JP3991681B2 - 金属セパレータおよびこれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属セパレータおよびこれを用いた固体高分子電解質形燃料電池(以下、単に燃料電池と称する)に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、図10(A)に示すように、固体高分子膜70の両側に金属セパレータ72を積層し、これらの周辺部間に図示しないシール材を挟んで固定している。固体高分子膜70は、電解質膜の両側に正極・負極の触媒電極を配置し、それらの上にカーボンペーパーまたはカーボンクロスなどからなる図示しないガス拡散電極を配置している。また、金属セパレータ72は、図10(B)に示すように、複数の凹溝75を有する負極側基板74と複数の凹溝79を有する正極側基板78とを、凹溝75と凹溝79とが直交し且つこれらの底面が互いに面接触するようにして積層したものである。
【0003】
負極・正極側基板74,78は、同じサイズおよび形状からなり、前者を例として説明すると、例えば図10(C)に示すように、金属薄板74aの周辺部を除いた位置に複数の凹溝75と、これらの間に位置する複数の凸条77と、複数の凹溝75の長手方向における両端部を連通するヘッダー溝76,76と、を備えている。
以上のような負極側基板74は、平坦な金属薄板74aをプレス加工することにより、上記複数の凹溝75、複数の凸条77、およびヘッダー溝76が一体に形成される。尚、図10(B)に示すように、負極側基板74の金属薄板74aの底面側には、凹溝75やヘッダー溝76の断面形状に倣った形状の凸条75aと、凸条77の断面形状に倣った形状の凹溝77aとが形成されている。また、かかる表・裏面の形状は、正極側基板78についても同様である。
【0004】
そして、負極側基板74では、一方のヘッダー溝76に開口した図示しない供給孔から負極活物質である燃料ガスが供給され、複数の凹溝75内を分流した後、他方のヘッダー溝76に開口した図示しない排出孔から排出される。かかる燃料ガスは、各凹溝75内を流通する間に隣接する固体高分子膜70中の負極側の触媒電極と接触し、当該燃料ガスに含まれている水素が水素イオンと電子とに分かれる。かかる水素イオンは、固体高分子膜70の電解質(液)を貫通し、上記電子は、図示しない外部回路を経て、それぞれ正極側の触媒電極へ送られる。
また、正極側基板78では、正極活物質である酸化剤ガスが上記と同様に流通され、各凹溝79内を流通する間に隣接する固体高分子膜70中の正極側の触媒電極と接触し、酸素と水素イオンと電子とが反応して水を生成する。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、図10(A)に示すように、複数の固体高分子膜70,70間に挟持される金属セパレータ72は、2枚の金属セパレータである前記負極・正極側基板74,78を積層しているため、燃料電池の構成部材が多くなり且つその組み立ても煩雑になると共に、得られる燃料電池全体の厚みも過大になる、という問題があった。また、前記負極側基板74の凸条77と正極側基板78の凸条との接触面積が小さいため、上下に隣接する固体高分子膜70,70間を流れる厚み方向に沿う電流の抵抗が大きくなる、という問題もあった。
本発明は、以上にて説明した従来の技術における問題点を解決し、1枚の金属薄板からなりその表面と裏面とに異なるガスの流通路を有し且つ電気抵抗の少ない金属セパレータおよびこれを用いた燃料電池を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、1枚の金属薄板の表面および裏面に形成する凹凸部をそれぞれガス流通路とすると共に、これらに燃料ガスや酸化剤ガスが均一に流通させるようにする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の第1の金属セパレータ(請求項1)は、平面視が矩形で表面および裏面を有し、金属ベース材と、かかる金属ベース材の表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層とからなる金属薄板からなり、表面が凹部または凸部で且つ裏面が凸部または凹部となる断面が四角形または台形の凹溝および凸条を交互に複数ずつ平行に形成した凹凸部と、かかる凹凸部の複数の凹溝における長手方向の両端に、かかる凹溝および上記凸条と直交し、上記凹溝の深さよりも浅く且つ上記凸条の高さよりも低くして設けた一対のヘッダー部と、を含み、上記凹凸部の複数の凹溝における長手方向の両端に設けた一対のヘッダー部の外側に沿って、上記凹溝の深さおよび前記凸条の高さと同じ厚みのシール材を配置している、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、1枚の金属薄板における表面と裏面とに形成した凹凸部における複数の凹溝がそれぞれ燃料ガスまたは酸化剤ガスの平行な流通路となり、かかる表面および裏面を正負極側基板または負極側基板の何れか一方として活用できる。このため、従来2枚の正極側・負極側基板を用いず、1枚の金属薄板をプレスなどで成形することにより、電気抵抗の小さい金属セパレータとして活用することができる。更に、金属薄板の表面および裏面における各凹凸部の両端に位置するヘッダー部を密閉空間とし、且つ隣接する固体高分子膜との間で燃料ガスや酸化剤ガスを漏洩させることなく、各凹凸部の凹溝内を流通させることにより、水素イオン化および電子化などの前記反応を生じさせることができる。
