JP3991897B2 - 電磁結合式動電型スピーカ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁結合式動電型スピーカの能率改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、動電型スピーカを改良したスピーカの一種に、電磁結合式動電型スピーカがある(例えば、非特許文献1参照。)。図4は、従来の電磁結合式動電型スピーカの概略構造を示した断面図である。電磁結合式動電型スピーカ101は、中央部にセンタポール102aを備えた円盤型で断面が凸形状のヨーク102に、中空円筒型のマグネット103の一方の磁極を当接させ、このマグネット103の他方の磁極に中空円盤形で金属製のプレート104を当接させた構造である。また、センタポール102aの先端部近傍における周囲に、1次コイル(固定励磁コイル)105が設けられている。プレート104の内周側の面104aは、1次コイル105に対向して配置されており、また、プレート104と1次コイル105との間のギャップ(空隙)GPには、ボイスコイル(2次コイル)106が配置されている。ボイスコイル106は、その始端と終端とが短絡されており、振動板(コーン紙)107に接続され、また、図外のダンパで支持されてセンタポール102aに沿って振動自在である。
【0003】
この電磁結合式動電型スピーカ101は、音声信号などの入力信号に応じた交流電流を1次コイル105に流すと、ボイスコイル106に2次電流(交流電流)が誘起され、交流磁界(信号磁束)111が発生する。また、この交流磁界とマグネット103による直流磁界(バイアス磁束)112との相互作用により、ボイスコイル106に2次電流に応じた駆動力(電磁力)が生じる。この駆動力によって、ボイスコイル106が固定された振動板107が振動して音波が発生する。
【0004】
電磁結合式動電型スピーカは、従来の動電型スピーカのように錦糸線(引き出し線)を設ける必要が無いため、この錦糸線の断線や共振による異音が発生しない。また、電磁結合式動電型スピーカの2次コイルを1ターンのショートコイルで構成した場合、コイル部に燃えるものがないので、熱などによる破壊要因が大幅に減り、耐入力特性が大幅に向上する。
【0005】
【非特許文献1】
稲永潔文、外2名,「電磁結合式動電型スピーカーについて」,JAS Journal,社団法人日本オーディオ協会,’89・2月号,p.5−8
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電磁結合式動電型スピーカには、以下のような問題があった。
【0007】
1.1次コイルから2次コイルへの結合損失が発生するため、出力音圧レベルが小さくなる。
【0008】
2.1次コイルから2次コイルへの結合損失を小さくするために、1次コイルを金属製のプレートに対向する位置に設けて、1次コイルとこのプレートとの間にのエアギャップに2次コイルを設置しなければならない。また、信号磁束ループにエアギャップが含まれ、このエアギャップの長さを大きくするとスピーカの感度が低下するので、1次コイル及び2次コイルの巻数を多くすることができない。そのため、1次コイル及び2次コイルのインダクタンスを大きくすることができず、特に1kHz以下の低域で電磁結合力が小さくなり、低域の音声を再生することができない。
【0009】
3.図4に示すように、ボイスコイル106に発生する信号磁束111がマグネット103を通過するため、信号にひずみが発生しやすくなる。
【0010】
4.2次コイル106に発生する信号磁束111がマグネット103を通過するため、マグネット103の減磁が発生しやすくなる。
【0011】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するために、音声を低音域まで再生でき、信号の歪みやマグネットの減磁がほとんど発生しない能率の高い電磁結合式動電型スピーカを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0013】
(1)バイアス磁束を発生させるマグネットと、音声信号電流が入力される1次コイルと、この1次コイルと電磁的に結合され、前記バイアス磁束による磁界内で振動自在に支持される2次コイルと、前記マグネット及び前記1次コイルが固定された磁性部材と、を備えた電磁結合式動電型スピーカにおいて、
