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JP4004081B2 - フルクトシルアミノ酸オキシダーゼおよびその製造方法 - Google Patents

フルクトシルアミノ酸オキシダーゼおよびその製造方法 Download PDF

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JP4004081B2 JP08642796A JP8642796A JP4004081B2 JP 4004081 B2 JP4004081 B2 JP 4004081B2 JP 08642796 A JP08642796 A JP 08642796A JP 8642796 A JP8642796 A JP 8642796A JP 4004081 B2 JP4004081 B2 JP 4004081B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なフルクトシルアミノ酸オキシダーゼに関し、さらに詳しくはペニシリウム属(Penicillium)の菌由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、該酵素の製造方法、該酵素を用いたアマドリ化合物の分析法、および該酵素を含有する試薬及びキットに関する。
【0002】
【従来技術】
アマドリ化合物は、タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸のようなアミノ基を有する物質と、アルドースのような還元性の糖が共存する場合、アミノ基とアルデヒド基が非酵素的かつ非可逆的に結合し、アマドリ転移することにより生成される。アマドリ化合物の生成速度は、反応性物質の濃度、接触時間、温度などの関数で表される。従って、その生成量から、それら反応性物質を含有する物質に関する様々な情報を得ることができると考えられている。アマドリ化合物を含有する物質としては、醤油等の食品、および血液等の体液がある。
例えば、生体では、グルコースとアミノ酸が結合したアマドリ化合物であるフルクトシルアミン誘導体が生成している。例えば、血液中のヘモグロビンが糖化されたフルクトシルアミン誘導体はグリコヘモグロビン、アルブミンが糖化された誘導体はグリコアルブミン、フルクトシルアミン誘導体のアルカリ溶液中における還元能はフルクトサミンと呼ばれる。これらの血中濃度は、過去の一定期間の平均血糖値を反映しており、その測定値は、糖尿病の病状の診断及び症状の管理の重要な指標となり得るために、測定手段の確立は臨床上、極めて有用である。また、食品中のアマドリ化合物を定量することにより、その食品の製造後の保存状況や期間を知ることができ、品質管理に役立つと考えられる。
このように、アマドリ化合物の定量分析は医学および食品を含む広範な分野で有用である。
【0003】
従来、アマドリ化合物の定量法としては、高速液体クロマトグラフィーを利用する方法[Chromatogr.Sci.10:659(1979)]、ホウ酸を結合させた固体をつめたカラムを用いる方法[Clin.Chem.28:2088-2094(1982)]、電気泳動[Clin.Chem.26:1598-1602(1980)]、抗原−抗体反応を利用する方法[JJCLA 18: 620(1993),機器・試薬 16: 33-37(1993)], フルクトサミンの測定法 [Clin.Chim.Acta 127: 87-95 (1982)], チオバルビツール酸を用いて酸化後比色定量する方法[Clin.Chim.Acta 112: 197-204 (1981)]などが知られているが、高価な機器が必要であったり、必ずしも正確で迅速な方法ではなかった。
【0004】
近年、酵素の有する特性(基質、反応、構造、位置などの特異性)に起因して、選択的に目的物質を迅速かつ正確に分析することができることから、酵素反応を利用する方法が臨床分析や食品分析の分野で普及してきた。
既に、アマドリ化合物に酸化還元酵素を作用させ、その反応における酸素の消費量又は過酸化水素の発生量を測定することにより、アマドリ化合物を定量する分析法が提案されている(例えば、特公平5−33997号公報、特公平6−65300号公報、特開平2−195900号公報、特開平3−155780号公報、特開平4−4874号公報、特開平5−192193号公報、特開平6−46846号公報、特開平7−289253号公報)。さらに、糖尿病の診断のための糖化タンパクの定量法も開示されている(特開平2−195899号公報、特開平2−195900号公報、特開平5−192193号公報、特開平6−46846号公報、特開平7−289253号公報)。
【0005】
アマドリ化合物の酸化還元酵素による分解反応は下記の一般式で表すことができる。
1−CO−CH2−NH−R2 + O2 + H2O→
1−CO−CHO + R2−NH2 + H22
(式中、R1はアルドース残基、R2はアミノ酸、タンパク質またはペプチド残基を表す)
上記の反応を触媒する酵素として以下のものが知られている。
1.フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ:コリネバクテリウム(Corynebacterium)属(特公平5−33997号公報、特公平6−65300号公報)、アスペルギルス属(Aspergillus)(特開平3−155780号公報)
2.フルクトシルアミンデグリカーゼ:カンジダ属(Candida)(特開平6−46846号公報)
3.フルクトシルアミノ酸分解酵素:ペニシリウム属(Penicillium)(特開平4−4874号公報)。
4.ケトアミンオキシダーゼ:コリネバクテリウム属、フサリウム属、アクレモニウム属またはデブリオマイセス属(特開平5−192193号公報)
5.アルキルリジナーゼ:J.Biol.Chem.239巻、第 3790ー3796頁 (1964年)記載の方法で調製。
【0006】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、これらの酵素による方法には、下記の問題点があった。
