JP4010165B2 - 高圧水素の製造装置及びその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、固体高分子電解質膜を用いた純水の電気分解によって、ガス圧縮機を用いなくても、高圧の水素ガス(圧縮水素ガス)を発生させ得る高圧水素の製造装置及びその製法に関するものであって、エネルギ関連技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
石油や石炭などの化石燃料は、その燃焼によって排出される二酸化炭素が地球温暖化の主因と言われている。さらには、その燃焼で排出される窒素酸化物やイオウ酸化物が人の健康にも大きく影響を与え、森林を破壊する酸性雨を降らせたりする原因になると指摘されている上、その埋蔵量にも限りがあるもので、将来的に枯渇するおそれのあるものである。
【0003】
そのため、前記のような問題が生ぜず、かつ再生可能な自然エネルギを化石燃料の代替とするための技術開発が強く求められ、種々の提案もなされている。
また、地球が太陽から受けている1時間分のエネルギは、人類が消費している1年分以上のエネルギに匹敵するとされ、太陽エネルギだけで、人類のエネルギ需要を賄うことも夢ではなく、太陽光発電など太陽エネルギの利用技術に関する種々の提案もなされている。
【0004】
この自然エネルギは、一般に、太陽光発電や風力発電等によって電力として取出すことが行なわれているが、電力は、そのままでは貯蔵したり、持ち運んだりすることができないため、自然エネルギで得た電力をクリーンで貯蔵及び持ち運びに便利なエネルギへ変換する技術も求められている。
【0005】
かかる電力を貯蔵する技術としては、電池に充電して溜める方法がよく知られているが、電池は重い上、自己放電で電気を使わなくても溜めた電力が消費されるので効率が悪い等の問題がある。
【0006】
一方、エネルギ源としての水素は、貯蔵も容易であり、必要に応じて燃料電池で、再度、電力に戻すことができ、便利で、効率的であり、優れているものであるため、自然エネルギで得た電力を、水の電気分解(水電解)によりクリーンで貯蔵及び持ち運びに便利なエネルギとしての水素に効率よく変換する技術が検討されている。
【0007】
水電解としては、水に苛性カリ(KOH)等のアルカリ電解質を溶解させて電気分解するアルカリ水電解が古くから知られているが、最近では、固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)の開発に伴って、プロトン(水素イオン)伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、「PEM」という。)によって純水を、水素と酸素に直接電気分解するPEM水電解(以下、「PEM水電解」という。)が、広く用いられるようになってきている。
【0008】
前記のアルカリ水電解においては、苛性カリ等のアルカリが、水に溶解している二酸化炭素と反応して電極に堆積物が生成されるので、この堆積物を除去するために、定期的に水電解セルを分解し清掃することが必要で、また、生成した水素に随伴するアルカリミストを除去する精製装置も必要である。
【0009】
しかも、生成した水素と酸素は、ガス透過性のあるアスベスト等の多孔質隔膜で分離されているため、発生量が減少すると混合比率が増し、多孔質隔膜を通過する水素又は酸素の割合が相対的に増えるので、発生量が低下すると爆鳴気が生じて爆発する危険性を有するため、その性格上変動の激しい太陽光や風力で発電した電力を用いて、アルカリ水電解により水素を発生させるのは容易なことではなく、さらに、アルカリ水電解による水素発生圧力は低いので、ガス圧縮機で圧縮水素にして体積を減少させないと、貯蔵や輸送ができないという問題点も有している。
【0010】
これに対して、PEM水電解は、純水を直接電気分解し、高純度な水素が得られる上、水素と酸素は、プロトンしか透過しないPEMで分離されているので、水電解を急に停止して放置しておいても、アルカリ水電解のように水素と酸素が混合することが無く、起動停止を自由に繰り返すことが可能であるため、自然エネルギで発電した変動の激しい電力でも、それを水素に効率よく変換することができる。
【0011】
しかしながら、PEM水電解においては、水電解セルに用いられるPEM自体の耐圧、水電解セルのシール部の耐圧が、いずれも4気圧程度であるので、高圧の水素が得られず、効率的に貯蔵したり、輸送したりするためには、アルカリ水電解により得た水素と同様に、ガス圧縮機を用い水素を圧縮することが必要である。
【0012】
また、ガス圧縮機を用いるということは、ガス圧縮機が、機械的に摩耗する部品を有しているため、分解保守を頻繁にする必要がある上、ガス圧縮機自体による水素の汚染も無視できない。
特に、PEM型燃料電池を用いて水素を電力に変換する際、燃料とする水素の純度が悪いと、電極が被毒して出力が低下し、寿命が短くなるという問題を発生させる。
【0013】
さらに、燃料電池を用いた電気自動車(燃料電池自動車)等に用いられるためには、350気圧程度又はそれ以上の高圧の圧縮水素にしないと、自動車に搭載する水素ボンベの容積を大きくせざるを得ず、その分だけ乗車空間が狭くなり、水素ボンベの容積が小さいと、走行距離が短くなるというように、実用的ではない。
【0014】
そこで、液体水素を気化させて350気圧程度の高圧水素にして、水素ボンベに充填して使用されているが、液体水素に関する製造技術の基盤が乏しい日本では、上記のような問題点を有するガス圧縮機に頼らざるを得ない、しかも、得られる水素も、その圧力が200気圧程度までのもので、水素のエネルギ利用で必要とされる350気圧程度、又はそれ以上の高圧水素を発生させるガス圧縮機については、これから開発されるという状況にあるものである。
【0015】
また、液体水素そのものを、自動車に搭載した断熱タンクに貯蔵して燃料とする方法も検討されたが、自動車の運転を休止すると、液体水素が気化して水素圧が高くなり、大気に放出しなければならない状態を来たし、自家用車としての利用は困難である。
【0016】
さらに、液化水素の製造には、圧縮して使用する場合に比べて、多くのエネルギを必要とするので、その分エネルギ利用効率が低くなる。今日、国内で年間販売される水素は、3億立方メートル程度であるが、国内にある自動車の1割程度が水素を燃料とするだけで、この数十倍以上の水素が消費されることになる。
【0017】
このような大量の水素を液体水素にすると、液化に必要なエネルギだけで、今日市販されている水素が有するエネルギ以上のエネルギが消費され、しかも、そのような大量の液体水素を液化できるだけの液化機は、新たに建設しなければならないが、建設しても、液化機は、エネルギを消費するだけで、新たなエネルギは生まれない。
【0018】
このように、液体水素をエネルギとして使用するのは、エネルギ利用効率の悪い使い方である上に、それを実現するためには、エネルギを生まない設備を建設しなければならない。
【0019】
