JP4002135B2 - ファイバグレーティング型光部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長周期ファイバグレーティングを備えた光フィルタ等のファイバグレーティング型光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファイバグレーティングは、光ファイバのファイバ軸方向に形成された屈折率の周期的変化であり、特に、上記屈折率の変化周期が、ファイバグレーティングを介して伝送される光信号の波長帯域よりも非常に長波長である例えば100μm〜数100μmのファイバグレーティングを長周期ファイバグレーティングと呼ぶ。
【0003】
長周期グレーティングは、光ファイバの導波モードの光信号パワーをクラッドモードの光信号へ結合させることができる。この特性を利用して、上記長周期グレーティングを用いたファイバグレーティング型光部品は、EDFA(Erbium-doped Fiber Amplifier;エルビニウム添加光ファイバ増幅器)等の光ファイバ増幅器のASE(Amplified Spontaneous Emission;増幅された自然放出光)抑制・除去や利得波長依存性を補償するためのフィルタデバイスとして、WDM(Wavelength Divisional Multiplexing;波長分割多重)システム等の様々や光通信システムに利用されている。
【0004】
特に、最近では、EDFAの利得波長特性の温度変化や経時変化(ダイナミックな波形変動)を補償する利得等化器として、上記ダイナミックな波形変動を補償(キャンセル)できるダイナミックな温度依存性を示す透過損失波長特性を有する利得等化器、いわゆるダイナミックゲインイコライザ{ダイナミックGEQ(Gain Equalizer)}が開発されている。
【0005】
すなわち、長周期ファイバグレーティングの温度係数は、コア層の実効屈折率の温度依存性およびクラッド層の実効屈折率の温度依存性の差とグレーティングの周期ピッチとの積で表すことができるため、通常の多層膜フィルタ等の利得等化器に比べて大きくなる。
【0006】
したがって、上記温度係数に比例する長周期ファイバグレーティングの透過損失波長特性の温度依存性も通常の利得等化器に比して大きく変動する。
【0007】
そこで、EDFAの利得波長特性の温度/経時変化を、上記温度係数に基づく透過損失波長特性の温度依存性を有する長周期ファイバグレーティングを用いたダイナミックGEQで補償することが考えられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゲルマニウムがドープされたコア層(ゲルマニウム層)を有する通常のシングルモード光ファイバ(SMF;その屈折率プロファイルを図5に示す)を用いて製作された長周期ファイバグレーティングの中心波長の温度依存性(温度依存波長シフト特性)は、図6に示すように、高々0.05nm/℃程度である。
【0009】
すなわち、ダイナミックな波形変動を示すEDFAの利得波長特性の温度/経時変化を補償するためには、上記0.05nm/℃程度の中心波長の温度依存性では不十分であり、長周期ファイバグレーティングの中心波長の温度依存性を増大させる必要が生じていた。
【0010】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、EDFAの利得波長特性の温度/経時変化を補償することができる長周期ファイバグレーティングを備えたファイバグレーティング型光部品を提供することをその目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ファイバグレーティング部の中心波長の温度依存性(温度依存波長シフト特性)、すなわち、温度変化に基づく波長シフト量を増大させると、その透過損失波長特性の波形変動幅が増大することに着目した。
【0012】
すなわち、グレーティング部の中心波長の温度変化に基づく波長シフト量を増大させれば、その透過損失波長特性の波形変動幅を増大させることができ、EDFAにおける利得波長特性の温度/経時変化のダイナミックな波形変動に対応させることが可能になる。
【0013】
グレーティング部の中心波長の温度依存性を増大させるためには、グレーティング部の温度係数を増大させればよく、そこで、本発明者等は、温度係数を増大させるための具体的な手段を考案した。
【0014】
