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JP4025981B2 - 無電解スズメッキ浴 - Google Patents

無電解スズメッキ浴 Download PDF

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JP4025981B2
JP4025981B2 JP2002149257A JP2002149257A JP4025981B2 JP 4025981 B2 JP4025981 B2 JP 4025981B2 JP 2002149257 A JP2002149257 A JP 2002149257A JP 2002149257 A JP2002149257 A JP 2002149257A JP 4025981 B2 JP4025981 B2 JP 4025981B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無電解スズメッキの有機スルホン酸メッキ浴に関して、有機スルホン酸をアルカノールスルホン酸に基本限定しながら、このアルカノールスルホン酸とSn2+とチオ尿素類を所定のモル量で含有させることにより、スズメッキ皮膜に異常粒子や過剰析出が発生するのを有効に防止できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無電解スズの有機スルホン酸浴は、排水処理の容易性、スズ塩の溶解性などの見地から多く研究され、報告されている。
本出願人も、特開平5−186878号公報、特開平7−113179号公報、特開平10−36973号公報、特開平11−61426号公報、特開平11−256350号公報、特開平11−343578号公報などで、浴ベースとしての有機スルホン酸と、可溶性第一スズ塩と、銅製素地との置換反応を促進するためのチオ尿素類とを基本組成とする無電解スズメッキ浴を開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無電解スズの有機スルホン酸浴を用いた場合、得られるスズメッキ皮膜には析出異常が認められることが少なくないという実情がある。
この点を詳述すると、例えば、プリント基板のリードにスズ皮膜を形成すると、スズ皮膜の表面に微細な異常粒子が群棲して発生したり(図2参照)、或は、ベースフィルムのポリイミド樹脂上にインナリードをパターン形成したフィルムキャリアなどにスズメッキを施すと、インナリードの表面からポリイミド樹脂の周縁に向けてスズ皮膜が樹氷状に過剰析出し(図3参照)、これらの異常粒子や過剰析出の発生が短絡や接合強度低下の原因になるため、電子部品などの信頼性を低下させてしまう。
ちなみに、図4〜5は、異常粒子や過剰析出の発生がない正常なスズ皮膜を示したものである。
【0004】
本発明は、有機スルホン酸と可溶性第一スズ塩とチオ尿素類を基本組成とする無電解スズメッキ浴において、得られるスズ皮膜に異常粒子や過剰析出が発生するのを有効に防止することを技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、無電解スズの有機スルホン酸浴において、有機スルホン酸の種類や含有量を変えてスズ皮膜の析出異常の発生状況を鋭意観察した結果、浴ベースとなる有機スルホン酸がアルカンスルホン酸の場合とアルカノールスルホン酸とでは、得られるスズ皮膜上の析出異常の発生度合が大きく異なり、アルカンスルホン酸のアニオン部分が存在すると、スズ皮膜が析出異常する頻度が増すが、アルカンスルホン酸をアルカノールスルホン酸で代替すると、スズ皮膜の析出異常を顕著に回避できることを突き止めた。
そこで、この知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、このアルカンスルホン酸のアニオン部分が存在しない条件下で、アルカノールスルホン酸(アニオン換算)とSn2+とチオ尿素類の含有モル量の割合が所定の範囲内になるように選択すると、スズメッキ皮膜の異常粒子や過剰析出の発生を有効に防止できること、また、フェノールスルホン酸などの水酸基を含有する芳香族系有機スルホン酸がアルカノールスルホン酸に対して所定の少量範囲内で浴中に存在しても、この析出異常防止作用を良好に保持できることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明1は、可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸とチオ尿素類を含有する無電解スズメッキ浴において、
上記有機スルホン酸として、分子内に水酸基を有する有機スルホン酸のアニオン部分を含み、且つ、アルカンスルホン酸のアニオン部分を含有せず、
分子内に水酸基を有する有機スルホン酸は、アニオン換算で芳香族オキシスルホン酸/アルカノールスルホン酸=0〜0.1のモル比の混合物であり、
可溶性第一スズ塩(Sn2+換算)とアルカノールスルホン酸(アニオン換算)とチオ尿素類の単位リットル当たりの含有モル量の割合が、Sn2+/アルカノールスルホン酸/チオ尿素類=0.01〜2/1.4〜8/0.6〜5であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0007】
本発明2は、上記本発明1において、アルカノールスルホン酸がC1〜C5アルカノールスルホン酸であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0008】
