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JP3996265B2 - 四輪駆動車の走行制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の走行制御装置 Download PDF

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JP3996265B2
JP3996265B2 JP12427798A JP12427798A JP3996265B2 JP 3996265 B2 JP3996265 B2 JP 3996265B2 JP 12427798 A JP12427798 A JP 12427798A JP 12427798 A JP12427798 A JP 12427798A JP 3996265 B2 JP3996265 B2 JP 3996265B2
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利信 太田
裕之 永井
俊美 石川
洋介 高比良
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Toyota Motor Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Motor Corp
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  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の全ての車輪が駆動輪であってセンタディファレンシャルを備えた四輪駆動車において、エンジンブレーキ時に安定した走行状態を維持し得るように制御する走行制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
一般的な乗用車両の車輪は前後各二輪であり、前輪駆動車又は後輪駆動車では、前輪又は後輪の何れかが内燃機関に連結され直接駆動される駆動輪となっており、他方が内燃機関に連結されない従動輪となっている。これに対し、前後輪の全てが駆動輪の車両は四輪駆動車(4WD)と称呼される。四輪駆動車としてはパートタイム、フルタイム等種々の方式のものがあるが、フルタイム方式においては、前後輪の全てがフロントディファレンシャル(前輪側差動装置)、リヤディファレンシャル(後輪側差動装置)、並びにセンタディファレンシャル(センタ差動装置)を介して連結されている。
【0003】
また、発進加速時に過剰な駆動力により車輪が空転し、所謂加速スリップが生ずるのを防止するため、駆動輪に対する駆動力を制限し適切な回転力とする加速スリップ制御装置、所謂トラクション制御装置が普及しており、例えば特開平8−133054号公報に開示されている。
【0004】
前述のパートタイム方式の四輪駆動車においては、四輪駆動で走行中の車両が旋回するときには、前輪と後輪の間に生じる回転差のため、コーナリング走行が困難となる。この現象はタイトコーナブレーキング現象と呼ばれている。これに対し、フルタイム方式の四輪駆動車においては、センタディファレンシャルによって、変速機を介して伝達される駆動力が前後輪に効率的に分配されると共に、車両旋回時の前後輪の回転差が吸収されるので、円滑なコーナリングが可能となる。然し乍ら、センタディファレンシャルの存在によって、新たな問題も惹起する。即ち、前後輪のうちの一つの車輪が空転すると他の車輪も駆動力が全く発生しなくなる。この対策として、手動操作等によってセンタディファレンシャルをロックするセンタデフロック機構が設けられたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、フルタイム方式の四輪駆動車において、センタデフロック機構によってセンタディファレンシャルがロックされると、タイトコーナブレーキング現象を惹起することになるので、当然ながら車両の旋回運動が困難となる。従って、車両の旋回時には、車両の運転者は十分な減速を行なう必要がある。これに対し、単にセンタデフロック機構を排除しただけでは、前述のように、前後輪の何れかの車輪が空転したときの対応が困難となる。このため、センタデフロック機構を排除する場合には、車輪空転時の対策が必要となる。
【0006】
この対策としてトラクション制御装置を設ければ、ぬかるみからの脱出は可能となる。しかし、車両が例えば未舗装の急峻な下り坂路をエンジンブレーキを効かせながら走行しているときに車輪の一つが路面から離れると、センタディファレンシャルの差動機能により、各車輪に対し制動方向に働くべきエンジントルクは、接地状態の車輪(以下、接地輪という)ではなく非接地状態で空転中の車輪(以下、非接地輪という。尚、この非接地輪は、必ずしも完全に路面から離れている車輪に限らず、路面に対し実質的に車体の荷重が伝達されない状態にある車輪をいう)に伝達されることになり、この非接地輪が逆回転する方向にエンジントルクが用いられる。また、下り坂路でない場合にもエンジンブレーキが作動することがあり得る。何れにしても、エンジンブレーキ時に何らかの対策が必要となるが、エンジンブレーキ時の車両の荷重移動に着目すれば、車両前方の車輪に対しエンジンブレーキに相当する制動力を付与するとよい。あるいは、非接地輪に制動力を付与し、他の車輪に対しエンジンブレーキを適切に効かせるように制御することとしてもよい。
【0007】
このような対策を講ずる場合において、非接地輪は前述のように逆回転するため、車両進行方向の車輪速度を正とすると、非接地輪の車輪速度は負の値になる。しかし、車輪速度検出手段たる車輪速度センサは一般的に回転方向の識別は不可能であり、正転と逆転を区別できないため、その出力信号は車輪の逆転時にも車輪速度は正の値として出力されることになり、非接地輪が接地状態と誤判定され、その結果、非接地輪又は車両前方の車輪に対し所期の制動力を付与し得なくなるおそれがある。これに対しては、更に、回転方向の識別を可能とする手段を講ずることも可能ではあるが、装置あるいは制御が複雑になる。
【0008】
そこで、本発明は、車両の全ての車輪が駆動輪であってセンタディファレンシャルを備えた四輪駆動車において、エンジンブレーキ時に少くとも一輪が非接地状態となっても、車両に対し適切に制動作動を行ない得る走行制御装置を提供することを課題とする。
【0009】
また、本発明は、車両の全ての車輪が駆動輪であってセンタディファレンシャルを備えた四輪駆動車に関し、エンジンブレーキ時における少くとも一輪の非接地状態及び接地状態を容易且つ確実に判定し得るようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載のように、車両の前方の各車輪に連結されたフロントディファレンシャル、後方の各車輪に連結されたリヤディファレンシャル、該リヤディファレンシャル及び前記フロントディファレンシャルに連結するセンタディファレンシャルを備えると共に、前記車両の前方及び後方の各車輪に付与する制動力を夫々独立して制御する制動力制御手段とを備えた四輪駆動車の走行制御装置において、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の各車輪の内の少くとも一つの車輪が非接地状態にあるか否かを判定する非接地状態判定手段と、前記車両のエンジンブレーキ状態を判定するエンジンブレーキ判定手段とを備え、前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が、前記非接地状態の車輪を含む全ての車輪の内の少くとも一つの車輪に対して制動力を付与するように構成したものである。
【0011】
また、本発明は、請求項2に記載のように、車両の前方の各車輪に連結されたフロントディファレンシャル、後方の各車輪に連結されたリヤディファレンシャル、該リヤディファレンシャル及び前記フロントディファレンシャルに連結するセンタディファレンシャルを備えると共に、前記車両の前方及び後方の各車輪に付与する制動力を夫々独立して制御する制動力制御手段とを備えた四輪駆動車の走行制御装置において、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の各車輪の内の少くとも一つの車輪が非接地状態にあるか否かを判定する非接地状態判定手段と、前記車両の走行路面が下り坂路か否かを判定する下り坂路判定手段と、前記車両のエンジンブレーキ状態を判定するエンジンブレーキ判定手段とを備え、前記下り坂路判定手段が下り坂路と判定し、前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が、前記非接地状態の車輪を含む全ての車輪の内の少くとも一つの車輪に対して制動力を付与するように構成するとよい。
【0012】
前記非接地状態判定手段は、請求項3に記載のように、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪のスリップを検出するスリップ検出手段を備えたものとし、該スリップ検出手段が前記少くとも一つの車輪のスリップを検出したときに、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定するように構成することができる。
【0013】
更に、請求項4に記載のように、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段を備えたものとし、前記スリップ検出手段が、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度と前記推定車体速度演算手段が演算した推定車体速度に基づきスリップ率を演算するスリップ率演算手段を具備し、該スリップ率演算手段が演算したスリップ率に基づき前記少くとも一つの車輪のスリップを検出するように構成することができる。
【0014】
