JP3946642B2 - 紙若しくは板紙のウェブを処理するための組立体 - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

本発明は、移動する紙若しくは板紙の表面に吹き付けノズルを用いてウェブ処理物質を塗工するための請求項１の前段部による組立体に関する。

現在、紙若しくは板紙のウェブへの被覆の塗工は、複数の異なる方法を用いて実行される。各塗工方法は、仕上げ製品の品質及びその生産プロセスに影響する特徴構成を有する。最適な生産プロセスに関して、選択が、実際のウェブの走行速度及び強度に基づいてなされなければならない。仕上げの製品で供されるべき品質は、製品のエンドユーザによって決まり、実際には、製品に適用される印刷方法及び最終の印刷表面に供されるべき品質の意図した度合いにより定まる。一般に、良好な印刷性は、ウェブに非常に高い艶を有する均一な表面及び十分な円滑さを付与することによって実現される。これらの品質は、処理されているウェブに十分な数の被覆層を付与し、次いで、紙製造の異なる段階でそれをカレンダー仕上げすることによって得られる。明らかなように、処理ステップの数が増加すると製品の最終価格も増加するので、紙製造技術の選択は、最終製品から望まれる品質によって最終的に決定されることは、理解されるべきである。所望の最終製品に対する適切なプロセスが選択された後、生産効率及び最終製品の品質の観点から最適な結果を供するような仕上げ技術を選択することが可能である。

一の将来性がある塗工方法は、紙若しくは板紙のウェブに高圧吹付けノズルにより被覆処理剤やウェブ処理材料が塗工される、吹付け塗工技術である。この方法では、ウェブ処理材料は、高圧まで加圧され、その後、ウェブへと高速で小さなオリフィスの吹付けノズルから噴射される。この方法の利点は、ウェブ上に最小の応力しか付与されず、吹付け塗工装置において良好な走行性を生むことである。それは完全に非接触の態様で実現されるので、この種の塗工は、より静粛で、ウェブへの応力が少なく、従って、ブレード・コーティングに比して約５％の生産効率の増加を可能とする点で、従来のブレード及びフィルム転写技術を凌駕する。異なる観点では、これは、ウェブを、より弱い強度のストックから製造することを可能とし、再利用繊維から紙を作製する際に特に有益である。ブレード・コーティングやフィルム転写コーティングのような接触型の塗工方法は、常に、ウェブ表面と過剰被覆ドクター部材との間に、付加される被覆の厚さを決定する隙間を必要とする。この及び他のファクターに起因して、最終の被覆の重量は、ベースシートの品質変動によって、とりわけそのプロフィール偏差及び表面粗さによって、影響を受ける。対照的に、吹付けコーターは、全ての環境下で、ウェブにベースシートの品質変動により全く影響されない一定重さの被覆層を付与する。更に、吹付け塗工は、水分含有率のより高く、従って、従前に許容されていたものよりも低い強度のベースシートにも実行できる。

塗工用混合物、表面サイズ若しくは他のウェブ処理物質は、処理されているウェブへのノズル先端からの経路で自由空間を飛翔する液滴シャワーの形態で、ウェブ表面に吹付け塗工技術で塗工されるので、システムの現実的な実現は、塗工ミストの周囲環境への漏れの傾向により複雑化される。それ故に、吹き付けノズルは、フードにより包囲されなければならない。フード内では、塗工用混合物ミストは、全表面上に凝縮され、そこから、凝縮の大きな液滴がウェブ表面に到達するのを防止するように回収されなければならない。更に、凝縮した塗工混合物は、吹き付けスプレイへのアクセスを防止されなければならない。全ての塗工方法は、移動するウェブと共に塗工領域へと走行する空気境界層の導入により阻害されるが、この問題は、特に吹き付けコーターで顕著である、というのは、ウェブ処理物質の吹き付けは、その運動エネルギのみにより空気境界層を通過しなければならないからである。被覆混合物液滴の最小サイズに起因して、その運動エネルギは、吹き付けされた液滴の高い初速度にも拘らず、非常に小さいままである。