即ち、糖尿病の診断における指標は、糖化アルブミン、糖化ヘモグロビンおよびフルクトサミンである。糖化アルブミンは、タンパク分子中のリジン残基のε位にグルコースが結合して生成される[J.Biol.Chem.261:13542-13545(1986)]。糖化ヘモグロビンは、ヘモグロビンβ鎖のN末端バリンにもグルコースが結合している[J.Biol.Chem.254:3892-3898(1979)]。従って、糖尿病の指標となる糖化タンパクの測定には、フルクトシルリジンおよびフルクトシルバリンに対する特異性の高い酵素を用いる必要があった。しかし、既存のコリネバクテリウム属由来の酵素はフルクトシルリジンには作用せず、アスペルギルス属由来の酵素は、糖化タンパク又はその加水分解物に対する作用については明らかにされていない。他方、特開平5−192193号公報記載のケトアミンオキシダーゼはフルクトシルバリンを分解し得る酵素であり、リジン残基に糖が結合している糖化タンパクを正確に測定することができない。フルクトシルアミンデグリガーゼは、ジフルクトシルリジンに高い活性があるので、リジン残基のε位の糖化物を特異的に測定することができず、また、バリン残基の糖化物を特異的に測定することもできない。さらに、アルキルリジナーゼを用いる方法は糖類以外がリジンに結合した物質に対しても作用し、糖化物に対する特異性が低いという問題があり、正確な測定が期待できなかった。特開平4−4874号記載のペニシリウム属由来の酵素はフルクトシルリジンとフルクトシルアラニンに作用する酵素である。
このように、従来の酵素は糖化タンパクの正確な定量には適さず、フルクトシルリジン及びフルクトシルバリンに対する特異性が高い酵素の開発が待たれていた。
【0007】
一般的に、酵素を用いる分析法が正確かつ有用となるためには、分析の目的に最適な酵素を選択する必要がある。即ち、酵素の基質である被検物質の種類、測定試料の状態、測定条件など、種々の条件を考慮して適切な酵素を用いなければ、再現性のある正確な分析を行う事ができない恐れがある。そのような酵素を選択するためには、予め様々な酵素について、活性、基質特異性、温度安定性、pH安定性などが特定されていなければならない。従って、より多くのフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを製造し、それらの特性を明らかにしておくことが望ましい。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、アマドリ化合物、特に糖化タンパクに特異的に作用する新規なフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを提供することを目的として鋭意研究を重ねた結果、ペニシリウム属(Penicillium)の菌をフルクトシルリジン及び/又はフルクトシル Nα−Z−リジンの存在下で培養すると、目的の活性を有する酵素が誘導されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ペニシリウム属(Penicillium)の菌を、フルクトシルリジン及び/又はフルクトシル Nα−Z−リジン含有培地で培養することにより産生されるフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを提供するものである。
【0009】
本発明のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ産生菌の培養に用いるフルクトシルリジン及び/又はフルクトシル Nα−Z−リジン含有培地は、グルコースと、リジン及び/又はNα−Z−リジンを温度100〜150℃において3〜60分間、オートクレーブ処理することにより得られるフルクトシルリジン及び/又はフルクトシル Nα−Z−リジン(以下、FZLと略称することもある)を含有する。後述するように、本発明のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼはフルクトシルバリンおよびフルクトシルリジンの両者に活性があるが、その活性は、前者に対する活性が後者に対するものよりも高いという特徴を有する。本明細書中では、本発明のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼをFAODと称することもある。
【0010】
本発明の酵素は、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ産生能を有するペニシリウム属の菌をフルクトシルリジン及び/又はフルクトシルNα−Z−リジン含有培地で培養することにより製造することができる。そのような菌として、ペニシリウムヤンシネルムS-3413(Penicillium janthinellum S-3413)(FERM BP-5475)、ペニシリウム・ヤンシネルム(IFO NO.4651,6581,7905)(Penicillium janthinellum)、ペニシリウム・オキサリクム(IFO NO.5748)(Penicillium oxalicum)、ペニシリウム・ヤバニクム(IFO NO.7994)(Penicillium javanicum)、ペニシリウム・クリソゲヌム(IFO NO.4897)(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・シアネウム(IFO NO.5337)(Penicillium cyaneum)などの種を挙げることができる。
【0011】
本発明のFAOD類は、一般に、下記の理化学的特性を有する。
1)酸素の存在下でアマドリ化合物を酸化し、α−ケトアルデヒド、アミン誘導体および過酸化水素を生成する反応を触媒し;
2)安定pHは4.0〜11.0、至適pHは7.5であり;
3)安定温度は15〜50℃、至適温度は25℃であり;
4)スーパーデックス200pgを用いたゲルろ過法で測定した場合、分子量は約38,700(38.7kDa)である。
【0012】
本発明のFAODの製造に用いるフルクトシルリジン及び/又はFZLは、グルコース0.01〜50重量%とリジン及び/又はNα−Z−リジン0.01〜20重量%とを溶液中で、100〜150℃において3〜60分間オートクレーブ処理する方法で製造される。具体的には、全量1000mlの溶液中にグルコース200g、Nα−Z−リジン10gを溶解させ、通常120℃、20分間オートクレーブ処理することによって製造することができる。
また、本発明のFAODの製造に用いるフルクトシルリジン及び/又はFZL含有培地(以下、FZL培地と称する)は、上記の方法で得られたフルクトシルリジン及び/又はFZLを通常の培地に添加するか、例えば、グルコース0.01〜50重量%、リジン及び/又はNα−Z−リジン0.01〜20重量%、K2HPO4 0.1重量%、NaH2PO4 0.1重量%、MgSO4・7H2O 0.05重量%、CaCl2・2H2O 0.01重量%および酵母エキス0.2重量%を含有する混合物(好ましくはpH5.6−6.0)を100〜150℃において3〜60分間オートクレーブ処理することによって得ることができる。
