JP4017386B2 - 非水溶媒中におけるフルオロアルキルスルホニル基含有アルカリ金属塩の製造方法及びその使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン導電性材料を構成する物質であって、例えば、電池用電解質やポリマー材料用帯電防止剤やエレクトロクロミック素子として有用な物質であるフルオロアルキルスルホニル基含有塩の製造方法及びその使用法方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フルオロアルキルスルホニル基含有塩は、電池用電解質やポリマーの帯電防止剤として有用であることが知られている。フルオロアルキルスルホニル基含有塩としては一般に下記式により示すものが挙げられる。
【0003】
【化3】
【0004】
(式中、Rfは、各々独立に、炭素数が1〜12個の直鎖もしくは枝分かれのフッ素化されたアルキル基であり、Xは酸素、窒素又は炭素であり、Xが酸素であるときにはnは1であり、Xが窒素であるときにはnは2であり、Xが炭素であるときにはnは3であり、Mはアルカリ金属である)。このようなアルカリ金属塩、すなわち、イオン性化合物は、特開平1−268671号公報に開示されているごとく、
【0005】
【化4】
(式中、Rf、X及びnは、上記に規定したとおりである)で示される酸を、水と混合し、アルカリ金属化合物との中和反応によって金属塩に転化することにより得られる。このように得られたアルカリ金属塩の水溶液は乾燥工程を経て目的のイオン性化合物を単体として得ることができる。具体的には、CF3SO3Liを製造する場合には、CF3SO3Hを水と混合した後に、水酸化リチウム一水和物や炭酸リチウムで中和することによりCF3SO3Liの水溶液が得られ、さらに乾燥により水を除去することにより、単体のCF3SO3Liを得ることができる。
【0006】
このように溶媒として水を含む反応媒体を用いて、酸を中和する方法では、前駆体である酸又は溶媒である水に、フッ素や硫酸などのイオン性不純物が含まれている場合に、それらの塩は水への溶解性を有するために、中和後の目的化合物の水溶液中に不純物イオンとして残存してしまう。結果として、それらの不純物イオンは、乾燥後の目的化合物中にも残存することになり、例えば、これを非水溶媒中に溶解して電池の電解液とする場合には、残存したイオン性不純物が電池性能に悪影響を及ぼすことが懸念される。また、ポリマーの帯電防止剤として使用する場合には、上記のようなイオン性不純物が含まれていると、添加されるポリマーの透明性が損なわれるという懸念がある。
【0007】
溶媒として水を含む場合の別の問題点は充分な水分除去に関する問題である。目的のアルカリ金属塩をポリマー材料の帯電防止剤として使用する場合、この目的化合物に水分が残存していると、ポリマー樹脂を成形する際の加熱により、成形体が膨潤もしくは発泡することがある。また、アルカリ金属塩、特に、リチウム塩をアルカリイオン二次電池に代表される非水電解液電池のための電解質として用いる場合にも、水分は極力低減されていなければならず、目的化合物からの水分除去は完全に行なわれねばならない。したがって、従来から一般に使用されている水溶液中での中和工程においては、中和後の目的化合物の水溶液からの水の乾燥除去は必要不可欠である。水溶液から目的化合物単体を得るためには、一般に、送風乾燥、噴霧乾燥又は減圧乾燥などの方法が用いられるが、目的化合物がリチウム塩である場合には、目的化合物は非常に強い吸湿性を示すために、乾燥や加熱の面で大きな手間がかかり、水分の乾燥除去工程が目的化合物の製造のコストの上昇の一因ともなっている。場合によっては、目的化合物の水溶液から大まかに水を除去する第一段目の乾燥工程で、水分を数百ppm〜数千ppmに除去することに加えて、さらに微量水分を除去する第二番目の乾燥工程で、100ppm以下の水分値とする必要があり、水分除去だけで非常に煩雑な工程を伴う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フルオロアルキルスルホニル基含有化合物の製造方法において、中和反応時に生成される水分の除去以外には水分除去工程を実質的に必要とせず、不純物イオン性化合物を殆ど含まずに、目的化合物を得ることができる、非水溶媒中における製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、下記式
【化5】
(式中、Rfは、各々独立に、炭素数が1〜12個の直鎖もしくは枝分かれのフッ素化されたアルキル基であり、Xは酸素、窒素又は炭素であり、Xが酸素であるときにはnは1であり、Xが窒素であるときにはnは2であり、Xが炭素であるときにはnは3であり、Mはアルカリ金属である)により示されるアルカリ金属塩の製造方法であって、
【化6】
(式中、Rf、X及びnは、上記に規定したとおりである)で示される酸をアルカリ金属化合物と非水溶媒中で混合し、それを中和することを含む、アルカリ金属塩の製造方法、が提供される。