あるいは、請求項5に記載のように、請求項1又は2の構成に加え、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段とを備えたものとし、前記非接地状態判定手段が、前記車両の推定車体速度から第1の所定値を減算した第1のしきい値を、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が下回ったときに、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定するように構成してもよい。。
【0015】
更に、請求項6に記載のように、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が、前記車両の推定車体速度から第2の所定値を減算した第2のしきい値を越えた状態が所定時間継続したときに、前記少くとも一つの車輪が接地状態にあると判定する接地状態判定手段を備えたものとし、該接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が接地状態にあると判定したときには、前記制動力制御手段が前記少くとも一つの車輪に対する制動力の付与を解除するように構成することができる。
【0016】
前記接地状態判定手段は、請求項7に記載のように、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が、前記車両の推定車体速度から第2の所定値を減算した第2のしきい値を越え、且つ前記車両の推定車体速度に第3の所定値を加算した第3のしきい値を下回った状態が所定時間継続したときに、前記少くとも一つの車輪が接地状態にあると判定するように構成することができる。
【0017】
また、請求項8に記載のように、請求項1又は2の構成において、前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が前記車両前方の両車輪に対して制動力を付与するように構成することができる。
【0018】
あるいは、請求項9に記載のように、請求項1又は2の構成において、前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が前記非接地状態の車輪を制御対象の車輪として制動力を付与するように構成することもできる。
【0019】
前記下り坂路判定手段は、請求項10に記載のように、前記車両の傾斜角を検出する傾斜検出手段を備え、少くとも該傾斜検出手段が、所定時間の間、前記車両の進行方向側を下り方向として所定角度以上傾斜した傾斜角度を検出したときに、前記車両の走行路面が下り坂路と判定するように構成することができる。
【0020】
また、前記エンジンブレーキ判定手段は、請求項11に記載のように、前記車両の変速装置の変速位置を検出する変速位置検出手段を具備し、少くとも該変速位置検出手段が所定の低速側変速位置を検出し、且つ前記下り坂路判定手段が下り坂路と判定したときに、前記車両がエンジンブレーキ状態と判定するように構成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態の概要を示すもので、車両の前方の各車輪FR,FLに連結されたフロントディファレンシャルDF、後方の各車輪RR,RLに連結されたリヤディファレンシャルDR、これらに連結するセンタディファレンシャルDCを備えると共に、各車輪に付与する制動力を夫々独立して制御する制動力制御手段BCとを備えた四輪駆動車の走行制御装置に係るもので、エンジンEGの駆動力は変速装置GSから出力され、センタディファレンシャルDCを介し、更にフロントディファレンシャルDF、リヤディファレンシャルDRを介して各車輪に伝達される。
【0022】
本実施形態における走行制御装置は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段WSと、この車輪速度検出手段WSの検出車輪速度に基づき各車輪の内の少くとも一つの車輪が非接地状態にあるか否かを判定する非接地状態判定手段NCと、車両の走行路面が下り坂路か否かを判定する下り坂路判定手段GDと、車両のエンジンブレーキ状態を判定するエンジンブレーキ判定手段EBとを備えている。そして、下り坂路判定手段GDが下り坂路と判定し、エンジンブレーキ判定手段EBがエンジンブレーキ状態と判定し、且つ非接地状態判定手段NCが、少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、非接地状態の車輪を含む全ての車輪の内の少くとも一つの車輪に対して制動力を付与するように構成されている。尚、下り坂路以外でのエンジンブレーキ時に対処し得るようにする場合には、下り坂路判定手段GDを省略すればよい。
【0023】
非接地状態判定手段NCとしては、図1に破線で示すように、車輪速度検出手段WSの検出車輪速度に基づき各車輪のスリップを検出するスリップ検出手段SRを備えたものとし、このスリップ検出手段SRが少くとも一つの車輪のスリップを検出したときに、少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定するように構成することができる。更に、車輪速度検出手段WSの検出車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段ESを備えたものとし、スリップ検出手段SRを、車輪速度検出手段WSの検出車輪速度と推定車体速度演算手段ESが演算した推定車体速度に基づきスリップ率を演算するスリップ率演算手段(図示せず)を具備したものとし、このスリップ率演算手段が演算したスリップ率に基づき前記少くとも一つの車輪のスリップを検出するように構成することもできる。
【0024】
また、非接地状態判定手段NCは、車両の推定車体速度から第1の所定値を減算した第1のしきい値を、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が下回ったときに、当該車輪が非接地状態にあると判定するように構成することもできる。更に、図1に破線で示すように接地状態判定手段CSを設け、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が、車両の推定車体速度から第2の所定値を減算した第2のしきい値を越えた状態が所定時間継続したときに、当該車輪が接地状態にあると判定するように構成すると共に、この接地状態判定手段CSにて当該車輪が接地状態にあると判定したときには、制動力制御手段BCが車輪に対する制動力の付与を解除するように構成してもよい。接地状態判定手段CSとしては、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が、車両の推定車体速度から第2の所定値を減算した第2のしきい値を越え、且つ車両の推定車体速度に第3の所定値を加算した第3のしきい値を下回った状態が所定時間継続したときに、当該車輪が接地状態にあると判定するように構成することができる。尚、第1乃至第3の所定値は等しい値としてもよい。
【0025】
特に、以下に説明する一実施形態の走行制御装置においては、下り坂路判定手段GDが下り坂路と判定し、エンジンブレーキ判定手段EBがエンジンブレーキ状態と判定し、且つ非接地状態判定手段NCが、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、制動力制御手段BCが車両前方の両車輪FR,FLに対して制動力を付与するように構成されている。具体的には、アクセル操作及びブレーキ操作が行なわれていない状態で、スリップ検出手段SRが車両後方の車輪RR,RLの少くとも何れか一方の車輪のスリップを検出したときに、制動力制御手段BCが車両前方の両車輪FR,FLに対して制動力を付与し、スリップが消失したときに制動力の付与を解除するように構成されている。
【0026】
また、他の実施形態として後述する走行制御装置においては、下り坂路判定手段GDが下り坂路と判定し、エンジンブレーキ判定手段EBがエンジンブレーキ状態と判定し、且つ非接地状態判定手段NCが、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、この非接地状態の車輪を制御対象の車輪として制動力制御手段BCが制動力を付与するように構成されている。例えば、車輪速度検出手段WSの検出車輪速度に基づき各車輪のスリップを検出するスリップ検出手段SRを備えたものとした場合には、下り坂路判定手段GDが下り坂路と判定し、エンジンブレーキ判定手段EBがエンジンブレーキ状態と判定し、且つスリップ検出手段SRが、前記少くとも一つの車輪のスリップを検出したときに、この車輪を制御対象の車輪として制動力制御手段BCが制動力を付与するように構成することができる。
【0027】
更に、車輪速度検出手段WSの検出車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段ESを備えたものとした場合には、スリップ検出手段SRが、車輪速度検出手段WSの検出車輪速度と推定車体速度演算手段ESが演算した推定車体速度に基づきスリップ率を演算するスリップ率演算手段(図示せず)を具備したものとし、このスリップ率演算手段が演算したスリップ率に基づき少くとも一つの車輪のスリップを検出するように構成することができる。この場合には、制動力制御手段BCは、制御対象の車輪に対し略ロック状態となるまで制動力を付与した後、所定の時期に制動力の付与を中止して制動力を減じたときに、スリップ率が所定値を下回れば制御対象の車輪に対する制動力の付与を終了し、スリップ率が所定値以上であれば制御対象の車輪に対する制動力の付与を継続するように構成することができる。つまり、制御対象の車輪に対して一旦略ロック状態となるまで制動力を付与した後、制動力を減じたときの制御対象の車輪のスリップ率が所定値以上であれば、当該車輪は空転していると判定することができ、これによって制御対象の車輪の状態を適切に監視することができる。
【0028】
