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JP3969779B2 - 有機絶縁膜材料の製造方法 - Google Patents

有機絶縁膜材料の製造方法 Download PDF

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JP3969779B2
JP3969779B2 JP05072297A JP5072297A JP3969779B2 JP 3969779 B2 JP3969779 B2 JP 3969779B2 JP 05072297 A JP05072297 A JP 05072297A JP 5072297 A JP5072297 A JP 5072297A JP 3969779 B2 JP3969779 B2 JP 3969779B2
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polymer
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眞樹 小菅
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は有機絶縁膜材料の製造方法、特に半導体装置製造時に用いる、耐熱性が高く、誘電率の低い有機絶縁膜材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、LSIの高速化は基本的にはそれを構成するトランジスタの微細化によって達成される。しかし、今後さらに、素子が高密度に集積され配線間隔が縮小すると、配線を伝搬する信号の遅延や隣接配線間でのクロストークが顕著になる。そして、これらがLSIの高性能化を妨げる重大な要因となることが予想される。
【0003】
このような配線遅延やクロストークを解決するための対策の一つとして、配線間を埋める絶縁膜の比誘電率を下げることが検討されている。そして、多くの有機ポリマーがシリコン酸化膜に比べかなり低い比誘電率を有するため、有機ポリマーを絶縁膜材料(有機絶縁膜材料)として用いて絶縁膜(有機絶縁膜)を形成した場合、配線遅延やクロストークの低減効果が大きいと見られている。
【0004】
例えば、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene(BCBとして呼称される))から成る有機絶縁膜材料がダウ・ケミカル(株)からCYCLOTENE(商品名)として販売されている。この材料は、比誘電率が2.7(1MHz)であり、350℃以上のガラス転移温度を有し、良好な埋め込み特性を示す(文献1:「1995 Dielectrics for VLSI/ULSI Multilevel Inerconnection Conference(DUMIC 95),1995,pp.269-275.」参照)。
【0005】
また、ポリイミドシロキサン(polyimide siloxane(PSIとして呼称される))から成る有機絶縁膜材料が提案されている。この材料は、比誘電率が3.0〜3.5(1MHz)であり、5%重量減温度が、約550℃であることが確認されている(文献2:「Thin Solid Films, 235(1993) pp. 80-85 "Stability of a new polyimide siloxane film as interlayer dielectrics of ULSI multilevel interconnections" T.Homma,Y.kutsuzawa,K.kunimune .and Y.murao」参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記有機絶縁膜材料をLSIプロセス、特にULSIプロセスへ適用する場合には、以下のような問題があった。
【0007】
(1)BCBは、ガラス転移温度が約350℃と低く、それに対応して、350℃以上で機械的物性が著しく低下したり、あるいは熱分解を生じやすく、プロセス温度をガラス転移温度以下に下げることが必要とされた。このため、配線工程などのように、一般に400℃以上の温度を必要とするプロセスには、この材料を使用することが困難であるという問題があった。また、BCBは、例えばケイ素原子を含む有機ケイ素ポリマー(例えばDVS)と混合使用されることが多く、有機絶縁膜の加工方法であるO2 −RIE(反応性イオンエッチング)を適用した場合に、有機絶縁膜中のケイ素が酸化ケイ素となりやすいという問題があった。そのため、生成した酸化ケイ素が、エッチング残渣となるため、エッチング精度を低下させやすいという問題があった。
【0008】
(2)一方、PSIは、3.0〜3.5(1MHz)と比誘電率が高く、有機絶縁膜材料としての絶縁性に乏しいという問題があった。特に高い絶縁性が要求されるULSIプロセスにおいては、高い比誘電率は、配線遅延やクロストークの低減効果が少ないことより深刻な問題であった。また、PSIは、ケイ素原子を含む有機ケイ素ポリマーそのものであり、BCBが有機ケイ素ポリマーと混合使用された場合と同様に、O2 −RIE(反応性イオンエッチング)を適用した場合、有機絶縁膜中のケイ素が酸化ケイ素となり、エッチング精度を低下させやすいという問題があった。
【0009】
従って、高い耐熱性、具体的には、1%重量減温度が400℃以上の温度を有し、低い比誘電率、具体的には、3.0以下の比誘電率を有し、さらには、ケイ素などの異種元素を含まない有機ポリマーから成る有機絶縁膜材料の出現が望まれていた。
【0010】
