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JP3969911B2 - 負帰還増幅回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話システムに代表される無線通信分野で利用される負帰還増幅回路に関し、特に電力増幅器の低歪化技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話システムに代表される無線通信機においては送信信号を所望の電力レベルまで増幅する電力増幅器が用いられる。一般に、電力増幅器(以下では単に増幅器と表記することがある)においては、入力電力が小さい範囲では線形動作をし、入力電力を増していくと非線形動作をするようになる。増幅器が線形動作をしている場合には入力信号と出力信号のスペクトルは等しく、その電力レベルが増幅器の利得分だけ増幅される。
【0003】
一方、非線形領域で動作している場合には、増幅器の出力信号が歪むために、そのスペクトルは入力信号スペクトルと等しくはならず、入力信号スペクトルに比較して広がってしまう。反面、増幅器の電力効率に着目すると、非線形動作をした場合の方が線形動作をしているときよりも高効率となるので増幅器そのものの選択、動作させる入力電力の設計にあたっては、この増幅器の歪によるスペクトルの広がりと電力効率の兼ね合いを十分に考慮する必要がある。
【0004】
無線通信においては、使用者はそれぞれ異なるキャリア周波数を割り当てられ、そのチャネルで通信を行う。しかし、増幅器が非線形動作をしてその出力スペクトルが近隣のチャネルにまで広がると、その近隣チャネルに対する干渉波となり、通信品質に影響を及ぼすことになる。この近隣チャネルヘの干渉を抑えるために、近隣チャネルヘのスペクトルの広がりを、隣接チャネル漏洩電力値として規定されることがある。無線端末設計者は、この規格を満足するように、増幅器とその入力電力値を選択・設計することになる。この隣接チャネル漏洩電力の規格は、勿論、該当する無線システムに与えられた帯域にわたって満足する必要がある。
このように増幅器の歪の上限は、それぞれの無線システムにより規定されるので、要求される規格を満足するためには、電力効率が悪くなっても、増幅器を線形動作させざるを得なかった。
【0005】
このような問題を解決するために、より低歪で高い電力効率を有する増幅器を実現するための種々の方法が提案されている。その手段としては、増幅器に負帰還を施すものやプレディストーションと呼ばれるものも含まれる。この中で増幅器に負帰還を施す手法は、増幅器の出力の一部を逆位相で入力端子に帰還するもので、簡単な回路構成で増幅器の低歪化が図れるものである。
【0006】
図9に示すように、増幅度αの増幅器51において、その出力を減衰度βの減衰器52を介して入力信号と逆位相で合成して負帰還増幅器50とした場合、この負帰還増幅器50の増幅度γは、
γ=α÷(1+α×β)
となる。実際には帰還ループを作るための増幅器11の出力端での分岐部分で生じる損失、増幅器11の入力端の合成部分で生じる損失があるが、ここではすべてβに含ませてあるとする。
【0007】
また、帰還信号を逆位相で合成するためには、帰還ループ内で位相を調整する回路が必要があるが、ここでは省略している。負帰還増幅器50においては、負帰還を施す前の増幅度αと負帰還を施した後の増幅度γの差をもって負帰還の度合いを表す。この場合、「10×log(α/γ)デシベルの負帰還を施した」と表現される。例えば、増幅器51の増幅度が40dBとして減衰量が25dBの減衰器52をもって負帰還ループを構成した場合、負帰還増幅器としての増幅度はもとの増幅度より15dB低くなって(つまり15dBの負帰還がかかって)25dBとなる。この時、負帰還を施したことにより信号出力が15dB低くなるとともに、増幅器51の歪出力も15dB低くなる。信号出力の低下分は、負帰還増幅器50への入力を15dB増加させれば、信号対歪比は15dB改善されることになる。このとき、増幅器51単体に着目すると、負帰還をかける前と後ではその入出力信号レベルは変わっていない。つまり増幅器51単体の動作が非線形動作から線形動作になったわけではないので、高効率なままということが分かる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