したがって、液体水素をエネルギとして使用することがあったとしても、限定的で、これからの水素経済社会での主要エネルギになるとは考えられない。主要エネルギは、最も効率の良いエネルギ利用形態が選ばれる。水素を高圧に圧縮して容積を小さくし、輸送・貯蔵を可能にする圧縮水素は、最も利用効率が優れた水素エネルギ利用形態である。
【0020】
エネルギとして利用する水素は、高圧水素にして、体積を小さくし、貯蔵及び輸送に便利なようにすることが、化石燃料の代替となるためには不可欠で、ガス圧縮機を用いずに水電解だけで、高圧の圧縮水素(高圧水素)を製造する方法に適したものとして、PEM水電解について、種々検討がなされ、これまでに幾つかの提案がなされている。
【0021】
たとえば、特許第3,220,607号(米国においては特許5,690,797号)では、比抵抗の高い純水を直接電気分解するPEM水電解の特徴を生し、高圧容器内にPEM水電解セルを純水で封入し、発生する水素及び酸素の圧力を等しくなるように制御することによって、PEM水電解セルに作用する差圧を可及的に小さくし、高圧水素を発生できるようにした水素・酸素ガス発生装置が提案されている。
【0022】
しかしながら、この水素・酸素ガス装置では、水電解セルを高圧容器内に収納して純水に浸けるとともに、陽極で発生した酸素を高圧容器内に溜めるため、高圧にすればする程、金属腐食を起こし易い高圧の酸素と水とが共存した環境に、電極を有する水電解セルを封入することになるので、金属腐食に対する配慮が必要である。
【0023】
しかも、PEMの耐熱性が許す範囲で、温度を高くすればする程、水電解効率が向上するにもかかわらず、温度を高くすると電極等の金属腐食がさらに起こり易くなるうえに、PEM水電解セルが浸漬している純水の比抵抗が低下し、リーク電流が問題となるため、効率の悪い、熱の有効利用に不利な温度40℃以下での運転を強いられるものである。
【0024】
また、水電解セルの陽極室と陰極室を分離しているPEMが破損したり、水電解セルのシール部が破損したりするなどの異常が発生した場合、水電解セルを収納している高圧容器内の酸素に水素が大量に混合されて、爆鳴気が発生する危険性もあり得るので、その対策も必要なものである。
したがって、この水素・酸素ガス装置では、原理的には、数百気圧以上の高圧水素の製造が可能であるが、実際的には数十気圧以下の水素の製造にしか適さないものである。
【0025】
さらに、金属腐食の問題が解決されたとしても、純水の比抵抗が低下すると、水電解セルに印加される電力の一部が、水電解セルが浸漬されている純水中を流れ、その分、電力ロスが発生して水電解効率が悪くなるが、イオン交換樹脂の耐圧性及び耐熱性が低いので、高圧容器内の純水の純度低下に伴う比抵抗低下を、イオン交換樹脂で再生して比抵抗の高い純水に戻すことができないという問題がある。特に、電解に際して、温度80℃程度又はそれ以上にして電解効率を高める際には、この問題が深刻な問題となる。
【0026】
このような問題を解決するために、特開2001−130901号公報においては、水電解で発生する水素及び酸素を、おのおの専用の高圧タンクに溜め、水電解セルは電気絶縁性液体で専用の高圧容器に密封して、高温高圧の酸素と水の共存による電極等の金属腐食を防止するとともに、電解温度を高くしても、電気絶縁性が損なわれることのないように構成された水素エネルギ供給装置が提案されている。
【0027】
しかしながら、高圧容器に水電解セルを封入させるための電気絶縁性液体として、工業的に利用できるものが存在しないのが現状である。
すなわち、大量に使用されることが想定されるエネルギ用の水素製造装置に対する需要を賄うには、膨大な量の電気絶縁性液体が必要で、環境に負荷を与えないで、かつ環境を汚染しないように、多量の電気絶縁性液体を化学的に合成したり、使用したりすること自体が既に難しいことである。
しかも、水電解セルから微量に漏洩する酸素や水素と化学反応を起こさないだけでなく、不慮の事故で、酸素が高圧容器内に大量に漏洩した場合にも、酸素と反応して爆発する等の危険性のない、不燃性で化学的な安定性が求められるというような条件を満足する電気絶縁性液体は、現状では純水以外には存在しない。
【0028】
この純水は全ての物質を溶解する能力があるので、純水を高圧容器に封入すると、高圧容器壁を溶解して純水の比抵抗が徐々に低下し、漏洩電流が生じ効率が低下するだけでなく、漏洩電力で純水が電気分解されて、水電解セルが収納されている高圧容器内で水素と酸素が生成して圧力が増し、ついには、水電解セルを押し潰したり、水素と酸素の混合気が爆発したりする危険性をも有している。
【0029】
このように、電気絶縁性液体として純水を使用するには、このような問題点があるので、水素のエネルギ利用で求められる数百気圧以上の高圧の圧縮水素を安全に発生するには適さないものである。
【0030】
また、PEMは合成ゴム等と類似な有機化合物で、温度が120℃以上に高くなると急激に機械的強度が弱くなるもので、一方、PEM水電解はアルカリ水電解に比べると効率が良いが、それでも電力ロスにより発熱することがあるため、冷却の必要性が生じることがある。
【0031】
そのため、特許第3,220,607号では、水電解セルを水素や酸素に比べると熱伝導性の良い純水に浸漬し、その純水を熱交換器で冷却することで電力ロスによる発熱の問題を解決している。
【0032】
しかしながら、このことが、先に説明したように、酸素による電解腐食や、純水比抵抗低下による漏電等の問題を引き起こす原因となり、エネルギ利用で必要な高圧の水素を発生させる障害になっている。
【0033】
以上のような状況に鑑み、発明者は、エネルギとして利用される水素に求められる高圧、特には350気圧程度又はそれ以上の高圧水素を効率よく、ガス圧縮機を用いることなく、太陽光等の変動の激しい自然エネルギで発電した電力によっても、水電解だけで安定して、また安全に発生させることのできる高圧水素の製造装置及び製法を提供することを目的として検討を行った。
【0034】
その結果、PEMを用いた水電解セルを水素雰囲気下の高圧容器内に設置し、当該水電解セルを用いて純水を電気分解し、陰極で発生した水素を水電解セルの設置してある高圧容器に貯蔵し、陽極で発生した酸素を戻り純水と共に電解用純水貯留槽に貯蔵することによって、高圧水素を水電解だけで安定して、また安全に発生させることができることを見出し、350気圧又はそれ以上の水素エネルギ利用で求められている高圧の圧縮水素を、PEM水電解で製造する高圧水素の製造装置及びその製造方法に関し、一つの提案を行った (特願2002−019713号)。
【0035】
上記の高圧水素の製造装置及びその製造方法は、水素を貯蔵する高圧容器の圧力と、酸素と純水を貯蔵する電解用純水貯留槽の圧力の差圧とを、水電解セルを構成するPEMの耐圧以下の圧力に調整しながら、水電解セルを用いて純水を電気分解することによって、さらに、得られた水素及び酸素を貯蔵すると共に、水電解セルの酸素側に供給する純水を熱交換器で冷却して供給するだけでなく、水電解セルで発生した水素を、前記高圧容器の外に配置した熱交換器で冷却してから高圧容器内に戻すようにすることで、水電解セルが水電解時の電力ロスで加熱されることを防ぎ、安定して稼動でき、前記課題を一挙に解決することができるものである。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PEM水電解において、水電解効率は温度が高くなればなるほど向上するが、PEM水電解に用いられるPEMは、プラスチック等と類似な高分子材料であって、高分子材料としては耐熱性に優れた材料ではあるが、温度100℃を超えると機械的強度が弱くなり、温度120℃以上に高くなると急激に弱くなるため、温度80℃以下での使用が望ましいとされているため、高圧水素をより効率的に発生させるためには、PEM水電解セルの運転において、電解温度を如何に正確に制御するかということが非常に重要な要因となっている。
