JP3962142B2 - ポリエーテルオリゴマー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリエーテルオリゴマー関する。更に詳しくは、親水性基としてポリエチレンオキシドを側鎖に有し、主鎖がホルムアルデヒド架橋された芳香環からなる櫛型ポリエーテルオリゴマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエーテル誘導体は、活性水素を有する化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合させ、必要に応じて種々の変成を加えて合成され、原料化合物の組合せや使用量等により、低粘度から高粘度、油溶性から水溶性、低融点から高融点等種々の特性を有するものが得られる。このような広範な特性の誘導体が得られることから、その用途は医薬化粧品、発酵工業、潤滑油、樹脂、シリコーン樹脂分野等多岐にわたっている。変成技術検討も活発であり、それにより用途拡大が試みられている。
【0003】
例えば、ポリエーテル誘導体の中で比較的分子量の大きいオリゴマーは、樹脂や繊維の帯電防止剤、表面親水化剤、吸水性付与剤、可塑剤、高分子固体電解質、界面活性剤、潤滑油等の多方面の用途で実用化されているが、現在も改良検討が継続されており、更に新変成法開発により新たな市場ニーズへの対応も考えられる。
まず、帯電防止剤には界面活性剤型低分子化合物と高分子型永久帯電防止剤がある。現在実用化されている代表的な高分子型帯電防止剤としては、赤松清監修“帯電防止材料の最新技術と応用”、シーエムシー、p99(1996)に記載されているように、ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体等があるが、耐熱性、耐変色性、加工工程中での脱落、分子中に反応性官能基を有する等において課題がある。主鎖及び主鎖付近に芳香環を有するポリエチレンオキシド誘導体としては、例えば、特許第2528784号(特開平7−70293号公報)には帯電防止剤及び樹脂組成物としてフェノール・ジビニルベンゼン付加重合体のポリオキシアルキレンエーテルが示されている。この化合物はアルキレンオキシドの付加モル数は任意に変えることができるが、主鎖はフェノール類とジビニルベンゼン付加物に限定される。
【0004】
又、熱可塑性樹脂として例えばポリエステル樹脂に溶融混練した場合は、化合物がエステル交換反応を起こす官能基を有すると、樹脂が重合度の低下を起こして物性が低下するが、上述のフェノール・ジビニルベンゼン付加重合体の場合は反応性官能基である水酸基を有する。更に、ポリカーボネート樹脂においては、例えば特開平9−25335にみられるように、本来有する樹脂の透明性を損なわないような帯電防止剤の検討がなされている。このように、帯電防止性だけではなく種々の機能が要求され、用途に応じたきめ細かな材料対応や技術革新が求められている。
【0005】
一方、インキ、トナー、塗料、樹脂、ゴム、繊維、紙、写真、フィルム等の諸分野において、強度、剛性、接着性、耐熱性、耐候性、色調、深色性、艶消しや白色化(隠蔽性)、触感特性、滑り性や耐磨耗性、及び粘度特性の改良、増量によるコストダウン、導電性等の新機能付与を目的として、シリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、フェライト、金属粉、金属繊維、ガラス繊維等の無機微粒子や有機顔料等が使用されている。しかし、無機微粒子の表面は一般に水酸基のような極性基や吸着水で覆われているため親油性に乏しく、そのままでは樹脂やゴム等の有機媒体中に均一に分散させることは困難であり、顔料においても非水系のビヒクル中で凝集して色むらや光沢を失うなど目的が十分果たせない。
【0006】
そこで、無機微粒子や顔料の表面性を変化させて分散性を向上させるため、種々のカップリング剤で処理したり、各種界面活性剤や樹脂で被覆する方法が行われている。例えば、特公平7−98657には特殊なシリル化剤が、特公平8−13938にはアミノ酸−長鎖アミドからなる表面改質剤がそれぞれ記載されている。これら従来の表面改質剤や分散剤は分散性、耐熱性、経済性、マトリックス樹脂との相溶性等において課題を残しており、特にマトリックス樹脂との非反応性、他の添加剤や改質剤の性能を阻害しない、微粒子が他の添加剤や改質剤を吸着して失活させるのを防ぐ等の要求を満足するものは殆どない。
【0007】
