラダー)構造を持つ無機SOGで、有機成分を含まないことからカーボンポイズニングに強く、エッチバックを必要としないSOGと言われている。
【0007】
また、ラダー構造は、グラファイト構造との類似性から、耐熱性、剛性等の向上が期待されている構造で、HSQのようなシリコンのラダー構造はSi−O−Siの結合距離及び結合角が共にカーボン系より大きいために、比較的容易に形成される。
【0008】
更に、HSQは、熱処理によりリフローするため、従来のSOGには無かった優れた埋め込み特性と平坦性を持つ。
【0009】
しかし、このHSQを実際のデバイスに適用するに当たり、従来、その熱処理によるクラック耐性や吸湿性等の複数の特性変化を総括的に制御する方法が無かったために、最適な熱処理条件を設定することができなかった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、例えば、LSI等の層間絶縁膜にHSQを用いた時に、そのクラック耐性や吸湿性等の特性を簡便且つ好適に制御することができる半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の半導体装置の製造方法では、半導体基板上に形成したハイドロジェンシルセスキオキサンを有する絶縁層を熱処理するに際し、熱処理後の前記絶縁層の赤外吸収スペクトルの波数2250cm-1近傍のSi−Hによるピーク値aと波数1070cm-1近傍のSi−Oによるピーク値bとの比r=a/bを制御変数として用い、前記rが0.20〜0.39の範囲となるように、前記熱処理時の温度及び雰囲気を制御する。
【0012】
この時、赤外吸収スペクトルは、例えば、フーリエ変換赤外分光法で測定する。また、熱処理は、例えば、酸素濃度が20ppm以下の雰囲気中で且つ425℃以下の温度で行う。
【0013】
また、本発明の半導体装置は、半導体基板上に、ハイドロジェンシルセスキオキサンを有する絶縁層が形成された半導体装置であって、前記絶縁層の赤外吸収スペクトルの波数2250cm-1近傍のSi−Hによるピーク値aと波数1070cm-1近傍のSi−Oによるピーク値bとの比r=a/bが0.20〜0.39の範囲である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する前に、ハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)の各特性について考察する。
【0015】
従来のSOGは基本的にリフロー効果を持たないために、塗布した直後の形状がSOGによる埋め込み特性そのものになる場合が殆どである。しかし、HSQは、従来のSOGと異なる梯子型(ラダー)構造であるため、リフロー作用を示す。
【0016】
図2(a)に、ベーク(焼成)温度によるHSQのフローイング効果を、メタル配線間のスペースを変化させた時のアスペクト比に対するHSQの平坦化率(埋め込み特性)で表した結果を示す。この時、SOGコーターは、多段式ホットプレートオーブンを備えたものを用い、3つのホットプレートの温度設定を、100℃、180℃、可変というように最後の高温プレートの温度のみを変化させた。
【0017】
また、メタル配線は、図2(b)に示すように、約3000ÅのTiWと約4600ÅのAlからなるメタルパターン101を用い、その上に、プラズマTEOS膜102を約2000Åの厚さに成膜した後、HSQ103を約4000Åの厚さに塗布形成した。
【0018】
また、平坦化率(埋め込み特性)は、図2(b)中に示したhとdから、(h−d)/h〔%〕と定義され、SEMによる断面観察像から求めた。
【0019】
図2(a)から分かるように、ベークしない場合には、アスペクト比の高い最も狭いパターンでも約70%強の平坦化率しか示さないが、最終ホットプレートのベーク温度の上昇に伴って平坦化率は向上する。そして、ベーク温度を350℃まで上げると、最狭部での平坦化率は、約87.5%にまで達し、良好な平坦化率(埋め込み特性)を示す。
【0020】
図3に、HSQのベーク温度〔℃〕とストレス〔MPa〕及び屈折率の関係を示す。
【0021】
ストレスはベーク温度の上昇とともに引っ張り応力側へシフトするが、350℃までベーク温度が上がっても100MPaまでは達しない。おおよそ350℃のベークで50MPaほどの引っ張り応力で安定するものと予想される。この結果から、HSQも従来のSOG同様引っ張り応力であるため、クラックに対しては充分な注意が必要であることが分かる。
【0022】
屈折率は、250℃でベークすると、しない場合より高くなるが、その後、ベーク温度の上昇とともに低くなって行く。
【0023】
図4に、HSQを同一回転数(約1600rpm)で塗布した時の膜厚〔Å〕及びその面内均一性〔%〕とベーク温度〔℃〕との関係を示す。なお、膜厚は屈折率から求めた。
【0024】
膜厚は、250℃でベークすることで一旦減少するが、その後はベーク温度の上昇とともに増加し、350℃のベークでは、ベークしない場合より厚くなる。
【0025】
膜厚の面内均一性は、ベークしない場合とベークした場合で大きく異なり、ベークすることでかなり改善される。これは、HSQの特徴であるフローイング効果が関係しているものと判断される。
【0026】
次に、図5〜図8を参照して、本発明の特徴の1つであるHSQの赤外吸収特性について説明する。
【0027】
図5に、各温度で熱処理したHSQのフーリエ変換赤外分光法(FTIR)による赤外吸収スペクトルを示す。図中、横軸が波数〔cm-1〕、縦軸が吸光度である。なお、吸光度は、各処理温度毎に相対値で示し、各処理温度でのデータを、比較し易いように並列的に示した。
【0028】