そこで、本発明の第1の態様に係わるファイバグレーティング型光部品は、正の温度依存性を持つ屈折率を有し、且つ基材の屈折率より高い屈折率を有する第1の材料がドープされたコア層と、負の温度依存性を持ち、且つ前記コア層の屈折率より低い屈折率を有する第2の材料がドープされており、前記コア層を被覆するクラッド部とを備えた長周期ファイバグレーティング用光ファイバと、紫外線に感光させることで、前記光ファイバのコア層のファイバ軸方向に沿った所定部位における当該コア層の屈折率の前記ファイバ軸方向に沿った周期的変化として形成されたグレーティング部と、を備え、前記グレーティング部は、コア層及びクラッド部の実効屈折率の温度依存性がそれぞれ正と負を有することにより、前記コア層の実効屈折率の温度依存性および前記クラッド部の実効屈折率の温度依存性間の差と前記グレーティング部の周期ピッチとの積で与えられる前記グレーティング部の温度係数を約0.25nm/℃に設定することで、透過損失波長について温度変化に基づく波長シフト量を増大させ、EDFAの利得波長特性の温度補償を行うように構成したことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係わるファイバグレーティング型光部品1を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、ファイバグレーティング型光部品1は、通常のSMFの代わりとして、長周期ファイバグレーティング(以下、これを長周期ファイバグレーティング用光ファイバ2とよぶ)を備えている。
【0018】
この長周期ファイバグレーティング用光ファイバ2は、図1に示すように、石英ガラス(シリカ(SiO2)ガラス)に対して、上記シリカより屈折率が高く且つ紫外線に感光するゲルマニウム(Ge;ゲルマニア(GeO2と同義である))がドープ(添加)されて形成されたコア層3と、上記シリカから成るシリカ層にホウ素{三酸化二ホウ素(ボロン;B2O3)}がドープされて形成されており、コア層3を被覆する第1のクラッド層4とを備えている。
【0019】
また、長周期ファイバグレーティング用光ファイバ2は、上記シリカ層に、そのシリカの屈折率よりも低い屈折率を有するフッ素(F)がドープされて形成されており、第1のクラッド層4を被覆する第2のクラッド層5を備えている。
【0020】
光ファイバ2は、約8μmのモードフィールド径(ファイバ内(コア層3内)の光の強度分布の広がりを表す)を有しており、このモードフィールド径(約8μm)は、DSF(分散シフトファイバ;Dispersion Shifted Fiber)よりも大きな値となっている。また、光ファイバ2は、DSFよりも小さな分散スロープ(分散特性の波長依存性)を有している。
【0021】
ここで、光ファイバ2における各層(コア層3、第1・第2のクラッド層)の材料となるシリカ(SiO2)、コア層3にドープされたゲルマニウム(GeO2)、第1のクラッド層4にドープされたホウ素(B2O3)それぞれの屈折率の温度依存性を下表1に示す。
【表1】
【0022】
すなわち、コア層3にドープされたゲルマニウムの屈折率は、正の温度依存性を持っており、また、第1のクラッド層4にドープされたホウ素の屈折率は、上記正の温度依存性と同一の値(絶対値)であり、上記正の温度依存性をキャンセルする負の温度依存性を持っている。
【0023】
そして、グレーティング型光部品1は、コア層3のファイバ軸方向に沿った所定部位(例えば、軸方向に沿った長さが約25mm)に形成された長周期グレーティング部10を備えている。なお、上記長周期グレーティング部10のファイバ軸方向に沿った長さ(本実施形態では、25mm)をグレーティング長と定義する。
【0024】
この長周期グレーティング部10は次のように形成されている。すなわち、上記ゲルマニウムがドープされたコア層3、ホウ素がドープされた第1のクラッド層4およびフッ素がドープされた第2のクラッド層5から成る光ファイバ2に対して高圧水素処理を行う。そして、高圧水素処理後の光ファイバ2におけるコア層3におけるファイバ軸方向に沿った所定部位(グレーティング長25mm)に対して、ファイバ軸方向に対応する長手方向に沿って一定の周期ピッチ毎に形成されたスリットを有するマスクを介してアルゴン(Ar)レーザにより紫外線を照射することにより、グレーティング周期(間隔)が約400μmの長周期グレーティング部10がコア層3に形成される。
【0025】
図2は、光ファイバ2の寸法および屈折率分布のプロファイル(一点鎖線で示す)を概略的に示す図である。