浮遊粒子ミストを収集するための種々の組立体が、例えば吹き付けペインティング構成から、知られている。しかし、これらの組立体はユニット物を扱うように設計されているので、それらは、完全に閉じた空間でペイント塗工が実行されるのを許容し、若しくは、代替的に、処理される材料が非常に耐久性があり、低速で移動するので、物品の活性処理の空間が周囲空間から容易に分離できる。これらのペインティング若しくはより広義には表面処理システムは、例えばシートメタルの表面処理に用いられる。対照的に、製紙機で今日用いられるウェブ速度は、非常に高く、ウェブと共に移動する空気境界層は、成長して乱流の非常に大きな要因となる。更に、製品価格を低減するために、低強度繊維から作成されるできるだけ薄いベースウェブを稼動することが趨勢である。この結果、空気境界層のウェブ表面のクリティカルな領域での流れが、効果的な手段により防止される必要があるが、移動するウェブ自体は、ロバストで機械的な接触をとることができないという、矛盾した状況が起こる。

特許文献ＵＳ６，１０６，９０２号及びＵＳ６，０６３，４４９号では、吹き付けコーター装置内の塗工ミストを回収し、アプリケータ室をシールするための幾つかの技術が開示されている。これらの方法の中でとりわけ、例えば、真空下でアプリケータ室を稼動すること、塗工用混合物ミストの移動を調整するための蒸気若しくは空気流れの使用、アプリケータ室の壁に沿って流されるウェブ処理物質の膜の形成が、言及するに値する。

本発明の目的は、塗工工程が邪魔されずに実行でき、且つ、塗工用混合物が周囲環境へと漏れるのを防止できるように、ガス、個体含有流体及び塗工ミストのアプリケータ室の流れを制御するのに適した組立体を提供することにある。

本発明の最終目的は、周囲環境から隔離された少なくとも２つの室にコーター装置を分け、一方の室が、処理されている移動ウェブの表面に対面するように構成され、他方の室がウェブの反対側に位置するようにし、これにより、これらの室の圧力を、ウェブ表面に近い側の室の圧力が、周囲圧力よりも低く、ウェブの方向から見て塗工室の背後に位置する室の圧力が、塗工室の圧力よりも低くなるように、調整する方法によって達成される。

本発明の好ましい実施例によれば、塗工室の内部に形成される塗工ミストは、過剰な流動可能なウェブ処理物質と同様、１つの同一経路を介して塗工室から除去される。

より具体的には、本発明による組立体は、請求項１の特徴部に述べるものによって特徴付けられる。

本発明は、大きな利点を提供する。

本発明は、流体ウェブ処理物質、そこから生成されるミスト、及び、塗工室のエア流れの流れを、塗工される若しくは他の処理をされるウェブ表面の劣化の危険、若しくは、周囲環境への塗工ミストの漏れの危険を無くすように、制御することを可能とする。塗工室の異なる状態相で存在する全ての材料構成物は、１つの同一経路を介して収集され、従って、異なる材料構成物の処理が効率的になる。ウェブ処理物質のミストは、塗工室から吸引によりエアから分離され、再循環され、室の壁から収集された物質の流しフローと共に、ウェブ処理物質の循環に戻される。

次に、本発明は、添付図面を参照して、模範的な実施例によりより詳細に説明される。

図１を参照するに、移動するウェブの表面にウェブ処理物質を塗工するための本発明による組立体を利用するのに適したコーター構成が示されている。本発明は、複数の処理システムに容易に適合でき、このため、現在の模範的な実施例は、本発明の典型的な塗工を教示するためのものに過ぎない。

図１の組立体において、吹付け塗工は、ドライヤシリンダ集合と協働するように構成されており、ここでは、ウェブ１は、ドライヤシリンダ２に対向する面が交互に変化する態様で、シリンダ２上を通過する。図１に示す構成は、ドライヤシリンダ集合の一部若しくは全体集合を図示しているものと解されてよい。原理上、組立体は、シリンダ集合組立体の任意の位置にアプリケータユニットを配置することによって実現できる。明らかであるが、ここで必要とされるシリンダの数は、要求される乾燥能力に依存する。この図では、ウェブ１は、第１のシリンダ２上を通過し、吹付けコーターユニット７は、次のシリンダ９と協働するように構成される。コーターユニット７は、吹付けノズル６を内部に備えるフード５を含む。塗工は、吹付けノズル６に例えば８０から１８０バールの高圧でウェブ処理物質を供給することにより生じ、これにより、処理剤は、約０．２５から０．４ｍｍの小径のノズルからの出口で約１００ｍ／ｓの速度に達し、液滴で噴霧され、吹き付けノズルの設計により決まる所与の開口角の扇形吹付けとして広がる。噴霧される被覆ミストは、通過するウェブの表面に当たる。ノズルは、ウェブのマシーン横断方向の幅に亘り、相互間で５０から７０ｍｍの距離で単一の直線アレイ若しくは複数アレイに配置されてよく、ウェブからのノズルの距離は、典型的には１０から１００ｍｍである。