しかも、前記金属薄板は、金属ベース材と、かかる金属ベース材の表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層と、からなるため、耐食性に優れた貴金属からなる薄膜層を表面および裏面に被覆し、これらの間に成形性に優れ且つ所要の強度を有する金属ベース材が位置している。このため、1枚の金属薄板のみからなると共に、低コストで耐食性および耐久性に優れた金属セパレータとなる。
【0008】
尚、前記金属薄板における表面と裏面とは、相対的な呼称であって、金属薄板の何れか一方の表面とこれと反対側の表面とを指称するものである。また、前記ヘッダー部の高さは、従来の2枚構造の正極側・負極側基板におけるヘッダー溝よりも小さくなるため、該ヘッダー部の幅は、従来よりも幅広く設定される。
また、本発明には、前記ヘッダー部は、燃料ガスや酸化剤ガスの出入口付近を深くし、それらの反対寄りを浅くするように形成されている、金属セパレータ(請求項2)も含まれる。
【0009】
一方、本発明の第2の金属セパレータ(請求項3)は、平面視が矩形で表面および裏面を有し、金属ベース材と、かかる金属ベース材の表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層とからなる金属薄板からなり、表面が凹部または凸部で且つ裏面が凸部または凹部となる断面が四角形または台形で且つ交互に平行に形成された複数の凹溝および複数の凸条と、上記凹溝および上記凸条の一端と上記金属薄板の一辺または他辺との間に、上記凹溝の深さよりも浅く且つ上記凸条の高さよりも低くして設けた複数の迂回流路と、を含み、上記凹溝および上記凸条の他端は、上記金属薄板の一辺または他辺に至ると共に、上記複数の迂回流路は、平面視で交互に逆向きに配置されている、ことを特徴とする。
【0010】
これによれば、1枚の金属薄板における表面と裏面とに形成した複数の凹溝およびこれらの一端に交互に位置する迂回流路が、ジグザグ状を呈する燃料ガスまたは酸化剤ガスのための単一の流通路となる。このため、かかるジグザグ状に流通する上記各ガスの反応を確実に行わせられると共に、表面および裏面を正負極側基板または負極側基板の何れか一方として活用できる。従って、第2の金属セパレータでも、2枚の正極側・負極側基板を用いず、1枚の金属薄板をプレス成形などすることにより、電気抵抗の小さい金属セパレータとして活用できる。
しかも、前記金属薄板は、金属ベース材と、かかる金属ベース材の表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層と、からなるため、耐食性に優れた貴金属からなる薄膜層を表面および裏面に被覆し、これらの間に成形性に優れ且つ所要の強度を有する金属ベース材が位置している。このため、1枚の金属薄板のみからなると共に、低コストで耐食性および耐久性に優れた金属セパレータとなる。
【0011】
尚、前記ガスの入口や出口は、両端の凹溝の端部付近に位置する共に、金属薄板における対角位置または同じ辺の両端に配置される。更に、迂回流路の幅は、上記凹溝の幅以上に設定する。
【0012】
また、本発明には、前記複数の迂回流路および前記凹溝または前記凸条の外側に沿って、前記金属薄体を包囲するように上記凹溝の深さおよび上記凸条の高さと同じ厚みのシール材を配置している、金属セパレータ(請求項4)も含まれる。
これによれば、複数の迂回流路および両端の凹溝または凸条を包囲したジグザグ状のガス流通路を外部から確実に遮蔽することができる。
【0013】
更に、本発明には、前記金属ベース材は、Fe、Ni、Ti、Cu、Alの単体、またはこれらの何れかをベースとする合金からなり、前記貴金属の薄膜層は、Au、Ag、Pt、Pdの単体、またはこれらの何れかをベースとする合金、あるいは上記の貴金属の2種類以上からなる合金からなる、金属セパレータ(請求項5)も含まれる。これによれば、上述したような1枚の金属薄板のみからなり耐食性に優れた金属セパレータを最適のコストで得ることが可能となる。
【0014】
加えて、本発明の燃料電池(請求項6)は、互いに平行に配置した複数の固体高分子膜の間およびこれらの両端側に、前記のような金属セパレータを1枚ずつ平行に配置している、ことを特徴とする。これによれば、金属セパレータが1枚の金属薄板からなるため、全体の厚みを薄くしてコンパクト化できると共に、低コストで且つ安定した作用が得られる燃料電池を提供することが可能となる。
付言すれば、本発明の燃料電池には、互いに平行な少なくとも2つの固体高分子膜の間およびそれらの両端側に、前記のような金属セパレータを1枚ずつ平行に配置している、燃料電池を含むことも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1(A),(B),図2(A),(B)は、本発明における第1の金属セパレータ1の表面2aおよび裏面2bを示す。かかる金属セパレータ1は、例えばステンレス鋼板などからなり平面視が矩形である1枚の金属薄板からなり、その表面2aは、図1(A),図2(A)に示すように、互いに平行な複数の凸条4aと、かかる凸条4a間に交互に位置する複数の凹溝6aとからなる凹凸部3aを中央部に有する。また、複数の凸条4aおよび凹溝6aの長手方向における両端に、これらと直交する一対のヘッダー部7aを設けている。各ヘッダー部7aは、ガスの出・入口9aの付近を深くし、これらと反対寄りを浅く形成されている。