このような方法を用いると、水分含有量が非常に低い状態で目的とするアルカリ金属塩化合物を得ることができるとともに、電池やポリマーの性能などに悪影響を及ぼすイオン性不純物を含有しない状態でかかる目的化合物を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の方法により製造されるアルカリ金属塩は、Rf−SO2−基を含有するアルカリ金属塩であり、対応する酸をアルカリ金属化合物で中和することにより得られる。Rfは炭素数が1〜12個の直鎖もしくは枝分かれのフッ素化されたアルキル基である。Rfは、ペルフルオロアルキル基であることが好ましい。というのは、塩のアルカリ金属は、Rfがペルフルオロアルキル基であるときに、電離しやすく、したがって、電解質や帯電防止剤としての有効性が高くなるからである。
【0011】
アルカリ金属塩は、具体的には、RfSO2−O−M(スルホン酸塩)、(RfSO2)2−N−M(スルホニルイミド塩)、(RfSO2)3−C−M(スルホニルメチド塩)であり、Rfは、各々独立であって、例えば、CF3−、C2F5−、C3F7−、C4F9−などであることができる。Mは、例えば、Li,Na,Kであることができる。アルカリ金属塩を電池の電解質として使用する場合には、電池の性能を高めるためにLiであることが特に好ましい。
【0012】
中和に使用されるアルカリ金属化合物は、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属水酸化物であってよい。
【0013】
本発明のアルカリ金属塩の製造方法に使用される溶媒は非水溶媒である。非水溶媒としては、水よりも誘電率の低いもの、すなわち、誘電率が78より低いものであれば特に限定されない。具体的には、非水溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類や、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの炭酸エステル類が挙げられる。
【0014】
中和後に、目的とするアルカリ金属塩化合物の溶液から溶媒を除去して、アルカリ金属塩化合物を単離する場合には、フッ素イオンや硫酸イオンなどの塩類を殆ど溶解せずかつ目的のアルカリ金属塩化合物の溶解度が高い非水溶媒を選択することが望ましい。溶解度が高いほうが、除去すべき溶媒の使用量を低減することができるからである。このような条件を満たす溶媒を選択すると、目的とするアルカリ金属塩化合物の前駆体である酸と非水溶媒とを混合する段階で、酸の仕込み量を大きくしても、中和直後からアルカリ金属塩化合物が析出してしまうことを防止することができる。一般に、極性物質の溶媒への溶解のしやすさは溶媒の誘電率と相関がある。したがって、誘電率が1以上で78以下の非水溶媒を用いることが好ましく、より好ましくは誘電率が10以上で60以下、さらに好ましくは誘電率が15以上で40以下である。誘電率が低すぎると、アルカリ金属塩化合物の溶解度が低くなりすぎ、誘電率が高すぎると、アルカリ金属塩化合物溶液の製造時に溶液中にイオン性不純物を取り込んでしまうからである。具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール類を非水溶媒として使用することが望ましい。
【0015】
一方、中和後に、非水溶媒を除去する必要がない場合には、誘電率が78より低いものであれば、用いる溶媒は限定されない。しかし、得られるアルカリ金属塩化合物の溶液を、アルカリ金属系電池、例えば、リチウム系電池の電解液として用いる場合には、電池の電解質のための溶媒として用いられる非水溶媒が選択されることが望ましい。この場合、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの炭酸エステル類が非水溶媒として使用されることが望ましい。
【0016】
本発明の製造方法により製造されるアルカリ金属塩化合物は、電池の電解質として特に有効である。電池は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、本発明の製造方法により、アルカリ金属塩に対応する酸をアルコールなどの非水溶媒中でアルカリ金属化合物により中和して、アルカリ金属塩化合物を製造する。次いで、ろ過、遠心分離又は沈殿法などの適切な手段によって、アルカリ金属化合物の非水溶媒中の溶液中に存在する不溶解分を除去する。次いで、非水溶媒を蒸留、送風乾燥などの適切な手段により除去して、固体状態のアルカリ金属塩を得る。このように得られた固体状態のアルカリ金属塩化合物を炭酸エステル又はグライムなどの電池溶媒に溶解して電解液を得る。さらに、元々溶媒中に含まれていた水分や、中和反応の最中に混入した水分や、中和反応により生じた水をリチウム置換型モレキュラーシーブや活性アルミナなどの吸着剤などの手段により、例えば100ppm以下の水分にまで完全に乾燥・除去する。