【0013】
本発明のFAODの製造に用いる培地は、炭素源、窒素源、無機物、その他の栄養源を含有する通常の合成あるいは天然の培地であってよく、炭素源としては、例えば、グルコース、キシロース、グリセリン等、窒素源としては、ペプトン、カゼイン消化物、酵母エキス、等を用いることができる。さらに無機物としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、コバルト等、通常の培地に含有されるものを用いることができる。
本発明のFAODは、フルクトシルリジン及び/又はFZLを含有する培地で培養したとき、最もよく誘導される。好ましい培地の例として、上記の方法で得られるFZLを単一の窒素源とし、炭素源としてグルコースを用いるFZL培地(1.0%グルコース、0.5%FZL、1.0%K2HPO4、0.1%NaH2PO4、0.05%MgSO4・7H2O、0.01%CaCl2・2H2Oおよび0.01%ビタミン混合物)を挙げることができる。特に好ましい培地は、全量1,000ml中にグルコース20g(2%)、FZL 10g(1%)、K2HPO4 1.0g(0.1%)、NaH2PO41.0g(0.1%)、MgSO4・7H20 0.5g(0.05%)、CaCl2・2H2O 0.1g(0.01%)および酵母エキス2.0g(0.2%)を含有する培地(pH5.6−6.0)である。FZL培地は、通常の培地にFZLを添加するか、グルコースとNα−Z−リジンとを含有する培地をオートクレーブ処理することによって調製することができる。
いずれの方法によっても得られる培地はフルクトシルリジン及び/又はFZLの存在によって褐色を呈しており、FZL褐変化培地又はGL(グリケーテッドリジン及び/又はグリケーテッドNα−Z−リジン)褐変化培地と呼称される。
【0014】
培養は、通常、25〜37℃、好ましくは28℃で行われる。培地のpHは4.0〜8.0の範囲であり、好ましくは5.5〜6.0である。しかしながら、これらの条件はそれぞれの菌の状態に応じて適宜調整されるものであり、上記に限定されない。例えば、ペニシリウム・ヤンシネルムS−3413株をこの条件下、20〜48時間、好ましくは36時間培養すると、FAODが培養培地に蓄積される(図1)。このようにして得られた培養物は、常法に従い、核酸、細胞壁断片等を除去し、酵素標品を得ることができる。
本発明のFAODの酵素活性は菌体中に蓄積されるので、培養物中の菌を破砕し、酵素を抽出する。
細胞の破砕は、機械的手段または溶媒を利用した自己消化、凍結、超音波処理、加圧などのいずれでもよい。
酵素の分離精製方法も既知であり、硫安などを用いる塩析、エタノール等の有機溶媒による沈殿、イオン交換クロマトグラフィーや疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィーなどを組み合わせて精製する。
例えば、培養物を、遠心または吸引ろ過して菌糸体を集め、洗浄後、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁し、ダイノミルによって菌糸体を破砕する。次いで、遠心分離した上清を無細胞抽出液として、硫安分画、DEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーで処理することにより精製する。
【0015】
しかしながら、本発明の目的から、FAODは、その精製度にかかわらず、アマドリ化合物の酸化反応を触媒することができる限り、培養液をはじめとする、あらゆる精製段階の酵素含有物及び溶液を包含する。また、酵素分子の内、触媒活性に関与する部位のみでも、本発明目的を達成することができることから、任意の、アマドリ化合物酸化活性を有するフラグメントをも包含するものとする。このようにして得られたFAODは、アマドリ化合物の定量、特に糖尿病の診断のための糖化タンパクの定量に有用である。
従って、本発明は、ペニシリウム属に属し、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを産生することができる菌株をフルクトシルリジン及び/又はフルクトシル Nα−Z−リジン含有培地に培養し、培養物からフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを回収することを特徴とする、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼの製造方法を提供するものである。
【0016】
本発明のFAODを産生する菌の内、ペニシリウム・ヤンシネルムS-3413(Penicillium janthinellum S-3413)(以下、S−3413株と称する)は本発明者らが土壌中より新規に単離した菌株である。本菌株について、宇田川俊一ら著の「菌類図鑑」(講談社サイエンティフィク 1993)を参考とし、その菌学的特性を検討した結果、以下の根拠よりペニシリウム・ヤンシネルム(Penicillium janthinellum)と同定した。
なお、本菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERM BP-5475の下で寄託されている。
(1)子のう世代を形成しない。
(2)ペニシリ(penicillus)形成が認められた。
(3)フィアライド(phialide)はとっくり型で、急に細まり長い先端となる。
(4)ペニシリは不規則に分枝し、散開型である。
(5)菌核を形成しない。
(6)分生子連鎖が著しく散開である。
さらに、
(7)培地における生育状況
Czapek寒天培地上で速やかに生育する。25℃の恒温器で10日間培養すると、羊毛状に広がり、淡黄色または灰緑色を呈する。また、放射状に深いしわを形成する。
【0017】
以下に本発明のFAODの特性を詳細に説明する。
1.一般的な誘導特性
本発明のFAODはフルクトシルリジン及び/又はフルクトシルNα−Z−リジン(FZL)によって誘導される誘導酵素であり、フルクトシルリジン及び/又はFZLを窒素源とし、グルコースを炭素源とするフルクトシルリジン及び/又はFZL培地で、ペニシリウム属のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ産生菌株を培養することにより産生される。