負帰還を施した増幅回路は低歪となるが、この効果は増幅器の出力信号が逆位相で入力側に帰還されたときが最大で、位相が逆位相から外れるに従って効果は小さくなる。さらに同位相となった場合には増幅器の発振を招く恐れもある。それゆえ負帰還の効果は狭帯域に限られることになり、所望の周波数帯域にわたって効果を得にくいという問題があった。
【0009】
この問題について、図10を用いて説明する。図10(a)に示すような振幅特性と、図10(b)に示すような位相特性を持つ増幅器に対して負帰還をかけるとする。このとき、周波数f0において帰還信号が入力信号と逆位相となるように調整したとする(以下では、このように調整することを「負帰還(ループ)を周波数f0に設定する」と書くことがある)。15dBの負帰還を施すとすると、上記したように25dBの減衰器52でもって負帰還ループを構成すれば良い。増幅器単体の増幅度は図に示す周波数特性を持ち、周波数の増加ととも減少し、増幅度が25dBとなる周波数で位相が180度変化する。周波数特性は増幅器のみが持つとすれば、このとき、帰還ループは、25dBの増幅度を持つ増幅器51と25dBの減衰度を持つ減衰器52から構成されるのでループゲインは0dBとなり、回路が発振するかしないかの境目の状態になることになる。つまり、図10の特性を持つ増幅器にかけられる最大の負帰還量は15dBであり、これ以上帰還量を大きくすると周波数f1で発振することになる。実際には、例えば3dBの余裕を取り12dBが最大の負帰還量となる。
【0010】
上記したように、増幅器単体の周波数特性により、実現可能な負帰還量の上限が制限されるから、これはつまり信号対歪比の改善度の上限も制限されることになってしまう。この問題は、増幅器の入力及び出力信号の一部を取り出し、それらを比較して帰還信号レベルを決定する特開平6−338731に示される負帰還増幅器であっても避けることはできない。ここに示されている従来の負帰還増幅器では、帰還レベルを決定するための方法が提案されているが、増幅器の周波数特性に触れてはおらず、図10を用いて説明した最大負帰還量の範囲内の工夫に過ぎない。
【0011】
増幅器の非線形動作、つまり歪によるスペクトルの広がりは、上記したように同一システム内の多チャネルに対する干渉として悪影響を及ぼすだけでなく、他システムに対しても干渉波として影響を及ぼすことになる。既存の無線システムの周波数帯域に隣接して新規の無線システムが構築される場合、既存の無線システムに影響を与えないようにするために、他システムに対する漏洩電力規格は、同一システムの隣接チャネルに対するそれよりも厳しいものとなる。これは割り当てられた無線周波数帯域端付近のチャネルでのみ満足すれば良く、周波数帯域全体で満足する必要はないが、規格が厳しいために特別の対応が必要となる。
【0012】
例えば、W−CDMA無線システムの場合、割り当てられた周波数帯域は1920MHzから1980MHzであるが、隣接する周波数帯域1893.5MHzから1919.6MHzはPHS無線システムに既に割り当てられており、このPHS帯域への漏洩電力(スプリアス発射)は測定帯域幅300KHzの時に−40dBmと定められている。W−CDMA無線システムにおける隣接チャネル漏洩電力は、測定帯域幅は3.84MHzでキャリア周波数から5MHz離調した周波数で−33dB、10MHz離調した周波数で−43dBと定められており、上記のPHS帯域に対する規格をW−CDMAでの測定帯域幅に換算すると、W−CDMAでの出力電力を24dBmとして−54dBとなり、隣接チャネル漏洩電力規格に比べて非常に厳しい条件を満足する必要がある。
【0013】
帰還をかける際の位相に関しては、所望の周波数にて帰還信号と入力信号を逆位相で合成する回路構成の問題がある。増幅器出力から帰還信号を分岐させ、位相調整手段、レベル調整手段を介して入力信号と合成するのであるが、回路部品の小型化に伴い、帰還路の物理的距離が短くなるために、帰還路を構成する線路による位相変化のみで入力信号に対して180度の位相変化を実現しようとすると、それだけで回路規模が大きくなってしまい、部品の小型化の効果が無くなってしまうことになる。そのために、移相回路を付加して、線路としては最短で済ます構成が考えられる。この場合でも、増幅器出力であるRF信号の一部を帰還信号として、入力RF信号と逆位相で合成する負帰還回路では、帰還回路を構成する移相回路においてもその入出力でのインピーダンス整合をとる必要があり、その結果、位相変化量の自由度が制限される問題があった。
【0014】