尚、下り坂路判定手段GDは、図1に破線で示したように車両の傾斜角を検出する傾斜検出手段GRを備えたものとし、少くとも傾斜検出手段GRが、所定時間の間、車両の進行方向側を下り方向として所定角度以上傾斜した傾斜角度を検出したときに、車両の走行路面が下り坂路と判定するように構成することができる。加えて、前述の推定車体速度演算手段ESが演算した推定車体速度が、所定速度以上であることを判定条件に付加することとしてもよい。更に、例えば所謂Gセンサ等の前後加速度検出手段(図示せず)を備えたものとし、推定車体速度演算手段ESが演算した推定車体速度に基づき推定車体加速度を演算し、この推定車体加速度と前後加速度検出手段の検出加速度の差が所定のしきい値を越えたときに車両の走行路面が下り坂路と判定するように構成することもできる。
【0029】
エンジンブレーキ判定手段EBは、車両の変速装置GSの変速位置を検出する変速位置検出手段GPを具備し、少くとも変速位置検出手段GPが所定の低速側変速位置を検出し、且つ下り坂路判定手段GDが下り坂路と判定したときに、車両がエンジンブレーキ状態と判定するように構成することができる。エンジンブレーキ判定手段EBにおいては、車両の加速度の増加割合が所定値以上となったことを判定条件に付加してもよい。更に、車両のアクセル操作が解除されていることを判定条件に付加することとしてもよい。このアクセル操作の解除は、後述するスロットルセンサのアイドルスイッチ信号に基づいて検出することができる。尚、制動力制御手段BCは、後述するように、各車輪に装着したホイールシリンダと、このホイールシリンダの各々に対して少くともブレーキぺダルの操作に応じてブレーキ液圧を供給する液圧発生装置と、この液圧発生装置とホイールシリンダとの間に介装しホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するブレーキ液圧制御装置によって構成することができる。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に供する車両の制御システムの全体構成を示すもので、ブレーキ液圧系は例えば図3に示すように構成されている。図2において、エンジンEGはスロットル制御装置TH及び燃料噴射装置FIを備えた内燃機関で、スロットル制御装置THにおいてはアクセルペダルAPの操作に応じてメインスロットルバルブMTのメインスロットル開度が制御される。また、電子制御装置ECUの出力に応じて、スロットル制御装置THのサブスロットルバルブSTが駆動されサブスロットル開度が制御されると共に、燃料噴射装置FIが駆動され燃料噴射量が制御されるように構成されている。
【0031】
図2において、車輪FLは運転席からみて前方左側の車輪を示し、以下車輪FRは前方右側、車輪RLは後方左側、車輪RRは後方右側の車輪を示しており、車輪FL,FR,RL,RRには夫々ホイールシリンダWfl,Wfr,Wrl,Wrrが装着されている。本実施形態においては四輪駆動方式が構成されており、エンジンEGはフロントディファレンシャルDFを介して車両前方の車輪FL,FRに連結されると共に、変速装置GS及びセンタディファレンシャルDC及びリヤディファレンシャルDRを介して車両後方の車輪RL,RRに連結されている。従って、全ての車輪FL,FR,RL,RRが駆動輪となり得る。
【0032】
変速装置GSはシフトレバー(図示せず)によって複数の変速位置に切換えられるが、このうちローレンジの四輪駆動ギヤを選択する変速位置をL4とする。このローレンジの変速位置L4は、従来装置においてはセンタデフロック機構に連結されていたが、本発明ではセンタデフロック機構を設ける必要はなく、仮にセンタデフロック機構を設けたとしても、変速位置L4をセンタデフロック機構に連結することはない。
【0033】
車輪FL,FR,RL,RRには車輪速度センサWS1乃至WS4が配設され、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成されている。更に、ブレーキペダルBPがストロークしたときオンとなるブレーキスイッチBS、車両の加速度を検出するGセンサ(図示せず)等が電子制御装置ECUに接続されている。又、スロットルセンサTSから、アイドル域か出力域かをオンオフ信号として出力するアイドルスイッチ信号と、メインスロットルバルブMT及びサブスロットルバルブSTのスロットル開度信号が電子制御装置ECUに入力される。このように、スロットルセンサTSのアイドルスイッチ信号に基づきアクセルペダルAPの操作、非操作を検出することができる。
【0034】
また、車両の傾斜角度を検出する傾斜センサGXが設けられており、これも電子制御装置ECUに接続されている。傾斜検出手段たる傾斜センサGXは、車両の前後方向に揺動可能に支持された錘を備え、この錘が車両の前後方向の傾斜に応じて移動した変位を表す信号(Gxとする)を出力するものである。この信号Gxに基づき、車両が停止状態では、車両の前後方向の傾斜角度(Grとする)はGr=K・Gx(Kは定数)として求められる。これに対し、車両が移動すると、信号Gxは車両の加速度に応じて変動するため、傾斜角度Grは次の式に基づいて求められる。
【0035】
即ち、Gr(n) =k・Gr(n-1) +(1−k)・K・(Gx−Gw)に基づいて今回の傾斜角度Gr(n) が求められる。ここで、Gr(n-1) は前回求められた傾斜角度で、kは重み係数を表す(但し、0<k<1)。Gwは車体加速度で、推定車体加速度DVsoで代用される。尚、本実施形態の傾斜角度Grは、車両の進行方向側が上り方向の傾斜の場合は正の値で、進行方向側が下り方向の場合は負の値に設定されている。
【0036】
電子制御装置ECUはマイクロコンピュータCMPを有し、図2に示すように、入力ポートIPT、出力ポートOPT、プロセシングユニットCPU、メモリROM及びメモリRAMがバスを介して相互に接続されている。上記車輪速度センサWS1乃至WS4、ブレーキスイッチBS、Gセンサ(図示せず)等の出力信号は増幅回路(代表してAMPで表す)を介して夫々入力ポートIPTからプロセシングユニットCPUに入力されるように構成されている。また、出力ポートOPTからは駆動回路(代表してACTで表す)を介してスロットル制御装置TH及びブレーキ液圧制御装置PCに夫々制御信号が出力されるように構成されている。マイクロコンピュータCMPにおいては、メモリROMは図4等に示したフローチャートに対応したプログラムを記憶し、プロセッシングユニットCPUはイグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されている間当該プログラムを実行し、メモリRAMは当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記憶する。
【0037】
図3は本発明の一実施形態におけるブレーキ液圧系を示すもので、前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分された前後配管方式のブレーキ液圧系が構成されている。液圧発生装置としては、マスタシリンダMC及びレギュレータRGを有し、これらがブレーキペダルBPの操作に応じて駆動される。レギュレータRGには補助液圧源ASが接続されており、これらはマスタシリンダMCと共に低圧リザーバRSに接続されている。
【0038】
補助液圧源ASは、液圧ポンプHP及びアキュムレータAccを有する。液圧ポンプHPは電動モータMによって駆動され、低圧リザーバRSのブレーキ液を昇圧して出力し、このブレーキ液が逆止弁CV6を介してアキュムレータAccに供給され、蓄圧される。電動モータMは、アキュムレータAcc内の液圧が所定の下限値を下回ることに応答して駆動され、またアキュムレータAcc内の液圧が所定の上限値を上回ることに応答して停止する。而して、アキュムレータAccから所謂パワー液圧が適宜レギュレータRGに供給される。レギュレータRGは補助液圧源ASの出力液圧を入力し、マスタシリンダMCの出力液圧をパイロット圧として、これに比例したレギュレータ液圧に調圧するもので、その基本的構成は周知であるので、説明は省略する。尚、レギュレータ液圧の一部はマスタシリンダMCの倍圧駆動に供される。
【0039】
マスタシリンダMCと車両前方のホイールシリンダWfr,Wflの各々を接続する前輪側の液圧路MF1,MF2には、電磁切換弁SA1及びSA2が介装されており、これらは液圧路AF1及びAF2を介して、夫々給排制御用の電磁開閉弁PC1,PC5及び電磁開閉弁PC2,PC6に接続されている。液圧路MF1(又は、MF2)には、マスタシリンダMCの出力ブレーキ液圧を検出する圧力センサPSが設けられている。また、レギュレータRGとホイールシリンダWrr,Wrl等の各々を接続する液圧路MRには電磁開閉弁SA3が介装され、この液圧路MRから分岐した液圧路MR1,MR2には、夫々給排制御用の電磁開閉弁PC3,PC7及び電磁開閉弁PC4,PC8が介装されている。そして、補助液圧源ASが液圧路AMを介して電磁開閉弁SA3の下流側に接続され、液圧路AMには電磁開閉弁STRが介装されている。電磁開閉弁STRは2ポート2位置の電磁開閉弁であり、非作動時の閉位置では遮断状態で、作動時の開位置では電磁開閉弁PC1乃至PC4が直接、補助液圧源ASのアキュムレータAccに連通する。
【0040】
前輪側液圧系において、電磁切換弁SA1及び電磁切換弁SA2は3ポート2位置の電磁切換弁で、非作動時は図3に示す第1の位置にあってホイールシリンダWfr,Wflは何れもマスタシリンダMCに連通接続されているが、ソレノイドコイルが励磁され第2の位置に切換わると、ホイールシリンダWfr,Wflは何れもマスタシリンダMCとの連通が遮断され、夫々液圧路AF1,AF2を介して電磁開閉弁PC1とPC5の間、及び電磁開閉弁PC2とPC6の間に連通接続される。電磁開閉弁PC1及びPC2は液圧路ACを介して電磁開閉弁STRに接続されている。また、電磁開閉弁PC5及びPC6は液圧路RCを介してリザーバRSに接続されている。