FAODは、グルコースとリジン及び/又はNα−Z−リジンを共にオートクレーブして得られるGL褐変化培地で誘導されるが、グルコースとリジン及び/又はNα−Z−リジンを別々にオートクレーブ処理して調製した培地では誘導されないことから、該酵素はアマドリ化合物に特異的に作用するものである。
【0018】
2.反応特異性および基質特異性
本発明のFAODは、式:
1−CO−CH2−NH−R2 + O2 + H2O →
1−CO−CHO + R2−NH2 + H22
(式中、R1はアルドース残基、R2はアミノ酸、タンパク質又はペプチド残基を表す)
で示される反応における触媒活性を有する。上記の反応式において、R1が−OH、−(CH2n−、または−[CH(OH)]n−CH2OH(式中、nは0−6の整数)であり、R2が−CHR3−[CONHR3mCOOH(式中、R3はα−アミノ酸側鎖残基、mは1−480の整数を表す)で示されるアマドリ化合物が基質として好ましい。中でも、R3がリジン、ポリリジン、バリン、アスパラギンなどから選択されるアミノ酸の側鎖残基であり、またnが5〜6、mが55以下である化合物が好ましい。
【0019】
本発明のFAODの各基質に対する活性を、以下の表1に示す。
表1 精製されたペニシリウム・ヤンシネルムS−3413由来のFAODの基質特異性
【表1】
Figure 0004004081
*1:検出されず
*2:フルクトシルヒト血清アルブミン
表1から、本発明のFAODはフルクトシルNα−Z−リジン及びフルクトシルバリンに対して高い特異性を有する。
ペニシリウム属のFAOD産生能力を有する菌株を下記表2に例示する。
表2 FZL褐変化培地で培養したペニシリウム属の菌から抽出したFAODの基質特異性
【表2】
Figure 0004004081
1):検出されず
【0020】
表2に示されているように、本発明のFAODは、フルクトシルリジンと比較してフルクトシルバリンに対して高い活性を有しており、このことは該FAODが糖化ヘモグロビンの測定に有用であることを示唆するものである。
【0021】
3.pHおよび温度の条件
pH条件の測定
0.1M酢酸(Ac)、リン酸カリウム(K−P)緩衝液、トリス-塩酸緩衝液およびグリシン(Gly)−NaOH緩衝液(pH4.0〜11.0)にFAODを加え、25℃、10分間インキュベートした後、 通常の条件(25℃、pH8.0)で活性を測定した。
上記方法で測定したとき、本発明のFAODの安定なpH域は、約pH4.0〜11.0、好ましくはpH6.0〜9.0であり、至適pHは約7.5であった(図2参照)。
温度条件の測定
50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中で15〜60℃の温度条件にFAODを加え、10分インキュベートした後、通常の条件で活性を測定した。安定な温度領域は15〜50℃、好ましくは15〜45℃、より好ましくは15℃であり、酵素反応は、15〜45℃、好ましくは15〜40℃、より好ましくは25℃で効率良く進行する。(図3参照)
【0022】
4.力価の測定
酵素の力価測定は下記の方法で行った。
(1)生成する過酸化水素を比色法により測定する方法。
A.速度法
100mM フルクトシルバリン(FV)溶液はあらかじめ得られたFVを蒸留水で溶解することによって調製した。45mM 4−アミノアンチピリン、60ユニット/mlパーオキシダーゼ溶液、及び60mM フェノール溶液それぞれ100μlと、0.1M トリス-塩酸緩衝液(pH8.0)1ml、および酵素溶液50μlを混合し、全量を蒸留水で2.95mlとする。25℃で平衡化した後、100mM FV溶液50μlを添加し、505nmにおける吸光度を経時的に測定した。生成するキノン色素の分子吸光係数(5.16×103-1cm-1)から、1分間に生成する過酸化水素のマイクロモルを算出し、この数字を酵素活性単位(ユニット:U)とする。
【0023】
B.終末法
上記A法と同様に処理し、基質添加後、30分間25℃でインキュベートした後の505nmにおける吸光度を測定し、別にあらかじめ標準過酸化水素溶液を用いて作成した検量線から生成した過酸化水素量を算出することにより、酵素活性を測定する。
(2)酵素反応による酸素吸収を測定する方法
0.1M トリス-塩酸緩衝液(pH8.0)1mlと酵素溶液50μlを混合し、蒸留水で全量を3.0mlとし、ランク ブラザーズ社の酸素電極のセルに入れる。25℃で攪拌し、溶存酸素と温度を平衡化した後、50mM FV 100μlを添加し、酸素吸収を記録計で連続的に計測し、初速度を得る。標準曲線から1分間に吸収された酸素量を求め、これを酵素単位とする。
【0024】
5.酵素の阻害、活性化および安定化
(1)金属の影響
0.1M トリス-塩酸緩衝液(pH8.0)の条件で、終濃度1mMの各種金属イオンを添加し、5分間30℃でインキュベートした後、活性を測定した。結果を下記の表3に示す。
表3 金属イオンのペニシリウム・ヤンシネルムS−3413由来FAOD活性への影響
【表3】
Figure 0004004081
表3から明らかに、本発明のFAODの活性に対し、銅イオン、バリウムイオンが阻害的であり、コバルトイオン、亜鉛イオン、銀イオンおよび水銀イオンは強く阻害する。
【0025】
(2)各種阻害物質の影響
上記(1)の金属イオンの影響に関する試験と同様の方法で試験した。ただし、パラクロロ安息香酸第二水銀(PCMB)は終濃度0.1mM、それ以外は1mMとした。結果を表4に示す。安定化の検討は、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に0.1mMのジチオスイトール(DTT)を添加したものに対して一晩透析を行った後、活性を測定することにより行った。
表4 各種物質のFAOD活性への影響
【表4】
Figure 0004004081
*1:PCMB,パラクロロ安息香酸第二水銀
*2:DNTB,5,5'−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)
*3:EDTA,エチレンジアミン四酢酸
表4から明らかに、FAOD活性はPCMB、DNTB、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、ヒドロキシルアミンにより、強く阻害され、酵素反応にはSH基およびカルボニル基が重要な働きをしていることが予想される。
他方、ジチオスレイトールによって安定化され、保存に適した溶媒はジチオスレイトール0.1mMを添加した50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)である。
