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JP3980767B2 - 自走式階段移動装置 - Google Patents

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JP3980767B2
JP3980767B2 JP23785398A JP23785398A JP3980767B2 JP 3980767 B2 JP3980767 B2 JP 3980767B2 JP 23785398 A JP23785398 A JP 23785398A JP 23785398 A JP23785398 A JP 23785398A JP 3980767 B2 JP3980767 B2 JP 3980767B2
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Daido Kogyo Co Ltd
East Japan Railway Co
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East Japan Railway Co
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駅、公共施設等の階段を、車椅子又は荷物を載置して駆動源の動力により自走して昇降する自走式階段移動装置に係り、詳しくは小型で安定した走行を可能とするクローラ走行装置を有する自走式階段移動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人が乗った状態の車椅子を搭載して階段を昇降する階段昇降機として、例えば特開平6−278665号公報に示されたものがある。該階段昇降機は、駆動モータにて駆動されるクローラ走行装置を有する自走体と、該自走体の後端部分に軸により前後回動自在に支持される荷台と、を備え、かつ荷台には保持ハンドルが一体に設けられていると共に、自走体との間に電動シリンダが介在されている。そして、該階段昇降機は、平坦地を移動する場合、前記電動シリンダを収縮位置にして、自走体と荷台を平行状態に保持し、荷台に設けられているキャスタ及び車輪を接地して走行し、また階段を昇降する場合、電動シリンダを伸長して、クローラの接地面が少なくとも階段の2段以上に接地して、自走体が階段傾斜角に沿って傾斜した状態で駆動モータにより走行すると共に、荷台を略々水平状態に保持する。
【0003】
更に、上記階段昇降機は、自走体から側方に突出してガイド輪を設け、該ガイド輪を階段の側部に設けたガイドレールに嵌挿して、階段昇降機の階段昇降時、自走体の走行の安定を図っている。
【0004】
一方、例えば特開平8−80879号公報に示されるように、機体左右にそれぞれ一対のクローラ走行装置を有する急傾斜地走行車輌が提案されている。このものは、油圧シャベル等の作業機が組込まれている上部旋回体と、該旋回体を旋回自在に支持した支持フレームと、左右両側にそれぞれ前後一対の合計4個のクローラ走行装置と、を備え、上記支持フレーム前部に、前部クローラ走行装置を揺動自在に連結し、また上記支持フレームと後部クローラ走行装置とを連結リンクの両端部に設けた連結ピンにて揺動自在に連結し、更に上記連結リンクと支持フレーム後端部との間に揺動ジャッキを介在している。
【0005】
該急傾斜地走行車輌は、作業機に設けられたエンジンからの動力が4個のクローラ走行装置に伝達されて急傾斜地を走行し、かつ前部クローラ走行装置にその前部を揺動自在に支持されている支持フレームは、水平センサからの信号に基づき伸縮される揺動ジャッキにより略々水平状態に保持される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した階段昇降機は、階段傾斜に沿う各段の角部にゴム製クローラのラグを引っ掛けて、昇降するが、階段が濡れていたり、またクローラ走行装置の走行方向と階段が直交状態となっていない場合、クローラのラグが階段角部に引っ掛からず、クローラ走行装置が滑って階段昇降機を斜行し、強いては該昇降機を横向きにしてしまうことがある。なお、上記ガイド輪をガイドレールに嵌挿することにより、昇降機が横向きになることを防止できるとしても、上述したクローラ走行装置の滑りを阻止することはできず、昇降機の安定走行に対しては充分ではない。
【0007】
また、上記階段昇降機は、少なくとも接地面が階段の2段以上に跨がる長尺のゴム製クローラ走行装置を必要とすると共に、該クローラ走行装置の前方に階段の1段以上の高さを有する傾斜走行面が必要となり、クローラ走行装置が大型化してしまう。
【0008】
更に、該比較的長いクローラ走行装置を必要とするため、平坦面から階段に移行する場合又は階段から平坦面に移行する場合、クローラ走行装置はその荷重重心が上記移行地点を越えた時点で急激な角度変化を生じ、該急激な自走体の角度変化に電動シリンダは追従することはできず、車椅子の搭乗者は、急に下方に向けられたり上方に向けられたりして、不安感を感じる。特に、階上の平坦面から階段を下降する場合、クローラ走行装置はその荷重中心が最上段角部を越えると、水平状態から階段傾斜角に瞬間的に角度変化するが、この際車椅子は前向きに載置されていることが相俟って、車椅子搭乗者は、瞬間的に下方に向かって振り回される状態となり、心理的に大きな恐怖を感じさせてしまう。
【0009】
一方、前記4個のクローラ走行装置を有する急傾斜地走行車輌は、階段昇降に用いる場合、上述階段昇降機と同様に、クローラのラグが階段に引っ掛からず、クローラ走行装置がスリップする虞れがある。また、4個のクローラ走行装置は、その前部又は後部クローラ走行装置の一方が階段上にありかつ他方が平坦面にある状態を考慮すると、各クローラ走行装置は、安定走行するためにはそれぞれ階段2段分以上の長さのクローラ接地面を必要とし、更に、各クローラ走行装置の前方に階段の1段以上の高さを有する傾斜走行面が必要となり、装置の大型化は避けられない。
【0010】
そこで、本発明は、コンパクトなクローラ走行装置を用いると共に、該クローラ走行装置の階段でのスリップ及び斜行を防止し、もって上述した課題を解決した自走式階段移動装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、左右2列のクローラ走行装置(L,R)及びこれらクローラ走行装置を駆動する駆動源(13,20)を有し、前記左右のクローラ走行装置を一体に連結してなる自走部(3)と、
前記自走部を回動自在に連結すると共に荷台(7)を支持する支持フレーム(5a,5b)と、
階段の側部に該階段の傾斜角に沿って施設される、凹凸部を有するレール(31)手段と、を備え、
前記左右のいずれか一方のクローラ走行装置(L)が前記レール手段(31)に滑止めされた状態で案内されて走行すると共に、他方のクローラ走行装置(R)が階段上を走行すること、
を特徴とする自走式階段移動装置にある。
【0012】
請求項2に係る本発明は(図5,図6,図11,図12参照)、前記クローラ走行装置(R,L,1a,1b,2a,2b)は、所定ピッチの歯(32a)を外周面全周に亘り形成したゴム製クローラ(32)を有し、
前記レール手段(31)は、前記ゴム製クローラのピッチと同じピッチからなる歯(33a)を有する長尺部材(33)と、該長尺部材の左右に沿って配置され前記クローラ側面をガイドする蛇行防止ガイド(35)と、を有してなる、
請求項1記載の自走式階段移動装置にある。
【0013】
請求項3に係る本発明は(図11参照)、前記長尺部材は、ゴム製の歯付きオープンベルト(33)からなる、
請求項2記載の自走式階段移動装置にある。
【0014】
請求項4に係る本発明は(図1〜図4参照)、前記クローラ走行装置の前記支持フレーム(5a,5b)との連結部(6)と同軸状に遊動ローラ(36)を設け、
