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JP3989936B2 - 抗腫瘍剤及び新規dnアーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、抗腫瘍剤及び新規DNアーゼに関する。
癌細胞の大きな特色として無秩序な増殖能が挙げられる。抗腫瘍剤の多くはDNAを標的とし、損傷を受けたDNAが特異的なアポトーシス経路を活性化することがわかっている。アポトーシスは、単なる細胞の崩壊過程であるネクローシス(壊死)とは異なり、遺伝子により制御された能動的な細胞死である(非特許文献1)。
DNAを標的とし、DNAに損傷を与える抗腫瘍剤としては、例えば、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、又はAra−C(arabinose-C)等が公知である。アルキル化剤は、DNAの塩基部分をアルキル化修飾(アダクト形成)することにより、また、トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼとDNAとの中間複合体(Cleavable complex)を安定化させることにより、それぞれ、不可逆的なDNA切断を引き起こす。また、Ara−Cは、DNAの素材であるデオキシアデノシンと誤認されてDNAに取り込まれるこにより、DNAポリメラーゼを阻害してDNA損傷を引き起こす。
これらの抗腫瘍剤によりDNAに損傷が与えられると、最終的にはDNアーゼによりアポトーシスが引き起こされ、癌細胞が排除される。
しかしながら、DNアーゼそれ自体を抗腫瘍剤として使用することは全く知られておらず、しかも、DNアーゼが正常細胞には作用せず、癌細胞にのみ特異的に作用することは全く知られていなかった。また、制限酵素がDNAを特定認識部位で切断することが公知であるにもかかわらず、制限酵素それ自体を抗腫瘍剤として使用することは全く知られておらず、しかも、制限酵素が正常細胞には作用せず、癌細胞にのみ特異的に作用することは全く知られていなかった。
「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)」,(英国),1972年,第26巻,p. 239
本発明の課題は、正常細胞には作用せず、癌にのみ特異的に作用することによって、副作用の少ない抗腫瘍剤を提供し、更に、その有効成分として有用な新規DNアーゼを提供することにある。
前記課題は、本発明による、DNアーゼを有効成分として含有する抗腫瘍剤により解決することができる。
本発明の抗腫瘍剤の好ましい態様によれば、DNアーゼとリポソームとの複合体を有効成分として含有する。
本発明の抗腫瘍剤の別の好ましい態様によれば、前記DNアーゼは、制限酵素、あるいは、後述する新規DNアーゼ(例えば、MKN−28DNアーゼ又はHeLaDNアーゼ)である。
また、本発明は、下記の性質を有するDNアーゼ(以下、MKN−28DNアーゼと称する):
(a)作用及び基質特異性:エンドヌクレアーゼ活性を有する。
(b)分子量:48〜43kDa(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)
(c)至適pH:pH3.0〜4.5である。
(d)熱安定性:100℃での10分間の加熱によっても、エンドヌクレアーゼ活性が失活しない。
(e)プロテナーゼKとの反応性:37℃での15分間の反応により、エンドヌクレアーゼ活性が失活する。
に関する。
更に、本発明は、下記の性質を有するDNアーゼ(以下、HeLaDNアーゼと称する):
(a)作用及び基質特異性:エンドヌクレアーゼ活性を有する。
(b)分子量:63kDa(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)
(c)至適pH:pH3.0〜4.5である。
(d)熱安定性:100℃での10分間の加熱により、エンドヌクレアーゼ活性が失活する。
(e)プロテナーゼKとの反応性:37℃での15分間の反応によっても、エンドヌクレアーゼ活性は失活しない。
に関する。
本発明の抗腫瘍剤は、各種癌培養細胞に対して細胞増殖抑制効果を示すが、正常細胞に対しては細胞増殖抑制効果を示さない。従って、本発明の抗腫瘍剤は、癌にのみ特異的に作用するため、副作用の少ない抗腫瘍剤である。
また、本発明の新規DNアーゼ、あるいは、本発明の抗腫瘍剤の有効成分として用いることのできる制限酵素は、各種癌培養細胞に対して細胞増殖抑制効果を示すが、正常細胞に対しては細胞増殖抑制効果を示さない。従って、本発明の新規DNアーゼ、あるいは、前記制限酵素は、本発明の抗腫瘍剤の有効成分として有用である。
[1]本発明の抗腫瘍剤
本発明の抗腫瘍剤は、その有効成分として、DNアーゼを含有する。前記DNアーゼとしては、腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制作用を示し、且つ正常細胞に対して細胞増殖抑制作用を示さないDNアーゼである限り、特に限定されるものではない。本発明の抗腫瘍剤の有効成分として用いることのできるDNアーゼとしては、例えば、本発明のMKN−28DNアーゼ、本発明のHeLaDNアーゼ、DNアーゼII、DNアーゼI、NUC18、DNアーゼV、DNアーゼVI、Ca2+/Mg2+エンドヌクレアーゼ(例えば、Ca2+/Mg2+ヒトエンドヌクレアーゼ、Ca2+/Mg2+ウシエンドヌクレアーゼ、又はCa2+/Mg2+ラットエンドヌクレアーゼ)、Mg2+ラットエンドヌクレアーゼ、ラット中性DNアーゼ、ウシ核エンドヌクレアーゼ、CHO酸性エンドヌクレアーゼ、ラットDNアーゼα、ラットDNアーゼβ、ラットDNアーゼγ、又は各種制限酵素などを挙げることができる。また、DNアーゼ活性のみを有する酵素だけでなく、DNアーゼ活性以外の酵素活性を一緒に有する酵素、例えば、トポイソメラーゼII(ジャイレース)、インテグラーゼ(例えば、λインテグラーゼ)などを挙げることができる。
DNアーゼは、エンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼであることができ、エンドヌクレアーゼであることが好ましい。また、本発明の抗腫瘍剤においては、これらのDNアーゼの内、1種類のみを単独で用いることもできるし、あるいは、2種類以上を組合せて(例えば、エンドヌクレアーゼ同士の組合せ、エキソヌクレアーゼ同士の組合せ、又はエンドヌクレアーゼとエキソヌクレアーゼの組合せ)使用することもできる。
或るDNアーゼが、腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制作用を示し、且つ正常細胞に対して細胞増殖抑制作用を示さないDNアーゼであるか否かは、例えば、公知の抗腫瘍作用測定方法[例えば、MTT法(J. Virol. Methods, 20, 309-321, 1988;Journal of Virological Methods, 20, 309, 1988)]を用いることにより、当業者であれば容易に決定することができる。
MTT法を用いる場合には、例えば、後述の実施例4に記載の手順により、評価対象DNアーゼが、腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制作用を示し、且つ正常細胞に対して細胞増殖抑制作用を示さないDNアーゼであるか否かを決定することができる。より具体的には、評価用の細胞として、癌培養細胞(例えば、MKN−28細胞又はHeLa細胞)及び正常細胞(例えば、MRC−5細胞又はHEF細胞)を用意し、各細胞の細胞浮遊液を調製しておく。マイクロプレートの各ウェルに、適当な希釈系列(例えば、2倍、4倍、8倍、16倍、及び32倍希釈)の評価対象DNアーゼ溶液を分注し、次いで、前記細胞浮遊液を添加した後、所定期間(例えば、4日間)培養する。培養終了後、MTT[3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide;Sigma chemical Co.]溶液を各ウェルに添加し、所定期間(例えば、37℃、4時間)インキュベートした後、培養上清を除き、MTT溶液を加える。プレート振盪後、マイクロプレートリーダーで540nm及び690nmの2波長測光でOD値を測定し、IC50値を算出する。IC50値は、細胞対照(抗腫瘍剤を加えない)の増殖を50%に抑制する試験液の希釈倍数又は薬剤濃度(例えば、μg/mL)を示す。従って、前記希釈倍数が高ければ高いほど、あるいは、前記薬剤濃度が低ければ低いほど、効果の高い薬剤(物質)であると判定することができる。
本発明の抗腫瘍剤の有効成分として用いるDNアーゼとしては、本発明のMKN−28DNアーゼ若しくはHeLaDNアーゼ、又は制限酵素が好ましい。
正常細胞の癌化の原因の1つとして、正常細胞に存在するプロト癌遺伝子の点突然変異が知られている。例えば、ヒト癌遺伝子である活性型c−ras(H−ras、K−ras、N−ras)は、プロトras遺伝子の特定のコドンに点突然変異が生じ、癌活性化したものである。
例えば、ヒト由来肺癌培養細胞A549は、c−Ki−ras2の12番目のコドンの塩基配列5’−GGT−3’(Gly)が5’−AGT−3’(Ser)に、すなわち、コドンの3つの塩基の内、1番目の塩基GがAに変化して癌細胞へと変化したものである。前記A549細胞では、c−Ki−ras2の11及び12番目の塩基配列は、変異前はGCTGGTであり、変異後はGCTAGTに変化する。変化後の塩基配列GCTAGT中の配列「CTAG」は、制限酵素XspIの切断認識配列「C:TAG」(記号「:」は切断箇所を示す)であるので、本発明の抗腫瘍剤を、A549細胞と同じ点突然変異により癌化した腫瘍に対して使用する場合には、その有効成分として、例えば、制限酵素XspIを選択することができる。また、同じ塩基配列を認識するアイソシゾマーも選択可能である。なお、制限酵素XspIは、変異前の塩基配列GCTGGTを切断しないので、正常細胞に対しては影響を与えない。
このように、本発明では、治療対象である腫瘍の種類に応じて、その点突然変異の塩基配列に基づいて、適当な制限酵素を適宜選択することができる。その具体例を表1に示す。表1において、「変異前コドン」欄の括弧内の数字はコドン番号を意味する。「変異後コドン」欄において、小文字で示す塩基は変異した塩基を意味し、塩基配列中の下線は制限酵素の認識配列を意味する。
《表1》