【0041】
これら電磁開閉弁PC1及びPC2に対して並列に逆止弁CV1及びCV2が接続されており、逆止弁CV1の流入側が液圧路AF1、逆止弁CV2の流入側が液圧路AF2に夫々接続されている。逆止弁CV1は、電磁切換弁SA1が作動位置(第2の位置)にある場合において、ブレーキペダルBPが解放されたときには、ホイールシリンダWfrのブレーキ液圧をレギュレータRGの出力液圧の低下に迅速に追従させるために設けられたもので、レギュレータRG方向へのブレーキ液の流れは許容されるが逆方向の流れは制限される。尚、逆止弁CV2についても同様である。
【0042】
次に、後輪側液圧系において、電磁開閉弁SA3は2ポート2位置の電磁開閉弁で、非作動時には図3に示す開位置にあって、電磁開閉弁PC3,PC4はレギュレータRGに連通する。このとき、電磁開閉弁STRは閉位置とされ、アキュムレータAccとの連通が遮断されている。電磁開閉弁SA3が作動時の閉位置に切換えられると、電磁開閉弁PC3,PC4はレギュレータRGとの連通が遮断されるが、電磁開閉弁STRが作動時には電磁開閉弁PC3,PC4(並びにPC1,PC2)がアキュムレータAccに連通接続される。
【0043】
また、電磁開閉弁PC3及びPC4に対して並列に逆止弁CV3及びCV4が接続されており、逆止弁CV3の流入側がホイールシリンダWrrに、逆止弁CV4の流入側がホイールシリンダWrlに夫々接続されている。これらの逆止弁CV3,CV4は、ブレーキペダルBPが解放されたときには、ホイールシリンダWrr,Wrlのブレーキ液圧をレギュレータRGの出力液圧の低下に迅速に追従させるために設けられたもので、電磁開閉弁SA3方向へのブレーキ液の流れが許容され逆方向の流れは制限される。更に、電磁開閉弁SA3に並列に逆止弁CV5が設けられており、電磁開閉弁SA3が閉位置とされたときにも、ブレーキペダルBPが操作されればレギュレータRGからのブレーキ液圧が逆止弁CV5を介して電磁開閉弁PC1乃至PC4に供給され、ブレーキペダルBPによる踏み増しが可能とされている。
【0044】
上記電磁切換弁SA1,SA2及び電磁開閉弁SA3,STR、並びに電磁開閉弁PC1乃至PC8は前述の電子制御装置ECUによって駆動制御され、以下に説明するようにトラクション制御等の各種制御が行なわれる。前述のように、電動モータMによって液圧ポンプHPが駆動され、アキュムレータAccにパワー液圧が蓄圧されており、通常のブレーキ作動時においては、各電磁弁は図3に示す常態位置にある。この状態でブレーキペダルBPが踏み込まれると、マスタシリンダMCからマスタシリンダ液圧が出力されると共に、レギュレータRGからレギュレータ液圧が出力され、電磁切換弁SA1,SA2、電磁開閉弁SA3並びに電磁開閉弁PC1乃至PC4を介して、夫々ホイールシリンダWfr乃至Wrlに供給される。
【0045】
例えばトラクション制御に移行し、例えば車輪FRの加速スリップ防止制御が行なわれる場合には、電磁切換弁SA1が第2の位置に切り換えられると共に、従動輪側(後輪側)のホイールシリンダWrr,Wrlに接続された電磁開閉弁PC3,PC4及び電磁開閉弁SA3が閉位置とされ、電磁開閉弁STR及び電磁開閉弁PC1が開位置とされる。その結果、アキュムレータAcc内に蓄圧されたパワー液圧が開位置の電磁開閉弁STRを介してホイールシリンダWfrに供給される。
【0046】
そして、電磁開閉弁PC1が閉位置とされれば、ホイールシリンダWfrの液圧が保持される。従って、電磁開閉弁PC5が閉位置で電磁開閉弁PC1が断続制御されれば、ホイールシリンダWfr内のブレーキ液は増圧と保持が繰り返されてパルス的に増大し、緩やかに増圧される。更に、電磁開閉弁PC5が開位置とされれば、ホイールシリンダWfrは液圧路RCを介して低圧リザーバRSに連通し、ホイールシリンダWfr内のブレーキ液が低圧リザーバRS内に流出し減圧される。
【0047】
而して、車輪FRの加速スリップ状態に応じて電磁開閉弁PC1,PC5の断続制御により、ホイールシリンダWfrに対し、増圧、減圧及び保持の何れかの液圧モードが設定される。これにより、車輪FRに制動力が付与されて回転駆動力が制限され、加速スリップが防止され、適切にトラクション制御を行なうことができる。また、車輪FLに対しても同様に加速スリップ防止制御が行なわれる。更に、本実施形態における制御対象の車輪FR,FLに対するブレーキ制御(以下、単にブレーキ制御という)についても、上記と同様に電磁開閉弁PC1等の断続制御によって行なうことができる。尚、このブレーキ制御については後に詳細に説明する。
【0048】
一方、ブレーキ作動中にアンチスキッド制御に移行し、例えば車輪FR側がロック傾向にあると判定されると、電磁切換弁SA1が第2の位置に切り換えられ、電磁開閉弁PC1が閉位置とされると共に、電磁開閉弁PC5が開位置とされる。而して、ホイールシリンダWfr内のブレーキ液が低圧リザーバRS内に流出し減圧される。
【0049】
ホイールシリンダWfrが緩増圧モードとなると、電磁開閉弁PC5が閉位置とされると共に電磁開閉弁PC1が開位置とされ、レギュレータRGからレギュレータ液圧が開位置の電磁開閉弁SA3及び液圧路AC、そして開位置の電磁開閉弁PC1及び第2の位置の電磁切換弁SA1を介してホイールシリンダWfrに供給される。そして、電磁開閉弁PC1が断続制御され、ホイールシリンダWfr内のブレーキ液は増圧と保持が繰り返されてパルス的に増大し、緩やかに増圧される。ホイールシリンダWfrに対し急増圧モードが設定されたときには、電磁開閉弁PC1,PC5が図3に示す常態の位置とされた後、電磁切換弁SA1が第1の位置とされ、マスタシリンダMCからマスタシリンダ液圧が供給される。ホイールシリンダWflのブレーキ液圧についても同様に制御される。後輪側の車輪RR,RLのアンチスキッド制御時には、電磁開閉弁PC3,PC4並びに電磁開閉弁PC7,PC8によって前輪側と同様に制御される。
【0050】
上記のように構成された制御システムにおいては、電子制御装置ECUにより本発明のブレーキ制御をはじめ、トラクション制御、アンチスキッド制御等の一連の処理が行なわれる。図4のフローチャートは下り坂路でのエンジンブレーキ時におけるブレーキ制御の処理を示すもので、イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されるとプログラムの実行が開始する。先ず、ステップ101にてマイクロコンピュータCMPが初期化され、各種の演算値がクリアされた後、ステップ102において制御タイマがクリアされた後カウントが開始する。続いてステップ103にて、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出信号、変速装置GSの変速位置信号、及び傾斜センサGXの検出信号がマイクロコンピュータCMPに読み込まれる。
【0051】
次に、ステップ104に進み、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出信号に基づき車輪速度Vw**(**は車輪FL,FR,RL,RR を代表して表す)が演算されると共に、車輪速度Vw**が微分されて車輪加速度DVw**が演算される。そして、ステップ105にて車輪速度Vw**に基づき車両の推定車体速度Vsoが演算される。具体的には、前回演算した推定車体速度をVso(n-1) とし、今回の推定車体速度をVso(n) とすると、Vso(n) =MED〔Vso(n-1) ・αup・t,MAX(Vw**),Vso(n-1) ・αdw・t〕として求められる。ここで、MEDは中間値を求める関数で、MAXは最大値を求める関数である。tは演算周期を表し、αupは一定の加速度、αdwは一定の減速度を表し、前回の推定車体速度Vso(n-1) を基準に、最大値MAX(Vw**)に対し勾配制限を加えるものである。
【0052】
尚、Vw**は各車輪**の車輪速度であるが、MAX(Vw**)の演算には、非接地輪でなく(即ち接地輪)且つ制御対象でない車輪の車輪速度のみが用いられる。従って、本実施形態では、制御対象でない車両後方の車輪RR,RLのうちの、非接地輪でない車輪(車輪RR又はRL)の車輪速度が推定車体速度Vsoとされることになる。そして、今回の推定車体速度Vso(n) と前回の推定車体速度Vso(n-1) の差〔Vso(n) −Vso(n-1) 〕から推定車体加速度DVsoが求められるが、もちろん推定車体速度Vsoを微分して求めてもよい。
【0053】
続いてステップ106に進み、前述のように傾斜センサGXの出力信号に基づき傾斜角度Gr(車両の進行方向側が上り方向の傾斜の場合は正の値で、進行方向側が下り方向の場合は負の値)が演算される。そして、ステップ107において、例えば推定車体速度Vso及び傾斜角度Grに基づき下り坂路か否かが判定されるが、これについては図5を参照して後述する。更に、ステップ108に進み車輪のスリップ状態が判定され、非接地輪の有無が判定されるが、これについては図6を参照して後述する。
【0054】
而して、ステップ109において、エンジンブレーキ時の制御対象車輪(本実施形態では車両前方の車輪FR,FL)に対するブレーキ制御を行ない得る状態か否かについての判定、即ち開始判定が行なわれる。この詳細については図7を参照して後述する。次に、ステップ110においてブレーキ制御の終了条件が判定される(詳細は図8を参照して後述)。続いて、ステップ111において開始特定制御の開始条件が判定され、ステップ112にて開始特定制御の終了条件が判定され、更にステップ113にて開始特定制御用液圧モードが設定される(詳細は夫々図9、図10及び図11を参照して後述)。
【0055】
そして、ステップ114において、通常制御時の液圧モードが設定され(詳細は図12を参照して後述)、ステップ115において制御モードが設定され(詳細は図13を参照して後述)、この液圧モードに基づきステップ116にてソレノイド信号が出力され、ホイールシリンダ液圧が制御される。最後にステップ117において、ステップ102にてカウントを開始した制御タイマが所定時間Ts(例えば、10ms)を経過するまで待機した後、ステップ102に戻る。
