JP3953693B2 - パワーシフト変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の作業用車輌に搭載され、多数の伝達経路を多数の油圧クラッチにより切換えて変速する、いわゆるパワーシフト変速装置に係り、詳しくは多数の前進変速段を切換える走行変速装置と、前進及び後進に切換えるシャトル変速装置とを有するパワーシフト変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パワーシフト変速装置は、例えば特開昭63−312233号公報に示されるように、走行変速装置を操作する走行変速(主変速)用バルブ、シャトル変速装置を操作するシャトル(リバーサ)用バルブ及び昇圧制御用バルブを備えており、オイルポンプからの油圧が走行変速用バルブに供給されると共に、分岐して昇圧制御用バルブを介してシャトル用バルブに供給されている。
【0003】
従って、上記パワーシフト変速装置は、シャトル用バルブによりシャトル変速装置を操作して前後進を切換える際には、上記昇圧制御用バルブによる滑らかな油圧上昇に基づき大きな変速ショックが生じないように行われており、また走行変速を行う際には、油圧が前記走行変速用バルブを介して各ギヤの油圧クラッチ(油圧アクチュエータ)に直接送られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したパワーシフト変速装置は、昇圧制御用バルブを必要として、その分構造が複雑になり、コストアップになると共に、配管及びメンテナンス性等が相俟って、限られた設置スペースにおいて搭載上の問題を生ずる。
【0005】
また、上記パワーシフト変速装置における走行変速用バルブは、1−2変速用及び3−4変速用の電磁バルブからなり、同様にシャトル用バルブも、F−R切換え用の電磁バルブからなり、それぞれスイッチを操作することにより切換えられるが、各バルブは、2個の油圧クラッチのいずれかに切換え保持する位置と、両油圧クラッチの油圧をドレーンする中立位置とを有する3位置切換え弁からなる。従って、走行変速用バルブ(1−2変速用及び3−4変速用電磁バルブ)によっても、すべての変速用油圧クラッチの油圧をドレーンして、走行変速装置によりニュートラル状態とすることも可能である。
【0006】
この際、走行変速用バルブによりニュートラルから所定変速段に切換える場合、例えば、シャトル用バルブを前進位置に保持した状態で、走行変速用バルブをニュートラル位置から前進1速又は2速に切換える場合、油圧クラッチへの油圧上昇が急激であると共に、該油圧クラッチが急激にトルク容量を増大して接続するので、大きな発進ショックを生じてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、シャトル用バルブでのみニュートラル位置を可能とし、もって上述した課題を解決したパワーシフト変速装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記の目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、油圧クラッチ(C1,C2,C3,C4,CL,CH)により多数の変速段に切換える走行変速装置(5)と、油圧クラッチ(CF,CR)により前進及び後進状態に切換えるシャトル変速装置(6)と、を備えてなる、パワーシフト変速装置において、
前記走行変速装置(5)の多数の油圧クラッチ(C1,C2,C3,C4,CL,CH)を操作する単一の走行変速用油圧切換えバルブ(7)と、
前記シャトル変速装置(6)の前進用及び後進用油圧クラッチ(CF,CR)を操作する単一のシャトル変速用油圧切換えバルブ(9)と、をそれぞれ独立して設け、
前記走行変速用油圧切換えバルブ(7)は、1個の変速用操作レバー(7a)により操作され、前記多数の変速段の少なくとも1個の油圧クラッチに油圧を供給して、常時いずれかの変速段を経由する動力伝達経路を構成し、
前記シャトル変速用油圧切換えバルブ(9)は、1個のシャトル用操作レバー(9a)により操作され、前進又は後進用油圧クラッチ(CF,CR)に油圧を供給する前進段、後進段の外に、前記前進用及び後進用油圧クラッチをドレーン(46)に連通するニュートラル位置を有し、
