JP3986991B2 - 放電可能容量検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、放電可能容量検出方法に係わり、特に、バッテリの放電可能容量を検出する放電可能容量検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両に搭載されるバッテリを例に取ると、特にモータを唯一の推進駆動源とする電気自動車においては、一般のエンジンを推進駆動源とする車両におけるガソリンに相当するものであることから、バッテリがどの程度充電されているのかを認識しておくことは、車両の正常な走行を確保する上で非常に重要である。
【0003】
このため従来では、バッテリがどの程度充電されているかを認識するために、バッテリの開回路電圧を検出したり、この開回路電圧から下記のSOC(State Of Charge)を検出していた(例えば特許文献1)。
SOC(%)={(OCV0−OCVe)/(OCVf−OCVe)}×100
但し、OCV0は現在のバッテリの開回路電圧、OCVfは満充電状態の開回路電圧を示す。また、OCVeは放電終止状態の開回路電圧であり、この開回路電圧以下ではバッテリを使用することができない。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−303658公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したSOCは、バッテリに蓄えられた電気量(クーロン量)に相当するものであり、実際に利用する際、その電気量を全て利用することはできない。その理由は、放電電流を流すとバッテリの内部抵抗による電圧降下が発生するからである。内部抵抗としては、バッテリの純抵抗、濃度分極、活性化分極などがある。そして、その降下量は、SOC(%)、放電電流の大きさ、放電時間、温度によって変化し、降下量が大きくなればなるほど放電できる電気量は小さくなる。
【0006】
従来考えられているSOC(%)は、この電圧降下量が考慮されていないため、OCV0がOCVeと等しくなって、SOC=0になる前に、放電時にバッテリの端子電圧がOCVe以下となり、放電することができなくなっていた。そこで、SOCの余裕を考慮せねばならず、しかも、そのSOCの余裕度も理論的なものではないため、SOCの監視だけでは、バッテリの状態を正確に把握することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、バッテリの状態を正確に把握することができるようになる放電可能容量検出方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、任意の充電容量のバッテリに、任意の放電電流が流れているときの前記バッテリの端子電圧に基づいて放電可能容量を検出する方法であって、放電開始時の前記バッテリの平衡状態の開回路電圧をOCV0、放電終止状態における前記バッテリの平衡状態の開回路電圧をOCVe、満充電状態における前記バッテリの平衡状態の開回路電圧をOCVf、前記任意の放電電流をI、前記任意の放電電流が流れている前記バッテリの飽和分極抵抗と純抵抗とにより生じる電圧降下分をVm、前記バッテリの放電終止状態における基準抵抗をR 0 、前記バッテリの満充電状態における基準抵抗をR 100 としたとき、放電に応じて、下記の式によって放電可能容量(%)を求める
{(OCV0−Vm)−(OCVe−I×R 0 )}/{(OCVf−I×R 100 )−(OCVe−I×R 0 )}×100(%)
ことを特徴とする放電可能容量検出方法に存する。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、放電終止状態におけるバッテリの平衡状態の開回路電圧から任意の放電電流が流れているバッテリの放電終止状態における基準抵抗に生じる電圧降下分を減じた放電終止電圧を0%としたときの、任意の充電容量のバッテリに、任意の放電電流が流れているときのバッテリの端子電圧の相対値を放電可能容量(%)として求めることができる。従って、バッテリに蓄えられた充電容量のうち、実際に利用することができる容量を表す放電可能容量(%)を求めることができる。しかも、上記のように放電終止電圧を定めることにより、放電電流が増加して、バッテリの基準抵抗成分による電圧降下分が増加しても、その分、放電終止電圧も下がるため、端子電圧と放電終止電圧との差分が小さくなることなく、放電可能容量(%)が減少するということがなくなる。逆に、バッテリ内部抵抗が基準抵抗に対して増加すると、その分、端子電圧と放電終止電圧との差分が小さくなって放電可能容量(%)が減少する。つまり、基準抵抗による電圧降下が放電可能容量(%)の減少要因とならない。
【0011】
また、請求項1記載の発明によれば、放電終止状態におけるバッテリの平衡状態の開回路電圧から任意の放電電流が流れているバッテリの放電終止状態における基準抵抗に生じる電圧降下分を減じた放電終止電圧を100%としたときの、任意の充電容量のバッテリに、任意の放電電流が流れているときの前記バッテリの端子電圧の相対値を放電可能容量(%)として求めることができる。従って、上記のように満充電電圧を定めることにより、放電電流が増加して、バッテリの基準抵抗成分による電圧降下分が増加しても、その分、満充電電圧も放電終止電圧も下がるため、放電可能容量(%)が減少することがない。逆に、バッテリ内部抵抗が基準抵抗に対して増加すると、その分、放電可能容量(%)が減少する。つまり、基準抵抗による電圧降下が放電可能容量(%)の減少要因とならない。
【0013】