図5から分かるように、HSQはラダー構造であるため、通常の網目構造のシリコン酸化膜に特有の1070cm-1近傍のSi−O(以下、「Si−O(n)」と称する。)の非対称伸縮運動ピークだけでなく、1130cm-1近傍にもラダー構造に基づくSi−O(以下、「Si−O(l)」と称する。)の非対称伸縮運動ピークが有り、ダブルピークを形成している。水素は、図1に示した構造からも分かる通り、HSQ中でSi−Hとして存在するため、2250cm-1近傍にSi−Hの伸縮運動ピークが観察される。また、830cm-1近傍と870cm-1近傍にも通常のシリコン酸化膜とは異なる強いピークが観察されるが、これら2つのピークはSi−Hの変角運動のピークで、特に、830cm-1近傍のピークはレジン構造の場合に観察される。その他、シルセスキオキサンの骨格変形によるピークが565cm-1近傍と400cm-1近傍に夫々観察される。
【0029】
図5から分かるように、Si−Oの非対称伸縮のダブルピークは熱処理温度により変化する。塗布のみでベークをしない場合、1130cm-1近傍のラダー構造に基づくSi−O(l)のピークが、網目構造に基づく1070cm-1近傍のSi−O(n)のピークよりも強い。しかし、ベーク温度を上げると、1070cm-1近傍のSi−O(n)のピークが増大し、一方、1130cm-1近傍のSi−O(l)のピークは小さくなっていく。
【0030】
図6に、このSi−Oのダブルピークの夫々のピーク高を単位膜厚(1μm)で補正した値〔μm-1〕とベーク温度〔℃〕との関係を示す。
【0031】
これら2つのピーク強度の関係は、この構造のレジン度合いを示していると考えられる。即ち、図6から、HSQは、熱処理により本来のシルセスキオキサンから通常のシロキサンへと変化し、レジン構造が失われていくことが分かる。
【0032】
図7に、2250cm-1近傍のSi−Hのピーク高を単位膜厚(1μm)で補正した値〔μm-1〕とベーク温度〔℃〕との関係を示す。
【0033】
この図7から分かるように、Si−Hのピーク高もベーク温度の上昇に伴い減少する。また、このSi−Hのピーク高、及び、図6に示した2つのSi−Oのピーク高は、いずれも、250℃以上のベーク温度で大きく変化している。
【0034】
図8に、2250cm-1近傍のSi−Hのピーク高と1130cm-1近傍のラダー構造に基づくSi−O(l)のピーク高を、夫々、1070cm-1近傍の網目構造のSi−O(n)のピーク高で規格化し、それらの値を総てのベーク温度でプロットした結果を示す。
【0035】
この図8から、Si−H/Si−O(n)比とSi−O(l)/Si−O(n)比とは互いに直線状の比例関係にあり、ほぼ1対1に対応することが分かる。即ち、ベークによるHSQ内のSi−Hの解離は、ラダーから網目への構造変化に強く関係していることが分かる。
【0036】
そこで、本発明においては、HSQのラダー構造から網目構造への構造変化の度合いを示す指標として、このSi−H/Si−O(n)比を用いる。即ち、構造変化の度合いを示す指標としては、Si−O(l)/Si−O(n)比を用いるのがより直接的であるが、図5から分かるように、熱処理温度が上がって構造変化が進むと、Si−O(l)のピークがSi−O(n)のピークの肩に隠れてしまうので、このSi−O(l)/Si−O(n)比と1対1の対応がとれているSi−H/Si−O(n)比を用いるのがより実用的で簡便なのである。
【0037】
図9は、既に技術情報として公表されている、大気中でベークした場合と窒素中でベークした場合のHSQの粘性変化の温度依存性を示すデータである。図中、横軸はベーク温度〔℃〕、縦軸は粘性係数〔P〕である。
【0038】
この図9から分かるように、粘性は或る温度で極小値をとり、その極小となる温度は熱処理雰囲気で異なる。大気中ベークで粘性の極小値が大きく、極小値をとる温度が低いのは、大気中の酸素がHSQの構造変化を促進しているためである。
【0039】
このHSQの粘性変化がフローイング性と密接な関係が有るとすると、HSQを塗布後のベークで充分にフローイングさせるためには、酸素を含まない状態でベークし、且つ、最終ホットプレートでのベーク温度を少なくとも310℃付近まで上げれば良い。そうすれば、HSQの粘性係数が最も低くなるため、最良のフローイングが得られることになる。なお、多段式ベークオーブンの場合には、ホットプレートからホットプレートまでの移動の際、必然的に大気と接触するため、充分なフローイングが得られない可能性が有る。しかし、図9から分かるように、大気中でベークした場合、その粘性変化は、230℃位までは窒素雰囲気中でのベークと大差無い。そこで、最終ホットプレートに入る1つ手前のホットプレートの温度を230℃以下に設定しておけば、酸素による影響を殆ど受けること無く充分なフローイングが得られることになる。
【0040】
図10に、HSQを約350℃でベークした後、更に、減圧下の窒素雰囲気中と酸素を導入しない常圧下の窒素雰囲気中で約400℃で熱処理した時の赤外吸光特性を夫々示す。なお、比較のため、約350℃でベークしただけのものも示す。図中、横軸が波数〔cm-1〕、縦軸が吸光度である。吸光度は、各データ毎に相対値で示し、各データを、比較し易いように並列的に示した。
【0041】
この図10の各データからSi−H/Si−O(n)比を求めると、約350℃でベークしただけのものが約0.511、減圧下で約400℃で熱処理したものが約0.400、常圧下で約400℃で熱処理したものが約0.236であった。即ち、減圧下では、実質的に炉内に酸素が存在しないため、ラダーから網目への構造変化は小さい。これに対し、常圧下では、酸素導入無しとはいえ、昇温時にまだ1ppm程度の酸素が炉内に存在するため、全くの無酸素状態ではない。その結果、ラダーから網目への構造変化が大きくなる。
【0042】
