JP4025419B2 - 多層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な包装機械適性を有し、透明性、光沢が良好で特に高速包装時のヒートシール性や包装仕上がりに優れる熱収縮性多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、収縮包装(シュリンク包装と同義語)は被包装物の形状、大きさに依らず、また同時に複数個の製品を迅速かつタイトに包装する事ができ、得られた包装物の外観が美しく、ディスプレイ効果を発揮し、商品価値を高め、また内容物を衛生的に保ち、視覚による品質管理が容易なことから食品、雑貨等の包装に使用されている。かかる収縮包装は、通常、フィルムに少し余裕をもたせてヒートシールにより内容物を一次包装したのち、シュリンクトンネルの熱風等によりフィルムを熱収縮させる方法が一般的であり、タイトで美しい仕上がりが得られる。この際ヒートシールの方法としては▲1▼バーシール法、熱ローラー法等のヒートシール法、▲2▼インパルスシール法、▲3▼溶断シール法等があり、前記の▲1▼、▲2▼は基本的に面シールであり通常シール面直近でシールとほとんど同時にカッターにて切断される、いわゆるシールアンドカット方式が採用されている。また▲3▼の溶断シール法は上記のように別にカッターを必要とせず、瞬間的に熱刃により、溶融シールと同時に溶融切断を行う方法であり、簡便な方法として包装用各種フィルムに広く用いられている。これらの包装用フィルムとしては、近年の包装機の自動化、高速化に対応し、また上記のいずれのシール方法においても満足する性能を有するフィルムが要求されている。
【0003】
一方、収縮包装フィルムとして要求される特性としては▲1▼収縮特性、▲2▼ヒートシール性、▲3▼光学特性、▲4▼機械的強度等があり、▲1▼についてはタイトに仕上がるための高収縮性、特に低温高収縮性、▲2▼については特に溶断シール時に生じる糸引き現象(溶断時に溶融した樹脂が溶断刃とフィルムとの間、および/または、溶断によって互いに切り離されたフィルムとフィルムとの間で糸を引く現象。)が少ないこと、そしてできるだけ低温で溶断シールできること、▲3▼については特に収縮後のフィルムの透明性や光沢がよいこと、▲4▼については包装時、および包装後の輸送や保管を含めて種々の外的負荷に対する強度(裂け、突き破れ等)を有することが求められる。上記の要求特性を鑑み、ポリプロピレン系樹脂を表面層に配した多層フィルムが従来知られている。
【0004】
例えば、特許第2570359号公報には、特定のポリプロピレン系樹脂からなる両最外層と、複数の中間層としてポリプロピレン系軟質樹脂層および線状超低密度ポリエチレンからなる層を含む多層の収縮性フィルムが開示されており、該公報によれば、ポリ塩化ビニル製シュリンクフィルムに匹敵する低温収縮性、耐ブロッキング性、透明性、光沢等のほか、好ましくは耐引裂特性にも優れるといった特徴を有していると記述されている。また特公平3−42180号公報にはエチレン・プロピレン共重合体からなる表面層と線状低密度ポリエチレンを含む芯の層、および線状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等から適宜選ばれた樹脂混合層よりなる中間層を含む5層の収縮フィルムが開示されており、収縮張力、光学特性、密封特性等が改善され、広範囲の収縮温度を有する旨の記述がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来技術のうち、特許第2570359号公報に記載されている特定のポリプロピレン系樹脂を両外層に有する多層シュリンクフィルムでは、透明性や光沢が良好で低温収縮性も発現し得るが、ヒートシール性、特に高速包装時のヒートシール性に問題がある。すなわち高速包装(通常、包装速度で50パック/分以上をいう。)においてはシール時間そのものが短くなるため、高温でのシール温度が採用されるが、フィルムを構成する樹脂の温度特性により面シールの場合においては、両外層に比べ中間層、つまり内部層が軟化、溶融しやすいため、フィルムのシール部がシールバーに融着したり、シールアンドカット時にシール部が引き伸ばされてシール破れ等のシール不良を発生し易い。また溶断シールの場合においても、一応溶断は可能であるものの糸引き現象を生じやすく、包装体の外観を損ね、商品性の低下を招くといった問題がある。また、特公平3−42180号公報に例示されているフィルムでは上記特許第2570359号公報に記載の従来技術と同様の問題がある他、ノートや印刷用紙等の枚葉物(およびそれらの束状のものも含む)を包装するときに被包装物が容易に変形してしまうといった問題を有していた。
【0006】
従って、本発明の課題は、従来のポリプロピレン系樹脂を表面層に配した多層のフィルムが有する優れた包装機械適性(フィルムの腰及び滑り)、引裂等の機械的強度、収縮特性に加え、従来のフィルムの欠点であったヒートシール性、すなわち面シールおよび溶断シールのいずれの場合においても安定したヒートシール性、特に高速包装時の安定したヒートシール性を発現し、ノートや印刷用紙の枚葉物(およびそれらの束状のものも含む)を包装するときに発生していた被包装物の変形を抑制し、包装仕上がりを格段に改良し得る熱収縮性多層フィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂を含有する表面層(A)、および内部層の少なくとも1つにエチレンα−オレフィン共重合体を含有する層(B)を有する少なくとも4層からなる多層フィルムにおいて、以下の(1)〜(5)を特徴とする多層フィルムである。
(1)別の内部層(C)として、ポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂とポリブテン−1系樹脂との樹脂組成物を含有する層を少なくとも1層含むこと
(2)表面層(A)に用いられるポリプロピレン系樹脂の融点が内部層(C)に使用されるポリプロピレン系樹脂の融点以下でかつ155℃以下、120℃以上であり、そして表面層(A)に用いられるポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kgfの条件下で測定されるメルトフローレートが内部層(C)に使用されるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート以上でかつ3.0〜18g/10分であること
