JP3967819B2 - 成形用材料、成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品の射出成形、押出成形などの際に用いられる添加剤を含有する、たとえばマスターバッチなどとしてのポリオレフィン樹脂組成物、並びにこれを利用した成形用材料、成形品の成形方法および成形品に関するものであり、ポリオレフィン樹脂の安定化や着色のために用いられる添加剤による物性の低下を防止するなどの効果を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂はそのすぐれた特性により、多くの分野に使用されている。しかし、その機械的物性、耐熱性のさらなる向上のために各種の複合化が提案されている。中でも、ガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂は、引張強度、曲げ強度、弾性率、熱変形温度の改良効果が高く、強度、耐熱性の必要な分野に多用されてきている。
【0003】
しかし、ポリオレフィン樹脂は無極性のために、ガラス繊維との接着性、すなわち、界面接着強度が低く、ガラス繊維の補強効果を十分発揮できない場合がある。この問題を解決する方法としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性した酸変性ポリオレフィンを用いて、ガラス繊維とポリオレフィンとの界面接着強度(界面剪断強度)を向上させることがよく知られている。他方、成形品中でのガラス繊維長を臨界繊維長よりも長く保つために、成形用材料であるペレット中のガラス繊維長をペレット長と等しくしたガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットが提案され、市場で用いられ始めている。この、ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットは、最終成形品中のガラス繊維長を比較的長く保持することができ、強度、特に高温下での強度、剛性を大幅に向上させることが可能であり、クリープ特性、振動疲労特性などの長期耐久性にもすぐれている。したがって、ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットにおいても、ポリオレフィン原料として、酸変性ポリオレフィンを添加することが知られている。
【0004】
これらの、ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットを用いた成形品においても、さらなる耐候性や高温安定性の付与、最終成形品の用途により必要な着色のために、各種添加剤の添加が必須となっている。ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットに、光安定剤、光吸収剤、酸化防止剤、着色剤を加えて耐候性、機械的強度を高めることは、特開平9−235419号公報等に記載さてれいる。しかし、この公報によるまでもなく、ポリオレフィンペレットとして、すでに酸化防止剤などは添加された状態で販売されており、また、用途によって耐候剤処方、着色剤処方を行うことは、ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットの成形においても何ら変わることはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らの研究によると、これらの添加剤の多くは、酸変性ポリオレフィンとの反応性を有し、すなわち、添加剤が酸変性ポリオレフィンを喰い、酸変性ポリオレフィンの添加効果を低減する原因となっていることが分かってきた。ガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品における酸変性ポリオレフィンの作用は、ガラス繊維のシラン化合物などの表面処理剤との反応によるガラス繊維とポリオレフィン樹脂の界面強度の向上を図るものであるが、実際には界面強度向上効果が十分得られない問題が生じている。
【0006】
さらに、成形品中のガラス繊維長を長く保持するための、ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットは、通常、溶融混練押し出しされた溶融ポリオレフィン樹脂の中を、ガラス繊維束を引抜きながら樹脂を含浸することによって、繊維が平行に配列したストランドとなし、これを切断することにより繊維を長く(2〜100mm)保った状態で製造される。この場合、ガラス繊維と溶融樹脂は混練されず、ガラス繊維表面と酸変性ポリオレフィンとの接触は制限される。さらに都合の悪いことには、原料樹脂に添加剤を加えた場合に、ガラス繊維と接触する前の溶融混練時に、添加剤によって酸変性ポリオレフィンが喰われる結果ガラス繊維との界面接着性に寄与しなくなるおそれが高い。この現象は、酸変性ポリオレフィンを含有するガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットと添加剤マスターバッチを原料として用いて成形品を製造する際にも生じることとなる。