JP3992225B2 - プリント配線板用樹脂付金属箔及びこれを用いた多層プリント配線板 - Google Patents
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Description
本発明は、プリント配線板の製造に好適なプリント配線板用樹脂付金属箔及びプリント配線板に関する。特に、レーザー穴明け加工プロセスを備えた多層プリント配線板製造に適した銅張積層板製造を可能とするプリント配線板用樹脂付金属箔及びそのプリント配線板に関する。
【0001】
【従来の技術】
電子産業分野で使用されるプリント配線板を製造するために用いる銅張積層板は、ガラスクロス、クラフト紙、ガラス不繊布等の骨格形成材に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させ、半硬化状態としたプリプレグと、金属箔である銅箔、ニッケル箔等を、高熱雰囲気下でプレス成形(以下、「熱間プレス成形」と称する。)することで張り合わせて積層体として製造されるのが一般的である。
【0002】
中でも多層プリント配線板と言われる製品は、内層を構成することとなる所謂内層コア材を作成し、当該内層コア材の両面にブリプレグを介して銅箔を両面に張り合わせて製造されている。近年のプリント配線板の高密度配線化、高密度実装化に伴い、プリント配線板に微細な非貫通穴であるバイアホールを採用することが一般化している。
【0003】
このバイアホールを形成する方法は、レーザー加工若しくはプラズマ加工を採用することが一般化している。このとき、ガラス繊維のような無機成分を骨格材として含有するプリプレグを絶縁層の形成に用いると、樹脂部分と骨格材部分との加工性の相違より、骨格材部分のレーザー光やプラズマによる加工性が悪くなるため、無機成分で構成される骨格材を用いることなく樹脂成分のみで絶縁層を形成することが普及してきている。
【0004】
かかる場合の樹脂成分のみで構成する絶縁層は、半硬化状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムや、銅箔の片面に樹脂を塗布して半硬化させた樹脂付き銅箔を用いることで形成することが一般化している。即ち、この樹脂フィルムの場合は、回路形成された内層コア材と外層銅箔との間に、プリプレグの代わりに挟み込んで熱間プレス成形することで多層銅張積層板とされる。樹脂付銅箔の場合は、回路形成された内層コア材の表面に樹脂付銅箔の樹脂面を接触させる形で重ね合わせて熱間プレス成形することで多層銅張積層板とされるのである。このようにして得られた多層銅張積層板は、外層銅箔の回路形成、バイアホール形成等を行い多層プリント配線板に加工されるのである。
【0005】
このときに、バイアホールを形成する際にレーザー加工法を用いる場合について簡単に説明する。最も一般的な方法は、バイアホールの形状を形成するための部位の外層銅箔の一部をエッチングして除去し、絶縁層を露出させ、銅箔と樹脂とのレーザー光に対する抵抗性の差を利用して、樹脂層のみを選択的に除去するコンフォーマルマスク法が採用される。この方法により、銅張積層板の表面に効率よくバイアホールを形成することが可能となる。
【0006】
このレーザー加工法には、上述したコンフォーマルマスク法が長年採用されてきたが、レーザー光を照射する位置と、レーザー加工用マスクとの位置に、ズレを生じる場合があり、良好なバイアホールの形状の形成が出来ない場合がある。この問題を解決するため、バイアホールの形状を形成するための部位の外層銅箔の一部をエッチングする段階で、目的とするバイアホールの径よりも大きな径の領域の銅箔をエッチングで除去し、ビ−ム径を調節したレーザー光を照射することでの対応がなされている。
【0007】
そして、市場では、コンフォーマルマスク法の欠点を無くし、より微細な回路形成が可能で、位置精度に優れたバイアホールを備えたプリント配線板を供給するため、多層銅張積層板の、一旦積層された外層銅箔をすべてエッチング除去した後に、レーザー光によりバイアホールを形成し、無電解メッキおよびパネルメッキにより導体回路を形成する方法も実用化されている。