前記レール手段(31)の上方に、該遊動ローラが転接して、前記一方のクローラ走行装置(L,1b,2b)の前記レール手段からの浮上りを防止するガイドレール(37)を設けた、
請求項1ないし3のいずれか記載の自走式階段移動装置にある。
【0015】
請求項5に係る本発明は(図1,図5,図13,図17〜図19参照)、前記左右2列のクローラ走行装置(L,R)は、それぞれ前部クローラ走行装置(1a,1b)及び後部クローラ走行装置(2a,2b)を有し、
前記自走部(3)は、前記左右の前部クローラ走行装置(1a,1b)を、左右駆動輪(9a,9b)を連結する駆動軸(10)及び左右トラックフレーム(11a,11b)の中央部を連結する連結軸(6)にて互に一体に構成し、かつこれら駆動軸及び連結軸に橋絡して前部電気モータ(13)を設けると共に該電気モータの出力軸を前記駆動軸(10)に連動してなる前部自走部(3F)と、
前記左右の後部クローラ装置(2a,2b)を、左右駆動輪(15a,15b)を連結する駆動軸(16)及び左右トラックフレーム(17a,17b)の中央部を連結する連結軸(19)にて互に一体に構成し、かつこれら駆動軸及び連結軸に橋絡して後部電気モータ(20)を設けると共に該電気モータの出力軸を前記駆動軸(16)に連動してなる後部自走部(3R)と、を有し、
前記支持フレーム(5a,5b)が、前記荷台(7)の左右において前記前部自走部(3F)の連結軸(6)及び前記後部自走部(3R)の連結軸(19)に回動自在に支持されてなり、
前記荷台(7)は、前記前部自走部の連結軸(6)に回動自在に支持され、
そして前記荷台(7)を、前記自走部の傾斜角に拘りなく水平状態に保持する水平保持手段(H1 ,H2 ,H3 )を設けた、
請求項1ないし4のいずれか記載の自走式階段移動装置にある。
【0016】
請求項6に係る本発明は(図1,図5,図13参照)、前記クローラ走行装置(1a,1b,2a,2b)の1個あたりのクローラ接地面の長さが、階段の2段分の長さ以下である、
請求項1ないし5のいずれか記載の自走式階段移動装置にある。
【0017】
請求項7に係る本発明は(図8(a)参照)、前記荷台(7)の下方に、キャスタ(40a)を含む複数の支持車輪(40)を設け、
これら支持車輪(40)に対して前記クローラ走行装置(R,L,1a,1b,2a,2b)が下方に突出する位置と上方に退避する位置に切換える操作手段(41,63a,63b)を設けた、
請求項1ないし6のいずれか記載の自走式階段移動装置にある。
【0018】
請求項8に係る本発明は(図8(b)参照)、前記荷台(7)の下方に、キャスタ(40a)を含む複数の支持車輪(40)を設け、
これら支持車輪(40)に対して前記前部クローラ走行装置(1a,1b)及び後部クローラ走行装置(2a,2b)が下方に突出する位置と、上方に退避する位置と、前記キャスタ(40a)に対して前記前部及び後部クローラ走行装置のいずれか一方(1a,1b)が上方に退避しかつ前記他の車輪(40)に対して他方(2a,2b)が下方に突出する位置と、に切換える操作手段(41,42,63’,63b’)を設けた、
請求項5記載の自走式階段移動装置にある。
【0019】
[作用]
以上構成に基づき、自走式階段移動装置(A)は、荷台(7)に例えば搭乗者を乗せた状態で電動又は人力車椅子(K)を載置して、電動モータ等の駆動源を駆動し、駆動力を自走部(3)の左右のクローラ走行装置(L,R)に伝達する。そして、左右いずれか一方のクローラ走行装置(L,1b,2b)は、凹凸部を有するレール手段(31)に滑止めされて案内され、該レール手段の傾斜角に沿って走行する。また、支持フレーム(5a,5b)に回動自在に支持され前記一方のクローラ走行装置と一体に揺動する他方のクローラ走行手段(R,1a,2a)は、階段の傾斜角に沿って施設された上記レール手段(31)の傾斜角に沿って傾斜された状態で、階段上を走行する。
【0020】
この際、一方のクローラ走行装置は、例えば、クローラ(32)の歯(32a)がレール手段(31)の長尺部材(33)の歯(33a)に噛合して、スリップを生じることなく走行すると共に、蛇行防止ガイド(35)に両側をガイドされて、斜行することなく、階段傾斜に沿って走行する。更に、例えば、遊動ローラ(36)をガイドレール(37)に転接して、クローラ走行装置は、レール手段(31)から浮き上がることを阻止されて走行する。
【0021】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、本発明の構成を何等限定するものではない。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、一方のクローラ走行装置が凹凸部を有するレール手段に滑止めされた状態で案内されて走行するので、クローラ走行装置はスリップ及び斜行を生じることなく、自走式階段移動装置は安定して階段を昇降することができる。また、左右のクローラ走行装置は、一体に連結されて支持フレームに回動自在に支持されているので、他方のクローラ走行装置も、上記レール手段の傾斜角に沿って傾斜された状態で、階段を走行し、従ってクローラ走行装置の前部に階段を乗り越えるための高い傾斜走行面を必要とせず、自走部をコンパクト化することが可能であり、更に階段側部に上記レール手段を設けるだけで、他方のクローラ走行装置のためのレール手段を階段部に設ける必要がなく、階段としての使用勝手を損なうことはない。
【0023】
請求項2に係る本発明によると、一方のクローラ走行装置は、ゴム製クローラの歯と長尺部材との歯が噛合し、かつクローラ側面を蛇行防止ガイドにてガイドされて走行するので、スリップ及び斜行を確実に防止され、高い安全性と信頼性をもって自走式階段移動装置を走行することができる。
【0024】
請求項3に係る本発明によると、ゴム製クローラとゴム製の歯付きオープンベルトの噛合により走行するので、静粛性を確保できると共に、オープンベルトをレール手段底面に貼着等にて固定することにより、レール手段の施工を容易にかつ短期間に行うことができる。
【0025】
請求項4に係る本発明によると、浮上り防止ガイドレールによりクローラ走行装置のレール手段からの浮上りが防止され、荷台に作用するモーメントにより又は階段と平坦面との移行部分等にあってクローラ走行装置に浮上り力が作用しても、クローラは確実にレール手段に接触して、スリップ及び斜行を生じることを防止して、安定した走行を確保することができる。
【0026】
請求項5に係る本発明によると、左右それぞれに前部クローラ走行装置及び後部クローラ走行装置を設け、かつ荷台を、前部クローラ走行装置を支持フレームに支持する連結軸を中心に揺動自在に支持したので、自走式階段移動装置が平坦面と階段との間を移行する場合も、自走部と荷台との角度変化を緩やかにでき、水平保持手段により荷台を水平状態に確実かつ容易に保持することができる。また、左右の前部及び後部クローラ装置を、それぞれ連結軸及び駆動軸にて互に連結し、かつこれら連結軸及び駆動軸にて前部及び後部電気モータを支持したので、自走部を簡単な構造とすると共に、伝動装置も簡単でコンパクトにでき、更に前後の連結軸に支持フレームを連結することにより、それぞれ一体の前部自走部及び後部自走部を支持フレームにて連結でき、比較的軽量で信頼性の高い自走部を得ることができる。
【0027】
請求項6に係る本発明によると、クローラ走行装置は、比較的短い長さで足り、自走部をコンパクトに構成することができる。
【0028】
請求項7に係る本発明によると、平坦面は、キャスタを含む車輪により走行して、階段移動装置を容易に転向して所望の位置に運ぶことができ、かつ階段昇降時には、車輪がクローラ走行装置の上方に退避して、車輪が階段等と干渉してクローラ走行装置の自走を妨げることを確実に防止できる。
【0029】