例えば、図11に示すようなインダクタンスL54とキャパシタンスC54,C55からなるπ型回路で移相回路を構成する。この移相回路は、インダクタンスL54が帰還路に直列に接続され、インダクタンスL54の前後に一端を接地したキャパシタンスC54,C55をそれぞれ接続する。
ここで、インダクタンスのインピーダンスZLは、
L=jωL=jXS (XS=ωL)
キャパシタンスのインピーダンスZCは、
C=1/(jωC)=−jXP (XP=1/(ωC))
となる。
【0015】
この移相回路の場合、入出力端での整合(つまりS11、S22)が−10dB以下、且つ入出力インピーダンスが50Ω(このとき移相回路は対称回路となりC54=C55となる)の条件では、実現できる位相量は図12に示すように制限を受けることになる。図12においてA−B−C−D−E−F−Aの閉曲線は10dBのインピーダンス整合となる境界線である。さらにインダクタンス、キャパシタンスをチップ部品で実現する場合、キャパシタンスが飛び飛びの値しか存在しないことから、例えば周波数を1.95GHzとすると、図13に示す位相量しか実現できない。
【0016】
本発明の目的は、低歪な出力信号を得たい周波数の近傍で、より強い負帰還を実現可能とし、信号対歪比改善度の向上ができる負帰還増幅回路を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、発明である負帰還増幅回路は、信号が周波数に応じて位相変化しながら増幅される増幅手段と、入力信号と、前記増幅手段の出力信号を帰還させた帰還信号を合成して前記増幅手段に入力する合成手段と、前記増幅手段の出力信号から前記帰還信号を分岐する分岐手段と、本回路が動作する周波数帯の帯域下限周波数近傍に設定した第1の周波数において、前記分岐手段により分岐された前記帰還信号の位相を、前記帰還信号が前記増幅手段に入力されるときに前記入力信号と逆位相となるように調整する位相調整手段と、前記増幅手段による位相変化が前記第1の周波数に対して180度となる第2の周波数の信号において、前記位相調整手段の出力信号レベルを減衰するレベル調整手段と、前記レベル調整された帰還信号に対して、前記第1の周波数が通過域となり、前記第2の周波数が遮断域となって信号レベルを減衰して、前記合成手段に出力する低域通過手段とを備えたことを特徴とする
【0018】
発明である負帰還増幅回路は、信号が周波数に応じて位相変化しながら増幅される増幅手段と、入力信号と、前記増幅手段の出力信号を帰還させた帰還信号を合成して前記増幅手段に入力する合成手段と、前記増幅手段の出力信号から前記帰還信号を分岐する分岐手段と、本回路が動作する周波数帯の帯域上限周波数近傍に設定した第3の周波数において、前記分岐手段により分岐された前記帰還信号の位相を、前記帰還信号が前記増幅手段に入力されるときに前記入力信号と逆位相となるように調整する位相調整手段と、前記増幅手段による位相変化が前記第3の周波数に対して180度となる第4の周波数において、前記位相調整手段の出力信号レベルを減衰するレベル調整手段と、前記レベル調整された帰還信号に対して、前記第3の周波数が通過域となり、前記第4の周波数が遮断域となって信号レベルを減衰して、前記合成手段に出力する高域通過手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
発明である負帰還増幅回路は、前記位相調整手段が、位相変化量の異なる複数の移相回路からなることを特徴とする。
【0022】
発明である負帰還増幅回路は、前記位相調整手段が、帰還路に直列接続されたインダクタンスのみで構成された移相回路を含むことを特徴とする。
【0023】
発明である負帰還増幅回路は、前記位相調整手段が、帰還路とアース間に接続するキャパシタンスで構成される移相回路を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明において、増幅器による位相変化量が、負帰還を設定した周波数での位相変化量に比べて、180度変化する周波数近傍にトラップ手段の共振周波数を設定することにより、より強い負帰還が実現可能となり、より大きな信号対歪比改善度が得られる。特に無線通信において、負帰還を設定する周波数を自システムと隣接する他システムとの境界周波数近傍に設定することで、他システムに悪影響を及ぼさない無線装置を構成できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明に係る負帰還増幅器の第1実施形態を示すブロック図である。