【0056】
図5は、図4のステップ107で実行される下り坂路判定の処理を示すもので、先ずステップ201において推定車体速度Vsoが所定速度V1(例えば、7km/h)以上か否かが判定される。推定車体速度Vsoが所定速度V1以上と判定されると、ステップ202に進み傾斜角度Grが所定角度Kr(例えば、−15度)と比較される。傾斜角度Grが所定角度Kr以下であるとき、即ち車両の進行方向側を下り方向として所定角度|Kr|以上傾斜した下り坂路であるときには、ステップ203に進みONタイマが所定時間T1(例えば、1sec )を経過したか否かが判定される。傾斜角度Grが所定角度Kr以下の状態で所定時間T1(例えば、1sec )を経過しておれば、ステップ204に進み下り坂路フラグがセット(1)され、所定時間T1を経過していないときには、ステップ205にてONタイマがインクリメントされる。この後、ステップ206にてOFFタイマがクリアされてメインルーチンに戻る。
【0057】
ステップ202において傾斜角度Grが所定角度Krを超えていると判定されたときには、ステップ207にてOFFタイマが所定時間T1を経過したか否かが判定される。所定時間T1を経過しておれば、ステップ208にて下り坂路フラグがリセット(0)され、所定時間T1を経過していないときには、ステップ209にてOFFタイマがインクリメントされる。そして、ステップ210にてONタイマがクリアされてメインルーチンに戻る。一方、ステップ201において推定車体速度Vsoが所定速度V1を下回っていると判定されると、ステップ211にて下り坂路フラグがリセットされ、続いてステップ212にてONタイマ及びOFFタイマがクリアされてメインルーチンに戻る。
【0058】
つまり、所定角度Kr以下の傾斜角度Grの状態(車両進行方向側を下り方向として傾斜した坂路を走行中の状態)が所定時間T1継続すると、下り坂路フラグがセットされることになり、逆に、所定角度Krを超える傾斜角度Grの状態が所定時間T1継続すると、下り坂路フラグがリセットされることになる。このとき、ON,OFFタイマによってディレータイマが構成されているので、傾斜センサGXのノイズによる影響が回避される。
【0059】
次に、図6は図4のステップ108で実行される非接地輪判定の処理を示すもので、スリップ検出手段が構成され各車輪ごとにスリップ状態が判定されるが、本実施形態では後方の車輪RR,RLに対してのみ行なわれる。先ず、ステップ301において車輪RR又はRLに対し非接地輪フラグがセットされているか否かが判定される。非接地輪フラグがセットされていない場合(0)には、ステップ302乃至305にて当該車輪(RR又はRL)のスリップ状態が判定される。即ち、ブレーキ操作が行なわれていないのに車輪速度が急速に低下している場合にはスリップと判定されるが、アンチスキッド制御等とは峻別され、空転状態の非接地輪と判定される。具体的には、先ずステップ302においてブレーキスイッチBSがオフか否かが判定される。ブレーキペダルBPが操作されておらずブレーキスイッチBSがオフであるとステップ303に進み、既に制御対象車輪に対するブレーキ制御が行なわれているか否かが判定され、ブレーキ制御中でなければ更にステップ304に進む。
【0060】
ステップ304では車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV1)と比較され、基準速度(Vso−KV1)を下回っておれば、更にステップ305に進み車輪加速度DVw**が基準加速度KGと比較される。車輪加速度DVw**が基準加速度KGを下回っている場合には、車輪**(本実施形態では車輪RR,RL)がスリップし非接地状態にあると判定され、ステップ306にて当該車輪に関し非接地輪フラグがセット(1)される。そして、ステップ307にて後述するタイマカウンタがクリア(0)された後、メインルーチンに戻る。尚、上記の基準速度(Vso−KV1)におけるVsoは前述の推定車体速度であり、KV1は一定値である。上記ステップ302乃至305の何れかの条件を充足していない場合には、そのままメインルーチンに戻る。
【0061】
一方、ステップ301で既に非接地輪フラグがセットされていると判定された場合にはステップ308に進み、ブレーキスイッチBSがオフか否かが判定される。ブレーキペダルBPが操作され、ブレーキスイッチBSがオンであるときには、ステップ313にジャンプし当該車輪に対する非接地輪フラグがリセット(0)される。依然ブレーキペダルBPが操作されておらずブレーキスイッチBSがオフである場合には、ステップ309乃至312に進み、当該車輪(RR又はRL)が接地し車輪速度が回復した状態にあるか否かが判定される。即ち、車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV2)と基準速度(Vso+KV3)との間の値である状態が所定時間T2継続したと判定されたときにスリップ状態が解除されたと判定され、当該車輪(RR又はRL)の非接地輪フラグがリセット(0)される。尚、KV2は一定値で本発明の第2の所定値に対応し、基準速度(Vso−KV2)は本発明の第2のしきい値に対応する。同様に、KV3は一定値で本発明の第3の所定値に対応し、基準速度(Vso+KV3)は本発明の第3のしきい値に対応する。
【0062】
具体的には、ステップ309にて車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV2)と基準速度(Vso+KV3)との間の範囲を外れると、ステップ311にてタイマカウンタがクリア(0)された後ステップ312に進む。車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV2)と基準速度(Vso+KV3)との間にあるときには、ステップ310にてタイマカウンタがインクリメント(+1)された後ステップ312に進む。そして、ステップ312においてタイマカウンタが所定時間T2以上となったときに当該車輪(RR又はRL)の非接地輪フラグがリセット(0)される。このように、車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV2)と基準速度(Vso+KV3)との間の値である状態が所定時間T2継続したことを回復判定の条件とした理由については、図14を参照して後述する。
【0063】
図7は、図4のステップ109で実行されるブレーキ制御開始判定の処理を示すもので、先ずステップ401においてスロットルセンサTSのアイドルスイッチ信号がオン信号か否かが判定される。アイドルスイッチ信号がオン信号と判定された場合(即ち、アクセルペダルAPが非操作状態の場合)には、ステップ402に進み変速装置GSがローレンジの変速位置L4にあるか否かが判定される。変速装置GSがローレンジの変速位置L4にあれば、ステップ403にて下り坂路フラグがセット(1)状態か否かが判定される。下り坂路フラグがセットされている場合には、更にステップ404に進み、前述の非接地輪フラグがセット(1)状態か否かが判定される。非接地輪フラグがセットされている場合には、ステップ405に進む。
【0064】
而して、本実施形態においてはステップ401乃至ステップ404の条件を全て充足する場合に、車両がエンジンブレーキ状態にあると判定され、ステップ405,406に進み、車輪FR,FLの両車輪に対しブレーキ制御中フラグがセット(1)される。尚、エンジンブレーキの判定にあたっては、これらの条件の一部を適宜割愛し、あるいは更に他の条件を付加することとしてもよい。上記ステップ401乃至ステップ404の何れかの条件を充足していない場合には、そのままメインルーチンに戻り、エンジンブレーキ時の制御対象車輪(本実施形態では車輪FR,FL)に対するブレーキ制御は行なわれない。
【0065】
図8は、図4のステップ110で実行されるブレーキ制御終了判定の処理を示すもので、ステップ501においてスロットルセンサTSのアイドルスイッチ信号がオン信号か否かが判定される。アイドルスイッチ信号がオン信号であればステップ502に進み、下り坂路フラグがセットされているか否かが判定される。下り坂路フラグがセットされている場合には、ステップ503に進み、車両後方の車輪RR,RLの何れか一方に関し非接地輪フラグがセットされているか否かが判定され、セットされている場合にはそのままメインルーチンに戻り車輪FR,FLのブレーキ制御が継続される。上記ステップ501乃至ステップ503の何れかの条件を充足しない場合には、車輪FR,FLの両車輪に対するブレーキ制御が終了とされ、ステップ504,505に進み車輪FR,FLのブレーキ制御中フラグがリセット(0)された後、メインルーチンに戻る。
【0066】
図9は、図4のステップ111で実行される開始特定制御開始判定の処理を示すもので、ステップ601において何れかの車輪**のブレーキ制御中フラグの前回の状態が判定される。尚、図9乃至図13における制御対象の車輪は、本実施形態では車両前方の車輪FR,FLであるが、特にこれらを特定することなく車輪**で表している。ステップ601にて前回は車輪**のブレーキ制御中フラグがセットされていないと判定されるとステップ602に進み、ブレーキ制御中フラグの今回の状態が判定される。前回セットされていなかったブレーキ制御中フラグが今回セット(1)されていると判定されると、ブレーキ制御開始直後ということになるので、ステップ603に進み車輪**の開始特定制御中フラグがセットされる。ステップ601においてブレーキ制御中フラグが前回セットされたと判定された場合、あるいはステップ602において今回はセットされていないと判定された場合には、そのままメインルーチンに戻る。
【0067】