前記シャトル用操作レバー(9a)により前記シャトル変速用油圧切換えバルブ(9)をニュートラル位置に保持した状態で、前記変速用操作レバー(7a)により前記走行変速用油圧切換えバルブ(7)を所定の変速段の前記油圧クラッチに油圧が供給されるように切換えた後、前記シャトル変速用油圧切換えバルブ(9)を前進又は後進用油圧クラッチ(CF,CR)に油圧が供給されるように切換え得るように構成した、
ことを特徴とするパワーシフト変速装置にある。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記走行変速用油圧切換えバルブ(7)の供給ポート(71)及び前記シャトル変速用油圧切換えバルブ(9)の供給ポート(91)と、油圧源(36)との間に、それぞれ絞り(37,47)を介在してなる。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記シャトル変速装置(6)の前進用及び後進用油圧クラッチ(CF,CR)は、油圧アクチュエータ(49)と、多数の摩擦板(50a,50b)と、前記油圧アクチュエータ(49)のピストン(49a)及び前記摩擦板(50a,50b)の間に介在する緩衝部材(51)と、を有してなるものである。
【0011】
[作用]
以上の構成に基づき、オペレータはシャトル用レバー(9a)などによりシャトル変速装置(6)をニュートラル位置に保持した状態で、走行変速レバー(7a)により走行変速用油圧切換え手段(7)を1速などの所定変速段に操作する。次いで、シャトル用レバー(9a)などによりシャトル変速装置(6)を前進段に入れると、前進用油圧クラッチ(CF)が接続し、前記走行変速用油圧切換え手段(7)にて接続操作されている所定変速段の油圧クラッチ、例えば1速用油圧クラッチ(C1)の接続と相俟って、作業車輌は、停止状態から所定変速状態で前進走行する。また、走行変速用油圧切換え手段(7)を所定変速段に設定した状態で、シャトル変速装置(6)をニュートラル位置から後進段に操作することにより、車輌は、所定変速段で後進走行する。
【0012】
また、前進状態または後進状態で走行変速する場合、シャトル変速装置(6)を前進または後進段に保持した状態で、走行変速レバー(7a)により走行変速用油圧切換え手段(7)を切替える。この際、走行変速は、同じ方向(前進または後進)の走行状態での変速であるので、走行用の各変速段の油圧クラッチに対する負荷変動は少ない。したがって、負荷変動の大きい停止状態からの発進時は、前進用または後進用油圧クラッチ(CFまたはCR)のみで担持するため、これら油圧クラッチを発進時に対応し得るようにすれば足りる。
【0013】
例えば、前進用および後進用油圧クラッチ(CF,CR)に緩衝部材(51)を介在させることにより該緩衝部材(51)が上記発進時の負荷変動を吸収して、発進時のショックを和らげる。
【0014】
なお、上述の括弧は、図面を対照にするものであるが、本発明の構成を何ら限定するものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明をトラクタに適用したパワーシフト変速装置1を示す概略図であり、変速機構部2及び操作バルブ部3を有する。
【0016】
変速機構部2は、1〜4速の主変速部5aおよびH(高)−L(低)の副変速部5bからなり、合計8段に変速可能な走行変速装置5と、F(前進)−R(後進)切換え用のシャトル変速装置6とを備えており、それぞれギヤと軸との間に介在される油圧多板クラッチC1〜C4、CH、CL、CF、CRを有している。
【0017】
また、操作バルブ部3は、走行変速用油圧切換え手段としての走行変速バルブ7およびシャトル変速用油圧切換え手段としてのシャトル変速バルブ9とを有しており、各バルブ7,8は、それぞれ1個の変速用レバー7aおよびシャトル用レバー9aにより操作されるロータリバルブからなる。
【0018】
以下に、まず走行変速装置5の主変速部5aの構成について説明する。
【0019】
エンジン出力軸10にメインクラッチ11を介して整列している主軸12には4個のギヤ13,14,15,16がスプラインにより一体に結合されている。これら各ギヤは互いに歯数が異なり、ギヤ13には1速の油圧多板クラッチC1に連結するギヤ17が噛合し、ギヤ14には2速の油圧多板クラッチC2に連結するギヤ18が噛合し、ギヤ15には3速の油圧多板クラッチC3に連結するギヤ19が噛合し、ギヤ16には4速の油圧多板クラッチC4に連結するギヤ20が噛合している。また、1速の油圧多板クラッチC1のギヤ17および3速の油圧多板クラッチC3のギヤ19はセレクト軸21に回転自在に設置され、2速の油圧多板クラッチC2のギヤ18および4速の油圧多板クラッチC4のギヤ20はセレクト軸22に回転自在に設置されている。そして、セレクト軸21にはギヤ23が一体に設置され、セレクト軸22にはギヤ25が一体に設置されている。
