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JP3966073B2 - 制動制御装置 - Google Patents

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JP3966073B2
JP3966073B2 JP2002146484A JP2002146484A JP3966073B2 JP 3966073 B2 JP3966073 B2 JP 3966073B2 JP 2002146484 A JP2002146484 A JP 2002146484A JP 2002146484 A JP2002146484 A JP 2002146484A JP 3966073 B2 JP3966073 B2 JP 3966073B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両に作用する減速度を検出し、その検出された減速度に基づいて制動力を制御する制動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような制動制御装置としては例えば特開昭56ー33254号公報に記載されるものがある。この制動制御装置では、車両に作用する減速度を検出し、その検出された減速度に基づいて制動力を、所謂フィードバック制御するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の制動制御装置では、車両に作用する減速度をフィードバックして制動力制御を行っているため、例えば車両減速度を車輪回転速度から算出するような場合、車輪回転速度が路面の凹凸や路面摩擦係数状態の変動によって変化すると、車両減速度が正しく検出されないことになり、適切な制動力制御を実行できないという問題がある。
【0004】
本発明は、これらの諸問題を解決すべく開発されたものであり、外乱によって車両減速度が正しく検出できないときにも、適切な制動力制御を実行することができる制動制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る制動制御装置は、乗員の制動操作量から目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、車両に発生する減速度を検出する減速度検出手段と、各車輪に制動力を付与する制動手段と、前記制動手段への制動力指令値の上限値及び下限値を設定する制動力指令値上下限値設定手段と、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度に応じた基準値と前記減速度検出手段で検出された減速度に応じた補正量とから制動力指令値を設定すると共に、その制動力指令値を前記制動力指令値上下限値設定手段で設定された制動力指令値の上限値及び下限値で制限し、その制限された制動力指令値に基づいて前記制動手段による各車輪への制動力を制御する制動制御手段とを備え、前記制動力指令値上下限値設定手段は、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度が所定値以上であるときに、前記目標減速度に応じた基準値に所定の比率を乗じて前記補正量の上限値及び下限値を設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定することを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のうち請求項2に係る制動制御装置は、前記請求項1の発明において、前記制動力指令値上下限値設定手段は、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度が前記所定値未満であるときには、所定の一定値を前記補正量の上限値及び下限値に設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定することを特徴とするものである。
【0007】
さらに、本発明のうち請求項3に係る制動制御装置は、前記請求項1の発明において、前記制動力指令値上下限値設定手段は、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度が前記所定値未満であるときには、前記目標減速度に応じた基準値に所定の比率を乗じた乗算値と所定の一定値との加算値を前記補正量の上限値及び下限値に設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定することを特徴とするものである。
【0008】
またさらに、本発明のうち請求項4に係る制動制御装置は、前記請求項の発明において、前記制動力指令値上下限値設定手段は、所定の一定値で前記加算値の上限値及び下限値を設定することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
而して、本発明のうち請求項1に係る制動制御装置によれば、乗員の制動操作量から目標減速度を設定すると共に、車両に発生する減速度を検出し、乗員の制動操作中は、目標減速度に応じた基準値と減速度に応じた補正量とから制動力指令値を設定すると共に、目標減速度が所定値以上であるときに、当該目標減速度に応じた基準値に所定の比率を乗じて設定された上下限値で制動指令値を制限して各車輪への制動力を制御する構成としたため、目標減速度が所定値以上であるときには、検出された減速度が正しくないときでも、それに基づく制動力指令値を制限でき、また目標減速度が前記所定値未満であるときには、前記補正量の上下限値を大きく設定することで、制動力制御で適切な制動力を発生でき、制動力制御を適正な範囲にすることができる。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係る制動制御装置によれば、目標減速度が前記所定値未満であるときには、所定の一定値を前記補正量の上限値及び下限値に設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定する構成としたため、目標減速度が前記所定値未満であるときには、検出された減速度が正しくないときでも、それに基づく制動力指令値の変化量を小さく制限して、乗員の違和感を抑制防止することができ、また制動力制御で適切な制動力を発生でき、制動力制御を適正な範囲にすることができる。