又、一般にポリエーテル誘導体は熱や酸化による劣化を受け易いといわれ、樹脂、潤滑油原料として優れた性能を発揮するにもかかわらず、熱分解性や熱劣化性が問題となり、改良が多々検討されている。分子中に芳香環を導入したり、酸化防止剤等の安定剤を併用することにより耐熱性向上が図られ、芳香環を導入する方法としては、多価フェノール、芳香族アミン類等芳香環を有する活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加することにより製造したもの(特開昭57−151613等)、活性水素含有化合物にスチレンオキシド等の芳香環含有アルキレンオキシドを付加することにより製造したもの(L.Shechterら、Ind.Eng. Chem., 48, 1107 (1957) 等) 等が知られている。これらの耐熱性ポリエーテル誘導体は、導入可能な芳香環含有量に限界がある、芳香環が主鎖にない構造となり耐熱性向上効果が小さい、分子中に反応性基を有するため樹脂の物性低下や他の添加剤の性能阻害を起こす、等の問題を有していた。
【0008】
上述の用途や課題に対して共通するポリエーテル誘導体の望ましい分子構造は、親水性基と疎水性基からなり、その量を用途や必要機能により制御できること、親水性基は多様な用途に適用可能という見地からノニオン性のポリエチレンオキシド鎖が適当であり、分子量は樹脂との相溶性や要求機能に合わせて千から数万程度の間で制御できることが必要である。又、疎水基は耐熱性や樹脂改質剤用途としては、想定しているマトリックス樹脂である芳香族樹脂との親和性等を考慮して芳香環を有することが望ましい。更に、ポリエステル樹脂等との溶融混練により樹脂物性を低下したり、種々の併用薬剤の機能を阻害しないため反応性基を有しないことも重要である。これらの項目を満足するようなポリエーテル誘導体は知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ノニオン性のポリエーテルからなる親水性基と芳香環を有する疎水性基を併せ有し、分子中に反応性基を有せずに、かつ、親水基と疎水基の量と分子量を制御したポリエーテルオリゴマーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の一般式(1)で表される構造を有してなるポリエーテルオリゴマーが多様な機能を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、一般式(1):
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、Aは−CH2−または−CH2OCH2−を表し、Xは−Hまたは−CH2O−(OR2)m−OR3 を表し、R1 はそれぞれ独立に炭素数6〜25のフェノール類の残基を表し、R2 は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R3 は芳香環を含む又は含まない炭素数1〜15の炭化水素基を表し、pは1、2又は3、及び1≦m≦100、0<n≦50)で表されるポリエーテルオリゴマーを提供するものである。
【0013】
さらにまた本発明は、
フェノール類をホルムアルデヒドと反応後、アルキレンオキシドを付加重合した芳香環含有ポリエーテルと炭化水素ハロゲン化物とを反応させて合成する上記一般式(1)で表されるポリエーテルオリゴマーの製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記の一般式(1)で表されるポリエーテルオリゴマーを提供し、ならびに、フェノール類をホルムアルデヒドと反応後、アルキレンオキシドを付加重合した芳香環含有ポリエーテルと炭化水素ハロゲン化物とを反応させて合成することを特徴とする前記の一般式(1)で表されるポリエーテルオリゴマーの好ましい製造方法を提供するものである。
【0015】