【0026】
6.分子量
スーパーデックス200pgによるゲルろ過法で求めた結果、分子量は約38,700(38.7kDa)であった(図4)。
SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)はデービスの方法に従い、10%ゲルを用いて、40mAで、3時間泳動し、タンパク染色は、クマシーブリリアントブルーG−250で行った。
また、SDS−PAGEにおいて、標準タンパクとしてホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン、カルボニックアンヒドラーゼ、大豆トリプシンインヒビターを同様に泳動し、検量線を用いて分子量測定を行った結果、サブユニットの分子量は約48,700(48.7kDa)であることが示された(図5)。従って、本発明のFAODは単量体であることが明らかである。
【0027】
7.既知の酵素との比較
既存の菌由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼと、本発明のFAODとを比較した。
表5 種々の微生物由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼの比較
【表5】
Figure 0004004081
1):ホリウチら(T.Horiuchi et al.) Agric.Biol.Chem., 53(1), 103-110 (1989)
2):ホリウチら(T.Horiuchi et al.) Agric.Biol.Chem., 55(2), 333-338 (1991)
3):フルクトシルNα−Z−リジンに対する比活性
4):Nε−D−フルクトシルNα−ホルミルリジンに対する比活性
表5から、本発明のFAODと他の2種の菌株由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼとの間に、下記の相違点が認められる。
(1)分子量の相違:本発明のFAODは単量体であるのに対し、他の2種の酵素は2量体であり、明らかに異なる。
(2)補酵素:FAODは補酵素として共有結合的に結合したFADを有するのに対し、他の酵素はいずれも非共有結合的に結合したFADを有する。
(3)至適pH、至適温度、およびSH試薬による阻害等の差異はFAODと他の2酵素との相違を示している。
【0028】
さらに、特開平4−4874号公報記載のペニシリウム属由来フルクトシルアミノ酸分解酵素と、本発明のFAODとを比較すると、下記の相違点が認められる。
(1)基質特異性:特開平4−4874号公報記載のフルクトシルアミノ酸分解酵素はフルクトシルリジンとフルクトシルアラニンに活性を有するのに対し、本発明のFAODはフルクトシルリジンとフルクトシルバリンに活性を有し、活性はフルクトシルバリンに対する方が強い。
(2)誘導条件:特開平4−4874号公報記載のフルクトシルアミノ酸分解酵素はフルクトシルアミノ酸を含まない培地でも産生されるが、本発明のFAODはフルクトシルリジンを含有する培地で培養することによって誘導される。
(3)製造方法:本発明のFAODは褐変化培地を用いて培養し、製造する。
【0029】
既述のごとく、本発明の酵素FAODは、アマドリ化合物の定量に有用である。従って、本発明はまた、アマドリ化合物を含有する試料と、本発明のFAODとを接触させ、酸素の消費量または過酸化水素の発生量を測定することを特徴とする、試料中のアマドリ化合物の分析法を提供するものである。本発明の分析法は、生体成分中の糖化タンパクの量及び/又は糖化率の測定、あるいはフルクトシルアミンの定量に基づいて行われる。
FAODの酵素活性は下記の反応に基づいて測定される。
1−CO−CH2−NH−R2 + O2 + H2O →
1−CO−CHO + R2−NH2 + H22
(式中、R1はアルドース残基、R2はアミノ酸、タンパク質またはペプチド残基を表す)
被検液としては、アマドリ化合物を含有する任意の試料溶液を用いることができ、例えば、血液(全血、血漿または血清)、尿等の生体由来の試料の外、醤油等の食品が挙げられる。
【0030】
本発明のFAODをアマドリ化合物含有溶液に、適当な緩衝液中で作用させる。反応溶液のpH、温度は、上記の条件を満たす範囲、即ち、pH6.0〜9.0、好ましくは7.5、温度は15〜45℃、好ましくは15〜40℃である。緩衝液としてはリン酸カリウム等を用いる。FAODの使用量は、終点分析法においては通常、0.1ユニット/ml以上、好ましくは1〜100ユニット/mlである。
【0031】
本発明の分析法では、下記のいずれかのアマドリ化合物の定量法を用いる。
(1)過酸化水素発生量に基づく方法
当該技術分野で既知の過酸化水素の定量法、例えば、発色法、過酸化水素電極を用いる方法等で測定し、過酸化水素およびアマドリ化合物の量に関して作成した標準曲線と比較することにより、試料中のアマドリ化合物を定量する。具体的には、上記4の力価の測定に準じる。ただし、FAOD量は1ユニット/mlとし適当に希釈した試料を添加し、生成する過酸化水素量を測定する。過酸化水素発色系としては、パーオキシダーゼの存在下で4−アミノアンチピリン、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン等のカップラーとフェノール等の色原体との酸化縮合により発色する系を用いることができる。色原体として、フェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等があり、例えば、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,4−ジクロロフェノール、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン等が挙げられる。又パーオキシダーゼの存在下で酸化発色を示すロイコ型発色試薬も用いることができ、そのようなロイコ型発色試薬は、当業者に既知であり、o−ジアニシジン、o−トリジン、3,3−ジアミノベンジジン、3,3,5,5−テトラメチルベンジジン、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン等が挙げられる。
(2)酸素の消費量に基づく方法