【0011】
さらに、本発明のうち請求項3に係る制動制御装置によれば、目標減速度が前記所定値未満であるときには、前記目標減速度に応じた基準値に所定の比率を乗じた乗算値と所定の一定値との加算値を前記補正量の上限値及び下限値に設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定する構成としたため、乗員の制動操作開始時に、正しくない減速度が検出されたときでも、それに基づく制動力指令値の変化量をより小さく制限することができ、乗員の違和感を抑制防止することができる。
【0012】
さらに、本発明のうち請求項4に係る制動制御装置によれば、所定の一定値で前記加算値の上限値及び下限値を設定する構成としたため、目標減速度が前記所定値未満であるときには、検出された減速度が正しくないときでも、それに基づく制動力指令値の変化量を小さく制限して、乗員の違和感を抑制防止することができ、また制動力制御で適切な制動力を発生でき、制動力制御を適正な範囲にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すシステム概略構成図であり、交流同期モータにより回生ブレーキトルクを制御する間、制動流体圧を減圧制御することにより、回生エネルギーを効率的に回収する回生協調ブレーキ制御システムに本発明の制動制御装置を適用したものである。
【0014】
図1において、運転者によって制動操作されるブレーキペダル1は、ブースタ2を介してマスタシリンダ3に連結されている。前記ブースタ2は、ポンプ21によって昇圧され、アキュームレータ22に蓄圧された高圧の制動流体圧を用いて、ペダル踏力を倍力してマスタシリンダ3に供給する。なお、前記ポンプ21は、圧力スイッチ23によってシーケンス制御されている。また、図中の符号4は制動流体のリザーバである。
【0015】
前記マスタシリンダ3は、各車輪10のホイールシリンダ5に接続されているが、その制動流体路の途中には、当該ホイールシリンダ5と同等の流体負荷を備えたストロークシミュレータ6に切換えるためのストロークシミュレータ切換弁7が介装されている。即ち、ストロークシミュレータ切換弁7が非通電の状態ではマスタシリンダ3は各ホイールシリンダ5に接続されるが、ストロークシミュレータ切換弁7に通電するとマスタシリンダ3はストロークシミュレータ6に接続され、各ホイールシリンダ5はマスタシリンダ3の制動流体圧から切り離される。
【0016】
このストロークシミュレータ切換弁7の作用に伴って、前記ポンプ21の出力圧若しくはアキュームレータ22の蓄圧を各ホイールシリンダ5に供給して増圧するための増圧弁8、各ホイールシリンダ5の制動流体圧をリザーバ4に還元して減圧するための減圧弁9が設けられている。このうち、増圧弁8は、非通電時に各ホイールシリンダ5とポンプ21又はアキュームレータ22とを遮断し、通電時には各ホイールシリンダ5とポンプ21又はアキュームレータ22とを接続する。また、減圧弁9は、非通電時に各ホイールシリンダ5とリザーバ4とを遮断し、通電時に各ホイールシリンダ5とリザーバ4とを接続する。従って、前記ストロークシミュレータ切換弁7によって各ホイールシリンダ5をマスタシリンダ3から切り離した状態で、前記増圧弁8に通電すれば、マスタシリンダ3の出力圧とは個別に、各ホイールシリンダ5の制動流体圧を増圧することができ、前記減圧弁9に通電すれば、各ホイールシリンダ5の制動流体圧を減圧することができる。
【0017】
また、この制動流体圧回路には、マスタシリンダ3の出力圧を検出するマスタシリンダ圧センサ11及び前記ストロークシミュレータ切換弁7によってマスタシリンダ3から切り離された状態の各ホイールシリンダ5の制動流体圧を検出するホイールシリンダ圧センサ12が設けられ、これら圧力センサ11、12で検出された制動流体圧を用いて、制動流体圧コントロールユニット13からの指令により、前記ストロークシミュレータ切換弁7、増圧弁8、減圧弁9が制御される。
【0018】
前記車輪10のうち、駆動輪に相当する前輪10には、ギヤボックス14を介して交流同期モータ、所謂モータジェネレータ15が接続されている。このモータジェネレータ15は、バッテリ16からの供給電力によって電動機として車輪10を駆動すると共に、車輪10からの路面駆動トルクによって発電機としてバッテリ16に蓄電することができる。このバッテリ16とモータジェネレータ15との間に介装されているのが交流電流制御回路、所謂インバータ17であり、モータコントロールユニット18からの指令(3相PWM信号)に応じて交流電流と直流電流との変換を行い、これによりモータジェネレータ15の駆動トルク制御や、回生ブレーキ制御による車両運動エネルギーのバッテリ16への回収を行うことができる。
【0019】
前記制動流体圧コントロールユニット13及びモータコントロールユニット18は、通信回線を介して回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19に接続している。前記制動流体圧コントロールユニット13やモータコントロールユニット18は、勿論、夫々、単体でホイールシリンダ5の制動流体圧やモータジェネレータ15の回転状態を制御することが可能であるが、回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19からの指令に応じて、それらを制御することにより、より効率よく、車両運動エネルギーの回収を行って燃費を向上することが可能となる。
【0020】