請求項8に係る本発明によると、平坦面での移動時にあっても、点字ブロック等の凹凸がある場合、車輪による運搬では重く感じる場合があるが、このような場合、前後一方のクローラ走行装置を接地して、該一方のクローラ走行装置及びキャスタにより自走しつつ所望方向に操縦することが可能となり、荷台に電動式車椅子を乗せた重荷重状態にあっても、1人の操縦者により凹凸面のある平坦面をも容易に搬送することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って本発明の実施の形態について説明する。第1の実施の形態による自走式階段移動装置A1 は、図1ないし図4に示すように、自走部3、支持フレーム5(a,b)、電動又は人力車椅子K等を載置し得る荷台7及び該荷台7を水平状態に保持する水平保持手段H1 を備えている。自走部3は、図5及び図7に示すように左右それぞれに前部クローラ走行装置1a,2a及び後部クローラ走行装置1b,2bを有しており、これら1対の前部及び後部クローラ走行装置にてそれぞれ左右2列のクローラ走行装置L,Rを構成している。
【0031】
左右の前部クローラ走行装置1a,1b及び後部クローラ走行装置2a,2bは、それぞれその前後中央部分におけるトラックフレーム11a,11b及び17a,17bが連結軸6,19にて連結されていると共に、その駆動輪9a,9b及び15a,15bが駆動軸10,16にて連結され、左右の前部クローラ走行装置1a,1b同士及び後部クローラ走行装置2a,2bは一体に連結されている。更に、前記前後の連結軸6,19は、左右の支持フレーム5a,5bに回転自在に支持されており、従って左右の前部及び後部クローラ走行装置1a,1b及び2a,2bはそれぞれその中央部分にて支持フレーム5a,5bに回転自在に支持されている。
【0032】
前部の連結軸6及び駆動軸10に跨って電磁ブレーキ付きDCモータからなる前部電気モータ13が支持されており、該モータ13の出力軸はケース50内に収納されている減速歯車を介して駆動軸10に連動している。これら一体に構成されている電気モータ13、連結軸6、駆動軸10及び左右前部クローラ走行装置1a,1bにて前部自走部3Fを構成している。また、後部の連結軸19及び駆動軸16に跨って同じ電磁ブレーキ付きDCモータからなる後部電気モータ20が支持されており、該モータ20の出力軸はケース51内に収納されている減速歯車を介して駆動軸16に連動している。これら一体に構成されている電気モータ20、連結軸19、駆動軸16及び左右後部クローラ走行装置2a,2bにて後部自走部3Rを構成している。
【0033】
更に、前部連結軸6には、図7に示すように、左右ベアリング52a,52bを介して荷台7が揺動自在に支持されている。該荷台7は、図2、図3及び図4に示すように、底板28の4隅に柱34が立設されており、これら柱に亘って左右側面及び後面に保護枠29が設けられていると共に、後部には把手24に設けられている。また、荷台7の底板前部には、図3及び図9に示すように、左右の渡し板30,30が回動自在に支持されており、該渡し板は2枚の板30a,30bを回動自在に連結した折り畳み構造になっていると共に、左右渡し板が連結部分にて横棒38等により連結されている。更に、左右の前柱34の上端と左右の支持フランジ5a,5bとの間にはガススプリング23が介在設置されており、該スプリングは荷台7に作用するモーメント荷重を受ける。また、上記荷台7の底板28には、図7に示すように、その下面中央部分にバッテリ55が搭載されており、また左右の前部及び後部にはそれぞれキャスタ40a,40aが、また中央部分には固定車輪40,40が設置されている。
【0034】
そして、左右の前部及び後部の各クローラ走行装置1a,1b,2a,2bは、図6に示すように、中央部を連結軸6,19にて回動自在に支持されているトラックフレーム11a,11b,17a,17bを有しており、該トラックフレームの一端部分に駆動輪9a,9b,15a,15bが回転自在に支持されている。また、該トラックフレームの他端部側にはボルト56及びナット57により長さ方向に調節自在にスライドフレーム59が支持されており、該フレーム59に遊動輪60が支持されている。更に、トラックフレームの下辺にはガイドレール61が固定されている。そして、前記駆動輪9a,9b,15a,15b及び遊動輪60にゴム製クローラ32が巻き掛けられている。即ち、各クローラ走行装置1a,1b,2a,2bは、その長さ(前後)方向及び幅(上下)方向の略々中央において連結軸6,19により回動自在に支持されている。
【0035】
また、クローラ32は、その外周面及び内周面の全周に亘り同一ピッチの歯32a,32bが形成されており、かつこれら歯は長手方向に直交するようにクローラ幅一杯に延びている。そして、前記駆動輪9a,9b,15a,15bにはタイミングプーリのような歯が形成されていると共に両側外径方向に突出してフランジが設けられており、また前記遊動輪60は円筒形からなると共に両側にフランジが形成されている。従って、前記クローラ32は、その内歯32bが駆動輪の歯に噛合して、遊動輪60との間で回転し、下面がガイドレール61に支持されながら、接地して走行する。なお、図6中63a,63bは、クローラ走行装置を接地又は接地解除するための傾斜カム片であり、伝動ケース50,51の側面に突出して設けられている(図5参照、後に図8にて説明する)。
【0036】
一方、図1、図4、図5及び図12に示すように、階段の一側部には下からレール手段31、浮上がり防止ガイドレール37及び水平保持用ガイドレール21が施設されている。レール手段は、階段の傾斜に沿って、即ち階段の角部Tを結ぶように設けられていると共に、階段の上下の平坦面上に階段から所定長さに亘って設置されている。該レール手段は、図11及び図12(b)に詳示するように、その底面に滑止め用の凸凹部を有しており、具体的には前記クローラ32の外周面の歯32aと同一ピッチの歯33aを有する長尺部材33が固定されている。好ましくは、該長尺部材は、ゴム製の歯付きオープンベルト33からなり、該長尺の歯付きベルトが底面に貼着する等により固定されている。更に、該レール手段31は、上記オープンベルト33の左右に立上がり面を有する蛇行防止ガイド35が設けられており、該ガイドはクローラ32の両側面を外れないようにガイドする。
【0037】
また、前記浮上り防止ガイドレール37は、上記レール手段の下側平坦面との連結部分を除いて、上記レール手段31と所定高さ離れて平行に設置されている。一方、前記前部クローラ走行装置1a,1b及び後部クローラ走行装置2a,2bの連結軸6,19は、図4、図7及び図9に詳示するように、これら走行装置から更に左右に突出して、該突出部分に遊動ローラ36が回転自在に支持されている。そして、それら遊動ローラ36の左右いずれか一方(前部及び後部)が、前記ガイドレール37に下方から転接して、クローラ走行装置の浮上りが防止されている。
【0038】
前記水平保持用ガイドレール21は、階段方向に向けて開口している断面コ字状からなり、階段の下側に所定量バイアスして設けられている。一方、荷台7の後方部分所定位置には左右側方に突出して回動ローラ22が回転自在に支持されている。そして、これら回動ローラ22の左右いずれか一方が前記ガイドレール21内を転動する。これらガイドレール21及び回動ローラ22が、前記ガススプリング23と相俟って、水平保持機構H1 を構成している。
【0039】
また、図8に示すように、荷台7の後部分にはクローラ走行装置接地解除用操作杵41が枢支ピン65により前後方向操作自在に設けられている。該操作杵41の先端は、荷台7の底板下方に摺動自在に支持されている移動杵66に連結されており、該移動杵には下方に突出している2箇所ラグにローラ67a,67bが回転自在に支持されている。一方、前述したように、前部走行部3F及び後部走行部3Rの伝動ケース50,51には側方に突出して傾斜カム片63a,63bが設けられており、前記ローラ67a,67bが上記傾斜カム片に転接し得る。なお、図中42は、荷台7の下部に設けられたトグルクランプであり、支持フランジ5a,5bの後部連結部近傍のフック69を引掛けて、後部走行部3Rの上部保持をより確実に行うためのものである。
