JP3951016B2 - 非対称ジスルフィド化合物とその製造方法 - Google Patents
非対称ジスルフィド化合物とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3951016B2 JP3951016B2 JP2002330359A JP2002330359A JP3951016B2 JP 3951016 B2 JP3951016 B2 JP 3951016B2 JP 2002330359 A JP2002330359 A JP 2002330359A JP 2002330359 A JP2002330359 A JP 2002330359A JP 3951016 B2 JP3951016 B2 JP 3951016B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- carbon atoms
- compound
- integer
- same
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な非対称ジスルフィド化合物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジスルフィド化合物は、加硫ゴム、硫化染料、酸化防止剤、潤滑油、殺虫剤などに数多く見られる化合物である。また、抗HIV活性(非特許文献1、非特許文献2)や抗肝炎作用(非特許文献3)が報告されている。
これらジスルフィド化合物のうち、双方の硫黄原子上に異なる置換基を有する非対称ジスルフィド化合物においても、チアミンに示されるような生理活性を有する化合物など実用的な化合物が報告されている(非特許文献4)。また非対称ジスルフィド化合物の抗菌作用も報告されている(非特許文献5)。
さらに、スルフェンアミド化合物は、従来からゴムの加硫化剤、殺菌剤、殺虫剤、除草剤としての機能を有するものがあることが知られており(非特許文献6)、特にN-アシルスルフェンアミドであるN-ベンゾイル-4-クロロベンゼンスルフェンアミドには、植物成長調整機能があることが報告されている(非特許文献7)。このように、一群のN-アシルスルフェンアミド化合物は、産業上重要な化合物である。
【0003】
非対称ジスルフィド化合物は、一般的には塩化スルフェニル化合物とチオール化合物との反応により製造されているほか、スルフェンアミド化合物やチオールスルホナート化合物などを出発原料としてチオール化合物との反応により製造されてきた。
しかしながら、塩化スルフェニル化合物はチオール化合物あるいはジスルフィド化合物と塩素ガスとの反応により製造しなければならない。塩素ガスを気体で反応系に供給することが必要であり、取り扱い上の困難さを有しているので、安全な製造方法が望まれている。スルフェンアミド化合物を出発原料とする場合も、スルフェンアミド化合物が塩化スルフェニル化合物から製造されるので、塩素ガスの問題は残されたままである。チオールスルフォナート化合物を出発原料とする反応においては、出発物質と生成物との間に平衡反応があり、対称ジスルフィド化合物が混合してしまうという問題がある。
また、N-アシルスルフェンアミド化合物を製造するためには、やはり塩化スルフェニル化合物とアミド化合物の反応により製造されてきた。
【0004】
【非特許文献1】
Science, 270, 1194-1197 (1995).
【非特許文献2】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 969-973 (1996).
【非特許文献3】
Chem. Pharm. Bull., 41, 1066-1073 (1993).
【非特許文献4】
大饗茂編、有機硫黄化学(合成化学編)、p.85、化学同人
【非特許文献5】
Farmaco, Ed. Sci., 40, 803-807 (1985); Chem. Abstr. 104, 148442 (1986).
【非特許文献6】
Chem. Rev., 89, 689 (1989).
【非特許文献7】
Fiziol. Akt. Veshch, 16, 47 (1984); Chem. Abstr., 103, 18314 (1985).