具体的には、モータコントロールユニット18は、回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19から受信した回生ブレーキトルク指令値に基づいて、回生ブレーキトルクを制御すると共に、バッテリ16の充電状態や温度等で求められる最大許容回生トルク値を算出し、それを回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19に送信する。また、制動流体圧コントロールユニット13は、回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19から受信した制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ5の制動流体圧を制御すると共に、前記マスタシリンダ圧センサ11、ホイールシリンダ圧センサ12で検出したマスタシリンダ圧及びホイールシリンダ圧を回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19に送信する。なお、回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19内で前記回生ブレーキトルクや制動流体圧指令値を算出するために、車両には前記駆動輪に相当する車輪(前輪)10の回転速度を検出する駆動輪速度センサ20が設けられている。
【0021】
前記回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19を始めとする、制動流体圧コントロールユニット13やモータコントロールユニット18等の各コントロールユニットは、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を備え、そのうち、制動流体圧コントロールユニット13やモータコントロールユニット18は、各指令値に応じた駆動信号や制御信号を創成し、前述した各アクチュエータに向けて出力する。これに対し、前記回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19は、運転者の意図に合致した減速度が得られると共に、最も車両運動エネルギーの回収効率のよい制動流体圧指令値及び回生トルク指令値を算出し、夫々、制動流体圧コントロールユニット13及びモータコントロールユニット18に出力する。
【0022】
次に、前記回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19内で行われる制動流体圧指令値及び回生トルク指令値の算出のために、目標減速度αdem から制動トルク指令値Td-com を算出する手法を図2のブロック図に基づいて説明する。例えば、目標減速度αdem を、運転者のブレーキペダル踏込み量(制動操作量)、即ちマスタシリンダ圧Pmcに比例した値であるとしたとき、その目標減速度αdem のみに応じたフィードフォワード項と、実際に車両に発生している減速度をフィードバックしたフィードバック項とを求め、それらの合算値を制動トルク指令値Td-com とする。
【0023】
この図2では、ブロックB4(応答特性P(s))が自車両に相当する。図中のαV は、自車両で達成される、或いは発生する減速度である。ここで、制動開始直前の減速度、例えばエンジンブレーキ力による減速度や登坂路の減速度、或いは降坂路の加速度等を基準減速度αB としたとき、前記自車両で発生する減速度αV から前記基準減速度αB を減じた値(αV −αB )が、制動制御系で達成すべき減速度になる。
【0024】
この図2のブロック図では、まずブロックB1において、制御対象である自車両モデルの応答特性Pm (s) を規範モデル特性Fref (s) に一致させるために、前記目標減速度αdem に対し、下記1式で示すフィードフォワード補償器(位相補償器)CFF(s) 処理を施して制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFを算出する。なお、式中のK2 は、目標減速度αdemを制動トルクに換算するための車両諸元定数である。
【0025】
【数1】
Figure 0003966073
【0026】
一方、制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBを算出するため、まずブロックB2で、前記目標減速度αdem に対し、下記2式で示す規範モデル特性Fref (s) 処理を施して規範減速度αref を算出する。
【0027】
【数2】
Figure 0003966073
【0028】
このようにして算出された規範減速度αref から、前記自車両で発生する減速度αV と基準減速度αB との差(αV −αB )を加減算器で減じて減速度のフィードバック差分値Δαを算出する。そして、この減速度のフィードバック差分値Δαに対し、ブロックB3で、下記3式で示すフィードバック補償器CFB(s) 処理を施して制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBを算出する。なお、前記フィードバック補償器CFB(s) は、基本的なPI(比例−積分)制御器であり、式中の制御定数KP 、KI はゲイン余裕や位相余裕を考慮して設定する。
【0029】
【数3】
Figure 0003966073
【0030】
従って、前記制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFと制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBとを加算器で加算して制動トルク指令値Td-comを算出することができる。
次に、前記回生協調ブレーキ制御コントロールユニット19内で行われる制動流体圧指令値及び回生トルク指令値算出のための演算処理を図3のフローチャートに従って説明する。
【0031】
この演算処理は、所定時間ΔT(例えば10msec. )毎のタイマ割込処理として実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算によって得られた情報は随時記憶され、記憶されている情報は、必要に応じて、随時読込まれる。
この演算処理は、まずステップS1で、前記マスタシリンダ圧センサ11で検出されたマスタシリンダ圧Pmc及びホイールシリンダ圧センサ12で検出された各ホイールシリンダ圧Pwcを前記制動流体圧コントロールユニット13から読込む。
【0032】
次にステップS2に移行して、前記駆動輪速度センサ20で検出された駆動輪速度を車両の走行速度として読込み、更に下記4式の伝達関数Fbpf (s) で示されるバンドパスフィルタ処理を施して駆動輪減速度を求め、それを前記実際の車両に発生している車両減速度αV とする。但し、式中のωは固有角周波数、ζは減衰定数である。
【0033】
【数4】