そこで、発明者らは、1または2以上のベンゼン環を含み、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物から成る第1のモノマーと、
1または2以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に、少なくとも1つ以上のハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成る第2のモノマーとを、
塩基性触媒の存在下、80℃以上の温度で、24時間程度加熱し、脱ハロゲン化水素反応により重合させることにより、耐熱性が高く、低い比誘電率を有する有機絶縁膜材料を提供できることを見いだし、別途出願している。
【0011】
よって、この発明は、さらに研究をすすめた結果、反応温度が有機絶縁膜材料の特性に影響していることを見いだし、より耐熱性が高くかつ低い比誘電率を有する有機絶縁膜材料を製造可能な方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の少なくとも1つのハロゲン基を含む有機絶縁膜材料の製造方法によれば、2,2−ビ−1−ナフトール、α、α、α´、α´−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、フロログラシノール、フェノール、チモール、2−ナフトール、2−フェナントロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ピロガロールおよびこれらの誘導体からなる、少なくとも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物群から選択される1種又は2種以上の組み合わせの第1のモノマーと、1または2以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも2つ以上のハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成る第2のモノマーとを、塩基性触媒の存在下、80℃未満の反応温度に加熱し、脱ハロゲン化水素反応により重合させる(ただし、ベンゼン環は全部または一部が縮合ベンゼン環である場合も含む。)。
【0013】
ここで、脱ハロゲン化水素反応の反応温度を80℃未満とする理由は、反応温度が80℃を超えると、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応は比較的早く起こるものの、分子量が低いまま反応が進まなくなり、未反応のヒドロキシ基およびハロゲンが残りやすく、特に耐熱性に影響を及ぼしやすい分子末端に残るおそれがあると考えられるためである。よって、より完全にヒドロキシ基およびハロゲンを反応させて、熱分子運動をする分子末端を収束させ、高い耐熱性を得る一方で、適当な反応速度を得るためには、反応温度は30〜65℃の範囲、最適には、40〜60℃の範囲内である。
【0014】
また、脱ハロゲン化水素反応の反応時間は長い程、分子量も増加し、未反応のヒドロキシ基およびハロゲンが少なくなるので好適であるが、具体的には、反応時間として2〜240時間の範囲内が好適である。かかる反応時間の範囲内とする理由は、ヒドロキシ基およびハロゲンが有効に減少する一方、製造時間もあまり長くならず、実用的なためである。よって、かかるバランスがより好適な観点から、脱ハロゲン化水素反応の反応時間は、10〜100時間、最適には、20〜72時間の範囲内である。
【0015】
(モノマー)
次に、この発明の製造方法に使用される、モノマーについて説明する。すなわち、この発明において、1または2以上のベンゼン環を含み、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物から成る第1のモノマーと、
1または2以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つ以上のハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成る第2のモノマーを使用して、脱ハロゲン化水素反応させることを特徴としている。
【0016】
このような構成をとることにより、
▲1▼モノマー同士を反応させたポリマー中に、複数のベンゼン環を導入することにより、ポリマー主鎖の横ゆれ運動や変角運動などが抑止され、結果としてポリマーの耐熱性を上げることができ、
▲2▼ポリマー中にフッ素を初めとするハロゲンを導入することにより、そのポリマーの比誘電率を下げることができ、
▲3▼さらに、第1のモノマーと第2のモノマーのそれぞれに共通成分として、1または2以上のベンゼン環を含むことにより、2つのモノマーの相溶性を良好とすることにより、結果として、沈殿等を防止して製造を容易にしたり、あるいは、反応を均一にして、得られたポリマーの耐熱性を向上させるためである。
【0017】
ここで、第1のモノマーは、1または2以上のベンゼン環を含んでいる。そして、これらのベンゼン環の、少なくともいずれか1つに、少なくとも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物である。よって、具体的に、例えば、式(1)で表される、2,2−ビ−1−ナフトール、式(2)で表される、α、α、α´、α´−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、式(3)で表される、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、式(4)で表される、1,3−アダマンチリデンビスフェノール、式(5)で表される、1,5−ジヒドロキシナフタレン、式(6)で表される、フロログラシノールおよびこれらの誘導体が好適である。耐熱性が高い有機絶縁膜材料が得られるためである。そして、中でも、式(1)で表される、2,2−ビ−1−ナフトールは、第2のモノマーと組み合わせたときに、2.8未満の低い比誘電率が得られ、さらには、より耐熱性が高い有機絶縁膜材料が得られる点で、この発明に最適である。