一般式(1)で表されるポリエーテルオリゴマーの、R1 は炭素数6〜25のフェノール類の残基を表すが、上記フェノール類の残基は特に限定されず、一価フェノール(例えば石炭酸、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、等のアルキルフェノール類、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、クミルフェノール等の芳香族置換基を有するフェノール類)の残基、二価フェノール(例えばハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、オルシン、ウルシオール等の単環フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2'−ブタン等のビスフェノール類、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類、1,4−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、4,4'−ビ−1−ナフトール等のビナフトール類)の残基、三価フェノール(例えばピロガロール、フロログルシン、ヒドロキシヒドロキノン等)の残基であることができる。
なかでも、一価フェノールの残基が好ましく、石炭酸、クレゾール、クミルフェノール、スチレン化フェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールが特に好ましい。
R2 は炭素数2〜4のアルキレン基を表すが、たとえば、エチレン基であることができる。
R3 は芳香環を含む又は含まない炭素数1〜15の炭化水素基を表すが、たとえば、メチル基、ベンジル基であることができる。
【0016】
フェノール類の平均架橋度、即ち、一般式(1)におけるnは0<n≦50である。これよりも大きいと添加剤や改質剤としての性能が得られない。なお、最適な架橋度は用途によって異なる。
アルキレンオキシドの平均重合度、即ち、一般式(1)におけるmは1≦m≦100である。これよりも大きいと添加剤や改質剤としての性能が得られない。なお、最適な重合度は用途によって異なる。
pは1、2または3である。なお、ポリエーテルオリゴマーの平均分子量はオリゴマー全体で5万以下であることが望ましい。
【0017】
本発明の化合物は、例えば、フェノール類をホルムアルデヒドで架橋後、アルキレンオキシドを付加重合した芳香環含有ポリエーテルと炭化水素ハロゲン化物とを反応させて合成することができる。フェノール類のうち、一価フェノール類としては、例えば、石炭酸、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、等のアルキルフェノール類、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、クミルフェノール等の芳香族置換基を有するフェノール類等が挙げられる。二価フェノールとしてはハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、オルシン、ウルシオール等の単環フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2'−ブタン等のビスフェノール類、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類、1,4−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、4,4'−ビ−1−ナフトール等のビナフトール類等が挙げられる。これらのうち好ましいのは一価フェノール類であり、更に好ましくは石炭酸、クレゾール、クミルフェノール、スチレン化フェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールである。ここで用いるフェノール類の種類に対応してR1が決定される。また、ここで、一価のフェノールを用いるとp=1となり、二価のフェノールを用いるとp=2となり三価フェノールを用いるとp=3となる。
【0018】
フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応はアルカリ触媒下のものと、酸性触媒下のものとがあり、本発明ではこの両者とも使用できるが、好ましくは酸性触媒下のものである。ここで、フェノール類に対するホルムアルデヒドの仕込量によってnを制御でき、また触媒の種類や使用量によってもnを制御することができる。このようにフェノール類とホルムアルデヒドとを縮合させれば、一般的にはAが−CH2−である化合物を得ることができるが、Aが−CH2OCH2−である化合物も同時に得られることがある。
【0019】
なお、フェノール類とホルムアルデヒドとの反応では芳香環にメチロール基等が結合したものの生成が知られている。本発明では、芳香環にメチロール基等が結合したものが生成するとそれにアルキレンオキシドが付加重合し、更に末端水酸基はエーテル化されたものになる。このように、芳香環にメチロール基等が結合したものが生成し、アルキレンオキシドが付加重合し、更に末端水酸基をエーテル化するとXが−CH2−O−(OR2)m−OR3である化合物を得ることができる。