このように得られた電解液を、必要に応じて、液漏れ防止のためのゲル形成性ポリマーなどの他の成分と混合し、その後、予め電極体などが封入されている電池缶にそれを注入し、そして封入することにより電池が製造される。また、本発明の製造方法において、炭酸エステルなどの電池溶媒を非水溶媒として使用するときには、上記の電池製造工程において、非水溶媒の除去及びアルカリ金属塩化合物の電池溶媒への溶解の手順は不要になる。また、当然に、得られた電解液は、さらに他の溶媒等と混合することができる。本発明の製造方法によると、得られるアルカリ金属塩は、電池劣化の原因となるSO4 2-、F-などの不純物を殆ど含まないので、電池の寿命を長くすることができる。
【0017】
本発明の製造方法により製造されるアルカリ金属塩化合物は、ポリマー材料用帯電防止剤としても有効である。帯電防止剤として使用するときには、上記の電池製造の場合と同様にして得られた固体状態のアルカリ金属塩をポリマー中に配合することにより使用される。帯電防止処理できるポリマーとしては、限定するわけではないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリエステル、ポリ(芳香族ビニル)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー、ビニルアルコールもしくは一酸化炭素とオレフィンとのコポリマーなどが挙げられる。従来の水系溶媒中で製造されるアルカリ金属塩はSO4 2-、F-などの不純物を多量に含み、かかる不純物はポリマーの透明性を妨げる作用を有するが、本発明の製造方法により得られるアルカリ金属塩はかかる不純物を殆ど含まないので、ポリマーの透明性を確保しながら、帯電防止処理を行なうことができる。したがって、透明性の高いポリマー、特に、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂等への帯電防止剤としての使用に特に有利である。また、本発明により製造されるアルカリ金属塩は、チオシアネート塩などの従来から常用されている帯電防止剤と比較して、少量の添加で充分な帯電防止作用を発揮する。ポリマー材料に対する添加量は、ポリマーの重量を基準として約0.01〜10重量%、好ましくは、0.1重量%〜3重量%である。このように、少量でも帯電防止効果があるので、ポリマーの水に対する感受性などの悪影響を及ぼさない。
【0018】
また、アルカリ金属塩を帯電防止剤として用いる場合には、トリエチルホスフェートなどのホスフェートエステル、オレイン酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、メチルステアレートなどのカルボン酸エステル及びポリエーテル類などの向上剤を併用して、帯電防止効果を高めることもできる。向上剤を使用する場合には、通常、アルカリ金属塩1モル当たり1〜25モルの向上剤が使用される。
【0019】
【実施例】
以下において、本発明を実施例によりさらに説明する。実施例において、特に指示がない限り、比率及び百分率は質量基準で記載されている。
試験方法
実施例における不純物イオンの測定は、以下の方法によって行なった。
フッ素イオン(F-):フッ素イオン選択性電極
硫酸イオン(SO4 2-):硫酸バリウム沈殿生成を利用した比濁法である。ただし、濁度は濁度計(NTU単位)を用いて定量的に測定した。また、硫酸濃度が異なる複数のリファレンス溶液の濁度を測定することにより検量線を作成し、試料中の硫酸イオン含有量はこの検量線から算出した。
【0020】
実施例1
不純物として遊離フッ素イオン(F-)及び硫酸イオン(SO4 2-)を含むCF3SO3H18.9gとメタノール20.1gを混合した溶液を室温で攪拌しながら、炭酸リチウム5.7gを徐々に加えた。その後、一昼夜攪拌し、孔径0.5μmのフッ素樹脂フィルターで不溶解分をろ別した後に、送風乾燥機にてメタノールを除去し、白色固体を得た。この固体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々8ppm及び29ppmであった。
【0021】
実施例2
実施例1と同様の不純物を含むCF3SO3H20.1g、エタノール20.0g、炭酸リチウム5.2gを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、白色固体を得た。得られた白色固体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々3ppm及び21ppmであった。
【0022】
実施例3
