JP4016491B2 - スキージとスキージング機構およびそれを用いたスクリーン印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスクリーン印刷に使用されるスキージ、スキージング機構とそのスキージを用いたスクリーン印刷方法に関し、特に、通常のスキージではスキージの磨耗やスクリーン版の磨耗が問題となる精密な印刷を必要とする電子部品製造に使用されるスクリーン印刷用のスキージ、スキージング機構とそのスキージを用いたスクリーン印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリーン印刷に使用されるスキージには、大別してゴム系のものと、スチールのような可撓性のある金属板の2種がある。前者はメッシュが通常のポリエステルやアミド系、またはステンレスの場合に使用され、さらにはメタル版の場合にも使用されている。後者はスクリーンのメッシュがステンレスである場合とメタル版の場合に使用されている。この制限はスキージによるメッシュの磨耗に由来する制限である。
従来使用されているスキージの形状の例を図6(a)〜(h)に示すが、このスキージの形状で一番重要なのは、スクリーン版と接する部分とその近傍の形状である。この部分でインキやペーストを版のほうへ押し込む作用が生じる。またスキージに必要な物性は、印刷パターンやインキの特性に関係が深いものとしてゴム弾性、反発力があり、またインキの溶剤への耐溶剤性も必要である。
実際のスクリーン印刷機においては、スキージの種類、印刷物に対する角度はスキージを支持しているスキージホルダーで変化させることができる構造となっている。またスキージの移動速度、圧力は印刷機の全体機構で設定される構造となっている。
【0003】
この従来のスキージ、スキージング機構には、次に述べる問題点があった。すなわち、目的とするパターンによって最適なスキージ材料、形状を選定し、最適なスキージング条件を選定することが望ましいのに対し、前述したように使用できるスキージはメッシュの種類によって大幅に制限されるのである。例えば、金属系のスキージを通常のポリアミドやポリエステル系のメッシュに使用すると、メッシュが傷つき、不良版となってしまう。
【0004】
一方、ゴム系のスキージは通常のどの版も傷めることはないが、印刷を繰り返しているうちに、メッシュとの摩擦によって、スキージが徐々に磨耗していき、スキージ作用が変化し、良好な印刷を継続することができなくなる。また、良好な印刷ができなくなった場合は、研磨して直す。そのための研磨装置(スキージ研磨機)が市販されていて、一応は誰でも研磨できる。しかし、近年精密なスクリーン印刷の仕事が増えるにつれて、印刷条件を厳しく一定にする必要があるため、スキージの形状の許容範囲が狭くなり、たびたび研磨することが必要となっている。研磨の際は、以前の形状を正確に再現する必要があり、このために精密な研磨装置が必要となり、再生研磨に費やす時間が長くなっている。
【0005】
従って、本発明の目的の一つはスキージの磨耗対策である。すなわち磨耗の直接原因はメッシュとの摩擦であるが、インキの溶剤によるスキージの膨潤も要因の一つである。近年、インキの種類が多くなるにつれ、インキの溶剤の種類が増えており、スキージが溶剤によって膨潤してしまうことも増えている。この場合に磨耗が速くなるのに対応して、研磨の頻度を多くすれば対応可能なこともあるが、どうにも対応ができずスキージ材として別のものを探さなければならない場合もある。例えば、ウレタン系のゴムでなくシリコーンゴム系のスキージも使用されるようになってきている。さらに対策として、図6(h)に示したように表面を溶剤耐性の強い材料で被覆したスキージが使用されることもあるが、この形式のスキージの欠点は、磨耗すると研磨して再生することができない。
【0006】
さらに別の問題として、スキージの磨耗は全範囲にわたって均一に発生するのではなく、印刷中のスキージにかかるスクリーン版の反力が場所によって異なるため(図7を参照)、スキージの減り方も場所によって異なってしまう。従って印刷結果にもスキージの場所ムラが順次発生するという問題があった。
【0007】
上述したように、スキージに要求される特性の一つは耐磨耗性であるが、適度な弾力も重要である。すなわち、硬いインキは印刷後のダレが少ないので、精密なパターンを必要とする場合に使用されることが多くなっており、従ってスキージには弾力性の高い金属スキージが適している。しかし、金属スキージの場合にはステンレスメッシュやメタルマスクしか使用できない。しかしながら、パターンの形状やコストなどの理由により、ポリエステルやポリアミドメッシュの版を用いることが必要である。この場合には、ゴムスキージであっても硬度が90〜100と極端に高いものが要求されるが、硬度をあげるとスキージ部分の柔軟性が失われ、スキージムラが発生しやすくなる。