プロト 変異後
腫瘍(培養細胞) 癌遺伝子 変異前コドン コドン 制限酵素
肺癌 (A549) c-Ki-ras2 GCT GGT (11,12) GCTaGT XspI, BfaI
FspBI, MaeI
結腸腺癌 (HCT116) c-Ki-ras2 GGC GTA (13,14) GaCGTA MaeII
HpyCH4IV
膵臓腺癌 (PSN1) c-Ki-ras2 GGA GCT GGT GGAGCTcGT BanII, Eco24I
(10,11,12) EcoT38I, FriOI
Bsp1286I, BmyI
MhII
前骨髄性白血病 (HL60) N-ras CAA GAA (61,62) CtAGAA XspI, BfaI
FspBI, MaeI
急性リンパ芽球性白血病 N-ras GCA GGT (11,12) GCAtGT NlaIII, CviAII
(MOLT-4) Hsp92II, FatI
膀胱癌 (T24) c-Ha-ras1 GCC GGC GGT GCCGtCGGT Hpy99I
(11,12,13)
黒色腫 (SK2) c-Ha-ras1 CAG GAG (61,62) CtGGAG BpmI, GsuI
乳癌肉腫 (HS578T) c-Ha-ras1 GGC GGT (12,13) GaCGGT HpyCH4III
Bst4CI, TaaI
肺癌 (PR310) c-Ki-ras2 CAA GAG (61,62) CAtGAG NlaIII, CviAII
Hsp92II, FatI
本発明の抗腫瘍剤は、DNアーゼをそれ単独の形で含有することもできるが、DNアーゼとリポソームとの複合体の形で含有することが好ましい。
本発明において用いることのできるリポソームは、例えば、リン脂質、糖脂質、又はコレステロールなどの脂質分子及び/又は界面活性剤などにより調製させるリポソームであることができ、一枚膜リポソーム又は多重膜リポソームのいずれも有効である。
リポソームを調製することのできるリン脂質としては、一般的に、例えば、グリセロリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、又はカルジオピン)、あるいはスフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、又はセラミドホスホリルグリセロール)を挙げることができる。
また、リポソームを調製することのできる糖脂質としては、例えば、グリセロ糖脂質(ジガラクトシルジグリセリド、又はセミノリピド)、あるいはスフィンゴ糖脂質(ガラクトシルセラミド、又はラクトシルセラミド)を挙げることができる。
また、リポソームを調製することのできる界面活性剤としては、例えば、ジセチルホスフェート又はステアリルアミンを挙げることができる。
本発明の抗腫瘍剤が、DNアーゼとリポソームとの複合体を含有する場合には、DNアーゼとリポソームとが同時に複合体(complex)の形で含有されていれば、それらの存在形態は特に限定されるものではない。前記の複合体としては、例えば、DNアーゼとリポソームとの混合物、又はリポソームによるDNアーゼの包埋体若しくはカプセル化物等の形態を挙げることができ、包埋体が好ましい。
前記の包埋体は、例えば、本発明における有効成分であるDNアーゼをリポソーム内に封入した形とする方法で調製することができる。すなわち、リポソームの構成脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ジセチルホスフェイト、及びコレステロール)を適当な溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解し、適当な容器に分注した後、窒素ガスを吹き込むことにより溶媒を除去し、別に調製しておいたDNアーゼ溶液をこの容器に移し、ボルテックスミキサー等にかけた後、所定温度(例えば、37℃)にて所定時間(例えば、30分間)インキュベートすることにより、DNアーゼ封入リポソームを調製することができる。
また、本発明の抗腫瘍剤がDNアーゼとリポソームとの複合体を含有する場合には、前記複合体中に、熱変性免疫グロブリンG(Aggregated IgG)を更に含有することができる。前記熱変性IgGは、例えば、ヒトIgG(ヒトIgG Purified; Sigma Chemical Co.)15mgをリンゲル液1mLに溶解した後、60℃で10分間加熱することにより調製することができる[Biochemistry, 15, 452, 1976]。DNアーゼとリポソームとの複合体の1/100量の上記熱変性ヒトIgGを加え、最終IgG濃度を150μg/mLに調整して使用することができる。
熱変性IgGはFc受容体と結合することが知られている。従って、熱変性IgGがリポソーム表面に存在すると、腫瘍細胞膜にはFc受容体が存在することにより、Fc受容体と結合し、受容体介在エンドサイトーシスを引き起こすため、より高い細胞増殖抑制作用を示すものと考えている[Biochemistry, 15(2), 452-460, 1976]。
本発明の抗腫瘍剤においては、DNアーゼ(好ましくは、DNアーゼとリポソームとの複合体)を、それ単独で、あるいは、所望により薬剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常の担体と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に投与することができる。また、発明における有効成分であるDNアーゼ(好ましくは、DNアーゼとリポソームとの複合体)は、抗腫瘍剤を製造するために使用することができる。
投与剤型としては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
これらの経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常法に従って製造することができる。
非経口投与方法としては、注射(皮下、静脈内、動脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなかで、注射剤が最も好適に用いられる。
例えば、注射剤の調製においては、有効成分としての前記DNアーゼ(又は前記複合体)の他に、例えば、生理食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いることができる。
また、本発明の抗腫瘍剤は、徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与してもよい。例えば、本発明の抗腫瘍剤をエチレンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペレットを治療又は予防すべき組織中に外科的に移植することができる。
本発明の抗腫瘍剤は、これに限定されるものではないが、DNアーゼ(又は前記複合体)を、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で含有することができる。
本発明の抗腫瘍剤を用いる場合の投与量は、例えば、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などに応じて適宜決定することができ、経口的に又は非経口的に投与することが可能である。
更に、形態も医薬品に限定されるものではなく、種々の形態、例えば、機能性食品や健康食品、又は飼料として飲食物の形で与えることも可能である。
本発明の抗腫瘍剤により治療及び/又は予防することのできる癌としては、以下の癌発生部位に限定されるものではないが、例えば、胃癌、大腸癌、肝臓癌、腎臓癌、乳癌、口腔癌、膵臓癌、食道癌、膀胱癌、子宮癌、肺癌、又は白血病等を挙げることができる。
[2]本発明のDNアーゼ
本発明の抗腫瘍剤の有効成分として使用することのできるDNアーゼの内、本発明のMKN−28DNアーゼ及びHeLaDNアーゼは、それぞれ、新規DNアーゼである。
本発明のMKN−28DNアーゼは、例えば、ヒト由来胃癌培養細胞MKN−28(RCB1000,理化学研究所)から取得することができ、以下に示す性質を有する。
(a)作用及び基質特異性:エンドヌクレアーゼ活性を有する。
(b)分子量:48〜43kDa(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)
(c)至適pH:pH3.0〜4.5である。
(d)熱安定性:100℃での10分間の加熱によっても、エンドヌクレアーゼ活性が失活しない。
(e)プロテナーゼKとの反応性:37℃での15分間の反応により、エンドヌクレアーゼ活性が失活する。
(f)2価陽イオン要求性:Ca2+要求性及びMg2+要求性はない。Mn2+又はZn2+についてはやや依存性(Mn2+では0.01〜1.0mmol/L,Zn2+では0.01〜0.1mmol/L)が認められる。高濃度(10mmol/L)では、Ca2+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+による阻害作用が認められる。
(g)DNアーゼ阻害剤感受性:G−アクチン(Globular actin)は、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
オーリントリルカルボン酸(Aurintricarboxylic acid;ATA)は、ヌクレアーゼ活性を阻害する。
クエン酸は、ヌクレアーゼ活性を阻害する。
ヨード酢酸(Iodoacetate)は、ヌクレアーゼ活性を阻害する。
硫酸イオン(SO 2−)は、ヌクレアーゼ活性を阻害する。
スペルミンは、ヌクレアーゼ活性を弱く阻害する。
Ca2+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+は、高濃度下(10mmol/L)ではヌクレアーゼ活性を阻害する。
β−ブチロラクトンは、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
1,3−ブタジエンジエポキシドは、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
本発明のMKN−28DNアーゼをヒト由来胃癌培養細胞MKN−28から取得する場合には、例えば、後述の実施例1及び実施例6(9)に記載の手順により取得することができる。すなわち、本発明のMKN−28DNアーゼは、例えば、