したがって、一般的に行われている成形手法では、長繊維の特徴を十分生かし、さらに、添加剤の効果を十分付加することは困難であった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の欠点を克服し、安定化、着色などのための添加剤を用いたポリオレフィン樹脂とガラス繊維の複合化に有用であり、特に、ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットを用い、ガラスの臨界繊維長以上の繊維長を成形品中に保持し、且つ成形性よく、機械的特性、耐熱特性、特に添加剤の添加による物性低下の少ない、ガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品を製造することを可能にする、添加剤含有ポリオレフィン組成物、これを用いた成形用材料、成形品の成形方法および成形品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために、成形品中におけるガラス繊維とポリオレフィン樹脂の界面接着強度(界面剪断強度)に対する添加剤の影響について、鋭意研究を重ねた結果、酸変性ポリオレフィンを含有する樹脂を用い、ガラス繊維の引き抜き含浸法などで製造されたガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットを用いた成形において、添加剤を予め、酸変性ポリオレフィンと溶融混合した組成物、即ちペレットの状態で用いることにより、前記課題が解決できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)(A)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂および該酸変性ポリオレフィンと反応性を有する添加剤からなるポリオレフィン樹脂ペレットおよび(B)全長が2〜100mmであり、全長と等しい長さのガラス繊維が平行に配列されており、繊維含有量が20〜85重量%であり、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂からなるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットとからなる成形用材料。
(2)(A)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂および該酸変性ポリオレフィンと反応性を有する添加剤からなるポリオレフィン樹脂ペレットが2〜20重量%、(B)全長が2〜100mmであり、全長と等しい長さのガラス繊維が平行に配列されており、繊維含有量が20〜85重量%であり、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂からなるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットが98〜80重量%および、(C)前記(A)+(B)100重量部当たり0〜400重量部の他のポリオレフィン樹脂ペレットからなる成形用材料。
【0011】
(3)上記(1)または(2)記載の成形用材料を溶融成形することからなるガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品の成形方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂および該酸変性ポリオレフィンと反応性を有する添加剤からなるポリオレフィン樹脂組成物である。具体的には、通常、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィンに、未変性ポリオレフィンを加えてなる酸変性ポリオレフィン樹脂を、該酸変性ポリオレフィンとの反応性を有する少なくとも一種の添加剤とともに溶融混練することによって得られるものであり、ペレットの形態として得られるものを例示できる。
【0013】
ここで、ポリオレフィン樹脂は、特に限定されず、エチレン;プロピレン;ブテン−1;3−メチルブテン−1;4−メチルペンテン−1、オクテン−1などのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などであり、共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体がある。具体的には、高密度,中密度,低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体,プロピレン−エチレンブロック共重合体やランダム共重合体,プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1,ポリ4−メチルペンテン−1などを挙げることができ、これらの混合物であってもよい。本発明においては、これらの中で、特にポリプロピレン系樹脂が好適である。このポリプロピレン系樹脂は、特に制限はなく、広範囲の分子量のものを使用できるが、長期耐熱安定性などの点から、メルトインデックス(MI)〔温度230℃,荷重2.16kg〕が100g/10分以下のものが好ましく、特に60g/10分以下のものが好ましい。なお、ポリオレフィン樹脂は、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン系化合物共重合体(例えばEPDMなど),エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン系化合物共重合ゴム、これらの水添物などのゴム類を含有していてもよい。
【0014】
つぎに、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィンは、ガラス繊維とポリオレフィン樹脂の界面強度を向上させ、引張強度などを大幅に向上させるものである。ここで変性されるポリオレフィンとしては、ポリオレフィン樹脂として前記したと同様のものを用いることができる。これらの中では、ポリプロピレンやポリエチレンが好適であり、中でもポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0015】
また、変性に用いられ不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,クロトン酸,シトラコン酸,ソルビン酸,メサコン酸,アンゲリカ酸などが挙げられ、またその誘導体としては、酸無水物,エステル,アミド,イミド,金属塩などがあり、例えば無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,マレイン酸モノエチルエステル,アクリルアミド,マレイン酸モノアミド,マレイミド,N−ブチルマレイミド,アクリル酸ナトリウム,メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの中で不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸が好適である。