【0026】
コア層3は、約10μmのコア径d1を有しており、また、第1のクラッド層4は、約60〜80μmのクラッド径d2(コア層3を含む第1のクラッド層4の直径)を有している。
【0027】
また、第2のクラッド層5は、約125μmのクラッド径d3(コア層3および第1のクラッド層4を含む第2のクラッド層5の直径)を有している。
【0028】
コア層3の屈折率および第1・第2のクラッド層4・5の屈折率は階段状(ステップ状)に変化している。
【0029】
すなわち、コア層3には、紫外線に感光してそのコア層3の屈折率(シリカ層の屈折率)を高める作用を有するゲルマニウムがドープされ、第1のクラッド層4および第2のクラッド層5には、紫外線に感光して対応する第1のクラッド層4および第2のクラッド層5の屈折率(シリカ層の屈折率)を低下させる作用を有するホウ素およびフッ素がそれぞれドープされている。
【0030】
本実施形態では、ゲルマニウムは、図2に示すように、コア層3のシリカ層に対する比屈折率差△1を、コア層3のモードフィールド径を大きくしながら、入射された光信号の波長帯域におけるパルス分散を抑制できる値(例えば0.35%)にするために必要な量がコア層3にドープされている。
【0031】
また、ホウ素およびフッ素は、図2に示すように、シリカ層の第1のクラッド層4および第2のクラッド層5に対する比屈折率差△2を、例えば約0.3%とするために必要な量が第1のクラッド層4および第2のクラッド層5にそれぞれドープされている。
【0032】
次に、本実施形態に係わるファイバグレーティング型光部品1および長周期ファイバグレーティング用光ファイバ2の作用について説明する。
【0033】
最初に、ファイバグレーティング型光部品1の波長遮断作用(フィルタ作用)について説明する。
【0034】
図1に示すように、ファイバグレーティング型光部品1の光ファイバ2におけるコア層3に形成された長周期グレーティング部10により、例えばコア層を図中右から左に向かう光信号における特定の波長帯を有する伝搬モード(基本モード)の光信号は、コア層3から第1のクラッド層4へ放出され、その第1のクラッド層4を介して伝搬されるクラッドモードの光信号S1、S2へ結合する。この結果、クラッドモードの光信号S1、S2へ結合した所定の波長帯の光信号を損失として、長周期グレーティング部10の通過をカット(遮断)することができる。
【0035】
したがって、長周期グレーティング部10を有するファイバグレーティング型光部品1を所望の波長遮断帯域(波長透過損失帯域)を有するカットオフフィルタや利得等化器として機能させることができる。
【0036】
次に、本実施形態特有の作用について説明する。
【0037】
上述したように、長周期グレーティング部10の中心波長の温度変化に基づく波長シフト量を増大させれば、その透過損失波長特性の波形変動幅を増大させることができ、EDFAにおける利得波長特性の温度/経時変化のダイナミックな波形変動に対応させることが可能になる。
【0038】
長周期グレーティング部10の中心波長の温度依存性を増大させるためには、長周期グレーティング部10の温度係数を増大させればよい。
【0039】
そこで、本実施形態のファイバグレーティング型光部品1における長周期ファイバグレーティング用光ファイバ2のコア層3には、正の温度依存性を持つ屈折率を有するゲルマニウムがドープされており、さらに、第1のクラッド層4には、上記正の温度依存性と同一の値(絶対値)で負の温度依存性を持つ屈折率を有するホウ素がドープされている。
【0040】
すなわち、コア層3の屈折率の温度依存性が正の値であり、第1のクラッド層4の屈折率の温度依存性が負の値であるため、コア層3および第1のクラッド層4の屈折率の温度依存性の差(絶対値)は増大し、この結果、コア層3および第1のクラッド層4間の温度勾配を増大することができる。
【0041】
なお、コア層3に正の温度依存性を持つ屈折率を有するゲルマニウムをドープし、第1のクラッド層4に負の温度依存性を持つ屈折率を有するホウ素をドープした場合でも、図2に示すように、伝搬モードの光信号をコア層3内において伝搬できる屈折率プロファイルを設定することができる。
【0042】
そして、本実施形態では、上記コア層3の屈折率の温度依存性および第1のクラッド層4の屈折率の温度依存性の差が増大した長周期ファイバグレーティング用光ファイバ2に対して、長周期グレーティング部10が形成されている。