図11に、酸素濃度に対する2250cm-1近傍のSi−Hの伸縮運動のピークの吸光度を、約350℃でのベーク後の各熱処理温度毎にプロットした結果を示す。図中、縦軸が、2250cm-1近傍のSi−Hのピーク高を単位膜厚(1μm)で補正した値〔μm-1〕、横軸が酸素濃度〔ppm〕である。
【0043】
この図11から分かるように、熱処理温度の上昇とともに2250cm-1近傍のSi−Hのピーク高は減少する。即ち、HSQ中のSi−H結合が減少する。また、炉内の酸素濃度が高くなっても2250cm-1近傍のSi−Hのピーク高は減少する。即ち、膜中の水素が解離する。
【0044】
図12に、図11の各熱処理温度のデータをSi−H/Si−O(n)比に対しプロットした結果を示す。図中、縦軸がSi−H/Si−O(n)比、横軸が酸素濃度〔ppm〕である。
【0045】
この図12から分かるように、HSQは、熱処理温度の上昇及び炉内酸素濃度の増加に従いラダー構造から網目構造へより大きく変化する。また、その構造変化は、いずれの温度においても、酸素濃度が1000ppm程度までは比較的急であるが、1000ppmを越えると緩やかになる傾向が有る。
【0046】
図13(a)に、約350℃でのベーク後の各熱処理温度での炉内酸素濃度と膜収縮率の関係を示す。図中、横軸が酸素濃度〔ppm〕、縦軸が収縮率〔%〕である。また、図13(b)に、図13(a)の炉内酸素濃度20ppmでの膜収縮率を熱処理温度でプロットした結果を示す。図中、横軸が熱処理温度〔℃〕、縦軸が収縮率〔%〕である。
【0047】
これらの図13(a)及び(b)から分かるように、膜収縮率も熱処理温度及び炉内酸素濃度の上昇に従い増加する。
【0048】
なお、この図13の実験は、常圧下での熱処理であるが、減圧下で熱処理すると、膜厚の減少ではなく、増加が観察された。一方、図13の常圧下の熱処理では、約375℃で熱処理した1枚のサンプルに僅かな膜厚の増加が観察されただけで、その他は総て膜厚が減少した。この熱処理による膜厚の増加は、図4に示したように、塗布後の350℃以下でのベーク処理によっても観察されている。これらから、HSQは、その構造がラダーから網目へ変化する初期の段階では膜厚が増加する傾向に有るが、通常の網目構造が支配的になってくると、従来のSOGと同様、熱処理により膜厚は減少するようになると判断される。
【0049】
次に、図14〜図17を参照して、本発明において制御変数として用いるHSQの赤外吸収スペクトルのSi−H/Si−O(n)比(以下、「コンバージョンファクター」と称する。)と各種膜特性との関係を説明する。なお、各図中に記載した温度は、塗布直後の約350℃でのベーク後に施した熱処理温度である。
【0050】
図14に、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)と屈折率の関係を示す。図中、横軸がコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)、縦軸が屈折率である。
【0051】
この図14から分かるように、屈折率はコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とほぼ1対1の関係を持ち、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が小さくなるほど、即ち、構造変化が進むほど屈折率は上昇し、通常のシリコン酸化膜の値である1.45に近づいていく。
【0052】
図15に、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)と膜収縮率の関係を示す。図中、横軸がコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)、縦軸が収縮率〔%〕である。
【0053】
この図15から分かるように、膜収縮率もコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とほぼ1対1の関係を持ち、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が小さくなるほど、即ち、構造変化が進むほど収縮率は大きくなる。
【0054】
図16に、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とストレスの関係を示す。図中、横軸がコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)、縦軸がストレス〔MPa〕である。
【0055】
この図16の結果では、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とストレスの間に特に相関は見られないようであるが、よく見ると、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.2以上では右下がりの関係が有り、膜の構造変化が進むほど引っ張り応力側へシフトしていく様子が見られる。コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.2を越えて小さくなると、ストレスのばらつきは徐々に大きくなっていき、そのばらつきは、本来のラインより圧縮応力側へシフトする。
【0056】
一般に、TEOS系等のポーラスな(多孔質の)CVDシリコン酸化膜は、吸湿してストレスが圧縮応力側へシフトすることが知られている。膜中に有る水分は、赤外吸収特性の波数3500cm-1付近にブロードなピークとして検出されるので、膜中の水分吸収量をH−OHの吸光度として求め、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)との関係を調べた。結果を図17に示す。
【0057】