反応開始時の酸素量から反応終了時の酸素量を差し引いた値(酸素消費量)を測定し、酸素消費量とアマドリ化合物の量に関して作成した標準曲線と比較することにより、試料中のアマドリ化合物を定量する。具体的には、上記4の力価の測定に準じて行う。但し用いるFAOD量は1ユニット/mlとし、適当に希釈した試料を添加し吸収される酸素量を求める。
【0032】
本発明方法は試料溶液をそのまま用いて行うこともできるが、対象となる糖化タンパクによっては、あらかじめ糖が結合したバリン及び/又はリジン残基を遊離させてから行うことが好ましい。
そのような目的には、タンパク質分解酵素を用いる場合(酵素法)と、塩酸等の化学物質を用いる場合(化学法)があるが、前者が好ましい。その場合、本発明方法には当業者に既知である、エンド型及びエキソ型のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を用いることができる。エンド型のプロテアーゼには、例えばトリプシン、α−キモトリプシン、スブチリシン、プロティナーゼK、パパイン、カテプシンB、ペプシン、サーモリシン、プロテアーゼXIV、リジルエンドペプチダーゼ、プロレザー、ブロメラインF等がある。一方、エキソ型のプロテアーゼにはアミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ等が挙げられる。酵素処理の方法も既知であり、例えば下記実施例に記載の方法で行うことができる。
【0033】
上記のごとく、本発明のFAODは、フルクトシルバリンに高い特異性を有することから、糖化ヘモグロビンの測定に有用である。また、糖化タンパクに含まれるフルクトシルリジンにも高い基質特異性を有するものであることから、血液試料中の糖化タンパクを測定することを含む、糖尿病の診断などに有用である。
なお、検体として血液試料(全血、血漿または血清)を用いる場合、採血した試料をそのまま、あるいは透折等の処理をした後用いる。
さらに、本発明方法に用いるFAOD、パーオキシダーゼ等の酵素は、溶液状態で用いてもよいが、適当な固体支持体に固定化してもよい。例えば、ビーズに固定化した酵素をカラムに充填し、自動化装置に組み込むことにより、臨床検査など、多数の検体の日常的な分析を効率的に行うことができる。しかも、固定化酵素は再使用が可能であることから、経済効率の点でも好ましい。
さらには、酵素と発色色素とを適宜組み合わせ、臨床分析のみならず、食品分析にも有用なアマドリ化合物の分析のためのキットを得ることができる。
【0034】
酵素の固定化は当該技術分野で既知の方法により行うことができる。例えば、担体結合法、架橋化法、包括法、複合法等によって行う。担体としては、高分子ゲル、マイクロカプセル、アガロース、アルギン酸、カラギーナン、などがある。結合は共有結合、イオン結合、物理吸着法、生化学的親和力を利用し、当業者既知の方法で行う。
固定化酵素を用いる場合、分析はフロー又はバッチ方式のいずれでもよい。上記のごとく、固定化酵素は、血液試料中の糖化タンパクの日常的な分析(臨床検査)に特に有用である。臨床検査が糖尿病診断を目的とする場合、診断の基準としては、結果を糖化タンパク濃度として表すか、試料中の全タンパク質濃度に対する糖化タンパク質の濃度の比率(糖化率)又はフルクトシルアミン量で表される。全タンパク質濃度は、通常の方法(280nmの吸光度、ブラッドフォード法、ビュレット法、Lowry法あるいは、アルブミンの自然蛍光、ヘモグロビンの吸光度など)で測定することができる。
【0035】
本発明はまた、本発明のFAODを含有するアマドリ化合物の分析試薬又はキットを提供するものである。
本発明のアマドリ化合物の定量のための試薬は、本発明のFAOD、好ましくはpH6.0〜9.0、より好ましくはpH7.5の緩衝液からなる。該FAODが固定化されている場合、固体支持体は高分子ゲルなどから選択され、好ましくはアルギン酸である。
試薬中のFAODの量は、終点分析を行う場合、試料あたり、通常1〜100ユニット/ml、緩衝液はリン酸カリウム(pH7.5)が好ましい。
過酸化水素の生成量に基づいてアマドリ化合物を定量する場合、発色系としては、先述の「(1)過酸化水素発生量に基づく方法」に記載の酸化縮合により発色する系、並びにロイコ型発色試薬等を用いることができる。
本発明のアマドリ化合物の分析試薬と、適当な発色剤ならびに比較のための色基準あるいは標準物質を組み合わせてキットとすることもできる。そのようなキットは、予備的な診断、検査に有用であると考えられる。
上記の分析試薬及びキットは、生体成分中の糖化タンパクの量及び/又は糖化率の測定、あるいはフルクトシルアミンを定量するために用いられるものである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
【0036】
【実施例】
実施例1 ペニシリウム・ヤンシネルムS−3413由来のFAODの製造および精製
ペニシリウム・ヤンシネルムS−3413(FERM BP-5475;Penicillium janthinellum S-3413)をFZL 0.5%、グルコース 1.0%、リン酸二カリウム0.1%、リン酸一ナトリウム 0.1%、硫酸マグネシウム 0.05%、塩化カルシウム 0.01%, イーストエキス 0.2%を含有した培地(pH6.0)10Lに植菌し、ジャーファーメンターを用いて通気量2L/分、攪拌速度500rpmの条件で28℃、36時間攪拌培養した。培養物は瀘過して集めた。
菌糸体410g(湿重量)を、0.1mMのDTTを含む、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)800mlに懸濁し、ダイノ・ミルにより菌糸体を破砕した。破砕液を9,500rpmで20分間遠心分離し、得られた液を粗酵素液(無細胞抽出液)とし、以下の方法で精製した。
粗酵素液に40%飽和になるように硫酸アンモニウム(以下、硫安と略す)を加え、攪拌し、12,000rpmで10分間遠心分離した。得られた上清に75%飽和になるように硫安を加え、撹拌し、12,000rpmで10分間遠心分離した。沈殿を0.1mMのDTTを含有する50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)(以下、緩衝液Aと略す)に溶解した。得られた酵素溶液を緩衝液Aに対し一晩透析した。外液の交換は2回行った。透析後の酵素溶液は緩衝液Aで平衡化したDEAE−セファセルカラム(4.2×26cm)にアプライした。活性画分は同緩衝液による洗浄画分に認められたので、これを集め、0−55%飽和の硫安分画に供した。次に25%飽和硫安を含む緩衝液Aで平衡化したフェニル−セファロース6FF(Low Substitute)カラム(HR10/10)に吸着した。同緩衝液にて洗浄した後、硫安濃度25−0%飽和の直線勾配で溶出した。活性画分を集め、硫安濃縮後、得られた酵素溶液を0.1mM DTTを含む0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)にて平衡化したスーパーデックス200pgカラムによりゲル瀘過を行い、70〜100ユニットの精製酵素を得た。