【0018】
【化1】
Figure 0003969779
【0019】
【化2】
Figure 0003969779
【0020】
【化3】
Figure 0003969779
【0021】
【化4】
Figure 0003969779
【0022】
【化5】
Figure 0003969779
【0023】
【化6】
Figure 0003969779
【0024】
その他、ヒドロキシル基が1つのフェノール、チモール、2−ナフトール、2−フェナントロール等、ヒドロキシル基が2つのレゾルシノール、ヒドロキノン、2,2−ビフェノール、4,4−ビフェノール、2,5−ノルボルニリデンビスフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等、ヒドロキシル基が3つのピロガロール等の種々存在するモノマーの1つのモノマーを使用すること、または2以上のモノマーを組み合わせて使用することも好適である。
【0025】
また、第2のモノマーは、1または2以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物である。そして、これらのベンゼン環の少なくとも1つに、少なくとも1つのハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成るモノマーである。ここで、第2のモノマーの具体例としては、例えば、式(7)で表される、パーフロロビフェニル、パークロロビフェニル、パーブロロビフェニル、式(8)で表される、パーフロロナフタレン、パークロロナフタレン、パーブロロナフタレン、パーフルオロフェナントロリン、パークロロフェナントロリン、パーブロロフェナントロリン、式(9)で表される1,4−パーフロロフェニレン、式(10)で表される、4,4´−パーフロロビフェニレン、式(11)で表される、1,5−パーフロロナフタニレン、式(12)で表される2,6−パーフロロナフタニレン、式(13)で表される1,6−パーフロロナフタニレン、式(14)で表される1−トリフロロメチル−2,4−トリフロロフェニレン、式(15)で示される2,3,5,6−テトラフロロ−1,4−ヒドロキノンおよびこれらの誘導体が好適である。そして、これらのモノマーを1つ使用すること、または2以上組み合わせて使用することも可能である。
【0026】
【化7】
Figure 0003969779
【0027】
【化8】
Figure 0003969779
【0028】
【化9】
Figure 0003969779
【0029】
【化10】
Figure 0003969779
【0030】
【化11】
Figure 0003969779
【0031】
【化12】
Figure 0003969779
【0032】
【化13】
Figure 0003969779
【0033】
【化14】
Figure 0003969779
【0034】
【化15】
Figure 0003969779
【0035】
特に、式(7)で表される、パーフロロビフェニルおよび式(8)で表される、パーフロロナフタレンおよびこれらの誘導体は、第1のモノマーと組み合わせて重合させたときに、より低い比誘電率および高い耐熱性が得られる点で、この発明に好適である。そして、中でも、式(7)で表される、パーフロロビフェニルは、さらに耐熱性が高く、かつ比誘電率の低い有機絶縁膜材料が得られ、しかも第1のモノマーとの相溶性がより良好な点で、この発明に最適である。
【0036】
なお、この発明において、前述したベンゼン環は、全部または一部が縮合ベンゼン環である場合も含む広い意味であり、好ましくは、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などの2つの6員環から構成される縮合環が含まれる。
【0037】
次に、第1のモノマーと第2のモノマーとの混合比率について説明する。すなわち、この発明において、第1のモノマーと第2のモノマーとの混合比率は、例えば、モル比率、1:9〜9:1の範囲内とすることが良い。かかる範囲内とする理由は、未反応のモノマーの量が少なくなる一方、耐熱性の高い有機絶縁膜材料が得られるためである。よって、かかるバランスがより良好な観点から、第1のモノマーと第2のモノマーとの混合比率は、モル比で、3:7〜7:3の範囲、最適には、4:6〜6:4の範囲内である。
【0038】
(触媒)
この発明においては、第1のモノマーが有するヒドロキシル基と、第2のモノマーが有するハロゲンの反応である、求核置換反応としての脱ハロゲン化水素反応を促進するために、塩基性触媒を添加することが必要である。すなわち、塩基性触媒の作用により、求核置換反応が活性化され、反応溶液中でフェノキシドイオンとして存在している第1のモノマーが、第2のモノマー中のハロゲンと容易に反応して置換される。そして、塩基性触媒により、生成したハロゲン化水素が中和されて塩を作るため、ますます脱ハロゲン化水素反応を促進されることになる。
【0039】