【0016】
更に、金属セパレータ1の裏面2bも、図1(B),図2(B)に示すように、互いに平行な複数の凸条4bと、かかる凸条4b間に交互に位置する複数の凹溝6bとからなる凹凸部3bを中央部に有し、複数の凸条4bおよび凹溝6bの長手方向における両端に、これらと直交する一対のヘッダー部7bを設けている。
尚、各ヘッダー部7bは、ガスの出・出口9bの付近を深くし、これらと反対寄りを浅く形成しても良い。尚また、図1(A),(B)において、便宜上凸条4a,4bは太線で示し、凹溝6a,6bは細線で示している。
【0017】
図1(A)中におけるa−a線に沿った端面である図1(a)と図1(B)中におけるb−b線に沿った端面である図1(b)とは、金属セパレータ1を同じ位置で切断した端面図である。図1(a),(b)に示すように、表面2aの凸条4aの裏側は、裏面2bの凹溝6bであり、両者は表裏一体の裏腹となる位置に形成されている。また、表面2aの凹溝6aの裏側は、裏面2bの凸条4bであり、両者も表裏一体の裏腹となる位置に形成されている。
尚、図1(α)に例示するように、凸条4aや凹溝6aなどは、端部をほぼ半円形の丸形とした凸条4αおよび凹溝6αからなる凹凸部3αとしても良い。
【0018】
即ち、図2(A),(B)に示すように、上記凸条4aは、表面2aでは断面台形の凸部であり、且つ裏面2bでは断面台形の凹部を呈する凹溝6bとなる。また、上記凹溝6aは、表面2aでは断面台形の凹部であり、且つ裏面2bでは断面台形の凸部を呈する凸条4bとなる。尚、凹溝6aと凹溝6bとの幅は、異なるようにしても良い。例えば、燃料ガスが水素で酸化剤ガスが酸素の場合、両者の流路幅の比を2:1とし、燃料ガスが水素で酸化剤ガスが空気の場合、両者の流路幅の比を2:5となるように、凹溝6a,6bの幅を設定する。
【0019】
また、図2(A),(B)に示すように、凹凸部3a,3bや一対ずつのヘッダー部7a,7bの周囲には、これらを囲むように各ヘッダー部7a,7bと同じレベルで延在する周辺部2c,2dが包囲する。
更に、ヘッダー部7a,7bは、図1(a),(b)および図2(A),(B)に示すように、凸条4a,4bの高さよりも低く且つ凹溝6a,6bの深さよりも浅い位置に設けられている。具体的には、ヘッダー部7a,7bは、凸条4a,4bの高さのほぼ半分で且つ凹溝6a,6bの深さのほぼ半分のレベルにある。このため、ヘッダー部7a,7bの幅は、従来よりもやや幅広の寸法に設定される。
【0020】
図1(A),(B)に示すように、金属セパレータ1の周囲には、ほぼ正方形の枠形のシール材(ガスケット)10が配置されている。かかるシール材10は、例えばクロロプレンゴムのような弾性を有する合成ゴムからなる一体成形体であり、その内周面における厚み方向の中央に設けたスリット12に金属セパレータ1の周辺部2c,2dを密着しつつ嵌合している。
また、シール材10の内部または一部における表面側2aには、水素などの燃料ガスの入口9a・出口9aを開設し、裏面2b側には、酸素などの酸化剤ガスの入口9b・出口9bを開設する。更に、当該シール材10における各辺の中央には、それぞれ隣接して配置される同じ金属セパレータ1を内側に嵌合したシール材10を貫通ししつ連結するボルトの貫通孔13が穿設されている。
尚、シール材10の厚みは、図1(a),(b)に示すように、表面2aの各凸条4aの高さと裏面2bの各凸条4bの高さとの間における差とほぼ同じか、あるいはこの差よりもやや厚肉とされる。かかる厚さは、燃料電池を組み立てるため、シール材10が弾性変形した際に凸条4a,4b間の厚み(差)と一致する。尚また、シール材10には、冷却水の入口wiと出口waとが形成されている。
【0021】
図3(A),(B)は、異なる形態の金属セパレータ1aの表面2aと裏面2bとを示す。かかる金属セパレータ1aも、ステンレス鋼板などからなる1枚の金属薄板からなり、その表面2aは、図3(A)に示すように、互いに平行な複数の凸条4cと、かかる凸条4c間に交互に位置する複数の凹溝6cとからなる凹凸部3cを中央部に有し、複数の凸条4cおよび凹溝6cの長手方向における両端に、これらと直交するヘッダー部7a,7aを設けている。
また、金属セパレータ1aの裏面2bも、図3(B)に示すように、互いに平行な複数の凸条4dと、かかる凸条4d間に交互に位置する複数の凹溝6dとからなる凹凸部3dを中央部に有し、複数の凸条4dおよび凹溝6dの長手方向における両端に、これらと直交するヘッダー部7b,7bを設けている。
【0022】
図3(A),(B)に示すように、上記凸条4cは、表面2aでは断面コ字(四角)形の凸部であり、且つ裏面2bでは断面コ字(四角)形の凹部を呈する凹溝6dとなる。また、上記凹溝6cは、表面2aでは断面コ字(四角)形の凹部であり、且つ裏面2bでは断面コ字(四角)形の凸部を呈する凸条4dとなる。
尚、図3(A),(B)に示すように、凹凸部3c,3dやヘッダー部7a,7bの周囲には、これらを囲むように各ヘッダー部7a,7bと同じレベルで延在する周辺部2c,2dが包囲している。また、凸条4cや凹溝6cなどは、前記同様にその端部を丸形とした凸条や凹溝としても良く、凹溝6c,6dの幅を互いに相違させても良い。