【0020】
次に、走行変速装置5の副変速部5bの構成について説明する。
【0021】
副変速用の油圧多板クラッチCH,CLのセレクト軸26にはギヤ27およびギヤ29が一体に設置されている。また、このセレクト軸26には高速用の油圧多板クラッチCHに連結するギヤ30が回転自在に設置されるとともに、低速用の油圧多板クラッチCLに連結するギヤ31が回転自在に設置されている。そして、ギヤ30には、ギヤ32が噛合するとともに、ギヤ31にはギヤ33が噛合し、これらギヤ32および33は共に出力軸35にそれぞれ設置されている。
【0022】
そして、上記油圧多板クラッチC1〜C4,CH,CLは走行変速バルブ7によって操作される。この走行変速バルブ7はいずれかの変速段の油圧多板クラッチC1〜C4および油圧多板クラッチCH,CLに油圧を供給して常時いずれかの変速段を経由する動力伝達経路を構成するもので、油圧源としての油圧ポンプ36と走行変速バルブ7の供給ポート71との間には絞り弁37が設けられるとともに、油圧の供給を受けない走行用油圧多板クラッチC1〜C4,CH,CLのそれぞれはドレーン39に連通するように構成されている。
【0023】
また、走行変速バルブ7は前記供給ポート71、1,2,3または4変速用の前記油圧クラッチC1,C2,C3,C4にそれぞれ連通するポート721 〜724 および低速用または高速用の前記油圧クラッチCL,CHに連通するポート73L ,73H を有するスリーブ7bと、このスリーブ7bに回動可能に嵌挿するロータリ弁体7cとからなる。このロータリ弁体7cには供給ポート71に接続する供給油路74、スリーブ7bの1〜4変速用のポート721 〜724 に接続する主変速油路75,76およびスリーブ7bの低速用または高速用のポート73L ,73H と接続する副変速油路77を有しており、ロータリ弁体7cのどの回転(操作)位置にあっても、供給油路74が供給ポート71に常に連通し、またこの供給油路74に連通している主変速油路75,76が前記主変速用のいずれか1個のポートに、また副変速油路77が副変速用の高低いずれかのポートに常に連通している。これにより、走行変速バルブ7は供給ポート71に接続する油路74を油路75または油路76を介して変速用のポート721 〜724 および油路74から油路77を介して低速用または高速用のポート73L または73H のいずれかに接続される。これにより前進側のみで8段の組合せ変速ができる。さらに、ロータリ弁体7cにはドレーン39に接続される油路781 ,782 ,783 を有し、いずれかの主変速油路75または76と接続されている1つのポート721 〜724 以外の複数のポートが油路781 ,782 に接続され、副変速用の高低いずれかのポート73L ,73H が油路783 に接続されることになる。
【0024】
次に、シャトル変速装置6の構成について説明する。
【0025】
前進用および後進用の油圧多板クラッチCF,CRのセレクト軸40にはギヤ41が一体に設置され、このギヤ41はギヤ23,25にそれぞれ噛合している。また、セレクト軸40には前進用の油圧多板クラッチCFに連結するギヤ42が回転自在に設置されるとともに、後進用の油圧多板クラッチCRに連結するギヤ43が回転自在に設置されている。そして、ギヤ42はギヤ27と噛合し、ギヤ43はギヤ45を介してギヤ29に噛合している。
【0026】
そして、上記油圧多板クラッチCF,CRはシャトル変速バルブ9によって操作される。このシャトル変速用バルブ9は油圧ポンプ36からの油圧を供給する供給ポート91およびF−R切換え用のポート92F ,92R を有するスリーブ9bと、このスリーブ9bに回動可能に嵌挿して前進用位置、後進用位置またはニュートラル位置のいずれかに供給ポート91からの油圧を導く油路93を有するロータリ弁体9cとからなる。また、このロータリ弁体9cには、油路93がポート92F ,92R のいずれか一方に接続されているときにポート92R ,92F のいずれか他方と接続する排出油路941 ,942 を有し、供給ポート91と油圧ポンプ36との間には、供給ポート91へ緩やかに油圧を供給する絞り弁47が設けられている。これにより、油路93を前進段のポート92F に接続させて前進用油圧多板クラッチCFに油圧を供給したり、油路93を後進段のポート92R に接続させて後進用油圧多板クラッチCRに油圧を供給したりすることができる。さらに、スリーブ9bには、油路93がニュートラル位置にあるときに、前進用油圧多板クラッチCFおよび後進用油圧多板クラッチCRの油圧を排出油路941 ,942 を介してドレーン46に導く、排出ポート95を有する。