なお、このような置換反応が、第1のモノマー中の2箇所で起こり、それぞれの位置で第2のモノマーと結合する場合には、線状構造のポリマーが形成され、第1のモノマー中の3箇所以上で第2のモノマーと結合する場合には、架橋構造が導入されることとなる。線状構造のポリマーの場合には、これを溶剤に溶解させて適当な粘度を有する溶液状態で使用できる点で使い勝手が良く、一方、架橋構造が導入されたポリマーは、耐熱性がより高くなる点で好適である。
【0040】
ここで、塩基性触媒の種類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、有機塩等が好適である。そして、特に、安全性が高い観点から、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが、この発明に好適である。
【0041】
また、塩基性触媒の添加量としては、第1のモノマーと第2のモノマーの合計量100重量部に対して、0.1〜200重量部の範囲内とすることが好適である。かかる範囲内とする理由は、脱ハロゲン化水素反応を活性化することができるとともに、耐熱性に悪影響を及ぼさないためである。よって、かかるバランスがより良好な観点から、塩基性触媒の添加量としては、1〜100重量部の範囲がより好適であり、最適には、5〜80重量部の範囲内である。
【0042】
(溶媒)
次に、第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基性触媒等を溶解させ、均一に脱ハロゲン化水素反応を起こさせるためには、溶液中で行うことが好適である。そのため、適当な溶媒を使用する必要があるが、第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基性触媒と反応することなく、均一にこれらを溶解させるとともに、沸点が80℃以上のものであれば好適に使用可能である。第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基性触媒に対して不活性で、かつ一様に溶解させなければ、均一な特性を有する耐熱性に優れた有機絶縁膜材料としてのポリマーが重合されないおそれがあるためである。また、この発明に使用する溶媒について、沸点として80℃以上が好適とする理由は、脱ハロゲン化水素反応を、80℃未満で行う際にも、安全に行えるためである。
【0043】
よって、より具体的な溶媒の種類としては、N,N−ジメチルアセトアミド、α,α−ジメチルアセト酢酸エチル等である。そして、N,N−ジメチルアセトアミドは、安価な点で、この発明に使用して好適である。
【0044】
また、溶媒の添加量にしても、脱ハロゲン化水素反応の均一性を考慮して行うことが好適であるが、第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基性触媒の合計量100重量部に対して、50〜1000重量部の範囲内とすることが好適である。溶媒の添加量をかかる範囲内とする理由は、所定の添加効果が得られるとともに、できたポリマーとの分離が容易なためである。よって、かかるバランスがより好適な観点から、溶媒の添加量としては、第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基性触媒の合計量100重量部に対して、80〜500重量部の範囲、最適には、100〜400重量部の範囲内である。
【0045】
(濾過方法)
次に、この発明の製造方法の一部としての、ポリマー生成後の反応液の濾過方法について説明する。すなわち、この発明の製造方法により得られたポリマーは、塩基性触媒や、塩類等を含んでいるため、それをppmオーダーで取り除くことが好適である。かかる塩基性触媒が残留していると、有機絶縁膜材料の電気絶縁性が著しく低下するおそれがあるためである。
【0046】
そこで、この発明の好適な態様としては、脱ハロゲン化水素反応の反応後、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応液を、天然珪藻土(diatom earth、celiteとも言う)を濾材として用いて濾過することが好適である。
【0047】
ここで、天然珪藻土とは、単細胞藻類の一種である珪藻の殻から主になる軟質の岩石もしくは土壌をいい、化学組成としては二酸化珪素を主成分としており、その他、アルミニウム酸化物や酸化鉄等も一部含んでいても良い。そして、天然珪藻土は、種々の粒径のものがあるが、この発明に用いられる天然珪藻土の粒径としては、濾過速度が速い上に、塩基性触媒の除去率が高いことから、50%粒径で、約10〜30μmの範囲内のものが好適である。
【0048】
そして、かかる天然珪藻土を、濾材として、厚さ0.1〜5.0cm、より好適には、0.5〜3.0cm程度にロート等に積層し、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応液に対して、吸引濾過等することが好適である。このようにすると、塩基性触媒の除去率がより高くなるためである。
【0049】
また、より完全に塩基性触媒を除去するためには、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応液に酸を添加して、天然珪藻土による濾過の前および後のいずれか一方または双方で、中和反応を起こさせることが好適である。
【0050】
そして、また、低分子量物を取り除くため、濾過のいずれかの段階で、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応液に対して、エタノールを添加して、濾過することも好適である。
【0051】
よって、この発明の製造方法における、好適な天然珪藻土を用いた濾過方法としては、例えば、以下の通りである(天然珪藻土を用いた濾過方法)。