【0023】
更に、ヘッダー部7a,7bは、図3(A),(B)に示すように、凸条4c,4dの高さよりも低く且つ凹溝6c,6dの深さよりも浅い位置に設けられている。具体的には、ヘッダー部7c,7dは、凸条4c,4dの高さのほぼ半分で且つ凹溝6c,6dの深さのほぼ半分のレベルにある。
尚、金属セパレータ1aの周辺部2c,2dの外周縁にも、前記図1に示したシール材10が前記同様に嵌合して配置される。
【0024】
図4(A)は、前記金属セパレータ1の凹凸部3a,3bにおける断面を示す。図示のように、金属セパレータ1を形成する金属薄板は、例えばSUS316Lなどのステンレス鋼からなる厚さ0.01〜約1mmの金属ベース材14と、その表面および裏面にそれぞれ被覆した貴金属からなる薄膜層15とからなる。
上記薄膜層15は、1μm以下、より望ましくは100nm以下の厚みであるAu、Ag、Pt、Pdの単体、またはこれらの何れかをベースとする合金、あるいは上記の貴金属の2種類以上からなる合金、例えばAu−Ag系合金からなる。かかる薄膜層15は、メッキ、スクリーン印刷、クラッド圧延、CVD処理、またはPVD処理(真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなど)により、金属ベース材14の表面および裏面に被覆されている。
【0025】
また、図4(B)は、前記金属セパレータ1aの凹凸部3c,3dにおける断面を示し、その金属薄板も、上記同様の金属ベース材14と、その表面および裏面にそれぞれ被覆した貴金属からなる上記同様の薄膜層15とからなる。
尚、凹凸部3a,3b,3c,3dは、表面および裏面にそれぞれ薄膜層15を被覆した金属ベース材14からなる3層構造の金属薄板を、図示しない金型プレスを用いる塑性加工によって成形される。また、金属ベース材14は、Fe、Ni、Ti、Cu、Alの単体、またはこれらの何れかをベースとする合金、例えば上記ステンレス鋼からなり、その表・裏面に薄膜層15を被覆することにより、後述する燃料ガスや酸化剤ガスに対する耐食性を補っている。
【0026】
図5(A)は、前記金属セパレータ1(1a)を用いた燃料電池16の単位部分を示す断面図である。かかる燃料電池16は、図5(A)に示すように、固体高分子膜17の両面に金属セパレータ1(1a)をそれぞれ平行に配置したもので、各セパレータ1(1a)の上/下にも図示しない固体高分子膜17が隣接して配置される。即ち、燃料電池16は、互いに平行に配置した複数の固体高分子膜17の間およびその両端側に、1枚ずつの金属セパレータ1(1a)を平行に配置したものである。また、固体高分子膜17における金属セパレータ1と隣接する部分は、当該固体高分子膜17の両側面に配置した図示しないガス拡散電極と正極の触媒電極または負極の触媒電極との3層構造を有する。
【0027】
図5(A)に示すように、固体高分子膜17の周辺部18は、ガス拡散電極および触媒層が形成されていない部分で、隣接する金属セパレータ1(1a)の周囲に設けたシール材10,10と面接触する。金属セパレータ1(1a)のヘッダー部7a,7bは、シール材10と周辺部18とにより、密閉された空間となる。
尚、凹溝6a(6c)と凹溝6b(6d)とは、図4(A)((B))に示したように互いに隣接し且つ交互に逆向きに開口するように配置される。また、図5(A)では、上方の金属セパレータ1(1a)の凹溝6a(6c)の直下には、下方の金属セパレータ1(1a)の凹溝6b(6d)が位置している。更に、上記シール材10には、ヘッダー部7a,7bに開口するガスの出・入口9a,9bが設けられる。
【0028】
ここで、金属セパレータ1を用いた燃料電池16の作用について説明する。
図5(B)は、3つの固体高分子膜17a〜17c間に1枚ずつの金属セパレータ1を配置した燃料電池16の断面を示し、上側のセパレータ1では凹溝6aが、下側のセパレータ1では凹溝6bが、金属セパレータ17bを挟んでいる。
前記ガスの入口9a,9bから燃料ガスまたは酸化剤ガスを各金属セパレータ1のヘッダー部7a,7bに供給する。図5(B)中で上側の実線で矢印で示す水素ガスまたはメタノールなどの燃料ガスは、上側の金属セパレータ1のヘッダー部7aから各凹溝6aを分流しつつ反対側のヘッダー部7aに流通される。
また、図5(B)中で下側の破線で矢印で示す酸素または空気などの酸化剤ガスは、下側の金属セパレータ1のヘッダー部7bから各凹溝6bを分流しつつ反対側のヘッダー部7bに流通される。
【0029】
上記凹溝6aまたは凹溝6b内を流通する間に、燃料ガスや酸化剤ガスは、その一部が隣接する固体高分子膜17a,17c中の負極側または正極側の触媒電極に接触する。この際、固体高分子膜17aの負極側の触媒電極に対向する表面2aの凹溝6a内を流れる燃料ガス(図5(B)で実線の矢印で示す)において、これに含まれている水素は、水素イオンと電子とに分解される。かかる水素は、固体高分子膜17aを上向きに貫通し且つ正極側の触媒電極に移動する。また、上記電子は、図示しない外部回路を通電する間に所要の作用を果たした後、固体高分子膜17a中の正極側の触媒電極に送られる。
一方、固体高分子膜17c中の正極側の触媒電極に対向する裏面2bの凹溝6bでは、正極活物質である酸化剤ガス(図5(B)で破線の矢印で示す)が上記と同様に流通する。この際、凹溝6b内を流通する間に、酸化剤ガスは、隣接する固体高分子膜17c中の正極側の触媒電極と接触するため、酸素と水素イオンと電子とが反応して水を生成する。