本発明3は、上記本発明1又は2において、芳香族オキシスルホン酸が、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ナフトールスルホン酸、スルホサリチル酸などであることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0009】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、可溶性第一スズ塩が、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、亜スズ酸塩などの無機系の可溶性塩、アルカノールスルホン酸第一スズ、スルホコハク酸第一スズ、脂肪族カルボン酸第一スズなどの有機系の可溶性塩であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0010】
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、さらに、酸化防止剤を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0011】
本発明6は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、さらに、ノニオン系界面活性剤と両性界面活性剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0012】
本発明7は、上記本発明1において、可溶性第一スズと、2−ヒドロキシエタンスルホン酸と、チオ尿素と、次亜リン酸と、ノニオン系界面活性剤とを含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0013】
本発明8は、上記本発明7において、ノニオン系界面活性剤に代えて、両性界面活性剤を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0014】
本発明9は、上記本発明7又は8において、2−ヒドロキシエタンスルホン酸及びフェノールスルホン酸を、フェノールスルホン酸/2−ヒドロキシエタンスルホン酸=0〜0.085の範囲のモル比で含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸とチオ尿素類を基本組成とする無電解スズメッキ浴において、下記の(a)〜(c)のすべての条件を満たす浴である。
(a)有機スルホン酸として、分子内に水酸基を有する有機スルホン酸のアニオン部分を含有し、且つ、アルカンスルホン酸のアニオン部分を含有しない。
有機スルホン酸としては、分子内に水酸基を有する有機スルホン酸を含有する必要があり、これとは逆に、アルカンスルホン酸の含有は排除される。従って、遊離酸としてのアルカンスルホン酸のみならず、アルカンスルホン酸の第一スズ塩も浴中での存在を排除される。
また、浴中の有機スルホン酸としては、水酸基を有する有機スルホン酸が必須であるが、この外に、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸などのようなアルカンスルホン酸に属さず、水酸基のない有機スルホン酸が存在しても差し支えない。
【0016】
(b)分子内に水酸基を有する有機スルホン酸は、アニオン換算で芳香族オキシスルホン酸/アルカノールスルホン酸=0〜0.1のモル比の混合物である。
上記条件(a)に示すように、メッキ浴中には水酸基を有する有機スルホン酸が存在する必要があるが、この有機スルホン酸はアルカノールスルホン酸の単用であるか、アルカノールスルホン酸と芳香族オキシスルホン酸の併用であるかのいずれかであり、芳香族オキシスルホン酸を浴中に添加する場合には、アルカノールスルホン酸の1/10以下のモル比で使用することが必要である。
【0017】
(c)可溶性第一スズ塩(Sn2+換算)とアルカノールスルホン酸(アニオン換算)とチオ尿素類の単位リットル当たりの含有モル量が、Sn2+/アルカノールスルホン酸/チオ尿素類=0.01〜2/1.4〜8/0.6〜5である。
アルカノールスルホン酸のアニオン換算モル量とは、浴中に存在する遊離酸としてのアルカノールスルホン酸のモル量だけを意味するものではなく、可溶性第一スズ塩にアルカノールスルホン酸の第一スズ塩を使用した場合には、そのアルカノールスルホン酸アニオン部分のモル量を加算したものを意味する。
【0018】
本発明の無電解スズメッキ浴は、前述したように、可溶性第一スズ塩と、浴ベースとしての有機スルホン酸と、錯化剤としてのチオ尿素類を基本組成とする。
そこで、上記浴ベースとしての有機スルホン酸を前記条件(a)〜(c)に基づいてより詳細に説明すると、アルカンスルホン酸は使用できず、且つ、水酸基を有する有機スルホン酸を使用する必要がある。水酸基を有する有機スルホン酸の使用とは、アルカノールスルホン酸の単用であるか、アルカノールスルホン酸と少量の芳香族オキシスルホン酸との併用をいう。アルカノールスルホン酸と芳香族オキシスルホン酸を併用する場合には、上記(b)の条件下で浴に含有させる必要がある。
浴ベースとしての上記有機スルホン酸には、無機酸や脂肪族カルボン酸などの有機酸を併用しても、或は、スルホコハク酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのようなアルカンスルホン酸には属さない水酸基のない有機スルホン酸を併用しても良い。脂肪族カルボン酸には、乳酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸などが挙げられ、無機酸には、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸などが挙げられる。
【0019】
上記アルカンスルホン酸は、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものであり、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
【0020】
上記アルカノールスルホン酸は、化学式
m2m+1-CH(OH)-Cp2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものであり、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。
本発明で使用するアルカノールスルホン酸としては、本発明2に示すように、C1〜C5アルカノールスルホン酸が好ましく、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシブタンスルホン酸、3−ヒドロキシブタンスルホン酸、4−ヒドロキシブタンスルホン酸などがより好ましい。
【0021】
上記芳香族オキシスルホン酸は、本発明3に示すように、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ナフトールスルホン酸、スルホサリチル酸などである。
また、水酸基を有さない芳香族スルホン酸は、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸などである。
【0022】
上記可溶性第一スズ塩を上記条件(a)〜(c)に基づいて説明すると、本発明4に示すように、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、亜スズ酸塩などの無機系の可溶性塩、アルカノールスルホン酸第一スズ、芳香族オキシスルホン酸第一スズ塩、スルホコハク酸第一スズ、脂肪族カルボン酸第一スズなどの有機系の可溶性塩などが挙げられる。
但し、上記条件(a)により、有機スルホン酸の第一スズ塩では、アルカンスルホン酸の第一スズ塩は排除される。
【0023】
上記チオ尿素類は、素地金属の銅、銅合金に配位して錯イオンを形成し、銅の電極電位を卑の方向に変移させて、スズとの化学置換反応を促進するために含有される。
このチオ尿素類には、チオ尿素、或は、1,3―ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素(例えば、1,3―ジエチル―2―チオ尿素)、N,N′―ジイソプロピルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3―ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジドなどのチオ尿素誘導体が挙げられる。
当該チオ尿素類と同様の錯化作用を奏する化合物としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、ベンジルアミン、2―ナフチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミンなども有効である。
【0024】
本発明の無電解スズメッキ浴において、上記条件(c)に示すように、可溶性第一スズ塩(Sn2+換算)は0.01〜2モル/L、アルカノールスルホン酸(アニオン換算)は1.4〜8モル/L、チオ尿素類は0.6〜5モル/Lである。
Sn2+が2モル/Lを越えるとスズ皮膜が異常粒子化し、また、スズ皮膜の析出を担保する見地から0.01モル/L以上が必要である。アルカノールスルホン酸のアニオン部分が1.4モル/Lより少ないと浴が安定せず、8モル/Lを越えると他の組成の添加が容易でなくなる。チオ尿素類が0.6モル/Lより少ないと浴が安定せず、また、チオ尿素類自体を円滑に溶解させて沈殿させない見地から5モル/L以下が必要である。
【0025】
前述したように、アルカノールスルホン酸のアニオン部分とは、浴中に存在する遊離酸としてのアルカノールスルホン酸だけではなく、可溶性第一スズ塩にアルカノールスルホン酸の第一スズ塩を使用した場合には、そのアルカノールスルホン酸のアニオン部分も意味する。従って、メッキ浴中にアルカノールスルホン酸の第一スズ塩が添加された場合には、遊離酸としてのアルカノールスルホン酸が添加されない場合も、本発明の対象となる。
また、アルカノールスルホン酸は、条件(a)に示す水酸基を有する有機スルホン酸の最適例であるが、上記条件(b)に示すように、このアルカノールスルホン酸を単用するだけではなく、アルカノールスルホン酸と芳香族オキシスルホン酸の併用であっても良い。芳香族オキシスルホン酸を併用する場合には、アルカノールスルホン酸の1/10以下のモル比で添加する必要がある。
【0026】
本発明の無電解スズメッキ浴の好ましい組成を挙げると、本発明7に示すように、可溶性第一スズ塩と、2−ヒドロキシエタンスルホン酸と、チオ尿素と、次亜リン酸と、ノニオン系界面活性剤とを含有するメッキ浴である。本発明8に示すように、ノニオン系界面活性剤を両性界面活性剤に代替しても良い。尚、可溶性第一スズ塩には、2−ヒドロキシエタンスルホン酸などのアルカノールスルホン酸の第一スズ塩や、酸化第一スズなどの無機酸のスズ塩が挙げられる。