【0037】
また、純水は、温度0℃で氷結するので、水電解を停止している際も、系内の純水が温度0℃以下にしないようにすることも、この発明の実施の際には、重要な要因となる。
特に、将来のクリーンエネルギーとされている太陽光発電により、水を電気分解して水素を生成する場合は、冬の夜間での水電解を停止している際の凍結防止が重要な問題となる。
【0038】
発明者は、先に提案した発明を実施する際、水電解セル稼動時のPEM水電解セルでの、水の電気分解に伴って発生する電力ロスによる発熱を除去し、所定の温度、好ましくは温度80℃程度に効率よく制御する方法、さらには、寒冷地で実施する場合や冬期の運転停止時、特に太陽光発電を利用する際の夜間の運転停止時における、装置の凍結防止のための温度管理方法を確立することを目的として検討を行った。
【0039】
その結果、効率良く正確に温度を管理するためには、冷やしたり暖めたりする熱媒体との熱交換機能が重要であることから、熱交換する際の水素や酸素、さらには、熱媒体の配管を分岐した細管とすることによって、熱伝導性を高くすると共に、伝熱面積を広くして、充分な耐圧性と高い熱伝導性を確保し、PEM水電解装置系内の温度を、効率よく正確に温度を管理できることを勘案し、肉厚の高圧容器から肉薄の細い管を取り出す場合の貫通孔の封止方法に関して新しい方法を採用することによって、この発明を完成させたものである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
高圧容器内に固体高分子電解質膜からなる水電解セルを配置し、この水電解セルによって純水を電気分解し、水素と酸素を生成させるものであって、
前記水電解セルを配置した高圧容器を、純水の電気分解によって生成される水素の貯留部とすると共に、高圧容器外に熱交換器を配置し、
水電解で生成された水素を、高圧容器内で分岐された複数の細管を介して前記熱交換器に送り冷却したのち、高圧容器の内部に戻すよう構成したこと
を特徴とする高圧水素の製造装置である。
【0041】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
内部に固体高分子電解質膜を用いた水電解セルが設置され、水電解により生成される水素の貯溜槽をも兼ねる高圧容器と、
前記水電解セルと純水供給管及び純水戻り管で連通し、生成される酸素の貯留槽を兼ねる電解用純水槽と、
前記高圧容器の内圧と、前記電解用純水槽及び水電解セルを含む純水循環系の圧力との差圧を、水電解セルの耐圧以下の圧力に調整する圧力制御手段を有し、生成された水素を、高圧容器内で分岐された複数の細管を介して高圧容器外に設置された熱交換器に送り、冷却したのち、高圧容器の内部に戻すよう構成されていること
を特徴とする高圧水素の製造装置である。
【0042】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の高圧水素の製造装置において、
前記純水供給管及び純水戻り管は、
いずれか一方又は双方の配管が、経路中に熱交換器を有し、
配管内を通過して水電解セルに供給される純水、又は配管内を通過する生成された酸素及び戻り純水の一方、又は双方の温度を制御し、またそれら純水の凍結を防止するよう構成したこと
を特徴とするものである。
【0043】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項2又は3に記載の高圧水素の製造装置において、
前記純水戻り管は、
前記高圧容器内で分岐された複数の細管からなること
を特徴とするものである。
【0044】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項2に記載の高圧水素の製造装置において、
前記高圧容器及び電解用純水槽は、
いずれか一方又は双方の内部に冷却用の複数の細管を有し、
細管を通過する冷却水の温度制御により、貯蔵された水素及び/又は酸素及び純水の温度を制御し、また純水の凍結を防止するよう構成したこと
を特徴とするものである。
【0045】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1,2,4又は5のいずれかに記載の高圧水素製造装置において、
前記細管は、
高圧容器又は電解用純水槽を構成する側壁の内側から外側に向かって形成されたテーパー状の貫通孔に、気密状態に固定されるコアの中心に保持され、配管されること
を特徴とするものである。
【0046】
さらに、この発明の請求項7に記載の発明は、
高圧容器内に固体高分子電解質膜からなる水電解セルを配置し、この水電解セルによって純水を電気分解し、水素と酸素を生成するに際し、
発生した水素は、前記高圧容器内から配管を介して外部に取り出し、熱交換器で冷却したのち、高圧容器内に戻して貯蔵し、
酸素と戻り純水は、高圧容器内から配管を介して外部に取り出し、熱交換器で温度を制御されたのち、電解用純水槽内に貯蔵すること
を特徴とする高圧水素の製法である。
【0047】
さらにまた、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項7に記載の高圧水素の製法において、
前記配管は、
いずれも前記高圧容器内で分岐された複数の細管で構成され、少なくとも発生した水素は、高圧容器の下部から内部に戻すこと
を特徴とするものである。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の高圧水素の製造装置にかかる好ましい実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、基本的には、固体高分子電解質等の隔膜によって分離された陽極室と陰極室とを有する水電解セルを使用して、純水を直接電気分解させて水素ガスと酸素ガスとを発生させる水素・酸素の製造装置及びその製法に関するものである。
【0049】
なお、この発明は、先に述べたように従来の水素・酸素の製造装置を改良し、ガス圧縮機を用いることなく、安全に、しかも安定して、高圧水素の製造を可能としたものであって、製造装置を構成する各部材は、原則的に公知のものと同様である。
【0050】
図1は、この発明に係る高圧水素の製造装置の全体構成を示す説明図、図2は同製造装置の主要部における配管の一例を示す説明図であって、図中、1は高圧容器10内に配置される水電解セルを示し、図示しないがPEMの両端に電極を形成した水電解膜によって陽極室と陰極室(いずれも図示せず)に区画された構造を有するもので、水電解セル1の陽極室に純水供給管3を介して電解用の純水を供給し、電源9から負電極線5及び正電極線7を通じて電気を供給すると、水電解セル1の陽極室に酸素が、陰極室に水素がそれぞれ発生するよう構成されているものである。