【0040】
また、図2及び図7における70は、荷台7の後部に設けられた制御盤であり、該制御盤にコードで連結しているペンダントスイッチ(図示せず)を操縦者が操作することにより、本自走式階段移動装置A1 は走行操作される。また、71は、荷台7の後方下部に設けられた足踏み式の駐機ブレーキである。
【0041】
ついで、上述した第1の実施の形態による自走式階段移動装置A1 の作用について説明する。荷台7に搭乗者がいる状態で車椅子Kを載置し、本自走式階段移動装置A1 を、例えば図1に示すように、階段の下方から上方に移動する場合について説明する。階段の下方平坦面にて左の前部クローラ走行装置1b及び後部クローラ走行装置2bをレール手段31に合わせると共に、回動ローラ22をガイドレール21に嵌挿する。この際、前部及び後部転動ローラ36,36もガイドレール37の下面に転接する。
【0042】
この状態で、操作杵41を後方に操作して、自走部3と荷台7との連牽を解き、かつペンダントスイッチにより前部及び後部電気モータ13,20を駆動する。これにより、左右列の前部及び後部クローラ走行装置1a,1b,2a,2bがすべて同速で走行するが、左列のクローラ走行装置1b,2bは、レール手段31上を案内されて走行する。即ち、ゴム製クローラ32の外周面の歯32aがオープンベルト33の歯33aに噛合して、スリップを生じることなく走行し、かつ該クローラ32の両側面がガイド35,35に案内されて蛇行を防止され、前部及び後部クローラ走行装置1b,2bは進行し、そして階段傾斜に沿って設置されているレール手段31の部分にあっても、上述した通り、歯による噛合い及びガイドによる案内により、左列のクローラ走行装置1b,2bはスリップすることなくかつ蛇行(斜行)することなく進行する。
【0043】
一方、右列の前部及び後部クローラ走行クローラ装置1a,2aは、平坦面及び階段上を走行するが、左右の前部クローラ走行装置1a,1bからなる前部走行部3F及び左右の後部クローラ走行装置2a,2bからなる後部走行部3Rは、それぞれ一体に構成され、かつ支持フレーム5a,5bに連結軸6,19により回動自在に支持されているので、図1の左側(上方)の状態に示すように、前部走行部3Fが階段の登り口に入る際、左列の前部クローラ走行装置1bがレール手段31に案内されて傾斜するのと同じ角度で右列の前部クローラ走行装置1aも傾斜し、前方に大きな傾斜走行面を備えていなくても、右列クローラ走行装置1aは階段の角部T上に乗り上がり、クローラ32の歯を引っ掛けて階段上を走行する。同様に、右列後部クローラ走行装置2aも、左列後部クローラ走行装置2bのレール手段31による傾斜に応じて一体に傾斜し、階段上を走行する。
【0044】
上記階段の登り口部分にあっては、前部クローラ走行装置1a,1bが1段目の高さに掛け渡されるように徐々に水平に対する傾斜角を増大し、この状態にあっても、後部クローラ走行装置2a,2bは平坦面にあり、従って両連結軸6,6を結ぶ線、即ち走行部3(支持フレーム5a,5b)の角度変化は緩やかであり、更に自走部が前進して、前部及び後部クローラ走行装置(即ち自走部)が完全に階段傾斜に沿うレール手段31の傾斜面に乗って、自走部の傾斜角が該階段傾斜に一致するまでその角度を増大するが、その変化率(角速度)は小さく、そして自走部が階段傾斜角に一致した後は、該角度に維持されて角度変化率(角速度)は0となる。
【0045】
この際、荷台7は、支持フレーム5a,5bと前部クローラ走行装置1a,1bとを連結する連結軸6を中心に揺動自在に支持されていると共に、該荷台7の所定位置に配置された回動ローラ22がガイドレール21に転動・案内されており、これにより該荷台7は、支持フレーム5a,5b及び自走部3の傾斜変化に拘わらず、幾何学的に常に水平状態に保持されている。
【0046】
この状態では、図10に示すように、荷台7に作用する荷重(荷台自重+積載荷重)W1は、連結軸6を介して前部クローラ装置1a,1bに直接作用すると共に、回動ローラ22を介してガイドレール21に荷重W2として作用する。前部クローラ走行装置は、上記荷台7からの荷重に該走行装置の自重を加算した荷重W3が作用する。また、回動ローラ22のガイドレール21に沿う方向の分力S2は、ガススプリング23の圧縮力Fとして支持フレーム5a,5bに作用し、更にモーメント荷重として後部クローラ走行装置2a,2bに作用し、該後部クローラ走行装置は、上記ガススプリングを介してのモーメント荷重に該走行装置の自重を加算した荷重W4が作用する。従って、荷台7の荷重は、前部クローラ走行装置、後部クローラ走行装置及びガイドレール21に分散して作用し、かつ両クローラ走行装置は、充分なレール手段31への押圧力V3,V4を作用する。これにより、クローラ32の歯32aとレール手段31のオープンベルト33の歯33aとの接触圧を確保し、滑らかに噛合する圧力角からなる歯形を採用しても、クローラ走行装置の推力S3,S4による浮上りを防止できる。
【0047】
そして、図1の右側(上方)に示すように、前部クローラ走行装置1a,1bが階段上端部に至り、回動中心でありかつ荷重作用点である連結軸6が最上段角部T1 を越えると、該走行装置は、実線から鎖線で示すように階段傾斜角から上部平坦面に沿う水平状態に瞬間的に変化する。しかしこの状態でも、荷台7の揺動中心でもある連結軸6の高さは変化せず、荷台7は水平状態に保持されている。
【0048】
更に、自走部3が前進して、前部クローラ走行装置1a,1bがレール手段の水平部31a及び平坦面上を走行すると共に、後部クローラ走行装置2a,2bがレール手段31の階段傾斜部を走行することにより、支持フレーム5a,5bの両連結軸6,19を結ぶ線(自走部3)は、徐々に水平に近づくように角度変化をする。該角度変化は、後部クローラ走行装置2a,2bがレール手段水平部31a及び平坦面上に位置するまで続くが、その変化率(角速度)は小さい。
【0049】
上記自走部3の前進に伴い、荷台7は、その前部を連結軸6に揺動自在に支持されつつ、回動ローラ22がガイドレール21に案内されることにより、水平状態を保持されているが、上述したように、自走部3の角度変化が緩やかであるため、該荷台7との角度変化率も小さく、荷台7は確実に水平状態に保持される。
【0050】
上述した自走式階段移動装置A1 の移動に際して、例えば下側平坦面から階段に移行する際、前部クローラ走行装置に対して後部クローラ走行装置の水平方向移動速度が速くなること、又は階段昇降中において加速又は減速方向の加速度が作用すること、等によりクローラ走行装置に浮上り力が作用する場合が生じたとしても、連結軸6,19に支持された遊動ローラ36,36がガイドレール37の下面に転接しているので、前部クローラ走行装置及び後部クローラ走行装置はレール手段31からの浮上りが確実に防止されている。これにより、クローラ32は、その歯32aのオープンベルト33の歯33aへの噛合及びその側面の蛇行防止ガイド35による案内を確保され、両クローラ走行装置は確実に走行する。
【0051】
なお、上述説明は、階段を下方から上方へ登る場合について説明したが、階段を上方から下方へ下る場合も、車椅子が進行方向に向けて図面とは逆の状態に載置されることを除き、同様に作用する。即ち、自走部は、後部を前方にして進行し(後進)、一方のクローラ走行装置がレール手段にすべりのない状態で走行すると共に、他方のクローラ走行装置が一体に揺動して階段上を走行し、かつ平坦面と階段の移動部分にあっても、前部及び後部クローラ走行装置からなる自走部の角度変化は少なく、荷台7は、回動ローラ22がガイドレール21に案内されることにより水平状態に保持されて走行する。
【0052】