前記磁性部材は、エアギャップを介さずに、前記マグネット、前記1次コイル、及び前記2次コイルの周囲を囲む構造で、その対向する2面を接続するセンタポールを備えた中空の円柱形状であり、前記マグネット、前記1次コイル、及び前記2次コイルは、前記磁性部材の内側であって、前記センタポールの周囲に配置されたことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、磁性部材がエアギャップの無い閉磁路を形成し、1次コイルによって形成された交流信号磁束がこの閉磁路を通過して、2次コイルに相互誘導電流を生じさせる。そのため、交流信号磁束がマグネットを通過することがないので、信号の歪みがほとんど発生することがなく、またマグネットの減磁を発生しにくくすることができる。また、従来のように1次コイルを2次コイルと対向する位置に設置しなくても、2次コイルに効率良く誘導電流を発生させることができるので、1次コイルの巻数を従来よりも増加させることができる。これにより、コイルの自己インダクタンスを大きくすることができ、低音域においても信号が低下することがないので、高音域から低音域まで使用することができるスピーカを提供することが可能となる。また、これにより、1次コイルの巻線として従来よりも太い導線を使用することができるので大電流を流すことができるようになり、低音域用のスピーカを提供することが可能となる。また、マグネット、1次コイル、及び2次コイルは、箱体とセンタポールとによって囲まれているので、1次コイルと2次コイルとの電磁的結合に関与する交流信号磁束を、エアギャップを介さずに磁性部材内を通過する閉磁界ループを形成することができる。したがって、磁束の漏れがほとんど発生しないので、能率の高いスピーカを提供することができる。
【0017】
(2)前記磁性部材は、前記センタポールに接続された一方の面が開口し、側面と前記センタポールとが複数のアーチによって接続されたことを特徴とする。
【0018】
この構成においては、音波を発生させる振動板を磁性部材の内部に設けても、音波を外部に伝えることができる。
【0019】
(3)前記磁性部材は、前記センタポールに接続された一方の面における前記センタポールの周囲に複数の貫通孔を有し、前記2次コイルは、この貫通孔を介して音波を発生させる振動板に接続されたことを特徴とする。
【0020】
2次コイルは、磁性部材によって周囲を囲まれているが、貫通口を介して振動板に接続されているので、1次コイルに入力された音声信号に応じた電磁力を振動板に伝達して音波を発生させることができる。
【0021】
(4)前記2次コイルは、音波を発生させる振動板を兼ねた1ターンコイルであることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、2次コイルは振動板を兼ねているので、スピーカの部品点数を削減することができ、製造コスト低減することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁結合式動電型スピーカの概略構成図であり、(A)は電磁結合式動電型スピーカの構造を示した断面図、(B)は振動伝達体の斜視図、(C)はこのスピーカのヨークの外側の上面図である。なお、電磁結合式動電型スピーカは、任意の向きに取り付けることができるが、以下の説明では図1に示した位置関係に基づいて各部を説明する。
【0024】
図1(A)に示すように、電磁結合式動電型スピーカ1(以下、スピーカ1と称する。)は、ヨーク2、マグネット3、プレート4、1次コイル(固定励磁コイル)5、2次コイルであるボイスコイル6、振動板であるコーン紙7、振動伝達体8、フレーム9、ガスケット10、ダンパ11、及びダストキャップ12を備えている。
【0025】
ヨーク2は、円柱型で中空の磁性部材(磁性体)である。ヨーク2は、上壁2f、側壁2g、及び下壁2hから成るケーシング内のほぼ中央に、上壁2fと下壁2hとを接続する円柱形状のセンタポール2aが形成されている。また、ヨーク2は、外側の上面(以下、外上面と称する。)2eを直径の位置でセンタポール2aに沿って切断すると、断面が日の字形状になる。
【0026】
ヨーク2の内部には、マグネット3、プレート4、1次コイル5、ボイスコイル6がセンタポール2aの周囲に配置されている。マグネット3は、中空円筒型の永久磁石であり、ヨーク2の内部の下面(以下、内下面と称する。)2bに一方の磁極面(図ではS極)が当接しており、センタポール2aと側壁2gと所定の間隔を空けて配置されている。なお、マグネット3は、図1(A)において実線で示した位置に代えて、点線で示したように、ヨーク2の内部の上面2cに一方の磁極面(図ではS極)が当接し、他方の面がプレート4に当接するように配置しても良い。
【0027】