【0051】
前記の陽極室で発生した酸素は、純水供給管3から供給された電解用の純水の一部と共に戻り管4を介して電解用の電解用純水槽31に送られ、この電解用純水槽31の上部に設けられた底面積の小さな酸素貯留部31aに貯蔵される。
一方、水電解セル1の陰極室で発生した水素は、そのまま高圧容器10内に放出し、高圧容器10内に貯蔵してもよいが、生成した水素は、水電解時の電力ロスにより加熱されるので、冷却しないで高圧容器10内に放出すると、高圧容器10内に収納されている水電解セル1が、その熱で加熱され、ついには、その熱でPEMが破損するおそれがある。
【0052】
かかる熱によるPEMの破損を防止するため、水電解セル1で発生した水素を配管により高圧容器10の外部に配置された熱交換器25bに導いて冷却したのち、再び配管により高圧容器10内に戻し、水素放出管2から高圧容器10の内部、好ましくは底部又はその近傍に放出することによって、水電解セル1の電力ロスで発生する発熱を冷却し、水電解セル1の動作に最適な温度を保つことができるよう構成されている。
【0053】
より具体的には、図2に示されるように、高圧容器10内の上部に配置した分岐管60によって、水素放出管2を複数の細管2a,2b・・・に分岐させて高圧容器10外に引出し、途中の配置された熱交換器25b内を通過させたのち、再び高圧容器10の底部から高圧容器10内に放出されるよう構成するもので、細管を使用する理由は、先に述べたように伝熱面積を広げると共に、配管自体の耐圧性を高めるためである。
【0054】
なお、高圧容器10から水素放出管2を細管2a,2b・・・に分岐させて取り出す場合、如何に気密性を保持するかがきわめて重要であるため、この発明においては、後述する新規な貫通孔の封止方法、すなわち、高圧容器10壁を貫通する細管2a,2b・・・が通る孔を、高圧容器10内部からテーパー形状の孔に加工し、それを楔状のコアで封止する構造とすることで、溶接せずに封止する方法を採用している。
【0055】
熱交換器25bに流入及び流出する水素の温度は、各細管2a,2b・・・の熱交換器25b入口側に付設された温度計28b、および熱交換器25b出口側に付設された温度計29bでそれぞれ計測され、熱交換器25bに送られる冷却水の温度及びその水量を制御することで達成される。
また、冷却水を高圧容器10内に設けられた、細管を通すことによって、高圧容器10内の水素の冷却に利用することもでき、運転停止時の水電解セル1内、特に水溜部11内の純水の凍結防止にも利用されるものである。
【0056】
冷却水としては、通常、温度10〜20℃程度の水が用いられ、図示されていない冷却水槽からポンプで供給されるもので、水電解セル1が水を電気分解して発熱している場合、例えば、温度80℃以下に冷却するために使用できると共に、水電解セル1が停止中に、水電解セル1が凍結する心配がある場合は、温度0℃以上に暖める機能を発揮する。
【0057】
水素放出管2から放出される水素は、熱交換器25bで冷却されると、高圧容器10内にあった水素より温度が低くなって重いので、高圧容器10内の底部に溜まるが、水素放出管2(細管2a,2b・・・)から水素が流入してくるので押し上げられ、稼動中の水電解セル1に接触して温度が高くなると、軽くなって上昇し、バルブ15及びニードルバルブ16を通って高圧容器10から熱を持って出て行くので、水電解セル1は効率よく冷却される。
【0058】
また、水電解セル1は、通常、熱交換器25aなどで冷却された純水が陽極側に供給されるので、純水によってある程度冷却可能であるが、公知のPEM水電解装置の水電解セルが純水に浸漬されているのに比べると、これだけでは冷却能力が充分ではないので、この発明のように水電解セル1を水素の高圧容器10内に収納する構成では、水電解セル1で発生した水素を、冷却してから水電解セル1が収納されている高圧容器10に戻すことが望ましい。
【0059】
その際、高圧容器10自体を冷却することで、高圧容器10内に、水素を直接放出することも考えられるが、熱が高圧容器10内に分散するので、冷却には、広い伝熱面積が必要となると共に、高圧になるほど高圧容器10の壁が厚くなるため、熱伝導が悪く、冷却効率の面からは好ましいとは言い得ない。
【0060】
上記のように、水電解セル1で発生した水素だけを取り出す場合は、水素の温度が他に分散しないので、冷却が効率的に行える。また、細管で取り出すことが可能であるため、管壁の厚さが高圧容器10に比べ充分に薄くすることができ、熱伝導が損なわれないので、冷却を効果的に実施できる。
【0061】
この発明においては、水と酸素の共存する電解腐食の発生しやすい環境に水電解セル1を置かなくても、高圧の水素を発生できるようにし、しかも、水電解セル1の自己昇圧作用によって、ポンプを使用しなくても、熱交換器25bを通して、水素放出管2から冷却した水素を高圧容器10内に放出することができ、しかも、高圧容器10内の水素の圧力が高くなるほど、水素の熱伝導率が大きくなり、水電解セル1を冷却する能力が向上する。
【0062】
特に、この発明においては、熱交換器25bで冷却された水素を、高圧容器10の底部に戻すことによって、冷却された水素によって水電解セル1が効率的に冷却され、水電解セル1の熱で温められた水素は、上昇して高圧容器10の上部に達し、バルブ15及びニードルバルブ16を通って水電解セル1から奪った熱と共に取り出されるので、冷却効率が高く、その分、効率の良い高圧水素製造装置となる。
このようにして、水電解セル1で作られた水素は、水素放出管2から高圧容器10内に放出され、高圧容器10内に溜まり貯蔵される。
【0063】
陽極室で発生した酸素は、前記したように、純水供給管3から供給された電解用の純水の一部と共に戻り管4を介して電解用の電解用純水槽31に送られ、この電解用純水槽31の上部に設けられた底面積の小さな酸素貯留部31aに貯蔵される。
【0064】
電解用純水槽31の純水は、通常、熱交換器25aなどで冷却されて水電解セル1の陽極側に供給されるが、水電解セル1の温度管理のために、水素放出管2と同様に戻り管4も、図2で明らかなように、高圧容器10内の上部に配置された分岐管64で複数の細管4a,4b・・・・に分岐され、途中に配置された温度計及び熱交換器25cで、発生した酸素と共にその温度が制御されて、電解用純水槽31内の底部に供給され、貯蔵される。
温度の制御は、水電解セル1の温度管理のため以外に、水電解セル1内、電解用純水槽31内及び各配管4a,4b・・・内の、純水の凍結防止のためにも行われるものである。
【0065】
例えば、夜間の運転停止時に気温が温度0℃以下に下がると、各細管4a,4b・・・に設けられた温度計(図中○で示した)により、制御装置(図示せず)が作動して温度低下を検知し、水電解セル1が停止していても、高圧ポンプ32を作動させて純水を、純水供給管3及び複数の細管4a,4b・・・から構成される純水酸素戻り管4内に流すことにより、水電解セル1内、電解用純水槽31内及び各配管4a,4b・・・内の純水の凍結防止が図られる。