また、上述実施の形態は、回動ローラ22を荷台7の後方部分に配置したため、下側平坦面におけるガイドレール21の突出量が大きくなっているが、これは、回動ローラを荷台の前方に設置することにより、上記ガイドレールの突出を少なくするか又はなくすことができる。
【0053】
ついで、本自走式階段移動装置A1 (後述する他の実施の形態によるものも同様)の平坦面での移送について説明する。操作杵41が後方にある場合(図8(a)の鎖線位置及び図1の状態)、移動杵66は前方位置にあって、前後のローラ67a,67bは伝動ケース50,51に設置された傾斜カム片63a,63bに当接していない。この状態では、自走体3と荷台7とは連結軸6で揺動自在に連結された非連牽状態にあり、前述したように荷台7と自走体3とは角度を変更して走行される。荷台7がガイドレール21等で拘束状態にない場合、荷台の積載荷重によっても異なるが、一般に、ガススプリング23の圧縮力により、前部走行クローラ走行装置1a,1bはその後部(駆動輪15a,15b側)のみが接地した状態にあり、後部走行クローラ走行装置2a,2bは全面接地した状態にある。
【0054】
この状態から、図8(a)に示すように、操縦者が、操作杵41を前方(鎖線位置から実線位置)に操作すると、移動杵66は後方に移動し、その前後ラグ部分に回転自在に支持されているローラ67a,67bも一体に移動する。すると、伝動ケース50,51の側方に突出して設けられている傾斜カム片63a,63b(図5、図6参照)に前記ローラ67a,67bが接触して、該カム片に沿って移動し、伝動ケース50,51を上方に持上げる。これにより、前部走行部3F及び後部走行部3Rは持上げられ、左右の前部及び後部クローラ走行装置は平坦面Gから離れて、荷台7の下部に設けられた左右2列の前後キャスタ40a,40a及び中央固定輪40が接地する。更に、左右のトグルクランプ42をフック69に引掛けて回動し、後部クローラ走行装置2a,2bを上方位置に確実に保持する。
【0055】
この状態で、操縦者は、把手24を持って押すことにより、前後キャスタ40a,40aにより自由に転向しつつ平坦面を任意の場所に移動し得る。これにより、荷台7に車椅子Kを乗せた状態で、レール手段31上に左右一方のクローラ走行装置を合わせると共に、転動ローラ22をガイドレール21に嵌合する等の階段移動装置の位置合わせを容易かつ素早く行うことができる。更に、下側の平坦面、階段中央の踊り場、上側平坦面、地下通路及び跨線橋等の渡り部分も、車椅子を乗せたままで方向転換しつつ自由に移動し得る。
【0056】
ついで、一部変更した実施例について説明する。平坦面にあっても、点字ブロック等の凹凸がある場合、特に該凹凸部から階段移動装置を始動する場合、荷台上に電動車椅子等を載置している重荷重状態にあっては、人力による階段移動装置の移動が過重になることが考えられる。この場合、前後一方のクローラ走行装置を接地して、該クローラ走行装置の動力走行をアシストして用いることが好ましい。一例としては、後部の傾斜カム片63bを緩傾斜面又は水平面、更には該カム片63b自体をなくすことにより、操作杵41の操作では、専ら前部クローラ走行装置1a,1bを持上げて接地解除する。これにより、後部クローラ走行装置2a,2bを接地した状態で、前部クローラ走行装置1a,1bを持上げ、操縦者は、前方キャスタ40aにより自由に転向しつつ、後部クローラ走行装置の電気モータ20による駆動力にアシストされて、上述した点字ブロック等の凹凸面で重荷重状態にあっても、1人の操縦者により容易に移動し得る。なお、後部クローラ走行装置を持上げて接地解除する場合、トグルクランプ42を操作することにより、持上げ位置に保持できる。
【0057】
更に、図8(b)に沿って、他の実施例について説明する。本実施例では、前後の傾斜カム片63a’,63b’の形状を変更すると共に、操作杵41を3位置に操作・固定可能とする。即ち、前部傾斜カム片63a’の下部に平坦部aを設け、また後部傾斜カム片63b’の上部に平坦部bを設ける。これにより、操作杵41の解放位置(図8(a)の鎖線位置)から1段前方位置において、前ローラ67aは前部傾斜カム片63a’の傾斜面に沿って平坦面aの境まで移動し、かつ後ローラ67bは後部傾斜カム片63b’の平坦部bにそって傾斜面の境まで移動する。この状態では、前述と同様に、前部自走体3Fは持上げられて前キャスタ40aが接地するが、後部自走体3Rは持上げられず、後部クローラ走行装置は接地状態にある。更に、操作杵41をもう1段前方に操作すると、前ローラ67aは前部傾斜カム片63a’の平坦面aに沿って移動し、前部自走部を持上げ状態に維持し、かつ後ローラ67bは後部傾斜カム片63b’の傾斜面に沿って移動し、後部自走部を持上げて、後キャスタ40a及び中央固定輪40を接地する。
【0058】
また、図3に示すように、平坦面の所定位置において荷台7に車椅子を昇降するには、足踏みブレーキ71を踏んで駐機した状態で、荷台前方の渡し板30を、ラッチを外して下方に回動し、かつ上端横棒38を接地しつつ折り畳状の2板の板30a,30bを延ばして、比較的長い左右渡し板を構成する。これにより、該渡し板30a,30bにより容易に車椅子Kは荷台7に乗り込み又は荷台から降りることができる。なおこの際、車椅子Kは、自走式階段移動装置の前進方向に向けて乗り込み、階段の昇降に拘わらず、車椅子搭乗者は常に前進方向を向いている。
【0059】
ついで、図13ないし図16に沿って、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、先に説明した実施の形態を同じ部分については、同一符号を付して説明を省略する。上述した実施の形態にあっては、階段側部にレール手段31の外、荷台7の水平保持機構H1 用のガイドレール21を必要とする。該ガイドレールは、階段の上下端の平坦面に所定長さを延出されるため、階段の通常の使用勝手を損なうことがあり、特に駅のようにラッシュアワーがある場合、通行の障害となることがある。そこで、本実施の形態にあっては、ガイドレールを用いないで荷台の水平を保持する水平保持機構H2 を用いることを特徴とする。
【0060】
支持フレーム5a,5bにブラケット75を固設し、該ブラケット75にはそれぞれ左右の電動シリンダ装置26の先端部26aが回動自在に連結される。また、該左右の電動シリンダ装置26は、そのモータ26bを有する基端端が荷台7の所定位置に回動自在に連結されている。一方、荷台7の後方下部には、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ又は重垂等による水平センサ(水平検出手段)25が配設されており、該水平センサは、角加速度(又は角速度)により又は直接に、荷台7の水平度、具体的には連結軸6による水平角(0度)からの傾斜角を検出し得る。
【0061】
そして、制御盤70内の制御部は、水平センサ25からの信号を受信して自走部3(及び支持フレーム5a)の角度変化に拘わらず、荷台7が水平状態を保持するよう、前記電動シリンダ装置26に所定信号を出力する。
【0062】
従って、本実施の形態によると、自走部3の駆動により、左右の一方のクローラ走行装置がガイドレール31の歯に噛合しつつ案内されて走行すると共に、それと一体の左右他方のクローラ走行装置が階段を昇降する。この際、図13の左側(下方)に示すように、平坦面から階段の登り口に移行する場合、まず前部クローラ走行装置1a,1bが1段目に渡るように傾斜して、レール手段31の傾斜面に乗かり、階段移動装置A2 の進行に伴い、自走部3(及び支持フレーム5a,5b)の傾斜角を徐々に増加するが、その変化率は小さい。このため、上記水平センサ25からの信号に基づき収縮制御される電動シリンダ装置26の回転速度をゆっくりで良く、水平センサ25からの信号に対応して荷台7を水平状態に保持し得る。
【0063】