この図17において、横軸はコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)、縦軸は、3500cm-1近傍のH−OHのピーク高を単位膜厚(1μm)で補正した値〔μm-1〕である。
【0058】
この図17から分かるように、膜中の水分は、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.2以下になると急激に上昇していく。よって、図16におけるストレスのばらつきは、このポーラスなHSQ膜中への水分吸着が原因であると予想される。
【0059】
HSQの構造が常圧の熱処理によりラダー構造から網目構造へ変化していく時、膜厚は薄くなるので、HSQも、他のSOG同様、元来非常にポーラスな膜であると推測される。一般にポーラスなシリコン酸化膜は吸湿性が高いはずであるが、このHSQは、塗布直後等の水素を多量に膜中に含有している時は、赤外吸収特性から判断して、殆ど水分を含んでいない。これは、プラズマシリコン窒化膜やシラン系シリコン酸化膜が、膜中に含まれるSi−Hが多いほど高いはっ水効果を持っているのと同じ現象ではないかと考えられる。ラダー構造から網目構造へとHSQの構造変化が進み、Si−Hが解離すると、次第にマイクロポア内へ水分が侵入し始め、吸湿が観察されるようになる。
【0060】
図17から分かるように、HSQの吸湿性を抑えるためには、Si−H/Si−O(n)比(コンバージョンファクター)が約0.2以上になるような条件で熱処理するのが好ましい。Si−H/Si−O(n)比(コンバージョンファクター)が約0.2よりも小さいと、急激に吸湿が発生するため、ビアコンタクト等のポイズニングや信頼性不良といった問題が発生する虞が生じる。
【0061】
次に、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とクラックの関係について説明する。
【0062】
下記〔表1〕に、熱処理条件(圧力、温度及び炉内酸素濃度)を種々に変更した時のコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とノッチ及びクラックの発生状況との関係を示す。
【0063】
実験に用いたサンプルは、図2(b)に示したと同様なメタルパターンを約3000ÅのTiWと約6000ÅのAlSiCuで構成し、その上に、プラズマTEOS膜を約2000Åの厚さに成膜した後、HSQを約6000Åの厚さに回転塗布して作成した。メタルパターンは、通常の回路構成を模して、素子部の細いラインパターンと周辺部の太いラインパターンを夫々形成した。但し、各パターンの高さは、実際の装置の場合より高く形成し、また、HSQも実際に使用する場合よりも厚く形成して、夫々、クラック発生の加速要因となるようにした。HSQの塗布後は、縦型常圧炉又は縦型減圧炉を用いて熱処理し、常圧炉では、熱処理温度と炉内酸素濃度を種々に変更した。この熱処理後、再びプラズマTEOS膜を約6000Åの厚さに成膜し、金属顕微鏡によりノッチ及びクラックを観察した。ノッチ観察には、米国KLA社製のチップ比較によるウェハ内の欠陥検査装置を用いた。この後、更に、約450℃でシンター(焼結)を行い、ノッチ及びクラックの変化を観察した。
【0064】
下記〔表1〕は、各熱処理条件に対するHSQのノッチ及びクラックの発生状況をコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)の大きい順に並べた結果である。
【0065】
【表1】
Figure 0004028032
【0066】
この〔表1〕から分かるように、クラックは、熱処理温度又は炉内酸素濃度に直接的に依存するのではなく、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が低くなることで発生する。即ち、HSQが、ラダー構造から網目構造へ変化するほど発生し易い。
【0067】
クラックは、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.128では殆ど発生せず、約0.102では僅かに発生することから、このコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.12以上となる条件で熱処理するのが好ましく、実用的には、約0.13以上となる条件がより好ましい。
【0068】
一方、詳細なデータは省略するが、例えば、塗布後250℃程度の低温でベークしたHSQには、セラミックを成形する際の初期段階に発生するグリーンフェーズ破壊に相当すると考えられるクラックが発生する。このグリーンフェーズ破壊に相当するクラックは、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.400では発生し、約0.384では発生しなかった。そこで、このグリーンフェーズ破壊に相当するクラックを防止するためには、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.39以下となるようにするのが好ましく、実用的には、約0.38以下となるようにするのがより好ましい。
【0069】
即ち、HSQのクラック発生に関してのみ言えば、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.12〜約0.39の範囲となるような熱処理条件が好ましく、実用的には、約0.13〜0.38の範囲となる熱処理条件がより好ましい。
【0070】
上記〔表1〕から分かるように、ノッチに関しては、膜構造との相関も有るが、熱処理温度に比較的強く依存し、熱処理温度が高いほど発生し易い。発生の少ない条件では、周辺部の太いメタルライン上にのみ発生し(表中、「太」で示す。)、素子部の細いメタルライン上では発生しなかった。しかし、発生量の多い条件では、細いメタルライン上でも発生した(表中、「細」又は「全」(全てのライン上に発生)で示す。)。なお、約450℃の焼結により、殆どの条件で周辺部の太いメタルライン上にノッチが発生したが、クラックが新たに発生することは無かった。