【0030】
図5(C)は、図5(B)の前後方向の何れかに隣接する断面を示し、金属セパレータ17a〜17c間に金属セパレータ1をそれぞれ配置し、上側のセパレータ1では凹溝6bが、下側のセパレータ1では凹溝6aが、中央の金属セパレータ17bを挟んでいる。図5(C)中で下側の実線で矢印で示す燃料ガスは、下側の金属セパレータ1のヘッダー部7aから各凹溝6aを分流しつつ反対側のヘッダー部7aに流通される。また、図5(C)中で上側の破線で矢印で示す酸化剤ガスは、上側の金属セパレータ1のヘッダー部7bから各凹溝6bを分流しつつ反対側のヘッダー部7bに流通される。
この際、固体高分子膜17bの負極側の触媒電極に対向する表面2aの凹溝6a内を流れる燃料ガス(図5(C)で実線の矢印で示す)に含まれる水素は、水素イオンと電子とに分解され、かかる水素は、固体高分子膜17bを上向きに貫通し且つ正極側の触媒電極に移動する。また、上記電子は、図示しない外部回路を通電した後、固体高分子膜17b中の正極側の触媒電極に送られる。
【0031】
一方、固体高分子膜17b中の正極側の触媒電極に対向する裏面2bの凹溝6bでは、酸化剤ガス(図5(C)で破線の矢印で示す)が上記と同様に流通し、凹溝6b内を流通する間に、隣接する固体高分子膜17b中の正極側の触媒電極と接触するため、酸素と水素イオンと電子とが反応して水を生成する。
以上のような燃料電池16によれば、複数の固体高分子膜17a〜17c間およびその両端(上・下端)側に1枚ずつの金属セパレータ1(1a)を平行に配置することにより、全体がコンパクト化したサイズで且つ軽量化にできると共に、化学エネルギを効率良く電気エネルギに変換することができる。しかも、金属セパレータ1(1a)を流れる電流の電気抵抗も小さくすることができる。従って、かかる燃料電池16は、例えば車両用の電源として極めて有効となる。
尚、図5(B),(C)において、燃料ガスと酸化剤ガスとは、互いに逆向きの流通にしたが、これらを同じ向きに流通するようにしても良い。
【0032】
図6(A)は、更に異なる形態の金属セパレータ20の外観斜視図を示す。
金属セパレータ20も表面21および裏面22を有する前記同様の金属薄板からなり、図6(A)に示すように、その表面21の中央部には、互いに平行な複数の凸条24aと、かかる凸条24a間に交互に位置する複数の凹溝26aとからなる凹凸部23aを有する。また、複数の凸条24aおよび凹溝26aの長手方向における両端に、これらと直交する一対のヘッダー部27を設けている。
尚、各凸条24aおよび各凹溝26aは、断面が台形であるが、前記図3や図4(B)に示したように、それらの断面をコ字形(四角形)の形状としても良い。
【0033】
図6(A),(B)に示すように、表面21の凹凸部23aおよびヘッダー部27の周囲には、段部25,25に囲まれており、その外周に平坦な周辺部28が包囲している。各ヘッダー27は図6(B)に示すように、断面が変形した台形を呈する。また、上記周辺部28は、各凸条24aの頂面と同じレベルに位置し、前記同様のガスの入口9a、出口9b、ボルトの貫通孔13などが形成される。
また、図6(B)の断面図に示すように、金属セパレータ20の裏面22には、上記各凸条24aの裏面側に隣接する複数の凹溝26bと、上記各凹溝26aの裏面側に隣接し且つ上記凹溝26b間に位置する複数の凸条24bとからなる凹凸部23bが中央部に形成されている。尚、凸条24aや凹溝26aなどは、前記同様にその端部を丸形とした凸条や凹溝としても良く、凹溝26a,26bの幅を互いに相違させても良い。
【0034】
更に、凹凸部23bにおける凸条24bと凹溝26bとの長手方向における両端には、これらと直交する断面がほぼヘ字形のヘッダー部29が位置している。
図6(B)に示すように、表・裏面21,22のヘッダー部27,29は、凸条24a,24bの高さよりも低く且つ凹溝26a,26bの深さよりも浅い位置に設けられている。即ち、ヘッダー部27,29は、凸条24a,24bの高さのほぼ半分で且つ凹溝26a,26bの深さのほぼ半分のレベルに位置すると共に、段部25,25を介して表面21の各凸条24aの頂面と同じレベルに偏寄した周辺部28と接続されている。上記ヘッダー部27,29は、燃料ガスなどの出・入口付近を深くし、その反対寄りを浅くするように形成されている。
【0035】
図6(C)は、金属セパレータ20を用いた燃料電池30の単位部分を示す断面図である。かかる燃料電池16は、図6(C)に示すように、互いに平行に配置した複数の固体高分子膜32,32間およびその両端側に、1枚ずつの金属セパレータ20を平行に配置したもので、図示で上側のセパレータ20の上面にも図示しない固体高分子膜32が配置されている。
図6(C)に示すように、固体高分子膜32の周囲には、前記同様の周辺部34が位置し、その上下に四角枠形のシール材(ガスケット)36が配置されている。かかるシール材36も、前記同様の合成ゴムなどの弾性体からなり、隣接する固体高分子膜32の周辺部34との間で、金属セパレータ20の周辺部28を挟み付ける。かかるシール材36と上記周辺部34とにより、各金属セパレータ20のヘッダー部27,29は、密閉された空間となる。
【0036】
尚、図6(C)では、便宜上、上方の金属セパレータ20の凹溝26aの直下には、下方の金属セパレータ20の凹溝26bが位置している。