図10は、図4のステップ112で実行される開始特定制御終了判定の処理を示すもので、ステップ701において何れかの車輪**の開始特定制御中フラグの状態が判定され、開始特定制御中フラグがセットされていなければ、そのままメインルーチンに戻る。開始特定制御中フラグがセットされておればステップ702に進み、車輪**の開始特定制御カウンタCTF**が所定時間KTと比較される。開始特定制御カウンタCTF**が所定時間KT以上と判定されると、ステップ703にて車輪**の開始特定制御中フラグがリセット(0)される。ステップ701において車輪**の開始特定制御中フラグがリセット状態と判定され、あるいはステップ702において開始特定制御カウンタCTF**のカウント値が所定時間KTに相当するカウント値に達していないと判定された場合には、そのままメインルーチンに戻る。
【0068】
図11は、図4のステップ113で実行される開始特定制御用液圧モード設定の処理を示すもので、ステップ801において何れかの車輪**の開始特定制御中フラグの状態が判定される。車輪**の開始特定制御中フラグがセットされておれば、ステップ802に進み車輪**(本実施形態では車両前方の車輪FR,FL)の液圧モードが急増圧モードに設定される。これに対し、車輪**に関し開始特定制御中フラグがセットされていなければ、そのままメインルーチンに戻る。
【0069】
図12は、図4のステップ114で実行される通常制御液圧モード設定の処理を示すもので、ステップ901において何れかの車輪**のブレーキ制御中フラグの状態が判定され、セットされていなければそのまま図4のメインルーチンに戻る。車輪**(本実施形態では車両前方の車輪FR,FL)に関しブレーキ制御中フラグがセットされておればステップ902以降に進み、パルス増圧、パルス減圧及び保持の何れかの液圧モードに設定される。
【0070】
先ず、ステップ902において車輪速度Vw**が推定車体速度Vsoと比較され、これを越えた場合にはステップ903にてパルス増圧モードが設定される。車輪速度Vw**が推定車体速度Vso以下であるときには、更にステップ904にて車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV4)と比較される(但し、KV4は一定速度)。車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV4)も下回っているときには、更にステップ905に進み車輪加速度DVw**が正負が判定され、負の値であればステップ906にてパルス減圧モードに設定される。車輪加速度DVw**が0又は正の値である場合、及び車輪速度Vw**が基準速度(Vso−KV4)以上である場合には、ステップ907にて保持モードに設定される。
【0071】
図13は、図4のステップ115で実行される制御モード設定の処理を示すもので、ステップ1001において何れかの車輪**の開始特定制御中フラグの状態が判定される。車輪**の開始特定制御中フラグがセットされておれば、ステップ1002に進み制御モードが開始特定制御用液圧モードに設定される。ステップ1001において車輪**の開始特定制御中フラグがセットされていなければ、ステップ1003に進み車輪**のブレーキ制御中フラグの状態が判定される。ステップ1003において車輪**のブレーキ制御中フラグがセットされておればステップ1004に進み、制御モードは通常制御液圧モードに設定され、車輪**のブレーキ制御中フラグがセットされていなければ、ステップ1005に進み制御モードは増圧モード(通常の制動作動状態)に設定される。尚、図13においては、本実施形態におけるエンジンブレーキ時のブレーキ制御と開始特定制御の関係を示したが、トラクション制御、アンチスキッド制御等の制御モードをこれに組み入れることができる。
【0072】
次に、上記の制御状況を図14を参照して説明する。図14の上段には制御対象たる車両前方の車輪FR,FLの車輪速度VwF*を実線で示し、非接地輪たる車両後方の車輪RR,RLの車輪速度VwR*を破線で示している。車輪RR又はRLに関し、図6のステップ302乃至305にてスリップ状態が判定され、車輪速度VwR*が基準速度(Vso−KV1)を下回り、且つ車輪加速度DVwR*(図14では省略)が基準加速度KGを下回ると、非接地輪フラグがセットされ、車輪FR,FLに対するブレーキ制御が開始する。即ち、図6及び図7の処理に従い、図14のa点で車輪FR,FLに対するブレーキ制御が開始し、図14の下段に示すようにホイールシリンダ液圧が増圧される。図14のa点からb点までは図9乃至図11の処理に従い、開始特定制御が行なわれ、急増圧モードとされる。b点以降は図12の通常制御に移行し、車輪速度VwF*が推定車体速度Vsoを下回るc点までパルス増圧モードとされ、更に基準速度(Vso−KV4)を下回るd点までは保持モードとされる。
【0073】
そして、車輪速度VwF*が基準速度(Vso−KV4)を下回るとパルス減圧モードとされ、更に車輪加速度DVwF*が正の値に転ずるとe点まで保持モードとされる。e点で車輪速度VwF*が推定車体速度Vsoを越えるとパルス増圧モードとされ、以後同様に、車輪FR,FLのホイールシリンダ液圧が制御され、車輪RR又はRLの車輪速度VwR*が基準速度(Vso−KV2)と基準速度(Vso+KV3)との間の値となって所定時間T2継続したf点でブレーキ制御が終了し、減圧される。
【0074】
ところで、本実施形態のようなセンタディファレンシャルを備えた四輪駆動車が、下り坂路を走行中にエンジンブレーキ状態とされ、車両後方の車輪RR又はRLが非接地輪となっているときには、車輪が逆方向に回転するため、車輪速度VwR*は速度0を下回り、負の値になる。これに対し、車輪速度センサWS1乃至WS4は一般的に正転と逆転を区別できないため、その出力信号は車輪の逆転時には図14に2点鎖線で示すようになる。即ち、車輪速度VwR*を表す車輪速度センサWS2又はWS4の出力信号は逆転時も正の値とされることになる。この結果、図14に斜線で示すように実際の車輪速度と異なり車輪速度VwR*が基準速度(Vso−KV4)を越える場合が生じ、車輪速度が回復したと判定されるおそれがある。
【0075】
このため、本実施形態においては、図6のフローチャートのステップ309乃至312に示すように、車輪速度Vw**(図14では車輪速度VwR*)が基準速度(Vso−KV2)と基準速度(Vso+KV3)との間の値である状態が所定時間T2継続したことが回復判定の条件とされ、車輪の逆転時に生ずる誤差とは峻別し得るように設定されている。尚、基準速度(Vso+KV3)以下という条件を外し、基準速度(Vso−KV2)以上という条件のみとしてもよい。
【0076】
而して、本実施形態の走行制御装置によれば、センタディファレンシャルを備えた四輪駆動車が、未舗装の急峻な下り坂路を走行中にエンジンブレーキとされた状態で、例えば車両後方の車輪RR,RLの少くとも一方が非接地状態となった場合には、車輪速度VwR*が第1のしきい値たる基準速度(Vso−KV1)を下回り、且つ車輪加速度DVwR*が基準加速度KGを下回ると、車輪RR又はRLが非接地輪と判定される。そして、車輪速度VwR*が第2のしきい値たる基準速度(Vso−KV2)を越え、且つ第3のしきい値たる基準速度(Vso+KV3)を下回った状態が所定時間T2継続したときに車輪RR又はRLが接地状態にあると判定されるので、車輪RR又はRLの非接地状態及び接地状態を容易且つ確実に判定することができる。従って、この場合には車両前方の車輪FR,FLに対し制動力を付与することにより、適切な制動作動を行なうことができる。尚、上記の実施形態においては下り坂路判定(ステップ107等)が設けられているが、これを省略することとすれば、下り坂路以外でのエンジンブレーキ時にも同様に対処することができる。
【0077】
次に、本発明の他の実施形態に関し、図15以降の図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は前述の図2及び図3と同様であるので、これらの説明は省略する。本実施形態における走行制御のフローチャートも前述の図4のフローチャートに記載のものとステップ108の他は実質的に同様であるので省略するが、本実施形態の車輪速度センサWS1乃至WS4は前述の実施形態のものと異なり(但し、符号は同一とした)、回転方向を識別する機能、即ち、車輪が車両進行方向に回転する正回転(+で表す)と、後退方向の逆回転(−で表す)を識別する機能を有している。その構造の図示は省略するが、例えば一対の検出素子の出力信号を組合せることにより、位相差等に基づき回転方向の識別が可能である。
【0078】
本実施形態においては、図4のステップ104,105にて演算された車輪速度Vw**と推定車体速度Vsoに基づき、ステップ108にて、各車輪のスリップ率Sa**がSa**=〔(Vso−Vw)/Vso〕×100(%)として求められる。このとき、車両の進行方向の車輪の回転方向を正とし、逆方向を負とすると、車両の加速スリップ時にはスリップ率Sa**は負の値となり、減速スリップ時にはスリップ率Sa**は正の値となって、100%以上の値も採り得る。このようにスリップ率Sa**を設定することにより後の演算で有効に活用することができる。尚、本実施形態における、図4のステップ107に対応する下り坂路判定、ステップ111に対応する開始特定制御開始判定、ステップ112に対応する開始特定制御終了判定、及びステップ115に対応する制御モード設定は、夫々図5、図9、図10及び図13に記載の処理と同様であるので説明を省略し、以下前述の実施形態での処理と異なるものについて説明する。
【0079】
図15は、本実施形態において実行されるブレーキ制御開始判定(図4のステップ109に対応)の処理を示すもので、先ずステップ1401においてスロットルセンサTSのアイドルスイッチ信号がオン信号か否かが判定される。アイドルスイッチ信号がオン信号と判定された場合(アクセルペダルAPが非操作状態)には、ステップ1402に進み変速装置GSがローレンジの変速位置L4にあるか否かが判定される。変速装置GSがローレンジの変速位置L4にあれば、ステップ1403にて下り坂路フラグがセット(1)状態か否かが判定される。下り坂路フラグがセットされている場合には、ステップ1404に進み、車両の加速状態が判定される。
【0080】
即ち、今回の推定車体加速度DVso(n) と前回の推定車体加速度DVso(n-1) の差が所定の加速度D1(例えば、0.05G。但し、Gは重力加速度)を超えるか否かが判定される。この差が所定の加速度D1を超えると判定されたときには、車両は加速方向に駆動されていることになり、アンチスキッド制御の開始条件とは峻別される。而して、本実施形態においてはステップ1401乃至ステップ1404の条件を全て充足するときには、車両がエンジンブレーキ状態にあると判定され、ステップ1405に進む。尚、エンジンブレーキの判定にあたっては、これらの条件の一部を適宜割愛し、あるいは更に他の条件を付加することとしてもよい。
【0081】
そして、ステップ1405において何れかの車輪**のスリップ率Sa**が所定のスリップ率S1(例えば、30%)以上であると、車輪**が非接地状態で空転していると判定され、ステップ1406に進み車輪**のブレーキ制御中フラグがセット(1)される。尚、車輪**のスリップ率Sa**が所定のスリップ率S1以上である場合には、車輪**に対するアンチスキッド制御の開始条件を充足する場合があるが、このステップ1405においてはステップ1404にて車両が加速方向に駆動されていることが明らかとなるので、アンチスキッド制御の開始条件と混同を生ずることはない。上記ステップ1401乃至ステップ1405の何れかの条件を充足していない場合には、そのままメインルーチンに戻り、ブレーキ制御は行なわれない。
【0082】
図16は、本実施形態において実行されるブレーキ制御終了判定の処理(図4のステップ110に対応)を示すもので、ステップ1501において推定車体速度Vsoが所定速度V2(例えば、15km/h)以下か否かが判定される。推定車体速度Vsoが所定速度V2以下と判定されるとステップ1502に進み、そのときの液圧モードが減圧モードか否かが判定され、減圧モードである場合には、ステップ1503に進み、その車輪**のスリップ率Sa**が所定のスリップ率S2(例えば、20%)と比較される。ステップ1503にてスリップ率Sa**が所定のスリップ率S2以下と判定されたときには、ステップ1504に進み、そのときのブレーキ液圧の推定値が0か否かが判定される。ブレーキ液圧の推定値が0で(図19のf点)、ブレーキ操作が行なわれていないと判定されたときには、ステップ1505にて車輪**に関するブレーキ制御中フラグがリセット(0)されてメインルーチンに戻る。上記ステップ1501乃至ステップ1504の何れかの条件を充足していない場合には、そのままメインルーチンに戻りブレーキ制御が継続される。
【0083】
図17は、本実施形態において実行される開始特定制御用液圧モード設定(図4のステップ113に対応)の処理を示すもので、ステップ1801において何れかの車輪**の開始特定制御中フラグの状態が判定される。車輪**の開始特定制御中フラグがセットされておれば、ステップ1802に進み車輪**の開始特定制御カウンタCTF**がインクリメント(+1)された後、ステップ1803においてスリップ率Sa**が100%と比較される。ステップ1803においてスリップ率Sa**が100%を下回ると判定されたときには、車輪**が正回転の状態にあることを意味するので、ステップ1804に進み車輪**に関する液圧モードは急増圧モードに設定される(図19のa点)。これに対し、スリップ率Sa**が100%以上と判定されたときには、車輪**が停止もしくは逆回転の状態にあることを意味するので、ステップ1805に進み車輪**に関する液圧モードは保持モードに設定される(図19のb点)。車輪**の開始特定制御中フラグがセットされていなければ、ステップ1806にて開始特定制御カウンタCTF**がクリア(0)されてメインルーチンに戻る。
【0084】
図18は、本実施形態において実行される通常制御液圧モード設定(図4のステップ114に対応)の処理を示すもので、ステップ1901において何れかの車輪**のブレーキ制御中フラグの状態が判定され、セットされていなければそのまま図4のメインルーチンに戻る。車輪**のブレーキ制御中フラグがセットされておればステップ1902に進み、その車輪**のスリップ率Sa**の値に応じて、図18のステップ1902内のマップに従い、急増圧、パルス増圧、パルス減圧及び急減圧の何れかの液圧モードに設定される。尚、パルス増圧(又はパルス減圧)は、増圧(又は減圧)と保持の繰り返しであるので、本実施形態では保持モードはこれらに包含されている。スリップ率Sa**が100%未満の領域は車輪**が正回転時で、スリップ率Sa**が100%以上の領域は車輪**が逆回転時のエンジンブレーキ状態にあることを表す。
【0085】
尚、この間の状況を図19を参照して説明すると、a点でブレーキ制御が開始と判定され、急増圧モードが設定される。このa点からc点までの所定時間の期間は、開始特定制御として前述の図11に記載のフローチャートと同様に処理される。b点でスリップ率Sa**が100%となった時(即ち、Vw**=0km/hで、車輪が停止、又は正回転から逆回転もしくはその逆に切り換わる時)には、ホイールシリンダのブレーキ液圧は保持され、d点で車輪が逆回転になったと判定されるとパルス増圧モードに切り換えられる。そして、e点で車輪が正回転に戻ったと判定されるとパルス減圧モードとされ、この後f点でブレーキ制御が終了とされるまでパルス減圧モードが維持され、車輪速度Vwが推定車体速度Vsoに漸近するように制御される。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、開始特定制御では制御対象の車輪**が一旦ロック状態(スリップ率Sa**=100%)となるまで急増圧モードで加圧された後、パルス減圧が行なわれると、車輪**は正回転か逆回転の何れかを開始する。車輪**が正回転を開始した場合には接地したことになるので、パルス減圧モードとされ、逆回転を開始した場合には空転していることになるので、増圧モードが維持されロック状態に維持される。而して、スリップ率Sa**が100%(Vw**=0km/h)近傍で制御対象の車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御することにより、未舗装の急峻な下り坂路を走行中でもその他の車輪に対しエンジンブレーキを適切に効かせることができる。尚、上記の実施形態において下り坂路判定を省略することとすれば、下り坂路以外でのエンジンブレーキ時にも同様に対処することができる。
【0087】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のセンタディファレンシャルを備えた四輪駆動車の走行制御装置においては、エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ車両の各車輪のうちの少くとも一つの車輪が非接地状態となったときに、制動力制御手段が、非接地状態の車輪を含む全ての車輪のうちの少くとも一つの車輪に対して制動力を付与するように構成されているので、エンジンブレーキとされた状態で少くとも一つの車輪が非接地状態となっても、適切な制動作動を行なうことができる。更に、例えばセンタデフロック機構を排除しても、タイトコーナブレーキング現象を惹起することなく、円滑なコーナリングを行なうことができる。
【0088】
特に、請求項2に記載の走行制御装置においては、更に下り坂路判定手段が設けられており、下り坂路を走行中であることも条件とされるので、例えば未舗装の急峻な下り坂路を走行中にエンジンブレーキとされた状態で少くとも一つの車輪が非接地状態となったときには、確実且つ適切な制動作動を行なうことができる。
【0089】
前記走行制御装置において、前記少くとも一つの車輪が非接地状態となったか否かの判定は、請求項3に記載のように、車輪速度に基づいて前記少くとも一つの車輪のスリップを検出したときに、この車輪が非接地状態にあると判定するように構成すれば、容易に非接地状態を判定することができる。更に、前記車輪のスリップの検出は、請求項4に記載のように、車輪速度と推定車体速度に基づきスリップ率を演算し、このスリップ率に基づき前記車輪のスリップを検出するように構成すれば、容易且つ確実にスリップを検出することができる。
【0090】
請求項5に記載の四輪駆動車の走行制御装置においては、推定車体速度から第1の所定値を減算した第1のしきい値を、各車輪のうちの一つの車輪の車輪速度が下回ったときに、当該車輪が非接地状態にあると判定するように構成されているので、エンジンブレーキとされた状態で少くとも一つの車輪が非接地状態となっても、この車輪の非接地状態を容易且つ確実に判定することができる。
【0091】
請求項6に記載の走行制御装置においては、上記に加え接地状態判定手段によって前記少くとも一つの車輪が接地状態となったことも容易且つ確実に判定することができ、接地状態と判定したときには車輪に対する制動力の付与を解除するように構成されているので、車両に対し適切に制動作動を行なうことができる。更に、請求項7に記載の走行制御装置においては、前記少くとも一つの車輪が接地状態となったことを一層確実に判定することができる。
【0092】
下り坂路判定手段としては、請求項10に記載のように車両の傾斜角を検出する傾斜検出手段を備えたものとし、少くとも傾斜検出手段が、所定時間の間、車両の進行方向側を下り方向として所定角度以上傾斜した傾斜角度を検出したときに、車両の走行路面が下り坂路と判定するように構成することができ、簡単な構成で、適切に下り坂路を判定することができる。
【0093】
また、エンジンブレーキ判定手段としては、請求項11に記載のように車両の変速装置の変速位置を検出する変速位置検出手段を具備したものとし、少くとも変速位置検出手段が所定の低速側変速位置を検出し、且つ下り坂路判定手段が下り坂路と判定したときに、車両がエンジンブレーキ状態と判定するように構成することができ、簡単な構成で、適切にエンジンブレーキを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の四輪駆動車の走行制御装置の一実施形態の概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の走行制御装置の一実施形態の全体構成図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるブレーキ液圧系の一例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施形態における四輪駆動車の走行制御の全体を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における走行制御の下り坂路判定を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態における走行制御の非接地輪判定を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態における走行制御の開始判定を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態における走行制御の終了判定を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態における走行制御の開始特定制御開始判定を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態における走行制御の開始特定制御終了判定を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態における走行制御の開始特定制御用液圧モード設定を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態における走行制御の通常制御液圧モード設定を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態における走行制御の制御モード設定を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態における四輪駆動車の走行制御状態の一例を示すグラフである。
【図15】本発明の他の実施形態における走行制御の開始判定を示すフローチャートである。
【図16】本発明の他の実施形態における走行制御の終了判定を示すフローチャートである。
【図17】本発明の他の実施形態における走行制御の開始特定制御用液圧モード設定を示すフローチャートである。
【図18】本発明の他の実施形態における走行制御の液圧モード設定を示すフローチャートである。
【図19】本発明の他の実施形態における四輪駆動車の走行制御状態の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル
MC マスタシリンダ
AS 補助液圧源
PC ブレーキ液圧制御装置
SA1,SA2 電磁切換弁
SA3,STR 電磁開閉弁
PC1〜PC8 電磁開閉弁
FL,FR,RL,RR 車輪
Wfl,Wfr,Wrl,Wrr ホイールシリンダ
WS1〜WS4 車輪速度センサ
EG エンジン
GS 変速装置
DF フロントディファレンシャル
RF リヤディファレンシャル
CF センタディファレンシャル
GX 傾斜センサ
ECU 電子制御装置

Claims (11)

  1. 車両の前方の各車輪に連結されたフロントディファレンシャル、後方の各車輪に連結されたリヤディファレンシャル、該リヤディファレンシャル及び前記フロントディファレンシャルに連結するセンタディファレンシャルを備えると共に、前記車両の前方及び後方の各車輪に付与する制動力を夫々独立して制御する制動力制御手段とを備えた四輪駆動車の走行制御装置において、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の各車輪の内の少くとも一つの車輪が非接地状態にあるか否かを判定する非接地状態判定手段と、前記車両のエンジンブレーキ状態を判定するエンジンブレーキ判定手段とを備え、前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が、前記非接地状態の車輪を含む全ての車輪の内の少くとも一つの車輪に対して制動力を付与するように構成したことを特徴とする四輪駆動車の走行制御装置。
  2. 車両の前方の各車輪に連結されたフロントディファレンシャル、後方の各車輪に連結されたリヤディファレンシャル、該リヤディファレンシャル及び前記フロントディファレンシャルに連結するセンタディファレンシャルを備えると共に、前記車両の前方及び後方の各車輪に付与する制動力を夫々独立して制御する制動力制御手段とを備えた四輪駆動車の走行制御装置において、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の各車輪の内の少くとも一つの車輪が非接地状態にあるか否かを判定する非接地状態判定手段と、前記車両の走行路面が下り坂路か否かを判定する下り坂路判定手段と、前記車両のエンジンブレーキ状態を判定するエンジンブレーキ判定手段とを備え、前記下り坂路判定手段が下り坂路と判定し、前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が、前記非接地状態の車輪を含む全ての車輪の内の少くとも一つの車輪に対して制動力を付与するように構成したことを特徴とする四輪駆動車の走行制御装置。
  3. 前記非接地状態判定手段が、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪のスリップを検出するスリップ検出手段を備え、該スリップ検出手段が前記少くとも一つの車輪のスリップを検出したときに、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  4. 前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段を備え、前記スリップ検出手段が、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度と前記推定車体速度演算手段が演算した推定車体速度に基づきスリップ率を演算するスリップ率演算手段を具備し、該スリップ率演算手段が演算したスリップ率に基づき前記少くとも一つの車輪のスリップを検出するように構成したことを特徴とする請求項3記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  5. 前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段とを備え、前記非接地状態判定手段が、前記車両の推定車体速度から第1の所定値を減算した第1のしきい値を、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が下回ったときに、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  6. 前記少くとも一つの車輪の車輪速度が、前記車両の推定車体速度から第2の所定値を減算した第2のしきい値を越えた状態が所定時間継続したときに、前記少くとも一つの車輪が接地状態にあると判定する接地状態判定手段を備え、該接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が接地状態にあると判定したときには、前記制動力制御手段が前記少くとも一つの車輪に対する制動力の付与を解除するように構成したことを特徴とする請求項5記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  7. 前記接地状態判定手段は、前記少くとも一つの車輪の車輪速度が、前記車両の推定車体速度から第2の所定値を減算した第2のしきい値を越え、且つ前記車両の推定車体速度に第3の所定値を加算した第3のしきい値を下回った状態が所定時間継続したときに、前記少くとも一つの車輪が接地状態にあると判定するように構成したことを特徴とする請求項6記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  8. 前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が前記車両前方の両車輪に対して制動力を付与するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  9. 前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ状態と判定し、且つ前記非接地状態判定手段が、前記少くとも一つの車輪が非接地状態にあると判定したときに、前記制動力制御手段が前記非接地状態の車輪を制御対象の車輪として制動力を付与するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  10. 前記下り坂路判定手段は、前記車両の傾斜角を検出する傾斜検出手段を備え、少くとも該傾斜検出手段が、所定時間の間、前記車両の進行方向側を下り方向として所定角度以上傾斜した傾斜角度を検出したときに、前記車両の走行路面が下り坂路と判定するように構成したことを特徴とする請求項2記載の四輪駆動車の走行制御装置。
  11. 前記エンジンブレーキ判定手段は、前記車両の変速装置の変速位置を検出する変速位置検出手段を具備し、少くとも該変速位置検出手段が所定の低速側変速位置を検出し、且つ前記下り坂路判定手段が下り坂路と判定したときに、前記車両がエンジンブレーキ状態と判定するように構成したことを特徴とする請求項2記載の四輪駆動車の走行制御装置。
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