【0043】
上述したように、長周期グレーティング部10の温度係数は、コア層3の実効屈折率の温度依存性および第1のクラッド層4の実効屈折率の温度依存性間の差とグレーティングの周期ピッチとの積で表すことができるため、長周期グレーティング部10の温度係数を、増大したコア層3および第1のクラッド層4間の温度依存性に基づいて増大させることが可能になる。
【0044】
ここで、図3は、本実施形態のファイバグレーティング型光部品1における長周期グレーティング部10の中心波長の温度変化に基づく波長シフト量を実際に測定した結果を示している。図3に示すように、長周期グレーティング10の中心波長の温度変化に基づく波長シフト量(温度依存性)を約0.25nm/℃に設定することができる。
なお、ここで、この「温度変化に基づく波長シフト量(温度依存性)」と前述した「温度係数」との関係について、定性的に説明する。
長周期型光ファイバグレーティング( LPG )は、導波している光の中で、
λ g =(n a −n b )・Λ ・・・(1)
但し、λ;クラッドモードに結合される光の波長
n a ;導波(コア)モードの実効屈折率
n b ;クラッドモードの実効屈折率
Λ;グレーティングの周期ピッチ
で決定される波長λ g の光を、その光と同一方向に進行するクラッドモードに結合させる機能を有する。
つまり、導波路を進行する各種波長の光のうち、クラッドモードに結合された波長λ g の光は、その後、光ファイバの被覆部分に吸収され減衰するので、波長λ g の光をカットする光フィルタを構成する。なお、クラッドモードとは、光ファイバの径全体をコアとみなし、それより外部の空気をクラッドと仮定したときの伝搬モードをいう。
ところで、任意の2種の温度T n 、T n−1 (但し、T n >T n−1 とする)を考えた場合、温度差ΔTは、
ΔT=T n −T n−1 ・・・(2)
また、温度T n 、T n−1 のときに、カットされる光(以下、「結合光」とよぶ)の波長を、それぞれ、λ n 、λ n−1 とし、温度差ΔTに対応する結合光の波長の差、つまり波長シフト量をΔλで定義すると、
Δλ=λ n −λ n−1 ・・・(3)
である。
従って、温度変化ΔTに対する波長シフト量Δλは、(1)、(2)、(3)から、次式で与えられる。
Δλ/ΔT=(λ n −λ n−1 )/ΔT
=[ { (n aTn −n aTn−1 )−(n bTn −n bTn−1 ) } ・Λ]
/ΔT
=[ { Δn a −Δn b } ・Λ]/(T n −T n−1 ) ・・・(4)
ここで、
Δn a (=n aTn −n aTn−1 );温度変化に伴うコアの実効屈折率の変化
Δn b (=n bTn −n bTn−1 );温度変化に伴うクラッドの
実効屈折率の変化
n aTn ,n aTn−1 ;温度T n 、T n−1 でのコアの実効屈折率
n bTn ,n bTn−1 ;温度T n 、T n−1 でのクラッドの実効屈折率
なお、(4)式において、Δn a /ΔTは、単位温度当りのコアの実効屈折率の変化、つまり「コアの実効屈折率の温度依存性」を意味する。一方、Δn b /ΔTは、単位温度当りのクラッドの実効屈折率の変化、つまり「コアの実効屈折率の温度依存性」を意味する。
従って、この(4)式から分かるように、温度変化に対する波長シフト量は、
温度変化に対する波長シフト量(=Δλ/ΔT)
=[コアとクラッドの実効屈折率の温度依存性の差]
× [ グレーティングの周期ピッチ ] ・・・(5)
となる。
ところで、(5)式において、 RHS は前述した本文中([0005]参照)で「温度係 数」として定義されているものである。従って、この(5)式によれば、この LHS である「温度変化に対する波長シフト量」は、「温度係数」と同一のものであることが分かる。
【0045】
この長周期グレーティング部10の中心波長の温度変化に基づく波長シフト量(約0.25nm/℃)は、従来のSMFで製作された長周期グレーティングの波長シフト量(約0.05nm/℃)に比べて5倍となっており、大幅に増大していることが分かる。
【0046】
そして、図4は、本実施形態のファイバグレーティング型光部品1における長周期グレーティング部10の温度特性(透過損失波長特性の温度依存性;−5℃、5℃、25℃、45℃、65℃の透過損失波長特性)を示す図である。
【0047】
図4に示すように、長周期グレーティング部10における中心波長の温度依存性(温度依存波長シフト特性)、すなわち、温度変化に基づく波長シフト量を大きく(−5℃→65℃で約18nm)することができる。