【0066】
冷却水としては、通常、温度10〜20℃程度の水が用いられ、図示されていない冷却水槽からポンプで供給されるもので、水電解セル1が水を電気分解して発熱している場合、例えば、温度80℃以下に冷却するために使用できると共に、水電解セル1が停止中に、水電解セル1が凍結する心配がある場合は、温度0℃以上に暖める機能を発揮する。
【0067】
なお、この発明においては、電解用純水槽31内の純水を冷却するために、複数の細管64a,64b・・・からなる冷却用配管64が、電解用純水槽31内に設けられたもので、水電解セル1の温度の維持管理をより一層容易にするとともに、電解用純水槽31内の、純水の凍結防止のためにも有効なものである。
【0068】
電源9から負電極線5及び正電極線7を通じて、水電解セル1に電気を連続して供給すると、前記したように、水電解セル1で純水が電気分解され、水素と酸素は各々2:1の割合で発生し、酸素貯留部31aと連通するバルブ36,37及び高圧容器10と連通するバルブ14,15を閉にし、水素及び酸素を系外に抜き出すことなく電気分解を続けると、高圧容器10内の水素及び電解用純水槽31に形成された酸素貯留部31a内の酸素の圧力が上昇する。
【0069】
酸素及び水素の圧力は、電解用純水槽31及び高圧容器10にそれぞれ設置された圧力計39a及び39bで計測され、その計測値は別途配設された制御装置(図示せず)で比較され、例えば、酸素の圧力が高いときには、制御装置の制御信号でバルブ36が自動的に開かれ、酸素がニードルバルブ38を介して抜き出され大気に放出又は回収され、酸素の圧力と水素の圧力が等しくなれば、制御装置が作動してバルブ36を閉じるもので、ニードルバルブ38の開度は、酸素と水素の差圧の大きさに比例して、制御装置が自動制御する。
【0070】
この発明は、水素エネルギとしての高圧水素の調製が主目的であるので、安全に高圧水素を調製するために、酸素貯留部31aに溜まる酸素を、その容積を高圧容器10の容積の4%以下になるように水面33aを用いて制御することが好ましく、過剰の酸素は、ニードルバルブ38から抜き出され、常時、酸素の圧力と水素の圧力を等しく、少なくともその差圧を水電解セルの耐圧以内の圧力、通常4気圧以内で、酸素の圧力を水素の圧力より若干高めに調整する制御が行われる。
【0071】
かくして水素ならびに酸素の圧力があらかじめ設定された所定の圧力に達すると、制御装置が、電源9から水電解セル1への電力供給を自動的に停止させるので、電気分解が停止し、圧力の上昇は停止する。
【0072】
このようにして調製される高圧容器10内及び酸素貯留部31a内の高圧の水素及び酸素は、それらの圧力が常に均圧に、又は酸素の圧力をやや高めに、そしてその差圧が少なくも水電解セル1の耐圧以内に制御されているので、水電解セル1の内部と外部間の圧力差及び水電解セル1内の陽極室と陰極室を分離している隔膜(この場合は、PEMに白金系電極を形成した膜)に作用する圧力は、それらの耐圧以内に制御されることになるので、隔膜を破損することがなく、水素及び酸素を漏洩させることはない。
【0073】
万一、何らかの原因で、隔膜に損傷が生じ、あるいは水電解セル1のシール部に破損が生じたとしても、水電解セル1に接続している純水供給管3及び戻り管4を、ともに電解用純水槽31の底部に接続せしめ、常に、酸素貯留部31a内の酸素の圧力を、高圧容器10内の水素の圧力より高めに制御するようにすることによって、高圧容器10内に電解用純水槽31内の純水が少し流入すると、圧力がバランスし、それ以上の純水流入が起こらず、水素と酸素の混合気体が発生せず、きわめて安全である。
【0074】
さらに、酸素貯留部31a内の水素の容積を、高圧容器10の容積の4%以下とすれば、考えうる如何なる破損状況を考慮しても、電解用純水槽31内の酸素と高圧容器内10の水素が混合することは、通常では考えられない。
仮に、そのような事態が発生し、酸素貯留部31a内の酸素と高圧容器10内の水素が混合したとしても、水素の爆発下限4%を超えることはなく、ガス爆発が起こることはない。
【0075】
以上は、水電解セル1が破損して、水の電気分解が正常に維持できない場合であって、通常は、制御装置が異常電流又は異常電圧を検知した場合は、直ちに、公知の電源OFF安全モード(参照;原田宙幸他、編著「半導体製造における安全対策・管理ハンドブック」、平成5年リアライズ社発行)を機能させ、製造装置の運転を安全に停止するように構成されて安全が図られている。
【0076】
水素と酸素が混合することによって惹起される爆発を防止できさえすれば、水電解セル1が破損する以上の被害は発生しない。
また、制御装置が電流又は電圧の監視から異常を検知できない程度の、水電解セル1の異状による酸素又は水素の混合は、酸素濃度計10a及び水素濃度計31bにより検知され、運転が緊急に停止されるよう構成されているので、この発明においては、水素をエネルギとして利用するのに必要とされる高圧の水素を安全に製造することができる。
【0077】
さらに、水電解セル1及びそれに電気を供給する負電極線5,正電極線7,電極導入端子6及び8の何れもが、高圧の水素内にあるので、水分のある酸素中で問題となる、電解腐食の心配がない。
【0078】
水素を使用するときは、制御装置を作動させて高圧容器10に付設したバルブ15を開にして、ニードルバルブ16の開度を調整し、徐々に水素が流出するように制御される。
その際、高圧容器10内の圧力低下は直ちに圧力計39bで検知され、制御装置を介し電源9から水電解セル1に通電され、水電解セル1で水電解が起こり、バルブ15及びニードルバルブ16から抜き出された水素と同じ量の水素が発生し、水素の圧力低下が回復する。
【0079】
ニードルバルブ16の開度を徐々に大きくすると、それに連れてバルブ15及びニードルバルブ16を通って流出する水素量が増加するので、圧力が低下するが、その圧力低下は、直ちに、圧力計39bにより検知され、電源9から水電解セル1に通電される電流量が制御装置の働きで増やされ水素の発生量が増えるので、圧力が元の値に戻る。
【0080】
このようにして、圧力をほぼ一定に保って、バルブ15及びニードルバルブ16を通って取り出される水素量が徐々に増やされるが、その量が消費される水素量に達すると、ニードルバルブ16の開度を増やしても圧力が低下しなくなり、電源9から水電解セル1に通電される電流の増大は停止する。
【0081】
また、消費される水素量が水電解セル1から発生できる最大量を上回っている場合は、電源9から水電解セル1に通電される電流値が電源9の最大許容値に達したところで、水素の発生量はそれ以上増えなくなり、ニードルバルブ16の開度もそれ以上開かない。
【0082】
高圧容器10の圧力は、あらかじめ定められている所定の圧力を保ち、異常事態が発生して、高圧容器10内の圧力を緊急に下げる必要のある場合は、バルブ14及びバルブ37を開にして、高圧容器10内の水素及び電解用純水槽31の酸素貯留部31aの酸素を緊急放出する。
【0083】