【0071】
この結果から、ノッチに関しては、熱処理温度を400℃程度以下とするのが好ましいことが分かる。但し、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が0.102程度以下となるように炉内酸素濃度を制御すれば、425℃程度で熱処理することも可能である。
【0072】
HSQの熱反応に関しては、幾つかの文献が有る(例えば、V. Belot, “Thermal Reactivity of Hydrogen-silsesquioxane Gels", American Chem. Soc., p127, 1991 、及び、M. D. Nyman, “T8-Hydridespherosiloxanes : Novel Precursors for SiO2 Thin Films. 1. Precursor Characterization and Preliminary CVD", American Chem. Soc., p1636, 1993)。このV. Belotらの報告からHSQの反応をまとめると、以下のようになる。
【0073】
まず、不活性ガス(Ar)下で熱処理した場合、280℃から410℃では、以下の反応によりシランが発生し、HSQの重量は減少する。
4HSiO3/2 → 3SiO2 +SiH4 ↑ …(1)
このシランが発生する反応は、H2 SiO2 の形成を介したSi−HとSi−Oの再分布反応によって発生し、幾つかのステップを介して起こる。このH2 SiO2 の形成による再分布反応の形跡は、図10に示した実験でも赤外吸収特性の930cm-1付近と980cm-1付近に観察されており、特に、減圧下で熱処理した場合に顕著であった。
【0074】
HSQの反応は、450℃以上になると、発生したシランが熱分解するため水素が発生する。
SiH4 → Si+2H2 ↑ …(2)
【0075】
これに対し、酸素が含まれている空気中で熱処理した場合、(1)で発生したシランが酸素により酸化されるため、300℃から350℃あたりではSiO2 が形成され、HSQの質量増加が観察される。
SiH4 +O2 → SiO2 +2H2 O …(3)
【0076】
更に、350℃から550℃の間では、残留しているSi−Hが酸化反応によりシラノールを形成し、最終的には縮合してSiO2 となる。
2≡Si−H+O2 → 2≡Si−OH …(4)
2≡Si−OH → ≡Si−O−Si≡+H2 O …(5)
【0077】
以上の内容から考察すると、熱による効果は、構造の再分布反応によるシルセスキオキサンからシロキサンへの変化であり、酸素による効果は、酸化反応によるシロキサンの形成であるため、本来であれば、HSQが熱により構造変化した膜と酸素によるそれとは別のものである。
【0078】
しかし、既述したように、この熱と酸素濃度の2つの要因で得られた膜を赤外吸収特性のSi−H/Si−O(n)比(コンバージョンファクター)で規格化し、代表的な膜特性との相関を調べた結果、2つの反応系の違いに関係無く、殆どの膜特性が、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)に対し1対1の関係を持つことが分かった。これは、HSQの熱処理による膜特性の変化のベースが、網目構造のシロキサンへどの程度変化したかということに最も大きく影響されるためである。
【0079】
従って、HSQを、例えば、ICの層間膜に使用するに当たり、赤外吸収特性のSi−H/Si−O(n)比(コンバージョンファクター)を熱処理条件の制御変数として簡便に用いることができる。
【0080】
次に、HSQの好適な熱処理条件の範囲について説明する。
【0081】
まず、HSQは、塗布後のベーク温度が低いと、グリーンフェーズクラックが発生するため、塗布直後のベーク温度はなるべく高く設定するのが好ましい。図9に示すように、窒素雰囲気中でHSQの粘度が最も低くなるのは310℃近辺であるので、良好なリフロー性を得るためには、ベーク温度を約310℃以上に設定するのが好ましい。
【0082】
ベーク後の熱処理条件は、HSQの赤外吸収特性のSi−H/Si−O(n)比(コンバージョンファクター)を用いて制御するのが簡便である。
【0083】
まず、吸湿性で判断すると、図17に示すように、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.2を越えて小さくなると膜の吸湿性が発生し始めるため、これを越える膜の構造変化は、吸湿によるデバイスへの影響が懸念され好ましくない。従って、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)は、約0.2以上であるのが好ましい。
【0084】
次に、クラックで判断すると、〔表1〕に関連して説明したように、グリーンフェーズクラックが、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.400では発生し、約0.384では発生しなかったことから、このグリーンフェーズクラックを防止するために、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)は、約0.39以下であるのが好ましく、実用的には、約0.38以下であるのがより好ましい。
【0085】