プレート4は、中空円盤型の金属板であり、一方の面の大半がマグネット3の他方の磁極面(図ではN極)に当接している。また、プレート4は、マグネット3の磁束をセンタポール2aに導くために、内径がマグネット3の内径よりも小さく、一方の面の一部がマグネット3に当接せずに、マグネット3の内側面よりも中心側に突出するように配置されている。プレート4の内周面4aは、センタポール2aに対向しており、センタポール2aとの間には所定幅のエアギャップ(空隙)GPが形成されている。また、このエアギャップGPには、ボイスコイル6が配置されている。
【0028】
ボイスコイル6は、中空円筒型のコイルであり、センタポール2aの周囲に、センタポール2a及びプレート4と所定の間隔を空けて、ダンパ11に接続された振動伝達体8によりその端部が支持され、センタポール2aに沿って上下に振動自在に配置されている。ボイスコイル6がワンターンコイルの場合、円筒型の銅板などを用いると良い。
【0029】
1次コイル5は、所定の巻数の中空円筒型コイルであり、センタポール2aとヨーク2の内側の内下面2bに当接して配置されている。
【0030】
フレーム9は、ヨーク2の外上面2eに結合された碗状の部材であり、このフレーム9の先端周縁部にリング状のガスケット10と共に、コーン紙7の周縁部が固着されている。また、このコーン紙7の中央部には、図1(B)に示した円筒形でかご型の振動伝達体8の上部が接合されている。図1(C)に示すように、ヨーク2の外上面2eには、センタポール2aの周囲に沿って所定の間隔で複数の孔(開口部)2dが形成されている。振動伝達体8の各棒部8aは、孔2dを貫通して、ヨーク2の内部においてボイスコイル6と下部で接合されている。
【0031】
コーン紙7は、音波を発生させる振動板であり、その中央部上面にはダストキャップ12が貼り付けられている。
【0032】
上記のように、スピーカ1では、ヨーク2がマグネット3、プレート4、1次コイル5、及びボイスコイル6を囲む形状である。本発明では、ヨーク2をこのような形状にしたことにより、スピーカ1の能率を大幅に向上させることができる。以下、詳細に説明する。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態に係る電磁結合式動電型スピーカで発生する磁束を示した図である。図2(A)は、マグネットのバイアス磁束を示しており、マグネット3のバイアス磁束(直流磁束)は、プレート4からエアギャップGPを経由して、センタポール2aから壁2f,2g,2hを経てマグネット3に至る磁路Aと、センタポール2aから壁2hを経由してマグネット3に至る磁路Bを通過する。
【0034】
図2(B)は、1次コイル5の信号磁束を示しており、1次コイル5に交流電流を流すことで発生する信号磁束は、センタポール2aから壁2h,2g,2fを経由してセンタポール2aに至る磁路Cを通過する。なお、エアギャップGPにおける空気の透磁率よりもヨーク2を構成する磁性部材の透磁率の方が高いため、1次コイル5に交流電流を流すことで発生する信号磁束は、マグネット3、プレート4、及びエアギャップGPを通過しない。
【0035】
ボイスコイル6には、ヨーク2の磁路Cを信号磁束が通過すると電磁誘導により起電力が生じて誘導電流が発生する。また、ボイスコイル6は、マグネット3によるバイアス磁束(磁界)から、ボイスコイル6にセンタポール2aに沿った方向に電磁力を受ける。例えば、ボイスコイル6に図2(C)に示すような方向に電流が流れることで発生する磁束は、センタポール2a,壁2h,壁2g,壁2f,センタポール2aを経由する閉磁界ループである磁路Dを通過する。また、ボイスコイル6は、マグネット3によるバイアス磁束(磁界)から、図2(C)における下側の方向に電磁力を受ける。
【0036】
スピーカ1では、音声信号に応じた大きさの交流電流が1次コイル5に流れるので、ボイスコイル6はこの音声信号に応じた電磁力を受けて振動し、2次コイル6が固定されたコーン紙7が振動して音波が発生する。
【0037】
このように、スピーカ1では、1次コイル5に交流電流を流すことで発生した信号磁束は、マグネット3を通過することなく、ヨーク2内のみを通過するので、信号の歪みがほとんど発生することがなく、またマグネットの減磁が発生しにくくなる。
【0038】
また、磁路C,磁路Dを通過する磁束は、エアギャップを介することなくヨーク2の内部を通過するので、1次コイル5をボイスコイル6及びプレート4と対向する位置に設置しなくても、ボイスコイル6に効率良く誘導電流を発生させることができる。また、従来のように巻数に制限が無く、任意の巻数にすることができる。
【0039】