【0048】
したがって、図4に示すように、長周期グレーティング部10の透過損失波長特性の温度変化に応じた波形変動幅を、EDFAの利得波長特性の温度変化や経時変化に基づくダイナミックな波形変動を補償するのに十分な値に設定することができる。
【0049】
この結果、本実施形態に係わるファイバグレーティング型光部品1を用いて、EDFAの利得波長特性の温度変化や経時変化に基づくダイナミックな波形変動を補償するダイナミックゲインイコライザを製作することができる。
【0050】
なお、本実施形態においては、コア層3のドープ材料をゲルマニウムとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、コア層3の基材(シリカ層)の屈折率よりも高く且つ正の温度依存性を持つ屈折率を有し、紫外線に感光する材料であればよい。
【0051】
また、第1のクラッド層4のドープ材料をホウ素としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、クラッド層4の基材であるシリカ層の屈折率よりも低く且つ上記正の温度依存性をキャンセルできる負の温度依存性を持つ屈折率を有する材料であれば、例えばフッ素等でもよい。なお、コア層3のドープ材料の屈折率の正の温度依存性および第1のクラッド層4の屈折率の負の温度依存性の差が大きいことが望ましいが、特にコア層3の屈折率の温度依存性および第1のクラッド層4の屈折率の温度依存性の差を増大できる手段があればさらに好ましい。
【0052】
また、第2のクラッド層5のドープ材料をフッ素としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1のクラッド層4の屈折率以下の屈折率を有する材料であればよい。
【0053】
特に、第2のクラッド層5のドープ材料を第1のクラッド層4の屈折率よりも低い屈折率を有する材料とした場合には、第1のクラッド層4を伝搬するクラッドモードの光信号S1、S2は、上記第1および第2のクラッド層4および5の比屈折率差により、第2のクラッド層5に対する境界面において全反射して当該第1のクラッド層4内を伝搬する。
【0054】
この結果、第1のクラッド層4の外部環境に依存することなく、第1のクラッド層4を伝搬するクラッドモードの光信号S1、S2を、その第1のクラッド層4内に閉じ込めることができ、上記外部環境のクラッドモードの光信号に対する影響を防止することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、ホウ素およびフッ素を別々にドープして第1のクラッド層4および第2のクラッド層5を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
例えば、シリカ層の屈折率よりも低く且つ上記正の温度依存性をキャンセルできる負の温度依存性を持つ屈折率を有する材料(ホウ素またはフッ素等)を単にドープして1層構造のクラッド層としてもよい。
【0057】
また、シリカ層の屈折率よりも低く且つ上記正の温度依存性をキャンセルできる負の温度依存性を持つ屈折率を有する2種類の材料(ホウ素およびフッ素等)を共にドープして1層構造のクラッド層にしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係わるファイバグレーティング型光部品によれば、長周期ファイバグレーティングにおいて、コア層に基材の屈折率より高い屈折率を有するだけでなく同時に正の温度依存性を持つ屈折率を有する第1の材料をドープし、このコア層を被覆するクラッド部に、コア層の屈折率より低い屈折率を有するだけでなく同時に負の温度依存性を持つ屈折率を有する第2の材料をドープしており、前記コア層及びクラッド部に、透過損失波長特性の温度に関する依存性がそれぞれ正と負の温度依存性を有することにより、温度係数の増大を図ることで、透過損失波長について温度変化に基づく波長シフト量を増大させるように構成している。
【0059】
このため、長周期ファイバグレーティングのコア層およびクラッド部間の温度依存性を増大させることができる。したがって、この長周期ファイバグレーティングに形成されたグレーティング部の温度係数を、増大したコア層およびクラッド部間の温度依存性に基づいて増大させることができる。これについては、以下のような理由によるものである。