また、上記条件(b)から、浴ベースの有機スルホン酸としては、アルカノールスルホン酸の単用か、芳香族オキシスルホン酸との併用が必要であるが、この場合、本発明9に示すように、2−ヒドロキシエタンスルホン酸及びフェノールスルホン酸を、フェノールスルホン酸/2−ヒドロキシエタンスルホン酸=0〜0.085の範囲のモル比で含有させたものが好適である。
【0027】
一方、無電解スズメッキ浴には上記基本成分以外に、必要に応じて公知の界面活性剤、酸化防止剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、防腐剤などの各種添加剤を混合できることはいうまでもない。
上記界面活性剤には通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤が挙げられ、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善に寄与する。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
【0028】
上記酸化防止剤は、浴中のSn2+の酸化防止を目的としたもので、次亜リン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
【0029】
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリルデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
【0030】
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類などが有効である。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
【0031】
無電解スズメッキの条件としては任意であるが、浴温は45〜90℃が好ましく、析出速度を増す見地から50〜70℃がより好ましい。
【0032】
【発明の効果】
冒述したように、無電解スズメッキでは、浴ベースとなる有機スルホン酸がアルカンスルホン酸の場合とアルカノールスルホン酸とでは、得られるスズ皮膜上の析出異常の発生度合が大きく異なり、アルカンスルホン酸のアニオン部分が存在すると、スズ皮膜が析出異常する頻度が増し、アルカノールスルホン酸では、このような析出異常は顕著に解消される。
本発明は、上記知見に基づくもので、無電解メッキ浴中にアルカンスルホン酸(アニオン部分)を存在させず、アルカノールスルホン酸か、これと少量範囲内の芳香族オキシスルホン酸を水酸基を有する有機スルホン酸(アニオン部分)として添加させ、且つ、可溶性第一スズ塩(Sn2+換算)とアルカノールスルホン酸とチオ尿素類とを単位リットル当たり所定のモル量で添加するため、浴から得られるスズ皮膜に異常粒子が発生したり、過剰析出を起こすのを有効に防止して、良好な外観のメッキ皮膜を形成できる。
【0033】
ちなみに、冒述の特開平11−343578号公報の実施例5(段落50参照)、或は、特開平10−36973号公報の実施例11(段落65参照)には、アルカンスルホン酸(アニオン部分)を含まず、アルカノールスルホン酸及び/又はその第一スズ塩を含む無電解スズメッキ浴が開示されているが、Sn2+/アルカノールスルホン酸(アニオン換算)/チオ尿素類の単位リットル当たりのモル量の比率は、特開平11−343578号公報では0.25/0.5/2.81、特開平10−36973号公報では0.29/1.37/1.48であって、いずれもアルカノールスルホン酸の含有モル量が、本発明の1.4モル/L以上である条件から外れている。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の無電解スズメッキ浴の実施例、当該メッキ浴から得られたスズ皮膜の外観評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0035】
下記の実施例1〜12のうち、実施例1〜4は同一のアルカノールスルホン酸をベース酸と第一スズ塩に用いてその種類を変化させた例、実施例5〜7は異なるアルカノールスルホン酸をベース酸と第一スズ塩に用いてその種類を変化させた例、実施例8はアルカノールスルホン酸に少量範囲内の芳香族オキシスルホン酸を併用した例、実施例9はチオ尿素類を併用した例、実施例10はベース酸に2種類のアルカノールスルホン酸を併用し、これらとは異なる種類のアルカノールスルホン酸の第一スズ塩を使用した例、実施例11はベース酸にアルカノールスルホン酸と脂肪族カルボン酸を併用した例、実施例12はベース酸にアルカノールスルホン酸と無機酸を併用した例である。
また、実施例1〜12では、ベース酸にも、第一スズ塩にもアルカンスルホン酸は含有していない。
【0036】
一方、比較例1〜12のうち、比較例1はアルカンスルホン酸をベース酸と第一スズ塩に使用した例、比較例2は芳香族オキシスルホン酸をベース酸と第一スズ塩に使用した例、比較例3は芳香族オキシスルホン酸の第一スズ塩とベース酸としてのアルカンスルホン酸を使用した例、比較例4はアルカンスルホン酸の第一スズ塩とベース酸としてのアルカノールスルホン酸を使用した例、実施例5はアルカノールスルホン酸(アニオン換算)に対して、芳香族オキシスルホン酸(アニオン換算)を1/10モル比より多く使用した例、比較例6はアルカンスルホン酸と無機酸を併用した例、比較例7は芳香族オキシスルホン酸と無機酸を併用した例、比較例8は水酸基を有しない有機スルホン酸の第一スズ塩と、ベース酸としてのアルカンスルホン酸及びアルカノールスルホン酸を使用した例、比較例9はSn2+の含有量が0.01モル/Lより少ない例、比較例10はSn2+の含有量が2.0モル/Lを越える例、比較例11はアルカノールスルホン酸(アルカン換算)の含有量が1.4モル/Lより少ない例、比較例12はチオ尿素類の含有量が0.6モル/Lより少ない例である。