そして、後部クローラ走行装置2a,2bもレール手段31の傾斜部に完全に乗り込むと、自走部3の傾斜角は、階段傾斜角に沿った一定角度となり、原則として水平センサ25による角度変化の検知はなくなり、電動シリンダ装置26は一定位置に保持される。
【0064】
更に、図13の右側(上方)に示すように、前部クローラ走行装置1a,1bが階段の最上部に至り、回動中心でありかつ荷台7の揺動中心でもある連結軸6が最上角部を越えると、該前部クローラ走行装置は瞬間的に階段傾斜角から水平状態に変化するが、支持フレーム5a,5bと荷台7との角度関係は変化せず、電動シリンダ装置26は一定長さにあって、荷台7は水平状態を維持している。更に、階段移動装置A2 の進行に伴い、自走部(支持フレーム)の角度は徐々に水平方向に近づくように変化するが、その変化率(角速度)は小さく、水平センサ25からの信号に対応して電動シリンダ装置26は比較的ゆっくりと伸長して、荷台7を水平状態に保持する。そして、後部クローラ走行装置2a,2bも完全に平坦面に位置して、自走部3(支持フレーム5a,5b)が水平になると、電動シリンダ装置26の伸長も停止され、荷台7は水平に維持される。
【0065】
なお、前記図10に沿って述べているが、電動シリンダ装置26を介してのモーメント荷重等により、前部クローラ走行装置1a,1b及び後部クローラ走行装置2a,2bは、レール手段31に押付ける力V3,V4が常に作用しているので、浮上がり防止ガイド37はなくてもよく、本実施の形態の場合、水平保持機構としてのガイドレール21を省略する以上、上記浮上がり防止ガイド37も省略することが好ましく、従って転動ローラ22及び遊動ローラ36も省略される。なお、階段傾斜面に位置する浮上り防止ガイド37は、邪魔になることはないので、この部分は、該ガイドを設け、平坦面に対応する部分のみを省略してもよい。更に、レール手段31は、平坦面からの突出を少なくするか又はなくすことが好ましく、従って平坦面にておいて溝内にオープンベルト32を設置し、蛇行防止ガイド35の上端を平坦面に面一にするか又はその突出高さを低く押えることが好ましい。更に、平坦面部分のみ、蛇行防止ガイド35を低くするか又は該ガイド自体をなくしてもよい。また、レール手段31自体を、平坦面部分の長さを傾斜面との境から前部又は後部クローラ走行装置の長さに相当する長さ、即ち上記境から階段2段分以下の長さにして、自走時、レール手段傾斜面にかかるクローラ走行装置のみがレール手段に噛合するようにしてもよい。
【0066】
また、クローラ走行装置1a,1b,2a,2bの接地解除を前述した操作杵41等により行ってもよいが、特に後部クローラ走行装置の接地解除を、制御盤70から延びているペンダントスイッチ(図示せず)により、電動シリンダ装置26を伸縮制御して行ってもよい。即ち、電動シリンダ装置26を、荷台7が略々水平状態にあってかつ後部クローラ走行装置2a,2bが接地する位置に保持して、上述した平坦面状でのクローラ走行(前部をキャスタ40aにて後部をクローラ走行装置2a,2bの駆動による移動)を行い、更に該電動シリンダ装置26を僅かに収縮して後部クローラ走行装置を持上げ、後部キャスタ40a及び固定輪40を接地して、人力による階段移動装置の移動を行う。
【0067】
ついで、図17ないし図19に沿って、更に変更した第3の実施の形態について説明する。
【0068】
本実施の形態は、信頼性の高いポテンショメータ等の検出手段を用いたプログラム制御により、簡単で遅れ及びハンチングのない荷台の水平保持機構H3 の制御を行うことを特徴とする。
【0069】
本実施の形態による水平保持機構H3 は、図17に示すように、前記電動シリンダ装置26と、自走部3の電気モータの回転数を検出する手段45と、支持フレーム5aに対する前部クローラ走行装置1aの連結軸6まわりの回転角を検出する手段46と、同じく支持フレーム5aに対する後部クローラ走行装置2aの連結軸19まわりの回転角を検出する手段47と、前記各手段(階段位置検出手段)45,46,47から信号を入力して、予め設定(格納)されているプログラムに沿って前記電動シリンダ装置26に出力する制御部Uと、を備えている。
【0070】
前記検出手段45は、前部走行部3F及び後部走行部3RのブラシレスDCモータ等の電気モータ13,20の両方又は一方の出力軸の回転数を検出すべく、前記制御盤の電気パルスを検出するセンサか、又は前記モータ出力軸若しくは駆動軸10,16の回転数を検出する回転計からなる。また、前部及び後部クローラ走行装置の回転角を検出する前部及び後部角度検出手段46,47は、左右いずれか一方に設けられ、支持フレーム5aに設置されたポテンショメータ46a,47aと、前部及び後部のトラックフレーム11a,17aに一端を固定されて前記フレーム方向に延びているセンサバー46b,47bと、を有し、これらセンサバーの先端屈曲部を各ポテンショメータ46a,47aのアーム46c,47cに形成された係合溝に摺動自在に嵌合してなる。
【0071】
ついで、本水平保持機構H3 を用いた自走式階段移動装置の作用について、図18、図19に示すフローチャートに沿って説明する。まず、操縦者の操作により階段移動装置の進行が前進方向(階段の登り方向)か後進方向(階段の降り方向)かを判断し(S1)、前進方向であれば、前後の走行用電気モータ13,20を前進(正)方向に(S2)、また後進方向であれば、上記電気モータを後進(逆)方向に回転して(S3)、前部及び後部クローラ走行装置1a,1b,2a,2bを走行する。
【0072】
前進方向に走行する場合、前部クローラ走行装置1a,1bの先端がレール手段31の傾斜面にかかると、前後方向に短くかつその中央の連結軸6を中心に回動する該クローラ走行装置は、支持フレーム5aの後部連結軸19を中心した回動に比して大きな回動角にて回動して、支持フレーム5aに対してプラス(図中反時計)方向に相対的に回動する。該回動変化は、トラックフレーム11aに固定されているセンサバー46b及びアーム46cを介してポテンショメータ46aにより検出される(S4)。すると、検出手段45により検出されている走行用電気モータ13,20の回転数の積算が、上記ポテンショメータ46a(即ち前部角度検出手段46)の角度変化を検出した時点から開始され(N=0;S5)、更に該電気モータの回転数に応じた速度で同期電動機、ステッピングモータ等の電気モータ(26b)を回転して電動シリンダ装置26が収縮を開始する(S6)。
【0073】
一般に、本自走式階段移動装置は、駅等の定められた場所にて用いられ、駅等で各ホームへの階段が多数あるとしても、階段傾斜角は概ね一定に設計されている。従って、予め、制御盤70内で階段傾斜角は設定されており、該設定により、走行用電気モータ13,20の回転数と、水平制御用電動シリンダ装置26のモータ26bの回転数とが関連づけられている(リンクされている)。これにより、クローラ32とレール手段31の噛合により滑ることなく進行する自走部3の移動量に対応して、電動シリンダ装置26は収縮することに基づき、支持フレーム5a(自走部3)が傾斜するにも拘わらず、荷台7は常に水平状態に保持される。
【0074】
上記電動シリンダ装置の駆動は、前記走行用電気モータの積算回転数Nが所定数U1、即ち前部クローラ走行装置1a,1bの接地面先端部がレール手段31の傾斜面に乗り上げを開始した時点から、後部クローラ走行装置2a,2bの接地面後端部がレール手段傾斜面に乗り上げて、自走部3(支持フレームの両連結軸6,19を結ぶ線)がレール手段傾斜角に一致するまでの距離に相当する所定積算回転数U1を越えるまで(N>U1)続けられる(S7)。そして、上記積算回転数Nが上記所定数を越えた時点で、上記電動シリンダ装置の収縮駆動は停止される(S8)。更に、階段傾斜角に沿った自走部3の走行(上昇)は続けられ、この際、上記電動シリンダ装置26は停止状態にあって、荷台7は水平状態に安定保持されている。
【0075】