(1)MKN−28細胞破砕液に硫酸マグネシウム及びATPを添加した後、遠心し、上清を得る工程、
(2)得られた上清を70%硫酸アンモニウムにより塩析し、遠心することにより上清を得る工程、及び
(3)得られた上清から、ゲル濾過クロマトグラフィーにより分子量48〜43kDaの画分を取得する工程
を含む製造方法により調製することができる。
前記工程(3)は、例えば、後述に実施例2の手順に従って、セファクリル(Sephacryl)S−300 HRを用いて、DNアーゼ活性を指標として目的画分を取得することができる。また、得られた画分を、例えば、実施例3の手順に従って、イオン交換クロマトグラフィーを用いて、DNアーゼ活性を指標として、更に精製することができる。
なお、本発明のMKN−28DNアーゼを、本発明の抗腫瘍剤の有効成分として用いる場合には、精製DNアーゼとして用いることもできるし、あるいは、その精製途中の粗製DNアーゼ(例えば、前記工程1又は2で得られる遠心上清、あるいは、前記工程3で得られる画分)として用いることもできる。
本発明のHeLaDNアーゼは、例えば、ヒト由来子宮頚癌培養細胞HeLa[RCB0007,理化学研究所、又はATCC CCL−2,ATCC(American Type Culture Collection)]から取得することができ、以下に示す性質を有する。
(a)作用及び基質特異性:エンドヌクレアーゼ活性を有する。
(b)分子量:63kDa(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)
(c)至適pH:pH3.0〜4.5である。
(d)熱安定性:100℃での10分間の加熱により、エンドヌクレアーゼ活性が失活する。
(e)プロテナーゼKとの反応性:37℃での15分間の反応によっても、エンドヌクレアーゼ活性は失活しない。
(f)2価陽イオン要求性:Ca2+要求性、Mg2+要求性、Mn2+要求性、及びZn2+要求性はない。高濃度(10mmol/L)では、Ca2+又はMg2+による阻害作用が認められる。
(g)DNアーゼ阻害剤感受性:G−アクチンは、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
オーリントリルカルボン酸は、ヌクレアーゼ活性を阻害する。
クエン酸は、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
ヨード酢酸は、ヌクレアーゼ活性を阻害する。
硫酸イオン(SO 2−)は、ヌクレアーゼ活性を阻害する。
スペルミンは、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
Zn2+は、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
β−ブチロラクトンは、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
1,3−ブタジエンジエポキシドは、ヌクレアーゼ活性を阻害しない。
本発明のHeLaDNアーゼをヒト由来子宮頚癌培養細胞HeLaから取得する場合には、例えば、後述の実施例1及び実施例6(9)に記載の手順により取得することができる。すなわち、本発明のHeLaDNアーゼは、例えば、
(1)HeLa細胞破砕液に硫酸マグネシウム及びATPを添加した後、遠心し、上清を得る工程、
(2)得られた上清を70%硫酸アンモニウムにより塩析し、遠心することにより上清を得る工程、並びに
(3)得られた上清から、ゲル濾過クロマトグラフィーにより分子量63kDaの画分を取得する工程
を含む製造方法により調製することができる。
前記工程(3)は、例えば、後述に実施例2の手順に従って、セファクリル(Sephacryl)S−300 HRを用いて、DNアーゼ活性を指標として目的画分を取得することができる。また、得られた画分を、例えば、実施例3の手順に従って、イオン交換クロマトグラフィーを用いて、DNアーゼ活性を指標として、更に精製することができる。
なお、本発明のHeLaDNアーゼを、本発明の抗腫瘍剤の有効成分として用いる場合には、精製DNアーゼとして用いることもできるし、あるいは、その精製途中の粗製DNアーゼ(例えば、前記工程1又は2で得られる遠心上清、あるいは、前記工程3で得られる画分)として用いることもできる。
本発明のDNアーゼは、癌培養細胞(例えば、MKN−28細胞又はHeLa細胞)に対して細胞増殖抑制効果を示すが、正常細胞(例えば、ヒト由来胎児肺繊維芽細胞MRC−5又はヒト由来胎児繊維芽細胞HEF)に対しては細胞増殖抑制効果を示さない。従って、本発明のDNアーゼは、抗腫瘍剤の有効成分として有用である。
本発明のMKN−28DNアーゼ及びHeLaDNアーゼ、並びに公知のDNアーゼII及びDNアーゼIの各性質を表2及び表3に示す。
《表2》
性質 MKN−28 HeLa DNアーゼII DNアーゼI
DNアーゼ DNアーゼ
エンドヌクレ 有り 有り 有り 有り
アーゼ活性
分子量a) 48-43kDa 63kDa ラット肝 37kDa 30kDa
ブタ脾 45kDa
至適pH 3.0-4.5 3.0-4.5 ラット肝 4.1 7.0-8.0(細胞外)
ブタ脾 − 5.5(小胞体)
熱安定性 耐熱性 易熱性 80℃10分間で失
(L,M緩衝液) (A緩衝液) 活
プロテナーゼ 失活する 失活しない
Kとの反応性 (M緩衝液) (A緩衝液)
2価陽イオン 本文参照 本文参照 ブタ肝 なし Ca,Mg,Mn要求性
要求性 ラット脾 なし 有り(1種で充分)
DNAの切断 10塩基ずつ切断
切断様式 3’-P/5’-OH 3’-OH/5’-P
局在性 リソソーム 細胞外、小胞体
a):DNアーゼIを除き、ゲル濾過クロマトグラフィーによる。DNアーゼIには、A、B、C、及びDの4分子種が知られている。
《表3》
DNアーゼ阻 MKN−28 HeLa DNアーゼII DNアーゼI
害剤感受性 DNアーゼ DNアーゼ
G−アクチン 阻害しない 阻害しない 阻害しない 阻害する
ATA 阻害する 阻害する
クエン酸 阻害する 阻害しない
ヨード酢酸 阻害する 阻害する 阻害する
硫酸イオン 阻害する 阻害する 阻害する
スペルミン 弱く阻害する 阻害しない
2価陽イオン Ca,Mg,Mn,Znは Znは阻害しない Znは阻害しない
10mmol/Lで阻害
β−ブチロ 阻害しない 阻害しない
ラクトン
1,3-ブタジエ 阻害しない 阻害しない
ンジエポキシド
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:各種癌培養細胞の細胞抽出液の調製》
本実施例では、以下に示す手順に従って、ヒト由来胃癌培養細胞MKN−28(RCB1000,理化学研究所)及びヒト由来子宮頚癌培養細胞HeLa(RCB0007,理化学研究所、又はATCC CCL−2,ATCC)から、それぞれ、細胞抽出液を調製し、更に分画を行った。また、比較のために、正常細胞としてヒト由来胎児肺繊維芽細胞MRC−5(RCB0211,理化学研究所、又はATCC CCL171,ATCC)を使用し、同様の操作を実施した。
具体的には、培養液としてダルベッコ変法イーグル培地を用いて各培養細胞を培養し、単層且つ培養3日目の細胞を用いて、以下の操作を実施した。リン酸緩衝溶液(PBS)で細胞を洗浄後、セルスクレーパーで細胞を集め、PBSを用いて遠心(1200rpm,5分間)で3回洗浄した。集めた各細胞をPBS5mLに浮遊させ、総細胞数を8×10個(MKN−28細胞)及び1×10個(HeLa細胞)とした。各細胞浮遊液を超音波破砕器[UH-50型;(株)MST製]で5分間(20kHz,50W)氷中で処理し、細胞を破壊した。続いて、硫酸マグネシウム(MgSO)及びATPを、それぞれ、最終濃度2mg/mL及び10mg/mLの量で添加し、37℃で一晩(22時間)放置した。
3000rpm及び4℃にて30分間遠心した後、上清を回収し、70%硫酸アンモニウム[(NHSO]で塩析(磨砕硫安を10mL当たり4.72g添加)した。4℃にて1時間塩析した後、1500rpm及び4℃にて15分間遠心し、上清と沈渣物とに分けた。それぞれを、PBSを用いて、攪拌しながら4℃で18時間透析した(PBS交換=4回)。透析後の各溶液をクライオチューブに分注し、−20℃で保存した。なお、以上の操作は、可能な限り、無菌操作で行った。−20℃で保存した各サンプルを以下の操作で使用する際には、その使用に先立って、4℃にて10000rpmで30分間遠心し、その上清を使用した。
以下、塩析後の遠心上清をPBSに溶解した後の透析後溶液を、単に「遠心上清」と称し、塩析後の遠心沈渣物をPBSに溶解した後の透析後溶液を、単に「遠心沈渣」と称する。
《実施例2:ゲルクロマトグラフィー(Sephacryl S-300 HR)による培養細胞由来遠心上清のDNアーゼ活性(+)画分の分画》
実施例1で得られた、MKN−28細胞由来遠心上清を、以下の条件で分画した:
ゲル:セファクリル(Sephacryl)S−300 HR(球状タンパク質分画範囲=1×10〜1.5×10;Amersham, 17-0599-01)を使用した。トータルゲルベッド(Total Gel Bed)を114.8mL[=(0.75cm)×3.14×65cm]とした。
カラム:1.5cm(径)×75cm(高)のカラム(エコノカラム;Bio-Rad)を使用した。
緩衝液:PBS(pH7.2)。
流速:0.4mL/min。
分画:2mL/チューブ。
得られた各画分について、DNアーゼ活性(+)画分を選択し、更に、その画分に関してλDNA分解能(Titer)を調べた。
具体的には、各画分の原液を使用し、どの画分にDNアーゼ活性があるか調べた後、活性陽性の画分に関して、λDNA分解能のタイトレーションを行った。なお、DNアーゼ活性及びタイトレーションは、λDNA分解能を指標とする電気泳動法により確認した。特に、タイトレーションは、各画分を4段階希釈し、λDNA分解反応物の泳動パターン(λDNA分解の強弱)からタイターを決定した。
結果を表4に示す。DNアーゼ活性のピークは、No.40画分を中心に、No.39〜No.42画分であった。λDNA分解能のピーク画分はNo.40画分で、そのタイターは80倍であった。従って、イオン交換クロマトグラフィーによる次の精製には、No.39〜No.42画分(4画分)を用いることとした。
《表4》
画分No. 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48