この負帰還増幅器10は、入力信号と帰還信号を合成する合成手段である方向性結合器11と、方向性結合器11の出力信号を増幅する増幅器12,13と、増幅器13の出力信号から帰還信号を分岐させる分岐手段である方向性結合器15と、方向性結合器15により分岐された帰還信号の位相を所定の周波数において入力信号と逆位相に調整する位相調整手段である移相回路16と、移相回路16の出力のレベルを変化させて方向結合器11に入力するレベル調整手段である減衰器18とを備えるものである。そして、増幅器13の出力側に、インダクタンスL14とコンデンサC14とからなる共振回路14を接続する。この共振回路は、一端を増幅器13に接続したインダクタンスL14の他端に、一端を接地したコンデンサC14を直列接続した回路である。
【0027】
本実施形態の負帰還増幅器10では、図1に示すように、増幅器12、増幅器13からなる2段構成の増幅回路の出力信号を方向性結合器15により分岐し、分岐した信号を移相回路16、減衰器18を介し、方向性結合器11により入力信号を合成して帰還ループを構成している。移相回路16は所望の周波数f0にて、方向性結合器11で逆位相にて合成されるように調整する。直列共振回路14はトラップ回路となっており、共振周波数をf1近傍に設定することにより、図2に示すように増幅器12と増幅器13の2段増幅回路の特性は該周波数f1近傍で振幅特性は凹状に、位相特性は凸状に変化することになる。このことにより、位相特性が180度変化する周波数は高周波側に移動し、その周波数での増幅度は減少するので、共振回路14を付加しない場合よりも強い負帰還を実現できることになり、このことはより大きな信号対歪比の改善が実現できることを意味する。なお、共振回路14は、増幅器12と増幅器13の間に接続しても良い。本実施形態では、負帰還を設定した周波数f0の高域側で位相が180度変化する周波数f1近傍に共振周波数を設定した共振回路14のみを接続しているが、周波数f0の低域側で位相が180度変化する周波数がもしあるならば、その周波数に共振周波数を設定した共振回路を更に接続すればよい。このことは以下の実施形態でも同様である。
【0028】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明に係る負帰還増幅器の第2実施形態を示すブロック図である。
この負帰還増幅器20は、入力信号と帰還信号を合成する合成手段である方向性結合器21と、方向性結合器21の出力信号を増幅する増幅器22,23と、増幅器23の出力信号から帰還信号を分岐させる分岐手段である方向性結合器25と、方向性結合器25により分岐された帰還信号の位相を所定の周波数において入力信号と逆位相に調整する位相調整手段である移相回路26と、移相回路26の出力のレベルを変化させて方向結合器21に入力するレベル調整手段である減衰器28とを備えるものである。
【0029】
本実施形態では、図3に示すように、増幅器22,23からなる2段構成の増幅回路の出力信号を方向性結合器25により分岐し、分岐した信号を移相回路26、減衰器28を介し、方向性結合器21により入力信号を合成して帰還ループを構成している。更に移相回路26は、1920MHz近傍にて帰還信号と入力信号とが方向性結合器21にて逆位相で合成されるように調整されている。
【0030】
本実施形態はW−CDMA無線システム用増幅器を仮定しており、1920MHzでPHS無線システムと周波数配置が隣りあっている。すなわち、W−CDMA無線システムの場合、割り当てられた周波数帯域は1920MHzから1980MHzであるが、隣接する周波数帯域1893.5MHzから1919.6MHzはPHS無線システムに割り当てられている。そこで、その周波数配置の境目である1920MHz近傍に負帰還ループを設定する。したがって、その境界周波数近傍で最も大きな信号対歪比改善度が得られることになり、PHS無線システムに悪影響を及ぼすことの無い増幅回路が実現できる。
【0031】
<第3実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の負帰還増幅器は、第2実施形態の負帰還増幅器20に、共振回路24を配置した構成である。この共振回路は、一端を増幅器13に接続したインダクタンスL24の他端に、一端を接地したコンデンサC24を直列接続した回路である。
【0032】