この時、水素の取出しによって酸素との差圧が大きくなると、制御装置が自動的に作動してバルブ36を開き、ニードルバルブ38を介して酸素を抜き出し、高圧容器10内の水素圧力と電解用純水槽31内の酸素貯留部31aの酸素圧力とが均圧か、少なくとも水電解セル1の耐圧以内、さらには若干酸素圧力を高めになるよう制御される。
【0084】
以上の説明においては、ニードルバルブ16及び38の開度の調整や、電源9から水電解セル1への通電電流の調整が非常に緩慢に制御されるような印象を与えるが、これらの制御は、全て、コンピュータで高速に制御されるもので、自然エネルギの変動速度に比べると充分高速で、追随できる。したがって、変動が激しいとされている自然エネルギで発電された電力によっても、この発明の高圧水素の製造装置により水素を製造するのに支障は無い。
【0085】
高圧容器10内には、水素放出管2から水素が放出されるが、放出される水素には少量の水が含まれているので、その水は高圧容器10の底面部に配置されている水溜部11に溜まる。
【0086】
この水の量は、常に水面計12で監視され、ある一定量が溜まると、制御装置が働き、バルブ17を開放し、ニードルバルブ18を介して受水槽20に排出されるもので、水面が所定の位置まで下がると、バルブ17が閉められ、排水が停止する。
【0087】
前記の高圧容器10から排出される水には、水素が溶存しているので、受水槽20には、その水素が溜まるので、パイプ24からニードルバルブ23で流量を調整された窒素が、フィルタ22を通って受水槽20に供給され、フィルタ19を通って大気に放出されるもので、この受水槽20は、フィルタ19で大気から隔離するよう構成されているので、受水槽20内に雑菌が混入することはない。
【0088】
水電解セル1への純水の供給には特段の限定はないが、図1に示す実施の形態においては、電解用純水槽31内に配置した送水ポンプ32によって行われる。この送水ポンプ32は、インダクションモータとプロペラ型送水ポンプを一体化させて構成したもので、その詳細は、後で図面を用いて説明する。
【0089】
送水ポンプ32から送り出される純水は、純水供給管3の途中に配置された熱交換器25aで冷やされたのち、水電解セル1に送られる。
その際、前記熱交換器25aに連動させて設けた温度計28a及び29aで、熱交換器25aに供給される純水及び送り出される純水の温度を計測して、別途設けた冷却機(図示せず)から冷水供給管26aで送られる冷水量を制御装置が制御して、水電解セル1が所望の温度で水電解するよう、又、装置内の純水の凍結が防止されるよう構成されている。
【0090】
電解用純水槽31内に貯留された純水は、水電解セル1で水素と酸素に分解して消費されるので、水面計33で常時水面を監視し、純水補給槽44から、好ましくは酸素貯留部31aの酸素の容積が、高圧容器10内の水素量の4%以内にすることも考慮して、補給される。
【0091】
前記の純水の補給は、制御装置によってコントロールされるものであるが、前記電解用純水槽31は、供給管51a及び戻り管51bを介して純水貯留槽48と連通しているので、先ず、電解用純水槽31と純水補給槽44との間に設けられているバルブ40及び42を閉にする。
【0092】
ついで、供給管51aのバルブ41と、戻り管51bのバルブ43をそれぞれ開状態にし、ポンプ47を作動させて、純水を、純度を高めるためのイオン交換装置46→フィルタ45→純水補給槽44→戻り管51b→純水貯留槽48間を循環させ、純水補給槽44内に設けた比抵抗計49aで計測した純水の比抵抗が所定の比抵抗になると、前記バルブ41及び43を閉止し、ポンプ47を停止すると、純水補給槽44は気泡のない比抵抗の高い純水で満たされた状態となる。
【0093】
つぎに、バルブ40及び42を開けると、連通する電解用純水槽31の酸素貯留部31aの酸素圧力で純水補給槽44内が加圧されるが、純水補給槽44が純水で満たされて気体成分が存在しないので、体積変化がほとんど生ぜず、圧力の変動も無視できる状態で純水補給槽44の純水が、その自重で電解用純水槽31内に落ち、代わって、電解用純水槽31内の高圧の酸素が純水補給槽44内に入る。
【0094】
純水補給槽44内の純水が電解用純水槽31に流入し、液面計33により水面33aが所定の位置に戻ったことを確認すると、バルブ40及び42を閉止し、バルブ43を開にすると、純水貯留槽48内の高圧の酸素は、フィルタ50から大気に放出され、純水貯留槽44は大気圧になる。
【0095】
つづいて、バルブ41を開け、ポンプ47を起動して純水を循環させると、再び、純水補給槽44は純水で満たされるので、先に説明した手順で、電解用純水槽31にさらに純水を補給することができる。
【0096】
前記純水貯留槽48は、補給管51を介して水槽56と連通しているので、純水補給槽44への純水の補給によって純水貯留槽48の水位が低下すると、自動的にポンプ55が作動し、水道水などの補給水が、補給管51の途中に設けられたイオン交換装置54→フィルタ53→バルブ52を通って純水に変換されながら純水補給槽48に供給される。
【0097】
図3は、先に述べた送水ポンプ32として示される、誘導モータによる送水電動ポンプの一例を示す断面図であって、図中71は電解用純水槽31の底部、72は純水出口、73は送水用のブレード、74は回転軸、75は珪素鋼板を多層に積層した積層鉄心と銅製かご型巻き線を一体化させ樹脂でコーティングしたロータ、76は多層鉄心にコイルを巻き樹脂を被覆した駆動コイル、76a及び76bは駆動コイルに電流を供給するリード線、77は回転検出コイル、77cは回転検出用のマグネット、77a及び77bは回転検出コイルのリード線、78a〜78cはベアリング、79はナット、80はネジ、81は軸受部を示す。
【0098】
前記リード線76a,76b,77a,77bは、それぞれ樹脂で被覆され電気的に絶縁されているもので、前記の底部71を電気的に絶縁して貫通する電流導入端子によって、電解用純水槽31の外部に取り出される。
【0099】
かかる構成からなる送水ポンプ32は、電解用純水槽31の外部の電源から電力を駆動コイル76に供給すると、ロータ75が回転を始め、このロータ75に固定されている回転軸74も回転を始めるので、ブレード73も同時に回転し、電解用純水槽31内の純水が純水出口72から供給管3に供給される。
【0100】
前記の回転軸74が回転すると、この回転軸74に埋め込まれている磁石77cも回転し、検出コイル77に交流誘導電流が流れるので、そのサイクル数から制御装置は、回転を監視することができる。
【0101】
図4は、この発明の高圧水素の製造装置を構成する水電解セル1に大電流を送電するための電流導入端子の一例を示す概略説明図で、図中90は銅製の導体、90aはその内部リード線、91は樹脂製の絶縁体、92a,92b及び93a,93bはシール用のOリング、94は樹脂製の円盤、95a,95bは金属製の円盤、96は電線端子、97はナット、98は押さえ板、99ネジ、100はナット、101は高圧容器10の容器壁を示し、銅製の導体90を電解用純水槽31と電気的に絶縁された状態で容器壁に貫通しているので、高圧容器10内の水素を漏らすことなく、電解用純水槽31の外部から内部に電気を送ることができる。
【0102】