(3)内部層(B)に使用されるエチレンα−オレフィン共重合体の密度が0.870〜0.930g/cm3であって、190℃、2.16kgfの条件下で測定されるメルトフローレートが0.2〜7g/10分であること
(4)全層に占める前記の各層厚み比率が表面層(A)が10〜60%、内部層(B)が20〜80%、内部層(C)が5〜60%であること
(5)表面層(A)に用いられるポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kgfの条件下で測定されるメルトフローレートが、内部層(C)に用いられるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートよりも3.0以上大きいこと
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
まず、本発明が従来技術と相違するところは、特定のポリプロピレン系樹脂を含有する表面層(A)および特定のエチレンα−オレフィン共重合体を含有する少なくとも1つの内部層(B)に、別の内部層として、表面層(A)に使用するポリプロピレン系樹脂に対して、融点とメルトフローレートが特定の関係にあるポリプロピレン系樹脂を含有する層または同樹脂とポリブテン−1系樹脂との樹脂組成物を含有する層を加えた点にある。更に、上記各層の厚み比率を特定することである。上記従来技術と相違するところの本発明の構成要件の役割は、優れた包装機械適性、引裂強度および収縮特性に加えて、従来の課題であった面シールと溶断シールの両者に対するヒートシール性、特に高速包装における安定したヒートシール性が十分確保できることであり、さらに被包装物のシュリンク包装時の変形が抑制されることにより良好な仕上がりを実現できることである。
【0009】
本発明における最も重要な要件は表面層(A)と内部層(C)として、融点(DSCにより測定された最も高温のピーク値をいう。)とメルトフローレート(以後、MFRと記す。)が特定の要件を具備するポリプロピレン系樹脂を使用することである。すなわち、表面層(A)に用いられるポリプロピレン系樹脂(
以後、PP−aと記す。)の融点が内部層(C)に使用されるポリプロピレン系樹脂(以後、PP−cと記す。)の融点以下でかつ155℃以下であり、そしてPP−aの230℃、2.16kgfの条件下(以後、ポリプロピレン系樹脂については同条件を意味する。)で測定されるMFRがPP−cのMFR以上でかつ3〜18g/10分の値を有することが肝要である。ここで、表面層(A)とは、多層フィルムの両表面のうち少なくとも一層を意味する。
【0010】
本発明の多層フィルムにおいては、少なくとも片側のシール面である表面層が上記要件を具備すればよいが、本発明の効果が十分に発揮するためには、両表面層が上記要件を具備することが望ましい。また、ここで、本発明におけるMFRはJIS−K7210に従って測定される値をいうものとする。PP−aの融点がPP−cの融点を越えると面シールにおけるシール部に欠陥が発生しやすくなり、特に高速包装においては、少なくともシール部分のフィルム全体が溶融状態ないしは極度の軟化状態になってフィルムのシールバーへの融着や粘着が発生し、シール部の破れ等のトラブルの発生が起きやすくなる。PP−aに対するPP−cの融点は同じか好ましくは高い方が良く、その好ましい融点の差は1℃以上、より好ましくは3℃以上、更に好ましくは5℃以上である。PP−aの融点が155℃を越えると低温シール性が損なわれると共に、高速包装条件下では面シールの場合、上記同様にシール不良が発生しやすくなり、溶断シールにおいては後述するMFRの影響もあって糸引き現象の発生が生じ易くなって、商品の見栄えが悪くなる。PP−aの好ましい融点は150℃以下、より好ましくは145℃以下であり、下限はフィルムの腰の低下やブロッキング現象による包装適性の低下の防止の点から、通常は120℃である。またPP−cの融点の上限は、立体規則性がきわめて高い、通常ホモタイプで代表される融点であり、約170℃である。
【0011】
また表面層(A)に用いられるPP−aのMFRが3.0g/10分未満であると、高速包装時の面シールにおけるフィルム同士の融着が不十分になる傾向にあり、18g/10分を越えるとシールバーへのフィルムの融着やシール不良の発生、および溶断シール時に糸引き現象が発生し易くなり、いずれの現象も包装速度の高速化により顕著になってくる。またPP−aのMFRは3.0〜18g/10分の範囲であることに加えて、PP−cのMFR以上の値を有することが重要である。すなわち、PP−cのMFRがPP−aのMFRに対して同じか、下回る値であることが重要であり、こうすることで、特に高速包装時の溶断シール性が格段に改良されるのである。PP−aのMFRがPP−cのMFRの値を下回ると、溶断シールにおける糸引き現象が発生し易くなる他、シール部での強度のバラツキが大きくなる傾向がある。PP−aの好ましいMFRは3.0〜15g/10分、より好ましくは4.0〜12g/10分である。またPP−cに対するPP−aのMFRの値は同じか大きければ良いのだが、好ましくは、PP−cのMFRの値よりも2.0以上、より好ましくは3.0以上大きいものがよい。更にPP−cのMFRの下限は主に成形加工性の観点より約0.2が好ましい。
【0012】
本発明の表面層(A)および内部層(C)に用いられるポリプロピレン系樹脂としてはホモのPP、プロピレン含量が70重量%以上のポリプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンの他、炭素数4〜8のもの)の1種または2種類以上との共重合体であって、チーグラー・ナッタ触媒のような従来の触媒で重合されたもの以外に、メタロセン系触媒等で重合された分子量分布が狭い(通常、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)で4以下のもの)シンジオタクチックPPやアイソタクチックPP等も含まれ、更に50重量%までの高濃度のゴム成分を均一微分散したものであっても良く、これらのうち少なくとも1種が用いられる。なお、2種以上のPPを混合して用いる場合には、各層におけるPPのうち、主成分とみられるPPの融点、MFRが上記要件を具備すればよい。
【0013】