実施例1と同様の不純物を含むCF3SO3H20.3gと炭酸プロピレン80.0gを混合した溶液を室温で攪拌しながら、炭酸リチウム5.3gを徐々に加えた。その後、一昼夜攪拌し、孔径0.5μmのフッ素樹脂製フィルターで不溶解分をろ別し、透明液体を得た。この液体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々1ppm及び1ppm未満であった。また、この液体中の固形分[CF3SO3Li]を乾燥法にて測定したところ、20.6%であったので、固形分100%に換算したときのフッ素イオン及び硫酸イオンの量は、各々5ppm及び5ppm未満と計算される。
【0023】
実施例4
実施例1と同様の不純物を含むCF3SO3H18.0g、炭酸ジメチル72.3g、炭酸リチウム4.8gを用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々2ppm及び1ppm未満であった。また、この液体中の固形分[CF3SO3Li]を乾燥法にて測定したところ、20.7%であったので、固形分100%に換算したときのフッ素イオン及び硫酸イオンの量は、各々10ppm及び5ppm未満と計算される。
【0024】
実施例5
実施例1と同様の不純物を含むCF3SO3H18.0g、炭酸ジエチル72.9g、炭酸リチウム4.8gを用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々1ppm未満及び2ppmであった。また、この液体中の固形分[CF3SO3Li]を乾燥法にて測定したところ、20.3%であったので、固形分100%に換算したときのフッ素イオン及び硫酸イオンの量は、各々5ppm未満及び10ppmと計算される。
【0025】
実施例6
実施例1と同様の不純物を含むCF3SO3H18.2g、炭酸エチレン/炭酸ジエチル(体積比50/50)混合溶媒72.4g、炭酸リチウム4.8gを用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々1ppm及び1ppm未満であった。また、この液体中の固形分[CF3SO3Li]を乾燥法にて測定したところ、20.0%であったので、固形分100%に換算したときのフッ素イオン及び硫酸イオンの量は、各々5ppm及び5ppm未満と計算される。
【0026】
実施例7
上記の実施例3〜6で得られた透明液体及びそれぞれに用いた溶媒の単品について、1H−NMRを用いて調べた結果、一連の操作の前後で溶媒の分子構造に変化が起きていないことが確認された。また、これらの中和・ろ過後の透明液体中に含まれるリチウムの量を誘導結合高周波プラズマ発光分析装置(ICP−AES)にて測定したところ、投入したCF3SO3Hの量から計算されるCF3SO3Li量に由来するLi量と良好に一致した。したがって、中和反応、すなわち、リチウム化が化学量論的に妥当に進行したことが確認された。
【0027】
比較例1
実施例1と同様の不純物を含むCF3SO3H50.1g、メタノールの代わりに水50.7g、炭酸リチウム13.1gを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、白色固体を得た。得られた白色固体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々56ppm及び1000ppm以上であった。
【0028】
比較例2
比較例1で製造した、中和後でかつろ過前の水溶液の一部を抜き取り、加熱蒸留により濃縮した。濃縮後に含まれる固形分[CF3SO3Li]の濃度は75.4%であった。次に、この濃厚水溶液を孔径0.5μmのフッ素樹脂製フィルターを用いてろ別した後に、送風乾燥機にて水分を除き、白色固体を得た。この固体中に含まれるフッ素イオン及び硫酸イオンの量を測定したところ、各々56ppm及び75ppmであった。
【0029】
実施例1〜6及び比較例1〜2の試験結果を下記の表1に要約する。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例8
不純物として硫酸イオンを含む(C2F5SO2)2NH20.1gと、メタノール20.2gを混合した溶液を室温で攪拌しながら、炭酸リチウム2.2gを徐々に加えた。その後、一昼夜攪拌し、孔径0.5μmのフッ素樹脂製フィルターにより不溶解分をろ別した後に、送風乾燥機にてメタノールを除去し、白色の固体を得た。この固体中に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、5ppmであった。
【0032】
実施例9
実施例8と同様の不純物を含む(C2F5SO2)2NH20.3g、エタノール20.2g、炭酸リチウム2.1gを用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、白色固体を得た。得られた白色固体中に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、7ppmであった。
【0033】
実施例10