タイター 20 40(80) 80(160) 40 40 40 40 20 10 5 <5
《実施例3:イオン交換クロマトグラフィーによるMKN−28DNアーゼの精製》
実施例2で得られたDNアーゼ活性(+)画分を、エコノパックハイQ(Econo-Pac High Q)カートリッジ(Stronganion, 732-0094; BIO-RAD)を用いるイオン交換クロマトグラフィーにより更に精製した。
具体的には、実施例2で得られたDNアーゼ活性(+)画分(No.39〜No.42画分の混合物)は、緩衝液としてPBSを使用しているため、透析によってハイQ用緩衝液に置換した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した。この操作後のサンプルにDNアーゼ活性があることを確認した後、エコノパックハイQカートリッジにアプライした。溶出緩衝液には、0.02〜0.3mol/L−NaCl含有50mmol/L−Tris−HCl(pH7.5)を使用し、NaClの濃度勾配で溶出を行った。また、流速は、1.5mL/2min/画分で行った。
どの画分にDNアーゼ活性があるのかは、λDNA分解能を指標とする電気泳動法により確認した。DNアーゼ活性測定には、画分原液(希釈せず)を使用した。各画分のλDNA分解能を調べた後、DNアーゼ活性(+)画分のタイトレーションを行い、DNアーゼ活性のピークを求めた。
結果を表5に示す。DNアーゼ活性のピークは、No.5画分(NaCl濃度=0.08mol/L)及びNo.6画分(NaCl濃度=0.10mol/L)であった。
《表5》
画分No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
NaCl(mol/L) 0.01 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20
λDNA分解 − ± + ++ +++ +++ +++’ − ± − −
《実施例4:各種癌培養細胞由来の各画分における細胞増殖抑制効果の検討》
本実施例では、実施例1で調製した、各種癌培養細胞及び正常細胞由来の遠心上清及び遠心沈渣の細胞増殖抑制効果をMTT法により評価した。
具体的には、評価用の培養細胞としては、癌培養細胞としてMKN−28細胞及びHeLa細胞を使用し、正常細胞としてMRC−5細胞を使用した。評価用の各培養細胞を3日間培養した後、トリプシンで細胞を分散し、PBSを用いて遠心で細胞の洗浄を行った。8%ウシ胎児血清含有のダルベッコ変法イーグルMEM培地(以下、GMと称する)で細胞浮遊液を調製した後、血算盤で細胞数を測定し、細胞数が5000個/50μL及び2500個/50μL(MRC−5細胞の場合のみ、10000個/50μL及び5000個/50μL)になるようにGMで調整した。
96ウェル平底プレートに、実施例1で調製した遠心上清又は遠心沈渣の希釈系列(原液、2倍、4倍、8倍、16倍、及び32倍希釈)を50μL/ウェルずつ分注し、次いで、調整済み細胞浮遊液を50μL/ウェルずつ添加した後、COインキュベーター中にて37℃で培養した。培養から3日目又は4日目に、MTT溶液を20μL/ウェルずつ添加し、37℃で3時間インキュベートした。各ウェル中の培養上清を除去した後、MTT溶出液100μLを各ウェルに加え、室温で5分間振盪し、マイクロプレートリーダーで540nm及び690nmの2波長測光でOD値を測定し、IC50値を算出した。
なお、対照として、遠心上清又は遠心沈渣の希釈系列の代わりに、PBSを用いた。また、比較のために、遠心上清又は遠心沈渣の希釈系列の代わりに、5−フルオロウラシル(5−FU)の5倍段階希釈液(100μg/mL,20μg/mL,4μg/mL,0.8μg/mL,0.16μg/mL,0.032μg/mL)を使用した。
評価用細胞として癌培養細胞であるMKN−28細胞を使用し、細胞画分としてMKN−28細胞由来の遠心上清又は遠心沈渣を使用した場合のIC50値を表6に示す。また、対照としてPBSを使用した場合と、比較のために5−FUを使用した場合の結果も併せて示す。表6(及び後述の表7〜表10)におけるIC50の値は、複数回(2回〜4回)の平均値である。IC50値は、細胞対照(抗腫瘍剤を加えない)の増殖を50%に抑制する試験液の希釈倍数、すなわち、相対値で示す。あるいは、薬剤濃度(5−FUの場合、μg/mL)で示す。
表6から明らかなように、MKN−28細胞由来の遠心上清及び遠心沈渣のいずれも、MKN−28細胞に対して細胞増殖抑制効果を示した。
《表6》
評価用細胞 MKN(3日培養) MKN(4日培養)
細胞数/ウェル 5000 2500 5000 2500
MKN上清 2.8 <2 11.7 5.33
MKN沈渣 4.18 2.48 10.1 6.9
PBS 2.2 <2 2.3 3.0
5−FU 5.9 4.6 14.8 3.7
評価用細胞として癌培養細胞であるHeLa細胞を使用し、細胞画分としてHeLa細胞由来の遠心上清又は遠心沈渣を使用した場合のIC50値を表7に示す。表7から明らかなように、HeLa細胞由来の遠心上清及び遠心沈渣のいずれも、HeLa細胞に対して細胞増殖抑制効果を示した。
《表7》
評価用細胞 HeLa(3日培養) HeLa(4日培養)
細胞数/ウェル 5000 2500 5000 2500
HeLa上清 4.8 2.4 3.2 3.8
HeLa沈渣 11.1 6.7 10.2 21.5
PBS <2 <2 <2 <2
5−FU 7.3 5.0 3.6 3.6
評価用細胞として正常細胞であるMRC−5細胞を使用し、細胞画分としてMRC−5細胞由来の遠心上清又は遠心沈渣を使用した場合のIC50値を表8に示す。表8から明らかなように、MRC−5細胞由来の遠心上清及び遠心沈渣のいずれも、MRC−5細胞に対して細胞増殖抑制効果を示さなかった。
《表8》
評価用細胞 MRC(3日培養) MRC(4日培養)
細胞数/ウェル 10000 5000 10000 5000
MRC上清 <2 <2 <2 <2
MRC沈渣 2.8 2.5 2.8 2.7
PBS 2.2 2.2 2.2 2.3
5−FU >100 >100 >100 92.0
評価用細胞として3種類の各細胞を使用し、細胞画分として各細胞由来の遠心上清を使用した場合のIC50値を表9(3日培養の場合)及び表10(4日培養の場合)に示す。
表9及び表10から明らかなとおり、いずれの細胞由来の遠心上清も、癌培養細胞であるMKN−28細胞及びHeLa細胞に対して増殖抑制効果を示したが、正常細胞であるMRC−5細胞に対しては増殖抑制効果を示さなかった。細胞由来遠心上清に対する感受性は、MKN−28細胞>HeLa細胞>MRC−5細胞であった。また、後述の実施例6に示すとおり、MKN−28細胞及びHeLa細胞の遠心上清は、DNAを分割することより、ヌクレアーゼである。
《表9》
[3日培養]
評価用細胞 MKN HeLa MRC
細胞数/ウェル 5000 2500 5000 2500 10000 5000
MKN上清 2.6 2.5 2.9 3.4 <2 <2
HeLa上清 2.6 2.2 4.8 2.9 <2 <2
MRC上清 2.7 2.2 3.6 3.5 <2 2.1
PBS <2 <2 <2 2.1 <2 <2
5−FU 6.0 4.6 12.0 7.0 >100 >100
《表10》
[4日培養]
評価用細胞 MKN HeLa MRC
細胞数/ウェル 5000 2500 5000 2500 10000 5000
MKN上清 11.7 6.3 2.3 3.3 <2 <2
HeLa上清 5.8 5.0 2.6 3.4 <2 <2
MRC上清 5.0 4.1 2.5 2.7 <2 <2
PBS 2.2 2.4 <2 <2 <2 <2
5−FU 11.6 4.7 13.0 6.2 >100 92.0
《実施例5:各種癌培養細胞由来遠心上清のMKN−28細胞増殖抑制活性の各種処理に対する耐性》
本実施例では、実施例1で調製した癌培養細胞MKN−28及びHeLa細胞由来の各遠心上清の性状を探るために、RNアーゼ処理、DNアーゼ処理、又は加熱処理した後、癌培養細胞MKN−28に対する細胞増殖抑制活性を検討した。なお、細胞増殖抑制活性は、実施例4に記載の方法により測定した。結果(IC50値)を表11に示す。表11における記号「−」は、測定を実施しなかったことを示す。
RNアーゼ処理(表11における記号「RN」)は、細胞抽出物100μLに対してRNアーゼ(R 5125, Type III A;SIGMA社)10μgを用いて、37℃にて1時間処理することにより、実施した。
DNアーゼ処理(表11における記号「DN」)は、細胞抽出物100μLに対してDNアーゼ(Lot 18600k;Nippon Gene社)134unitを用いて、37℃にて1時間処理することにより、実施した。
前記RNアーゼ処理及びDNアーゼ処理の対照として、37℃での1時間処理(表11における記号「37℃」)を実施した。
RNアーゼ又はDNアーゼ自体の細胞増殖抑制活性をチェックするために、「RNアーゼ+PBS」処理(表11における記号「RN-Cont」)及び「DNアーゼ+PBS」(表11における記号「DN-Cont」)処理を実施した。
加熱処理として、56℃で30分間の加熱処理(表11における記号「56℃」)を実施した。
対照として、PBS処理(表11における記号「PBS」)を実施した。
表11に示すとおり、RNアーゼ又はDNアーゼ処理では、癌培養細胞由来遠心上清の細胞増殖抑制活性は失活することはなく(具体的データは示さないが、RNアーゼH処理でも失活しなかった)、56℃で30分間の加熱処理でも失活しなかった。これらの結果は、癌培養細胞由来遠心上清中の細胞増殖抑制活性を示す因子が、(1)核酸でなく、(2)加熱により失活しないことが判明した。このことは、実施例6で示すとおり、反応緩衝液が影響したことがわかった。
《表11》
IC 50 値(倍)
RN DN 37℃ 未処理 RN-Cont DN-Cont 56℃ PBS
MKN上清 7.6 7.6 7.9 7.8 2.5 2.3 8.0 2.4
HeLa上清 7.9 8.0 7.9 8.3 − − 9.0 −
《実施例6:癌培養細胞由来遠心上清の性状の検討》
(1)λDNA及びMKN−28細胞ゲノムDNAに対するヌクレアーゼ活性
本実施例では、実施例1で調製した癌培養細胞MKN−28及びHeLa細胞由来の各遠心上清に関して、DNA分解能を検討した。