【0027】
ところで、前進用および後進用の油圧多板クラッチCF,CRは、図2に示すように油圧ポンプ36からシャトル変速バルブ9を介して導かれる圧油によって動作するピストン49aを有する油圧アクチュエータ49と、この油圧アクチュエータ49に対してスライド可能に保持される複数の可動摩擦板50aと、この可動摩擦板50aが接触して抑止部材50cの間に挾持される固定摩擦板50bと、ピストン49aおよび可動摩擦板50aの間に介在される緩衝部材としてのウェーブスプリング51とを有し、上記ピストン49aはポート49bを通って供給される油圧によって移動してウェーブスプリング51のスプリング力に抗して可動摩擦板50aを固定摩擦板50bに押圧し、接触させる。前記油圧アクチュエータ49はセレクト軸40にスプライン結合している。また、ピストン49aと油圧アクチュエータ49のストッパ49cとの間にはピストン49aへの圧油の供給が断たれると、ピストン49aをスプリング力によって元の位置に戻すリターンスプリング52が張設されている。
【0028】
次に、このように構成された本実施の形態のパワーシフト変速装置は、オペレータがシャトル用レバー9aによりシャトル変速装置6をニュートラル位置に保持した状態で、走行変速レバー7aにより走行変速バルブ7を所定変速段に操作する。次いで、シャトル用レバー9aをシャトル変速装置6を前進段に入れると、前進用の油圧多板クラッチCFが接続し、前記走行変速バルブ7に接続操作されている所定変速段の油圧多板クラッチC1の接続と相俟って、作業車輌は、停止状態から所定変速段で前進走行する。また、走行変速バルブ7を所定変速段に設定した状態で、シャトル変速装置6をニュートラル位置から後進段に操作することにより作業車輌は所定変速段で後進走行する。
【0029】
また、前進状態または後進状態で走行変速する場合、シャトル変速装置6を前進段または後進段に保持した状態で、走行変速レバー7aにより走行変速バルブ7を切換える。この際、走行変速は、同じ方向(前進または後進)の走行状態での変速であるので、走行用の各変速段の油圧多板クラッチC1〜C4に対する負荷変動は少ない。したがって、負荷変動の大きい停止状態からの発進時は、前進用または後進用油圧多板クラッチCFまたはCRのみで担持するため、これら油圧多板クラッチCF,CRを発進時に対応し得るようにすれば、足りる。
【0030】
すなわち、例えば、前進用および後進用油圧多板クラッチCF,CRにウェーブスプリング51を介在させることによってウェーブスプリング51が上記発進時の負荷変動を吸収して発進時のショックを和らげる。
【0031】
具体的には、例えば図3に示すようにオペレータがシャトル用レバー9aによりシャトル変速バルブ9をニュートラル位置に保持した状態で、走行変速レバー7aにより走行変速バルブ7を1速に操作する。すなわち、走行変速レバー7aによりロータリ弁体7cを回転させて走行変速バルブ7の副変速側を低速用位置に、主変速側を1速の位置にセットした場合、油圧ポンプ36からの圧油は絞り弁37を通って供給ポート71に導かれ、この供給ポート71から供給油路74および主変速油路75を通って主変速側のポート721 に導かれるとともに、副変速油路77を通って副変速側のポート73L に導かれる。
【0032】
しかし、シャトル変速バルブ9のロータリ弁体9cがニュートラル位置にあるため、油圧ポンプ36から絞り弁47を通って供給ポート91に導かれた圧油はロータリ弁体9cの油路93からスリーブ9bのポート92F またはポート92R のいずれにも導かれず、よって前後進用の油圧多板クラッチCF,CRのいずれも接続されない。したがって、セレクト軸40の回転はギヤ42またはギヤ43のいずれにも伝達されず、ギヤ42からギヤ27、またはギヤ43からギヤ45およびギヤ29を介してセレクト軸26に伝達されない。
【0033】