また、シュリンク包装においては、被包装物が剛性的に弱いもの(例えば、ノートや印刷用紙等の枚葉物およびそれらの束状のものも含む等)の場合、フィルムの収縮力によって、容易にソリ等の変形を生じる場合があり、こういった場合においては、上記の優れたシール適性を損なわずに変形を抑制するために、内部層(C)に使用されるPP−cにポリブテン−1系樹脂(以後、PBと記す。)を混合することが極めて有効である。通常混合されるPBの比率は、PP−c100重量部に対して、150重量部以下で使用され、変形抑制の要求度に応じて適宣、用いられる。PBの比率が150重量部を越えるとPP−cの有するシール性改良効果が発揮しずらくなる他、収縮性の低下やフィルム全体の腰が低下して包装機械適性が悪化する。好ましいPBの混合比率はPP−c100重量部に対して100重量部以下、より好ましくは80重量部以下である。
【0014】
本発明で用いられるPBとしては、ブテン−1含量70モル%以上の結晶性で他の単量体(エチレン、プロピレンの他、炭素数5〜8のオレフィン系)の1種または2種以上との共重合体をも含む高分子量のものが用いられる。このものは液状およびワックス状の分子量のものとは異なり、MFR(190℃、2.16kgf:以下、PBについては同条件。)が通常0.1〜10g/10分のものである。中でもビカット軟化点が40〜100℃の共重合体が、より効果的で好ましい。ここで示すビカット軟化点はJIS−K7206−1982に従って測定される値である。
【0015】
次に、本発明のフィルムは、内部層の少なくとも一層として、特定のエチレンα−オレフィン共重合体を含有する内部層(B)を有するが、該内部層(B)は安定した延伸性を確保し、実用的に十分な引裂強度、突刺強度等の強度物性をフィルム全体に付与し、低温収縮性をも発現させる役割を担っている。本発明の内部層(B)に使用されるエチレンα−オレフィン共重合体の密度は0.870〜0.930g/cm3であって、190℃、2.16kgfの条件下(以下、エチレンα−オレフィン共重合体については同条件。)で測定されるMFRが0.2〜7g/10分のものである。なお、本発明でいう密度とは、JIS−K−7112に従って測定される23℃の値である。密度が0.930g/cm3 を越えると延伸そのものが困難になり、また得られたフィルムの透明性が低下する他、低温収縮性も得にくくなる。
【0016】
一方、密度が0.870g/cm3 未満であると、PP−aおよびPP−cに対する粘弾性の差が大きくなりすぎるため、延伸の安定性に欠ける他、低温収縮性を付与する効果が発揮しずらくなる。好ましい密度は0.880〜0.926g/cm3 、より好ましくは0.900〜0.920g/cm3 である。また、MFRが7を越えると延伸安定性が低下して、延伸時にフィルムが破れたり、厚み斑を生じ易くなる他、フィルムが得られても引裂強度や突刺強度等の機械的強度に劣ったものしか得られない。MFRが0.2未満であると押出成形時の押出動力が上昇する問題と押出動力が上昇することによる押出効率の低下および生産性が低下するといった問題が生ずる。また、押出された原反の表面平滑性に悪影響を及ぼす場合がある。好ましいMFRは0.5〜5、より好ましくは0.6〜4である。
【0017】
上記内部層(B)に使用されるエチレンα−オレフィン共重合体としては線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等があり、これらはエチレンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数が3〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類の単量体との共重合体であるが、耐衝撃性や引裂強度、突刺強度等の機械的強度、および延伸製膜性の点から、α−オレフィンとしては4−メチル−ペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。
【0018】
以上のエチレンα−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒等の従来のマルチサイト触媒を用いて得られた重合体、またはメタロセン系触媒等のシングルサイト触媒で重合された分子的(コモノマー分布等)、分子量分布的に従来の方法で重合されたものより、より均一化されたもの(例えば、Mw/Mnで表される値が1.5〜3.5のもの、より好ましくは1.5〜3.0のもの)であり、両者を混合したものでよく、これらから少なくとも1種が用いられる。上記シングルサイト触媒で重合されたエチレンα−オレフィン共重合体には、制御された長鎖分岐を有したものであったり、上記α−オレフィンに加え、極性基を有する単量体やスチレン系モノマー等のその他の単量体が共重合されたものであっても良い。
【0019】
次に本発明のフィルムは、全層に占める各層の厚み比率が、表面層(A)が10〜60%、内部層(B)が20〜80%、内部層(C)が5〜60%であることが肝要であり、機械的強度、シール性、収縮性(包装仕上がり)、滑り性や腰等のシュリンクフィルムとしての必要な性能をバランスよく満足させる点で重要である。表面層(A)が10%未満であるとポリプロピレン系樹脂の腰を生かしたフィルムの滑りや包装機械適性が低下する。また60%を越えると引き裂きや突き刺しに対する機械的強度が低下したり、高速包装条件では溶断シール時に糸引きが生じ易い等、他の層が本来有する効果を発揮しずらくなる。また、内部層(B)の厚み比率が20%を下回ると、引き裂き等の機械的強度が不足し、低温収縮性の付与効果も発揮し得ない。
【0020】
一方、内部層(B)の厚み比率が80%を越えると引き裂きや突き刺しに対する強度が過剰になる他、フィルムの腰が低下し、またシュリンク時に層の界面で部分的に剥離を生じたり、界面がジグザグ状に変形して透明性や光沢が劣化したりする。そして、内部層(C)の厚み比率が5%を下回ると高速包装時に面シールでのシール破れや溶断シールでの糸引き現象を生じ易く、またPBブレンド効果であるシュリンク時の被包装物の変形抑制効果が発揮しずらくなる。一方、内部層(C)の厚み比率が60%を越えると延伸安定性が低下する傾向にあり、得られたフィルムも低温収縮性に乏しく、収縮率自体も低いレベルのものになり、包装仕上がりの点で問題を生じる。好ましい各層の層構成比は、表面層(A)が15〜50%、内部層(B)が30〜70%、内部層(C)が10〜45%である。より好ましい各層の層構成比は、表面層(A)が15〜40%、内部層(B)が40〜70%、内部層(C)が15〜40%である。
【0021】
本発明の多層フィルムは、収縮包装時にタイトな包装を十分に行うために、140℃における熱収縮率が、縦、横少なくとも1方向において30%以上であることが好ましい。多層フィルムの140℃における熱収縮率が縦、横少なくとも1方向において30%未満では収縮性に乏しく、収縮包装時の包装後のタイトな感じがなく、包装後のシワ等により商品の商品価値を著しく損ねてしまう。更に好ましい熱収縮率は140℃における熱収縮率が縦、横少なくとも1方向において35%以上より好ましくは40%以上である。