また、請求項1記載の発明によれば、{(OCV0−Vm)−(OCVe−I×R0)}/{(OCVf−I×R100)−(OCVe−I×R0)}×100(%)により放電可能容量(%)を求める。従って、バッテリの開回路電圧を用いて簡単に放電可能容量(%)を求めることができる。
【0022】
請求項2載の発明は、請求項1に記載の放電可能容量検出方法であって、前記基準抵抗とは、当該充電状態を有する新品バッテリの純抵抗の設計値に相当する
ことを特徴とする放電可能容量検出方法に存する。
【0023】
請求項2載の発明によれば、基準抵抗とは、その充電状態を有する新品バッテリの純抵抗の設計値に相当する。従って、バッテリのそのときの充電状態に対する新品バッテリの純抵抗の設計値である基準抵抗による電圧降下分が、放電可能容量(%)や放電可能容量(A・h)の減少要因にならない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による放電可能容量検出方法及びバッテリ状態監視方法を、図面に基づいて説明するが、その前に、図2〜図8を参照して車両用バッテリの純抵抗測定方法を説明する。
【0027】
ところで、バッテリが搭載され、バッテリから電力供給されて動作する車両負荷として、12V車、42V車、EV車、HEV車には、スタータモータ、モータジェネレータ、走行用モータなどの大電流を必要とする定負荷が搭載されている。例えば、スタータモータ又はこれに類する大電流定負荷をオンしたとき、定負荷には、その駆動開始の初期の段階で突入電流が流れた後、負荷の大きさに応じた定常値の電流が流れるようになる。因みに、負荷がランプである場合には、突入電流に相当するものをラッシュ電流と呼ぶこともある。
【0028】
スタータモータとして直流モータを使用している場合、界磁コイルに流れる突入電流は、図2に示すように、定負荷駆動開始直後の例えば3ミリ秒という短時間内に、ほぼ0から定常電流に比べて何倍も大きなピーク値、例えば500(A)まで単調増加した後、このピーク値から例えば150ミリ秒という短時間内に定負荷の大きさに応じた定常値まで単調減少するような流れ方をし、バッテリから放電電流として供給される。したがって、定負荷に突入電流が流れる状況で、バッテリの放電電流とこれに対応する端子電圧を測定することによって、0からピーク値に至る広い範囲の電流変化に対する端子電圧の変化を示すバッテリの放電電流(I)−端子電圧(V)特性を測定することができる。
【0029】
そこで、スタータモータをオンしたときに流れる突入電流に相当する模擬的な放電として、0からほぼ200Aまで0.25秒かけて増加し、同じ時間をかけてピーク値から0まで減少する放電を電子負荷を使用してバッテリに行わせ、そのときのバッテリの放電電流と端子電圧とを対にして短い一定周期で測定し、これによって得た測定データ対を横軸に放電電流、縦軸に端子電圧をそれぞれ対応させてプロットして図3に示すグラフを得た。図3のグラフに示す放電電流の増加時と減少時の電流−電圧特性は、最小二乗法を用いて以下のような二次式に近似できる。
V=a1I2 +b1I+c1 ……(1)
V=a2I2 +b2I+c2 ……(2)
なお、図中には、二次の近似式の曲線も重ねて描かれている。
【0030】
図3中において、電流増加方向の近似曲線の切片と電流減少方向の近似曲線の切片の電圧差(c1-c2)は、電流が流れていない0(A)の時の電圧差であるため、放電によって新たに発生した濃度分極成分のみによる電圧降下と考えられる。従って、この電圧差(c1-c2)は、濃度分極のみによるものであり、この電流0(A)点の濃度分極をVpolc0 とする。また、任意の濃度分極は、電流の大きさに電流の流れた時間を乗じて積算したもの、すなわちAh(短時間なので、以下Asec で表す)に比例すると考えられる。
【0031】
次に、この電流0(A)点の濃度分極Vpolc0を利用して電流ピーク値の濃度分極を算出する方法を説明する。今、電流ピーク値の濃度分極をVpolcpとすると、Vpolcpは次式のように表される。
Vpolcp=[(電流増加時のAsec)/(放電全体のAsec)]×Vpolc0……(3)
なお、放電全体のAsecは次式で表される。
放電全体のAsec=(電流増加時のAsec+電流減少時のAsec)
【0032】
上述のようにして求めたピーク値における濃度分極Vpolcpを式(1)の電流増加方向のピーク値における電圧に加算して、図4に示すように、ピーク値における濃度分極成分を削除する。なお、ピーク値における濃度分極成分を削除した後の電圧をV1とすると、V1は次式で表される。
V1=a1Ip2+b1Ip+c1+Vpolcp
Ipはピーク値における電流値である。
【0033】
次に、電流増加方向の近似曲線に対し図4で示すような純抵抗と活性化分極だけの電圧降下曲線を定めその近似式を仮に次式で表す。なお、活性化分極による電圧降下は電荷移動過電圧とも言われる。
V=a3I2+b3I+c3 ……(4)
【0034】
放電開始前である電流が0(A)の点は、活性化分極も濃度分極もc1を基準にして分極を考えているため、式(1)より、c3=c1である。また、電流増加の初期状態から電流は急激に増加するが、濃度分極の反応は遅く、反応がほとんど進行していないとすると、式(1)および(4)の電流が0(A)の点の微分値は等しくなるので、b3=b1である。従って、c3=c1、b3=b1を代入することで、式(4)は
V=a3I2+b1I+c1 ……(5)
と書き直され、未知数はa3のみとなる。
【0035】
次に、式(5)に電流増加のピーク値の座標(Ip、V1)を代入してa3について整理すると、次式が求められる。
a3=(V1−b1Ip−c1)/Ip2
従って、純抵抗と活性化分極だけの近似式(4)が式(5)によって決定される。