Figure 0003966073
【0034】
次にステップS3に移行して、前記モータコントロールユニット18から利用可能な最大回生トルクTmmaxを読込む。
次にステップS4に移行して、前記ステップS1で読込んだマスタシリンダ圧Pmcに所定の定数K1 を乗じ、その負値を前記目標減速度αdem として算出する。
【0035】
次にステップS5に移行して、エンジンブレーキ力による減速度の推定値、エンジンブレーキ減速度推定値αeng を算出する。具体的には、まず前記ステップS2で読込んだ駆動輪速度を車両の走行速度とし、この走行速度とシフトポジションとから図4aの制御マップに従ってエンジンブレーキ力(図ではエンブレ力)推定値又は目標値Feng を求める。また、同時に、自車両の走行速度から図4bの制御マップに従って平坦路における走行抵抗Freg を求める。そして、それらの和を平均的な車両重量MV で除してエンジンブレーキ減速度推定値αeng を算出する。
【0036】
次にステップS6に移行して、前記ステップS4で算出した目標減速度αdemに対し、前記1式のフィードフォワード補償器(位相補償器)CFF(s) 処理を施して制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFを算出する。
次にステップS7に移行して、例えば前記ステップS1で読込んだマスタシリンダ圧Pmcが比較的小さな所定値以上であるか否か等を利用することによってブレーキペダルが踏込まれているブレーキペダルオン(制動操作)状態であるか否かを判定し、ブレーキペダルオン状態である場合にはステップS9に移行し、そうでない場合にはステップS8に移行する。
【0037】
前記ステップS8では、ブレーキ操作直前減速度α0 及びエンジンブレーキ減速度基準値αeng0を更新してからステップS11に移行する。具体的には、アクセルペダル解除操作、即ちアクセルオフからブレーキ操作、即ちブレーキオンまでの制動開始時間TJ を求め、その制動開始時間TJ が、例えばエンジンブレーキ力が収束する時間相当の所定値TJ0以上であるときには、前記ステップS2で算出した車両減速度αV をブレーキ操作直前減速度α0 とすると共に、前記ステップS5で算出したエンジンブレーキ減速度推定値αeng をエンジンブレーキ減速度基準値αeng0とする。また、前記制動開始時間TJ が前記所定値TJ0未満であるときには、前記ステップS5で算出したエンジンブレーキ減速度推定値αeng をブレーキ操作直前減速度α0 とすると共に、当該エンジンブレーキ減速度推定値αeng をエンジンブレーキ減速度基準値αeng0とする。即ち、制動開始時間TJ がエンジンブレーキ収束所要時間相当の所定値TJ0以上であるときには、実際の車両減速度αV をブレーキ操作直前減速度α0 とし、所定値TJ0未満であるときには、その後に発生するであろうエンジンブレーキ減速度推定値αeng をブレーキ操作直前減速度α0 とする。
【0038】
一方、前記ステップS9では、前記ステップS5で算出したエンジンブレーキ減速度推定値αeng から前記エンジンブレーキ減速度基準値αeng0を減じた値を前記ブレーキ操作直前減速度α0 に和して、前記基準減速度αB を算出してからステップS10に移行する。
前記ステップS10では、前記ステップS9で算出した基準減速度αB を用い、前述のように目標減速度αdem に対して前記2式で示す規範モデル特性Fref(s) 処理を施して規範減速度αref を算出し、この規範減速度αref から車両減速度αV と基準減速度αB との差(αV −αB )を減じて減速度のフィードバック差分値Δαを算出し、この減速度のフィードバック差分値Δαに対し、前記3式で示すフィードバック補償器CFB(s) 処理を施して制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBを算出してからステップS14に移行する。
【0039】
前記ステップS14では、前記ステップS1で読込んだマスタシリンダ圧Pmcが所定値Pmc0 以上であるか否か、即ち乗員の制動操作量であり、同時に前記目標減速度αdem の大きさが所定値以上であるか否かを判定し、当該マスタシリンダ圧Pmcが所定値Pmc0 以上である場合にはステップS15に移行し、そうでない場合にはステップS16に移行する。ここで、所定値Pmc0は、乗員が制動操作しているときに制動力指令値を変化させて、その乗員が違和感を感じる変化量の最小値とマスタシリンダ圧との関係を検出する実験から定まる値であって、その乗員が違和感を感じる変化量の最小値が、マスタシリンダ圧Pmcに応じて変化するようになるしきい値である。
【0040】
前記ステップS15では、前記ステップS6で算出された制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに、“1”より小さい係数KLU1,KLL1を乗じて制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLを算出してからステップS17に移行する。ここで、係数KLU1,KLL1は、検出された車体減速度αVが正しくないときでも、それに基づく制動トルク指令値の変化量を制限することで、乗員の違和感を抑制防止できるように設定する。
【0041】
一方、前記ステップS16では、前記ステップS6で算出された制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに、“1”より小さい係数KLU2を乗じた乗算値に定数CLUを加算して制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBULを算出すると共に、前記制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに、“1”より小さい係数KLL2を乗じた乗算値に定数CLLを加算して制動トルク指令値のフィードバック項の下限値Td-FBLLを算出してからステップS17に移行する。ここで、定数CLU,CLLは、乗員の制動操作開始時に、正しくない車体減速度αVが検出されたときでも、それに基づく制動トルク指令値の変化量を制限することで、乗員の違和感を抑制防止でき、且つ、ホイールシリンダ5等で発生可能な最小制動トルクより大きくなるように設定する。