【0020】
用いるアルキレンオキシドの種類については、エチレンオキシドは親水性基として含んでいることが好ましい。プロピレンオキシドやブチレンオキシド等も疎水性付与、流動性や結晶性変化等の目的で適宜組み入れることができるが、必ずしも含んでいる必要はない。ここで用いるアルキレンオキシドの種類に対応してR2が決定される。また、ここで、フェノール類に対するアルキレンオキシドの仕込量等によってmを制御することができる。
【0021】
アルキレンオキシドを付加させる際は、酸触媒又はアルカリ触媒のような触媒の存在下、好ましくは加圧下、高温(例えば80〜200℃、好ましくは100〜180℃)で既知の方法によってこれを行うことができる。触媒は、酸触媒、例えば三フッ化ホウ素または塩化アルミニウムのようなルイス酸であることもできるが、更に好ましくは、アルカリ触媒、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコラート、水酸化物、酸化物、炭酸塩、水素化物またはアミドである。特に好ましい触媒は、ナトリウムまたはカリウムのアルコラート(例えばメチラートまたはエチラート)及び水酸化物である。触媒は通常、最終生成物に対して0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の量で使用する。反応終了後、触媒は必要に応じて中和、濾過、吸着剤処理等により除去する。
【0022】
こうして得られた芳香環含有ポリエーテルの末端水酸基をアルカリ金属化合物で処理後、炭化水素ハロゲン化物と反応させアルキルエーテル等エーテル化することができる。また、テトラブチルアンモニウムハライド等の四級アンモニウム塩をアルカリ金属化合物の代わりに使用して、あるいは併用して合成することもできる。副生する食塩等は水を加えて溶解させ、ポリエーテル誘導体とは2層分離し、少量残存する食塩等は、濾過或いは吸着剤処理等により除去できる。生成物をトルエン等の溶媒で希釈して食塩等を濾別する方法も可能である。
【0023】
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の苛性アルカリ、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、t−ブトキシカリウム等の低級アルコールの金属アルコラート、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属等が挙げられ、通常、ポリエーテルの水酸基の一部又は全部を金属アルコラートに変換して、炭化水素ハロゲン化物との反応に供される。これらのうち好ましいのは、金属アルコラート及び苛性アルカリであり、更に好ましいのは、ナトリウムメチラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0024】
炭化水素ハロゲン化物は、芳香環を含む又は含まない炭素数1〜15の炭化水素のハロゲン化物である。ここで用いる炭化水素ハロゲン化物の種類に対応してR3が決定される。例としては、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化ラウリル、塩化シクロヘキシリル等のアルキルハライド、塩化アリル等のアルケニルハライド、塩化ベンジル、3−フェニル-1-クロロプロパン等の芳香環含有モノハロゲン化物等が挙げられる。これらのうち特に好ましいのはメチルクロライド、塩化ベンジルである。
【0025】
本発明においては、必要により溶媒を使用することができる。溶媒としては、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類のような活性水素を有しないものが適当であるが、ポリエーテルをアルコラート化した後炭化水素ハロゲン化物と反応させる場合には、t−ブタノール等の第三アルコール類も使用可能である。
【0026】
ところで、本発明のポリエーテルオリゴマーは基本的に水酸基、アミノ基、エステル結合、ウレタン結合等の反応性に富む官能基は有さない。そのため、樹脂物性を低下させたり、種々の併用薬剤の機能を阻害したり着色することはない。耐熱性も良好である。