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
分子内にN−アシルスルフェンアミド部位を有する非対称ジスルフィド化合物を製造するにあたり、従来の方法では、取り扱いにくい塩素ガスを用いてきたが、本発明の課題は、この塩素ガスを使用することなく、分子内にN−アシルスルフェンアミド部位を有する非対称ジスルフィド化合物を製造する新規な非対称ジスルフイド化合物及びその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、塩素ガスを用いることなく、分子内にN−アシルスルフェンアミド部位を有する非対称ジスルフィド化合物の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、N-スルフェニル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物を原料化合物とし、これにチオール化合物を反応することにより、安全かつ容易に分子内にN−アシルスルフェンアミド部位を有する非対称ジスルフィド化合物が得られることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち,本発明によれば,以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(A)で表される非対称ジスルフィド化合物。
【化1】
(式中、R 11 およびR 12 は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基又はニトロ基を示し、R 11 およびR 12 が複数ある場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜5の整数を、 mは0または1〜4の整数である。R 13 は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
【0008】
また,本発明によれば,以下の発明が提供される。
(2)下記一般式(イ)で表される非対称ジスルフィド化合物を製造する方法において、下記一般式(ロ)で表されるN-スルフェニル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物と、下記一般式(ハ)で表されるチオール類を反応させることを特徴とする非対称ジスルフィド化合物の製造方法。
【化6】
(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R1が複数ある場合は、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜5の整数である。R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R2が複数ある場合は、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、mは0または1〜4の整数である。R3は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基を示す。)
【化7】
(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R1が複数ある場合は、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜5の整数である。R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R2が複数ある場合は、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、mは0または1〜4の整数である。)
【化8】
(式中、R3は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基を示す。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、出発原料化合物として、N-スルフェニル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物(前記一般式(ロ)で表される化合物)を用いる。
【化9】
一般式(ロ)で表される化合物のR1、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示す。
nは0または1〜5の整数を示し、mは0または1〜4の整数を示す。
前記アルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、s-オクチル基、t-オクチル基等が挙げられる。
前記アルコキシル基の具体例を示すと、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ヘキシロキシ基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基の具体例を示すと、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、ベンジロキシカルボニル基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素から選ばれる原子を表す。
【0010】
前記出発原料化合物であるN-スルフェニル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物(前記一般式(ロ)で表される化合物)は、公知化合物であり、N-無置換スルフェンアミド化合物と1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物を反応させて製造することができる。
【0011】
前記出発原料化合物であるN-スルフェニル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物(前記一般式(ロ)で表される化合物)と反応させる原料物質は、下記一般式(ハ)で表されるチオール類である。
【化10】
前記化合物の式中、R3は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基を示す。
前記アルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、s-オクチル基、t-オクチル基等が挙げられる。
前記シクロアルキル基の具体例を示すと、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等が挙げられる。また、前記芳香族基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、ベンジル基等が挙げられ、これらの芳香族基はハロゲン原子、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基等の置換基を有していてもよい。
これらのチオール化合物は、原料として汎用されているものである。
一般式(ハ)で表されるチオール類はR2基を有するハロゲン化物と水硫化アルカリ化合物から製造することができる。
【0012】
本発明の新規な合成反応は次のような反応式(ニ)よって表すことができる。
【化11】
【0013】
本発明の非対称ジスルフィド化合物の製造は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施される。