実施例8と同様の不純物を含む(C2F5SO2)2NH20.4g、イソプロパノール20.6g、炭酸リチウム2.1gを用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、白色固体を得た。得られた白色固体中に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、9ppmであった。
【0034】
実施例11
実施例8と同様の不純物を含む(C2F5SO2)2NH18.7gと炭酸プロピレン28.3gを混合した溶液を室温で攪拌しながら、炭酸リチウム2.0gを徐々に加えた。その後、一昼夜攪拌し、孔径0.5μmのフッ素樹脂フィルターにより不溶解分をろ別し、透明液体を得た。この液体中に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、1ppm未満であった。また、この液体の固形分[(C2F5SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると39.1%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は3ppm未満と計算される。
【0035】
実施例12
実施例8と同様の不純物を含む(C2F5SO2)2NH18.1g、炭酸ジメチル28.0g、炭酸リチウム1.9gを用いた以外は実施例11と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、1ppm未満であった。また、この液体の固形分[(C2F5SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると41.6%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は2ppm未満と計算される。
【0036】
実施例13
実施例8と同様の不純物を含む(C2F5SO2)2NH18.0g、炭酸ジエチル28.0g、炭酸リチウム1.9gを用いた以外は実施例11と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、1ppmであった。また、この液体の固形分[(C2F5SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると39.3%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は3ppmと計算される。
【0037】
実施例14
実施例8と同様の不純物を含む(C2F5SO2)2NH18.2g、炭酸エチレン/炭酸ジエチル(体積比50/50)混合溶媒28.2g、炭酸リチウム2.0gを用いた以外は実施例11と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、1ppm未満であった。また、この液体の固形分[(C2F5SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると38.7%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は3ppm未満と計算される。
【0038】
実施例15
実施例11〜14で得られた透明液体中に含まれるリチウム量をICP−AESにて測定したところ、投入した(C2F5SO2)2NHの量から計算される(C2F5SO2)2NLi量に由来するリチウム量と良好に一致した。したがって、中和反応、すなわちリチウム化が化学量論的に妥当に進行したことが確認された。
【0039】
比較例3
実施例8と同様の不純物を含む(C2F5SO2)2NH50.0g、メタノールの代わりに水50.1g、炭酸リチウム5.3gを用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、白色固体を得た。得られた白色固体中に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、73ppmであった。
【0040】
実施例8〜14及び比較例3の試験結果を下記の表2に要約する。
【0041】
【表2】
【0042】
実施例16
不純物として硫酸イオンを含む(CF3SO2)2NH11.6g、炭酸プロピレン26.2g、炭酸リチウム1.7gを用いた以外は実施例11と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、1ppmであった。また、この液体の固形分[(CF3SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると32.4%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は3ppmと計算される。
【0043】
実施例17