そして、図6(C)に示すように、実線と破線の矢印で示す燃料ガスは、上下の金属セパレータ20における一方のヘッダー部27,29から、凹溝26aを分流して他方のヘッダー部27,29に流通する。また、上下の一点鎖線の矢印で示す酸化剤ガスは、上下の各金属セパレータ20における一方のヘッダー部29,27から、凹溝26bを分流して他方のヘッダー部29,27に流通する。
【0037】
各金属セパレータ20における凹溝26a内を流通する間に、燃料ガスは、その一部が隣接する固体高分子膜32中の負極側の触媒電極と接触し、当該燃料ガスに含まれている水素が水素イオンと電子とに分解される。また、各セパレータ20の凹溝26b内を流通する間に、酸化剤ガスの一部が隣接する固体高分子膜32中の正極側の触媒電極と接触し、酸素と水素イオンと電子が反応して水を生成する。
以上のような金属セパレータ20を用いる燃料電池30によれば、上記ガスの化学エネルギを電気エネルギに効率的に変換でき且つ全体をコンパクト化できると共に、前記シール材36により、複数の固体高分子膜32と複数の金属セパレータ20とを気密性をもって容易に積層し且つ固定することができる。しかも、金属セパレータ20を流れる電流の電気抵抗も小さくなる。
【0038】
次に、本発明における第2の金属セパレータ40およびこれを用いた燃料電池60について、図7〜図9により説明する。
図7(A),(B)は、第2の金属セパレータ40における表面40a、裏面40bの平面図を示す。かかる金属セパレータ40は、前記同様の素材からなる金属薄板から成形され、図示のように、平面視でほぼ正方形(矩形)を呈する。尚、かかる金属薄板も、前記金属ベース材14と、かかる金属ベース材14の表面および裏面に被覆したAuなどの貴金属からなる前記薄膜層15と、からなる。
【0039】
金属セパレータ40の表面40aは、図7(A),(a1),(a2)に示すように、表面40aが凹部で且つ裏面40bが凸部となる複数の凹溝43,45と、これらと交互に位置して表面40aが凸部で且つ裏面40bが凹部となる複数の凸条42,44と、を有する。
図7(A)で幅方向の左端の凹溝45の斜面45aで例示するように、凹溝43などおよび凸条42などは、断面が台形で且つ互いに平行に配置されている。
図7(A)に示すように、表面40aの凹溝43,45の一端および凸条42,44の一端42a,44aと、金属薄板の一辺(上辺)または他辺(下辺)との間には、複数の迂回流路46,47が交互に逆向きに設けられている。かかる迂回流路46,47は、凸条42などの高さよりも低く且つ凹溝43などの深さよりも浅い位置に設けられている。
【0040】
金属セパレータ40の裏面40bは、図7(B),(b1),(b2)に示すように、裏面40bが凸部で且つ表面40aが凹部となる複数の凸条53,55と、これらと交互に位置して裏面40bが凹部で且つ表面40aが凸部となる複数の凹溝52,54と、を有する。
図7(B)で幅方向の左端の凹溝52の斜面52aで例示するように、凸条53などや凹溝52などは、断面が台形で且つ互いに平行に配置されている。
図7(B)に示すように、裏面40bで凹溝52,54の一端および凸条53,55の一端53b,55bと、金属薄板の一辺(上辺)または他辺(下辺)との間には、複数の迂回流路56,57が交互に逆向きに設けられるかかる迂回流路56,57は、凸条53などの高さよりも低く且つ凹溝52などの深さよりも浅い位置に設けれている。尚、図7(A),(B)において、便宜上凸条42などは太線で示し、凹溝43などは細線で示している。
【0041】
また、図7(a1),(b1)に示すように、表面40aの凹溝43,45の裏面40b側には、裏面40bの凸条53,55が位置すると共に、表面40aの凸条42,44の裏面40b側には、裏面40bの凹溝54,52が、互いに裏腹の関係で位置している。
更に、図7(A),(a2),図8に示すように、表面40aにおける凹溝43,45の他端および凸条42,44の他端は、金属薄板における他辺(上辺)または一辺(下辺)まで至っている。図7(B),(b2),図8に示すように、裏面40bにおける凹溝52,54の他端および凸条53,55の他端も、金属薄板の他辺(上辺)または一辺(下辺)まで至っている。
尚、凸条42や凹溝43などは、前記同様に端部を丸形とした凸条や凹溝としても良く、表面40aの凹溝43などと裏面40bの凹溝52などの幅を相違させても良い。また、以上のような金属セパレータ40は、薄いステンレス鋼板を例えばプレス加工または絞り加工、あるいはこれらの併用により成形される。
【0042】
以上のような金属セパレータ40おいては、図7(A),図8中の一点鎖線の矢印で示すように、表面40aにおいて、図示しない左下隅の入口から供給された燃料ガスは、凹溝45,43,45,43,45を、迂回流路47,46,47,46を介して流通し、対角位置の出口に向けてジグザグ状に送給される。
また、裏面40bでは、図7(B),図8中の破線の矢印で示すように、図示しない右上隅の入口から供給された酸化剤ガスは、凹溝52,54,52,54,52を、迂回流路56,57,56,57を介して流通し、左下隅の出口に向けてジグザグ状に送給される。
【0043】