【0036】
一般に、純抵抗は化学反応にて生じるものでないので、バッテリの充電状態(SOC)、温度などが変わらなければ一定であるので、1回のスタータモータ作動の間は一定であるといえる。これに対し、活性化分極による電圧降下は、イオン、電子の受渡しの際の化学反応に伴って生じる電圧降下であるので、濃度分極と相互に影響し合うこともあって、活性化分極の電流増加曲線と電流減少曲線は完全に一致しないことから、式(5)は濃度分極による電圧降下を除いた純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流増加方向の曲線であるということができる。
【0037】
続いて、電流減少曲線からの濃度分極成分の削除の仕方を、図5により説明する。純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流減少方向の曲線の関係式から濃度分極成分の削除は、電流ピーク値における濃度分極成分の削除と同様の方法で可能である。ピーク値以外の2点をA点およびB点とし、各点における濃度分極VpolcA 、VpolcB を次式のようにして求める。
VpolcA =[(電流増加開始からA点までのAsec )/(放電全体のAsec )]×Vpolc0 ……(6)
VpolcB =[(電流増加開始からB点までのAsec )/(放電全体のAsec )]×Vpolc0 ……(7)
【0038】
上式(6)および(7)によって、ピーク値以外に濃度分極成分を削除した2点が求まったら、この2点とピーク値との3点の座標を利用して次式で表される、図5に示すような、純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流減少方向の曲線が求められる。
V=a4I2 +b4I+c4 ……(8)
なお、式(8)の係数a4、b4、c4は、2点A及びBとピーク点の電流値と電圧値とを、式(8)にそれぞれ代入して立てた3点の連立方程式を解くことによって決定できる。
【0039】
次に、バッテリの純抵抗の算出の仕方を説明する。上式(5)で表される濃度分極成分を削除した純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流増加方向の曲線と、式(8)で表される同じく濃度分極成分を削除した純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流減少方向の曲線との相違は、活性化分極成分の相違によるものであるので、活性化分極成分を除けば純抵抗が求められる。
【0040】
ところで、活性化分極成分が互いに等しい値となる両曲線のピーク値に着目し、ピーク値での電流増加の微分値R1と電流減少の微分値R2とを次式によって求める。
R1=2×a3×Ip +b3 ……(10)
R2=2×a4×Ip +b4 ……(11)
【0041】
上式によって求められる微分値R1およびR2の差は、一方が活性化分極成分の増加方向でのピーク値であるのに対し、他方が減少方向でのピーク値であることに起因する。そして、突入電流に相当する模擬的な放電として、0から200Aまで0.25秒かけて増加し、同じ時間をかけてピーク値から0まで減少する放電を電子負荷を使用してバッテリに行わせた場合には、ピーク値近傍での両者の変化率が等しく、両者の中間に純抵抗による電流−電圧特性が存在すると理解できるので、両微分値を加算して2で割ることによって、純抵抗Rを次式によって求めることができる(この例では、両微分値を時間比率で案分した値と2で割った値は等しい)。
R=(R1+R2)/2
【0042】
以上は、突入電流に相当する模擬的な放電を電子負荷を使用してバッテリに行わせた場合について説明したが、実車両の場合には、上述したようにスタータモータとして直流モータを使用しているとき、界磁コイルに突入電流が流れている間に電流はピークに達し、クランキングはピークに達した後ピーク電流の半分以下に低下した電流で作動している。
【0043】
従って、電流増加方向は3ミリ秒(msec)という短時間で終了してしまい、電流増加ピーク値ではほとんど濃度分極が発生しない早い電流の変化であるが、電流減少方向は電流増加方向に比べて150msecという長い時間電流が流れるので、大きな濃度分極が発生する。
【0044】
このような状況で、実車両では、図6に示すように、電流増加方向は電流増加開始点とピーク値の2点間を結ぶ直線にて近似することができ、しかもこのピーク値500(A)での濃度分極の発生は0(A)と近似することも可能である。この場合には、電流増加方向については、ピーク値の微分値としては、電流増加方向の近似直線の傾きを使用することになる。
【0045】
ただし、このような場合には、電流増加方向の近似直線の傾きと、電流減少方向の二次の近似式のピーク点における接線の傾きとを単純に加算平均することはできない。何故ならば、このような状況では、ピーク点までとそれ以降で、活性化分極の発生度合いが全く異なり、ピーク値近傍での両者の変化率が等しくなるという前提が成立しなくなるからである。
【0046】
このような場合には、純抵抗を求めるに当たって、濃度分極による電圧降下を除いた第1及び第2の近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値、すなわち、傾きに、突入電流が流れている総時間に占める単調増加期間及び単調減少期間の時間の割合をそれぞれ乗じた上で加算すればよい。すなわち、総時間を単調増加及び単調減少にそれぞれ要した時間で比例按分した按分率を各傾きに乗じた上で加算することになる。このようにすることによって、活性化分極と濃度分極とが相互に影響し合うことを考慮して純抵抗を求めることができる。