そして、前部クローラ走行装置1a,1bの連結軸6部分が階段上端部に至ると(図1及びず13の右側(上方)部分参照)、前部クローラ走行装置が連結軸6を中心にマイナス(図面時計)方向に瞬間的に大きく回動する(S9)。すると、前述と同様に、支持フレーム5aに対して前部クローラ走行装置が回動変化し、該回動変化がポテンショメータ46a(前部角度検出手段46)により検出され、かつ前記S5と同様に、走行用電気モータの回転数の積算が開始されると共に(N=0;S10)、電動シリンダ装置26が伸長方向に駆動開始される(S11)。該電動シリンダ装置の駆動は、前述と同様に、走行用電気モータの回転数に応じた速度に設定されており、支持フレーム5a(自走部3)が徐々に水平方向に近づくように角度変化するのに合わせて、所定速度で伸長し、荷台7は常に水平状態に保持される。
【0076】
更に、自走部3が前進して後部クローラ走行装置2a,2bの連結軸19が階段上端角部を越えて、該クローラ走行装置も水平状態に回動して自走部が水平状態になると、該前部及び後部クローラ走行装置の両連結軸6,19の距離に相当するように走行用電気モータの回転数の所定積算値U2が設定されているため、電気モータの回転数積算値が上記所定値を越え(N>U2;S12)、電動シリンダ装置26の駆動は停止される(S13)。この状態にあっては、自走部3と荷台7とは略々平行にあって荷台は平行状態に保持されている。
【0077】
そして、後部クローラ走行装置の後端が階段の上端角部から外れ、更に安全が確保される所定量前進するように、所定時間又は所定積算回転数走行用電気モータの駆動を継続した後、該電気モータは停止され(S14)、階段上昇の制御は終了する。
【0078】
一方、前記ステップS1にて後進(階段の降り方向)と判断された場合、走行用電気モータ13,20は、後進(逆)方向に駆動されて自走部3を後進する(S3)。そして、後部クローラ走行装置2a,2bの連結軸19が階段上端角部を越えて、該走行装置が連結軸19を中心にプラス(反時計)方向に回動すると、該回動変化が後部角度検出手段47により検出される(S21)。即ち、後部自走部の回転により、トラックフレーム17aは、連結軸19を中心に回動し、それと一体のセンサバー47bは、アーム47cを介して支持フレーム5aに設置されているポテンショメータ47aを回動し、該回動変化が制御部Uに送信される。
【0079】
すると同時に、走行用電気モータの回転数の積算が開始され(N=0;S22)、更に電動シリンダ装置26が伸長方向に駆動開始される(S23)。該電動シリンダ装置の駆動は、走行用電気モータの回転数に連動しており、階段降り方向にあっては、荷台7上の荷重及び階段移動装置の自重が進行方向に助勢するので、該荷重が負荷として作用する階段登り方向に比して走行用電気モータの回転数も速くなり、その分電動シリンダ装置の移動も速くなる。
【0080】
そして、前記電気モータ回転数の積算値Nが、前部及び後部クローラ走行装置の両連結軸6,19の距離に略々相当する所定積算値D1(≒U2)を越えると(N>D1;S24)、電動シリンダ装置26が停止される(S25)。この状態は、前部クローラ走行装置1a,1bも階段傾斜部に位置して、自走部3が該一定の傾斜角になっており、荷台7は水平状態に保持された状態で、自走部3が階段降り方向に進行(後進)する。
【0081】
そして、後部クローラ走行装置2a,2bの接地先端部が階段下方の平坦面(レール手段の平坦面)に至ると、支持フレーム5aの回動変化に比して大きい変化量にて後部クローラ走行装置2a,2bは回動する。即ち、支持フレーム5aが後部連結軸6を中心に回動するのに対し、後部クローラ走行装置はその中央の連結軸19を中心に回動し、両者の相対角度変化が、ポテンショメータ47a(後部角度検出手段47)によりマイナス(時計)方向の角度変化として検出される(S26)。すると、走行用電気モータの回転数の積算が開始される(N=0;S27)と共に、電動シリンダ装置26が収縮方向に駆動開始される(S28)。該電動シリンダ装置の駆動は、走行用電気モータの回転数に連動して制御され、自走部3(支持フレーム5a)の角度変化に拘わらず、荷台7は常に水平状態を保持される。
【0082】
更に、自走部が進行して、走行用電気モータの回転数積算量が、後部クローラ走行装置の接地前端部(進行方向前端)から前部クローラ走行装置の接地後端部までの距離に略々相当する所定値D2(≒U1)を越えると(N>D2;S29)、電動シリンダ装置の駆動が停止され(S30)、更に所定時間又は所定積算回転数走行用電気モータの駆動が維持されて、階段下端から所定距離離れた所で該電気モータも停止され(S31)、階段下降の制御は終了する。
【0083】
なお、階段と平坦面との移行部分において、階段上端側と下端側では、移動部分の距離が相違するので、走行用電気モータと水平保持用電動シリンダ装置モータとを関連する係数が異なっており、更に該移行部分の各位置において、自走部の進行速度と支持フレーム(自走部)傾斜角変化率(角速度)とはリニアにならないので、走行用電気モータの積算回転数に基づき、自走部の各位置において荷台が水平になるように制御部にて演算するか又はマップを格納しておき、移行部分の各位置に拘わらず、常に荷台が水平になるように予めプログラムしておく。
【0084】
以上説明した水平保持機構H3 によると、前部角度検出手段46又は後部角度検出手段47の角度変化検出及び走行用電気モータ回転検出手段(45)により、自走部3の階段に対する関係、電動シリンダ装置26を制御するので、フィードバックを行うことなく、予め設定されたプログラムに沿って制御することにより、ハンチング等を生じることなく、正確かつ確実に荷台7を水平状態に保持して、車椅子搭乗者に不安感を与えることはない。更に、前部又は後部角度検出手段46,47のプラス方向又はマイナス方向の回動変化により、電動シリンダ装置の移動方向を変えてあるので、誤作動を生じることがなく、信頼性の高いポテンショメータ等の角度検出手段と相俟って、安全性の高い確実な制御を行うことができる。
【0085】
なお、上記ポテンショメータによる角度変化検出は、所定不感帯幅を有しており、階段傾斜面上にあって、クローラの歯とレール手段の歯との噛合関係等による僅かな角度変化によりステップS4,S9,S21,S26等の信号を出力することはない。また前部及び後部角度検出手段は、上述したようにポテンショメータに限らず、例えば各2枚のセンサカムとリミットスイッチにより、階段下端部及び階段上端部の角度変化を検出してもよい。
【0086】
また、上述実施の形態では、上記階段と平坦面の移行終了を、走行用電気モータの積算回転数により判定したが、これに限らず、進行方向後側となるクローラ走行装置の角度変化がなくなることを前部又は後部角度検出手段46,47にて検出することにより判断してもよい。即ち、ステップS7,S12を後部角度変化が0となる、またステップS24,S29を前部角度変化が0となる、に変更してもよい。また、電動シリンダ装置の駆動開始を、進行方向前側の角度変化により行っているが、これは、進行方向後側のクローラ走行装置の角度変化により行ってもよい。
【0087】
更に、上記進行方向後側となるクローラ走行装置の角度変化を安全装置として用い、進行方向前側となる角度変化(即ちS2,S9;S21,S26)からの走行用電気モータの所定積算回転数幅内に後側の角度変化が0となる場合以外、走行用電気モータ及び電動シリンダ装置用モータを停止するようにすると好ましい。例えば、走行用電気モータ積算回転数Nを上記U1,U2,D1,D2よりも前後方向に僅かに大きく設定した所定積算回転数幅を予め設定しておき、クローラ走行装置がスリップしつつ移動するような場合、電動シリンダ装置がその移動を完了した状態にあっても、進行方向後側となる角度検出手段が角度変化を続けて検出することになり、上記所定積算回転数幅を越えても依然として角度変化を検出する場合は、異常と判断して、直ちに走行用電気モータを停止して電磁ブレーキを作動し、階段移動装置を停止する。