【0037】
精製酵素のUV吸収スペクトルを図6に示す。図6は、本酵素がフラビン酵素であることを示している。
得られた精製酵素標品はSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)により分子量を決定した。SDS−PAGEは、デービスの方法に従い、10%ゲルを用いて、40mAで3時間泳動し、クマシーブリリアントブルーG−250でタンパク染色を行った。標準タンパクとしてホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン、カルボニックアンヒドラーゼ、大豆トリプシンインヒビターを同様に泳動し、検量線から分子量を求めた結果、サブユニットの分子量は約48,700(48.7kDa)であることが示された(図5)。
また、スーパーデックス200pgによるゲルろ過による分子量測定では、図4の検量線図から明らかなように、約38,700(38.7kDa)であった。
本実施例で調製したFAODの酵素活性、pHおよび温度安定性、金属および阻害物質による影響などに関しては、前記の値または性質を示した。
【0038】
実施例2 糖化ヘモグロビン量の測定
1) 試料の処理
0〜15mgのグリコヘモグロビンコントロールE(シグマ社)を100μlの蒸留水で溶解した。これらの試料に塩酸アセトン(1N塩酸/アセトン:1/100)1mlを加え、12000回転で10分間遠心分離した。沈澱物をジエチルエーテル500μlで洗浄し、減圧乾固した。さらに8M尿素100μlを加え、20分間沸騰水中で加熱後冷却し、5.4ユニット/ml トリプシン300μlと混合、37℃で3時間インキュベートした。その後、沸騰水中で5分間加熱し、試料を調製した。
2) 活性測定
FAOD反応液は以下のようして調製した。
3mM N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4
−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン溶液 30μl
60ユニット/ml パーオキシダーゼ溶液 30μl
0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 300μl
25ユニット/ml FAOD溶液 5μl
蒸留水で全量を1mlとした。
25ユニット/ml FAOD溶液は、実施例1の方法で得たFAODを25ユニット/mlになるよう、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で希釈して調製した。
このFAOD反応液に上記の各処理基質を150μl加え、30℃でインキュベートし、30分後の727nmにおける吸光度を測定した。この方法で得られる糖化ヘモグロビンの量と吸光度との関係を図7に示す。図中の縦軸は727nmの吸光度(過酸化水素の量に対応)、横軸は糖化ヘモグロビンの量を表す。図は、糖化ヘモグロビンの量と過酸化水素発生量が相関関係にあることを示している。
【0039】
実施例3 糖化ヘモグロビン量の測定
1) 試料の処理
30mgのグリコヘモグロビンコントロールE(シグマ社)を蒸留水200μlで溶解し、8M尿素、0.2%EDTA・2ナトリウムを含む570mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.8)1mlと、2−メルカプトエタノール40μlを添加し、窒素封入下で2時間静置した。その後、1Mのヨード酢酸ナトリウム400μlを添加し、30分間静置後、2−メルカプトエタノール40μlを添加した。0.1M重炭酸アンモニウムに対して透析した後、10mg/ml TPCK−トリプシン10μlと混合し、37℃で3時間インキュベートした。その後、沸騰水中で5分間加熱し試料を調製した。
2) 活性測定
FAOD反応液は以下のようにして調製した。
3mM N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−
ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン溶液 30μl
60ユニット/ml パーオキシダーゼ溶液 30μl
0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 300μl
25ユニット/ml FAOD溶液 10μl
処理試料 0〜13.2mg
蒸留水で全量を900μlとした。
25ユニット/ml FAOD溶液は、実施例1の方法で得たFAODを25ユニット/mlになるよう、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で希釈して調製した。
このFAOD反応液を30℃でインキュベートし、30分後の727nmにおける吸光度を測定した。この方法で得られる糖化ヘモグロビンの量と吸光度との関係を図8に示す。図中の縦軸は727nmの吸光度(過酸化水素の量に対応)、横軸は糖化ヘモグロビンの量を表す。図は、糖化ヘモグロビンの量と過酸化水素発生量が相関関係にあることを示している。
【0040】
実施例4 ヘモグロビンA1c値の測定
ヘモグロビンA0試薬(シグマ社)を蒸留水で2.3mMになるように溶解した。この溶液を自動グリコヘモグロビン測定装置(京都第一科学)を用いて分画し、ヘモグロビンA1c画分とヘモグロビンA0画分を分取、精製した。両画分を比率混合することにより、ヘモグロビンA1c値0%〜52.0%の基質試料を得た。
1) 試料の処理
基質試料 250μg
500ユニット/ml アミノペプチダーゼ溶液 5μl
1.0M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 15μl
これらを混合し、蒸留水で全量を200μlとした。
この混合液を30℃で30分間インキュベートした。その後、10%トリクロロ酢酸を200μl加えて撹拌し、0℃で20分間静置した後12000回転で10分間遠心分離を行った。得られた上清に5N NaOHを約40μl加え、中性溶液にした。