【0052】
▲1▼ポリマーを含む、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応液を、桐山ロートにろ紙を装着後、天然珪藻土を濾材として約1cmの厚さに積層したものを通して、吸引濾過し濾液を採取する(濾液1)。
【0053】
▲2▼濾液1に、0.5Nの塩酸溶液を、氷冷下で滴下して中和反応を起こさせるとともに、ポリマーを析出させて沈殿を生じさせる(中和液1)。そして、その際、沈殿したポリマーが一定粒径の粒子状になるようにスターラー等で攪拌しながら、前記塩酸溶液の滴下を行うと良い。
【0054】
▲3▼桐山ロートにろ紙を装着後、中和液1を、天然珪藻土を濾材として約1cmの厚さに積層したものを通し、吸引濾過して、ポリマーをろ紙に回収する。そして、回収したポリマーを、洗浄廃液が中性になるまで、純水を用いて洗浄し、この洗浄により酸成分と塩類を除去する。そして、なお、リトマス試験紙を用いて洗浄液が中性になったことを確認後、さらに多量の純水を用いてポリマーを洗浄した後、ポリマーを乾燥させる(回収ポリマー1)。
【0055】
▲4▼回収ポリマー1にTHF(テトラヒドロフラン)を添加して、均一な溶液状態にした後、ろ紙のみを装着した桐山ロートを用いて、この溶液を吸引濾過する(濾液2)。
【0056】
▲5▼採取された濾液2をエバポーレーターを用いて乾燥させることにより、THFおよび水分を蒸発させて、ポリマーを回収する(回収ポリマー2)。
【0057】
▲6▼回収ポリマー2にN,N−ジメチルアセトアミドを所定量添加して、均一な溶液状態にした後、ろ紙のみを装着した桐山ロートを用いて、吸引濾過する(濾液3)。
【0058】
▲7▼採取された濾液3に0.5Nの塩酸溶液を氷冷下で滴下して、濾液3中に未だ残留しているアルカリ成分と中和反応を起こさせるとともに、ポリマーを析出させて沈殿を生じさせる(中和液2)。そして、すでに説明したとおり、沈殿したポリマーが一定粒径の粒子状になるように濾液3をスターラー等で攪拌しながら、上述の塩酸溶液の滴下を行うと良い。
【0059】
▲8▼桐山ロートにろ紙のみを装着後、中和液2を吸引濾過して、ポリマーをろ紙に回収し、さらに回収したポリマーを、洗浄廃液が中性になるまで、純水を用いて洗浄し、この洗浄によって酸成分と塩類を除去する。そして、なお、リトマス試験紙を用いて、洗浄廃液が中性になったことを確認後、さらに多量の純水を用いてポリマーを洗浄する。そして、続けてメタノールを用いてポリマーを洗浄することにより、低分子量物を除去したポリマーをろ紙上に回収する(回収ポリマー3)。
【0060】
▲9▼そして、回収ポリマー3を、エバポーレーターを用いて、80℃の温度条件で2時間以上乾燥させ、この発明の有機絶縁膜材料としての白色粉のポリマーを回収する。
【0061】
(分子量)
次に、この発明の有機絶縁膜材料としてのポリマーの分子量(重量平均分子量)について説明する。すなわち、この有機絶縁膜材料の使用目的に応じて分子量は任意好適なものとすれば良いが、例えば、1,000〜2,000,000の範囲内とするのが良い。分子量をかかる範囲内とする理由は、有機絶縁膜材料として、優れた耐熱性が得られるとともに、有機絶縁膜材料の塗布液としての調製の容易さおよび形成される有機絶縁膜の厚さを考慮したものである。すなわち、有機絶縁膜材料の分子量が1,000〜2,000,000の範囲の場合、ガラス転移点が200℃〜450℃と高くなり、プロセス温度を400℃以上に保つことが可能となる一方、塗布液を調製するための溶媒に対する有機絶縁膜材料の溶解度が十分大きく、従って1μm程度の厚さの有機絶縁膜を精度良く形成することが可能となる。
【0062】
よって、耐熱性と塗布液としての調製の容易さ等のバランスがより良好な観点から、有機絶縁膜材料の分子量としては、より好適には10000〜500,000の範囲、最適には、80,000〜400,000の範囲内である。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、この出願の発明の実施の形態を、各実施例に基づいて説明する。しかしながら、以下の説明中で挙げる使用材料およびその量、処理温度、処理時間、膜厚などの数値的条件、並びに処理方法はこれら発明の範囲内の一例に過ぎないことを理解されたい。
【0064】
1.第1の実施例
この実施例の有機絶縁膜材料は、第1のモノマーとして式(1)で表される2,2−ビ−1−ナフトール、第2のモノマーとして、式(7)で表されるパーフロロビフェニル、塩基性触媒として炭酸カリウム(K2CO3 )、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いて以下のように重合した。
【0065】
すなわち、先ず、攪拌機、冷却管、温度計を装着した反応器に、2,2−ビ−1−ナフトールを11.4g(0.04mol)と、パーフロロビフェニルを13.4g(0.04mol)と、塩基性触媒としての炭酸カリウムを14.1g入れ、さらに、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドを80ml加えて溶解させた。そしてこの反応器内を十分窒素置換した後、反応溶液を速やかに60℃に加熱し、窒素雰囲気下で48時間攪拌して重合反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却した後、前述した天然珪藻土を用いた濾過方法例にしたがって濾過したところ、有機絶縁膜材料として、約20gのポリマーを得た。そして、下記の測定、評価を行った。
【0066】