尚、比較例群では、Sn2+とベース酸とチオ尿素類の含有量(単位リットル当たり)をできる限り統一するようにした。
【0037】
《実施例1》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
本実施例1の組成を前記条件(a)〜(c)に基づいて説明すると、アルカンスルホン酸のアニオン部分は存在せず、Sn2+の含有量は0.15mol/L、アルカノールスルホン酸(アニオン換算)は1.50+0.15×2=1.8mol/L、チオ尿素類は1.00mol/Lであって、各成分の単位リットル当たりのモル量の割合は、Sn2+/アルカノールスルホン酸/チオ尿素類=0.15/1.8/1となっている。
【0038】
《実施例2》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0039】
《実施例3》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0040】
《実施例4》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0041】
《実施例5》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0042】
《実施例6》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0043】
《実施例7》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0044】
《実施例8》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
本実施例8の組成を前記条件(b)に基づいて説明すると、アルカノールスルホン酸(アニオン換算)の含有量は1.50+0.50×2=2.50mol/L、フェノールスルホン酸(アニオン換算)は0.20mol/Lであって、アルカノールスルホン酸とフェノールスルホン酸のモル比は、フェノールスルホン酸/アルカノールスルホン酸=0.20/2.50=0.08となっている。
【0045】
《実施例9》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0046】
《実施例10》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0047】
《実施例11》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0048】
《実施例12》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0049】
《比較例1》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0050】
《比較例2》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
・p−フェノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) :0.40mol/L
・p−フェノールスルホン酸 :1.40mol/L
・チオ尿素 :1.50mol/L
・次亜リン酸ナトリウム :0.10mol/L
・α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) :5.0g/L
【0051】
《比較例3》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
・p−フェノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) :0.40mol/L
・メタンスルホン酸 :1.40mol/L
・チオ尿素 :1.50mol/L
・次亜リン酸ナトリウム :0.10mol/L
・α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) :5.0g/L
【0052】
《比較例4》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
・メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) :0.40mol/L
・2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 :1.40mol/L
・チオ尿素 :1.50mol/L
・次亜リン酸ナトリウム :0.10mol/L
・α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) :5.0g/L
【0053】
《比較例5》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