【0008】
このため、例えば2種類の材料を貼り合わせて要求に応えることが考えられ、一部商品化されている(図6(e)を参照)。すなわち、スキージングする部分(印刷進行方向)の面を硬質の耐磨耗性の高い材料にして、裏面を適当な弾力性をもった材料としたものである。しかし、この構造にしても進行が遅くはなるが磨耗は発生し、印刷条件が変化すると共に、印刷結果も変化してしまう。
現状では、高精細印刷を行うためのスクリーン印刷では、適度な反発力と適度な柔軟性を持ち、かつ非常に強い耐磨耗性を持つスキージが要望されているが、まだそれを満足させるものがない。
【0009】
さらに根本的な問題として、従来のスキージングという手法が、主として電気・電子部品の製造に要求される種々の精密パターン印刷に対しては、十分な対応ができなくなっている点である。すなわち、条件を色々変化させても要求される仕様、特にインキ塗布厚さとその均一性の仕様を満足させることができなくなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、スキージングする部分が印刷中に磨耗によって減り、印刷状態が変化してしまうが、スキージングする部分の状態を長期にわたって良好な状態で安定させ、しかも印刷安定性を向上させることが課題である。
さらに、柔軟性と硬さという相反する条件を満足させ、かつ耐磨耗性を有するスキージを提供すると共に、インキの溶剤に依存することが少ないスキージを提供することを課題とする。
さらに加えて、従来のスキージイングの手法を拡大して、最近の要求に応えられるものを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、スクリーン印刷用のスキージの構造が、芯材と少なくともスキージを行う部分の表面を覆うフィルム材と、前記芯材と前記フィルム材との間の中間層からなり、前記フィルム材が前記芯材との相対的位置を移動可能であることで、前記フィルム材が版と接する位置を印刷中及び停止中に移動可能であって、この芯材が、ゴム弾性を有する有機物および可撓性を有する金属板、またはそれを組み合わせた複合物からなる。さらに、中間層のフィルム材と接する面に、摩擦低下用のコートを施す。
【0012】
また、前記フィルム材が、鉛筆引っかき強度5H以上のポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系のいずれかの単体、またはそれらの複合物であることを特徴とする。
【0013】
また、前記芯材のスキージ部分の断面形状が、円弧状からなることを特徴とする。
【0014】
さらに、スキージの構造が、芯材と少なくともスキージを行う部分の表面を覆うフィルム材からなり、前記フィルム材が、芯材との相対的位置を移動可能としたことを特徴とするスクリーン印刷用スキージであって、前記フィルムの移動機構が、少なくともフィルムロールホルダー、フィルム送り出し部、フィルム巻き取り部、張力調整部からなり、かつ複数の芯材が回転軸に備えられ、該回転軸を回転させることにより所望の芯材に変更することを可能としたことを特徴とするスキージング機構である。
【0015】
また、前記フィルムが、移動方向に材質が異なるようにエンドレス状に構成されていることを特徴とするスキージング機構である。
【0016】
さらに、前記スキージ、スキージング機構を用いてスクリーン印刷する際に、スキージが停止している間に芯材を変更したり、フィルムを移動することを特徴とするスクリーン印刷方法である。
【0017】
また、前記スキージ、スキージング機構を用いてスクリーン印刷する際に、スキージング中に表面のフィルムが移動することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記スキージ、スキージング機構を用いてスクリーン印刷する際に、表面のフィルムの移動速度を変化させることによって、インキの吐出量を制御することを特徴とするスクリーン印刷方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
図に基づき実施の形態を説明する。
先ず、図1(a)(b)(c)に示すように、本発明のスキージの構造は、少なくとも2層構造を利用している。すなわち、少なくとも芯材11と、その表面をフィルム12で覆った2層構造としたものである。またそのフィルム12は、版と接触してスキージ作用を行うものであり、しかもスキージング作用を行うフィルム材が芯材表面に沿った方向で、かつ線状のスキージ部分を更新する方向に移動可能であることを特徴とする構造としたものである。