各遠心上清は、PBSを含んでいるため、予めTE緩衝液(10mmol/L−Tris−HCl,1mmol/L−EDTA,pH8.0)と置換してから使用した。分解対象DNAとしては、λDNA(48502bp;Takara)と、MKN−28細胞より市販のキット(Genomic Prep. TM cells and Tissue DNA Isolation Kit;Amersham pharmacia biotech.)を用いて抽出したMKN−28細胞ゲノムDNAとを使用した。
反応緩衝液としては、L(Low)緩衝液(NaCl無添加)、M(Medium)緩衝液(50mmol/L−NaCl)、及びH(High)緩衝液(100mmol/L−NaCl)を使用した。なお、各緩衝液は、基本となる組成[10mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),10mmol/L−MgCl,1mmol/L−DTT(Dithiothreitol)]に、前記所定量のNaClを加えたものである。
反応は37℃で1時間実施し、反応終了後、電気泳動法によりDNA分解の程度を観察した。
MKN−28細胞由来の遠心上清は、L又はM緩衝液ではいずれのDNA(すなわち、λDNA及びMKN−28細胞ゲノムDNA)も分解したが、H緩衝液ではいずれのDNAも分解しなかった。
HeLa細胞由来の遠心上清は、L、M、又はH緩衝液の全ての緩衝液において、いずれのDNA(すなわち、λDNA及びMKN−28細胞ゲノムDNA)も分解しなかった。
(2)至適緩衝液
前記(1)で使用した反応緩衝液以外の緩衝液として、A緩衝液[50mmol/L−Mesバッファー(pH5.8),1mmol/L−CaCl,3mmol/L−MgCl]及びB緩衝液[50mmol/L−Mopsバッファー(pH7.0),1mmol/L−CaCl,3mmol/L−MgCl]を用いて、前記(1)の操作を繰り返した。
HeLa細胞由来の遠心上清は、A緩衝液ではいずれのDNA(すなわち、λDNA及びMKN−28細胞ゲノムDNA)も分解したが、B緩衝液ではいずれのDNAも分解しなかった。
MKN−28細胞由来の遠心上清におけるヌクレアーゼ活性は、A緩衝液で顕著であり、B緩衝液でもλDNAは少し分解された。
(3)加熱処理に対する耐性
各遠心上清を、100℃で10分間加熱処理した後、ヌクレアーゼ活性を検討した。
MKN−28細胞由来の遠心上清は、加熱処理した後であっても、L又はM緩衝液下にて、λDNA又はMKN−28細胞ゲノムDNAのいずれのDNAも分解した。すなわち、加熱処理により失活しなかった。
HeLa細胞由来の遠心上清は、A緩衝液下にて、加熱未処理の場合にはλDNAを分解するのに対して、加熱処理した場合には、λDNAを分解しなかった。すなわち、加熱処理により失活した。
(4)プロテナーゼK処理に対する耐性
各遠心上清を、プロテナーゼK処理(37℃で15分間)した後、ヌクレアーゼ活性を検討した。
MKN−28細胞由来の遠心上清は、M緩衝液下にて、プロテナーゼK未処理の場合にはλDNAを分解するのに対して、プロテナーゼK処理した場合には、λDNAを分解しなかった。すなわち、プロテナーゼK処理により失活した。
HeLa細胞由来の遠心上清は、プロテナーゼK処理した後であっても、A緩衝液下にてλDNAを分解した。すなわち、プロテナーゼK処理により失活しなかった。
表12に、(1)〜(4)のこれまでの結果を示す。
《表12》
遠心上清 λDNA MKN-28 DNA 加熱処理 プロテナーゼK処理 至適緩衝液
MKN 分解する 分解する 失活しない 失活する A緩衝液
(耐熱性) (L,M緩衝液)
HeLa 分解する 分解する 失活する 失活しない A緩衝液
(易熱性)
(5)至適pH
各遠心上清のヌクレアーゼ活性の至適pHを、λDNAの分解能を指標として検討した。
λDNA分解反応を、1mmol/L−DTTを添加した50mmol/L各緩衝液[Acetate-HCl (pH 1.0-5.5), MOPS-NaOH (pH 6.0-7.0), Tris-HCl (pH 7.5-8.5);pH1.0〜8.5まで0.5刻み]反応液中で、37℃にて30分間実施した後、電気泳動法により確認した。
いずれの遠心上清(すなわち、MKN−28細胞由来遠心上清及びHeLa細胞由来遠心上清)は、pH4.5以下でλDNAをほとんど完全に分解した。なお、遠心上清を加えずに、同様の操作を実施したところ、pH2.5以下でλDNAが分解されることが判明した。従って、各遠心上清の至適pHは、3.0〜4.5であることが判明した。
(6)2価陽イオン要求性
各遠心上清の2価陽イオン(Ca2+,Mg2+,Mn2+,Zn2+)要求性を、λDNAの分解能を指標として検討した。
各遠心上清は、予めPBS(Ca2+及びMg2+フリー)で透析した後、力価を測定し、至適希釈濃度を決定した。MKN−28細胞由来の遠心上清は5倍希釈し、HeLa細胞由来の遠心上清は3倍希釈して用いた。
Ca2+要求性は3mmol/L−MgClを添加した酢酸−HCl緩衝液を用いて、Mg2+要求性は3mmol/L−CaClを添加した酢酸−HCl緩衝液を用いて、Mn2+又はZn2+要求性は酢酸−HCl緩衝液(Ca2+及びMg2+フリー)を用いて、それぞれ検討した。なお、各緩衝液のpHは、MKN−28細胞由来の遠心上清の場合にはpH4.5とし、HeLa細胞由来の遠心上清の場合には、pH4.0とした。
MKN−28細胞由来の遠心上清に関する結果を表13に示し、HeLa細胞由来の遠心上清に関する結果を表14に示す。表13における記号「+」は、数が多いほど、λDNAの分解の程度が高いことを意味し、記号「(−)」は検討を実施していないことを示す。また、表には示していないが、Ca2+及びMg2+不在下では「+++」であり、緩衝液のみでは「−」(分解されず)であった。
表13に示すように、MKN−28細胞由来の遠心上清(5倍希釈)では、Ca2+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+のいずれの2価陽イオンについても要求(依存)性はなく、高濃度(10mmol/L以上)では、Ca2+、Mg2+又はZn2+による阻害作用が認められた。
なお、MKN−28細胞由来の遠心上清の2価陽イオン要求性を高感度で検出するため、40倍希釈したもの(λDNA分解検出限界濃度)を用いて同様の実験を行ったところ、Ca2+又はMg2+については要求(依存)性はなかったが、Mn2+ではやや依存性(0.01〜1.0mmol/L)が認められ、Zn2+でもやや依存性(0.01〜0.1mmol/L)が認められ、高濃度(10mmol/L以上)では、Ca2+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+による阻害作用が認められた。
表14に示すように、HeLa細胞由来の遠心上清(3倍希釈)では、Ca2+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+のいずれの2価陽イオンについても要求(依存)性はなく、高濃度(10mmol/L以上)では、Ca2+又はMg2+による阻害作用が認められた。
なお、HeLa細胞由来の遠心上清として20倍希釈したもの(λDNA分解検出限界濃度)を用いて同様の実験を行ったところ、Ca2+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+のいずれの2価陽イオンについても要求(依存)性はなく、高濃度(10mmol/L以上)では、Ca2+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+による阻害作用が認められた。
《表13》
2価イオン濃度
(mmol/L) 0 0.01 0.03 0.1 0.3 1.0 3.0 10 30
Ca2+ +++ (−) +++ (−) +++ (−) +++ + ±
Mg2+ +++ (−) +++ (−) +++ (−) +++ + ±
Mn2+ +++ +++ (−) +++ (−) +++ (−) +++ (−)
Zn 2+ +++ +++ (−) +++ (−) +++ (−) + (−)
《表14》
2価イオン濃度
(mmol/L) 0 0.01 0.03 0.1 0.3 1.0 3.0 10 30
Ca2+ +++ (−) +++ (−) +++ (−) +++ ++ ±
Mg2+ +++ (−) +++ (−) +++ (−) +++ ++ ±
Mn2+ +++ +++ (−) +++ (−) +++ (−) +++ (−)
Zn 2+ +++ +++ (−) +++ (−) +++ (−) +++ (−)
(7)阻害剤感受性
各種阻害剤に対する各遠心上清の感受性を、λDNAの分解能を指標として検討した。
MKN−28細胞由来の遠心上清については、5倍希釈したものを使用し、各阻害剤存在下にて、pH4.5及び37℃で30分間インキュベートした後、電気泳動により判定した。また、HeLa細胞由来の遠心上清については、3倍希釈したものを使用し、各阻害剤存在下にて、pH4.0及び37℃で30分間インキュベートした後、電気泳動により判定した。
各阻害剤がλDNAの分解を阻害したか否かを、表15及び表16に示す。
表15において、
記号(G)は、G−アクチン(Globular actin,ウシ筋肉由来;Sigma)を意味し、その下の数値(1,10,100)はG−アクチン濃度(μg/mL)を意味し、
記号(A)は、ATA(Aurintricarboxylic acid;Wako)を意味し、その下の数値(1,10,100)はATA濃度(μmol/L)を意味し、
記号(c)は、クエン酸(クエン酸ナトリウム;Wako)を意味し、
記号(I)は、ヨード酢酸(Iodoacetate;Nakarai)を意味し、
記号(SO)は、SO 2−(MgSO;Wako)を意味し、
記号(Zn)は、Zn2+(ZnCl;Wako)を意味し、
記号(S)は、スペルミン(Wako)を意味する。
表16において、
記号(B)は、β−ブチロラクトン(東京化成工業)を意味し、その下の数値(0.1,1.0,10)はβ−ブチロラクトン濃度(mmol/L)を意味し、
記号(BD)は、1,3−ブタジエンジエポキシド(東京化成工業)を意味し、その下の数値(0.1,1.0,10)は1,3−ブタジエンジエポキシド濃度(mmol/L)を意味する。