このような状態において、シャトル用レバー9aによりロータリ弁体9cを回転させてニュートラル位置のシャトル変速バルブ9を前進位置に切換える。すると、油圧ポンプ36から絞り弁47を通って供給ポート91に導かれた圧油はロータリ弁体9cの油路93からポート92F を通って、油圧アクチュエータ49に導かれる。これによりポート49bからピストン49aに導かれた油圧はウェーブスプリング51に抗して前進側のピストン49aを移動させるために、可動摩擦板50aと固定摩擦板50bとが接触する。このため、セレクト軸40から油圧アクチュエータ49に伝達される回転がギヤ42に伝達され、ギヤ42に噛合しているギヤ27を介してセレクト軸26に伝達され、さらにギヤ31からギヤ33を介して出力軸34に伝達される。
【0034】
このように油圧ポンプ36からの圧油は絞り弁47を通過して供給ポート91に導かれ、次いで油路93からポート92F 、ポート92F からポート49bへ導かれ、ウェーブスプリング51に抗してピストン49aをスライドさせるので、可動摩擦板50aが固定摩擦板50bに徐々に接触することになる。このため、停止状態の車輌を発進させる場合、可動摩擦板50aと固定摩擦板50bとの接触状態が半接触状態から接合状態に移行することになり、これによって車輌が徐々に発進するために、発進時のショックを和げることができる。この場合の発進ショックの調整は、ピストン49aをスライドさせる圧油の圧力(絞り弁47の弁開放状態を調整して)およびウェーブスプリング51のスプリング力を可変させて行うことができる。
【0035】
次いで、図4に示すように走行変速レバー7aによりロータリ弁体7cを回転して走行変速バルブ7の副変速側を低速段の位置に、主変速側を2速の位置にセットすると、油圧ポンプ36からの圧油は絞り弁37を通過して供給ポート71から供給油路74に導かれ、供給油路74から主変速油路75を通ってポート722 に導かれ、油圧多板クラッチC2を接続させてギヤ14に噛合しているギヤ18の回転をセレクト軸22に伝達する。また、供給油路74から副変速油路77に導かれた圧油は低速側のポート73L を通って油圧多板クラッチCLを接続する。これによりギヤ25の回転はギヤ41を介してセレクト軸40を回転させ、ギヤ18からセレクト軸22に伝達される。このセレクト軸22の回転はギヤ25からギヤ41に伝達され、セレクト軸40を回転させる。このため、セレクト軸40の回転速度が増速された状態で、低速用の油圧多板クラッチCLのセレクト軸26を回転させ、さらにギヤ31に噛合するギヤ33によって出力軸34を増速回転させる。
【0036】
以下、同様の操作を繰り返し、走行変速レバー7aによりロータリ弁体7cを回転させて走行変速バルブ7の副変速側を低速段の位置で、主変速側を順次2速から3速、3速から4速へと増速し、なおも走行変速レバー7aによりロータリ弁体7cを回転させて走行変速バルブ7の副変速油路77を高速段のポート73H に切換え、主変速油路76をポート721 からポート722 (図5参照)、ポート722 からポート723 、ポート723 からポート724 へと順次切り替えることにより5速から8速まで変速操作を行うことができる。これにより副変速側の油圧多板クラッチCHが接続され、主変速側の油圧多板クラッチC1〜C4が順次、切換わり接続される。この場合の変速は、前進状態の走行変速であるので、油圧多板クラッチのトルク容量に変動が生じても大きな発進ショックとはならずに済み、変速に伴うショックがほとんど生じない。
【0037】
さらに、停止状態にある作業車輌を例えば図6に示すように走行変速レバー7aによりロータリ弁体7cを回転させて走行変速バルブ7の副変速油路77を低速段のポート73L に、主変速油路75を1速のポート721 にセットし、シャトル変速バルブ9のロータリ弁体9cをニュートラル位置から後進側のポート92R に切換える。すると、油圧ポンプ36から絞り弁47を通って供給ポート91に導かれた圧油は油路93からシャトル変速の後進側のポート92R に導かれ、さらに油圧アクチュエータ49に導かれる。これにより前述と同様にウェーブスプリング51に抗して後進側のピストン49aが移動するために、可動摩擦板50aが固定摩擦板50bに接触することになる。このため、セレクト軸40から油圧アクチュエータ49に伝達される回転がギヤ42およびギヤ27を介してセレクト軸26に伝達され、さらにギヤ31からギヤ33を介して出力軸34に伝達される。この場合、油圧ポンプ36からの圧油は、絞り弁47を通って供給ポート91に導かれ、供給ポート91から油路93を通ってポート92R に導かれ、さらに油圧アクチュエータ49に導かれるので、ピストン49aを緩やかに押圧することになる。