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JP3982811B2 - チューブレスタイヤ - Google Patents

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JP3982811B2
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伸浩 大崎
清繁 村岡
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期間にわたって空気圧が安定に保持できるチューブレスタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
リムの外周に装着されるタイヤ本体が、その内面とリムとの間に環状の空気室を直接形成するようにしたチューブレスタイヤは、ゴムチューブなどを必要とせず、取扱いが簡単であることから自動車、自動二輪車などのタイヤとして広く普及し、よく知られている。
【0003】
しかし、タイヤ本体は通常ゴム系材料からなり、一般には多少なりとも空気透過性を有するため、予め所定圧になるように供給したタイヤ内の空気が時間の経過とともに徐々に漏れて空気圧が次第に低下し、そのために定期的にタイヤを点検し、空気を補充するなどの面倒なメンテナンス作業が必要であった。
【0004】
係る問題を解決するため、例えば前記タイヤ本体の内面に、フィルム状に形成されたエチレン・ビニルアルコール共重合体よりなる空気不透過層を直接または接着性樹脂層を介して接合、一体化してなるチューブレスタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−177307号公報(第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体よりなる空気不透過層はまだガスバリア性が十分ではなく、設定された空気圧の保持期間についても必ずしも満足できるものではなく、また、係るタイヤは、予め所定の形状に成形されたタイヤ本体の内面にフィルムを接合させ、あるいは成形前のタイヤ基材にフィルムを貼合したのちタイヤ形状に賦形して製造されるが、前者の方法による場合にはタイヤ本体の内面は幅の狭い凹面状であるため、その内面にフィルムを均一に接合させることが作業上困難であって、接合ムラ等が生じ易く、その部分からの空気漏れが生じ易く、また後者の方法による場合にはタイヤ基材表面とフィルムとの面接合であるため接合面同士の平滑性が要求され、それが不十分な場合には剥離が生じ易いなどの問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであって、ガスバリア性(空気不透過性)に優れ、しかもタイヤ本体の内面にガスバリア層がコーティング膜として強固に積層されてなるチューブレスタイヤを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、リムの外周に装着されるタイヤ本体が、その内面とリムとの間に空気室を直接形成するようにしたチューブレスタイヤにおいて、前記タイヤ本体の内面に、粒径が5μm以下、アスペクト比が200〜3000の無機層状化合物および高水素結合性樹脂を含むガスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層がコーティング膜として積層されてなるチューブレスタイヤを提供するものである。
【0009】
前記構成からなる本発明のチューブレスタイヤは、前記に特定するガスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層を有するためガスバリア性自体が極めて優れており、しかも、該ガスバリア層がコーティング膜として積層されているために、フィルムを貼合するときのような接合ムラなどもなく、タイヤ本体内面にガスバリア層を確実に設けることができ、その結果、タイヤとしての空気保持性に著しく優れ、長期間にわたって安定に空気圧を維持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて具体的に説明する。
【0011】
従来から知られている自動車、自動二輪車などで使用されているチューブレスタイヤの基本的構造は、例えば図1に示されるように、リム1の外周1aに装着されるタイヤ本体2が、その内面3とリム1との間に空気室4を直接形成する構成となっており、係るタイヤ本体の内面には、多くの場合にブチルゴムなどよりなるインナーライナー5が設けられている。
【0012】
本発明のチューブレスタイヤは、図2に示すように該タイヤ本体の内面に本発明に特定するガスバリア層がコーティング膜6として積層されていることを除いては、図1に例示されるような公知のチューブレスタイヤと基本的に同様であって、タイヤ本体の構成には特に制限されるものではなく、従って、図1で例示したインナーライナーは必ずしも必須要件ではない。
尚、本発明において、タイヤ本体の内面とは、タイヤ本体をリムの外周に装着した際に空気室と接するタイヤ本体の内側表面をいい、上記の例のようにその内面にインナーライナーなどの他の層が設けられているような場合には、これらの層も含めて空気室4と接するタイヤ本体の内側表面を意味する。