また、記号「+」は、数が多いほど、λDNAの分解を阻害する活性が高いことを意味し、記号「−」は、λDNA分解の阻害活性がないことを意味し、記号「±」は、弱く阻害することを意味する。
《表15》
(G) (A) (C)(I)(SO)(Zn)(S)
1 10 100 1 10 100
MKN − − − ± ++ +++ ++ +++ ++ ++ +
HeLa − − − − − ++ − ++ + ± −
《表16》
(B) (BD)
0.1 1.0 10 0.1 1.0 10
MKN − − − − − −
HeLa − − − − − −
(8)環状二重鎖DNAの切断
各遠心上清について、環状二重鎖DNA(プラスミドpACYC184;ニッポンジーン,13-0220)の切断の有無を指標として、エンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼのいずれであるかを検討した。
MKN−28細胞由来の遠心上清及びHeLa細胞由来の遠心上清のいずれも、プラスミドpACYC184を分解し、エンドヌクレアーゼであると考えられる。
(9)分子量(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)
各遠心上清をゲル濾過クロマトグラフィーにより分画し、本発明のDNアーゼを精製すると共に、その分子量を決定した。条件は以下のとおりとした:
カラム:1.5cm(径)×75cm(高)のカラム(エコノカラム;Bio-Rad)を使用した。
ゲル:セファクリル(Sephacryl)S−300 HR(球状タンパク質分画範囲=1×10〜1.5×10;Amersham)を使用した。トータルゲルベッド(Total Gel Bed)を114.8mL[=(0.75cm)×3.14×65cm]とした。
緩衝液:PBS(pH7.2)
流速:0.4mL/min
画分:2mL/チューブ
分子量算出:市販のキット(Gel Filtration Calibration Kits;Amersham Bioscience)を使用した。分子量マーカーとしては、アルブミン(分子量67000)、オブアルブミン(分子量43000)、及びキモトリプシノーゲンA(分子量25000)を用いた。
分画終了後、各画分のλDNA分解能を指標として各画分の力価を測定して、本発明のDNアーゼが含まれるピーク画分を決定した。
MKN−28細胞由来の遠心上清を用いた場合には、No.25及びNo.26画分がピーク画分であり、その分子量は48〜43kDaであった。
HeLa細胞由来の遠心上清を用いた場合には、No.25画分がピーク画分であり、その分子量は63kDaであった。
《実施例7:MKN−28細胞由来遠心上清含有リポソーム製剤のMKN−28細胞増殖抑制効果、リポソームの細胞毒、反応緩衝液、及びそのpHに関する評価》
実施例6に示したとおり、MKN−28細胞由来遠心上清はDNアーゼである。λDNA分解を指標とした電気泳動法で調べたMKN−28細胞由来遠心上清(MKN−28DNアーゼ)の至適pHは酸性(pH3.0〜4.5)であった(前述)。培養細胞の増殖に影響を及ぼさない許容範囲内の酸性緩衝液を用いてMKN−28DNアーゼ含有リポソーム製剤を作製し、細胞増殖抑制効果を調べた。
リポソームは、ホスファチジルコリン(L-α-phosphatidylcholine,卵黄由来;Nakarai)、ジセチルホスフェイト(dicetyl phosphate;sigma)、及びコレステロール(cholesterol;ICN Biochemical Inc.)を7:2:1(モル比)の割合で混合したクロロホルムを蒸散させることにより作製した。
具体的には、まず、ホスファチジルコリン70μmol、ジセチルホスフェイト20μmol、及びコレステロール10μmolをクロロホルム1mLに溶解した(7:2:1。100μmol/mL)。これをクロロホルムで16倍希釈(6.25μmol/mL)した後、サンプル瓶に50μLずつ分注した(0.3125μmol/瓶)。次いで、サンプル瓶を回転させながら窒素ガスを注入し、クロロホルムを蒸散させた後、減圧下で更にクロロホルムを蒸散させることにより、リポソーム薄層を調製した。このサンプル瓶に、DNアーゼを溶解した緩衝液(あるいは緩衝液のみ)500μLを加えた(0.3125μmol/500μL=0.625μmol/mL)。
リポソームにDNアーゼと共に封入する反応緩衝液として、等張性と組成成分を考慮して、PBSを使用した。PBS中のKHPOとNaHPOの混合比率を変えることにより、pH6.0とpH7.2の各緩衝液は容易に調製することができる。反応緩衝液としてPBSが適当であるか、また、PBSのpHの差によって細胞増殖抑制効果にどのような影響が生じるかを比較検討した。
濃縮用メンブレンフィルター(Amicon製)を用いて、MKN−28細胞由来遠心上清(MKN−28DNアーゼ)を濃縮し、pH6.0及び7.2の各PBSに置換した。先に調製したリポソーム薄層サンプル瓶に、PBS(pH6.0又は7.2)、あるいは、MKN−28DNアーゼ含有PBS(pH6.0又は7.2)500μLを加え、渦(vortex)撹拌した後、熱変性ヒトIgG(最終濃度=150μg/mL)を加え、37℃にて30分間インキュベートすることにより、熱変性IgGコート(Agg-IgG coated)MKN−28DNアーゼ含有リポソーム製剤(pH6.0及び7.2)を調製した。なお、熱変性ヒトIgGは、ヒトIgG(ヒトIgG Purified; Sigma Chemical Co.)15mgをリンゲル液1mLに溶解した後、60℃で10分間加熱することにより調製した。
熱変性IgGコート(Agg-IgG coated)MKN−28DNアーゼ含有リポソーム製剤(pH6.0)及び同製剤(pH7.2)のMKN−28細胞及び正常細胞としてのヒト胎児繊維芽細胞HEF(J. Infect. Dis., 163, 270-275, 1991)に対する増殖抑制効果をMTT法により評価した。
まず、96ウェルマイクロプレートに、GMで作製した熱変性IgGコートMKN−28DNアーゼ含有リポソーム製剤の希釈系列(原液、2倍、4倍、8倍、16倍、及び32倍希釈)を50μL/ウェルずつ分注した。次いで、5000細胞/50μLに調整したMKN−28細胞浮遊液又はHEF細胞浮遊液を、各ウェルに50μLずつ添加し、培養液を換えることなく、37℃のCOインキュベーターでそのまま培養し、培養4日後にMTT法によりIC50値を算出した。
なお、対照として、熱変性IgGコートMKN−28DNアーゼ含有リポソーム製剤の2倍希釈系列の代わりに、熱変性IgGコートリポソーム(MKN−28DNアーゼなし)の2倍希釈系列、MKN−28DNアーゼのみ(熱変性IgGコートリポソームなし)の2倍希釈系列、及び緩衝液(PBS,pH6.0又は7.2)を用いて同じ操作を行った。
結果を表17及び表18に示す。表17及び表18において、記号「LP-DN」、「LP(DNなし)」、「DN(LPなし)」、及び「PBSのみ」は、それぞれ、熱変性IgGコートMKN−28DNアーゼ含有リポソーム、熱変性IgGコートリポソーム(MKN−28DNアーゼなし)、MKN−28DNアーゼのみ(熱変性IgGコートリポソームなし)、及びPBS(緩衝液)のみを意味する。表17及び表18に示すIC50値は、2〜4回の実験の平均値である。表17は、癌培養細胞MKN−28に対する増殖抑制効果を示し、表18は、正常細胞としてのヒト胎児繊維芽細胞HEFに対する増殖抑制効果を示す。
《表17》
[MKN-28] LP-DN LP(DNなし) DN(LPなし) PBSのみ
pH 6.0 7.2 6.0 7.2 6.0 7.2 6.0 7.2
IC50値 24.5 26.0 4.3 3.5 15.0 15.0 2.7 2.5
《表18》
[HEF] LP-DN LP(DNなし) DN(LPなし) PBSのみ
pH 6.0 7.2 6.0 7.2 6.0 7.2 6.0 7.2
IC50値 4.0 3.8 3.5 3.2 <2.0 <2.0 <2.0 <2.0
MKN−28細胞に対するIC50値は、PBS(pH6.0)で作製した熱変性IgGコートMKN−28DNアーゼ含有リポソーム「LP-DN」が24.5であるのに対して、熱変性IgGコートリポソーム(MKN−28DNアーゼなし)「LP(DNなし)」では4.3であり、MKN−28DNアーゼのみ(熱変性IgGコートリポソームなし)「DN(LPなし)」では15.0であり、PBS(緩衝液)のみ「PBSのみ」では2.7であった。
また、PBS(pH7.2)で作製した熱変性IgGコートMKN−28DNアーゼ含有リポソームが26.0であるのに対して、熱変性IgGコートリポソーム(MKN−28DNアーゼなし)では3.5であり、MKN−28DNアーゼのみ(熱変性IgGコートリポソームなし)では15.0であり、PBS(緩衝液)のみでは2.5であった。
一方、HEF細胞に対するIC50値は、PBS(pH6.0)で作製した熱変性IgGコートMKN−28DNアーゼ含有リポソームでは4.0であり、熱変性IgGコートリポソーム(MKN−28DNアーゼなし)では3.5であり、MKN−28DNアーゼのみ(熱変性IgGコートリポソームなし)では<2.0であり、PBS(緩衝液)のみでは<2.0であった。
また、PBS(pH7.2)で作製した熱変性IgGコートMKN−28DNアーゼ含有リポソームでは3.8であり、熱変性IgGコートリポソーム(MKN−28DNアーゼなし)では3.2であり、MKN−28DNアーゼのみ(熱変性IgGコートリポソームなし)では<2.0であり、PBS(緩衝液)のみでは<2.0であった。
反応緩衝液としてPBSを使用した場合、MKN−28細胞に対して、pH6.0でIC50値は2.7、pH7.2でIC50値は2.5であり、HEF細胞に対して、pH6.0でIC50値は<2.0、pH7.2でIC50値は<2.0であった。この結果は、PBSは細胞に対する毒性がなく、反応緩衝液として優れており、また、PH6.0及び7.2で、IC50値にほとんど差がないことを示している。
また、リポソーム(DNアーゼなし)では、MKN−28細胞に対して、pH6.0でIC50値は4.3、pH7.2でIC50値は3.5であり、HEF細胞に対して、pH6.0でIC50値は3.5、pH7.2でIC50値は3.2であった。リポソーム濃度は、0.5μmol/L以下であり、従って、リポソーム濃度が0.5μmol/L以下なら細胞毒性は認められなかった。