一般にポリエーテル誘導体は、アルカリ性で加熱し、特に空気との接触があると着色する。これはポリエーテル誘導体中にアルデヒド等の酸化生成物が存在するためと考えられており、あらかじめナトリウムボロハイドライド処理などにより還元処理をし、反応中は空気との接触を避けることにより改善できる。なお、疎水基と親水基のバランスや表面エネルギーの大きさは、R1 のフェノール類の芳香環の数やアルキル基等の長さ、R2 の種類や付加モル数m、ホルムアルデヒド架橋度n、及びR3 の種類によって制御することができる。
【0027】
本発明のポリエーテルオリゴマーは、広範な構造設計が可能であることから用途は多岐にわたる。用途により最適構造は異なる。用途は、ミクロ相分離構造、両親媒性、界面活性等の物性・機能の複合化が要求される分野がまず挙げられ、樹脂等の帯電防止剤・表面親水化剤・可塑剤・融液の粘度低下剤・相溶化剤・接着剤、無機微粒子の分散剤・表面処理剤、高分子固体電解質等がある。又、耐熱性、酸化安定性に優れた潤滑油基油等が挙げられる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されなるものではない。なお、実施例中の「部」は重量によるものである。実施例中、フェノール類のホルムアルデヒド縮合による平均架橋度はGPC(東ソー製HLC−802型GPC装置)により、アルキレンオキシド付加量は水酸基価より求めた。更に、最終生成物は 1H−NMR(日本電子製JNM−LA400型FT−NMR装置)により分析した。
【0029】
(実施例1)
オートクレーブにp−クミルフェノール100部、75%パラホルムアルデヒド7部、p−トルエンスルホン酸0.05部を仕込み、密閉して90℃で3時間反応後、減圧下105℃で30分間脱水した。GPC分析によるp−クミルフェノールの平均架橋度nは1.3モルであった。このp−クミルフェノール・ホルムアルデヒド架橋体100部に水酸化カリウム0.9部を仕込み、窒素置換後昇温して溶解し、エチレンオキシド370部を120〜130℃で徐々に注入した。エチレンオキシド注入終了後1時間熟成し、p−クミルフェノール・ホルムアルデヒド架橋・18EO付加体を得た。このp−クミルフェノール・ホルムアルデヒド架橋・18EO付加体100部に28%ナトリウムメチラート23部を仕込み、減圧下95〜115℃にてメタノールを除去した。窒素にて大気圧に戻し60℃に冷却後、塩化メチル7.0部を徐々に注入した。塩化メチル注入終了後1時間熟成し末端水酸基をメチルエーテル化した。
次いで、水を加えリン酸でpH6に中和後静置し、下層の水層及び食塩を除去した。減圧下で揮発分を除去してから、吸着剤キョワード600S(協和化学工業製)を1.5部加えて100℃にて処理後、吸着剤を濾過して除去し、ポリエーテルオリゴマーを得た。得られたポリエーテルオリゴマーの構造と 1H−NMRシグナルの帰属 (δ値) を以下の式(2)に示す。
【0030】
【化3】
【0031】
(実施例2)
オートクレーブに、p−クミルフェノール100部、75%パラホルムアルデヒド14部、p−トルエンスルホン酸0.05部を仕込み、密閉して90℃で3時間反応後、減圧下105℃で30分間脱水した。GPC分析によるp−クミルフェノールの平均架橋度nは2.6モルであった。このp−クミルフェノール・ホルムアルデヒド架橋体100部に水酸化カリウム0.6部を仕込み、窒素置換後昇温して溶解し、エチレンオキシド204部を120〜140℃で徐々に注入した。エチレンオキシド注入終了後1時間熟成し、p−クミルフェノール・ホルムアルデヒド架橋・10EO付加体を得た。このp−クミルフェノール・ホルムアルデヒド架橋・10EO付加体100部に28%ナトリウムメチラート35部を仕込み、減圧下110〜120℃にてメタノールを除去した。窒素にて大気圧に戻し40℃に冷却してt−ブタノール25部を加えてから塩化ベンジル23部を滴下した。その後、80℃で1時間熟成し末端水酸基をベンジルエーテル化した。
次いで、水を加えリン酸でpH6に中和後静置し、下層の水層及び食塩を除去した。減圧下で揮発分を除去してから、実施例1と同様に吸着剤処理を行い、ポリエーテルオリゴマーを得た。得られたポリエーテルオリゴマーの構造と 1H−NMRシグナルの帰属 (δ値) を以下の式(3)に示す。
【0032】
【化4】
【0033】
(実施例3)