【0016】
これらの不飽和カルボン酸やその誘導体は、前記ポリオレフィンを変性する場合、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また変性方法については特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば該ポリオレフィンを適当な有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸やその誘導体及びラジカル発生剤を添加して攪拌、加熱する方法、あるいは前記各成分を押出機に供給してグラフト共重合を行う方法などを用いることができる。この酸変性ポリオレフィンとしては、前記不飽和カルボン酸やその誘導体の付加量が0.01〜20重量%、さらには、0.02〜10重量%の範囲にあるものが好ましく、特に無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好適である。
【0017】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物に用いる添加剤としては、前記酸変性ポリオレフィンとの反応性を有し、酸変性ポリオレフィンで捕捉される性質を有するものであれば特に制限はない。また、反応性が低いもの、反応性を有さないものが含まれていてもよい。本発明のポリオレフィン樹脂組成物に用いられる添加剤としては、特に制限されるものではなく、以下に示す各種の添加剤を例示できる。
【0018】
まず酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系のものなどがある。ここでフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフエニル)プロピオネート、4,4’ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフエノール、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔2−〔3(3−t−ブチル−4−ヒトロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンなどが挙げられる。
【0019】
また、リン系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、2,2,−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテスラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などを挙げることができる。
【0020】
つぎに、光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、フェニルベンゾエート系光安定剤などがある。このヒンダードアミン系またはフェニルベンゾエート系光安定剤の具体例として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、コハク酸とN−(2−ヒドロキシプロピル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)フマレート、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−オクチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
【0021】
また、光吸収剤としては、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系およひベンゾエート系などがあり、これらの中では、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系が好ましい。ベンゾトリアゾール系の光吸収剤としては、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。また、ベンゾエート系の光吸収剤としては、例えば2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどを挙げることができる。
【0022】
さらに、金属不活性剤としては、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドラジン誘導体などがあり、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンカルボン酸シサリチロイルヒドラジド、N,N−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオニル〕ヒドラジン、イソフタル酸ビス(2−フエノキシプロピオニルヒドラジド)、N−ホルミル−N’サリシロイルヒドラジン、2,2−オキザミドビス−〔エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロオキシフェニル)プロピオネート、オキザリル−ビス−ベンジリデン−ヒドラジドなどを挙げることができる。
【0023】