また、DNアーゼ(リポソームなし)では、MKN−28細胞に対して、pH6.0でIC50値は15.0、pH7.2でIC50値は15.0であり、HEF細胞に対して、pH6.0でIC50値は<2.0、pH7.2でIC50値は<2.0であった。DNアーゼのみでも、MKN−28細胞増殖抑制効果を示すが、正常細胞としてのHEF細胞に対しては、全くHEF細胞増殖抑制効果を示さなかった。
リポソーム−DNアーゼでは、MKN−28細胞に対して、pH6.0でIC50値は24.5、pH7.2でIC50値は26.0であり、HEF細胞に対して、pH6.0でIC50値は4.0、pH7.2でIC50値は3.8であった。すなわち、リポソーム−DNアーゼは、MKN−28細胞に対して非常にIC50値を高いが、正常細胞であるHEF細胞に対しては、毒性がほとんど認められなかった。
また、IC50値は、リポソーム−DNアーゼ>DNアーゼ(リポソームなし)であり、DNアーゼをリポソームに封入することが効果的であった。
以上のとおり、本発明の有効成分の1つである前記遠心上清は、抗腫瘍剤の用途に適用することができる。また、リポソームとの複合体として抗腫瘍剤の用途に供することは、非常に効果的である。
《実施例8:細胞分裂と細胞増殖抑制効果との関係》
DNアーゼが癌細胞のDNAに作用するためには、DNアーゼと癌細胞のDNAとが直接接触することが必要である。細胞質内のDNアーゼがDNAに接触するためには、核膜の存在が両者の接触を阻害している。核膜がなくなるのは、細胞分裂期(M期)のみである。効率の高いDNアーゼの細胞増殖抑制活性効果を調べるため、各種培養細胞からM期の細胞を作製し、M期の細胞に対するDNアーゼ含有リポソームの抑制効果を調べた。
M期の細胞作製には、合成コルヒチンであるコルセミド(J. Radiat. Res., 14, 258-270, 1971)を用いることとし、M期の生細胞収集のための至適条件、及びMTT法による細胞増殖抑制効果評価のための条件を検討した。
具体的には、25cm培養フラスコ(Falcon, 3014, 50mL)で細胞を培養し、培養3日目の細胞(モノレイヤー完成)を、洗浄後、0.025μg/mLコルセミド(ナカライ,09356-74)含有増殖培地へ交換し、37℃で6時間インキュベートした。細胞を軽く洗浄した後、培養フラスコをゆるやかに振盪(gentle shaking)し、脱落細胞を集めた。集めた細胞を培地(GM)で遠心洗浄して、コルセミドを除去した後、増殖培地に懸濁して、培養を開始した。
顕微鏡観察による分裂期細胞(mitotic cell)の経時的出現について、表19に示す。なお、分裂期細胞の出現は、球状細胞(round cell)の出現を指標とした。すなわち、培養細胞の多くは、ガラス面に接着して薄く広がっているが、分裂期に入ると、球形化してガラス面から浮きやすくなる性質があるため、丸まってモノレイヤーから脱落しそうな細胞の出現を指標にした。
表19に示す記号「−」は、球状細胞の出現が全細胞の0%であることを意味し、「±」は、球状細胞の出現が5%未満であることを意味し、「+」は、球状細胞の出現が5%以上30%未満であることを意味する。また、「球状細胞数/フラスコ」欄の括弧内の数字は、トレパンブルー染色陽性細胞数である。
《表19》
球状細胞の出現 球状細胞数/フラスコ
細胞 1hr 2hr 3hr 4hr 5hr
MKN-28 − ± + + + 9.3万(0)
MRC-5 − ± + + + 15.3万(0)
コルセミド処理細胞の回収率(処理後回収細胞数/処理前細胞数)は、MKN−28細胞で1.4%(9.3万/630万)であり、MRC−5細胞で29%(15.3万/52万)であった。
次に、分裂期細胞の増殖能を、0.025μg/mLコルセミド、37℃、6時間処理により得られた細胞を96ウェルプレートに播くことにより調べた。具体的には、MKN−28細胞については、1ウェル当たりの細胞数が、9300、4650、2325、及び1162個となるように播き、37℃にて5日間培養して観察したところ、9300細胞/ウェル又はそれよりやや多い細胞数が、MTTアッセイには好ましいことが判明した(増殖能が幾分低下していた)。また、MRC−5細胞では、15300、7650、3825、及び1912細胞/ウェルで実施したところ、繊維芽細胞特有のモノレイヤーを形成しなかった(細胞は増殖するが、乱れが見られる)が、7650又は3825細胞/ウェルでMTTアッセイが成立すると思われる。
これまでの結果をまとめると、今までのMTTアッセイは、主に、5000細胞/ウェル、37℃、4日培養の条件で実施していたが、コルセミド処理して得られる分裂期細胞の場合には、MKN―28細胞では10000細胞/ウェルで、MRC−5細胞では8000細胞/ウェルでMTTアッセイを実施することが好ましいと考えられる。なお、MKN―28細胞では、通常の培養細胞(すなわち、コルセミド非処理)の増殖能と比較すると、増殖能が低下しており、培養3〜4日目では死細胞も認められた。また、MRC−5細胞では、増殖能が低下しているだけでなく、細胞増殖性に乱れがあり、完全なモノレイヤーを形成しなかった。以下の実験では、前記条件でMTTアッセイを実施した。
《実施例9:MKN−28細胞由来精製DNアーゼを含有するリポソーム製剤の各種細胞に対する増殖抑制効果の評価》
本実施例では、実施例1で調製した各種癌培養細胞及び正常細胞由来の遠心上清を、実施例2で示す手順でセファクリルS−300HRにより精製し、更に、実施例3で示す手順でイオン交換クロマトグラフィーにより精製して得られたMKN−28細胞由来精製DNアーゼを用いて、リポソーム製剤を調製し、そのMKN−28細胞増殖抑制効果を評価した。
具体的には、MKN−28細胞由来精製DNアーゼとして、実施例3で得られたDNアーゼ活性のピーク画分、すなわち、No.5画分[50mmol/L−Tris−HCl(pH7.5)+0.08mol/L−NaCl]及びNo.6画分[50mmol/L−Tris−HCl(pH7.5)+0.10mol/L−NaCl]を使用した。リポソームは、実施例7に記載の手順に従って調製した。但し、実施例7では、DNアーゼとして実施例1で得られた遠心上清を使用したが、本実施例では、実施例3で得られた精製DNアーゼを使用した。また、実施例7では、反応緩衝液としてPBSを使用したが、本実施例では、50mmol/L−Tris−HCl(pH7.5)+0.08mol/L−NaClを使用した。MTT法も実施例7と同様に行った。
得られた熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソーム製剤(懸濁液)中に含まれる精製MKN−28DNアーゼ量は、17ユニット/100μLであった。なお、1ユニットは、1μgのλDNAを37℃で1時間処理することにより完全に分解することのできるDNアーゼ量である。リポソーム製剤中のDNアーゼ量は、リポソーム製剤100μLを遠心操作によりその上清を除去した後、0.2%トリトン(Triton)X−100含有PBS溶液100μLを添加することによりリポソームを溶解し、その状態でλDNA分解能を評価することにより決定した。なお、トリトンX−100がDNアーゼ活性に影響を与えないことは予め確認した。
本実施例では、精製MKN−28DNアーゼのMKN−28細胞及びMRC−5細胞に対する増殖抑制活性を、セルサスペンジョン(cell-suspension)法及びモノレイヤー法により評価した。
セルサスペンジョン法では、まず、GMで作製した熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームの希釈系列(原液、2倍、4倍、8倍、16倍、及び32倍希釈)を50μL/ウェルずつ分注した。次いで、5000細胞/50μLに調整したMKN−28細胞浮遊液又はMRC−5細胞浮遊液を、各ウェルに50μLずつ添加し、37℃のCOインキュベーターで培養し、培養4日後にMTT法によりIC50値を算出した。
また、対照として、熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームの2倍希釈系列の代わりに、熱変性IgGコートリポソーム(精製MKN−28DNアーゼなし)の2倍希釈系列、精製MKN−28DNアーゼ(熱変性IgGコートリポソームなし)の2倍希釈系列、又は反応緩衝液を用いて、同じ操作を繰り返した。
モノレイヤー法では、96ウェルマイクロプレートに、5000細胞/100μLに調整したMKN−28細胞又はMRC−5細胞を、1ウェル当たり100μLずつ分注し、37℃で培養した。培養20時間後、培養液を除去したウェルに、GMで作製した熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームの2倍希釈系列(2倍、4倍、8倍、16倍、及び32倍希釈)を100μLずつ添加し、37℃で培養した。培養4日後に、MTT法によりIC50値を算出した。
また、対照として、熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームの2倍希釈系列の代わりに、熱変性IgGコートリポソーム(精製MKN−28DNアーゼなし)の2倍希釈系列、精製MKN−28DNアーゼ(熱変性IgGコートリポソームなし)の2倍希釈系列、又は反応緩衝液(0.8mol/L−NaCl含有0.5mmol/L−Tris−HCl,pH7.5)を用いて、同じ操作を繰り返した。
結果を表20に示す。
《表20》
細胞 LP-DN LP(DNなし) DN(LPなし) 緩衝液
MKN-28 サスペンジョン法 5.3 2.7 2.7 2.8
モノレイヤー法 <2.0 2.6 2.0 2.4
MRC-5 サスペンジョン法 <2.0 <2.0 <2.0 <2.0
モノレイヤー法 <2.0 <2.0 <2.0 <2.0
表20に示すとおり、MKN−28細胞に関して、セルサスペンジョン法では、熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソーム[LP-DN]のIC50値は5.3であり、熱変性IgGコートリポソーム(精製MKN−28DNアーゼなし)[LP(DNなし)]のIC50値は2.7であり、精製MKN−28DNアーゼ(熱変性IgGコートリポソームなし)[DN(LPなし)]のIC50値は2.7であり、反応緩衝液のみではIC50値は2.8であった。明らかに、熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームは、MKN−28細胞に対して増殖抑制効果があった。一方、モノレイヤー法では、細胞増殖効果は認められなかった。それに対して、正常細胞としてのMRC−5細胞では、セルサスペンジョン法及びモノレイヤー法のいずれにおいても、IC50値は<2.0であり、増殖抑制効果は認められなかった。
リポソーム濃度は、0.5μmol/L以下で、先述したとおり、0.5μmol/L以下ではほとんどリポソームは細胞毒性が認められないことより、リポソーム濃度と関係ないと思われた。
《実施例10:熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームのM期細胞に対する増殖抑制効果》
細胞増殖抑制効果を高めるために、核膜が消失する細胞分裂期、いわゆるM期に細胞をすることによってDNAとDNアーゼがより容易に接触することができるようにすることにした。すなわち、実施例8で示したとおり、合成コルヒチンであるコルセミド処理することにした。
具体的には、培養3日目のMKN−28細胞又はMRC−5細胞を0.025μg/mLコルセミド含有の増殖培地へ交換し、37℃にて6時間インキュベートした。緩やかに振盪することにより脱落した細胞を集め、コルセミドを含まない通常の増殖培地で洗浄した後、96ウェルマイクロプレートに、GMで作製した熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームの2倍希釈系列(原液、2倍、4倍、8倍、16倍、及び32倍希釈)を50μL/ウェルずつ分注した。次いで、10000細胞/50μLに調整したMKN−28(M期)細胞浮遊液、あるいは、8000細胞/50μLに調整したMRC−5(M期)細胞浮遊液を各ウェルに50μLずつ添加し、37℃にてCOインキュベーターで培養した。培養4日後、MTT法によりIC50値を算出した。
また、対照として、熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソームの2倍希釈系列の代わりに、熱変性IgGコートリポソーム(精製MKN−28DNアーゼなし)の2倍希釈系列、精製MKN−28DNアーゼ(熱変性IgGコートリポソームなし)の2倍希釈系列、又は反応緩衝液を用いて、同じ操作を繰り返した。
結果を表21に示す。
表21に示すとおり、コルセミド処理したMKN−28細胞に関して、熱変性IgGコート精製MKN−28DNアーゼ含有リポソーム[LP-DN]のIC50値は9.3であり、細胞増殖抑制効果が認められた。それに対して、正常細胞としてのMRC−5細胞では、IC50値は<2.0であり、増殖抑制効果は認められなかった。
以上のとおり、本発明のDNアーゼは、抗腫瘍剤の用途に適用することができる。また、リポソームとの複合体として抗腫瘍剤の用途に供することが効果的である。更に、コルセミドと併用することも効果的である。
《表21》
細胞 LP-DN LP(DNなし) DN(LPなし) 緩衝液
MKN-28 サスペンジョン法 9.3 5.0 4.5 2.8
MRC-5 サスペンジョン法 <2.0 <2.0 <2.0 <2.0
《実施例11:熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソームの増殖抑制効果の評価》
本実施例では、MKN−28DNアーゼの代わりに制限酵素XspIを使用し、実施例7に記載の手順に準拠して、制限酵素XspI含有リポソーム製剤を調製し、その細胞増殖抑制効果をMTT法(セルサスペンジョン法又はモノレイヤー法)を用いて評価した。評価細胞としては、ヒト由来肺癌培養細胞A549(RCB0098,理化学研究所、又はATCC CCL185,ATCC)、ヒト由来胃癌培養細胞MKN−28、及び正常細胞としてのヒト由来胎児肺繊維芽細胞MRC−5を使用した。
なお、プロト癌遺伝子N−ras、Ha−ras、及びKi−rasは、いずれも、11番目及び12番目のコドンがGCT(Ala)及びGGT(Gly)であり、A549細胞では、GCT(Ala)及びAGT(Ser)と変化している。A549細胞における前記塩基配列GCTAGT中の配列「CTAG」は、制限酵素XspIの切断認識配列「C:TAG」(記号「:」は切断箇所を示す)である。また、MKN−28細胞の原因変異は同定されていない。
結果(IC50値)を表22及び表23に示す。表22は、希釈倍数によるIC50値を示し、表23は、単位:XspIユニット/ウェル/100μLによるIC50値を示す。表22及び表23において、記号「LP-Xsp」、「LP(Xspなし)」、「Xsp(LPなし)」、及び「RBのみ」は、それぞれ、熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソーム、熱変性IgGコートリポソーム(制限酵素XspIなし)、制限酵素XspIのみ(熱変性IgGコートリポソームなし)、及び反応緩衝液[20mmol/L−Tris−HCl(pH8.5),10mmol/L−MgCl,1mmol/L−DTT,100mmol/L−KCl]のみを意味する。
《表22》
IC 50 値(希釈倍数)
細胞 LP-Xsp LP(Xspなし) Xsp(LPなし) RB
A549 サスペンジョン法 12.0 6.2 11.5 5.0
モノレイヤー法 4.7 3.5 4.3 3.4
MKN-28 サスペンジョン法 7.3 <2.0 7.2 <2.0
モノレイヤー法 15.0 2.9 19.0 5.2
MRC-5 サスペンジョン法 3.0 <2.0 2.2 2.0
モノレイヤー法 2.6 <2.0 2.4 2.4
《表23》
IC 50 値(XspI units/well/100μL)
細胞 LP-Xsp LP(Xspなし) Xsp(LPなし) RB
A549 サスペンジョン法 0.68 1.35 0.68 1.6
モノレイヤー法 1.7 2.3 1.9 2.3
MKN-28 サスペンジョン法 1.25 >4.0 1.27 >4.0
モノレイヤー法 0.6 2.6 0.4 1.5
MRC-5 サスペンジョン法 2.95 >4.0 3.5 4.0
モノレイヤー法 3.0 >4.0 3.2 3.2
表22に示すとおり、ヒト由来肺癌培養細胞A549に対して、セルサスペンジョン法では、熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソームのIC50値は12.0であり、制限酵素XspIのみのIC50値は11.5であり、いずれも細胞増殖抑制効果を示した。
また、ヒト由来胃癌培養細胞MKN−28に対して、セルサスペンジョン法では、熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソームのIC50値は7.3であり、制限酵素XspIのみのIC50値は7.2であり、また、モノレイヤー法では、熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソームのIC50値は15.0であり、制限酵素XspIのみのIC50値は19.0であり、いずれも細胞増殖抑制効果を示した。
一方、正常細胞であるMRC−5細胞に対しては、熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソームの場合も、制限酵素XspIのみの場合も、ほとんど細胞増殖抑制活性は認められず、本発明の抗腫瘍剤は、正常細胞に作用しないことが判明した。
《実施例12:熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソームのM期細胞に対する増殖抑制効果》
実施例10に記載の方法に準拠して、熱変性IgGコート制限酵素XspI含有リポソームのM期細胞に対する増殖抑制効果を評価した。結果を表24及び表25に示す。
表24及び表25に示すとおり、本発明の抗腫瘍剤は、ヒト由来肺癌培養細胞A549及びヒト由来胃癌培養細胞MKN−28に対して細胞増殖抑制効果を示す一方、正常細胞に作用しないことが判明した。
《表24》
IC 50 値(希釈倍数)
細胞 LP-Xsp LP(Xspなし) Xsp(LPなし) RB
A549 サスペンジョン法 8.3 3.7 6.0 3.4
MKN-28 サスペンジョン法 12.0 4.6 7.9 3.0
MRC-5 サスペンジョン法 2.5 <2.0 2.7 2.0
《表25》
IC 50 値(XspI units/well/100μL)
細胞 LP-Xsp LP(Xspなし) Xsp(LPなし) RB
A549 サスペンジョン法 0.94 2.3 1.3 2.2
MKN-28 サスペンジョン法 0.65 1.65 1.2 2.6
MRC-5 サスペンジョン法 3.0 >4.0 2.9 4.0
本発明のDNアーゼは、抗腫瘍剤の用途に適用することができる。

Claims (5)

  1. 下記の性質を有する、ヒト由来胃癌培養細胞MKN−28由来のDNアーゼ。
    (a)作用及び基質特異性:エンドヌクレアーゼ活性を有する。
    (b)分子量:48〜43kDa(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)
    (c)至適pH:pH3.0〜4.5である。
    (d)熱安定性:100℃での10分間の加熱によっても、エンドヌクレアーゼ活性が失活しない。
    (e)プロテナーゼKとの反応性:37℃での15分間の反応により、エンドヌクレアーゼ活性が失活する。
  2. 下記の性質を有する、ヒト由来子宮頚癌培養細胞HeLa由来のDNアーゼ。
    (a)作用及び基質特異性:エンドヌクレアーゼ活性を有する。
    (b)分子量:63kDa(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)
    (c)至適pH:pH3.0〜4.5である。
    (d)熱安定性:100℃での10分間の加熱により、エンドヌクレアーゼ活性が失活する。
    (e)プロテナーゼKとの反応性:37℃での15分間の反応によっても、エンドヌクレアーゼ活性は失活しない。
  3. 請求項1又は2に記載のDNアーゼを有効成分として含有する抗腫瘍剤。
  4. 前記DNアーゼをリポソームとの複合体として含有する、請求項3に記載の抗腫瘍剤。
  5. 熱変性免疫グロブリンGを更に含有する、請求項4に記載の抗腫瘍剤。
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