【0022】
上記表面層(A)、内部層(B)および内部層(C)にはその本来の特性を損なわない範囲で、1種以上の他の樹脂を50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下で混合しても良い。他の樹脂は特に限定されないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびその部分ケン化物、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、低圧法高密度ポリエチレン、遷移金属触媒によって重合された高分岐度エチレンポリマー(分岐度:5〜110基/1000炭素)、スチレン−共役ジエン共重合体(ブロック、ランダム)および該共重合体の少なくとも一部を水添したもの、またこれらの樹脂を酸変性等により改質したもの、結晶性1、2−ポリブタジエンその他、水添ポリジシクロペンタジエン、水添ポリテルペン等の石油樹脂、非晶性ポリオレフィンとしてプロピレン単独あるいはプロピレンとエチレンやブテン−1を共重合した分子量の比較的低い非晶性のポリオレフィン系ポリマーがあげられ、190℃における溶融粘度において、300〜10000cpsのものが代表例としてあげられる。また、混合の対象となる層以外の層に使用されている樹脂等が挙げられる。
【0023】
また、同様に本発明の表面層(A)、内部層(B)および内部層(C)にはその本来の特性を損なわない範囲で可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、無機フィラー、防曇剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含んでも良く、樹脂への添加方法としては直接対象樹脂層に練り込み添加するか、場合によってマスターバッチをあらかじめ作製して希釈添加してもよい。
【0024】
本発明のフィルムは表面層(A)および内部層(B)、(C)の合計少なくとも4層から構成されるが、場合によって、表面層(A)と同一の樹脂を用いた樹脂層を内部層として加えても良い。層の配置としては、例えば、4層の場合:A/B/C/A、5層の場合:A/C/B/C/A、A/B/C/B/A、A/B/A/C/A等、7層の場合:A/C/B/C/B/C/A、A/B/C/B/C/B/A等が挙げられる。他に6層、8層およびそれ以上の場合も含むものとする。また、本発明のフィルムには、その本来の特性を損なわない範囲で、更に内部層として、本発明の(A),(B),(C)の各層に使用可能な樹脂の他、公知の熱可塑性樹脂で構成される別の層を配してもよい。この追加される層には、回収層として、フィルム各層に使用されている樹脂からなる混合組成物層も含まれる。
【0025】
本発明の熱収縮性多層フィルムの厚みは通常5〜80μm、好ましくは6〜60μm、より好ましくは7〜40μmの薄肉の領域である。5μm未満ではフィルムの腰が低下し、シール強度も低下する。また包装時の作業性に問題が生ずる。また80μmを越えるとフィルムの腰が強くなりすぎ、フィット性が悪くなるほか、収縮の応答性が悪くなったり、機械的強度等の性能が過剰となる。
【0026】
次に、本発明の熱収縮性多層フィルムの製法の一例について述べる。まず、各層((A)、(B)、(C)層および必要に応じて用いられるその他の層)を構成する樹脂をそれぞれの押出機で溶融して、多層ダイで共押出・急冷固化して多層フィルム原反を得る。押出方法としては多層のTダイ法、多層のサーキュラー法等を用いることが出来るが、好ましくは後者がよい。このようにして得た該多層フィルム原反を加熱して、配向を付与するのに適当な温度条件下で延伸を行う。延伸温度としては、フィルムの延伸開始点(インフレ法の場合は、バブルとして膨張開始する位置)における表面温度で通常140℃以下、好ましくは130℃以下である。ただし、延伸温度の下限は、延伸後のフィルムの寸法安定性の点から40℃がよい。
【0027】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター法、インフレ法(ダブルバブル法を含む)等があるが、同時二軸延伸で製膜される方法が延伸性その他合理性等より好ましい。また延伸は少なくとも1方向に面積延伸倍率で3〜50倍、好ましくは3.5〜40倍さらに好ましくは4〜30倍で延伸し、用途により必要な熱収縮率等に応じて適宣選択される。また、必要に応じ、後処理、例えば寸法安定性のためのヒートセット、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理、印刷処理、他種のフィルム等とのラミネーション等が行われても良い。
更に、本発明のフィルムは、その少なくとも1つの層が架橋されていてもよく、架橋処理は、電子線(例えば、加速電圧50〜1000kVの照射装置)、紫外線、γ線等のエネルギー線照射やパーオキサイドの利用等の従来公知の方法が用いられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本説明を実施例にて更に詳しく説明するが、本発明で用いた測定評価方法は、以下の通りである。
(1)融点
測定試料を6〜8mg採取してアルミパンに詰め、パーキンエルマー社製示差走査熱分析装置(DSC−7)を用いてDSC法により、窒素気流下にて10℃/分の昇温速度で一旦200℃まで昇温して1分間保持した後、10℃/分の降温速度で0℃まで冷却した。その後、0℃の状態で1分間保持した後、再度10℃/分で昇温して測定を行い、その時の最も高温の吸熱ピークを融点とした。
(2)熱収縮率
100mm角のフィルム試料を所定の温度に設定したエアーオーブン式の恒温槽に入れ、自由に収縮する状態で30分処理した後フィルムの収縮量を求め、元の寸法で割った値を百分率で表した。なお、測定は縦方向(MD)、横方向(TD)の各々について行った。
【0029】
(3)光学特性
ヘイズはASTM−D−1003、グロスはASTM−D−2457に各々準じて測定を行った。
(4)動摩擦係数
JIS−K−7125に準じて、試験速度700mm/分で測定を行った。この際、試験テーブルはアクリル板の枠に半硬質のポリエチレン製の発泡体シートをはめ込み固定したものを用い、また滑り片は表面が梨地加工されたステンレス製の板状のもの(重量:500g)を使用した。