【0013】
本発明のチューブレスタイヤは、このようなタイヤ本体の内面に、粒径が5μm以下、アスペクト比が200〜3000の無機層状化合物および高水素結合性樹脂を含むガスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層がコーティング膜として積層されてなるものである。
【0014】
ガスバリア性樹脂組成物を形成する高水素結合性樹脂とは、架橋性官能基である水素結合性基またはイオン性基を有する樹脂である。
ここで、水素結合性基とは水素結合が可能な基であって、具体的には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基などが挙げられ、また、イオン性基とはイオン結合が可能な基であって、具体的には、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。これら水素結合性基およびイオン性基の中でも特に好ましいのは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム基などが挙げられる。
【0015】
高水素結合性樹脂中の水素結合性基またはイオン性基の含有量(両者を含む場合には両者の合計量)は、通常は20wt%〜60wt%の範囲内であり、好ましくは30wt%〜50wt%の範囲内である。これら水素結合性基およびイオン性基の含有量は、核磁気共鳴(例えば、1H−NMR、13C−NMR等)によって測定することができる。
【0016】
このような高水素結合性樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)およびその変性体、多糖類、エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)およびその変性体、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンおよびその4級アンモニウム塩、ポリビニルチオール、ポリグリセリン等が挙げられるが。
【0017】
上記のPVAとしては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解ないしエステル交換(けん化)して得られるポリマーや、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等をけん化して得られるポリマー等が挙げられる。
また、変性PVAとしては、例えば特開平3−93542号公報に記載された分子内にシリル基を有する化合物の少なくとも一種で変性されたポリビニルアルコール系樹脂が例示される。
【0018】
PVAのけん化率は、通常70モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好ましくは98モル%以上であり、完全けん化物であることが最も好ましい。
また、PVAの重合度は、100〜20000の範囲内であることが好ましく、200〜5000の範囲内であることがより好ましい。また、上記のPVAは少量の共重合モノマーで変性されていてもよい。
【0019】
多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によって合成される高分子であり、本発明では、該高分子に化学修飾を施したものも含まれる。かかる多糖類としては、セルロース、セルロース誘導体(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサンなどが挙げられる。
【0020】
エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)としては、ビニルアルコール分率が40モル%〜80モル%の範囲内のものが好ましく、ビニルアルコール分率が45モル%〜75モル%の範囲内のものが特に好ましい。該EVOHのメルトインデックス(MI)は、特に限定されるものではないが、温度190℃、荷重2.160gの条件下で、0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましい。EVOHは、少量の共重合モノマーで変性されていてもよい。
【0021】
かかる高水素結合性樹脂は一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合せて用いてもよい。これらの樹脂の中でも、PVAおよびその変性体、多糖類、EVOHおよびその変性体が好ましく、とりわけPVAが最も好ましい。
【0022】
尚、上記高水素結合性樹脂はそれ単独で用いてもよいが、ガスバリア性に影響を与えない限りにおいて、共重合可能な他の単量体との共重合体としたり、混合可能な他の樹脂と併用することができる。併用可能な樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0023】