さらに、上記のように1次コイル5の巻数を増加させることができるので、一般のトランス並みの自己インダクタンスが得られる。したがって、1kHz以下の低音域においても信号が低下することがないので、高音域から低音域まで使用することができるスピーカを提供することができる。また、1次コイル5は、巻線として従来よりも太い導線を使用することも可能であり、大電流を流すことができるので、スピーカ1を低音域用(ウーハー)のスピーカとして作成することも可能となる。
【0040】
加えて、1次コイル5に発生する磁束は、すべてセンタポール2aを通過して、ボイスコイル6に鎖交するので、1次コイル5とボイスコイル6との結合率が良く、能率が非常に高い電磁結合式動電型スピーカを提供することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁結合式動電型スピーカについて説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る電磁結合式動電型スピーカの概略構成図であり、(A)はこのスピーカの正面図であり、(B)はこのスピーカのA−A’断面図である。
【0042】
電磁結合式動電型スピーカ51(以下、スピーカ51と称する。)は、ボイスコイルが振動板を兼ねたリボン型スピーカである。スピーカ51は、ヨーク52、マグネット53、プレート54、1次コイル(固定励磁コイル)55、2次コイルである振動板56、及びアーチ部材57を備えた構成である。
【0043】
ヨーク52は、側壁52g及び下壁52hから成る皿型の磁性部材である。また、ヨーク52は、下壁52hのほぼ中央部に円柱形のセンタポール52aが形成されており、下壁52hを直径の位置でセンタポール52aに沿って切断すると、断面が山の字形状になる。また、ヨーク52のセンタポール52aの上面及び側壁52gの上面には、アーチ部材57の下面が当接している。
【0044】
アーチ部材57は、センタポール52aと側壁52gとを接続するアーチ形の磁性部材であり、例えば図3に示したように十字形に配置された4本のアーチ57aの間に開口部を備えている。アーチ部材57は、もちろん、さらに複数のアーチを備えた構成であっても良い。
【0045】
ヨーク2のセンタポール52a、側壁52g、及び下壁52hと、アーチ部材57とに囲まれた空間には、マグネット53、プレート54、1次コイル55、及び振動板56が、センタポール52aの周囲に配置されている。マグネット53は、中空円筒型の永久磁石であり、ヨーク52の内部の下面(以下、内下面と称する。)52bに一方の磁極面(図ではS極)が当接しており、センタポール52aと側壁52gと所定の間隔を空けて配置されている。
【0046】
プレート54は、中空円盤型の金属板であり、一方の面の大半がマグネット53の他方の磁極面(図ではN極)に当接している。また、プレート54は、マグネット53の磁束をセンタポール52aに導くために、内径がマグネット53の内径よりも小さく、一方の面の一部がマグネット53に当接せずに、マグネット53の内側面よりも中心側に突出するように配置されている。プレート54の内周面は、センタポール52aに対向しており、センタポール52aとの間には所定幅のエアギャップ(空隙)GPが形成されている。また、このエアギャップGPには、振動板56が配置されている。
【0047】
振動板56は、アルミや銅などの非磁性体で形成された中空円盤型の板材である。振動板56は、2次コイル(ワンターンコイル)と音波を発生する振動板とを兼ねており、センタポール52aの周囲に、センタポール52a及びプレート54と所定の間隔を空けて、1次コイル55に対向して配置され、センタポール52aに沿って振動自在に保持されている。例えば、振動板56は、プレート54とセンタポール52aとの間に設けた伸縮自在な非磁性体の膜(図示せず)に貼り付けた構造である。振動板56は、入力信号に応じて振動して音波を発生する。
【0048】
1次コイル55は、所定の巻数の中空円筒型コイルであり、マグネット53よりも内周側で、センタポール52aとヨーク52の内側の内下面2bに当接して配置されている。
【0049】
図3(B)に示したように、スピーカ51では、マグネット53のバイアス磁束(直流磁束)は、プレート54からエアギャップGPを経由して、センタポール52aからアーチ部材57、側壁52g,下壁52hを経てマグネット53に至る磁路Fと、センタポール2aから下壁52hを経由してしてマグネット3に至る磁路Gを通過する。
【0050】
また、1次コイル55に音声信号などの入力信号に応じた交流電流を流すと、信号磁束はセンタポール52aから下壁52h及び側壁52gを経由して、さらにアーチ部材57を経てセンタポール2aに至る磁路Hを通過する。
【0051】
この磁路Hを信号磁束が通過すると、ワンターンコイルである振動板56には電磁誘導により起電力が生じて誘導電流が発生する。この時、振動板56に発生した電流によってマグネット53によるバイアス磁束(磁界)から、振動板56にセンタポール52aに沿った方向に電磁力を受ける。