その上、ピストン49aはウェーブスプリング51を介在させて可動摩擦板50aを押圧するので、可動摩擦板50aが固定摩擦板50bに緩やかに接触することになり、停止状態にある作業車輌を発進する際のショックも小さくてすむ。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、走行変速装置は、走行変速用油圧切換え手段を操作させて多数の変速段の少なくとも1個の油圧クラッチのいずれかに油圧を供給させるようにして、常時いずれかの変速段を経由する動力伝達経路を形成させ、シャトル変速装置は、シャトル変速用油圧切換え手段を操作させて前進用または後進用油圧クラッチに油圧を供給する外に、前進用および後進用油圧クラッチをドレーンに連通させるニュートラル位置を有するようにしたので、発進ショックの対応をシャトル変速装置側のみで行うことができ、よってコストを抑えることができる。
【0039】
さらに、上述した発明によれば、絞り弁を供給ポートと油圧源との間に設けるとともに、ピストンと摩擦板との間に緩衝部材を設けたので、発進時の負荷変動を吸収して発進のショック和らげることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をトラクタに適用したパワーシフト変速装置を示す概略図である。
【図2】本発明のパワーシフト変速装置における前進用および後進用の油圧多板クラッチを示す断面図である。
【図3】本発明のパワーシフト変速装置における操作バルブ部の走行変速バルブおよびシャトル変速バルブを低速走行状態にした動作説明図である。
【図4】同じくシャトル変速バルブをニュートラル位置にした状態を示す動作説明図である。
【図5】同じく走行変速バルブおよびシャトル変速バルブを前進6段にした状態を示す動作説明図である。
【図6】同じくシャトル変速バルブを後進側にした状態を示す動作説明図である。
【符号の説明】
5 走行変速装置
6 シャトル変速装置
7 走行変速用油圧切換え手段(走行変速バルブ)
9 シャトル変速用油圧切換え手段(シャトル変速バルブ)
36 油圧源(油圧ポンプ)
37 絞り弁
46 ドレーン
47 絞り弁
49 油圧アクチュエータ
49a ピストン
50a 可動摩擦板
50b 固定摩擦板
51 緩衝部材
71 供給ポート
91 供給ポート
C1 油圧多板クラッチ
C2 油圧多板クラッチ
C3 油圧多板クラッチ
C4 油圧多板クラッチ
CH 油圧多板クラッチ
CL 油圧多板クラッチ
CF 油圧多板クラッチ
CR 油圧多板クラッチ
Claims (3)
- 油圧クラッチにより多数の変速段に切換える走行変速装置と、油圧クラッチにより前進及び後進状態に切換えるシャトル変速装置と、を備えてなる、パワーシフト変速装置において、
前記走行変速装置の多数の油圧クラッチを操作する単一の走行変速用油圧切換えバルブと、
前記シャトル変速装置の前進用及び後進用油圧クラッチを操作する単一のシャトル変速用油圧切換えバルブと、をそれぞれ独立して設け、
前記走行変速用油圧切換えバルブは、1個の変速用操作レバーにより操作され、前記多数の変速段の少なくとも1個の油圧クラッチに油圧を供給して、常時いずれかの変速段を経由する動力伝達経路を構成し、
前記シャトル変速用油圧切換えバルブは、1個のシャトル用操作レバーにより操作され、前進又は後進用油圧クラッチに油圧を供給する前進段、後進段の外に、前記前進用及び後進用油圧クラッチをドレーンに連通するニュートラル位置を有し、
前記シャトル用操作レバーにより前記シャトル変速用油圧切換えバルブをニュートラル位置に保持した状態で、前記変速用操作レバーにより前記走行変速用油圧切換えバルブを所定の変速段の前記油圧クラッチに油圧が供給されるように切換えた後、前記シャトル変速用油圧切換えバルブを前進又は後進用油圧クラッチに油圧が供給されるように切換え得るように構成した、
ことを特徴とするパワーシフト変速装置。 - 前記走行変速用油圧切換えバルブの供給ポート及び前記シャトル変速用油圧切換えバルブの供給ポートと、油圧源との間に、それぞれ絞りを介在してなる、
請求項1記載のパワーシフト変速装置。 - 前記シャトル変速装置の前進用及び後進用油圧クラッチは、油圧アクチュエータと、多数の摩擦板と、前記油圧アクチュエータのピストン及び前記摩擦板の間に介在する緩衝部材と、を有してなる、
請求項1又は2記載のパワーシフト変速装置。
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