【0020】
また、芯材11が弾力性と柔軟性を有する2層構造の場合には、ゴム弾性を有する有機物、又は可撓性とし、表面のフィルム材12は耐摩耗性と耐溶剤性を有するポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系からなるものとした。
また、3層構造の場合は、芯材11に弾力性を、中間層に柔軟性を分担させ、表面フィルムには2層構造の場合と同様に耐磨耗性と耐溶剤性を有するものとした。
さらに、スキージ部分の断面形状が円弧状であるものを提供する。この場合の円弧状とは、文字通りのものだけでなく、楕円状やさらに複雑な曲線状のものをも含むものとする。
【0021】
さらに加えて、フィルムの移動機構が、少なくともフィルムロールホルダー、フィルム送り出し部、フィルム巻き取り部、張力調整部から構成(図1(c)、図2、図3)されたものである。すなわち、図1(c)は、スキージ部分にこれらの機構部を具備したものであり、図2は、スキージホルダー部20にこれらの機構部を具備したものであり、図3は、印刷機全体にこれらの機構部を備えた構成である。
【0022】
また、スキージの芯材11を容易に変更することができるものとして、複数の異なる芯材11a,11b,11c,11dを回転軸16に設けて、この回転軸を回転させることにより所望の芯材11に変更することを可能とした構造(図4及び図5を参照)を提供する。
【0023】
これらのスキージ・スキージホルダー機構を使用してスクリーン印刷する際、スキージング中に表面のフィルムを移動可能とし、かつフィルム材12a,12b,12c,12dが移動方向に対して、材質が異なる複数のフィルムによるエンドレスフィルムを特徴とするスクリーン印刷方法を提供する。
【0024】
すなわち、上記のスキージ、スキージング機構、さらにはそれらを設置したスクリーン印刷機を用いてスクリーン印刷する際、スキージが停止している間に芯材11を変更したり、フィルム12を移動することを特徴とする印刷方法と、さらに表面フィルムの移動速度を制御することによって、印刷膜厚を制御するスクリーン印刷方法を提供する。
【0025】
一般的にはスキージの先端、すなわちスキージとスクリーン版が接する部分については、なるべく鋭角にしておくことがよいと、言われているが、実際には若干丸くなったほうが印刷状態が安定している。しかし、どの程度先端が丸くなった状態がよいのかは、インキの粘弾性やスクリーンメッシュの粗さやテンションによって異なることもあり、ほとんど解明されておらず、感と経験で決められていた。
本発明者らはこの点について検討し、まず第一にスキージの先端を鋭角にするほどメッシュを通過するインキ量が減り、丸くなると盛り量が増えることを確認した。この場合に、版上のインキがかきとられずに膜状にメッシュ上に残る。しかし版離れが悪くなる程に残ると、この関係は成立しなくなる。実験の結果、スキージの圧力を増加させれば先端が丸くなったスキージでもインキをかきとることができ、メッシュを通過するインキを上げることができることが判った。
更に、先端の曲率が1cm程度のスキージであっても版上のインキをかきとることができ、メッシュを通過するインキ量も多くなることを確認した。さらに、スキージのいわゆるアタック角度を小さくするほど、メッシュを通過するインキ量が増加した。その根本的理由はどちらも、スキージがインキを下方(版側)に押し出す作用が、低角度になるほど強くなることにあると考えている。このような知見をもとに、本発明に至った。
【0026】
本発明の第一の特徴である芯材を覆うフィルムの作用・効果、材質等について以下に述べる。
スキージ効果は、同一材のフィルムでは厚さがあるほど、エッジが丸くなり、低下するが、磨耗しても下地が現れるまでには時間がかかる。すなわち、フィルムの位置を変更する手間が少なくて済む。薄いフィルムであれば、その逆である。通常は、厚さ10〜100μmのものを使用する。ポリエステルフィルムの厚さ30μmのものを使用した場合、メッシュがポリエステルの場合に、位置を変更するまでに印刷できる回数は印刷圧力にもよるがおよそ500回である。メッシュがステンレスの場合はおよそ300回である。メタルマスクの場合は100回程度であるが、メタルマスクのエッジが鋼製のドクターで削られることがなく、メタルマスクの寿命がほぼ無限になる。ただし、メタルマスクの表側、つまりスキージ側のエッジはエッチング等の方法で若干鈍角にする必要がある。
【0027】
また、3層構造の場合は、中間層である弾性層は、厚さ5〜10mmが普通である。表面は、フィルムとの滑りを良くするため、シリコーン樹脂やフッ素樹脂の層を形成することが多い。また、フィルムの内面、つまり弾性層と接触する面に摩擦低下用のコート、例えばシリコーン樹脂の潤滑性コートを施すとよい。