オートクレーブにジスチレン化フェノール100部、75%パラホルムアルデヒド3部、p−トルエンスルホン酸0.1部を仕込み、密閉して90℃で3時間反応後、減圧下105℃で30分間脱水した。GPC分析によるジスチレン化フェノールの平均架橋度nは0.6モルであった。このスチレン化フェノール・ホルムアルデヒド架橋体100部に水酸化カリウム0.6部を仕込み、窒素置換後昇温して溶解し、エチレンオキシド297部を120〜130℃で徐々に注入した。エチレンオキシド注入終了後1時間熟成し、スチレン化フェノール・ホルムアルデヒド架橋・20EO付加体を得た。このスチレン化フェノール・ホルムアルデヒド架橋・20EO付加体100部に28%ナトリウムメチラート20部を仕込み、減圧下110〜120℃にてメタノールを除去した。窒素にて大気圧に戻し60℃に冷却後、塩化メチル6.0部を徐々に注入した。塩化メチル注入終了後1時間熟成し末端水酸基をメチルエーテル化した。次いで、水を加えリン酸でpH6に中和後静置し、下層の水層及び食塩を除去した。減圧下で揮発分を除去してから、実施例1と同様に吸着剤処理を行い、ポリエーテルオリゴマーを得た。得られたポリエーテルオリゴマーの構造と 1H−NMRシグナルの帰属 (δ値) を以下の式(4)に示す。
【0034】
【化5】
【0035】
(実施例4)
オートクレーブにノニルフェノール100部、75%パラホルムアルデヒド17部、p−トルエンスルホン酸0.2部、キシレン60部を仕込み、密閉して100℃で3時間反応後、水分等の低沸点化合物を除去した。GPC分析によるノニルフェノールの平均架橋度nは7.7モルであった。このノニルフェノール・ホルムアルデヒド架橋体100部、水酸化ナトリウム1.0部及びキシレン60部を仕込み、窒素置換後昇温して溶解し、エチレンオキシド370部を130〜140℃で徐々に注入した。エチレンオキシド注入終了後1時間熟成してから、減圧下キシレンを除去してノニルフェノール・ホルムアルデヒド架橋・18EO付加体を得た。このノニルフェノール・ホルムアルデヒド架橋・18EO付加体100部に28%ナトリウムメチラート23部を仕込み、減圧下110〜120℃にてメタノールを除去した。窒素にて大気圧に戻し60℃に冷却後塩化メチル7.0部を徐々に注入した。塩化メチル注入終了後1時間熟成し末端水酸基をメチルエーテル化した。次いで水を加えリン酸でpH6に中和後静置し、下層の水層及び食塩を除去した減圧下で揮発分を除去してから、実施例1と同様に吸着剤処理を行い、ポリエーテルオリゴマーを得た。得られたポリエーテルオリゴマーの構造と 1H−NMRシグナルの帰属 (δ値) を以下の式(5)に示す。
【0036】
【化6】
【0037】
【発明の効果】
本発明により、主鎖がホルムアルデヒド架橋された芳香環からなり、側鎖はポリエーテル鎖から構成される新規櫛型ポリエーテルオリゴマーが提供される。本発明のポリエーテルオリゴマーは、分子設計の自由度が大きく、疎水基や親水基のバランス、分子量が任意に制御可能できるため、用途や要求物性にあった任意の構造のポリエーテル誘導体を得ることが可能となる。
Claims (3)
- R1が石炭酸、クレゾール、クミルフェノール、スチレン化フェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールの残基からなる群から選ばれる請求項1記載のポリエーテルオリゴマー。
- フェノール類をホルムアルデヒドと反応させた後アルキレンオキシドを付加重合した芳香環含有ポリエーテルに、塩化メチル、臭化メチルおよび塩化ベンジルから選択される炭化水素ハロゲン化物を反応させる、請求項1に記載された一般式(1)で表されるポリエーテルオリゴマーの製造方法。
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JP02852498A Expired - Lifetime JP3962142B2 (ja) | 1998-02-10 | 1998-02-10 | ポリエーテルオリゴマー及びその製造方法 |
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JP (1) | JP3962142B2 (ja) |
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1998
- 1998-02-10 JP JP02852498A patent/JP3962142B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH11228684A (ja) | 1999-08-24 |
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