図5は、この発明の高圧水素の製造装置を構成する送水ポンプ32及び水面計33などに小電流を送電するための電流導入端子の一例を示す概略説明図であって、図中110は電解用純水槽31の容器壁、111は反応硬化性エポキシ樹脂等の樹脂で穴埋めして形成した絶縁体、112はエナメル被覆銅線を示し、このように構成することによって、多数の電線を電解用純水槽31内に導入することを可能としたものである。
【0103】
図6は、この発明で用いられる水面計の一例を示す概略説明図で、図中120は電解用純水槽31の容器壁、121及び124は固定用のネジ、122はエナメルを被覆した銅線、123は押さえ板、125a〜125cはエナメル被覆を剥離して金メッキを施した電極、126は支柱を示す。
【0104】
水面計33をかかる構成としたので、例えば、電極125aが純水に浸かっている場合と、浸かっていない場合における容器壁120と電極125aとの間の電気抵抗が異なることから、電極125aが純水に浸かっているか否かを判別することができ、その結果、水面が電極125aより上にあるか、下にあるのかが分かる。
【0105】
このように、水面33aが電極125aより下か、電極125aと電極125bの間か、あるいは電極125bと電極125cの間か、電極125cよりも上にあるかが分かり、水面計33として機能するものである。
【0106】
図7は、前記図2で示した電解用純水槽31内に配置する送水ポンプ32とは異なり、電解用純水槽31の外側に配置する外置き型の電動送水ポンプの例を示し、送水用の回転ブレード127に対して一対のモータ128及びマグネット129を対称的に配置して構成したもので、ポンプ本体と回転ブレード127、及びリング板130は、いずれもステンレス等の非磁性材料で形成され、回転ブレード127に固定されているマグネット129と、モータ128の軸に固定されているマグネット129との間は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(peek)のような耐熱性のプラスチックからなる薄い区画板131で隔離されている。
【0107】
かかる構成を採用することによって、回転ブレード127のマグネット129と、モータ128側のマグネット129が引き合い、回転ブレード127は中空に浮かんで固定される。
また、モータ128が回転すると、回転ブレード127も回転し、回転ブレード127の側は、電解用純水槽31の底部に接続され純水が流入し、モータ128のある側は、電解用純水槽31の上部に接続され、酸素が流入するが、それらは同じ電解用純水槽31にあるので、等圧であり、区画板131には差圧は作用しない。
【0108】
以上述べたようにして、電解用純水槽31の純水を水電解セル1の陽極側に送水するものであるが、モータ128への通電は、図5の電流導入端子により電線を送水ポンプ32の本体内に貫通させて配線して行うものである。
【0109】
図8は、この発明で使用される高圧容器10及び純水酸素容器31等の側壁に形成される貫通孔の封止に関する一例を示し、図中、141は水素高圧容器1又は純水酸素容器31等の容器の側壁で、Xは容器内を、Yは容器外を示し、140は配管、142はコア、143はリング、144は固定ネジ、145は固定ネジ掴み部である。
【0110】
このような構造であるので、固定ネジ掴み部145を掴んで固定ネジ144をX方向から締め付けると、コア142が側壁141に押し付けられて配管140を抑え付け、配管140が側壁141にしっかりと固定され封止されるもので、その際、コア102は、容器内が高圧なため、その圧力によっても、固定ネジ104は締め付ける方向に押し付けられるので、完璧に封止される。
【0111】
図8においては、側壁141の内部にコア142を挿入して固定する構造に加工する例について説明したが、市販されている金属製コネクターを側壁141の貫通孔にテーパーネジ等で固定して、配管140を図8と同様なコア142で封止することによっても目的を達することができる。
【0112】
【発明の効果】
この発明の水素の製造装置及びその製法は、エネルギとして利用される水素に求められる高圧水素を効率よく、安全に、しかもガス圧縮機を用いることなく調製することが可能で、太陽光等の変動の激しい自然エネルギで発電した電力を用いても調製でき、二酸化炭素による地球温暖化の防止や、窒素酸化物やイオウ酸化物による人への影響をなくし、酸性雨による森林等の損傷を防ぐなど環境保全に優れた効果を奏するものである。
【0113】
また、得られる高圧水素は貯蔵も容易で、必要に応じて燃料電池で、再度電力に戻すことができ、便利で効率的であるとともに、自然エネルギで得た電力を、純水の電気分解によって、クリーンで貯蔵及び持ち運びに便利なエネルギとしての水素に効率よく変換するなど優れた効果を奏するものである。
【0114】
さらに、PEM自体の耐圧性、水電解セルのシール部の耐圧性を気にすることなく、ガス圧縮機を用いるものではないため、ガス圧縮機の使用に伴う、分解保守や水素の汚染が軽減され、PEM型燃料電池を用いて水素を電力に変換する際の水素の不純物による電極の被毒による出力の低下、寿命の短縮化が防止でき、高圧であるため容器を小型化でき、電気自動車(燃料電池自動車)などに積載する際の問題点、乗車空間に狭小化、走行距離の短縮化などを解消することができる。
【0115】
特に、この発明では、水電解セルを水素雰囲気の高圧容器内に収納するよう構成しているので、水電解セルの電極等の金属腐食や、純水の溶解性に基づく比抵抗の低下による漏洩電流、電気絶縁性液体による公害発生のおそれがなく、水素と酸素を分離貯蔵するため、爆鳴気が発生するおそれが少なく、酸素の容積を水素の容積の4%以下にするという簡単な手段で、安全に高圧水素を調製することができる。
【0116】
また、この発明では、生成した水素、酸素及び純水の冷却を、高圧容器内で分岐させた複数の細管を用いて行うことにより、熱交換のための伝熱面積を広くすると共に、管の厚さも薄くして熱伝導性を向上させたので、電気分解で発生する熱が分岐された複数の配管で効率良く冷却でき、水電解セルを、常に、最適な温度に保って運転でき、高圧水素の調製を容易に且つ効率よく行うことができる。
【0117】
また、水電解を停止している際、特に、将来のクリーンエネルギーとされている太陽光発電により、水を電気分解して水素を生成する場合は、冬の夜間での水電解を停止している際の凍結防止が、同じ配管を使用することにより、系内の純水の温度を℃以下にしないことで、効果的に行うことができるのである。
【0118】
また、生成した水素、酸素及び純水の冷却に使用する前記複数の径の細い配管を、高圧容器の側壁から貫通させるに際し、高圧容器内部からテーパー状の貫通孔を形成し、貫通孔を楔状のコアで封止する構造とすることで、溶接することなく封止できるようにし、細管への分岐を、高圧容器内で行うことにしたため、分岐部における配管内外の圧力差が小さいため、薄い板材を用いても分岐部の耐圧が充分確保でき、溶接で接続する場合、溶接に最適な板厚材が使用でき、また、一般に市販されている配管接続部品が使用できる。
【0119】