【0047】
すなわち、活性化分極は原則電流値に応じた大きさのものが生じるが、その時々の濃度分極に左右され、原則通りには生じることにならず、濃度分極が小さければ活性化分極も小さくなり、大きければ大きくなる。何れにしても、濃度分極による電圧降下を除いた2つの近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値をバッテリの純抵抗の値として測定することができる。
【0048】
また、最近の車両では、モータとしては、マグネットモータなどのDCブラッシレスなどの三相入力を必要とする交流モータが使用されることが増えてきている。このようなモータの場合、突入電流はそれ程早く短時間にピーク値に達することがなく、100msecほどの時間を要し、電流増加方向においても濃度分極が発生するので、上述した模擬的な放電の場合と同様に、電流増加方向は曲線近似することが必要になる。
【0049】
また、純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流減少方向の曲線を近似をする場合、ピーク値とこれ以外の2点を定める際、図7に示すように、B点として電流0(A)の点を使用すると、近似式を求める際の計算を簡略化することができる。
【0050】
さらに、例えば、ピーク電流の1/2程度の電流値に対応する点に濃度分極の削除した点を定めた場合、図8に示すように、この点とピーク値の2点を結ぶ直線に一次近似してもよい。この場合、電流減少方向については、ピーク値の微分値としては、電流減少方向の近似直線の傾きを使用することになるが、二次曲線を使用したものと変わらない、精度のよい純抵抗が求められる。
【0051】
以上要するに、濃度分極による電圧降下を除いた2つの近似式のピーク値に対応する点における単位電流変化当たりの2つの端子電圧変化の値の中間の値をバッテリの純抵抗の値として測定することができる。
【0052】
そこで、車載バッテリの純抵抗測定方法を、定負荷として、増加する放電電流及び減少する放電電流のいずれにおいても濃度分極の発生を伴う突入電流が流れる、例えばスタータモータが使用されている場合について具体的に説明する。
【0053】
定負荷が動作されると、バッテリからは定常値を越えて単調増加しピーク値から定常値に単調減少する放電電流が流れる。このときのバッテリの放電電流と端子電圧とを、例えば100マイクロ秒(μsec)の周期にてサンプリングすることで周期的に測定し、バッテリの放電電流と端子電圧との組が多数得られる。
【0054】
このようにして得られたバッテリの放電電流と端子電圧との組の最新のものを、所定時間分、例えばRAMなどの書換可能な記憶手段としてのメモリに格納、記憶して収集する。メモリに格納、記憶して収集した放電電流と端子電圧との組を用いて、最小二乗法により、端子電圧と放電電流との相関を示す増加する放電電流及び減少する放電電流に対する電流−電圧特性について、式(1)及び(2)に示すような2つの近似式を求める。次に、この2つの近似式から濃度分極による電圧降下を削除し、濃度分極成分を含まない、修正した近似式を求める。
【0055】
このために、まず、式(1)及び(2)の近似式の電流が流れていない0(A)の時の電圧差を、純抵抗と活性化分極による電圧降下はなく、濃度分極によるものであるとして求める。また、この電圧差を利用して、増加する放電電流についての電流−電圧特性の近似式(1)上の電流ピーク値での濃度分極成分による電圧降下を求める。このために、濃度分極は、電流の大きさに電流の流れた時間を乗じた電流時間積によって変化していることを利用する。
【0056】
増加する放電電流についての電流−電圧特性の近似式上の電流ピーク値での濃度分極による電圧降下が求まったら次に、濃度分極成分の含まない近似式と含む近似式のいずれも定数及び一次係数が等しいとして、含まない近似式の二次係数を定め、増加する放電電流についての電流−電圧特性の近似式について修正した近似式(5)を求める。
【0057】
次に、減少する放電電流に対する電流−電圧特性について近似式(2)から濃度分極成分を含まない近似式を求める。このために、ピーク値以外に濃度分極成分を削除した2点を求める。この際に、濃度分極は、電流の大きさに電流の流れた時間を乗じた電流時間積によって変化していることを利用する。そして、ピーク値以外に濃度分極成分を削除した2点が求まったら、この2点とピーク値との3点の座標を利用して、減少する放電電流についての電流−電圧特性の近似式(2)について修正した近似式(8)を求める。
【0058】
上式(5)で表される濃度分極成分を削除した純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流増加方向の修正した近似式と、式(8)で表される濃度分極成分を削除した純抵抗と活性化分極による電圧降下の電流減少方向の修正した近似式は、活性化分極成分の相違によるものであるので、活性化分極成分を除けば純抵抗が求められる。このために、両近似式のピーク値に着目し、ピーク値での電流増加の微分値と電流減少の微分値との差は、一方が活性化分極の増加方向であるのに対し、他方が減少方向であることに基因するものであるが、ピーク値近傍での両者の変化率の中間に純抵抗による電流−電圧特性が存在するとし、両微分値に突入電流が流れている総時間に占める単調増加期間及び前記単調減少期間の時間の割合をそれぞれ乗じた上で加算することによって、純抵抗を求める。
【0059】
例えば、電流増加時間が3msec、電流減少時間が100msecとし、ピーク値での電流増加の微分値をRpolk1 、電流減少の微分値をRpolk2 とすると、以下のようなようにして純抵抗Rnを算出することができる。