また、高水素結合性樹脂には、該高水素結合性樹脂と架橋反応し得る架橋剤を配合することができる。架橋剤の配合量に特に制限はなく、有効量の架橋剤を使用すればよい。上記の架橋剤としては、柔軟性を維持したままで高水素結合性樹脂層に架橋構造を付与することができることから、有機金属化合物が特に好適である。ここで用いる有機金属化合物は、高水素結合性樹脂と架橋反応して配位結合、水素結合、イオン結合などを形成し得る化合物である。
【0024】
上記有機金属化合物の好適な例としては、各種金属アルコキシド、チタン有機化合物、ジルコニウム有機化合物、アルミニウム有機化合物および珪素有機化合物などが挙げられる。上記有機金属化合物の中でも、キレート化合物、例えばアセチルアセトナートのようなキレート性の配位子を有し、高水素結合性樹脂と配位結合する有機金属化合物が、架橋反応性が適度であることから好ましい。
【0025】
珪素有機化合物としては特にシランカップリング剤が好ましく用いられる。かかるシランカップリング剤としては、有機反応性基含有オルガノアルコキシシラン、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適である。具体的には、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、およびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがある。このようなシランカップリング剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合せて用いてもよく、金属アルコキシドと併用することも好ましい。
【0026】
その他、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオギザールなどのアルデヒド系架橋剤、水溶性多官能エポキシなどエポキシ系架橋剤、多官能イソシアネート化合物などのイソシアネート系架橋剤、メチロール化メラミンなどのメラミン系架橋剤などの有機架橋剤も好適に用いられる。
【0027】
架橋剤を用いた高水素結合性樹脂の架橋方法は、例えば特開平8−99390号公報に記載の方法に準じた方法、すなわち、前述の有機金属化合物、高水素結合性樹脂、ゾル−ゲル法触媒、酸、溶媒などを混合して、ガスバリア層Bとなる塗工液を調製し、これを基材層Aに塗工し、乾燥させ、該乾燥工程で更に重縮合反応を進行させる方法により有効な架橋を行うことができる。
【0028】
ガスバリア性樹脂組成物を形成するうえで高水素結合性樹脂とともに用いられる他の必須成分である無機層状化合物としては、特開平7−247374号公報に記載された各種化合物、例えばグラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化物、粘土系鉱物、ハイドロタハイドロタルサイト類化合物などが挙げられ、これらの中でも粘土系鉱物が好ましい。
なお、上記カルコゲン化物とは、周期律表のIV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,Ta)およびVI族(Mo,W)から選ばれる元素のジカルコゲン化物であって、化学式:MX2で表される化合物である。該式中、Mは、上記IV〜VI族から選ばれた元素を表わし、Xは、カルコゲン(S,Se,Te)を表す。
【0029】
上記粘土系鉱物の中でもスメクタイト族、バーミキュライト族およびマイカ族の粘土系鉱物が好ましく、スメクタイト族が特に好ましい。スメクタイト族の好ましい粘土鉱物としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、これらの粘土系鉱物を有機物で処理したもの(以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合がある)などが挙げられる。
【0030】
本発明に適用されるガスバリア性樹脂組成物は、通常、前記した高水素結合性樹脂、無機層状化合物および分散媒からなる分散液として調製されるが、前記無機層状化合物の中でも、適用される分散媒中で膨潤および/または劈開するものが好ましい。具体的には、下記の膨潤性試験による膨潤値が5以上のものが好ましく、膨潤値が20以上のものがより好ましい。また、下記の劈開性試験による劈開値が5以上のものが好ましく、劈開値が20以上のものがより好ましい。
【0031】
〔膨潤性試験〕
100mlメスシリンダーに溶媒100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
【0032】
〔劈開性試験〕
無機層状化合物30gを溶媒1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。
60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
【0033】
無機層状化合物を膨潤および/または劈開させる分散媒としては、無機層状化合物が天然の膨潤性粘土鉱物の場合には、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、とりわけ水、アルコール、水−アルコール混合物が好ましい。