以上のことから、クラックレスで耐湿性の有るHSQ膜を形成するには、コンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)が約0.2〜約0.39であるような熱処理条件が好ましく、実用的には、約0.2〜約0.38であるような熱処理条件がより好ましい。
【0086】
この条件を、図12と照らし合わせると、熱処理温度を約400℃以下、炉内酸素濃度を約20ppm以下とすれば良いことが分かる。なお、例えば、熱処理温度を約375℃とすれば、炉内酸素濃度は200ppm程度まで上げることができ、一方、炉内酸素濃度を約1ppm以下に設定できれば、425℃程度での熱処理も可能である。但し、層間膜の下にアルミ系の配線が存在する場合、熱処理温度が高いとそのアルミ系の配線にノッチが発生するため、その場合には、熱処理温度を約400℃以下にする必要が有る。また、グリーンフェーズクラックを抑制するために、HSQの或る程度の構造変化は必要であり、従って、微量酸素の導入は行うのが望ましい。
【0087】
なお、以上の説明では、赤外吸収スペクトルを、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定したが、ATR法(全反射減衰分光法)等の他の方法で測定しても良い。
【0088】
次に、図18〜図23を参照して、DRAMの層間絶縁膜にHSQを用いた本発明の実施の形態を説明する。
【0089】
まず、図18(a)に示すように、図外のフィールド酸化膜により素子分離がなされたp型単結晶シリコン半導体基板1の素子形成領域の表面に、熱酸化法又はCVD法によりゲート酸化膜2を形成する。
【0090】
次に、図18(b)に示すように、CVD法により、全面に多結晶シリコン膜及びその上に酸化シリコン膜を順次形成した後、それらをワードラインの形状にパターニングして、図示の如く、多結晶シリコン膜からなるゲート電極3及びその上の酸化シリコン膜からなるキャップ絶縁膜4を夫々形成する。
【0091】
次に、図18(c)に示すように、ゲート電極3及びキャップ絶縁膜4からなるパターン並びに図外のフィールド酸化膜をイオン注入マスクとして用いて、全面にヒ素(As)等のn型不純物5を比較的低濃度にイオン注入し、ゲート電極3の両側のシリコン基板1の表面領域にn- 拡散層6を形成する。
【0092】
次に、図19(a)に示すように、全面に形成した酸化シリコン膜を異方性エッチングして、ゲート電極3及びキャップ絶縁膜4からなるパターンの側面に酸化シリコン膜からなる側壁絶縁膜7を形成する。この異方性エッチング時、図示の如く、ゲート電極3及び側壁絶縁膜7で覆われた部分以外の部分のゲート酸化膜2も除去され、その部分でシリコン基板1が露出する。
【0093】
次に、図19(b)に示すように、ゲート電極3、キャップ絶縁膜4及び側壁絶縁膜7からなるパターン並びに図外のフィールド酸化膜をイオン注入マスクとして用いて、全面にリン(P)等のn型不純物8を比較的高濃度にイオン注入し、各ゲート電極3から見てn- 拡散層6の外側にn+ 拡散層9を形成する。これにより、n- 拡散層6とn+ 拡散層9からなるソース/ドレインを備えたLDD(Lightly Doped Drain)構造のトランジスタが夫々形成される。
【0094】
次に、図19(c)に示すように、CVD法により全面に酸化シリコン膜10を形成する。
【0095】
次に、図20(a)に示すように、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、酸化シリコン膜10の所定位置にストレージコンタクトとなる開孔11を形成する。
【0096】
次に、図20(b)に示すように、開孔11内を含む全面にCVD法により多結晶シリコン膜を形成した後、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、この多結晶シリコン膜をパターニングして、図示の如く、開孔11内で各トランジスタの一方のn+ 拡散層9に電気的に接続するキャパシタの下部電極(ストレージノード)12を形成する。
【0097】
次に、図21(a)に示すように、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜であるNO複合膜(例えば、ONO膜)を全面に形成した後、その上に多結晶シリコン膜を形成し、しかる後、これらをフォトリソグラフィー及びドライエッチングによりパターニングして、図示の如く、キャパシタ下部電極12の上に、NO複合膜からなるキャパシタ誘電体膜13及び多結晶シリコン膜からなるキャパシタ上部電極(セルプレート)14を夫々形成する。
【0098】
以上の工程により、トランスファーゲートであるnチャネルトランジスタとその一方の拡散層に接続したメモリキャパシタとからなるDRAMメモリセルの基本構造が形成される。なお、図示の例は、1つの素子形成領域に2つのメモリセルが、夫々のトランスファーゲートであるnチャネルトランジスタの他方の拡散層を共有して設けられた構造を示している。
【0099】
次に、図21(b)に示すように、プラズマCVD法により全面にTEOS膜15を形成する。
【0100】
次に、図22(a)に示すように、全面にHSQ膜16を回転塗布法により形成する。HSQ膜16としては、例えば、HSQをメチルイソブチルケトン(MIBK:methyl isobutyl ketone) に溶かし込んだもの(例えば、米国ダウコーニング社製の商品名FOx (flowable oxide))を用いることができる。
【0101】
次に、図22(b)に示すように、既述した本発明の知見に基づき、HSQ膜16を熱処理する。即ち、HSQ膜16の赤外吸収特性のSi−H/Si−O(n)比(コンバージョンファクター)が約0.2〜約0.39であるような熱処理条件(圧力、温度及び炉内酸素濃度)で熱処理を行う。具体的には、例えば、常圧下で、約310〜約400℃の温度、約20ppm以下の炉内酸素濃度で熱処理を行う。この時、炉内酸素濃度を約1ppm以下にできれば、処理温度は約425℃まで上げることが可能である。