【0042】
また係数KLU2,KLL2は、マスタシリンダ圧Pmcが所定値Pmc0になったときに、フィードバック項の上限値Td-FBULが前記制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに係数KLU1を乗じた値となるように、また前記フィードバック項の下限値Td-FBLLが前記制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに係数KLL1を乗じた値となるように設定する。
【0043】
前記ステップS17では、前記ステップS15又はステップS16で設定された制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FB-LLで、前記ステップS10で算出された制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBを制限してから前記ステップS11に移行する。
前記ステップS11では、前記ステップS6で算出した制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFと前記ステップS10で算出し、或いは前記ステップS17で制限された制動トルクの指令値のフィードバック項Td-FBとの和から制動トルク指令値Td-com を求め、それを制動流体圧制動トルク指令値Tb-com と回生制動トルク指令値Tm-com とに配分する。ここでは、可及的に燃費を向上するため、前記ステップS3で読込んだ最大回生トルクTmmaxをできるだけ使い切るように配分する。本実施形態の前記モータジェネレータ15は前輪だけを駆動し、前輪からの路面駆動トルクによって回生制動するものであるから、以下のようにして場合分けを行う。
【0044】
まず、図5に示す前後輪制動力配分制御マップ(例えば理想制動力配分マップであり制動トルクを絶対値で示す)に従って、前記制動トルク指令値Td-com を前輪制動トルク指令値Td-com-F と後輪制動トルク指令値Td-com-R とに分配する。そして、この前輪制動トルク指令値Td-com-Fの絶対値と後輪制動トルク指令値Td-com-R の絶対値との和、即ち前記制動トルク指令値Td-comの絶対値 が前記最大回生トルクTmmaxの絶対値未満であるときには回生制動のみとし、前輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-F 及び後輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-R を共に“0”とし、回生制動トルク指令値Tm-com を前記制動トルク指令値Td-com に設定する。
【0045】
また、前記制動トルク指令値Td-comの絶対値が前記最大回生トルクTmmaxの絶対値以上であり、且つ、前記前輪制動トルク指令値Td-com-Fの絶対値 が前記最大回生トルクTmmaxの絶対値未満であるときには回生制動と後輪制動流体圧制動とし、前輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-F を“0”とし、後輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-R を、前記制動トルク指令値Td-com から最大回生トルクTmmaxを減じた値とし、回生制動トルク指令値Tm-com を最大回生トルクTmmaxに設定する。また、前記最大回生トルクTmmaxの絶対値が“0”近傍の所定値以上であり且つ前記前輪制動トルク指令値Td-com-Fの絶対値 が当該最大回生トルクTmmaxの絶対値以上であるときには回生制動と前後輪制動流体圧制動とし、前輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-F を、前輪制動トルク指令値Tdcom-F から最大回生トルクTmmaxを減じた値とし、後輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-R を後輪制動トルク指令値Td-com-R とし、回生制動トルク指令値Tm-com を最大回生トルクTmmaxに設定する。また、前記最大回生トルクTmmaxの絶対値が“0”近傍の所定値未満であるときには制動流体圧制動のみとし、前輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-F を前輪制動トルク指令値Td-com-F とし、後輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-R を後輪制動トルク指令値Td-com-Rとし、回生制動トルク指令値Tm-com を“0”に設定する。
【0046】
次にステップS12に移行して、前記ステップS11で算出した前後輪の制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-F 、Tb-com-R に所定の車両諸元定数K3 を乗じて前後輪の制動流体圧指令値Pb-com-F 、Pb-com-R を算出する。
次にステップS13に移行して、前記ステップS11で算出した回生制動トルク指令値Tm-com を前記モータコントロールユニット18に向けて出力すると共に、前記ステップS12で算出した前後輪の制動流体圧指令値Pb-com-F 、Pb-com-R を前記制動流体圧コントロールユニット13に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
【0047】
この演算処理によれば、前記アクセルオフからブレーキオンまでの間には、そのときの車両減速度αV 又はエンジンブレーキ減速度推定値αeng をブレーキ操作直前減速度α0 として、またそのときのエンジンブレーキ減速度推定値αengをエンジンブレーキ減速度基準値αengOとして随時更新しながら、目標減速度αdem に対する制動トルク指令値フィードフォワード項Td-FFが算出される。この状態での制動トルク指令値Td-com は、この制動トルク指令値フィードフォワード項Td-FFのみであるから、本来、エンジンブレーキ力によって車両減速度αVに反映されており、またシフトダウン操作等を行わない限り、ブレーキペダルを踏込んだときの値よりも絶対値では小さいから、当該制動トルク指令値フィードフォワード項Td-FFのみからなる制動トルク指令値Td-comの絶対値が前記最大回生トルクTmmaxの絶対値未満であるときには、前述のように前輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-F 及び後輪制動流体圧制動トルク指令値Tb-com-R を共に“0”とし、回生制動トルク指令値Tm-com を前記制動トルク指令値Td-com に設定する。
【0048】
これに対し、ブレーキペダルの踏込みが行われると、そのときの車両減速度αV 又はエンジンブレーキ減速度推定値αeng がブレーキ操作直前減速度α0 として、またそのときのエンジンブレーキ減速度推定値αeng がエンジンブレーキ減速度基準値αengOとして記憶され、このブレーキ操作直前減速度α0 及びエンジンブレーキ減速度基準値αeng0を用いて、そのときのエンジンブレーキ減速度推定値αeng に応じた基準減速度αB が算出され、この基準減速度αB と実際の車両減速度αV と前記規範減速度αref とから制動トルク指令値フィードバック項Td-FBが算出され、これに前記制動トルク指令値フィードフォワード項Td-FFを和した値が制動トルク指令値Td-com となる。このとき、アクセルオフからブレーキオンまでの時間TJ が前記エンジンブレーキ力が収束する時間相当の所定値TJ0以上であれば、そのときの車両減速度αV が前記ブレーキ操作直前減速度α0 に設定されている。従って、ブレーキ操作時に、エンジンブレーキ力や登坂路での減速度や、降坂路での加速度が作用していれば、それは車両減速度αV に表れてブレーキ操作直前減速度α0 に反映しているので、その後の基準減速度αBはそれらの加減速度の影響を反映した値となり、この基準減速度αB と車両減速度αV との差に応じた制動トルク指令値フィードバック項Td-FBは、エンジンブレーキトルクの変動のみを反映した値となり、ブレーキペダルの操作量が一定で前記制動トルク指令値フィードフォワード項Td-FFが同等か又はほぼ同等である限り、運転者の意図した減速度を達成することができる。
【0049】
また、この途中にダウンシフトなどによってエンジンブレーキ力が変化したときにも、そのときのエンジンブレーキ減速度推定値αeng と前記エンジンブレーキ減速度基準値αeng0との差を基準減速度αB に反映することができるので、その後も、基準減速度αB と車両減速度αV との差に応じた制動トルク指令値フィードバック項Td-FBに基づいて、運転者の意図した減速度を達成し続けることができる。
【0050】
また、アクセルオフからブレーキオンまでの時間TJ が前記エンジンブレーキ力が収束する時間相当の所定値TJ0未満であるときには、エンジンブレーキ減速度推定値αeng を前記ブレーキ操作直前減速度α0 に設定するので、エンジンブレーキ力が収束してから、運転者の意図した減速度を達成することが可能となる。
【0051】
図6は、前記図3の演算処理による車両加減速度の経時変化を示したものである。このタイミングチャートでは、平坦路を定速走行中に、時刻t01でアクセルオフ、時刻t02でブレーキオン、時刻t03でダウンシフトを行っており、ブレーキオンからのブレーキペダルの踏込み量、即ちマスタシリンダ圧Pmcは一定である。時刻t01でアクセルオフとなると、エンジンブレーキ力によって車両に減速度が発生するが、自車両走行速度の減少に伴って、その減速度の値は次第に増加する(減速度の度合としては小さくなる)。
【0052】
そして、時刻t02でブレーキオンとなると、そのときの車両減速度αV がブレーキ操作直前減速度α0 に設定され、そのときのエンジンブレーキ減速度推定値αeng がエンジンブレーキ減速度基準値αeng0に設定される。従って、この時刻t02以後、ブレーキペダルの踏込み量に応じた減速度(αV −αeng0 )が、それまでの減速度αB (=α0 )に付加されるが、その後の自車両走行速度の減少に伴ってエンジンブレーキ減速度推定値αengが大きく(減速度の度合としては小さく)なると、このエンジンブレーキ減速度推定値αeng と前記エンジンブレーキ減速度基準値αeng0との差の分だけ減速度基準値αB が大きく(減速度の度合としては小さく)なり、これに伴って前記制動流体圧制御又は回生ブレーキ制御によって発生する車両減速度αVの値はエンジンブレーキトルクの減少分ずつ大きく(減速度の度合としては小さく)なってゆく。
【0053】
更に、時刻t03でダウンシフトを行うと、その分だけ、エンジンブレーキ減速度推定値αeng が小さく(減速度の度合としては大きく)なり、このエンジンブレーキ減速度推定値αeng と前記エンジンブレーキ減速度基準値αeng0との差の分だけ減速度基準値αB が小さく(減速度の度合としては大きく)なり、これに伴って前記制動流体圧制御又は回生ブレーキ制御によって発生する車両減速度αVの値はエンジンブレーキトルクの増加分だけ小さく(減速度の度合としては大きく)なる。しかし、その後も、走行速度の減少に伴ってエンジンブレーキ力が減少するので、車両減速度αVの値は次第に大きく(減速度の度合としては小さく)なってゆく。
【0054】
ところで、前記制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBは、前記制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLで制限される。これに対し、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFは制限されないので、当該制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFと前記制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBとの加算値からなる制動トルク指令値Td-com は、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFと制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLとの加算値で制限されると換言できる。この制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFと制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLとの加算値を制動トルク指令値の上限値Td-comUL 及び下限値Td-comLL とすると、当該制動トルク指令値の上限値Td-comUL 及び下限値Td-comLL は、マスタシリンダ圧Pmcに対して、図7のように設定されることになる。なお、図7では制動トルク指令値は絶対値で示している。
【0055】
即ち、マスタシリンダ圧Pmcが前記所定値Pmc0 以下の領域では、前記制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLが、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに係数KLU2,KLL2を乗じた乗算値に定数CLU,CLLを加算した値となるので、マスタシリンダ圧Pmc、即ち目標減速度である制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFの増加に応じて定数CLU,CLLから増加することになる。一方、マスタシリンダ圧Pmcが前記所定値Pmc0 以上の領域では、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに係数KLU2,KLL2を乗じた値となるので、マスタシリンダ圧Pmc、即ち目標減速度である制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFの増加に応じてリニアに増加することになる。
【0056】
図8は、制動トルク指令値(絶対値で示す)のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLを、常時、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに所定の係数KLU2,KLL2を乗じた値としたものである。従って、制動トルク指令値の上限値Td-comUL 及び下限値Td-comLL は、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFが大きいほど大きくなる。ここでは、時刻t01でブレーキペダルを踏込み、時刻t02でブレーキペダルの踏込みを一定に保持したものとし、その後、時刻t03で路面突起や路面摩擦係数の変動により車体減速度αV が小さく(数値的には大きく)誤検出されたものとする。また、この時刻t03までは、車体減速度αV は前記目標減速度αdem によく一致し、その結果、制動トルク指令値Td-comはほぼ制動トルク指令値Td-FFであったものとする。そして、時刻t03以後は、前記制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBによって制動トルク指令値Tdcomは小さく補正されているが、制動トルク指令値の下限値Td-comLL によって制限されている。
【0057】
図から明らかなように、制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLを、常時、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに所定の係数KLU2,KLL2を乗じた値とし、仮に制動トルク指令値Td-com が比較的大きい領域で車体減速度αV が誤検出されたら、不適正な制動トルク指令値が上限値Td-comUL 又は下限値Td-comLL で制限されるように、当該上限値Td-comUL 又は下限値Td-comLLを比較的絶対値の小さな値にしなければならない。このシミュレーションでは、制動トルク指令値Td-com が比較的大きいときに車体減速度αV が誤検出されたために、当該制動トルク指令値Td-com は適正な制動トルク指令値の下限値Td-comLL で制限されているが、仮に制動トルク指令値Td-com が比較的小さいときに、正しく検出された車体減速度αVに基づく前記制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBにより制動トルク指令値Tdcomが小さく補正されたときには、不適正な制動トルク指令値の上限値Td-comUL 又は下限値Td-comLL で制限され、適正な制動力制御が行えない恐れがある。
【0058】
図9は、本実施形態のように、マスタシリンダ圧Pmcが所定値Pmc0 以下、即ち目標減速度αdem が所定値以下のときには、制動トルク指令値(絶対値で示す)のフィードフォワード項Td-FFに所定の係数KUL、KLL1を乗じた乗算値に定数CLU,CLLを加算した値を制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLとし、マスタシリンダ圧Pmcが所定値Pmc0 以上、即ち目標減速度αdem が所定値以上のときには、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに係数KLU2,KLL2を乗じた値を制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLとしたものである。このような設定では、例えば制動トルク指令値Td-comが比較的大きい領域で、車体減速度αV が誤検出されたときには、不適正な制動トルク指令値が前記上限値Td-comUL 又は下限値Td-comLL で制限されるように、当該上限値Td-comUL 又は下限値Td-comLLを比較的絶対値の小さな値にしても、制動トルク指令値Td-com が比較的小さいときには、定数CLU,CLLにより前記制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLは比較的絶対値の大きな値となる。このシミュレーションでは、制動トルク指令値Td-com が比較的大きいときに車体減速度αV が誤検出され、当該制動トルク指令値Td-com は適正な制動トルク指令値の下限値Td-comLL で制限されているが、仮に制動トルク指令値Td-com が比較的小さいときに、正しく検出された車体減速度αVによって発生した前記制動トルク指令値のフィードバック項Td-FBによって、制動トルク指令値Tdcomが小さく補正されるときには、制動トルク指令値の上限値Td-comUL 又は下限値Td-comLL で制限されることなく、適正な制動力制御を継続して実行することができる。
【0059】
ちなみに、上記実施形態では、マスタシリンダ圧Pmcが所定値Pmc0 以下、即ち目標減速度αdem が所定値以下のときに、図7に示すように、制動トルク指令値のフィードフォワード項Td-FFに所定の係数KUL2、KLL2を乗じた乗算値に定数CLU,CLLを加算した値を制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLとした例を示したが、目標減速度αdem が所定値以下のときの制動トルク指令値のフィードバック項の上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLLは、上記実施形態に限られるものではなく、例えば図10に示すように、所定の一定値で前記上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLL(いずれも絶対値で示す)を制限するようにしてもよく、図11に示すように、所定の一定値を前記上限値Td-FBUL及び下限値Td-FBLL(いずれも絶対値で示す)としてもよい。そのようにすれば、検出された車体減速度αVが正しくないときでも、それに基づく制動トルク指令値の変化量を小さく制限して、乗員の違和感を抑制防止することができ、また制動力制御で適切な制動力を発生でき、制動力制御を適正な範囲にすることができる。
【0060】
以上より、前記図3の演算処理のステップS4が本発明の目標減速度設定手段を構成し、以下同様に、前記駆動輪速度センサ20及び前記図3の演算処理のステップS2が減速度検出手段を構成し、前記ポンプ21、増圧弁8、減圧弁9、ホイールシリンダ5が制動手段を構成し、前記図3の演算処理のステップS14〜ステップS16が制動力指令値上下限値設定手段を構成し、前記図3の演算処理のステップS6〜ステップS13、ステップS17が制動制御手段を構成している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動制御装置の一例を示すシステム概略構成図である。
【図2】回生協調ブレーキ制御コントロールユニットで行われる制動トルク指令値算出のブロック図である。
【図3】図2の制動トルク指令値算出に基づく制動流体圧指令値及び回生トルク指令値算出のための演算処理のフローチャートである。
【図4】図3の演算処理で用いる制御マップである。
【図5】図3の演算処理で用いる制御マップである。
【図6】図3の演算処理による車両減速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図7】図3の演算処理で設定される制動トルク指令値とその上限値及び下限値の説明図である。
【図8】車体減速度が誤検出されたときの制動トルク指令値の説明図である。
【図9】図3の演算処理による車体減速度が誤検出されたときの制動トルク指令値の説明図である。
【図10】図3の演算処理で設定される制動トルク指令値とその上限値及び下限値の変形例の説明図である。
【図11】図3の演算処理で設定される制動トルク指令値とその上限値及び下限値の変形例の説明図である。
【符号の説明】
1はブレーキペダル
3はマスタシリンダ
5はホイールシリンダ
6はストロークシミュレータ
7はストロークシミュレータ切換弁
8は増圧弁
9は減圧弁
10は車輪
11はマスタシリンダ圧センサ
12はホイールシリンダ圧センサ
13は制動流体圧コントロールユニット
15はモータジェネレータ
18はモータコントロールユニット
19は回生協調ブレーキ制御コントロールユニット
24はストロークセンサ

Claims (4)

  1. 乗員の制動操作量から目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、車両に発生する減速度を検出する減速度検出手段と、各車輪に制動力を付与する制動手段と、前記制動手段への制動力指令値の上限値及び下限値を設定する制動力指令値上下限値設定手段と、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度に応じた基準値と前記減速度検出手段で検出された減速度に応じた補正量とから制動力指令値を設定すると共に、その制動力指令値を前記制動力指令値上下限値設定手段で設定された制動力指令値の上限値及び下限値で制限し、その制限された制動力指令値に基づいて前記制動手段による各車輪への制動力を制御する制動制御手段とを備え、
    前記制動力指令値上下限値設定手段は、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度が所定値以上であるときに、前記目標減速度に応じた基準値に所定の比率を乗じて前記補正量の上限値及び下限値を設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定することを特徴とする制動制御装置。
  2. 前記制動力指令値上下限値設定手段は、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度が前記所定値未満であるときには、所定の一定値を前記補正量の上限値及び下限値に設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定することを特徴とする請求項1に記載の制動制御装置。
  3. 前記制動力指令値上下限値設定手段は、前記目標減速度設定手段で設定された目標減速度が前記所定値未満であるときには、前記目標減速度に応じた基準値に所定の比率を乗じた乗算値と所定の一定値との加算値を前記補正量の上限値及び下限値に設定することで、前記制動力指令値の上限値及び下限値を設定することを特徴とする請求項1に記載の制動制御装置。
  4. 前記制動力指令値上下限値設定手段は、所定の一定値で前記加算値の上限値及び下限値を設定することを特徴とする請求項3に記載の制動制御装置。
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