【0088】
また、例えば階段登り状態にあって、前部クローラ走行装置はレール手段に案内されるが、後部クローラ走行装置がレール手段から外れている場合、前部クローラ走行装置の角度変化により電動シリンダ装置が移動を開始するが、後部クローラ走行装置の先端が階段最下段に当って自走部が停止し、この状態では、上記所定積算回転数幅に至らない前に後部角度検出手段による角度変化量が0となり、直ちに電動シリンダ装置の駆動を停止すると共に、走行用電気モータを停止する。
【0089】
また、前部及び後部角度検出手段46,47が、所定範囲以上、即ち平坦面とレール手段の傾斜面との角度以上の角度変化を検出した場合、直ちに走行用電気モータ及び電動シリンダ装置を停止するように構成すると好ましい。即ち、階段下降時、例えば前部クローラ走行装置がレール手段から外れている場合、該走行装置の前後長は階段2段以上ないので、その連結軸6が階段角部を越えると、前部クローラ走行装置は、その先端が1段下の階段に当たるまで大きく回動する。同様に、後部クローラ走行装置がレール手段から外れている場合も、該走行装置は上記所定範囲以上に回転する。この状態では、電動シリンダ装置(前部クローラ走行装置がレール手段から外れている場合はまだ駆動されていないが)を停止すると共に、走行用電気モータを停止して電磁ブレーキを作動し、階段移動装置をその状態で直ちに停止する。
【0090】
以上説明したように、前部及び後部角度検出手段を用いることにより、異常時は自動的に停止して、安全性をも向上することができ、ガイドレールを用いないものにあっても、高い信頼性と安全性を確保することができる。
【0091】
なお、上述実施の形態は、左側のクローラ走行装置をレール手段に噛合した場合を説明したが、本自走式階段移動装置は、左右対称に構成されおり、階段の左右いずれの側にレール手段、ガイドレール等があっても、同様に適用できる。また、上述実施の形態は、荷台7に車椅子を載置した場合について説明したが、これに限らず、荷台7に新聞、雑誌等荷物を載置してもよい。
【0092】
なお、上述実施の形態は、左右それぞれに前部クローラ走行装置及び後部クローラ走行装置を設けているが、本発明は、左右それぞれに1個のクローラ走行装置を有するものにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態の作動を示す全体側面図。
【図2】その自走式階段移動装置の平面図。
【図3】その側面図。
【図4】その後面図。
【図5】自走部を示す斜視図。
【図6】クローラ走行装置(前部及び後部自走部)を示す側面図。
【図7】自走部を示す平面図。
【図8】(a)は、クローラ走行装置の接地を解除する操作手段を示す側面図、(b)は、一部変更した実施例を示す図。
【図9】自走式階段移動装置の正面図。
【図10】自走式階段移動装置の荷重状態を示す図。
【図11】クローラ走行装置とレール手段の噛合を示す図。
【図12】第1の実施の形態に適用される階段模形を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図。
【図13】本発明を適用した第2の実施の形態の作動を示す全体側面図。
【図14】その自走式階段移動装置の平面図。
【図15】その側面図。
【図16】その後面図。
【図17】本発明の第3の実施の形態による水平保持機構を示す概略側面図。
【図18】その作用を示すフローチャート。
【図19】上記図18の続きを示すフローチャート。
【符号の説明】
1a,1b 前部クローラ走行装置
2a,2b 後部クローラ走行装置
3 自走部
3F 前部自走部
3R 後部自走部
5a,5b 支持フレーム
6 (前部)連結軸
7 荷台
9a,9b 駆動輪
10 駆動軸
11a,11b トラックフレーム
13 駆動源(前部電気モータ)
15a,15b 駆動輪
16 駆動軸
17a,17b トラックフレーム
19 連結軸
20 駆動源(後部電気モータ)
31 レール手段
32 ゴム製クローラ
32a 歯
33 長尺部材(歯付きオープンベルト)
33a 歯
37 ガイドレール
40 支持車輪
40a キャスタ
41,42 操作手段(杵)
1 ,A2 自走式階段移動装置
1 ,H2 ,H3 水平保持機構
L,R 左右のクローラ走行装置

Claims (8)

  1. 左右2列のクローラ走行装置及びこれらクローラ走行装置を駆動する駆動源を有し、前記左右のクローラ走行装置を一体に連結してなる自走部と、
    前記自走部を回動自在に連結すると共に荷台を支持する支持フレームと、
    階段の側部に該階段の傾斜角に沿って施設される、凹凸部を有するレール手段と、を備え、
    前記左右のいずれか一方のクローラ走行装置が前記レール手段に滑止めされた状態で案内されて走行すると共に、他方のクローラ走行装置が階段上を走行すること、
    を特徴とする自走式階段移動装置。
  2. 前記クローラ走行装置は、所定ピッチの歯を外周面全周に亘り形成したゴム製クローラを有し、
    前記レール手段は、前記ゴム製クローラのピッチと同じピッチからなる歯を有する長尺部材と、該長尺部材の左右に沿って配置され前記クローラ側面をガイドする蛇行防止ガイドと、を有してなる、
    請求項1記載の自走式階段移動装置。
  3. 前記長尺部材は、ゴム製の歯付きオープンベルトからなる、
    請求項2記載の自走式階段移動装置。
  4. 前記クローラ走行装置の前記支持フレームとの連結部と同軸状に遊動ローラを設け、
    前記レール手段の上方に、該遊動ローラが転接して、前記一方のクローラ走行装置の前記レール手段からの浮上りを防止するガイドレールを設けた、
    請求項1ないし3のいずれか記載の自走式階段移動装置。
  5. 前記左右2列のクローラ走行装置は、それぞれ前部クローラ走行装置及び後部クローラ走行装置を有し、
    前記自走部は、前記左右の前部クローラ走行装置を、左右駆動輪を連結する駆動軸及び左右トラックフレームの中央部を連結する連結軸にて互に一体に構成し、かつこれら駆動軸及び連結軸に橋絡して前部電気モータを設けると共に該電気モータの出力軸を前記駆動軸に連動してなる前部自走部と、
    前記左右の後部クローラ装置を、左右駆動輪を連結する駆動軸及び左右トラックフレームの中央部を連結する連結軸にて互に一体に構成し、かつこれら駆動軸及び連結軸に橋絡して後部電気モータを設けると共に該電気モータの出力軸を前記駆動軸に連動してなる後部自走部と、を有し、
    前記支持フレームが、前記荷台の左右において前記前部自走部の連結軸及び前記後部自走部の連結軸に回動自在に支持されてなり、
    前記荷台は、前記前部自走部の連結軸に回動自在に支持され、
    そして前記荷台を、前記自走部の傾斜角に拘りなく水平状態に保持する水平保持手段を設けた、
    請求項1ないし4のいずれか記載の自走式階段移動装置。
  6. 前記クローラ走行装置の1個あたりのクローラ接地面の長さが、階段の2段分の長さ以下である、
    請求項1ないし5のいずれか記載の自走式階段移動装置。
  7. 前記荷台の下方に、キャスタを含む複数の支持車輪を設け、
    これら支持車輪に対して前記クローラ走行装置が下方に突出する位置と上方に退避する位置に切換える操作手段を設けた、
    請求項1ないし6のいずれか記載の自走式階段移動装置。
  8. 前記荷台の下方に、キャスタを含む複数の支持車輪を設け、
    これら支持車輪に対して前記前部クローラ走行装置及び後部クローラ走行装置が下方に突出する位置と、上方に退避する位置と、前記キャスタに対して前記前部及び後部クローラ走行装置のいずれか一方が上方に退避しかつ前記他の支持車輪に対して他方が下方に突出する位置と、に切換える操作手段を設けた、
    請求項5記載の自走式階段移動装置。
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