(5)引裂強度
JIS−P−8116に準じて、軽荷重引裂試験機(東洋精機製)を用いて、縦方向(MD)と横方向(TD)各々について測定した。なお、ここでの測定値の読みは、目盛りの20〜60の範囲になるように測定を行うが、測定レンジによって測定値に差がある場合は、高い方の値を測定した。
【0030】
(6)溶断シール性
(6−1)溶断シール開始温度
テスター産業(株)製TP701ヒートシールテスターに、表面にテフロンコート処理が施されている0.5mmR×280mmLの溶断刃を取り付け、シール条件としてエアー圧力3kg/cm2 (エアーシリンダー径:50mmφ)、シール時間1秒の条件で温度を色々変えて溶断シールを行った。この時の温度は溶断刃の先端の温度を接触式温度計にて実測し、これを各温度条件の値とした。二つ折りにして2枚重ねにされた状態の各測定フィルムは溶断刃に対して余裕を持った幅寸法のもので上記テストを行い、溶断刃の90%以上(252mm以上)が溶断された最低温度を溶断シール開始温度とした。なお、溶断シール開始温度は低温ほど高速包装条件に適し、また省エネルギーの観点からも好ましい。
【0031】
(6−2)溶断シールの仕上がり
上記(6−1)で規定した溶断シール開始温度よりも約10℃高い温度条件で溶断シールしたものについて、その溶断シールの仕上がりを以下の基準で評価した。
○:シールは完全で欠陥が認められず、また糸引きがほとんど無く溶断面の仕上がりがきれいな状態。
△:シールはほぼ完全であるが、若干の糸引きが見られ商品性にやや問題がある状態。
×:明らかな糸引きが何カ所にも見られるか、もしくはシール部に局部的な開口部等のシール不良があり、商品として問題がある状態。
【0032】
(7)高速包装適性
茨木精機(株)製FP−280型万能自動包装機を用いて、直方体の木片(概略寸法:150×100×35mm)を60パック/分の包装速度で2分間、計120個の包装を行った。使用した包装機は、シール方法として、センターシール部での熱ローラー方式による面シール、次いでカッターシール部での溶断シールを採用しており、以下の評価を行った。なお、収縮は上記の包装に連続して熱風式シュリンクトンネルを約5秒で通過させて行った。また、各シール部および収縮時の熱風の温度は、各フィルムの最適条件になるように適宣条件変更を行った。
◎:包装中に各シール部において融着や粘着に基づくフィルムの走行トラブルが無く、シュリンク後の包装体についても各シール部に破れ等の欠陥が無く、また溶断シール部の見栄えが良く商品性に優れる。
○:包装中に各シール部において融着や粘着に基づくフィルムの走行トラブルが無く、シュリンク後の包装体についても各シール部に破れ等の欠陥が無いものの半数以上の包装体に溶断シール部に糸引きの影響による外観不良が若干認められる。但し、商品性としては許容される範囲。
△:包装中に各シール部においてシーラーへのフィルムの融着、粘着が認められ、フィルムの走行性が不安定である。また、シュリンク後のほとんどの包装体には溶断シール部に糸引きによる外観不良が認められるか、もしくは包装体のシール部に破れ等の欠陥部を有するものが、1〜10ヶ認められる。
×:包装体に各シール部においてシーラーへのフィルムの融着、粘着によるトラブルが発生し、連続してフィルムを走行させることが困難。または、シュリンク後の包装体にはシール部に破れ等の欠陥を有するものが、11ヶ以上認められる。
【0033】
次に、実施例および比較例において使用した樹脂を以下に記す。
LL1:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR(190℃、2.16kg f)=2.0g/10分、密度=0.917g/cm3 、α−オレフィン=ヘキセン−1)
LL2:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=4.0g/10分、密度=0.927g/cm3 、α−オレフィン=ヘキセン−1)
LL3:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=2.0g/10分、密度=0.912g/cm3 、α−オレフィン=ヘキセン−1)
LL4:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=4.0g/10分、密度=0.916g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL5:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=0.8g/10分、密度=0.905g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL6:エチレンα−オレフィン共重合体(シングルサイト触媒で重合されたもの。MFR=1.0g/10分、密度=0.868g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL7:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=1.0g/10分、密度=0.920g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL8:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=0.7g/10分、密度=0.917g/cm3 、α−オレフィン=ヘキセン−1)
LL9:エチレンα−オレフィン共重合体(シングルサイト触媒で重合されたもの。MFR=1.6g/10分)、密度=0.895g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL10:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=1.0g/10分、密度=0.884g/cm3 、α−オレフィン=ブテン−1)
【0034】
LL11:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=2.2g/10分、密度=0.905g/cm3 、α−オレフィン=4−メチル−ペンテン−1)