【0060】
グレーティング部の「温度係数」は、[従来の技術]で説明したように、コア層の実効屈折率の温度依存性およびクラッド部の実効屈折率の温度依存性間の「差」と、グレーティング部の「周期ピッチ」との「積」で表すことができる。このうち、第1番目の因数である「差」については、以下のような関係から、これを増大させることができる。即ち、コア層及びクラッド部にそれぞれ正と負の温度依存性を持たせてある。ここで、コア層およびクラッド部の実効屈折率の温度依存性間の差は、引かれる方のクラッド部の実効屈折率の温度依存性が負である。従って、第1番目の因数である「差」については、コア層の温度依存性とクラッド部の温度依存性の絶対値のものとを合算させたものと同じになるので、その差を大幅に増大させることができ、温度係数の大幅な増大を図ることができる。これにより、グレーティング部の中心波長の温度依存性を増大させることができるので、温度変化に基づく波長シフト量を大幅に増大させることができるわけである。
【0061】
この結果、本発明に係わるファイバグレーティング型光部品を用いて、EDFAの利得波長特性の温度/経時変化を補償することが可能なダイナミックゲインイコライザ等を製作することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わるファイバグレーティング型光部品を示す斜視図。
【図2】図1に示す光ファイバの寸法および屈折率分布のプロファイルを概略的に示す図。
【図3】図1に示すファイバグレーティング型光部品における長周期グレーティング部の中心波長の温度変化に基づく波長シフト量を実際に測定した結果を示す図。
【図4】図1に示すファイバグレーティング型光部品における長周期グレーティング部の温度特性を示す図。
【図5】SMFを用いた長周期ファイバグレーティングの中心波長の温度依存性を示す図。
【図6】SMFを用いた製作された長周期ファイバグレーティングの中心波長の温度依存性を示す図。
【符号の説明】
1:ファイバグレーティング型光部品
2:光ファイバ
3:コア層
4:第1のクラッド層
5:第2のクラッド層
10:長周期グレーティング部
Claims (4)
- 正の温度依存性を持つ屈折率を有し、且つ基材の屈折率より高い屈折率を有する第1の材料がドープされたコア層と、負の温度依存性を持ち、且つ前記コア層の屈折率より低い屈折率を有する第2の材料がドープされており、前記コア層を被覆するクラッド部とを備えた長周期ファイバグレーティング用光ファイバと、
紫外線に感光させることで、前記光ファイバのコア層のファイバ軸方向に沿った所定部位における当該コア層の屈折率の前記ファイバ軸方向に沿った周期的変化として形成されたグレーティング部と、
を備え、
前記グレーティング部は、コア層及びクラッド部の実効屈折率の温度依存性がそれぞれ正と負を有することにより、前記コア層の実効屈折率の温度依存性および前記クラッド部の実効屈折率の温度依存性間の差と前記グレーティング部の周期ピッチとの積で与えられる前記グレーティング部の温度係数を約0.25nm/℃に設定することで、透過損失波長について温度変化に基づく波長シフト量を増大させ、EDFAの利得波長特性の温度補償を行うように構成したことを特徴とするファイバグレーティング型光部品。 - 前記第1の材料はゲルマニウム(Ge)であり、前記コア層は、シリカ(SiO2)から成るシリカ層に前記ゲルマニウム(Ge)がドープされて構成されており、前記第2の材料はホウ素(B)およびフッ素(F)の内のどちらか一方であり、前記クラッド部は、前記シリカから成るシリカ層に前記ホウ素およびフッ素の内のどちらか一方がドープされて構成されていることを特徴とする請求項1記載のファイバグレーティング型光部品。
- 前記クラッド部は、前記第2の材料がドープされており、前記コア層を被覆する第1のクラッド層と、負の温度依存性を持ち、且つ前記第1のクラッド層の屈折率以下の屈折率を有する第3の材料がドープされており、前記第1のクラッド層を被覆する第2のクラッド層とを備えたことを特徴とする請求項2記載のファイバグレーティング型光部品。
- 前記第3の材料は前記ホウ素およびフッ素の内の他方であり、前記第2のクラッド層は、前記シリカから成るシリカ層に前記ホウ素およびフッ素の内の他方がドープされて構成されたことを特徴とする請求項3記載のファイバグレーティング型光部品。
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