この場合の反応溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、アセトン等の溶媒中で行われる。また、これらの溶媒は単独または混合溶媒の形で使用される。
【0014】
前記製造方法における温度は0℃〜120℃付近の温度で行うことができるが、あまり温度が低すぎると反応時間が遅くなり、温度が高すぎると分解反応や副反応が多くなるので、10℃〜100℃の範囲で実施するのが好ましい。反応時間は反応温度により左右され、一概に定めることはできないが、通常は5分〜5時間で十分である。
【0015】
本発明の製造対象となる非対称ジスルフィド化合物は、下記一般式(イ)で表される。
【化2】
前記一般式(イ)のR1は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R1が複数ある場合は、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜5の整数である。
R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R2が複数ある場合は、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、mは0または1〜4の整数である。
又、R3は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基を示す。
前記アルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、s-オクチル基、t-オクチル基等が挙げられる。
前記アルコキシル基の具体例を示すと、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ヘキシロキシ基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基の具体例を示すと、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、ベンジロキシカルボニル基等が挙げられる。
前記シクロアルキル基の具体例を示すと、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
また、前記芳香族基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、ベンジル基等が挙げられ、これらの芳香族基はハロゲン原子、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基等の置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素から選ばれる原子を表す。
これらの化合物は、加硫ゴム、硫化染料、酸化防止剤、潤滑油、殺虫剤、抗菌剤などに用いられる化合物である。また、抗HIVプロテアーゼ阻害剤、抗肝炎症剤などの医薬用途を有するものである。
【0016】
本発明に係る新規な非対称ジスルフィド化合物は下記一般式(A)で示される。
【化1】
(式中、R 11 およびR 12 は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基又はニトロ基を示し、R 11 およびR 12 が複数ある場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜5の整数を、 mは0または1〜4の整数である。R 13 は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
その具体例について例示すると、以下の化学式(1)〜(5)で示される化合物である。これらの化合物は、以下に記載する実施例1〜5において、製造された化合物である。
【化13】
【0017】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明の実施例は本発明の理解を容易にするために代表的な物をあげたものであり、本発明はこれだけに限定されるものではない。製造した非対称ジスルフィド化合物は、各種スペクトルを主要な判定基準として同定した。また,製造された化合物(1)〜(5)は,前記で示した化合物(1)〜(5)に対応するものである。
【0018】
実施例1
内容積30mlのガラス製容器中にN-(2-メトキシカルボニルフェニルスルフェニル)-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(158.7mg,0.5mmol)とドデカンチオール(121.4mg,0.6mmol)をメタノール(15mL)と塩化メチレン(15mL)の混合物に溶解させ、室温で30分反応を行った。溶媒を減圧下除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン)で精製することにより、化合物(1)のジスルフィドを収量239.1mg、収率92%で得た。この化合物は酢酸エチル−ヘキサンを用いて再結晶を行うことによりさらに精製することができた。
融点79.5-80.3℃;1H-NMR(CDCl3)δ 0.88 (3H, t, J=6.7 Hz), 1.24-1.36 (18H, m), 1.64-1.70 (2H, m), 2.75 (2H, t, J=7.4 Hz), 3.95 (3H, s), 7.20-7.32 (3H, m), 7.47-7.53 (3H, m), 7.69 (1H, s), 8.00-8.04 (2H, m);13C-NMR(CDCl3)δ 14.1, 22.7, 28.5, 28.9, 29.2, 29.3, 29.5, 29.6, 29.6, 31.9, 38.8, 52.5, 122.5, 124.3, 124.7, 126.6, 128.0, 128.7, 131.1, 131.6, 133.1, 133.5, 138.2, 144.5, 167.1, 169.3;IR(KBr)3268, 2955, 2922, 2851, 1701, 1632, 1470, 1422, 1318, 1292, 1246, 739 cm-1.
C27H37NO3S3としての元素分析値(%)
測定値:C,62.56; H,7.19; N,2.61.
計算値:C,62.39; H,7.17; N,2.69.
【0019】
実施例2
内容積30mlのガラス製容器中にN-(2-メトキシカルボニルフェニルスルフェニル)-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(158.7mg,0.5mmol)とベンゼンチオール(66.1mg,0.6mmol)をメタノール(15mL)と塩化メチレン(15mL)の混合物に溶解させ、室温で30分反応を行った。溶媒を減圧下除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン)で精製することにより、化合物(2)のジスルフィドを収量201.0mg、収率94%で得た。
1H-NMR(CDCl3)δ 3.93 (3H, s), 7.17-7.33 (6H, m), 7.44-7.50 (5H, m), 7.70 (1H, br s), 7.87 (1H, d, J=7.6 Hz), 8.01 (1H, dd, J=8.0, 1.2 Hz);13C-NMR(CDCl3)δ 52.4, 122.3, 124.2, 124.7, 126.6, 127.3, 127.8, 128.0, 128.5, 129.1, 131.9, 132.9, 133.1, 168.5, 144.4, 167.1, 169.3;IR(KBr)3250, 1699, 1651, 1435, 1275, 1040, 739 cm-1.