(1)重量平均分子量の測定
このポリマーの重量平均分子量を以下に示す、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した(以下に示す各実施例においても、本実施例と同様の方法で重量平均分子量を測定した。)。すなわち、GPCカラムとして、ポリマーラボラトリー社製のNarrow Bore MiniMix Colums1510−5500 PLgel MiniMix−C、粒径5μm品、長さ250mm×直径4.6mm×2本、送液ポンプとしては、昭和電工製のShodex DX−4、検出器としては、昭和電工製のShodex RI SE−51、キャリアとしては、THFをそれぞれ用い、キャリア流速1.0ml/分の条件で測定した。
【0067】
その結果、分子量分布の狭いピークが得られ、ポリスチレン換算値で、約82,000の値が得られた。なお、測定した重量平均分子量の結果を、他の第2〜4の実施例の結果と併せて、図2に示す。図2では、横軸に反応時間(hrs)、縦軸に、重量平均分子量(MW)の値をとって示してある。図からわかるように、反応を開始して約10〜15時間までは、比較的分子量の増加速度は早いが、それ以上反応時間が長くなると、時間の経過とともに重量平均分子量は増加するものの、その増加速度は遅くなることが確認された。
【0068】
(2)ガラス転移温度の測定
このポリマーのガラス転移温度を、示差熱量計(DTA)装置により求めた(以下に示す各実施例においても、本実施例と同様の方法でガラス転移温度を求めた。)。すなわち、DTA装置として、(株)リガク社製のThermoflex Tas300 DSC8230Dを用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分の条件で、ポリマーを加熱して、その際の熱的性質が変化する温度を、ガラス転移温度として測定した。
【0069】
図1に、DTAチャートを点線で示す。横軸には、測定温度(℃)、縦軸には、熱補償ヒーター用のための、熱補償電圧(μV)の値をとってある。そして、DTAチャートから、ガラス転移温度として、約404℃の値が得られた。よって、従来のBCBのガラス転移温度よりも、50℃以上も高い値をこのポリマーは有することが確認された。また、504.9℃、537.0℃、555.2℃には、ポリマーの熱分解に起因すると思われるピークが観察された。
【0070】
(3)重量減温度の測定
このポリマーの重量減温度を熱重量分析(TG)により測定した(以下に示す各実施例においても、本実施例と同様の方法で重量減少を測定めた。)。すなわち、(株)リガク社製のThermoflex Tas300 DSC8230Dを用い、約10mgのポリマーを、窒素気流中で、10℃/分の条件で昇温加熱し、その時の重量減少変化を測定した。図1に、熱重量(TG)チャートを実線で示す。横軸には、測定温度(℃)、縦軸には、重量変化(%)の値をとってある。
【0071】
そして、熱重量チャートから、300〜400℃の温度範囲では、−0.06%(測定限界以下)、400〜480℃の温度範囲では、−0.11%(測定限界以下)のポリマーの重量減少が観察された。そして、約499℃の温度から、顕著なポリマーの重量減少が始まり、約600℃の温度で、ポリマーの重量減少としては約−20%となり、その時点で、加熱および測定を中止した。よって、このポリマーの耐熱性の目安としての、1%重量減温度としては約520℃、5%重量減温度としては約540℃という高い値が得られた。
【0072】
(4)比誘電率の測定
このポリマーの比誘電率を以下に示す方法で求めた(以下に示す各実施例においても、本実施例と同様の方法で比誘電率を求めた。)。すなわち、先ず、このポリマー5.0gを酢酸2−メトキシエチル50mlに溶解し、0.2μmメンブレンフィルタでろ過して塗布液を調製した。その後、この塗布液をシリコン基板(抵抗率10μΩcm以下)上にスピンコートし、ホットプレート上で200℃で30分間、次いで窒素雰囲気下で360℃で1時間ベーキングを行い、厚さ0.50μmのこのポリマーからなる膜を形成した。その後、この膜の上に適当なサイズの孔(例えば、直径0.14mm〜8.0mmの2つのサイズ)を有するステンシルマスクを介して、真空蒸着法によりアルミニウムを堆積させた。そして、シリコン基板上に得られた金属/絶縁膜/半導体の構造を用いて高周波(1MHz)で電気容量測定を4回繰り返して行い、比誘電率を平均して求めた。
【0073】
得られた比誘電率の値を、他の第7〜9の実施例のポリマーの結果とともに、図3に示す。横軸には、ポリマー(PFAE)の種類をとってあり、縦軸には、比誘電率(−)をとっている。また、平均した比誘電率の値をプロットしてあるが、併せて、プロットした点の上のバーで比誘電率の最大値を、下のバーで比誘電率の最小値をそれぞれ示している。その結果、このポリマーの比誘電率は、2.65という低い値が得られ、高周波特性に優れていることが確認された。またこのポリマーは、得られた比誘電率の最大値と最小値の差が小さく、比誘電率の値のバラツキも小さいことが確認された。
【0074】
(5)不純物イオンの測定
このポリマー中に含まれる不純物イオンとしての、Kイオン、Naイオンおよび塩素イオンの濃度を、ポリマーを加熱灰化し、この灰化物を希硝酸に溶解させたのち、この溶解液に対して、日立(株)製の偏光ゼーマン原子吸光光度計A180−80を用いて2回測定を行って、平均値を算出した。
【0075】
その結果、各不純物イオンの濃度は、それぞれ10ppmオーダー未満であり、検出限界以下であった。なお、天然珪藻土を用いて濾過処理をする前は、それぞれのイオン濃度は、1000ppmを超える高い値であった。
【0076】
(6)赤外分光光度計(IR)による測定
このポリマーの赤外分光スペクトル(IRチャート)を測定した。すなわち、ポリマーをシリコン基板にスピンコートし、360℃で1時間ベーキングを行うことにより作製した、厚さ0.5μmの膜を測定試料として、IR測定(IR測定には赤外分光光度計としてBiolzd社製のFTS−60(型番)を用いた。)を行った(以下に示す各実施例においても、本実施例と同様の方法でIR測定を行った。)。
【0077】
このポリマーのIRチャート中には、1610cm-1にナフタレン環のC−C結合の伸縮振動によるブロードなピークが観察された。このナフタレン環のC−C結合の伸縮振動によるピークは第1のモノマーに由来するピークである。また、1500cm-1および1488cm-1にC−F結合の伸縮振動によるピークが観察された。このC−F結合の伸縮振動によるピークは第2のモノマーに由来するピークである。また、1260cm-1にC−O結合の伸縮振動によるピークが観察された。このC−O結合の伸縮振動によるピークは第1のモノマーと第2のモノマーとが結合して形成されるエーテル結合に由来するピークである。なお、その他のピークは、他のピークと重なっていたり、またピーク自身が小さかったりするために、観察できなかった。
【0078】
このように、IRチャート中に、第1のモノマーに由来のピーク、第2のモノマーに由来のピーク、さらに第1のモノマーと第2のモノマーとが結合して形成されるエーテル結合に由来のピークが観察された。また、反応条件を考慮すると、このポリマーは線状構造を有していると考えられる。
【0079】
(7)電流−電圧(I−V)特性の測定
電圧(V)を、0〜−10Vに変えて、ポリマー中に流れる電流値(A/cm2 )を測定した。結果を図4に示す。横軸には電圧値(V)を、縦軸には電流値(A/cm2 )を取っている。図に示されるように、電圧を0Vから−10Vに向かって低下させるほど、弱冠電流値が増加する傾向が得られたものの、得られる電流値は1×10-11 (A/cm2 )以下と極めて低く、全体としては、ほぼ平坦な曲線が得られた。よって、このポリマーはI−V特性に優れており、有機絶縁膜材料に適していることが確認された。
【0080】
2.第2〜4の実施例
これらの実施例の有機絶縁膜材料としてのポリマーは、第1の実施例の、60℃における反応時間を、2時間(第2の実施例)、19時間(第3の実施例)、23時間(第4の実施例)にそれぞれ変えたほかは、第1の実施例と同様に重合し、そして、GPC、TGAおよび比誘電率の特性を評価した。
【0081】
その結果、重量平均分子量については、それぞれ、5,300(第2の実施例)、72,000(第3の実施例)、77,000(第4の実施例)という結果が得られた。
【0082】
また、1%重量減温度に関しては、すべてのポリマーが400℃以上の値であるものの、第2実施例のポリマーの重量減温度は第1の実施例のポリマーの温度よりも若干低く、第3の実施例と第4の実施例のポリマーの重量減温度は、第1の実施例のポリマーの重量減温度とほぼ同等の、500℃以上の高い値が得られた。
【0083】
さらに比誘電率に関しては、第2〜4の実施例のポリマーの値は、それぞれ、第1の実施例のポリマーの値とほぼ同等で、約2.65であった。
【0084】
3.第5および第6の実施例
これらの実施例の有機絶縁膜材料としてのポリマーは、第1の実施例の、反応温度の60℃を、40℃(第5の実施例)および50℃(第6の実施例)に変えたほかは、第1の実施例と同様に重合し、GPC、TGAおよび比誘電率の特性を評価した。
【0085】
その結果、重量平均分子量については、それぞれ、約62000(第5の実施例)、約68000(第6の実施例)という値が得られた。
【0086】
また、1%重量減温度に関しては、第5の実施例と第6の実施例のポリマーの重量減温度は、それぞれ、第1の実施例のポリマーの重量減温度とほぼ同等の、500℃以上の高い値が得られた。
【0087】
さらに、比誘電率に関しても、第5および第6の実施例のポリマーの値は、それぞれ、第1の実施例のポリマーの値とほぼ同等であった。
【0088】
4.第7〜第9の実施例
これらの実施例の有機絶縁膜材料は、第2の実施例の、第1のモノマーと第2のモノマーの種類を変えたほかは、第2の実施例と同様にこの発明の有機絶縁膜材料用のポリマーを重合し、比誘電率のみを評価した。
【0089】
すなわち、第7の実施例では、第1のモノマーとして、式(3)で表される、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを用い、第2のモノマーとして、式(8)で表されるパーフロロナフタレンを用い、第8の実施例では、第1のモノマーとして、式(6)で表される、フロログラシノール、第2のモノマーとして、式(7)で表されるパーフロロビフェニルを用い、第9の実施例では、第1のモノマーとして、式(2)で表される、α、α、α´、α´−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、第2のモノマーとして、式(7)で表されるパーフロロビフェニルを用いた。その結果、第7の実施例のポリマーの比誘電率は2.90、第8の実施例のポリマーの比誘電率は2.50、第9の実施例のポリマーの比誘電率は2.95であった。得られた比誘電率の結果を、前述したとおり、図3に示す。
【0090】
5.参考例1
この参考例の有機絶縁膜材料は、第1の実施例の60℃という反応温度を、100℃に変え、反応時間を1時間としたほかは、第1の実施例と同様に有機絶縁膜材料用のポリマーを重合し、GPC、TGAおよび比誘電率を評価した。
【0091】
その結果、重量平均分子量については、約14000という結果が得られ、また、1%重量減温度に関しては、500℃未満であった。但し、比誘電率に関しては、第1の実施例の値とほぼ同等の低い値であった。
【0092】
6.参考例2
この参考例の有機絶縁膜材料は、参考例1の反応時間を24時間としたほかは、同様に有機絶縁膜材料用のポリマーを重合し、GPC、TGAおよび比誘電率を評価した。
【0093】
その結果、重量平均分子量については、約29000という結果が得られ、1%重量減温度に関しても、500℃未満という値であった。
【0094】
但し、比誘電率に関しては、第1の実施例の値とほぼ同等の低い値であった。
【0095】
【発明の効果】
上述した説明から明らかなように、この発明の製造方法により、
1または2以上のベンゼン環を含み、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物から成る第1のモノマーと、1または2以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つ以上のハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成る第2のモノマーとを、塩基性触媒の存在下、所定の温度で反応させることにより、耐熱性が高く、低い比誘電率を有する有機絶縁膜材料を、提供することが可能となった。
【0096】
すなわち、この発明の有機絶縁膜材料は、1%重量減温度として400℃以上、反応時間等の条件を選べば、さらに500℃以上の高い値が得られ、400℃の温度において実質的に熱分解しない。従って配線間の接続孔を金属で埋め込むような400℃程度の温度を必要とするプロセスにも十分に耐え得るので、LSI用の有機絶縁膜材料として使用できる。
【0097】
また、この発明の有機絶縁膜材料の比誘電率は、3.0未満であり、この材料を用いて絶縁膜(有機絶縁膜)を形成した場合に、より一層の信号伝搬遅延の低減効果が期待できる。従って比誘電率の低い有機絶縁膜を用いた高速LSIの開発が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の、有機絶縁膜材料の熱重量(TG)チャートおよびDTAチャートを示す図である。
【図2】この発明(第1〜4の実施例)の有機絶縁膜材料の反応時間と重量平均分子量の変化を示す図である。
【図3】この発明(第1、7〜9の実施例)の有機絶縁膜材料の比誘電率を示す図である。
【図4】第1の実施例の有機絶縁膜材料のI−V特性を示す図である。

Claims (8)

  1. 2,2−ビ−1−ナフトール、α、α、α´、α´−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、フロログラシノール、フェノール、チモール、2−ナフトール、2−フェナントロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ピロガロールおよびこれらの誘導体からなる、少なくとも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物群から選択される1種又は2種以上の組み合わせの第1のモノマーと、
    1または2以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも2つ以上のハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成る第2のモノマーとを、
    塩基性触媒の存在下、80℃未満の反応温度に加熱し、脱ハロゲン化水素反応により重合させることを特徴とする、少なくとも1つのハロゲン基を含む有機絶縁膜材料の製造方法(ただし、ベンゼン環は全部または一部が縮合ベンゼン環である場合も含む。)。
  2. 前記第1のモノマーが、2,2−ビ−1−ナフトールであることを特徴とする請求項1に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  3. 前記脱ハロゲン化水素反応の反応温度が、30〜65℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  4. 前記脱ハロゲン化水素反応の反応時間が、2〜240時間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  5. 前記第2のモノマーが、パーフルオロビフェニルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  6. 前記塩基性触媒が、炭酸カリウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  7. 前記脱ハロゲン化水素反応を、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いて、溶液状態で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  8. 前記脱ハロゲン化水素反応後、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応液を、天然珪藻土を濾材として用いて濾過することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
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