【0052】
スピーカ51は、音声信号に応じた交流電流が1次コイル55に流されると、振動板56はこの音声信号に応じた電磁力を受けて振動して音波を発生する。
【0053】
このように、スピーカ51は、磁性部材で形成されたヨーク52及びアーチ部材57で、マグネット53、プレート54、1次コイル55、及び振動板56が囲まれた構成である。したがって、スピーカ51は、スピーカ1と同様に、信号磁束がマグネット53を通過しない構造なので、信号歪みの発生やマグネット53の減磁が非常に発生しにくい。また、1次コイル55と振動板(ボイスコイル)56との結合率が高く、能率が高い。
【0054】
なお、スピーカ51においては、アーチ部材57のアーチの断面積が小さいため磁路の磁束密度が制限される。そのため、スピーカ51における磁路の断面積を増加させる場合には、アーチ部材57のアーチの本数を増加させると良い。しかしながら、振動板56の面積は、スピーカ51の構造上、スピーカ1の振動板7よりも小さくなる。そのため、スピーカ51は、低音域の再生にはあまり適しておらず、高音域用のスピーカとして用いると良い。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0056】
(1)コイルの自己インダクタンスを大きくすることができ、低音域においても信号が低下することがないので、高音域から低音域まで使用することができるスピーカを提供できる。また、1次コイルの巻線として従来よりも太い導線を使用することができるので大電流を流すことができるようになり、低音域用のスピーカを提供できる。また、磁束の漏れがほとんど発生しないので、能率の高いスピーカを提供することができる。
【0058】
(2)音波を発生させる振動板を磁性部材の内部に設けても、音波を外部に伝えることができる。
【0059】
(3)2次コイルは、磁性部材によって周囲を囲まれているが、貫通口を介して振動板に接続されているので、1次コイルに入力された音声信号に応じた電磁力を振動板に伝達して音波を発生させることができる。
【0060】
(4)2次コイルは振動板を兼ねているので、スピーカの部品点数を削減することができ、製造コスト低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電磁結合式動電型スピーカの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電磁結合式動電型スピーカで発生する磁束を示した図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電磁結合式動電型スピーカの概略構成図である。
【図4】従来の電磁結合式動電型スピーカの概略構造を示した断面図である。
【符号の説明】
1,51,101−電磁結合式動電型スピーカ
2,52,102−ヨーク
3,53,103−マグネット
4,54,104−プレート
5,55,105−1次コイル
6,106−ボイスコイル
7−コーン紙
8−振動伝達体
56−振動板
Claims (4)
- バイアス磁束を発生させるマグネットと、音声信号電流が入力される1次コイルと、この1次コイルと電磁的に結合され、前記バイアス磁束による磁界内で振動自在に支持される2次コイルと、前記マグネット及び前記1次コイルが固定された磁性部材と、を備えた電磁結合式動電型スピーカにおいて、
前記磁性部材は、エアギャップを介さずに、前記マグネット、前記1次コイル、及び前記2次コイルの周囲を囲む構造で、その対向する2面を接続するセンタポールを備えた中空の円柱形状であり、前記マグネット、前記1次コイル、及び前記2次コイルは、前記磁性部材の内側であって、前記センタポールの周囲に配置されたことを特徴とする電磁結合式動電型スピーカ。 - 前記磁性部材は、前記センタポールに接続された一方の面が開口し、側面と前記センタポールとが複数のアーチによって接続された請求項1に記載の電磁結合式動電型スピーカ。
- 前記磁性部材は、前記センタポールに接続された一方の面における前記センタポールの周囲に複数の貫通孔を有し、前記2次コイルは、この貫通孔を介して音波を発生させる振動板に接続された請求項1に記載の電磁結合式動電型スピーカ。
- 前記2次コイルは、音波を発生させる振動板を兼ねた1ターンコイルである請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁結合式動電型スピーカ。
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