LL12:エチレンα−オレフィン共重合体(シングルサイト触媒で重合されたもの。MFR=1.0g/10分、密度=0.902g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL13:エチレンα−オレフィン共重合体(シングルサイト触媒で重合されたもの。MFR=3.5g/10分、密度=0.910g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL14:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=2.1g/10分、密度=0.939g/cm3 、α−オレフィン=オクテン−1)
LL15:エチレンα−オレフィン共重合体(MFR=10.0g/10分、密度=0.914g/cm3 、α−オレフィン=ヘキセン−1)
PP1:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR(230℃、2.16kgf)=7.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=140℃)
PP2:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR=6.5g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=145℃)
PP3:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR=1.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=148℃)
PP4:ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン:MFR=4.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=161℃)
PP5:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR=18.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=145℃)
PP6:ポリプロピレン系樹脂(プロピレン−(エチレン−プロピレンゴム)共重合体:MFR=8.7g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=130℃)
PP7:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン−ブテン共重合体:MFR=5.5g/10分、密度=0.890g/cm3 、融点=132℃)
PP8:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン−ブテン共重合体:MFR=5.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=120℃)
PP9:メタロセン触媒で重合されたシンジオタクチックプロピレン:MFR=2.5g/10分、密度=0.886g/cm3 、融点=149℃)
PP10:ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン:MFR=8.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=161℃)
【0035】
PP11:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR=5.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=126℃)
PP12:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR=1.9g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=142℃)
PP13:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR=20.0g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=135℃)
PP14:ポリプロピレン系樹脂(エチレン−プロピレン共重合体:MFR=0.8g/10分、密度=0.900g/cm3 、融点=140℃)
PB1:ポリブテン−1系樹脂(プロピレンをコモノマーとする共重合体、MFR(190℃、2.16kgf)=2.0g/10分、ビカット軟化点=61℃)
混合1:LL1(57重量%)、PP1(19重量%)、PP3(24重量%)を混合させたもの
混合2:LL1(53重量%)、PP1(21重量%)、PP3(26重量%)を混合させたもの
混合3:LL1(32重量%)、PP1(12重量%)、PP3(56重量%)を混合させたもの
混合4:LL1(28重量%)、PP1(14重量%)、PP3(58重量%)を混合させたもの
混合5:PP3(50重量%)、PB1(50重量%)を混合させたもの
混合6:PP3(70重量%)、PB1(30重量%)を混合させたもの
混合7:PP3(90重量%)、PB1(10重量%)を混合させたもの
【0036】
【実施例1】
表面層(A)にエチレン−プロピレン共重合体:PP1(MFR=7.0g/10分、融点=140℃)を配し、内部層(B)にエチレンα−オレフィン共重合体:LL1(MFR=2.0g/10分、密度=0.917g/cm3、α−オレフィン=ヘキセン−1)を、さらに別の内部層(C)にエチレン−プロピレン共重合体:PP3(MFR=1.0g/10分、融点=148℃)を用い、各々表面層(A)には32φmm押出機(L/D=22)を、内部層(B)には40φmm押出機(L/D=24)を、内部層(C)には32φmm押出機(L/D=22)を使用して、層配置がPP1/LL1/PP3/LL1/PP1の5層になるように環状5層ダイを用いて押出した(押出量20Kg/h)。その直後、冷水にて急冷固化して折り幅200mm、厚み230μmの各層とも均一な厚み精度のチューブ状原反を作成した。各層の厚み比率(%)はチューブの外側から10/27.5/25/27.5/10になるように調整した。
【0037】
なお、表面層(A)には、アンチブロッキング剤として、長石微粉砕品(平均粒径4.5μm:白石工業「Minex7」)を0.1重量%、エルカ酸アミド0.15重量%を添加した。次に、この原反を2対の差動ニップロール間に通し、加熱ゾーンで延伸可能な温度まで加熱し、延伸ゾーンでチューブ内部に空気を圧入してバブルを形成させて連続延伸を行い、冷却ゾーンで冷風を吹き付けて縦横同時2軸延伸を行った。得られたフィルムは厚みが15μmで該フィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは、溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、高収縮性で、光学特性や引裂強度等の物性にも優れるものであった。