【0028】
スキージの先端部分の形状は、従来の形状(図6を参照)と同じでよい。本発明において特に有効なのが、図6(g)の先端の断面形状が半円か円弧状のものである。ただし、円弧といっても楕円の一部であってもよく、さらに円弧が歪んだ形状であってもよい。本発明においては曲率半径が2mm以下の部分がない形状であれば円弧状であると呼ぶことにする。この場合、フィルムの位置移動が必要になるまでの印刷回数は直角状の場合の数倍以上である。また、円弧状の先端の場合であっても、磨耗すると印刷状態がかなり変化するが、本発明の如くした場合は、一定である。また、この形状のスキージには、スキージのアタック角度(スクリーンメッシュと接する部分のメッシュとスキージの間の角度)がかなり変化しても、スキージングの様相はあまり変化しないという利点がある。
【0029】
いずれにしても、本発明によれば先端の形状を最適にした後は、形状が磨耗によって変化してしまうことがないので、印刷状況は長期にわたって安定する。これまで印刷状態の変化がインキの粘度変化(溶剤蒸発による)によるものか、スキージの磨耗によるものか、あるいはその他の原因によるものか、明確でないまま対策を行っていた。しかし、本発明によれば原因の特定が多少なりとも容易になり、安定印刷がかなり可能になった。
【0030】
また、新規なスクリーン印刷方法として、印刷時、本発明のスキージが移動しているとき、表面のフィルムを移動する印刷方法がある。移動方向は、印刷方向と逆方向の2種あり、効果が異なる。
順方向に動かすと、インキがスキージの先端に送られるので、メッシュを通りぬけるインキ、すなわち印刷されるインキの量(盛り量)が増加する。スキージの進行速度よりもフィルムの移動速度が速くなると、インキの盛り量はさらに増大する。このような場合に、フィルム12をエンドレスタイプにすることも有効である。
一方、フィルムの送り方向をスキージの進行方向と反対の方向にすると、インキの供給量が減って盛り量が減るので、インキの盛り量を薄くしたい場合に有効である。
【0031】
この新規なスクリーン印刷方法は、インキの盛り量を微妙に調節することができる。これまでスクリーン印刷では盛り量を調節する方法として、スキージの移動速度を変える方法、乳剤の厚さを変える方法、インキの粘度を変える方法、印刷圧(スキージの押し圧)を変える方法、スキージのアタック角度を変える方法、スクリーン版と被印刷物の間のギャップを変える方法があった。このうち、印刷を行っている最中に調節することができる方法としては、スキージの移動速度であった。しかし、スキージの移動速度の調節だけでは、盛り量の調整範囲が狭く、その他の方策を併用する必要があった。本発明の方法によって、この問題がかなり改善された。
【0032】
特に、インキの盛り量を上げるためにスキージの移動速度を速くしたくても、機械的な制約が限界となった場合に有効である。また、逆にインキの盛り量を少なくしたい場合、スキージの移動速度を下げると、印刷速度が下がるので、スループットが低下してしまう。しかるに、本発明の方法を使用すれば、スループットを低下させることなく、インキの盛り量を少なくすることができる。
【0033】
【実施例】
以下に、具体的実施例により本発明を詳細に説明する。
【0034】
<実施例1>
配線用の銀ペーストを巾70μmで印刷した場合について述べる。
通常のウレタンスキージ(厚さ10mm、先端の角度90度、ゴム硬度70)に厚さ15μmのポリエステルフィルムをぴったり被せ、テンションを50g/cmとした。メッシュはステンレスの325メッシュで導電性ペーストの印刷を行った。アタック角度70度、印圧500g/cm、スキージ速度10mm/secで印刷した。500回印刷毎にポリエステルフィルムを5mm程度移動すればよく、また印刷結果も非常に安定していた。
【0035】
<実施例2>
若干のゴム弾性があるために高いスキージ圧でスキージイングしなければならないペーストを印刷した場合について述べる。溶剤の関係で、シリコーンゴムスキージを使用する必要があるが、高いスキージ圧を加えることができる高硬度の、しかも耐磨耗性の高いシリコーンゴムスキージは存在しない。そこで芯材構造を3層構造とした。芯部は厚さ3mmのスチール板、中間部は厚さ10mmのウレタンゴム(ゴム硬度95)、フィルムは厚さ30μmのポリエステルフィルムとした。アタック角度75度、印圧1500g/cm、スキージ速度5mm/secで印刷した。フィルムの移動を300回印刷する毎に行うこと以外は、連続的に印刷することができた。印刷の仕上がりが非常に安定していて、不良品は発生しなかった。
【0036】
<実施例3>