Rn=Rpolk1 ×100/103+Rpolk2 ×3/103
この純抵抗Rnは、スタータモータの駆動時等、突入電流が発生する高効率放電が行われる毎に、算出され、更新される。
【0060】
また、バッテリの平衡状態における車両用バッテリの開回路電圧は、それ以前の充放電によってバッテリ内に発生している分極の影響が完全に解消し、分極によるバッテリ端子電圧の低下或いは上昇が無くなっている平衡状態にあるときのバッテリ端子電圧を実測するか、又は、充放電停止直後のバッテリ端子電圧の変化を短時間観測した結果によって推定されるものが利用される。
【0061】
次に、バッテリの飽和分極検出方法と、本発明の放電可能容量検出方法とについて説明する。
【0062】
まず、バッテリが実際に負荷に放出できるエネルギは、バッテリの開回路電圧の値に相当する充電容量(電流時間積)から、放電中にバッテリの内部で発生する電圧降下分に相当する容量、すなわち、バッテリの内部抵抗により放電できない容量を減じた容量ということになる。
【0063】
そして、放電中におけるバッテリの内部で発生する電圧降下は、図9に示すように、バッテリの純抵抗による電圧降下分(図中IR降下と表記)と、純抵抗以外の内部抵抗による電圧降下分、即ち、分極による電圧降下分(図中飽和分極と表記)とに分けて考えることができる。
【0064】
上述したIR降下は、バッテリの状態が同じであれば変化しない。一方、飽和分極は、放電電流や、放電時間に比例して、大きくなるが、放電電流がある一定値を超えると放電電流が増加しても増大しない。従って、この飽和分極を迎える点を監視すれば、最も内部抵抗による電圧降下が大きくなる点を監視することができる。なお、飽和分極は、放電電流によっても異なる。
【0065】
まず、平衡状態、又は、放電開始時の端子電圧が放電開始時の開回路電圧OCV0より低い分極(放電分極)が残っている状態のバッテリが放電したときは、図9中の太線の曲線で示す部分のように、放電開始からの所定期間(分極の挙動が現れる程度であり、かつ、1秒以内程度)の放電の際に周期的に測定されたバッテリの放電電流と端子電圧から、式(12)に示す放電電流Iに対する端子電圧Vの近似式を求める。
【0066】
一方、放電開始時の端子電圧が放電開始時の開回路電圧OCV0より高い分極(充電分極)が残っている状態のバッテリが放電したときは、図10中の太線の曲線で示すように、放電開始から所定時間経過し、充電分極がほぼ解消された後の放電の際に周期的に測定されたバッテリの放電電流と端子電圧から、式(12)に示す放電電流Iに対する端子電圧Vの近似式を求める。これは、充電分極が残っている期間に検出したバッテリの放電電流と端子電圧から求めた近似式は、平衡状態から放電した結果から得られる放電電流(I)−端子電圧(V)特性と相関性があまりないからである。
V=aI2+bI+c …(12)
【0067】
上記バッテリの端子電圧Vは、バッテリの純抵抗Rnによる電圧降下と純抵抗以外の内部抵抗成分による電圧降下分VR (分極による電圧降下)との合計によって、下記に示すようにも表される。
V=c−(Rn×I+VR ) …(13)
【0068】
式(12)及び(13)から下記に示す近似式と、純抵抗による電圧降下と、分極による電圧降下との関係式を求めることができる。
aI2 +bI=−(Rn×I+VR ) …(14)
上記式(14)を微分して、バッテリの純抵抗以外の内部抵抗による電圧降下の変化率dVR /dIを求める。
dVR /dI=−2aI−b−Rn …(15)
【0069】
上記変化率dVR /dIがゼロとなったときの放電電流が、バッテリの純抵抗以外の内部抵抗による電圧降下分が最大値(飽和値)を迎えたときの、端子電圧降下飽和電流値Ipol(=−(Rn+b)/2a)に相当する。
【0070】
そして、平衡状態からの放電であるとき、求めた端子電圧降下飽和電流値Ipol を、バッテリの純抵抗Rnの値と共に、上述した式(14)の放電電流Iとして代入して、求められる分極による電圧降下分VR (=−aIpol 2 −bIpol −Rn×Ipol)を、飽和分極VR pol とする。
【0071】
一方、充電分極又は放電分極が残っている状態からの放電であるときは、求めた端子電圧降下飽和電流値Ipol を、バッテリの純抵抗Rnの値と共に、上述した式(14)の放電電流Iとして代入して、求められる分極による電圧降下分VR に、式(12)により求めた放電電流ゼロのときの端子電圧c、及び、推測により求めた放電開始時の開回路電圧OCV0との差分を加算した値(=−aIpol 2 −bIpol −Rn×Ipol+(OCV0−c))を飽和分極Vpol とする。
【0072】
上述した(OCV0−c)を加算する理由について以下説明する。充電分極又は放電分極が残っている状態から上述した所定期間における実測した放電電流及び端子電圧に基づき、式(12)から放電電流ゼロのときの端子電圧cを求めると、図11に示すようになる。同図に示すように、式(12)から求めた電圧降下量の飽和値と、平衡状態から放電した結果から得られる放電電流(I)−端子電圧(V)特性における電圧降下量の飽和値は等しい。
【0073】
なお、充電分極が残っているときの放電であっても、放電から所定時間経過し、充電分極がほぼ解消された後の放電で求めた近似式が示す、放電電流ゼロのときの端子電圧cは、放電開始時の開回路電圧OCV0より低い値となる。
【0074】