【0102】
この熱処理によりHSQ膜16はリフローし、図示の如く、HSQ膜16表面の段差が緩和される。
【0103】
次に、図23(a)に示すように、プラズマCVD法により全面にTEOS膜20を形成した後、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、TEOS膜20及びHSQ膜16の所定位置にビットコンタクトとなる開孔17を形成する。
【0104】
次に、図23(b)に示すように、例えば、開孔17内に、多結晶シリコンやタングステン(W)等からなるコンタクトプラグ18を埋め込み形成した後、その上に、例えば、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とするアルミ合金からなるビット線19をパターン形成する。
【0105】
以上に説明した製造工程においては、リフロー性の有るHSQ膜16を層間絶縁膜に用いているので、そのHSQ膜16をリフロー処理することにより、層間絶縁膜表面の段差を軽減することができる。特に、図示はしていないが、DRAMのメモリセル領域と周辺回路領域との間の段差が緩和されるので、それらの間に形成される、例えば、アルミ配線等のフォトリソグラフィーを好適に行うことができ、アルミ配線等のエッチ残りを防止することができる。その結果、それらのエッチ残りに起因する配線間の短絡等を防止することができて、信頼性の高い装置を提供することができる。
【0106】
また、HSQ膜16は無機SOGであるため、従来の有機SOGで問題となるコンタクト部でのカーボンポイズニングを生じない。従って、HSQ膜16は、例えば、図23(b)に示すように、コンタクトホールやビアコンタクト等のコンタクト部の開孔側面に露出していても良く、有機SOGの場合のようにコンタクト部の開孔側面に露出させないためのエッチバック工程は特に必要無い。
【0107】
更に、HSQ膜16がコンタクト部の開孔側面に露出していても良いため、従来の有機SOGの場合のように、このHSQ膜16を、例えば、プラズマCVD法により形成したTEOS膜15、20のような膜質の緻密なCVD膜で上下からサンドイッチする必要は必ずしも無く、例えば、HSQ膜16の上に直接金属配線層を形成することも可能である。但し、ビアコンタクト等の形状安定性やHSQ膜の保護という観点からは、上述の例のように、HSQ膜を膜質の緻密なCVD膜で上下からサンドイッチするのが好ましい。
【0108】
更に、本発明においては、HSQ膜16を特定の条件で熱処理するため、クラック耐性及び耐湿性に優れたHSQ膜16を形成することができ、装置の信頼性が向上する。
【0109】
なお、上述の製造工程では、DRAMメモリセルの基本構造とHSQ膜16との間にプラズマTEOS膜15を介在させて、素子構造を保護するようにしているが、本発明の熱処理によりHSQ膜16に充分な耐湿性が得られる場合には、プラズマTEOS膜15等のCVD膜を介さず、素子構造の上に直接HSQ膜16を形成することも可能である。
【0110】
また、本発明を適用するHSQ膜は、上述の例のような素子構造の上に形成する層間絶縁膜に限らず、上下配線層間に形成する層間絶縁膜にも、上述の例と殆ど同様にして用いることができる。更に、本発明は、上述の例のDRAMに限らず、各種半導体装置の絶縁膜にHSQ膜を用いる場合に適用が可能である。
【0111】
【発明の効果】
本発明においては、半導体基板上に形成したハイドロジェンシルセスキオキサンを有する絶縁層を、その絶縁層の熱処理後の赤外吸収スペクトルの波数2250cm-1近傍のSi−Hによるピーク値aと波数1070cm-1近傍のSi−Oによるピーク値bとの比r=a/bを制御変数として用い、前記rが0.20〜0.39の範囲となるように制御する。これにより、クラック耐性及び耐湿性に優れたHSQ膜を得ることができ、半導体装置の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】HSQの分子構造を示す概念図である。
【図2】HSQを層間膜として用いた時のアスペクト比と平坦化率の関係を示すグラフ及び断面図である。
【図3】HSQのベーク温度とストレス及び屈折率の関係を示すグラフである。
【図4】HSQのベーク温度と膜厚及び膜厚の面内均一性との関係を示すグラフである。
【図5】HSQの熱処理温度による赤外吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図6】HSQのベーク温度と赤外吸収スペクトルの網目構造のSi−O(n)及びラダー構造のSi−O(l)による吸光度との関係を示すグラフである。
【図7】HSQのベーク温度と赤外吸収スペクトルのSi−Hによる吸光度との関係を示すグラフである。
【図8】図6及び図7の関係をSi−O(l)/Si−O(n)比とSi−H/Si−O(n)比との関係に直したグラフである。
【図9】HSQのベーク温度と粘性係数の関係をベーク雰囲気により比較したグラフである。
【図10】HSQの赤外吸収スペクトルを熱処理時の圧力により比較したグラフである。
【図11】熱処理時の炉内酸素濃度とHSQの赤外吸収スペクトルのSi−Hによる吸光度との関係を熱処理温度により比較したグラフである。
【図12】熱処理時の炉内酸素濃度とHSQの赤外吸収スペクトルのSi−H/Si−O(n)比との関係を熱処理温度により比較したグラフである。
【図13】HSQの熱処理時の炉内酸素濃度と収縮率の関係を熱処理温度により比較したグラフ及び炉内酸素濃度20ppmの時の熱処理温度と収縮率の関係を示すグラフである。
【図14】各熱処理温度におけるHSQのコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)と屈折率の関係を示すグラフである。