本発明を総合的に使用したスキージ機構(図4,5を参照)とそれを使用した印刷方法の例を説明する。
構造・機能をまず説明する。全体的には、印刷機の本体と連結された支柱に設置されたエアーシリンダー45で上下し、所定のスキージ圧力を印加できる構造である。部分としては、スキージ11の芯材11(a)〜(d)の4種類が、回転および固定が可能な回転軸16に取り付けられている。その上層のスキージ面となるフィルム12はエンドレスになっていて、スキージの芯材と上部の回転ロール41に沿って一周している。フィルム12は4種の材質がつなぎ合わされているもので、上部の回転ロール41はサーボモータ駆動で所定回転数で正逆回転および静止が可能のものである。エンドレスフィルムのテンションはテンションコントロール機構42で所定の値にセットされる。また、スキージ作用する部分のフィルムがスキージ芯と重なる角度を調節するための位置調整バー46がスキージの進行方向側についている。この装置をセットしたスクリーン印刷機でプラズマディスプレイの背面基板のリブを以下のようにして印刷した。
リブはストライプ状で、巾は70μm、高さは200μm、長さは約700mmで、約260μmピッチで約3000本並んでいる。高さが200μmと高いので、通常は繰り返し印刷を10〜20回程度行う。最初の印刷はペーストダレが少なく、位置精度が高い印刷を行い、次の数回は高さ(厚さ)を稼ぐ印刷を行う。最後の数回は上端面の凸凹が少ない印刷を行う。また、この際に焼成して黒色になるペーストを使用することが多い。本発明のスキージを用い、印刷はスキージ芯材として、角度が鋭角(70度)に研磨してあるゴム硬度50度のものをほぼ90度に立てて使用した。フィルムは厚さ15μmのポリエステルフィルムの部分を使用し、印刷中は固定した。フィルムと紗の間の角度を75度とし、テンションを50g/cmとした。ペーストの吐出量が少ないに替わりに、ペーストダレが少なく位置精度も高い印刷パターンが形成された。
【0037】
ペーストを乾燥した後、つぎにスキージ芯材に先端が円柱状(半径1cm)のゴム硬度80度、厚さ2cmのウレタン製のもので、さらに長さ方向に円弧状で中央部が両端部よりも1mm凸であるものを使用した。この形状はスクリーン版の反力が全面にわたって均一にかかるようにしたものであって、結果としてペーストの吐出量が全面にわたって同じにすることに有効である。これをアタック角度約70度にセットした。また、フィルムは厚さ30μmのポリエステルフィルム部を使用し、フィルムとメッシュの間の角度を50度とし、テンションを100g/cmとした。印刷中にフィルムをスキージ部の進行方向と逆方向に速度をスキージ部の移動速度の約半分にして移動した。すなわち、メッシュとフィルムの間の相対速度はスキージ速度の約半分である。ただし、ペーストの粘度が徐々に上昇して吐出量が減少していくのに対応して、フィルムの送り速度を最大20%程度上げて、塗布厚を一定にした。通常の印刷ではせいぜい20μmの盛り量のペーストであるが、この条件で印刷することによって1回の印刷での盛り量は40μmであり、しかも全面にわたる厚さ精度を<±5μmに抑えることができた。ただし、印刷表面にはメッシュの形状がはっきりでた印刷品質であった。印刷中にポリエステルフィルムにしわがよることはなかった。この条件の印刷を毎回乾燥を行いながら、4回繰り返した。
【0038】
次に、表面の平滑さを向上するための印刷として、スキージの芯材として厚さ5mmゴム硬度40度のウレタンゴムを用いた。フィルムとして厚さ20μmのポリアミドフィルムを使用し、印刷中に進行方向と同方向に1/3の速度で移動し、ペーストを攪拌し粘度を低下させた。フィルムとメッシュの間の角度は45度とし、テンションを20g/cmとした。印圧は30g/cmとした。印刷後のペーストの表面の凹凸は±5μm以内であった。この場合も、印刷厚を調整するために、フィルムの移動速度を±20%程度変化させた。これらの一連の印刷において、印刷位置精度に関連する印刷圧、印刷ギャップ、印刷速度は±20%以内で一定とした。このため、印刷位置精度を維持することができた。また、通常はスキージ研磨は硬度の低いウレタンやシリコーン材のスキージの場合、2000回の印刷で研磨しないと、印刷結果が変化しすぎてしまったが、このスキージ構造を使用すると、50000回の印刷でも印刷結果が実用上、変化することがなかった。このため、印刷機の稼働率が向上した。
【0039】
<比較例>
ポリエステルフィルムを被せない通常の方法のときは、ほぼ同一条件で印刷していたが、まず、研磨直後は印刷が不安定なので、300回程度の捨て刷りを行った後に、スキージの速度、圧力等の印刷条件を再設定してから本印刷に入っていた。また、約3000回印刷する毎にスキ−ジの研磨が必要であった。研磨後は印刷条件の再調整を必ず行っていた。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば以下の効果を奏する。