負帰還増幅器は、隣接するPHS無線システムに影響を与えないようにするために、負帰還増幅器が動作するW−CDMA帯域内では、図4に示すように、増幅器22と増幅器23の2段で構成される増幅回路の利得はほぼ平坦であるために、負帰還を設定した周波数1920MHzと増幅器の位相が1920MHzの時と比較して180度変化する周波数f1での利得低下量は小さくなってしまう。つまり強い負帰還がかけられないことになり、ひいては大きな信号対歪比の改善が期待できないことになる。本実施形態では、共振回路24を接続し、増幅器22と増幅器23の2段で構成される増幅回路による位相変化が1920MHzの場合と比べて180度変化する周波数f1近傍にその共振周波数を設定することにより、大きな信号対歪比改善が期待できることになる。
【0033】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図5は、本発明に係る負帰還増幅器の第4実施形態を示すブロック図である。
この負帰還増幅器30は、入力信号と帰還信号を合成する合成手段である方向性結合器31と、方向性結合器31の出力信号を増幅する増幅器32,33と、増幅器33の出力信号から帰還信号を分岐させる分岐手段である方向性結合器35と、方向性結合器35により分岐された帰還信号の位相を所定の周波数において入力信号と逆位相に調整する位相調整手段である移相回路36と、移相回路36の出力のレベルを変化させるレベル調整手段である減衰器38と、減衰器38を出力した信号を、特定周波数を通過させて方向結合器31に入力する低域通過回路39とを備えるものである。
【0034】
本実施形態は、増幅器32,33からなる2段構成の増幅回路の出力信号を方向性結合器35により分岐し、分岐した信号を移相回路36、減衰器38、低域通過回路39を介し、方向性結合器31により入力信号を合成して帰還ループを構成している。移相回路36は、他システムヘの影響を考慮して、負帰還増幅器30が動作するシステムの帯域下限周波数近傍に最適点が設定されている。低域通過回路39は、負帰還増幅器30が設定されている周波数f0は通過域となり、増幅器32と増幅器33からなる2段増幅回路の位相変化が180度となる周波数f1では遮断域となるようにその臨界周波数が設定されている。
【0035】
このような構成とすることにより、周波数f1でのループゲインは周波数f1での増幅器32と増幅器33からなる2段増幅回路の利得から減衰器38の減衰量と低域通過回路39での減衰量を差し引いたことになり、利得の余裕が低域通過回路39の減衰量だけ増すことになる。その結果、より強い負帰還をかけて、大きな信号対歪比改善度を得ることができることになる。
なお、隣接する他システムが、自システムの高域側に位置する場合には低域通過回路39の代わりに高域通過回路を接続すればよい。また、他システムの有無に関係無く、低域通回路39の代わりに帯域通過回路を接続すればより強い負帰還を実現できることになるのは勿論である。
【0036】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図6は、本発明に係る負帰還増幅器の第5実施形態を示すブロック図である。
この負帰還増幅器40は、入力信号と帰還信号を合成する合成手段である方向性結合器41と、方向性結合器31の出力信号を増幅する増幅器42と、増幅器42の出力信号から帰還信号を分岐させる分岐手段である方向性結合器45と、方向性結合器45により分岐された帰還信号の位相を所定の周波数において入力信号と逆位相に調整する位相調整手段である第1及び第2の移相回路46,47と、移相回路47の出力のレベルを変化させて方向結合器41に入力するレベル調整手段である減衰器48とを備えるものである。
【0037】
本実施形態は、増幅器42の出力の一部を方向性結合器45によって分岐して帰還信号とし、帰還信号は第1の移相回路46と第2の移相回路47、減衰器48を介して帰還され、方向性結合器41で入力信号と合成されて帰還ループが実現される。ここで減衰器48の減衰量は所望の負帰還量から計算される。本実施形態では2つ移相回路46,47を含むループ回路構成部品の位相変化とそれらを繋ぐ線路の位相変化の合計が180度となるように移相回路の定数が決定されており、移相回路はそれぞれ図11に示したπ型回路となっている。そして移相回路46は3.9nHのインダクタンスと2pFのキャパシタンス、移相回路47は3.3nHのインダクタンスと0.5pFのキャパシタンスから構成されている。つまり図13に示したように、この2つの移相回路46,47により−142度程度の位相変化を実現している。このとき各移相回路は10dB以上のインピーダンス整合が取れている。