さらにまた、この発明では、冷却用配管を細管として伝熱効果を高めるものであるが、このような細い管は、シームレスで螺旋状等に加工することが容易で、配管長を長くしてもコンパクトに熱交換機などに収めることができ、しかも、漏洩の心配がない等、優れた熱交換特性が得られるのである。
【0120】
この発明で得られる高圧水素は、自然エネルギによって発電した電力や、夜間余剰電力等により水を電気分解し、安全に水素を発生させ、かつ貯蔵して使用個所へ供給することを可能とし、一般家庭やオフィス、工場、ガソリンスタンド等の比較的小規模な場所においても、大規模にエネルギを貯蔵し使用する場所においても使用可能なものである。
【0121】
さらに、この発明によって得られる高圧水素は、従来、水素が使用されていた半導体製造過程においてシリコン酸化膜や各種CVD膜、エピタキシャル成長膜などの薄膜、厚膜を生成させるための各種成膜工程、あるいは熱処理工程、さらには原子力発電装置の冷却水配管系の腐食防止や火力発電装置冷却用、また窯業やファインセラミックス工業などにおいても、有効に使用されるものである。
【0122】
上記のように、今日必要とされる工業的使用のための水素製造では、特に、製造原価を安くする必要があり、この発明では、水素の容積を小さくして貯蔵できるので、高価で広い設置面積を必要とするホールドタンクの替わりに、通常の水素供給に使用されている安価な高圧ボンベを使用して狭い面積の用地にも設置できるため、廉価な深夜電力で非常に安価に水素を製造することができる。
このことは、この発明が、深夜電力利用によるエネルギの有効利用に効果的であることを示すもので、工業用の水素製造の分野においても、二酸化炭素の排出抑制等の地球環境改善に貢献できることが分かる。
【0123】
また、水素発生装置を工場敷地内に設置すると、トラック輸送による二酸化炭素排出を無くすことができ、採用が増える傾向にあるが、停電や装置故障等で、水素の発生が不用意に停止した場合、バックアップのための水素貯蔵タンクがあまりに大きくなり過ぎるため設置できない場合が多く、バックアップのための水素購入ができる必要が、このことが水素発生装置の普及を拒む大きな要因であった。
【0124】
この発明では、高圧の水素を発生できるので、通常使用されている安価な高圧ボンベに水素を貯蔵でき、バックアップに対する特別な対応が必要なくなる。
さらに、水素消費量が大きく時間変動する場合は、消費量の変動を平準化するためのバッファータンク設備が必要であるが、高価であると共に広い用地を必要としたが、この発明では、通常の水素供給で使用されている安価な高圧ボンベをバッファータンクとして使用できるため、設備コストが非常に安くできるなど、この発明の効果は、エネルギ用水素の製造分野に留まらず、広く、工業分野の水素の製造においても計り知れないほどの大きいことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る高圧水素の製造装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】図1における高圧水素の製造装置の配管例を示す説明図である。
【図3】この発明に用いられる送水ポンプの一例を示す概略説明図である。
【図4】水電解セルに送電するための電流導入端子の一例を示す概略説明図である。
【図5】水面計及び電動送水ポンプなどに送電するための電流導入端子の一例を示す概略説明図である。
【図6】この発明で用いられる水面計の一例を示す概略説明図である。
【図7】送水ポンプの他の例を示す概略説明図である。
【図8】高圧容器の側壁に形成された貫通孔の封止例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 水電解セル
2 水素の放出管
3 純水の供給管
4 純水の戻り管
4 純水の戻り管
9 電源
10 高圧容器
25a 純水冷却用の熱交換器
25b 水素冷却用の熱交換器
25c 酸素および戻り純水冷却用の熱交換器
31 電解用純水槽
31a 酸素貯留部
31b 酸素濃度計
32 送水ポンプ
33 水面計
33a 水面
40〜43 バルブ
44 純水補給槽
48 純水貯留槽
Claims (8)
- 高圧容器内に固体高分子電解質膜からなる水電解セルを配置し、この水電解セルによって純水を電気分解し、水素と酸素を生成させるものであって、
前記水電解セルを配置した高圧容器を、純水の電気分解によって生成される水素の貯留部とすると共に、高圧容器外に熱交換器を配置し、
水電解で生成された水素を、高圧容器内で分岐された複数の細管を介して前記熱交換器に送り冷却したのち、高圧容器の内部に戻すよう構成したことを特徴とする高圧水素の製造装置。 - 内部に固体高分子電解質膜を用いた水電解セルが設置され、水電解により生成される水素の貯溜槽をも兼ねる高圧容器と、
前記水電解セルと純水供給管及び純水戻り管で連通し、生成される酸素の貯留槽を兼ねる電解用純水槽と、
前記高圧容器の内圧と、前記電解用純水槽及び水電解セルを含む純水循環系の圧力との差圧を、水電解セルの耐圧以下の圧力に調整する圧力制御手段を有し、
生成された水素を、高圧容器内で分岐された複数の細管を介して高圧容器外に設置された熱交換器に送り、冷却したのち、高圧容器の内部に戻すよう構成されていること
を特徴とする高圧水素の製造装置。 - 前記純水供給管及び純水戻り管は、
いずれか一方又は双方の配管が、経路中に熱交換器を有し、
配管内を通過して水電解セルに供給される純水、又は配管内を通過する生成された酸素及び戻り純水の一方、又は双方の温度を制御し、またそれら純水の凍結を防止するよう構成したこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の高圧水素の製造装置。 - 前記純水戻り管は、
前記高圧容器内で分岐された複数の細管からなること
を特徴とする請求項2又は3に記載の高圧水素の製造装置。 - 前記高圧容器及び電解用純水槽は、
いずれか一方又は双方の内部に冷却用の複数の細管を有し、
細管を通過する冷却水の温度制御により、貯蔵された水素及び/又は酸素及び純水の温度を制御し、また純水の凍結を防止するよう構成したこと
を特徴とする請求項2に記載の高圧水素の製造装置。 - 前記細管は、
高圧容器又は電解用純水槽を構成する側壁の内側から外側に向かって形成されたテーパー状の貫通孔に、気密状態に固定されるコアの中心に保持され、配管されること
を特徴とする請求項1,2,4又は5のいずれかに記載の高圧水素製造装置。 - 高圧容器内に固体高分子電解質膜からなる水電解セルを配置し、この水電解セルによって純水を電気分解し、水素と酸素を生成するに際し、
発生した水素は、前記高圧容器内から配管を介して外部に取り出し、熱交換器で冷却したのち、高圧容器内に戻して貯蔵し、
酸素と戻り純水は、高圧容器内から配管を介して外部に取り出し、熱交換器で温度を制御されたのち、電解用純水槽内に貯蔵すること
を特徴とする高圧水素の製法。 - 前記配管は、
いずれも前記高圧容器内で分岐された複数の細管で構成され、少なくとも発生した水素は、高圧容器の下部から内部に戻すこと
を特徴とする請求項7に記載の高圧水素の製法。
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