【0038】
【実施例2〜10】
内部層(B)に使用するエチレンα−オレフィン共重合体を各々変更した以外は、実施例1と同様な方法で、フィルムを得、これを実施例2〜10とした。
フィルムの層構成ならびに評価結果を表1〜表2に示す。得られたフィルムはいずれも実施例1と同様に、溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、高収縮性で、光学特性および引裂強度等の物性にも優れるものであった。
【0039】
【実施例11〜18】
内部層(B)はそのままで、表面層(A)および内部層(C)のポリプロピレン系樹脂を種々変え、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。フィルムの層構成ならびに評価結果を表2〜表3に示すが、いずれも溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、高収縮性であり、光学特性および引裂強度等の物性にも優れるものであった。
【0040】
【実施例19〜21】
内部層(B)および内部層(C)の配置と各層に使用する樹脂を種々変え、以下実施例1と同様な方法でフィルムを得た。フィルムの層構成と評価結果を表4に示す。
【0041】
【実施例22〜24】
各層の厚み比率を種々変更した以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。実施例22の層構成比(%)はA/B/C/B/A=20/20/20/20/20、実施例23の層構成比(%)はA/B/C/B/A=10/32.5/15/32.5/10、実施例24の層構成比(%)はA/B/C/B/A=10/20/40/20/10で製膜を行った。
得られたフィルムの評価結果を表4に示す。得られたフィルムは、実施例1と同様に溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、高収縮性、光学特性および引裂強度等の物性にも優れるものであった。
【0042】
【実施例25〜27】
表面層(A)に添加した添加剤の量や種類を変更した以外は、実施例1と同様な層構成、層比率のチューブ状原反を作製し、以下同様な方法でフィルムを得た。実施例25には表面層(A)に対し、長石微粉砕品(平均粒径4.5μm:白石工業「Minex7」)を0.25重量%、エルカ酸アミド0.3重量%およびグリセリンモノステアレートが主成分である帯電防止剤(理研ビタミン「リケマールS−100」)1重量%を添加し、以下同様に、実施例26には長石微粉砕品(Minex7)0.25重量%、メチルフェニルシリコーンオイル(25℃における粘度が約400センチストークスのもの)0.3重量%および帯電防止剤(リケマールS−100)1重量%を添加、そして実施例27にはグリセリンモノオレートとジグリセリンラウレートを重量比で2:1に混合したものを1.5重量%添加した。得られたフィルムの物性を表5に示す。得られたフィルムは、いずれも溶断シール性や高速包装適性に優れる他、実施例27で得られたフィルムにあっては防曇性に優れるものであった。(防曇性の評価としては20℃の水を入れた上部開放容器をフィルムで密閉状態に覆った後、5℃の冷蔵ショーケースに保管して、フィルム表面への水滴の発生状況を観察し、水滴がなく、透明性の良いものほど防曇性に優れる。)
【0043】
【実施例28〜30】
実施例1に使用した樹脂原料を用いて、内部層(B)および(C)に3元ブレンド樹脂組成物を、適宜配し、以下、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。フィルムの層構成ならびに評価結果を表5に示す。得られたフィルムは、いずれも実施例1と同様、溶断シール性、高速包装適性に優れるものであった。
【0044】
【実施例31〜33】
チューブ状原反の厚みを変えた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。実施例31のチューブ状原反の厚みは150μm、同様に実施例32は300μm、実施例33は350μmで調整し、得られたフィルムの厚みは実施例31から順に10μm、20μm、25μmであった。
得られたフィルムの評価結果を表6に示す。得られたフィルムは、いずれも溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、収縮性、光学特性等の物性にも優れるものであった。
【0045】
【実施例34〜36】
内部層(C)にポリブテン−1系樹脂(PB1)をブレンドした樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。PB1のブレンド比率を50重量%として用いたものを実施例34、同じくブレンド比率を30重量%として用いたものを実施例35、そして同じくブレンド比率を10重量%として用いたものを実施例36とした。
得られたフィルムの評価結果を表7に示す。得られたフィルムは、いずれも実施例1と同様、溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、収縮性、光学特性および引裂強度等の物性にも優れるものであった。
【0046】
また、得られたフィルムを実施例1(PBを含まない実施例)で得られたフィルムと共に、ノートブック(6号、179×252mm)4冊の集積包装を行った。実施例1のフィルムを使用した場合、包装体に若干の反りが認められたが、PBをブレンドした層を有した実施例34〜36のフィルムでは包装体に反り等の変形がなく、タイトで良好な仕上がりが得られ、剛性に劣る被包装物の収縮包装にも適したものであった。
【0047】
【実施例37】
実施例14の内部層(C)のPP3をPP14と非晶性ポリオレフィン(190℃における溶融粘度=8000cps、軟化点=110℃)をブレンドした組成物に置き換えた。非晶性ポリオレフィンのブレンド比率は内部層(C)に使用するPP14に対し、30重量%ブレンドした樹脂組成物を使用した。組成物の物性はMFR=3.8g/10分、密度=0.887g/cm3、融点=139℃であった。それ以外は、実施例14と同様な方法で、フィルムを得、実施例34とした。得られたフィルムの評価を表7に示すが、溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、収縮性に向上し、光学特性および引裂強度等の物性にも優れるものであった。