このとき、式(14)にIpolを代入して求めた分極による電圧降下分VR (=−aIpol 2 −bIpol −Rn×Ipol)は、図11に示すように、端子電圧cを基準にした電圧降下から、純抵抗による電圧降下Rn×Ipolを減じた値である。従って、開回路電圧OCV0と端子電圧cを基準にした電圧降下から、純抵抗による電圧降下分Rn×Ipolを減じた値である飽和分極Vpolを求めるためには、上記電圧降下分VR (=−aIpol 2 −bIpol −Rn×Ipol)に(OCV0−c)を加算する必要がある。なお、この飽和分極VR pol は、バッテリが放電を行う毎に、算出され、更新される。
【0075】
上述のようにして求めた飽和分極VR pol は、Ipolと等しい放電電流が流れているときの飽和分極であり、Ipolより大きい放電電流が流れても分極による電圧降下は、飽和分極VR pol を超えない。そこで、この飽和分極VR pol 及びIpolから任意の放電電流Iが流れているときの飽和分極VR pol ′を求める。
【0076】
このようにして、飽和分極VR pol ′を求めたならば、その飽和分極VR pol ′を用いて、例えば、バッテリが放電可能容量を検出し直す必要のある程度の放電が行われる毎に、以下に説明するような放電可能容量の検出が行われることになる。
【0077】
まず、放電が行われると、その放電の際に、上記のようにして飽和分極VR pol ′を求め、次式を解く。
VADC =OCV0−Rn×I−VR pol ′ …(16)
但し、上式においてVADC は現在の放電可能容量の指標となる電圧値であり、また、任意の放電電流Iとしては、例えば、その放電のピーク電流Ipなどを代入することが考えられる。
【0078】
上述したRn×IとVR pol ′とを合わせたものが、バッテリの内部抵抗による電圧降下分に相当する。従って、VADC が任意の充電容量のバッテリに、任意の放電電流Iが流れているときのバッテリの端子電圧に相当することが分かる。
【0079】
上述した近似式(=aI2+bI+c)は、放電開始からわずかな時間しか経過していない時点で実測された放電電流と端子電圧とから求めているため、分極による電圧降下が飽和していないと考えられる。従って、図12に示すように近似式が示す分極による電圧降下分VR よりも上記のようにして求めた飽和分極VR pol ′の方が大きくなると考えられる。このことから、上式(16)を解くということは、放電の開始時におけるバッテリの開回路電圧OCV0から、任意の放電電流を流しつづけたときに発生するバッテリの内部抵抗による電圧降下(=Rn×I+VR pol ′)を減じている、つまり、任意の放電電流を流し続けたときのバッテリの端子電圧に相当するということがいえる。
【0080】
そして、上記のようにして求めた現在の放電可能容量の指標となる電圧値VADC から、以下に示す電圧方式の換算式によって放電可能容量ADC(%)を求める。
ADC(%)={VADC −(OCVe−I×R0)}/{(OCVf−I×R100)−(OCVe−I×R0)}×100(%) …(17)
【0081】
上式においてOCVfは、新品時のバッテリの満充電状態における平衡状態の開回路電圧であり、OCVeは新品時のバッテリの放電終止状態における平衡状態の開回路電圧である。さらに、R0は、新品バッテリの放電終止状態における純抵抗(設計値)であり、R100は、新品バッテリの満充電状態における純抵抗(設計値)である。
【0082】
以上の式により、図13に示すように、OCVeから、R0×Iを減じた放電終止電圧Veを0%とし、OCVfから、R100×Iを減じた満充電電圧Vfを100%としたときの電圧値VADCの相対値を放電可能容量ADC(%)として求めることができる。
【0083】
上記式のように放電電流に応じて変化する放電終止電圧Ve及び満充電電圧Vfを定めることにより、放電電流Iが増加して、バッテリの基準抵抗Rref成分(=開回路電圧OCV0、つまり、放電開始時のバッテリの充電容量に対する新品バッテリの純抵抗)による電圧降下Rref×Iが増加しても、その分、放電終止電圧Veや満充電電圧Vfも下がるため、VADC と放電終止電圧Veとの差分が小さくなったり、VADC と満充電電圧Vfとの差分が大きくなったりすることがなく、放電可能容量(%)が減少するということがなくなる。つまり、放電電流Iの増加に応じた電圧降下Rref×Iの増加分が、放電可能容量(%)の減少要因とは成らない。逆に、バッテリの純抵抗Rn成分が基準抵抗Rrefに対して増加した分の電圧降下(Rn−Rref)×Iと、飽和分極VR pol ′が発生した分だけ放電可能容量(%)が減少するようになる。
【0084】
また、上記式(17)を用いて放電可能容量(%)を求めることにより、バッテリの開回路電圧を用いて簡単に放電可能容量(%)を求めることができる。
【0085】
一方、電圧値VADC から、以下に示す換算式によって放電可能容量ADC(A・h)を求める。
ADC(A・h)={VADC −(OCVe−I×R0)}/{(OCVf−I×R100)−(OCVe−I×R0)}×K(A・h) …(18)
但し、Kは、満充電電圧Vfに相当する電流時間積から、放電終止電圧Veに相当する電流時間積を減じた値に相当する。
【0086】
上記式(18)により求めた放電可能容量(A・h)は、VADC に対する電流時間積から、放電終止電圧Vfに相当する電流時間積を減じた値に相当する。これにより、放電可能容量(%)と同様に、放電電流Iが増加して、バッテリの基準抵抗Rref成分による電圧降下Rref×Iが増加しても、VADC が放電終止電圧Veに近づくことがなく、放電可能容量(A・h)が減少するということがなくなる。逆に、バッテリの純抵抗Rn成分が基準抵抗Rrefに対して増加した分と、飽和分極VR pol ′が発生した分だけ放電可能容量(A・h)が減少するようになる。
【0087】
なお、ADC(A・h)については、例えば、下記の式によっても求めることができる。しかし、上記式(18)を用いて求めると、放電可能容量(%)を算出する際に求めた{VADC −(OCVe−I×R0)}/{(OCVf−I×R100)−(OCVe−I×R0)}を流用して、簡単に放電可能容量(A・h)を求めることができる。
ADC(A・h)=VADC ×k1−Ve×k2
但しk1は、VADC に相当する電流時間積、k2はVeに相当する電流時間積である。
【0088】
また、上記式(18)を用いて放電可能容量(A・h)を求めることにより、バッテリの開回路電圧を用いて簡単に放電可能容量(A・h)を求めることができる。
【0089】
放電開始時におけるバッテリの開回路電圧OCVnから減じた、バッテリの純抵抗Rnに対応する電圧降下分には、バッテリの個体間の特性差が反映され、また、バッテリの現在の飽和分極VR pol ′には、放電電流を流し続けたことによる放電可能容量ADCの減少度の相違や温度変化による内部抵抗変化に起因する放電可能容量ADCの減少度の相違が反映される。
【0090】
よって、上記のようにして求めた、放電を行った際に求められる放電可能容量ADCは、バッテリの個々の特性差による影響と、放電電流を流し続けたことによる放電可能容量ADCの減少度の相違や温度変化による内部抵抗変化に起因する放電可能容量ADCの減少度の相違による影響が、誤差として存在しない、正確な放電可能容量ADCということになる。
【0091】
また、上述した説明では、充電分極又は放電分極が残っている状態からの放電の際に、飽和分極を求め、式(14)にIpolを代入して求めた分極による電圧降下VR (=−aIpol 2 −bIpol −Rn×Ipol)に、(OCV0−c)を加算した値を飽和分極としていた。しかしながら、例えば、分極が残っていても、平衡状態であってもなくても全て、式(14)にIpolを代入して求めた分極による電圧降下VR (=−aIpol 2 −bIpol −Rn×Ipol)を飽和分極として求め、電圧VADCを算出する時点で開回路電圧OCV0からOCV0−cを減算するようにしてもよい。
【0092】
以上に説明した本発明のバッテリの放電可能容量検出方法や、バッテリ状態監視方法は、図1に示す構成によって実施することができる。
【0093】
図1は本発明の放電可能容量検出方法及びバッテリ状態監視方法を実施したバッテリ状態監視装置の一実施形態を示すブロック図である。図1中引用符号1で示す本実施形態のバッテリ状態監視装置は、エンジン3に加えてモータジェネレータ5を有するハイブリッド車両に搭載されている。
【0094】
そして、このハイブリッド車両は、通常時はエンジン3の出力のみをドライブシャフト7からディファレンシャルケース9を介して車輪11に伝達して走行させ、高負荷時には、バッテリ13からの電力によりモータジェネレータ5をモータとして機能させて、エンジン3の出力に加えてモータジェネレータ5の出力をドライブシャフト7から車輪11に伝達し、アシスト走行を行わせるように構成されている。
【0095】
また、このハイブリッド車両は、減速時や制動時にモータジェネレータ5をジェネレータ(発電機)として機能させ、運動エネルギを電気エネルギに変換して、各種の負荷に対して電力を供給するためにハイブリッド車両に搭載されたバッテリ13を充電させるように構成されている。
【0096】
尚、モータジェネレータ5はさらに、不図示のスタータスイッチのオンに伴うエンジン3の始動時に、エンジン3のフライホイールを強制的に回転させるセルモータとして用いられる。
【0097】
また、バッテリ状態監視装置1は、アシスト走行用のモータやセルモータとして機能するモータジェネレータ5等に対するバッテリ13の放電電流Iや、ジェネレータとして機能するモータジェネレータ5からのバッテリ13に対する充電電流を検出する電流センサ15と、バッテリ13に並列接続した無限大抵抗を有し、バッテリ13の端子電圧Vを検出する電圧センサ17とを備えている。
【0098】
尚、上述した電流センサ15及び電圧センサ17は、イグニッションスイッチのオン状態によって閉回路状態となる回路上に配置されている。
【0099】
また、本実施形態の車載用バッテリ充電電気量検出装置1は、上述した電流センサ15や電圧センサ17の出力がインタフェース回路(以下、「I/F」と略記する。)21におけるA/D変換後に取り込まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)23、及び、不図示の不揮発性メモリ(NVM)をさらに備えている。
【0100】
そして、前記マイコン23は、CPU23a、RAM23b、及び、ROM23cを有しており、このうち、CPU23aには、RAM23b及びROM23cの他、前記I/F21が接続されており、また、上述した不図示のイグニッションスイッチのオンオフ状態を示す信号が入力される。
【0101】
前記RAM23bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、前記ROM23cには、CPU23aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0102】
従って、上記した放電時の各種の検出を、電流センサ15や電圧センサ17の出力に基づいてマイクロコンピュータ23が行うことで、放電可能容量ADC(%)や放電可能容量ADC(A・h)が検出される。また、マイクロコンピュータは、検出した放電可能容量ADC(%)や放電可能容量ADC(A・h)が0となったときに、電圧VADC が放電終止値Ve以下であると判断し、その放電電流の放電を行うことができないとすることができる。
【0103】