更に、図8に示すように、金属セパレータ40における迂回流路46,47,56,57と表面40aおよび裏面40bにおける両端の凹溝45や凸条55などの外側に沿って、これらを包囲するようにシール材(ガスケット)61が、配置される。かかるシール材61は、弾性を有する合成ゴムなどからなり、平面視で四角枠形の本体62と、その内周面63の長手方向に沿って内向きに開口したスリット65,66を有する。図8に示すように、直線状のスリット65には金属セパレータ40の一対の側辺が挿入され、凹凸形のスリット66には凸条42,55や凹溝43,52などの端部が挿入される。
【0044】
尚、上記シール材61は、平面視でL字形またはコ字形に2分割したものを接合するなどして形成しも良い。また、シール材61のコーナー付近には、各ガスの流路69が貫通し、その付近の内周面63には、ガスの入口または出口67,68が開口されている。
そして、図9(A),(B)に示すように、金属セパレータ40を内側にセットしたシール材61を、固体高分子膜17a〜17cおよびこれらの周辺部18の間に配置することにより、金属セパレータ40を用いた燃料電池60が得られる。尚、9(A),(B)に示すように、複数の金属セパレータ40は、互いに厚み方向で逆向きであり、且つ交互に逆向きになるよう配設される。
【0045】
かかる燃料電池60において、燃料ガスは、金属セパレータ40の表面40aまたは裏面40bにおけるジグザグ状の長い各流路を流通する間に、前記と同様に、その一部が隣接する固体高分子膜17a〜17cの負極側の触媒電極と接触し、当該燃料ガスに含まれる水素が水素イオンと電子とに分解される。また、酸化剤ガスが各セパレータ40の凹溝43などを流通する間に、かかる酸化剤ガスの一部は、隣接する固体高分子膜17a〜17c中の正極側の触媒電極と接触し、酸素と水素イオンと電子が反応して水を生成する。
以上のような金属セパレータ40を用いる燃料電池60によれば、上記ガスの化学エネルギを電気エネルギに効率的に変換でき且つ全体をコンパクト化でき、且つ前記シール材61などにより、複数の固体高分子膜17aなどと複数の金属セパレータ40とを気密性をもって容易に積層し且つ固定することができる。しかも、金属セパレータ40を流れる電流の電気抵抗も小さくなる。
【0046】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記凸条4a,4bや、凹溝6a,6bの長手方向における両端面は、前記金属セパレータ1の厚み方向に沿った垂直面としても良い。
また、前記凸条24a,24b,42などや、凹溝26a,26b,43などは、断面ほぼ四角形またはほぼU字形としても良い。
更に、前記金属セパレータ1,1a,20,40の金属薄板は、耐食性に優れた単一の金属板としても良い。また、金属セパレータ1,1aの凹凸部3a,3bなどや金属セパレータ40における凹溝43などの成形方法も、絞り加工や冷間鍛造などによって行うことも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上にて説明した本発明の第1の金属セパレータ(請求項1)によれば、1枚の金属薄板における表面および裏面に形成した凹凸部における複数の凹溝がそれぞれ燃料ガスまたは酸化剤ガスの流通路となり、かかる表面および裏面を正極側基板または負極側基板の何れか一方として活用できる。このため、従来のような2枚の正・負極側基板を用いず、1枚の金属薄板をプレスなどで成形することにより、電気抵抗の小さい金属セパレータとして活用することができる。
更に、シール材により金属薄板の表面および裏面における各凹凸部の両端に位置するヘッダー部を密閉空間とし、且つ隣接する固体高分子膜との間で燃料ガスや酸化剤ガスを漏洩させずに、各凹凸部の凹溝内を流通させ且つ水素イオン化や電子化させるなどの反応が行える。しかも、前記金属薄板は、成形性に優れ且つ所要の強度を有する金属ベース材と、その表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層とからなる1枚の金属薄板のみからなるので、低コストで耐食性および耐久性に優れた金属セパレータとなる。
【0048】
一方、本発明の第2の金属セパレータ(請求項3)によれば、1枚の金属薄板における表面および裏面にジグザグ状の流通路が確実に形成されているため、かかる表面および裏面を、燃料ガスまたは酸化剤ガスの流通路となる正極側基板または負極側基板の何れか一方として活用できる。しかも、前記金属薄板は、成形性に優れ且つ所要の強度を有する金属ベース材と、その表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層とからなる1枚の金属薄板のみからなるので、低コストで耐食性および耐久性に優れた金属セパレータとなる。従って、1枚の金属薄板からなり、水素イオン化などの前記反応を生じ易く且つ電気抵抗の小さい金属セパレータとすることができる。
また、請求項4の金属セパレータによれば、複数の迂回流路および両端の凹溝または凸条を包囲したジグザグ状のガス流通路を外部から確実に遮蔽できる。
【0049】
更に、請求項5の金属セパレータによれば、耐食性に優れた貴金属からなる薄膜層を表面および裏面に被覆し、これらの間に成形性に優れ且つ所要の強度を有する金属ベース材が位置する金属薄板からなる金属セパレータとなる。従って、耐食性および耐久性に優れ且つ低コストまたは最適コストの金属セパレータとすることが可能となる。