また、無機層状化合物が有機修飾粘土鉱物の場合には、上記分散媒としては、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素類(n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレンなど)、酢酸エチル、メタクリル酸メチル(MMA)、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイルなどが挙げられる。
【0034】
前記した無機層状化合物の平均粒径はガスバリア性の観点から5μm以下であることが好ましく、またそのアスペクト比は200〜3000の範囲内であることが好ましい。
平均粒径が5μmを越えたり、アスペクト比が200未満であれば、積層体のガスバリア性は充分でなく、またアスペクト比が3000より大きい無機層状化合物はその入手、製造が難しい。
【0035】
ここで、無機層状化合物の粒径は、分散媒中の回折/散乱法による公知の方法で求めた粒径(体積基準のメジアン径)を示す。すなわち、その粒径は無機層状化合物の分散液に光を通過させたときに得られる回折/散乱パターンから、ミー散乱理論等により、上記回折/散乱パターンに最も矛盾のない粒度分布を計算することにより求めることができる。
尚、無機層状化合物を回折/散乱法で用いた分散媒と同種の分散媒で充分に膨潤・劈開させて、これを樹脂に複合させる場合には、得られる樹脂組成物中での、膨潤・劈開した無機層状化合物の粒径は、分散媒中での膨潤・劈開した無機層状化合物の粒径とほぼ等しい。
【0036】
また、無機層状化合物のアスペクト比(Z)とは、式:Z=L/aを用いて求められる値である。ここで、Lは、上記した回折/散乱法により求めた無機層状化合物の平均粒径を示し、aは、無機層状化合物の単位厚さ、即ち、無機層状化合物の単位結晶層の厚みを示す。
【0037】
無機層状化合物の「単位厚さa」は、粉末X線回析法(「機器分析の手引き(a)」(1985年、化学同人社発行、塩川二朗監修)69頁参照)により求めることができる。
【0038】
上記のようにして求めたアスペクト比(Z)は、必ずしもガスバリア層(コーティング膜)中の無機層状化合物の真のアスペクト比と厳密に等しいとは限らないが、このアスペクト比(Z)はガスバリア層中の無機層状化合物のアスペクト比と見做すことができる。
【0039】
本発明において、無機層状化合物の「アスペクト比」とは上記で定義した「アスペクト比(Z)」を意味し、「粒径」とは、「回折/散乱法で求めた粒径L」を示すものとする。
【0040】
本発明に適用されるガスバリア性樹脂組成物において、無機層状化合物の含有量は特に限定されないが、その含有量が少なすぎるとガスバリア性能が十分でなく、また、多すぎるとガスバリア層(コーティング膜)が脆くなるため、通常は無機層状化合物と高水素結合性樹脂の合計量中の重量割合として3〜70%の範囲である。
【0041】
また、無機層状化合物と高水素結合性樹脂組成物を含むガスバリア性樹脂組成物中には、チューブレスタイヤとして特に悪影響を与えない限り、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤などの種々の添加剤が含まれていてもよい。前記界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0042】
本発明のチューブレスタイヤは、前記ガスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層がコーティング膜として積層されてなるものであるが、該コーティング膜の厚みはガスバリア性の観点から通常0.01以上、好ましくは0.1μm以上である。
上限は特に制限はなく、目的とするガスバリア性と経済性の観点から任意に設定される。
【0043】
また、係るコーティング膜は一層のみであってもよいし、必要に応じて多層の塗り重ね構成であってもよい。
【0044】
無機層状化合物および高水素結合性樹脂を含むバスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層をコーティング膜としてタイヤ本体の内面に積層させる方法には特に制限はないが、通常は、無機層状化合物、高水素結合性樹脂および必要に応じて前記したような第三成分を溶媒に溶解もしくは分散させてなる塗工液を調製し、該塗工液をスプレー法や刷毛塗りなどの方法により所望の厚みになるように所定の形状に賦形されたタイヤ本体の内面に塗布し、次いで前記溶媒を除去する方法や、タイヤ形状に賦形する前のタイヤ基材に前記塗工液をロールコーター、スリットコーター、バーコーターなどの通常のコーティング方法により塗布し、次いで前記溶媒を除去したのちタイヤ形状に賦形する方法が挙げられる。
この場合、コーティング膜の厚みはタイヤ内面に必ずしも均一である必要はなく、タイヤの構成に応じて、例えばタイヤのトレッド部分は比較的薄く、サイドウオール部やビード部は厚くするなど適宜変更してもよい。
【0045】