【0020】
実施例3
内容積30mlのガラス製容器中にN-(2-エトキシカルボニルフェニルスルフェニル)-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(165.7mg,0.5mmol)とドデカンチオール(121.4mg,0.6mmol)をメタノール(15mL)に溶解させ、室温で30分反応を行った。溶媒を減圧下除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン)で精製することにより、化合物(3)のジスルフィドを収量258.9mg、収率97%で得た。この化合物はヘキサンを用いて再結晶を行うことによりさらに精製することができた。
融点47.2-48.5℃;1H-NMR(CDCl3)δ 0.87 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.23-1.35 (18H, m), 1.41 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.66 (2H, quint, J=7.3 Hz), 2.74 (2H, t, J=7.3 Hz), 4.40 (2H, q, J=7.0 Hz), 7.20 (1H, ddd, J=8.2, 6.7, 1.5 Hz), 7.29-7.34 (2H, m), 7.47-7.50 (3H, m), 7.69 (1H, brs), 8.00-8.01 (1H, m), 8.03 (1H, d, J=7.9 Hz);13C-NMR(CDCl3)δ 14.1, 14.3, 22.7, 28.5, 28.9, 29.2, 29.3, 29.5, 29.6, 29.6, 29.6, 31.9, 38.8, 61.6, 122.4, 124.6, 124.7, 126.5, 128.6, 131.1, 131.6, 133.0, 133.5, 138.3, 144.4, 166.7, 169.4;IR(KBr)3235, 1696, 1661, 1420, 1275, 1150,
1103, 1057, 749 cm-1.
C28H39NO3S3としての元素分析値(%)
測定値:C,63.39; H,7.43; N,2.57.
計算値:C,63.00; H,7.36; N,2.62.
【0021】
実施例4
内容積30mlのガラス製容器中にN-(2-エトキシカルボニルフェニルスルフェニル)-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(165.7mg,0.5mmol)とオクタンチオール(87.8mg,0.6mmol)をメタノール(15mL)と塩化メチレン(15mL)の混合物に溶解させ、室温で30分反応を行った。溶媒を減圧下除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン)で精製することにより、化合物(4)のジスルフィドを収量229.5mg、収率99%で得た。
1H-NMR(CDCl3)δ 0.87 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.24-1.31 (8H, m), 1.35-1.37 (2H, m), 1.40 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.63-1.69 (2H, m), 2.73 (2H, t, J=7.3 Hz), 4.39 (2H, q, J=7.0 Hz), 7.19 (1H, td, J=7.9, 1.5 Hz), 7.27 (1H, m), 7.40-7.49 (4H, m), 7.68 (1H, br s), 7.99-8.01 (1H, m), 8.02 (1H, d, J=7.9 Hz);13C-NMR(CDCl3)δ 14.0, 14.3, 22.6, 28.4, 28.8, 29.1, 31.7, 38.7, 61.5, 122.4, 124.5, 124.6, 126.4, 128.4, 131.0, 131.5, 133.0, 133.3, 138.3, 144.5, 166.6, 169.3;IR(neat)3266, 1696, 1466, 1433, 1273, 1103, 741 cm-1.
【0022】
実施例5
内容積30mlのガラス製容器中にN-(2-ニトロフェニルスルフェニル)-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(152.2mg,0.5mmol)とオクタンチオール(87.8mg,0.6mmol)をメタノール(15mL)に溶解させ、室温で30分反応を行った。溶媒を減圧下除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン)で精製することにより、化合物(5)のジスルフィドを収量133.2mg、収率59%で得た。
1H-NMR(CDCl3)δ 0.87 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.24-1.31 (8H, m), 1.34-1.39 (2H, m), 1.66 (2H, quint, J=7.6 Hz), 2.73 (2H, t, J=7.3 Hz), 7.24-7.31 (2H, m), 7.48-7.60 (3H, m), 7.69-7.74 (2H, m), 7.98 (1H, d, J=8.2 Hz), 8.25 (1H, dd, J=8.2, 1.5 Hz);13C-NMR(CDCl3)δ 14.3, 22.7, 28.6, 29.0, 29.2, 29.4, 31.9, 38.9, 124.2, 125.7, 125.9, 126.7, 128.6, 128.7, 132.0, 132.8, 134.5, 138.6, 141.0, 142.8, 169.6;IR(neat)3239, 1659, 1512, 1333, 1240, 733 cm-1.