また、以上述べたように、分極による電圧降下が最も大きくなる時点での内部抵抗による電圧降下や、放電可能容量を把握することができるので、バッテリの状態を正確に把握することができる。
【0104】
なお、上述した実施形態では、上記のように求めた飽和分極VR pol 及びIpolから、任意の飽和電流Iが流れているときの飽和分極VR pol ′を求め、求めた飽和分極VR pol ′を式(16)に代入してVADC を求めていた。しかしながら、任意の放電電流Iが流れているときの飽和分極VR pol ′が、放電電流としてIpol が流れているときの飽和分極VR pol 超えないことに着目し、下記の式からVADC を求めることも考えられる。
VADC =OCV0−Rn×I−VR pol
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、バッテリに蓄えられた充電容量のうち、実際に利用することができる容量を表す放電可能容量(%)を求めることができる。しかも、放電電流が増加して、バッテリの基準抵抗成分による電圧降下分が増加しても、その分、放電終止電圧も下がるため、端子電圧と放電終止電圧との差分が小さくなることなく、放電可能容量(%)が減少するということがなくなる。逆に、バッテリ内部抵抗が基準抵抗に対して増加すると、その分、端子電圧と放電終止電圧との差分が小さくなって放電可能容量(%)が減少する。つまり、基準抵抗による電圧降下が放電可能容量(%)の減少要因とならないので、この放電可能容量(%)に基づいてバッテリの状態を監視すれば、正確にバッテリの状態を把握することができるようになる放電可能容量検出方法を得ることができる。
【0106】
また、請求項1記載の発明によれば、放電電流が増加して、バッテリの基準抵抗成分による電圧降下分が増加しても、その分、満充電電圧も放電終止電圧も下がるため、放電可能容量(%)が減少することがない。逆に、バッテリ内部抵抗が基準抵抗に対して増加すると、その分、放電可能容量(%)が減少する。つまり、基準抵抗による電圧降下が放電可能容量(%)の減少要因とならないので、この放電可能容量(%)に基づいてバッテリの状態を監視すれば、正確にバッテリの状態を把握することができるようになる放電可能容量検出方法を得ることができる。
【0107】
また、請求項1記載の発明によれば、バッテリの開回路電圧を用いて簡単に放電可能容量(%)を求めることができる放電可能容量検出方法を得ることができる。
【0112】
請求項2載の発明によれば、バッテリのそのときの充電状態に対する新品バッテリの純抵抗の設計値である基準抵抗による電圧降下分が、放電可能容量(%)や放電可能容量(A・h)の減少要因にならないので、バッテリの状態を正確に把握することができるようになる放電可能容量検出方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電可能容量検出方法及びバッテリ状態監視方法を実施したバッテリ状態監視装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】スタータモータ駆動開始時の突入電流を伴う放電電流の一例を示すグラフである。
【図3】二次近似式で表したI−V特性の一例を示すグラフである。
【図4】増加方向の近似式から濃度分極成分の除き方の一例を説明するためのグラフである。
【図5】減少方向の近似式から濃度分極成分の除き方の一例を説明するためのグラフである。
【図6】増加方向を一次近似式で表したI−V特性の一例を示すグラフである。
【図7】減少方向の近似式から濃度分極成分の除き方の他の例を説明するためのグラフである。
【図8】減少方向の近似式から濃度分極成分の除き方の別の例を説明するためのグラフである。
【図9】平衡状態又は放電分極が発生している状態での放電中に飽和分極を求める方法を説明するためのグラフである。
【図10】充電分極が発生している状態での放電中に飽和分極を求める方法を説明するためのグラフである。
【図11】放電分極又は充電分極が発生した状態での放電中に飽和分極を求める方法を説明するための図である。
【図12】放電中におけるバッテリの内部で発生する電圧降下の内容を説明するためのグラフである。
【図13】バッテリの満充電電圧Vfと放電終止電圧Veと電圧VADC との関係を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
5 モータジェネレータ
13 バッテリ
15 電流センサ
17 電圧センサ
23 マイクロコンピュータ
Claims (2)
- 任意の充電容量のバッテリに、任意の放電電流が流れているときの前記バッテリの端子電圧に基づいて放電可能容量を検出する方法であって、
放電開始時の前記バッテリの平衡状態の開回路電圧をOCV0、放電終止状態における前記バッテリの平衡状態の開回路電圧をOCVe、満充電状態における前記バッテリの平衡状態の開回路電圧をOCVf、前記任意の放電電流をI、前記任意の放電電流が流れている前記バッテリの飽和分極抵抗と純抵抗とにより生じる電圧降下分をVm、前記バッテリの放電終止状態における基準抵抗をR 0 、前記バッテリの満充電状態における基準抵抗をR 100 としたとき、
放電に応じて、下記の式によって放電可能容量(%)を求める
{(OCV0−Vm)−(OCVe−I×R 0 )}/{(OCVf−I×R 100 )−(OCVe−I×R 0 )}×100(%)
ことを特徴とする放電可能容量検出方法。 - 請求項1に記載の放電可能容量検出方法であって、
前記基準抵抗とは、当該充電状態を有する新品バッテリの純抵抗の設計値に相当する
ことを特徴とする放電可能容量検出方法。
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