また、着色剤としては、酸化クロム、黄鉛、紺青、フェロシアン化鉄カリウム、ジンクグリーン、塩化銅フタロシアニングリーン、フタロシアニングリーン、ナフトールグリーン、マラカイトグリーンレーキ、銅フタロシアニンブルー、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、フォストスカイブルー、インダンスレンブルー、塩基性クロム酸亜鉛、クロムバーミリオン朱、カドミウム赤、パラレッド、ブリリアントカーミン(縮合アゾ系赤)、ブリリアントスカーレット、キナクリドン赤、リソールレッド、バーミリオン、チオインジゴレッド、ミンガミヤレッド、ンイエロー、ファーストイエロー、ハンザイエロー、オーラミンレーキ、ベンジジンエロ、イソインドリアンエロー、硫化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなどが挙げられる。なお、各種着色の基本として用いられ白着色用としての、硬度の高い酸化チタンはガラス繊維の破損につながるので好ましくなく、硫化亜鉛の使用が好ましい。
【0024】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、前記の酸化防止剤、光安定剤、光吸収剤、金属不活性化剤、着色剤などから選ばれた一種以上の添加剤と酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂とからなる。組成物中の添加剤の含有量は、特に制限されるものではないが、一般的には、添加剤を5〜50重量%と高濃度で含有するポリオレフィン樹脂マスターバッチとすることが好ましい。なお、添加剤を通常の濃度で含む組成物ペレットとすることも勿論できる。また、組成物中の酸変性ポリオレフィンは、組成物中に含まれる添加剤の種類や量によって最適な量を適宜決定する。即ち、実質的に酸変性ポリオレフィンを添加剤との反応により喰われる量以上とすることが好ましい。
【0025】
また、必要に応じて、ポリオレフィン樹脂に、種々の物性改良のために他の樹脂、ゴム類,充填剤,添加剤を加えることもできる。具体的には、耐衝撃改良剤として、エチレン−プロピレン共重合体ゴム,ポリブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム(SBS),SBSを水添したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)などのゴム類を添加することもできる。また、成形品の要求特性等を考慮して、金属粉,タルク,マイカ,クレー,炭酸カルシウム,シリカ,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,硫酸カルシウム,ガラス短繊維,チタン酸カルシウムウィスカー,繊維状のマグネシウムオキシサルフェートなどの無機充填剤、架橋樹脂粉末などの有機充填剤などの添加剤、難燃剤、難燃助剤などを添加することもできる。
【0026】
次に、本発明の成形用材料は、前記発明であるポリオレフィン樹脂組成物からなるペレットを一成分として用いる成形用材料である。すなわち、(A)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂および該酸変性ポリオレフィンと反応性を有する添加剤からなるポリオレフィン樹脂ペレットおよび(B)全長が2〜100mmであり、全長と等しい長さのガラス繊維が平行に配列されており、繊維含有量が20〜85重量%である不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂からなるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットとからなるものである。
【0027】
ここで、成形用材料(A)と(B)の比率は、成形用材料(A)中の添加剤濃度により、最終成形品の成形に必要な添加剤量をもとに、適宜決定される。一般的には、成形用材料(A)として、添加剤を高濃度で含有するマスターバッチの場合には、(A)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂および該酸変性ポリオレフィンと反応性を有する添加剤からなるポリオレフィン樹脂ペレットが2〜20重量%、(B)全長が2〜100mmであり、全長と等しい長さのガラス繊維が平行に配列されており、繊維含有量が20〜85重量%である不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂からなるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットが98〜80重量%および、(C)前記(A)+(B)100重量部当たり0〜400重量部の他のポリオレフィン樹脂ペレットとすることが好ましい。なお、ここで、(C)他のポリオレフィン樹脂ペレットが0〜400重量部、好ましくは0〜300重量部であり、この意味は、最終成形品中のガラス繊維の量を調整するために追加されるものであり、酸変性ポリオレフィンとの反応性を有する添加剤は少ない方が望ましいが、添加剤の主要部分が成形用材料の(A)中に含まれるので、その影響は少ないものである。
【0028】
本発明の成形用材料の(B)成分は、全長が2〜100mmであり、全長と等しい長さのガラス繊維が平行に配列されており、繊維含有量が20〜85重量%である不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂からなるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットである。
【0029】