1)スキージを交換、研磨する必要がなくなる。(スキージの研磨は最初の1回だけでよい)
2)複雑な形状のスキージを使用することが、実際上できるようになる。
3)印刷が長期にわたって安定する。
4)インキの盛り量を印刷中に制御することができるようになる。
5)別の印刷をする場合に、スキージをはずして交換する必要がなくなる。
6)重ね印刷で、違ったスキージ(形状)が必要な場合にも対応できる。
7)長期の連続運転が可能になり、印刷機の稼働率があがる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるスキージを示す説明図である。
【図2】本発明の実施例におけるスキージ及びスキージホルダー部を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例における印刷機にフィルム供給、巻き取り機構を備えた概略図である。
【図4】本発明の実施例におけるスキージ芯材及びフィルム4種を交換可能としたスキージ構造を示す側面図である。
【図5】上図の正面図である。
【図6】従来のスキージ形状を示す説明図である。
【図7】従来のスキージ芯材圧の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 …スキージ
11(11a,11b,11c,11d) …芯材
12(12a,12b,12c,12d) …フィルム
16 …回転軸
20 …スキージホルダー
41 …回転ローラー
42 …テンションコントロールバー
44,45…エアーシリンダー
46 …位置調整バー
50 …印刷機
51 …枠
52 …メッシュ
Claims (10)
- スクリーン印刷用のスキージの構造が、芯材と少なくともスキージを行う部分の表面を覆うフィルム材と、前記芯材と前記フィルム材との間の中間層からなり、前記フィルム材が前記芯材との相対的位置を移動可能であることで、前記フィルム材が版と接する位置を印刷中及び停止中に移動可能としたことを特徴とするスクリーン印刷用スキージ。
- 前記芯材が、ゴム弾性を有する有機物および可撓性を有する金属板、またはそれを組み合わせた複合物であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷用スキージ。
- 前記フィルム材が、鉛筆引っかき強度5H以上のポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系のいずれかの単体、またはそれらの複合物であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷用スキージ。
- 前記中間層の前記フィルム材と接する面に、摩擦低下用のコートが施されていることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷用スキージ。
- 前記芯材のスキージ部分の断面形状が、円弧状からなることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷用スキージ。
- スクリーン印刷用のスキージの構造が、芯材と少なくともスキージを行う部分の表面を覆うフィルム材からなり、前記フィルム材が、芯材との相対的位置を移動可能としたことを特徴とするスクリーン印刷用スキージであって、前記フィルムの移動機構が、少なくともフィルムロールホルダー、フィルム送り出し部、フィルム巻き取り部、張力調整部からなり、かつ複数の芯材が回転軸に備えられ、該回転軸を回転させることにより所望の芯材に変更することを可能としたことを特徴とするスキージング機構。
- 前記フィルムが、移動方向に材質が異なるようにエンドレス状に構成したことを特徴とする請求項6記載のスキージング機構。
- 請求項1〜7記載のスキージ、スキージング機構を用いてスクリーン印刷する際、スキージが停止している間に芯材を変更したり、フィルムを移動することを特徴とするスクリーン印刷方法。
- 前記スキージ、スキージング機構を用いてスクリーン印刷する際、スキージング中に表面のフィルムが移動することを特徴とする請求項8記載のスクリーン印刷方法。
- 前記スキージ、スキージング機構を用いてスクリーン印刷する際、表面のフィルムの移動速度を変化させることによって、インキの吐出量を制御することを特徴とする請求項9記載のスクリーン印刷方法。
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