【0038】
ただ1つのπ型回路で、10dB以上のインピーダンス整合をとって、−142度の位相変化を実現することはできない。たとえば、移相回路を1つで済ますために、移相回路46の位相変化量−100度を線路の延長により実現しようとする。線路を誘電率2のセミリジッドケーブルとすれば、1.95GHzで4cm程度の線路長が必要となり、回路規模の増大を招く。
また移相回路47の位相変化量−42度を同様に線路によって実現する場合には、延長する線路長は短くなるものの、各部品のバラツキにより位相変化量を微調整する必要が出てきた場合に、移相回路46においてはインダクタンスを変えることにより位相量が10度以上変化してしまう。このことから位相量の微調整は不可能である。
【0039】
図11のπ型回路では、図12に示されているように、Xpが大きい領域では位相変化量は大きいがXsに対する依存度が大きく、Xpが小さい領域では位相量は小さいがXsに対する依存度は小さい。これら2つの領域のπ型回路を組み合わせて使うことにより位相微調整可能で位相量設定自由度の大きい負帰還増幅器が実現できる。
【0040】
なお、移相回路46,47は減衰器48の前後のみならず、増幅器42の前後の何れかに接続しても良いので、移相回路を2つにしたことによる部品配置の制約も小さい。また2つの移相回路を隣接して配置する場合、コンデンサが隣り合って並ぶことになるので、1つのコンデンサで置き換えられる可能性もある。
【0041】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図7は、本発明に係る負帰還増幅器の第6実施形態における移相回路の回路図である。
本実施形態の負帰還増幅器は、図6に示す第5実施形態の負帰還増幅器と同じで、移相回路47を図7の回路で構成したものである。移相回路47により、負帰還に必要な位相量近くまで実現すれば、図12のXP=∞、つまりキャパシタンスC=0Fの位相変化量(図8中のA−F間の位相変化量)で必要な位相量が実現できる。C=0Fのπ型回路とはつまり図7の回路であり、少ない部品点数で第5実施形態で示した回路と同等の特徴を有する負帰還増幅回路を実現できることになる。
【0042】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。図8は、本発明に係る負帰還増幅器の第7実施形態における移相回路の回路図である。
本実施形態の負帰還増幅器は、図6に示す第5実施形態の負帰還増幅器と同じで、移相回路47を図8の回路で構成したものである。移相回路46により、負帰還に必要な総量近くまで実現すれば、図12のXs=0、つまりインダクタンスL=0Hの位相変化量(図12中のA−B間の位相変化量)で必要な位相量が実現できる。L=0Hのπ型回路とは、つまり図8の回路となる。ただし、キャパシタンスの値は2つのキャパシタンスの合成容量が必要なので2倍となる。図8の移相回路ではコンデンサ1つで構成できるので、位相量の微調整を連続して行うために、また部品を置き換えるのではなく電気信号にて行うために、コンデンサを可変容量ダイオードに置き換える場合にも、コストの上昇を最小限に押さえることができる。
【0043】
以上の第1〜第7実施形態では、帰還回路の分岐及び合成に方向性結合器を用いて説明したが、方向性結合器を設けずに直接分岐・合成も可能である。
【0044】
【発明の効果】
発明によれば、負帰還を設定する周波数を自システムと隣接する他システムとの境界周波数近傍に設定することで、他システムに悪影響を及ぼさない無線装置を構成できる。また、低域通過手段あるいは高域通過手段を有し、第1または第3の周波数は通過域となり、第2または第4の周波数近傍は遮断域となるようにしたので、利得の余裕が低域通過手段あるいは高域通過手段の減衰量だけ第2または第4の周波数近傍で増すことになり、より強い負帰還が実現可能となり、より大きな信号対歪比改善度が得られる。
【0048】
発明によれば、移相回路を複数設けることで、微調整可能で位相設定自由度の高い位相調整手段が実現できる。
【0049】
発明によれば、移相回路の1つをインダクタンスのみで構成できるようにすることで回路規模、コストを抑えることができる。
【0050】