【図15】各熱処理温度におけるHSQのコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)と収縮率の関係を示すグラフである。
【図16】各熱処理温度におけるHSQのコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とストレスの関係を示すグラフである。
【図17】各熱処理温度におけるHSQのコンバージョンファクター(Si−H/Si−O(n)比)とH−OHの吸光度で表した吸湿性との関係を示すグラフである。
【図18】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図19】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図20】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図21】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図22】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図23】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…シリコン半導体基板、2…ゲート酸化膜、3…ゲート電極、4…キャップ絶縁膜、6…n- 拡散層、7…側壁絶縁膜、9…n+ 拡散層、10…酸化シリコン膜、12…キャパシタ下部電極、13…キャパシタ誘電体膜、14…キャパシタ上部電極、15…プラズマTEOS膜、16…HSQ膜、18…コンタクトプラグ、19…ビット線、101…メタルパターン、102…プラズマTEOS膜、103…HSQ

Claims (15)

  1. 半導体基板上に形成したハイドロジェンシルセスキオキサンを有する絶縁層を熱処理するに際し、熱処理後の前記絶縁層の赤外吸収スペクトルの波数2250cm-1近傍のSi−Hによるピーク値aと波数1070cm-1近傍のSi−Oによるピーク値bとの比r=a/bを制御変数として用い、前記rが0.20〜0.39の範囲となるように、前記熱処理時の温度及び雰囲気を制御することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記赤外吸収スペクトルを、フーリエ変換赤外分光法で測定する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記熱処理を、酸素濃度が20ppm以下の雰囲気中で且つ425℃以下の温度で行う、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記半導体基板上の素子構造又は配線層の上に形成する層間絶縁膜の少なくとも一部として、溶剤に溶かした前記ハイドロジェンシルセスキオキサンを塗布形成し、しかる後、前記熱処理を行う、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記溶剤として、メチルイソブチルケトンを用いる、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記層間絶縁膜より下に、少なくともアルミニウムからなる配線が形成されている時、前記熱処理を400℃以下の温度で行う、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記熱処理を常圧下で行う、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記素子構造又は配線層と、ハイドロジェンシルセスキオキサンを有する前記絶縁層との間に、化学的気相成長法により形成した絶縁層を介在させる、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記層間絶縁膜の少なくとも最上層に、ハイドロジェンシルセスキオキサンを有する前記絶縁層を形成し、前記層間絶縁膜にコンタクト用の開孔を形成した後、その開孔内を含む前記層間絶縁膜上に、前記素子構造又は配線層に接続する上層配線層を形成する、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 半導体基板上に、ハイドロジェンシルセスキオキサンを有する絶縁層が形成された半導体装置であって、前記絶縁層の赤外吸収スペクトルの波数2250cm-1近傍のSi−Hによるピーク値aと波数1070cm-1近傍のSi−Oによるピーク値bとの比r=a/bが0.20〜0.39の範囲であることを特徴とする半導体装置。
  11. 前記赤外吸収スペクトルが、フーリエ変換赤外分光法で測定されたものである、請求項10に記載の半導体装置。
  12. 前記絶縁層が、前記半導体基板上の素子構造又は配線層の上の層間絶縁膜の少なくとも一部として、溶剤に溶かした前記ハイドロジェンシルセスキオキサンを塗布して形成された塗布膜である、請求項10に記載の半導体装置。
  13. 前記溶剤がメチルイソブチルケトンである、請求項12に記載の半導体装置。
  14. 前記素子構造又は配線層と前記塗布膜との間に、化学的気相成長法により形成された絶縁層が設けられている、請求項12に記載の半導体装置。
  15. 前記層間絶縁膜の少なくとも最上層に前記塗布膜が形成され、前記層間絶縁膜に形成されたコンタクト用の開孔内を含む前記層間絶縁膜上に、前記素子構造又は配線層に接続する上層配線層が形成されている、請求項12に記載の半導体装置。
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