2) 活性測定
FAOD反応液は以下のようして調製した。
3mM N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−
ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン溶液 100μl
60ユニット/ml パーオキシダーゼ溶液 100μl
0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 1000μl
16ユニット/ml FAOD溶液 15μl
蒸留水で全量を2.6mlとした。
16ユニット/ml FAOD溶液は、実施例1の方法で得たFAODを16ユニット/mlになるよう、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で希釈して調製した。
FAOD反応液を30℃で2分間インキュベートした後、上記の各処理基質を400μl加え、さらに30分インキュベートした後の727nmにおける吸光度を測定した。この方法で得られる基質のヘモグロビンA1c値と吸光度との関係を図9に示す。図中の縦軸は727nmの吸光度(過酸化水素の量に対応)、横軸はヘモグロビンA1c値を表す。図は、ヘモグロビンA1c値と過酸化水素発生量が相関関係にあることを示している。
【0041】
【発明の効果】
本発明のFAODは、フルクトシルバリンおよびフルクトシルリジンのいずれにも特異的に作用する。従って、新たな臨床分析および食品分析法の開発に有用であり、糖尿病の診断や食品の品質管理の面で寄与するところが大きい。特に、血中の糖化タンパク量及び/又は糖化率又はフルクトシルアミン量を指標として、糖尿病の病状の診断に役立つと考えられる。また、本発明のFAODを用いるアマドリ化合物の分析試薬および分析方法によって、正確に糖化タンパクを定量することができ、糖尿病の診断、症状管理に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 FAODの培養培地での産生量と培養時間の関係を示すグラフ。
【図2】 FAODの溶媒中での活性と至適pHの関係を示すグラフ。
【図3】 FAODの溶媒中での活性と至適温度の関係を示すグラフ。
【図4】 スーパーデックス200pgを用いたゲルろ過による分子量測定の結果を示すグラフ。
【図5】 ペニシリウム・ヤンシネルムS−3413由来の精製FAODをSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)にかけて得た移動パターンを示す写真。
【図6】 精製S−3413由来FAODの吸収スペクトル。
【図7】 糖化ヘモグロビン量とFAOD作用により生成された過酸化水素量との関係を示すグラフ。
【図8】 糖化ヘモグロビン量とFAOD作用により生成された過酸化水素量との関係を示すグラフ。
【図9】 ヘモグロビンA1c値とFAOD作用により生成された過酸化水素量との関係を示すグラフ。

Claims (9)

  1. ペニシリウム・ヤンシネルムS-3413(Penicillium janthinellum S-3413)(FERM BP-5475)をフルクトシルリジン含有培地で培養することにより産生されるフルクトシルアミノ酸オキシダーゼであって、下記の理化学的特性を有する、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ:
    1)酸素の存在下でアマドリ化合物を酸化し、α−ケトアルデヒド、アミン誘導体および過酸化水素を生成する反応を触媒し;
    2)安定pHは4.0〜11.0、至適pHは7.5であり;
    3)安定温度は15〜50℃、至適温度は25℃であり;
    4)スーパーデックス200pgを用いたゲルろ過法で測定した場合、分子量は約38,700(38.7kDa)であり、
    5)フルクトシルリジンおよびフルクトシルバリンに対して活性を有する。
  2. フルクトシルリジンと比較してフルクトシルバリンに対してより高い活性を有するものである、請求項1記載のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ。
  3. ペニシリウム・ヤンシネルムS-3413(Penicillium janthinellum S-3413)(FERM BP-5475)。
  4. 遊離又は保護基を有するアミノ酸の糖化物及び/又はタンパクの糖化物を含有する培地で、ペニシリウム・ヤンシネルムS-3413(Penicillium janthinellum S-3413)(FERM BP-5475)を培養することによって該菌にフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを産生させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼの製造方法。
  5. ペニシリウム・ヤンシネルムS-3413(Penicillium janthinellum S-3413)(FERM BP-5475)をフルクトシルリジン及び/又はフルクトシル α −Z−リジン含有培地に培養し、培養物からフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを回収することを特徴とする請求項4記載の方法。
  6. アマドリ化合物を含有する試料と、請求項1又は2に記載のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを接触させ、酸素の消費量または過酸化水素の発生量を測定することを特徴とする、試料中のアマドリ化合物の分析法。
  7. 試料が生体成分であり、アマドリ化合物の分析が、該生体成分中の糖化タンパクの量及び/又は糖化率の測定、あるいはフルクトシルアミンの定量によりなされることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 請求項1又は2に記載のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを含有するアマドリ化合物の分析試薬又はキット。
  9. 生体成分中の糖化タンパクの量及び/又は糖化率の測定、あるいはフルクトシルアミンの定量のために用いられることを特徴とする請求項8記載の分析試薬又はキット。
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