本比較例5の組成を前記条件(a)〜(c)に基づいて説明すると、アルカンスルホン酸のアニオン部分は存在しないが、アルカノールスルホン酸(アニオン換算)の含有量は1.40+0.40×2=2.20mol/L、フェノールスルホン酸(アニオン換算)は1.00mol/Lであって、アルカノールスルホン酸とフェノールスルホン酸のモル比は、フェノールスルホン酸/アルカノールスルホン酸=1.00/2.20=0.45となっている。
【0054】
《比較例6》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
・メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) :0.40mol/L
・メタンスルホン酸 :1.00mol/L
・硫酸 :0.40mol/L
・チオ尿素 :1.50mol/L
・次亜リン酸ナトリウム :0.10mol/L
・α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) :5.0g/L
【0055】
《比較例7》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
・p−フェノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) :0.40mol/L
・p−フェノールスルホン酸 :1.00mol/L
・硫酸 :0.40mol/L
・チオ尿素 :1.50mol/L
・次亜リン酸ナトリウム :0.10mol/L
・α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) :5.0g/L
【0056】
《比較例8》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
・スルホコハク酸第一スズ(Sn2+として) :0.40mol/L
・メタンスルホン酸 :0.70mol/L
・2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 :0.70mol/L
・チオ尿素 :1.50mol/L
・次亜リン酸ナトリウム :0.10mol/L
・α−ナフトールポリエトキシレート(EO15モル) :5.0g/L
【0057】
《比較例9》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0058】
《比較例10》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0059】
《比較例11》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
本比較例11を前記条件(a)〜(c)に基づいて説明すると、アルカンスルホン酸のアニオン部分は存在しないが、アルカノールスルホン酸(アニオン換算)の含有量は、0.60+0.35×2=1.30mol/Lとなっている。
【0060】
《比較例12》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004025981
【0061】
《スズメッキ皮膜の外観評価試験例》
そこで、SLP(電解銅箔の一種)でパターン形成したTABのフィルムキャリアを被メッキ物として、このフィルムキャリアのインナリード上に、上記実施例1〜12及び比較例1〜12の各無電解スズメッキ浴を用いて、浴温65℃、メッキ時間5分の条件で無電解メッキを施して、得られたスズ皮膜の析出状況を目視観察し、皮膜外観を評価した。
上記皮膜外観は、冒述したように、スズ皮膜の表面に微細な異常粒子が群棲して発生しているか、或は、スズ皮膜が樹氷状に過剰析出しているかなどを中心とした析出異常の有無に基づいて評価したため、その評価基準は次の通りである。
○ :過剰析出も異常粒子も認められず。
1:異常粒子が発生した。
2:過剰析出が発生した。
× :過剰析出と異常粒子が共に発生した。
【0062】
図1はその試験結果を示す。
実施例1〜12から得られたスズ皮膜では、すべて異常粒子や過剰析出の発生はなく、良好な外観のスズ皮膜が形成できた(前記図4〜図5は当該スズ皮膜に対応する)が、比較例1〜8と比較例10では、いずれも過剰析出及び/又は異常粒子が発生し、スズ皮膜に析出異常が認められたため、良好なスズ皮膜は得られなかった。また、比較例11〜12では、メッキ浴中のアルカノールスルホン酸のアニオン部分又はチオ尿素類の含有モル量が適正範囲より少ないため、浴が分解し、比較例9では、第一スズ塩の含有量が適正範囲より少ないため、皮膜自体が析出しなかった。
以上の点を詳述すると、先ず、実施例と比較例の対比から、メッキ浴中にアルカンスルホン酸のアニオン部分が存在すると、なんらかの析出異常が発生し、それは、比較例3のように、遊離酸としてアルカンスルホン酸を含む場合に限らず、比較例4のように、アルカンスルホン酸の第一スズ塩を含む場合も同じく析出異常になることが確認できた。
逆に、析出異常を防止するには、有機スルホン酸がアルカノールスルホン酸であることが必要であり、このアルカノールスルホン酸は、実施例1〜4によると、その種類を問わないことが判る。また、アルカノールスルホン酸は実施例1〜4のように単用しても、実施例5〜7のように併用しても良く、さらには、実施例11〜12のようにアルカノールスルホン酸と他の有機酸又は無機酸を併用しても、析出異常を有効に防止できることが判る。