前記塗工液の調製においては、無機層状化合物と樹脂を別々に、あるいは予め混合した後、溶媒(分散媒)に添加してもよいが例えば、(1)高水素結合性樹脂を溶媒に溶解させてなる溶液と、無機層状化合物を予め分散させた分散液とを混合する方法、(2)無機層状化合物を分散させた分散液を高水素結合性樹脂に添加し、樹脂を上記分散液に溶解させる方法、(3)高水素結合性樹脂を溶媒に溶解させてなる溶液に無機層状化合物を添加し、上記無機層状化合物を上記の溶液中に分散させて分散液とする方法が好適に用いられる。
【0046】
この場合の溶媒(分散媒)としては、前記の無機層状化合物を膨潤および/または劈開させる際に使用される分散媒が例示されるが、水またはアルコールまたは水−アルコール混合物が特に好ましく使用される。
かかる分散媒の使用量は、分散媒の種類、コーティング方法などのコーティング条件、所望とするコーティング膜の厚みなどの条件によって適宜決定され、特に制限されない。
【0047】
塗工液の調製法において、無機層状化合物は塗工液中でできるだけ微細に、均一に分散していることが好ましく、かかる方法として塗工液を調整するの分散法として公知の高圧分散処理を行うことが好ましい。
【0048】
前記塗工液を塗布するに当たって、塗布面との密着性(接着性)を向上させる目的で、予め塗布面にアンカー処理、コロナ処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、電子線処理等の表面処理を施しておくことは有効である。
【0049】
例えばアンカー処理として、塗布面にアンカー層を設ける場合、アンカー層として使用する素材は、塗工液が塗布される塗布面とガスバリア層であるコーティング膜との接着性を向上させることができるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンイミン系、アルキルチタネート系、ポリブタジエン系、ウレタン系、アイオノマー系の等が挙げられる。上記アンカー層の素材としては、耐水性の面より、イソシアネート化合物と活性水素化合物とから調製されたウレタン系が好ましい。
【0050】
かかるアンカー処理の方法としては、無機層状化合物および高水素結合性樹脂を含むガスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層を形成する際に適用される従来から公知の方法が適用され、特に限定されない。
また、アンカー層の厚みも任意であるが、通常0.03μm〜2.0μm、好ましくは0.05μm〜1.0μmである。
【0051】
本発明のチューブレスタイヤは、前記したようにタイヤ本体の内面に、無機層状化合物および高水素結合性樹脂を含むバスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層がコーティング膜として積層されてなるものであるが、該コーティング膜は必ずしもタイヤ本体の内面の最表面にある必要はなく、必要に応じて積層された該コーティング膜の表面に更に保護層を設けてもよい。
これにより、タイヤ本体をリムの外周に装着する際のコーティング膜の万一の損傷を防止することができる。
この場合の保護層は、必ずしもガスバリア層からなるコーティング膜の全面にある必要はなく、リムと装着されるタイヤ外周部分の内面のみに部分的に設けられていてもよい。
【0052】
かかる保護層は、コーティング膜との接着性があり、ある程度の機械的強度を有するものであれば特に制限はなく、この場合には、多少の接合ムラも許容されるためフィルム状のものを貼合してもよいが、先のコーティング膜と同様に樹脂分散液あるいは樹脂溶解液等によりコーティング膜の上に更にコーティングしうるものが好ましい。
【0053】
【発明の効果】
本発明のチューブレスタイヤは、ガスバリア性自体が極めて優れており、しかも、該ガスバリア層がコーティング膜として強固に積層されているために、層としての接合ムラなどもなく、タイヤ本体内面にガスバリア層を確実に設けることができ、その結果、タイヤとしての空気保持性に著しく優れ、長期間にわたって安定に空気圧を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リムに装着された状態の従来のチューブレスタイヤの要部横断面図である。
【図2】リムに装着された状態の本発明のチューブレスタイヤの要部横断面図である。
【符号の説明】
1:リム
1a:リム外周部
2:タイヤ本体
3:タイヤ本体の内面
4:空気室
5:インナーライナー
6:コーティング膜(ガスバリア層)

Claims (3)

  1. リムの外周に装着されるタイヤ本体が、その内面とリムとの間に空気室を直接形成するようにしたチューブレスタイヤにおいて、前記タイヤ本体の内面に、粒径が5μm以下、アスペクト比が200〜3000の無機層状化合物および高水素結合性樹脂を含むガスバリア性樹脂組成物からなるガスバリア層がコーティング膜として積層されてなることを特徴とするチューブレスタイヤ。
  2. 無機層状化合物の含有量が、無機層状化合物と高水素結合性樹脂の合計量中の重量割合として、3〜70%である請求項1記載のチューブレスタイヤ。
  3. 高水素結合性樹脂がポリビニルアルコールである請求項1−2に記載のチューブレスタイヤ。
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