【0023】
【発明の効果】
本発明におけるN-スルフェニル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物とチオール類の反応により、分子内にN-アシルスルフェンアミド部位を有する非対称ジスルフィド化合物を収率よく製造することができる。しかも、有毒な塩素ガスを用いることなく安全に製造できるので、工業的な分子内にN-アシルスルフェンアミド部位を有する非対称ジスルフィド化合物の合成法として最適である。
Claims (2)
- 下記一般式(イ)で表される非対称ジスルフィド化合物を製造する方法において、下記一般式(ロ)で表されるN-スルフェニル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン化合物と、下記一般式(ハ)で表されるチオール類を反応させることを特徴とする非対称ジスルフィド化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002330359A JP3951016B2 (ja) | 2002-11-14 | 2002-11-14 | 非対称ジスルフィド化合物とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002330359A JP3951016B2 (ja) | 2002-11-14 | 2002-11-14 | 非対称ジスルフィド化合物とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004161688A JP2004161688A (ja) | 2004-06-10 |
JP3951016B2 true JP3951016B2 (ja) | 2007-08-01 |
Family
ID=32808072
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002330359A Expired - Lifetime JP3951016B2 (ja) | 2002-11-14 | 2002-11-14 | 非対称ジスルフィド化合物とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3951016B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111777536B (zh) * | 2020-07-14 | 2022-03-01 | 常州大学 | 一种制备不对称二硫醚的方法 |
-
2002
- 2002-11-14 JP JP2002330359A patent/JP3951016B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004161688A (ja) | 2004-06-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3951016B2 (ja) | 非対称ジスルフィド化合物とその製造方法 | |
KR0178542B1 (ko) | 디티오카르밤산의 염류, 그 제조방법 및 그 디티오카르밤산의 염류를 사용하는 이소티오시아네이트류의 제조방법 | |
JP3896457B2 (ja) | 非対称ジスルフィド化合物の製造方法 | |
EP0700901B1 (en) | Processes for producing thioaryl compound | |
JP4041881B2 (ja) | 新規なn−チオ置換複素環化合物およびその製造方法 | |
JPS6058747B2 (ja) | アミノ化合物の製法 | |
JP3706904B2 (ja) | スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
JP3931231B2 (ja) | 非対称ジスルフィド化合物の製造方法 | |
JP3896456B2 (ja) | スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
US20070185323A1 (en) | Method of preparing benzazepines and derivatives thereof | |
JP3896450B2 (ja) | N−置換あるいはn,n−ジ置換スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
JP4006520B2 (ja) | スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
US3251850A (en) | Certain fluoro-dichloromethyldithiobenzazole compounds | |
JP3896455B2 (ja) | N−アシルスルフェンアミド化合物の製造方法 | |
KR960007530B1 (ko) | 설포닐우레아 유도체의 제조방법 | |
KR940009935B1 (ko) | N-벤조일-c-티오펜옥시이미도일 클로라이드 유도체 및 그 제조방법 | |
JP4247388B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン−1−オキシド化合物の製造方法 | |
JP4922157B2 (ja) | ベンゾオキサチエピンの合成方法とその中間体 | |
US4727178A (en) | Process for preparing phosphorodichloridothiolate | |
JP4200209B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン−1−オキシド化合物の製造方法 | |
JP4002972B2 (ja) | スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
KR840001924B1 (ko) | 아미노티오메틸카르바메이트의 인(燐) 유도체 제조방법 | |
JPS62273949A (ja) | N,n−ジアルキルアミノチオアセトアミド類の製造法 | |
JP4296268B2 (ja) | 新規なn−スルフェニル置換複素環化合物およびその製造方法 | |
JP4273224B2 (ja) | N−スルフェニル複素環化合物の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040818 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070213 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070305 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070403 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3951016 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |