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JP3962962B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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JP3962962B2 JP25669897A JP25669897A JP3962962B2 JP 3962962 B2 JP3962962 B2 JP 3962962B2 JP 25669897 A JP25669897 A JP 25669897A JP 25669897 A JP25669897 A JP 25669897A JP 3962962 B2 JP3962962 B2 JP 3962962B2
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典之 岸井
隆広 亀井
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、強磁性金属材料を蒸着等の手法により非磁性支持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体や、非常に微細な磁性粒子と樹脂結合剤とを含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを磁性層としたいわゆる塗布型の磁気記録媒体では、電磁変換特性の向上を目的に磁性層表面が極めて良好に平滑化されているため、磁気ヘッドやガイドローラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積が大きく、従って摩擦係数が大きくなり凝着現象(いわゆる張り付き)が起き易く、走行性や耐久性に欠ける等問題点が多い。
【0003】
そこで、これら問題点を改善するために各種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より高級脂肪酸やそのエステル等を、前記磁気記録媒体の磁性層に内添したり、あるいはトップコートすることにより摩擦係数を抑えようとする試みがされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁気記録媒体に使用される潤滑剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、従来用いられている潤滑剤では対応することが難しいのが現状である。
【0005】
即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑剤には、
(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果が確保されるように低温特性に優れること、
(2)磁気ヘッドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗布できることかつ、その場合にも十分な潤滑特性が発揮されること、
(3)長時間、或いは長期間の使用に耐え、潤滑効果が持続すること、
等が要求される。
【0006】
しかしながら、高級脂肪酸やそのエステル等の潤滑剤は、上述した潤滑剤に要求される性能を十分に満たしているとは言い難く、磁気記録媒体の分野においては、使用される潤滑剤の能力不足に起因して、シャトル走行試験における再生出力のレベルダウン等の実用特性に不満を残している。
【0007】
そこで本発明は、各種使用条件下において優れた潤滑性が保たれると共に、長時間にわたり潤滑効果が持続され、優れた走行性、耐摩耗性、耐久性を発揮する磁気記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の目的を達成せんものと鋭意検討を重ねた結果、非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有してなる磁気記録媒体であって、この磁気記録媒体に、特定のジエステルモノカルボン酸化合物を潤滑剤として保持させることにより、優れた潤滑効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、非磁性支持体上に磁性層を有する磁気記録媒体において、下記一般式1で表されるジエステルモノカルボン酸化合物からなる潤滑剤が保持されていることを特徴とする磁気記録媒体(以下、本発明の磁気記録媒体と称する。)を提供するものである。
一般式1:
1 −OCOCH 2 CH(COOH)CH 2 COO−R 2
〔但し、前記一般式1において、R 1 は下記一般式Aで表される疎水性官能基であり、R 2 は下記一般式Bで表される疎水性官能基である。
【化1】
Figure 0003962962
(但し、前記一般式Aにおいて、l、m、nは次の範囲から選ばれる整数である。
l=3〜28、m=0〜24、n=1〜15)
【化2】
Figure 0003962962
(但し、前記一般式Bにおいて、p、q、rは次の範囲から選ばれる整数である。
p=3〜28、q=0〜24、r=1〜15)〕
【0010】
本発明の磁気記録媒体によれば、潤滑剤として前記一般式1で表される特定のジエステルモノカルボン酸化合物が保持されているので、各種使用条件下において優れた潤滑性が保たれると共に、長時間にわたり潤滑効果が持続され、摩擦係数が小さく、優れた走行性、耐摩耗性、耐久性を発揮することができる。
【0011】
即ち、本発明に基づくジエステルモノカルボン酸化合物は、極性基部(親水性基部)として、極性の大きなカルボキシル基と比較的極性の小さなエステルとを有しており、主にカルボキシル基によって摩擦係数の低減を実現し、主にエステル部位によってスチル走行性やシャトル走行性を改善すると考えられる。
【0012】
特に、前記ジエステルモノカルボン酸化合物は、1つのカルボキシル基と2つのエステルとを有しており、これによって、摩擦係数の低減と走行性の改善とがバランスよく両立される。
【0013】
また、従来の含フッ素潤滑剤がフッ素系溶媒にしか溶解せず、この溶媒を用いた塗布しかできないのに対し、前記ジエステルモノカルボン酸化合物からなる潤滑剤は、例えばトルエン、アセトン等の炭化水素系溶媒に溶解することが可能であり、環境に与える負荷が小さい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記磁性層上に炭素膜(カーボン膜)が設けられている磁気記録媒体において、この炭素膜上に前記潤滑剤が塗布によって設けられていることが望ましい。
【0015】
前記ジエステルモノカルボン酸化合物を潤滑剤として、カーボン膜上に塗布すると、カーボン膜上に潤滑剤分子の極性基部のカルボン酸或いはエステルが吸着し、また、疎水基部の長鎖炭化水素基間の凝集力により潤滑剤を形成する。従って、この潤滑剤は、カーボン膜上に強固に保持され、極めて薄く塗布できると同時に十分な潤滑効果を長期間保持することができる。
【0016】
なお、前記炭素膜(カーボン膜)は、例えばスパッタリング法等の物理的成膜法(PVD法)によって形成されてもよいし、炭化水素ガスを用いた化学的気相成長法(CVD法)によって形成されるものでもよい。さらに、前記カーボン膜は、硬質炭素膜或いはダイヤモンドライクカーボンと称される、ダイヤモンド構造やグラファイト構造が混在しているアモルファスな炭素膜であってよい。
【0018】
また、本発明の磁気記録媒体において、前記ジエステルモノカルボン酸化合物は、その構造的な対称性が良いので様々な環境条件下でも安定に存在でき、また、その中央部位に極性の大きなカルボキシル基と、その両側にエステルとを有しており、潤滑剤又は潤滑剤層を形成するに際し、常にその表面部位に極性基が存在するように配される。
【0020】
また、本発明の磁気記録媒体において、前記 1 、R 2 で示される疎水性官能基〔長鎖(フッ化)炭化水素基〕は、フッ素原子を含有する極性基であると、摩擦係数の低減、さらには走行性の改善等に効果がある。
【0021】
また、前記一般式Aにおいて、l、m、nは次の範囲から選ばれる整数であることがさらに望ましい。
l=6〜22、m=0〜18、n=1〜10
【0022】
同様に、前記一般式Bにおいて、p、q、rは次の範囲から選ばれる整数であることがさらに望ましい。
p=6〜22、q=0〜18、r=1〜10
【0023】
即ち、前記ジエステルモノカルボン酸化合物における疎水性官能基部位の長鎖炭化水素基(又はフッ化炭化水素基)にあっては、その炭素数が6以上であると適度のアルキル基長となり、摩擦・摩耗耐久性が向上する。また、その炭素数が22以下であると、ジエステルモノカルボン酸化合物からなる潤滑剤の溶媒に対する溶解性が良好である。
【0024】
また、本発明において、磁性層上にカーボン膜が設けられており、このカーボン膜上にジエステルモノカルボン酸化合物からなる潤滑剤を塗布する場合、前記潤滑剤の塗布量が0.5〜100mg/m2 であることが望ましい。
【0025】
前記塗布量が0.5mg/m2 未満であると、前記潤滑剤の性能を十分に発揮することができず、また、100mg/m2 を越えると、前記潤滑剤の量が多くなりすぎて、かえって摩擦係数が増大することがある。
【0026】
また、本発明の磁気記録媒体において、前記磁性層が金属磁性薄膜からなる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体であってよい。
【0027】
一般に、強磁性金属材料を蒸着等の手法により非磁性支持体上に被着し、これを磁性層としたいわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体において、その磁性層は磁性材料の堆積によって形成されており、また、その磁性層中に結合剤を使用していないため、その摺動動作に対して脆弱であり、これを補うためにカーボン膜等の保護膜が設けられている。
【0028】
本発明に基づく潤滑剤は、このような保護膜上に極めて薄く塗布することが可能であり、かつ、この場合にも十分な潤滑特性が発揮され、また、長期間の使用に耐え得る潤滑効果を持続することができる。
【0029】
以下、本発明の磁気記録媒体の構成例をさらに詳細に説明する。
【0030】
本発明に基づくジエステルモノカルボン酸化合物を、潤滑剤としてカーボン膜上に塗布すると、カーボン膜上に潤滑剤分子の極性基部のカルボン酸あるいはエステルが吸着し、疎水基部の長鎖(フッ化)炭化水素基間の凝集力により潤滑膜を形成する。
【0031】
従来の潤滑剤において、カルボン酸或いはアミンのような比較的極性が大きい化合物は摩擦係数を小さくするが、スチル耐久性等が劣化する傾向にある。また、エステルのような比較的極性の小さい化合物はスチル耐久性等に優れるが、摩擦係数が大きい傾向にある。従って、ジエステルモノカルボン酸化合物は、極性基に1つのカルボン酸と2つのエステルを有することから、これらの特性をバランス良く両立させ、摩擦係数が小さく、スチル耐久性等に優れた特性を示す。
【0032】
また、上述したように、従来の含フッ素潤滑剤が、フッ素系溶媒でしか塗布できないのに対し、前記ジエステルモノカルボン酸化合物からなる潤滑剤は、特にその疎水基部にフッ素を含有する場合でも、トルエン、アセトン等の炭化水素系溶媒に溶解し、これを用いて塗布することが可能であり、溶媒処理の点で環境へ与える負荷も小さい。
【0033】
本発明が適用される磁気記録媒体としては、非磁性支持体表面に蒸着等の手法により磁性膜が磁性層として形成した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体に適用することが可能である。さらにその磁性層の上に保護膜としてカーボン膜が形成されていてもよい。また、この金属薄膜型の磁気記録媒体においては、非磁性支持体と磁性層との間に下地層を介した構成であってよい。
【0034】
この場合には、適用可能な金属薄膜型の磁気記録媒体の非磁性支持体、金属磁性薄膜などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、何ら限定されるものではなく、従来より知られるものがいずれも使用できる。
【0035】
例示するならば、非磁性支持体としては塗布型の磁気記録媒体と同様のものが使用可能である。なお、非磁性支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有する基板を使用する場合には、その基板表面にアルマイト処理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面を硬くするようにしてもよい。
【0036】
また、金属磁性薄膜は、メッキやスパッタリング、真空蒸着等のPVDの手法により連続膜として形成されるもので、Fe、Co、Ni等の金属やCo−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性薄膜やCo−Cr系合金薄膜が例示される。
【0037】
特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、Ge、Si、Tl等の低融点非磁性材料の下地層を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着あるいはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保すると共に、抗磁性を向上するようにしてもよい。
【0038】
かかる磁気記録媒体の表面に保護膜、特にカーボン膜を形成する方法としては、スパッタリングが一般的であるが特に限定するものではなく、いずれの方法も使用可能である。この場合保護膜の膜厚は2〜100nmであることが望ましく、更に望ましくは5〜30nmである。
【0039】
磁気記録媒体表面の保護膜、特にカーボン膜上に前記潤滑膜構造を保持せしめる方法としては、前記ジエステルモノカルボン酸化合物を、例えばトルエンやアセトン等の溶媒に溶解した溶液を用いて、前記カーボン膜表面にトップコートする方法が挙げられる。この場合、前記潤滑剤の塗布量としては、0.5〜100mg/m2 であることが望ましく、1〜20mg/m2 であることがより望ましい。
【0040】
また、上述の潤滑剤は、必要に応じて、防錆剤と併用してもよい。
【0041】
前記防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用されるものであればいずれも使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環式化合物、酸素原子を含む複素環式化合物、硫黄原子を含む複素環式化合物等が挙げられる。
【0042】
この防錆剤は、前記潤滑剤と複合して用いてもよいが、前記カーボン膜上に防錆剤層を塗布した後、潤滑剤層を塗布するというように、2層以上に分けて被着すると効果が高い。
【0043】
また、本発明が適用される磁気記録媒体は、微細な磁性粒子と樹脂結合剤とを含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを磁性層としたいわゆる塗布型の磁気記録媒体であってもよい。
【0044】
前記磁性粒子は、強磁性粉末であることが好ましく、例えば、γ−Fe2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、Co被着γ−Fe2 3 、CrO2 、マグネタイトに代表されるフェライト類などの酸化物磁性粉末、また、例えば、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Co系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Mn−Zn系、Ni−Co系の合金粉末のように、Fe、Co、Niなどを主成分とする金属磁性粉末等が使用できる。
【0045】
また、前記結合剤は、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂などが代表的である。また、これらの結合剤樹脂に対する磁性粉末の分散性を向上させる目的から、これら樹脂は、−SO3 M、−OSO3 M、−COOM、−PO(OM’)2 (但し、MはNa、K、Li等のアルカリ金属であり、M’は水素原子又はアルカリ金属、アルキル基である。)及びスルホペタイン基から選ばれる少なくとも1種の極性基を繰り返し単位として含有していることが望ましい。
【0046】
また、前記結合剤と前記磁性粉末とからなる磁性層には、例えば、研磨剤、潤滑剤、硬化剤、帯電防止剤等の公知の添加剤が含有されていてもよい。
【0047】
また、上述した金属磁性薄膜型の磁気記録媒体及び塗布型の磁気記録媒体に用いる非磁性支持体は、公知の材料を適宜使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体類、ポリアラミド等のアラミド樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック類などが挙げられる。
【0048】
これらの非磁性支持体は単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。また、コロナ放電処理等が施されていてもよい。さらに、フィルム状、シート状、ディスク状、カード状など任意の形状に形成できる。
【0049】
以上、本発明の磁気記録媒体について好ましい実施の形態を説明したが、本発明は上述した形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、本発明の磁気記録媒体として、塗布型の磁気記録媒体を用いる場合、磁性粉末と結合剤とからなる磁性層中に前記潤滑剤を所定量含有させてもよいし、また、磁性層上に保護膜を介して、若しくは介さずに、前記潤滑剤を塗布してもよい。塗布型の磁気記録媒体の磁性層に前記潤滑剤を含有する場合、その含有量は、磁性粉末100重量部に対し、0.5〜10重量部が望ましい。
【0051】
また、本発明の磁気記録媒体として金属磁性薄膜型の磁気記録媒体を用いる場合、上述したようにカーボン膜上に塗布することが望ましいが、金属磁性薄膜からなる磁性層上に直接的或いは間接的に塗布してもよい。
【0052】
さらに、上述したカーボン膜以外にも、保護膜として、例えば石英(SiO2 )膜、ジルコニア(ZrO2 )膜等を用いてもよい。
【0053】
また、本発明の磁気記録媒体においては、非磁性支持体の磁性層が設けられていない側の面にバックコート層を設けてもよい。このバックコート層は通常の方法に準じて成膜することができる。さらに、前記潤滑剤は、このバックコート層に内添若しくは塗布してもよい。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0055】
実施例1〜実施例20
ジエステルモノカルボン酸化合物からなる潤滑剤として、下記表1に示す組成の化合物を使用し、以下に示す構成の金属磁性薄膜型磁気記録媒体を作成した。
【0056】
<サンプルテープの作成例>
10μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに斜方蒸着法によりCo−Ni合金を被着させ、膜厚100nmの強磁性金属薄膜を形成し、この金属磁性薄膜表面に、スパッタリングにより膜厚15nmのカーボン膜を成膜したフィルムを8mm幅に裁断し、サンプルテープとした。
【0057】
実施例1〜実施例20においては、潤滑剤として表1に示した組成の化合物1〜化合物20をトルエン溶媒に溶解してから、前記サンプルテープにそれぞれ塗布し、試料とした。なお、前記潤滑剤の塗布量は乾燥後の換算量で、10mg/m2 (膜厚5〜10nm)とした。
【0058】
このようにして作製された磁気テープの概略断面図を図1に示す。即ち、本実施例の磁気記録媒体は、非磁性支持体2上に磁性層3、カーボン膜4及び潤滑剤層1が順次設けられている磁気記録媒体5である。
【0059】
このようにして作成された各試料について、
(1)温度25℃、湿度60%のとき
(2)温度40℃、湿度80%のとき
(3)温度−5℃のとき
の各条件下での摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性について測定を行った。なお、スチル耐久性は、ポーズ状態での出力の−3dBまでの減衰時間を評価した。また、シャトル耐久性は、1回につき2分間のシャトル走行を行い、出力が−3dB低下までのシャトル回数で評価した。
【0060】
この測定結果を下記の表2に示す。なお、実施例1〜9は炭化水素からなる疎水基部を有するものであり、実施例10〜20はフッ化炭化水素からなる疎水基部を有するものである。
【0061】
表2から、本発明の磁気記録媒体は、磁性層の表面にカーボン膜を形成すると共に、潤滑剤としてジエステルモノカルボン酸化合物を使用することにより、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性等が、各種条件下でも劣化することなく非常に良好な結果が得られた。
【0062】
特に、実施例10〜20より、フッ化炭化水素基を疎水基として有する潤滑剤を用いた場合、特に摩擦係数が低下し、走行性の良い磁気記録媒体となることが分かる。
【0063】
比較例1〜比較例10
実施例と同様の構成のサンプルテープを作製し、下記表3に示す組成の化合物21〜化合物30をサンプルテープにそれぞれ塗布し、試料とした。なお、前記潤滑剤の塗布量は10mg/m2 (膜厚5〜10nm)とした。また、比較例1〜5は潤滑剤として高級脂肪酸類を用いたサンプルテープであり、比較例6〜10は脂肪酸エステル類を用いたサンプルテープである。
【0064】
このようにして作製された各試料について、実施例と同様に、各種条件下で、摩擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性の測定を行った。その測定結果を下記の表4に示す。
【0065】
表4から、潤滑剤として、高級脂肪酸を使用したサンプルテープ(比較例1〜5)は、温度25℃、湿度60%のときは比較的優れた摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性が得られているものの、その使用条件が厳しくなるにつれて特にスチル耐久性、シャトル耐久性が低下している。
【0066】
また、潤滑剤として脂肪酸エステルを使用したサンプルテープ(比較例6〜10)は、いずれの条件下でも摩擦係数が大きく、走行性に問題があり、さらにスチル耐久性、シャトル耐久性共に不十分である。
【0067】
表1A(ジエステルモノカルボン酸の組成)
【化5】
Figure 0003962962
Figure 0003962962
【0068】
Figure 0003962962
【0069】
Figure 0003962962
【0070】
Figure 0003962962
【0071】
Figure 0003962962
【0072】
Figure 0003962962
【0073】
Figure 0003962962
【0074】
Figure 0003962962
【0075】
Figure 0003962962
【0076】
Figure 0003962962
【0077】
【発明の作用効果】
本発明の磁気記録媒体によれば、潤滑剤として前記一般式1で表される特定のジエステルモノカルボン酸化合物が保持されているので、各種使用条件下において優れた潤滑性が保たれると共に、長時間にわたり潤滑効果が持続され、摩擦係数が小さく、優れた走行性、耐摩耗性、耐久性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に基づく磁気記録媒体の要部概略断面図である。
【符号の説明】
1…潤滑剤層、2…非磁性支持体、3…磁性層
4…カーボン膜、5…磁気記録媒体

Claims (4)

  1. 非磁性支持体上に磁性層を有する磁気記録媒体において、下記一般式1で表されるジエステルモノカルボン酸化合物からなる潤滑剤が保持されていることを特徴とする磁気記録媒体。
    一般式1:
    1 −OCOCH 2 CH(COOH)CH 2 COO−R 2
    〔但し、前記一般式1において、R 1 は下記一般式Aで表される疎水性官能基であり、R 2 は下記一般式Bで表される疎水性官能基である。
    Figure 0003962962
    (但し、前記一般式Aにおいて、l、m、nは次の範囲から選ばれる整数である。
    l=3〜28、m=0〜24、n=1〜15)
    Figure 0003962962
    (但し、前記一般式Bにおいて、p、q、rは次の範囲から選ばれる整数である。
    p=3〜28、q=0〜24、r=1〜15)〕
  2. 前記磁性層上に炭素膜が設けられており、この炭素膜上に前記潤滑剤が塗布されている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  3. 前記潤滑剤の塗布量が0.5〜100mg/m2である、請求項2に記載した磁気記録媒体。
  4. 前記磁性層が金属磁性薄膜からなる、請求項1に記載した磁気記録媒体。
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