【0008】
そして、上述した後者の方法でバイアホールを形成し、多層プリント配線板を得ようとすると、外層銅箔をエッチング除去して露出した樹脂面に、直接、無電解銅等の金属をメッキすることが必要となる。樹脂である絶縁層と当該メッキ層との界面における密着性は、樹脂と金属との化学的結合力と言うよりは、樹脂表面の持つ物理的形状の持つ影響が大きくなってくる。特に、銅張積層板の銅箔を張り合わせた絶縁層の表面には、銅箔の接着面である粗化面の凹凸形状が転写しており、この形状が維持できておれば、メッキ層と絶縁層との密着性が良好なものとなるのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザー光でバイアホールを形成した後は、デスミアと呼ばれるバイアホール底部及び内壁部を洗浄し平滑化する工程が採用されるのが一般的である。このデスミア処理は、バイアホール底部及び内壁部にある樹脂残分や樹脂のバリを除去することにより、その後の無電解メッキ、電解メッキにより形成される導体メッキ層の平滑性を確保すると共に、当該導体メッキ層と底部ランド部との接続信頼性を向上させるためのものである。デスミア処理には、過マンガン酸カリウム溶液等の酸化性の薬剤を用いて、硬化した樹脂を分解し、溶解除去することにより洗浄を行うものである。
【0010】
従って、デスミア処理で用いる薬品が金属箔をエッチング除去した絶縁層の表面に接触すれば、樹脂が分解され溶解されるため、上述した凹凸のある表面形状が滑らかな平滑なものに変化することになる。この結果、デスミア処理によって形状が滑らかに変化した絶縁層表面に対する、メッキ層の密着性が悪くなる事になるのである。
【0011】
一方、このような問題を解決するためには、樹脂組成を変更しデスミア処理で用いる薬剤に対し、溶解しない樹脂を用い、デスミア処理を省略することも考えられるが、バイアホール内部の層間導通性、回路間の接続信頼性を確保することを考えるとデスミア処理を省略することは不可能と考えられる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、樹脂層を基材との接着面側に備えたプリント配線板用樹脂付金属箔の、樹脂層を2種類の樹脂を用いて、2層の構造を持つものとすることで、前記課題の解決を図ることに想到したのである。以下、本件発明について説明する。
【0013】
請求項には、金属箔の片面に、当該金属箔表面と接する第1熱硬化性樹脂層と、当該第1熱硬化性樹脂層の表面に位置する第2熱硬化性樹脂層とからなる2層構造の樹脂層を備えたプリント配線板用樹脂付金属箔であって、第1熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解しない樹脂成分で形成されたものであり、第2熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解し洗浄除去可能な樹脂を用いて形成したものであることを特徴とするプリント配線板用樹脂付金属箔としている。ここで言う「当該第1熱硬化性樹脂層」は、デスミア処理に対して強い溶解抵抗性を示し、且つ、プリント配線板に加工された後に十分な耐熱性や電気特性を有すれば、特にその材質が限定されるものではない。
【0014】
図1には、ここで言うプリント配線板用樹脂付金属箔1の断面を拡大した模式形状を示している。図中の金属箔2の第1熱硬化性樹脂層R1との界面側には、樹脂層との密着性を確保するため微細な金属粒3を付着させた粗化処理を施し、アンカー効果を得るものとして表示している。本件明細書では、この面のことを粗化面と称することとする。
【0015】
請求項に記載の発明の特徴は、金属箔が2種類の樹脂から構成される2層の樹脂層を備えている点にある。図1を参照しつつ説明するが、金属箔2の粗化面と接する第1熱硬化性樹脂層R1は、前述したデスミア処理で用いる溶液に対して、溶解することのない強い抵抗性を有する樹脂を採用し、第2熱硬化性樹脂層R2は、前述したデスミア処理で用いる溶液によって溶解可能な樹脂を採用するのである。