実施例16と同様の不純物を含む(CF3SO2)2NH11.7g、炭酸ジメチル26.5g、炭酸リチウム1.7gを用いた以外は実施例11と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、2ppmであった。また、この液体の固形分[(CF3SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると29.9%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は7ppmと計算される。
【0044】
実施例18
実施例16と同様の不純物を含む(CF3SO2)2NH11.6g、炭酸ジエチル26.3g、炭酸リチウム1.7gを用いた以外は実施例11と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、1ppm未満であった。また、この液体の固形分[(CF3SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると31.1%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は3ppm未満と計算される。
【0045】
実施例19
実施例16と同様の不純物を含む(CF3SO2)2NH11.6g、炭酸エチレン/炭酸ジエチル(体積比50/50)混合溶媒26.1g、炭酸リチウム1.7gを用いた以外は実施例11と同様の操作を行い、透明液体を得た。得られた透明液体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、1ppm未満であった。また、この液体の固形分[(CF3SO2)2NLi]を乾燥法にて測定すると32.3%であったので、固形分100%に換算したときの硫酸イオンの量は3ppm未満と計算される。
【0046】
実施例20
実施例16〜19で得られた透明液体中に含まれるリチウム量をICP−AESにて測定したところ、投入した(CF3SO2)2NHの量から計算される(CF3SO2)2NLi量に由来するリチウム量と良好に一致した。したがって、中和反応、すなわちリチウム化が化学量論的に妥当に進行したことが確認された。また、実施例16〜19で得られた透明液体及びそれぞれに用いた溶媒の単品について、1H−NMRを用いて調べた結果、一連の操作の前後で溶媒の分子構造に変化が起きていないことが確認された。さらに、得られた透明液体について19F−NMRを用いて調べた結果、いずれの溶液中においても、含フッ素化合物の99%以上が目的化合物である[(CF3SO2)2NLi]であることが確認された。
【0047】
比較例4
実施例16と同様の不純物を含む(CF3SO2)2NH50.3g、メタノールの代わりに水50.1g、炭酸リチウム7.2gを用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、白色固体を得た。得られた白色固体に含まれる硫酸イオンの量を測定したところ、62ppmであった。
【0048】
実施例16〜19及び比較例4の試験結果を下記の表3に要約する。
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】
本発明によると、水分含有量が非常に低い状態で目的とするアルカリ金属塩化合物を得ることができるとともに、イオン性不純物を含有しない状態でかかる目的化合物を得ることができる。かかるイオン性不純物は、電池の性能に悪影響を及ぼすとともに、ポリマー材料中に添加したときに、ポリマーの透明性を損なうことがあるので、本発明の方法により得られるアルカリ金属塩化合物は、電池用電解質及びポリマー材料用の帯電防止剤として特に有用である。
Claims (8)
- Rfはペルフルオロアルキル基である、請求項1記載の製造方法。
- Mはリチウムである、請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記非水溶媒中に不溶性である成分を除去することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 非水溶媒を除去して、固体状態のアルカリ金属塩を製造することを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
- 中和により生成される水を除去することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の方法により得られるアルカリ金属塩の、非水溶媒電池用電解質としての使用方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の方法により得られるアルカリ金属塩の、ポリマー材料用帯電防止剤としての使用方法。
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