【0048】
【実施例38】
各層の厚み比率を変化した以外は実施例37と同様な方法で、フィルムを得た。実施例38の層構成比(%)はA/B/C/B/A=10/32.5/15/32.5/10で製膜を行った。得られたフィルムの評価を表7に示すが、溶断シール性に優れ、高速包装適性を有する他、高収縮性で、光学特性および引裂強度等の物性にも優れるものであった。
【0049】
【比較例1〜3】
内部層(B)に使用するエチレンα−オレフィン共重合体を本発明の技術的範囲外のもので各々置き換えた以外は実施例1と同様な方法でフィルムを得、これを比較例1〜3とした。比較例1のLL6(α−オレフィン:オクテン−1)および比較例2のLL14(コモノマー:オクテン−1)は密度が本発明の範囲外の樹脂であり、比較例3のLL15(コモノマー:ヘキセン−1)はMFR(190℃、2.16kgf)が本発明の範囲外の樹脂である。
【0050】
該フィルムの評価結果を表8に示す。比較例1で得られたフィルムは、収縮性に劣り、光学特性(透明性)が悪く、引裂強度に劣るものであった。比較例2は延伸そのものが困難であったが延伸倍率を下げて、かろうじて得た小片サンプルを評価したところ、収縮性や光学特性に劣るものであった。また比較例3は延伸時に、フィルム切れを起こし易く、安定した延伸は困難であった。得られたフィルムの引裂強度も弱く、高速包装適性も劣るものであった。
【0051】
【比較例4〜7】
本発明の技術的範囲外のものとして、まず実施例1の表面層(A)をPP10で置き換え、PP−aの融点(およびPP−cとの融点との関係)が本発明の範囲外であるものを比較例4とし、次に、同じく実施例1の表面層(A)をPP13で置き換え、PP−aのMFRが本発明の範囲外であるものを比較例5とした。また、実施例1の内部層(C)をPP8で置き換え、PP−aとPP−cの融点の関係が本発明の範囲外であるものを比較例6、更に、実施例1の表面層(A)をPP3、内部層(C)をPP4で置き換え、PP−aとPP−cのMFRの関係が本発明の範囲外であるものを比較例7とした。これらはいずれも実施例1と同様な方法でフィルムを得たが、その評価結果を表9に示す。比較例4と7は光学特性、比較例5は引裂特性に各々劣る他、いずれも溶断シール性や高速包装適性に劣るものであった。
【0052】
【比較例8〜10】
フィルムの厚み構成比を本発明の範囲外に変更した以外は実施例1と同様にしてチューブ状原反を作製し、延伸製膜を行った。各々の厚み構成比およびフィルムの評価結果を表10に示す。
まず、比較例8においては延伸安定性に欠け、偏肉の大きなフィルム(バブル全周でのフィルムの偏肉が±42%。ちなみに本発明の実施例で得られたフィルムはすべて±15%以内の偏肉の小さな良好なものであった。)しか得られず、結果として高速包装時にフィルムが安定して走行せず、シール不良が多発した。また、光学特性にも若干劣るものであった。比較例9においては、高速包装時に、フィルムの破れが多発し、また溶断シールにおいても糸引き現象が認められ、問題のあるものであった。そして、比較例10で得られたフィルムでは、溶断シール性(糸引き現象の発生)に劣り、高速包装時においては、センターシール部およびカッターシール部において、いずれもシール不良によるトラブルが発生し、問題を有するものであった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
【表9】
【0062】
【表10】
【0063】
【発明の効果】
本発明は上述の構成を有することによって、従来の収縮包装用フィルムにはない極めて総合的にバランスのとれた高性能な熱収縮フィルムを提供できる。即ち、ポリプロピレン系樹脂を表面層に配した従来の多層フィルムが有する優れた包装機械適性(フィルムの腰及び滑り)、引裂等の機械的強度、収縮特性に加え、従来のフィルムの欠点であったヒートシール性、すなわち面シールおよび溶断シールのいずれの場合においても安定したヒートシール性を高速包装条件下においても発揮し、又、ノートや印刷用紙の枚葉物(およびそれらの束状のものも含む)を包装するときに生じ易い被包装物の変形を抑制し、包装仕上がりを格段に改良し得る熱収縮性多層フィルムを提供できる。
Claims (2)
- ポリプロピレン系樹脂を含有する表面層(A)、および内部層の少なくとも1つにエチレンα−オレフィン共重合体を含有する層(B)を有する少なくとも4層からなる多層フィルムにおいて、以下の(1)〜(5)を特徴とする多層フィルム。
(1)別の内部層(C)として、ポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂とポリブテン−1系樹脂との樹脂組成物を含有する層を少なくとも1層含むこと
(2)表面層(A)に用いられるポリプロピレン系樹脂の融点が内部層(C)に用いられるポリプロピレン系樹脂の融点以下でかつ155℃以下、120℃以上であり、そして表面層(A)に用いられるポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kgfの条件下で測定されるメルトフローレートが内部層(C)に用いられるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート以上でかつ3.0〜18g/10分であること
(3)内部層(B)に用いられるエチレンα−オレフィン共重合体の密度が0.870〜0.930g/cm3であって、190℃、2.16kgfの条件下で測定されるメルトフローレートが0.2〜7g/10分であること
(4)全層に占める前記の各層厚み比率が表面層(A)が10〜60%、内部層(B)が20〜80%、内部層(C)が5〜60%であること
(5)表面層(A)に用いられるポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kgfの条件下で測定されるメルトフローレートが、内部層(C)に用いられるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートよりも3.0以上大きいこと - 縦、横少なくとも1方向の、140℃における熱収縮率が30%以上である請求項1記載の多層フィルム。
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