発明によれば、移相回路の1つをコンデンサのみで構成できるようにすることで回路規模、コストを抑えることができると共に、位相量調整を簡単化するための可変容量コンデンサへの置き換えを最小限のコスト上昇で可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る負帰還増幅器の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における負帰還増幅器の周波数に対する利得と位相の特性を示す特性図である。
【図3】本発明に係る負帰還増幅器の第2実施形態及び第3実施形態を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態における負帰還増幅器の周波数に対する利得と位相の特性を示す特性図である。
【図5】 本発明に係る負帰還増幅器の第4実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る負帰還増幅器の第5実施形態を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る負帰還増幅器の第6実施形態における移相回路の回路図である。
【図8】本発明に係る負帰還増幅器の第7実施形態における移相回路の回路図である。
【図9】従来の負帰還増幅器の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の負帰還増幅器の周波数に対する利得と位相の特性を示す特性図である。
【図11】π型移相回路を示すブロック図である。
【図12】π型移相回路の位相変化量を示す特性図である。
【図13】 実際の部品で構成したπ型移相回路の位相変化量を示す特性図である。
【符号の説明】
10 負帰還増幅器
11,15 方向性結合器
12,13 増幅器
14 共振回路(トラップ回路)
16 移相回路
18 減衰器

Claims (5)

  1. 信号が周波数に応じて位相変化しながら増幅される増幅手段と、
    入力信号と、前記増幅手段の出力信号を帰還させた帰還信号を合成して前記増幅手段に入力する合成手段と、
    前記増幅手段の出力信号から前記帰還信号を分岐する分岐手段と、
    本回路が動作する周波数帯の帯域下限周波数近傍に設定した第1の周波数において、前記分岐手段により分岐された前記帰還信号の位相を、前記帰還信号が前記増幅手段に入力されるときに前記入力信号と逆位相となるように調整する位相調整手段と、
    前記増幅手段による位相変化が前記第1の周波数に対して180度となる第2の周波数の信号において、前記位相調整手段の出力信号レベルを減衰するレベル調整手段と、
    前記レベル調整された帰還信号に対して、前記第1の周波数が通過域となり、前記第2の周波数が遮断域となって信号レベルを減衰して、前記合成手段に出力する低域通過手段とを備えたことを特徴とする負帰還増幅回路。
  2. 信号が周波数に応じて位相変化しながら増幅される増幅手段と、
    入力信号と、前記増幅手段の出力信号を帰還させた帰還信号を合成して前記増幅手段に入力する合成手段と、
    前記増幅手段の出力信号から前記帰還信号を分岐する分岐手段と、
    本回路が動作する周波数帯の帯域上限周波数近傍に設定した第3の周波数において、前記分岐手段により分岐された前記帰還信号の位相を、前記帰還信号が前記増幅手段に入力されるときに前記入力信号と逆位相となるように調整する位相調整手段と、
    前記増幅手段による位相変化が前記第3の周波数に対して180度となる第4の周波数において、前記位相調整手段の出力信号レベルを減衰するレベル調整手段と、
    前記レベル調整された帰還信号に対して、前記第3の周波数が通過域となり、前記第4の周波数が遮断域となって信号レベルを減衰して、前記合成手段に出力する高域通過手段とを備えたことを特徴とする負帰還増幅回路。
  3. 前記位相調整手段は、位相変化量の異なる複数の移相回路からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の負帰還増幅回路。
  4. 前記位相調整手段は、帰還路に直列接続されたインダクタンスのみで構成された移相回路を含むことを特徴とする請求項1、2又はに記載の負帰還増幅器。
  5. 前記位相調整手段は、帰還路とアース間に接続するキャパシタンスで構成される移相回路を含むことを特徴とする請求項1、2、3又はに記載の負帰還増幅器。
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