一方、アルカノールスルホン酸と共にフェノールスルホン酸を併用する場合には、実施例8のように、アルカノールスルホン酸の1/10以下のモル比でフェノールスルホン酸を併用した場合には析出異常の防止作用を担保できるが、比較例5のように、1/10を越えるモル比で併用した場合には、析出異常が生じてしまうことが確認できた。
さらに、アルカノールスルホン酸をベースとする浴においては、Sn2+とアルカノールスルホン酸(アニオン換算)とチオ尿素類の基本組成の単位リットル当たりのモル量が本発明の所定範囲内にある各実施例では、析出異常を顕著に防止でき、各臨界値に近い実施例2においても(Sn2+は0.05モル/L、アルカノールスルホン酸(アニオン換算)は1.5モル/L、チオ尿素類は0.6モル/L)、析出異常の防止に有効であるが、比較例9〜12のように、上記基本組成が所定範囲から外れると、析出異常が発生するか、浴が分解するか、或は、スズ皮膜が析出しないかのいずれかであり、良好な外観のスズ皮膜は得られないことが確認できた。
以上のことから、無電解スズの有機スルホン酸浴にあっては、アルカンスルホン酸を使用すると、得られるスズ皮膜に析出異常が発生するが、アルカノールスルホン酸を使用した場合にはこのような析出異常を有効に防止できることが判った。また、アルカノールスルホン酸をベースとする浴であっても、スズ皮膜の析出異常を防止するためには、第一スズ塩とアルカノールスルホン酸(アニオン換算)とチオ尿素類の単位リットル当たりの各モル量を適正範囲内に調整することが必要であり、また、アルカノールスルホン酸と共にフェノールスルホン酸を併用する際にも、フェノールスルホン酸を適正な少量範囲内で添加することの必要性が明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜12及び比較例1〜12の各無電解スズメッキ浴から得られたスズ皮膜の外観評価試験の結果を示す図表である。
【図2】異常粒子が発生したスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【図3】過剰析出が発生したスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。
【図4】異常粒子の発生がない正常なスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【図5】過剰析出の発生がない正常なスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。

Claims (9)

  1. 可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸とチオ尿素類を含有する無電解スズメッキ浴において、
    上記有機スルホン酸として、分子内に水酸基を有する有機スルホン酸のアニオン部分を含み、且つ、アルカンスルホン酸のアニオン部分を含有せず、
    分子内に水酸基を有する有機スルホン酸は、アニオン換算で芳香族オキシスルホン酸/アルカノールスルホン酸=0〜0.1のモル比の混合物であり、
    可溶性第一スズ塩(Sn2+換算)とアルカノールスルホン酸(アニオン換算)とチオ尿素類の単位リットル当たりの含有モル量の割合が、Sn2+/アルカノールスルホン酸/チオ尿素類=0.01〜2/1.4〜8/0.6〜5であることを特徴とする無電解スズメッキ浴。
  2. アルカノールスルホン酸がC1〜C5アルカノールスルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載の無電解スズメッキ浴。
  3. 芳香族オキシスルホン酸が、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ナフトールスルホン酸、スルホサリチル酸などであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解スズメッキ浴。
  4. 可溶性第一スズ塩が、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、亜スズ酸塩などの無機系の可溶性塩、アルカノールスルホン酸第一スズ、スルホコハク酸第一スズ、脂肪族カルボン酸第一スズなどの有機系の可溶性塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電解スズメッキ浴。
  5. さらに、酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電解スズメッキ浴。
  6. さらに、ノニオン系界面活性剤と両性界面活性剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無電解スズメッキ浴。
  7. 可溶性第一スズと、2−ヒドロキシエタンスルホン酸と、チオ尿素と、次亜リン酸と、ノニオン系界面活性剤とを含有することを特徴とする請求項1に記載の無電解スズメッキ浴。
  8. ノニオン系界面活性剤に代えて、両性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項7に記載の無電解スズメッキ浴。
  9. 2−ヒドロキシエタンスルホン酸及びフェノールスルホン酸を、フェノールスルホン酸/2−ヒドロキシエタンスルホン酸=0〜0.085の範囲のモル比で含有することを特徴とする請求項7又は8に記載の無電解スズメッキ浴。
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