以下、(B)成分のガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットについて具体的に説明する。ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットに用いるガラス繊維は、E−ガラス、S−ガラスなどであり、その径が3〜30μm、さらには6〜25μmの範囲にあるのが望ましい。この場合、繊維径が3μm未満ではポリオレフィン樹脂の含浸や取り扱いが困難になり、30μmを越えると成形品の外観や物性が低下する場合がある。ポリオレフィン樹脂との複合化に当たっては、通常、この複数のガラスフィラメントを集めた繊維束、いわゆるガラス繊維ロービングの形態で用いられる。上記ガラス繊維は、ポリオレフィンとの濡れ性や接着性などを良好なものとするために、表面処理剤で予め処理したものが用いられる。この表面処理剤としては、例えばシラン系,チタネート系,アルミニウム系,クロム系,ジルコニウム系,ボラン系カップリング剤などが挙げられるが、これらの中でシラン系カップリング剤及びチタネート系カップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリング剤が好適である。
【0030】
このシラン系カップリング剤としては、例えばトリエトキシシラン,ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類が好適である。該ガラス繊維を、上記表面処理剤で処理する方法については特に制限はなく、従来慣用されている方法、例えば水溶液法,有機溶媒法,スプレー法など、任意の方法を用いることができる。
【0031】
本発明に用いるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットの製造のためには、たとえば、前記ガラス繊維束として、樹脂の含浸性,樹脂との濡れ性や接着性、得られる複合材料の機械物性、コスト、取扱い性などの点から、繊維径6〜25μmのガラス繊維200〜3000本からなり、アミノシラン系カップリング剤で表面処理したものが好適に用いられる。次に、ガラス繊維束を、ダイス内に導き、押出機より供給される温度180〜300℃程度の溶融ポリオレフィン樹脂を接触、含浸させた後、ダイスから引出す。この際、ガラス繊維束を流動パラフインなどのダイス内の溶融樹脂温度以上の沸点を有する液状物質で処理し、繊維束をそれぞれ独立にダイス内に導入し、複数を纏めて引き取る方法を採用することもできる。この方法の採用により、樹脂の含浸性、高速引き取り性を大幅に向上できる。ダイスから引出されたストランドは冷却後、引取り機にて引き取ったのち、カッターにより2〜100mmの長さに切断して、ペレット化される。このペレットの長さが2mm未満では補強効果が充分に発揮されないおそれがあり、100mmを超えると成形中に噛み込みが悪くなり、安定的な生産が困難となる場合がある。
【0032】
このようにして得られたガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットにおけるガラス繊維とポリオレフィン樹脂との含有割合は、ガラス繊維が20〜85重量%で、ポリオレフィン樹脂が80〜15重量%の範囲にある。ガラス繊維の含有量が20重量%未満では繊維量が不足し、定量的に引出すことが困難となることがあり、樹脂量が多くなるためペレット形状を制御することが困難となる。また、85重量%を超えると樹脂の含浸が困難となる場合があり、ストランドの切断時にペレット割れが起こりやすくなり、ガラス繊維の脱落とともに、ペレットの形状を制御することが困難になる。樹脂の含浸性及び引出し性の面から、特にガラス繊維が25〜75重量%であって、熱可塑性樹脂成分が75〜25重量%の範囲にあるのが好ましい。
【0033】
本発明のガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットには、ポリオレフィン樹脂に前記した、不飽和カルボン酸またはその誘導体によって変性された酸変性ポリオレフィンを含有するものである。
本発明の成形用材料に用いるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットは、前記のようにして製造することができるが、ガラス繊維とポリオレフィン樹脂の界面接着力が界面剪断強度で8MPa以上、さらには10MPa以上であることが好ましい。界面剪断強度が8MPa以下の場合には、ガラス繊維の抜けが多くなり、ドライブレンド時や空気輸送時において毛玉の発生により作業環境の悪化をまねき、また、成形品の製造において、連続安定生産が困難になるとともに、外観や、強度、特に高温時での強度が不足することがある。この界面剪断強度を達成するためには、ガラス繊維の表面処理剤の選択や前記の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィンを適宜添加することによって達成される。なお、界面剪断強度の測定方法については、後述する。
【0034】
本発明は、ついで、前記の成形用材料を用いて、溶融成形するガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品の成形方法である。成形方法としては、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、押出プレス成形、ブロー成形などがある。なお、これらの成形方法においては、成形材料として、特定のガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットを用いているので、最終成形品中のガラス繊維長を比較的長く、且つ均一に保持することができる。しかし、より繊維長を長く保持するためには、混練スクリューの圧縮比を3以下、好ましくは、2.5以下にするなど成形設備や成形条件を選択することが好ましい。
【0035】
本発明は、また、上記成形方法で成形されたガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品である。すなわち、酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂と酸変性ポリオレフィンとの反応性を有する添加剤、および平均繊維長が1〜50mmであるガラス繊維からなり、該添加剤を含有しない場合の引張強度の70%以上の引張強度を有するガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品である。本発明のガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品は、本発明の特定の成形用材料を用いることによって、安定化、着色など最終製品として実用化される添加剤処方を行った成形品において、従来、それぞれの添加剤の効果はある程度生かされたものであっても、添加剤によって引張強度が大幅に低下したものを、その低下率を30%以下、特には20%以下に抑えることを可能にしたものである。
【0036】
さらに、本発明のガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品は、ガラス繊維とポリオレフィン樹脂の界面接着力が界面剪断強度で8MPa以上、さらには10MPa以上であることが好ましい。界面剪断強度が8MPa以下の場合には、ガラス繊維の繊維長をある程度以上に成形品中で保持しても、機械的物性、熱的特性、クリープ特性、振動疲労特性などにおいて、ガラス繊維による補強効果を十分達成できない場合がある。この界面剪断強度を達成するためには、成形で得られた成形品を、後述する測定方法により測定し、その結果をもとにガラス繊維の表面処理剤の種類や濃度の選択や前記の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィンの添加量を調整することにより、適宜達成することができる。
【0037】
以上、本発明にあっては、各種添加剤の添加によっても、各種物性の低下を抑制できたのは、前記したように、主要な添加剤を予め酸変性ポリオレフィンと反応させてペレット化して用いることにある。したがつて、添加剤を含有するペレットがガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットと溶融混練される際には、酸変性ポリオレフィンと添加剤の反応は最早や起こらず、ガラス長繊維強化ポリオレフィンペレット中の酸変性ポリオレフィンとガラス繊維表面のシランカップリング剤とが溶融混練によって十分接触することとなる。すなわち、添加剤が酸変性ポリオレフィンを喰ってしまうということを逆に活用することによって、成形用材料を構成することにより、添加剤の性能を100%発揮させるとともに、酸変性ポリオレフィンによるガラス繊維とポリオレフィンの界面接着性の向上を両立することを可能にしたものである。これにより、ガラス繊維強化ポリオレフィン成形品の品質を高レベルに、安定化させることにより、特に、クリープ、振動疲労など過酷な使用条件、長期耐候性の必要な材料としての信頼性が大幅に高まった。
【0038】
本発明のガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品としては、たとえばインストルメントパネルコア、ファンシュラウド、ファン、フロントエンド、タイミングベルトカバー、エンジンカバー、ラゲージボックス、ホイールキャップ、エアクリナケースなどの各種自動車部品、OAハウジング、電動工具、発電機カバー、クーリングファン、プーリー、エアコン室外機などの電気部品、パイプ継ぎ手、コンパネ、バス設備などの住宅・建設部材、各種椅子類、防振箱など一般分野などを挙げることができる。
【0039】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
・ポリプロピレン樹脂〔IDEMITSU PP J3054HP〕:MI=30g/10分(230℃、2.16Kg荷重)=66重量%、
・無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸含量:5重量%)=2重量%、
・ヒンダードフエノール系酸化防止剤:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン=4重量%、
・ヒンダードアミン系光安定剤:(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)=8重量%、
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:(2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフエニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)=4重量%、
・顔料:(イソインドリアンイエロー)=16重量%をドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械株式会社製:TEM−35B)にて混練し、ポリオレフィン樹脂組成物ペレット(マスターバッチ)得た。
【0040】
成形品の製造
(A)上記マスターバッチ=5重量%、
(B)無水マレイン酸含有量が5重量%である酸変性ポリプロピレンを2重量%配合したポリプロピレン樹脂を用いてアミノシラン表面処理ガラス繊維(13μm)束を引き抜き溶融含浸法で得られたガラス繊維含有量が70重量%、ペレット長さに等しい繊維が平行に配列した長さ12mmのガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレット=40重量%、
(C)ポリプロピレン樹脂〔IDEMITSU PP J3054HP〕=55重量%をドライブレンドして成形原料として、射出成形により成形品(試験片)を成形した。試験結果を表1に示す。
【0041】
参考例1
実施例1において、(A)のマスターバッチを用いず、(B)=40重量%、(C)60重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形品を得た。試験結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
実施例1において、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いず、ポリプロピレンの配合割合を68重量%とした以外は同様にして、添加剤含有マスターバッチペレットを得た。このマスターバッチペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして、成形品を製造した。試験結果を表1に示す。
【0043】
比較例2
実施例1において、(B)成分としての、ガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットの製造において、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用いなかった以外は、実施例1と同様にして成形品を製造した。試験結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
・ポリプロピレン樹脂〔IDEMITSU PP J3054HP〕:MI=30g/10分(230℃、2.16Kg荷重)=74重量%、
・無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸含量:5重量%)=2重量%、
・ヒンダードフエノール系酸化防止剤:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン=4重量%、
・有機イオウ系酸化防止剤:(ジステアリル,3−3−チオジプロピオネート)=4重量%、
・ヒドラジン系金属不活性化剤:(N,N−ビス〔3−(3,5−ジ−ブチル−4ヒドロキシフエニル)プロピオニル〕ヒドラジン=6重量%、
・顔料:(カーボンブラック)=10重量%をドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械株式会社製:TEM−35B)にて混練し、ポリオレフィン樹脂組成物ペレット(マスターバッチ)得た。
【0045】
成形品の製造
(A)上記マスターバッチ=5重量%、
(B)無水マレイン酸含有量が5重量%である酸変性ポリプロピレンを2重量%配合したポリプロピレン樹脂を用いてアミノシラン表面処理ガラス繊維(13μm)束を引き抜き溶融含浸法で得られたガラス繊維含有量が70重量%、ペレット長さに等しい繊維が平行に配列した長さ12mmのガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレット=40重量%、
(C)ポリプロピレン樹脂〔IDEMITSU PP J3054HP〕=5 5重量%をドライブレンドして成形原料として、射出成形により成形品(試験片)を成形した。試験結果を表1に示す。
【0046】
比較例3
実施例2において、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いず、ポリプロピレンの配合割合を76重量%とした以外は同様にして、添加剤含有マスターバッチペレットを得た。このマスターバッチペレットを用いた以外は、実施例2と同様にして、成形品を製造した。試験結果を表1に示す。
【0047】
実施例3
・ポリプロピレン樹脂〔IDEMITSU PP J3054HP〕:MI=30g/10分(230℃、2.16Kg荷重)=77重量%、
・無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸含量:5重量%)=2重量%、
・ヒンダードフエノール系酸化防止剤:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン=0.2重量%、
・ヒンダードアミン系光安定剤:(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)=0.5重量%、
・ベンゾエート系紫外線吸収剤:(2−4−ジ−t−ブチルフエニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート)=0.5重量%、
・顔料:(キナクリドンレッド)=20重量%をドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械株式会社製:TEM−35B)にて混練し、ポリオレフィン樹脂組成物ペレット得た。
成形品の製造
(A)上記ポリオレフィン樹脂組成物ペレット=60重量%、
(B)無水マレイン酸含有量が5重量%である酸変性ポリプロピレンを2重量%配合したポリプロピレン樹脂を用いてアミノシラン表面処理ガラス繊維(13μm)束を引き抜き溶融含浸法で得られたガラス繊維含有量が70重量%、ペレット長さに等しい繊維が平行に配列した長さ12mmのガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレット=40重量%をドライブレンドして成形原料として、射出成形により成形品(試験片)を成形した。試験結果を表1に示す。
【0048】
比較例4
実施例3において、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いず、ポリプロピレンの配合割合を79重量%とした以外は同様にして、ポリオレフィン樹脂組成物ペレットを得た。このペレットを用いた以外は、実施例3と同様にして、成形品を製造した。試験結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
参考例2
実施例1で用いた、MI=30g/10分のポリプロピレン=68重量%と無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂=2重量%をドライブレンドし、ホッパーより供給し二軸混練機で溶融混練するに際し、長さ3mmのアミノシラン処理ガラス繊維(13μm)を30重量%になるようにサイトフィードして溶融混練し短繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを得た。このペレット=95重量%とポリプロピレン=5重量%をドライブレンドし、実施例1と同様にして成形品を製造した。試験結果、引張強度は84MPaであった。
【0051】
参考例3
比較例1の添加剤マスターバッチ=5重量%と参考例2の短繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレット=95重量%をドライブレンドし実施例1と同様にして成形品を製造した。試験結果、引張強度は79MPaであり、添加剤を添加することによる強度保持率は94%と高かった。このことより、ガラス短繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットの場合は、添加剤が添加されても引張強度の大幅な低下はなく、添加剤の添加が問題になるのは、実施例1および比較例1から明らかなように、ガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットの成形に特有なことが明らかである。
【0052】
評価方法
1.引張強度:JIS K−7113に準拠。
引張強度保持率とは、各種安定剤、着色剤を添加しない場合の引張強度に対する、添加剤を添加した成形品の引張強度の保持率を示す。
2.曲げ強度:JIS K−7203I準拠。
3.成形品中の平均ガラス繊維長:成形品を灰化後、万能投影機を用いてガラス繊維を倍率10倍で写真撮影し、デシタイザーにおいて測定した。
4.界面剪断強度
(1)参考例1において、ガラス繊維の含有量が0.5重量%になるように、(B)と(C)をブレンドし、射出成形にて引張試験片〔図1〕を作成した。ミクロトームで試験片の表面を削り、繊維の配向を調べた。おおむね、MD(流れ方向)に繊維は配向していた。試験片に図1のようにマーキングをほどこした後引張試験を行った。伸び率が10%以上になるまで引張った後、試験片を取り外し、マーキングで10%以上伸びた部分を切り出し、灰化後、ガラス繊維長分布を測定した。また、引張試験を行う前の試験片の、ガラス繊維長分布を同様に測定した。引張試験後のガラス繊維長分布より、引張試験前のガラス繊維長分布を差し引き、破断繊維のガラス繊維長分布を求めた。図2参照。
【0053】
図2より、左の+の部分を取り出し、平均ガラス繊維長を求め、これを破断したガラス繊維の平均繊維長(Lave)とした。界面剪断強度は、次式より求めた。
界面剪断強度(τw)=(r・σ)/(2Lc)
破断繊維の平均繊維長(Lave)=(3/4)・臨界繊維長(Lc)
r:ガラス繊維半径
σ:ガラス繊維の破断強度
得られた結果を表1に示した。
【0054】
(2)実施例3において、ガラス繊維の量が0.5%になるように、(A)と(B)をブレンドして用いた以外は、同様にして界面剪断強度を求めた。結果を表1に示した。
(3)比較例4において、ガラス繊維の量が0.5%になるように、(A)と(B)をブレンドして用いた以外は、同様にして界面剪断強度を求めた。結果を表1に示した。
【0055】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、ガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを用いた成形品の製造において、各種安定剤、着色剤の使用においても物性向上を図ることができる。したがって、従来の、添加剤処方では、添加剤を添加することにより、むしろ物性が大幅に低下するものであったが、本発明の方法によって、添加剤の効果とガラス長繊維の複合効果を十分生かした成形品の成形が可能となる。その結果、得られた成形品は外観にすぐれ、ガラス繊維の長さが比較的長い状態で均一に分散し、強度、特に高温時での強度や耐クリープ性、振動疲労特性などを高く維持できる。したがつて、自動車分野、電気分野、住宅・建設分野をはじめ多様な分野への展開が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明成形品のガラス繊維とポリオレフィン樹脂との界面剪断強度測定に用いた試験片を示す。
【図2】本発明成形品中の破断繊維のガラス繊維長分布を示す。
【符号の説明】
1:引張試験用試験片
2:マーキング
Claims (3)
- (A)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂および該酸変性ポリオレフィンと反応性を有する添加剤からなるポリオレフィン樹脂ペレットおよび(B)全長が2〜100mmであり、全長と等しい長さのガラス繊維が平行に配列されており、繊維含有量が20〜85重量%であり、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂からなるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットとからなる成形用材料。
- (A)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂および該酸変性ポリオレフィンと反応性を有する添加剤からなるポリオレフィン樹脂ペレットが2〜20重量%、(B)全長が2〜100mmであり、全長と等しい長さのガラス繊維が平行に配列されており、繊維含有量が20〜85重量%であり、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変成された酸変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂からなるガラス長繊維強化ポリオレフィンペレットが98〜80重量%および(C)前記(A)+(B)100重量部当たり0〜400重量部の他のポリオレフィン樹脂ペレットからなる成形用材料。
- 請求項1または2記載の成形用材料を溶融成形することからなるガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品の成形方法。
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