加えて、本発明の燃料電池(請求項6)によれば、金属セパレータを1枚の金属薄板としているため、全体の厚みを薄くしてコンパクト化できると共に、低コストで且つ安定した作用が得られる燃料電池とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A),(B)は本発明の第1の金属セパレータの表面または裏面を示す平面図、(a),(b)は(A),(B)中のa−a線またはb−b線に沿った端面図、(α)は凸条および凹溝の変形形態を示す部分概略図。
【図2】 (A),(B)は図1の金属セパレータの表面または裏面を示す斜視図。
【図3】 (A),(B)は異なる形態の金属セパレータの表面または裏面を示す斜視図。
【図4】 (A)は図1,2の金属セパレータの部分断面図、(B)は図3の金属セパレータの部分断面図。
【図5】 (A)は図1(図3)の金属セパレータを用いた燃料電池を示す概略図、(B)および(C)は上記燃料電池の作用を示す概略図。
【図6】 (A)は更に異なる形態の金属セパレータの表面を示す斜視図、(B)は(A)中のB−B線に沿った視覚における断面図、(C)はかかる金属セパレータを用いた燃料電池を示す概略図。
【図7】 (A),(B)は本発明の第2の金属セパレータの表面または裏面を示す平面図、(a1),(a2),(b1),(b2)は(A),(B)中のa1−a1線、a2−a2線、b1−b1線、またはb2−b2線に沿った端面図。
【図8】図7の金属セパレータおよびこれに用いるシール材を示す斜視図。
【図9】 (A),(B)は図7,8の金属セパレータを用いた燃料電池を示す断面図。
【図10】 (A)は従来の燃料電池を示す概略図、(B)はかかる燃料電池に用いる金属セパレータを示す部分斜視図、(C)はかかる金属セパレータを形成する金属薄板を示す斜視図。
【符号の説明】
1,1a,20,40………………………………………金属セパレータ
2a,21,40a…………………………………………表面
2b,22,40b…………………………………………裏面
3a,3b,3c,3d,23a,23b………………凹凸部
4a,4b,24a,24b,42,44,53,55………凸条
6a,6b,26a,26b,43,45,52,54………凹溝
7a,7b,27,29………………………………………ヘッダー部
10,34,61……………………………………………シール材
14……………………………………………………………金属ベース材
15……………………………………………………………薄膜層
16,30,60……………………………………………燃料電池
17,32……………………………………………………固体高分子膜
46,47,56,57……………………………………迂回流路
Claims (6)
- 平面視が矩形で表面および裏面を有し、金属ベース材と、かかる金属ベース材の表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層とからなる金属薄板からなり、
表面が凹部または凸部で且つ裏面が凸部または凹部となる断面が四角形または台形の凹溝および凸条を交互に複数ずつ平行に形成した凹凸部と、
上記凹凸部の複数の凹溝における長手方向の両端に、かかる凹溝および上記凸条と直交し、上記凹溝の深さよりも浅く且つ上記凸条の高さよりも低くして設けた一対のヘッダー部と、を含み、
上記凹凸部の複数の凹溝における長手方向の両端に設けた一対のヘッダー部の外側に沿って、上記凹溝の深さおよび前記凸条の高さと同じ厚みのシール材を配置している、
ことを特徴とする金属セパレータ。 - 前記ヘッダー部は、燃料ガスや酸化剤ガスの出入口付近を深くし、それらの反対寄りを浅くするように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属セパレータ。 - 平面視が矩形で表面および裏面を有し、金属ベース材と、かかる金属ベース材の表面および裏面に被覆した貴金属からなる薄膜層とからなる金属薄板からなり、
表面が凹部または凸部で且つ裏面が凸部または凹部となる断面が四角形または台形で且つ交互に平行に形成された複数の凹溝および複数の凸条と、
上記凹溝および上記凸条の一端と上記金属薄板の一辺または他辺との間に、上記凹溝の深さよりも浅く且つ上記凸条の高さよりも低くして設けた複数の迂回流路と、を含み、
上記凹溝および上記凸条の他端は、上記金属薄板の一辺または他辺に至ると共に、
上記複数の迂回流路は、平面視で交互に逆向きに配置されている、
ことを特徴とする金属セパレータ。 - 前記複数の迂回流路および前記凹溝または前記凸条の外側に沿って、前記金属薄体を包囲するように上記凹溝の深さおよび上記凸条の高さと同じ厚みのシール材を配置している、
ことを特徴とする請求項3に記載の金属セパレータ。 - 前記金属ベース材は、Fe、Ni、Ti、Cu、Alの単体、またはこれらの何れかをベースとする合金からなり、前記貴金属の薄膜層は、Au、Ag、Pt、Pdの単体、またはこれらの何れかをベースとする合金、あるいは上記の貴金属の2種類以上からなる合金からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の金属セパレータ。 - 互いに平行に配置した複数の固体高分子膜の間およびこれらの両端側に、請求項1乃至5の何れか一項に記載の金属セパレータを1枚ずつ平行に配置している、
ことを特徴とする燃料電池。
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