【0016】
このような構成のプリント配線板用樹脂付金属箔1とすることの技術的効果について説明する。この説明に当たり、最初に図6〜図8を用いて、従来生じていた不具合を、より具体的に説明する。図6(a)には、内層回路ICを備えた内層コア材IBの両面に従来の樹脂付銅箔4を配した4層銅張積層板5を製造した場合を模式的に示している。まず、この4層銅張積層板5は、図6(b)にあるように外層の銅箔層2がエッチング除去されることになる。そして、図7(c)にあるようにレーザー法によりバイアホールBの形成が行われる。このバイアホールBの形成が終了すると、デスミア処理が行われ図7(d)にあるように、基板表面の樹脂層Rの樹脂が平滑化する事になる。デスミア処理が終了するとメッキ処理が行われ、図8(e)に示す如き状態でメッキ層6を形成することで層間導通が確保できることになるのである。ところが、デスミア処理が終了した時点で基板表面の樹脂層Rの樹脂が平滑化しているため、当該樹脂層Rとメッキ層6との界面での密着性が悪く、メッキ層剥離が起こりやすくなるのである。
【0017】
これに対し、図2〜図4に示した本件発明に係るプリント配線板用樹脂付金属箔1を用いた場合を比べると、次のように相違するのである。図2(a)から図3(c)のバイアホール形成までは、前述したデスミア処理で用いる溶液に対し溶解することのない樹脂で構成した第1熱硬化性樹脂層R1が表面に現れている点において異なるのみであり、図7(c)に示した従来のものと何ら変わらない。ところが、デスミア処理が行われても、表面に現れた第1熱硬化性樹脂層R1はデスミア処理液で損傷を受けないため、図3(d)に示したように、基板表面の第1熱硬化性樹脂層R1の樹脂が平滑化することなく、金属箔2をエッチング除去した直後の凹凸形状がそのまま維持されていることなる。従って、デスミア処理後にメッキ処理が行われ図4(e)に示す如き状態でメッキ層6を形成しても、凹凸形状の物理的効果で、メッキ層6と第1熱硬化樹脂層R1との界面での密着性を良好に維持することができ、厳しい熱衝撃を受けた場合等にも層間剥離が起こり難くなるのである。
【0018】
他の請求項には、金属箔は、銅箔、ニッケル箔又はニッケル合金箔であるプリント配線板用樹脂付金属箔としている。このような請求項を設けたのは、プリント配線板の導体形成に用いる金属材として、銅箔が最も広く用いられること、そして、ニッケル箔及びニッケル合金箔は抵抗回路付きプリント配線板材料として用いることが可能だからである。ニッケル合金箔には、ニッケル−コバルト合金箔、ニッケル−鉄合金箔、ニッケル−リン合金箔等である。
【0019】
更に他の請求項には、第1熱硬化性樹脂層は、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンオキサイドのいずれか一種又は2種以上を混合した樹脂成分を用いて形成したものであるプリント配線板用樹脂付金属箔としている。ここに挙げた樹脂は、デスミア処理に対して強い溶解抵抗性を示し、且つ、プリント配線板に加工された後に十分な耐熱性や電気特性を有することが確認できたからである。また、これらの樹脂はプリント配線板の使用目的に合わせて、ここに記載した樹脂成分を2種以上を混合して用いることも可能である。
【0020】
また、このときの第1熱硬化性樹脂層を構成する樹脂の硬化度は、特に限定されるものではない。即ち、次のデスミア処理で溶解除去可能な樹脂が塗布される際や、銅張積層板への熱間成形プレスの際に溶解、溶融により、第2熱硬化性樹脂層と混合しなければ、未硬化、半硬化、完全硬化いずれの状態でも良い。
【0021】
そして、第2熱硬化性樹脂層は、エポキシ樹脂成分を用いて形成したプリント配線板用樹脂付金属箔とすることが好ましい。デスミア処理で溶解除去可能な樹脂としては、一般的なプリント配線板の材料として使用されているエポキシ樹脂を用いる事が出来る。第1熱硬化性樹脂層を構成する請求項に記載の樹脂群を考慮するとエポキシ樹脂が最も相性の良いものと言えるのである。しかしながら、この第2熱硬化性樹脂層を構成する樹脂も、プリント配線板に加工された後に十分な耐熱性や電気特性を有すれば、エポキシ樹脂の代替え樹脂として十分に使用に耐えるものと考えられる。
【0022】
更に、第1熱硬化性樹脂層の厚さt1 (μm)は、金属箔の粗化面粗さをRZ( μm)とし、 第2熱硬化性樹脂層の厚さをt2( μm)としたとき、t1は、RZ<t1<t2の条件を満たす厚さとする事が好ましく、第1熱硬化樹脂層の厚さをどのように定めるかを明らかとしているのである。
【0023】
ここで、デスミア処理に対して強い抵抗性を有する第1熱硬化性樹脂層の厚さをt1、銅箔の粗化面の10点平均粗さをRz、デスミア処理で溶解除去可能な第2熱硬化性樹脂層の厚さをt2としたとき、Rz<t1<t2の条件を満たすものとする事が望ましいのである。即ち、第1熱硬化性樹脂層の厚さt1( μm)は、金属箔の粗化面の持つ凹凸形状を完全に被覆し、一定の厚さを持つものでなければ無ければならない。即ち、Rz>t1となる場合には、第1熱硬化性樹脂層が、金属箔の粗化面の持つ凹凸形状を完全に被覆する状態ではなく、積層板にして金属層をエッチング除去した後には、粗化面の凹凸の突起部分に相当する部位では、第2熱硬化樹脂層が露出していることになり、その部分はデスミア処理溶液に溶解する事になるからである。
【0024】
また、t1>t2となる場合には、ランド表面に第1熱硬化性樹脂層を構成するデスミア処理溶液に対して強い溶解抵抗性を備えた樹脂が残渣として残る場合があり好ましくないのである。
【0025】
そして、図5に示したような、金属箔2の表面に接合界面層7を介して、キャリア箔8を設けた構造のプリント配線板用樹脂付金属箔1’とすることで、銅箔層2を3μm程度の薄いものとすることができ、キャリア箔8を除去した後に銅箔層2をエッチング除去することが非常に容易になり、プリント配線板の加工作業性を著しく向上させることが可能となるのである。
【0026】
このときのキャリア箔8には、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔、その他導電樹脂フィルム等を用いることが望ましい。即ち、キャリア箔の表面に接合界面層を形成し、銅電解液中でキャリア箔自体をカソード分極して、その接合界面層上に、銅箔層を直接電析させて形成することが可能となるからである。
【0027】
接合界面層7は、亜鉛、クロム等の金属材又はカルボキシベンゾトリアゾール(CBTA)、チオシアヌル酸等の有機材を用いて構成することができ、キャリア箔をエッチングして除去するエッチャブルタイプ、キャリア箔を引き剥がして除去するピーラブルタイプのいずれを採用しても差し支えない。
【0028】
以上に述べた構成の樹脂層構造を持った樹脂付銅箔は、絶縁性の基材や、予め回路形成された内層材と組み合せて、プレス成形やロールラミネートにより加熱、加圧することにより、樹脂層を完全硬化することにより、銅張積層板が得られる。この銅張積層板を、コンフォーマルマスク法を用いずにレーザー光によりバイアホールを形成し、デスミア処理、無電解メッキ、パネルメッキを行った後に回路形成を行ってプリント配線板が得られる。得られたプリント配線板は、導体層と樹脂層の密着性に優れ、安定した接着強度が得られるものとなるのである。そこで、請求項には、本件発明に係るプリント配線板用樹脂付金属箔を用いて得られる銅張積層板としているのである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、実施形態を通じて、より詳細に本件発明を説明する。
【0030】
第1実施形態: 最初に本件発明に係る樹脂付銅箔の製造について説明する。デスミア処理に対し強い抵抗性を有する樹脂として、住友化学製のポリエーテルサルホンPES5003Pを、N−メチルピロリドンに溶解して固形分30重量%のワニスを作成した。このワニスを市販の公称厚さ18μmの電解銅箔(Rz=5.0μm)の粗化面側に塗布し、240℃で30分間、加熱乾燥および樹脂の硬化を行い第1熱硬化樹脂層を形成した。このときの第1熱硬化樹脂層の厚さは10〜12μmとした。続いて、この第1熱硬化樹脂層の表面に、以下に示した配合のデスミア処理により除去可能な樹脂層としてエボキシ樹脂含有のワニスを塗布し、150℃にて5分間加熱処理を行い、第2熱硬化樹脂層を形成した。このときの第1熱硬化樹脂層及び第2熱硬化樹脂層のトータル厚さが65〜68μmであった。なお、以下に示したフェノキシ樹脂及び硬化剤は、固形分換算量として示している。また、溶剤は、樹脂固形分が全重量の35wt%となるように添加した。
【0031】
【0032】
第2実施形態: 本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様であり、第1実施形態のの、デスミア処理に対して強い抵抗性を有する樹脂で形成した第1熱硬化樹脂層の厚さを20〜22μmとした点において異なるのみである。したがって、ここでの重複した説明は省略する。このようにして、第1熱硬化樹脂層と第2熱硬化樹脂とのトータル厚さが65〜68μmの樹脂付銅箔として作成した。
【0033】
第3実施形態: 第1熱硬化樹脂層を形成するためのデスミア処理に対して強い抵抗性を有する樹脂として、以下の樹脂組成物を用いた。また、溶剤は、樹脂固形分が全重量の40wt%となるように添加した。
【0034】
ポリイミド系樹脂: テクマイトE−2020(三井化学製) 100重量部
硬化促進剤 : キュアゾール2E4MZ(四国化成製) 0.3重量部
溶剤 : N−メチルピロリドン:メチルエチルケトン=1:1
【0035】
上述した樹脂組成物からなるワニスを、公称厚さ18μmの電解銅箔(Rz=5.0μm)の粗化面側に塗布し、180℃で6分間、加熱乾燥および樹脂の硬化を行い第1熱硬化樹脂層を形成した。このときの第1熱硬化樹脂層の厚さは、10〜12μmとした。この第1熱硬化樹脂層の表面側に、第1実施形態で用いたと同様の配合の、デスミア処理により洗浄可能な樹脂層を形成するためのエポキシ樹脂含有のワニスを塗布することで、第2熱硬化樹脂層を形成した。このときの第1熱硬化樹脂層及び第2熱硬化樹脂層のトータル厚さは、65〜68μmであった。
【0036】
また、本件発明者等は、第1実施形態で用いたデスミア処理に対して強い抵抗性を有する樹脂を使用せず、第1実施形態に記載したデスミア処理により洗浄可能な樹脂層のみで65〜68μm厚の樹脂層を形成した樹脂付銅箔を比較用に用いた。これを、以下、「比較例1」と称する。更に、第1実施形態で用いたデスミア処理に対して強い抵抗性を有する樹脂層の厚さを40μmとし、その後、第1実施形態で用いたと同様の、デスミア処理により洗浄可能な樹脂を塗布して、全樹脂層厚が65〜68μmの樹脂付銅箔を作成した。これを、以下、「比較例2」と称する。
【0037】
以上のようにして得られた第1実施形態〜第3実施形態に記載の樹脂付銅箔と比較例1及び比較例2で得られた樹脂付銅箔とを用いて、本件発明に係る樹脂付銅箔の効果の確認を行った。上述した各々の樹脂付銅箔は、所定の内層回路(銅層厚さ30μm)が形成された0.6mm厚のFR−4内層コア材の両面に真空プレスにて積層し、銅張積層板を得た。このときの硬化条件は175℃で60分とした。このようにして得られた銅張積層板の表面銅箔を以下に述べる工程により加工して、プリント配線板を得た。
【0038】
▲1▼当該銅張積層板の表面銅箔をエッチングにより除去。
▲2▼炭酸ガスレーザー加工機を用いて、直径150μmのバイアホールを形成。
▲3▼過マンガン酸ナトリウムを含有する薬剤によるデスミア処理。
▲4▼無電解銅メッキ処理。
▲5▼パネルメッキ処理。
▲6▼エッチングによる回路形成。
【0039】
以上の工程を経て得られたプリント配線板を用いて、引き剥がし強さ、導通信頼性試験を行い、その結果を表1に示した。なお、引き剥がし強さの測定は、幅10mm回路の引き剥がし強さとして測定した。導通信頼性試験は、260℃のオイルバス中に10秒間保持し、直ちに20℃のオイルバス中に10秒間保持することを1サイクルとし、回路に断線が発生するまでのサイクル数を測定したものである。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本件発明に係る樹脂付銅箔をレーザー加工によりバイアホールを形成する銅張積層板に用いることで、外層銅箔を全面エッチングして、レーザー加工を行い、その後デスミア処理が行われても、表面に現れた絶縁基板の樹脂表面の形状がデスミア処理液で損傷を受けないため、基板表面の絶縁層の樹脂が平滑化することなく、銅箔をエッチング除去した直後の凹凸形状がそのまま維持されているため、その絶縁層上に形成されるメッキ層との密着性を良好に維持することができ、厳しい熱衝撃を受けた場合等にも層間剥離が起こり難くなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリント配線板用樹脂付金属箔の断面模式図。
【図2】プリント配線板の製造プロセスを表す断面模式図。
【図3】プリント配線板の製造プロセスを表す断面模式図。
【図4】プリント配線板の製造プロセスを表す断面模式図。
【図5】プリント配線板用樹脂付金属箔の断面模式図。
【図6】プリント配線板の製造プロセスを表す断面模式図。
【図7】プリント配線板の製造プロセスを表す断面模式図。
【図8】プリント配線板の製造プロセスを表す断面模式図。
【符号の説明】
1,1’ プリント配線板用樹脂付金属箔
2 金属箔
3 微細銅粒
4 樹脂付銅箔(従来品)
5 4層銅張積層板
6 メッキ層
7 接合界面層
8 キャリア箔
R1 第1熱硬化性樹脂層
R2 第2熱硬化性樹脂層
B バイアホール
IC 内層回路
IB 内層コア材
Claims (7)
- 金属箔の粗化面に、当該金属箔表面と接する第1熱硬化性樹脂層と、当該第1熱硬化性樹脂層の表面に位置する第2熱硬化性樹脂層とからなる2層構造の樹脂層を備えたプリント配線板用樹脂付金属箔であって、
第1熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解しない樹脂成分で形成されたものであり、
第2熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解し洗浄除去可能な樹脂を用いて形成したものであることを特徴とするプリント配線板用樹脂付金属箔。 - 金属箔は、銅箔、ニッケル箔又はニッケル合金箔である請求項1に記載のプリント配線板用樹脂付金属箔。
- 第1熱硬化性樹脂層は、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンオキサイドのいずれか一種又は2種以上を混合した樹脂成分を用いて形成したものである請求項1又は請求項2に記載のプリント配線板用樹脂付金属箔。
- 第2熱硬化性樹脂層は、エポキシ樹脂成分を用いて形成したものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプリント配線板用樹脂付金属箔。
- 第1熱硬化性樹脂層の厚さt1( μm)は、金属箔の粗化面粗さをRZ( μm)とし、 第2熱硬化性樹脂層の厚さをt2( μm)としたとき、t1は、RZ<t1<t2の条件を満たす厚さとするものである請求項1〜請求項4のいずれかに記載のプリント配線板用樹脂付金属箔。
- 金属箔の表面に接合界面層を介して、キャリア箔を設けた請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプリント配線板用樹脂付金属箔。
- 金属箔として銅箔を用いた請求項1〜請求項6に記載のプリント配線板用樹脂付金属箔を用いて得られる銅張積層板。
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