同一のシリンダ９上でのコーターユニット７との協働は、複数の方向付けられた電極８を含むイオンブラストユニットに適合される。高電圧場は、電極８とシリンダ９の間に印加でき、これにより、電極先端から発するイオン化ガス分子の流れが、フード５から漏れようとしうる被覆ミスト４をイオン化し、次いで、電場の助けにより、ミストをウェブ１の表面に付着するよう方向付ける。浮遊被覆ミストを捕捉する機能をするこの装置は、コーターユニットと一体に構成されて良く、若しくは、代替的に、別の装置であってよい。しかしながら、効果的には、ミスト制御装置は、コーターユニット７に可能な限り近くに配置される。イオンブラスト技術に基づいた被覆ミスト制御方法及び装置は、本願出願人による欧州特許出願ＥＰ１０４０２２５に記載されており、その全内容は本出願に含められる。

第２のシリンダ９を離れる直後、ウェブ１は、次のシリンダ１０に至り、これにより、シリンダに対向しないウェブの外側が逆にされる。このシリンダは、ウェブの他の面を処理するための、上述のようなより小型のコーター及び被覆混合制御手段を内蔵する。第２の塗工段階後、ウェブ１は、次の塗工段階へと２つのドライヤシリンダ上を通過し、この際、塗工は、第１の塗工段階と同様の態様で行われる。この実施例は、非接触型のドライヤが塗工後のウェブの被覆側を乾燥させるために使用されないことを特徴とし、このことは、塗工される被覆の品質及び重量が、ウェブの処理された面がドライヤシリンダに出会う前に被覆が乾燥し十分に硬化するように、選択されなければならないことを意味する。従って、この構成は、軽量の被覆を付与するのに最も適している。尚、塗工はここでは２段階で行われるが、プロセスは、純粋な２層塗工でなく、むしろ、塗工は、塗工後のウェブの十分な乾燥を付与すべく２段階で生ずるように分離されるのであり、これにより、マシーン方向及びマシーン横断方向の双方でより円滑な被覆プロフィールが、複数の塗工段階を使用して得られる。しかし、十分に高い乾燥能力が利用可能な場合、塗工の回数は、２層被覆を生成するように増加でき、これにより、異なる種類の被覆混合物が、連続の塗工で使用できる。例えば、第１の塗工は、被覆でなく、表面サイズを用いて生成できる。

図２の組立体では、本発明によるコーターが、ウェブ１まわりで動作するのが示されている。組立体は、周囲から組立体の構成要素を分離するフード１１の内部に配置される。フード１１の開口側は、移動するウェブ１に対向する。ウェブ１は、鉛直方向に走行するように構成される。このウェブ走行の方向は、フードの自由内部空間内の液滴への塗工ミストの凝縮を防止し、塗工室の内部壁上のミストから凝縮されたウェブ処理物質と共に、塗工室内の浮遊ミストを回収して、流体若しくは大きな液凝縮体の処理物質がウェブに到達しないようにするための最も簡易な方法である。ウェブ１と協働して、フード１１は、３つの相互に連通する室Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４を画成する。コーター装置に対してウェブの反対側の領域は、コーター装置の周囲を示す空間Ｐ１として示されている。これらの空間の役割は、後に詳説する。

室Ｐ２は、基本的に、ウェブ１及び流れガイドバッフル１２により画成される。以下、この空間を塗工室と称する。流れガイドバッフル１２の上縁には、加圧エアダクト１３が設けられ、加圧エアダクト１３の、ウェブ１に対向する外壁１４は、ウェブに近接するように傾斜している。複数のエアジェットが、加圧エアダクト１３から噴射される。エアジェット穴１８は、ウェブに最も近いダクトの部位に適合され、これにより、そこから噴射されるエアジェットが、ウェブ１に直接的に当たる。このエアジェットは、ウェブ１を支持するか、若しくは、塗工室Ｐ２への、ウェブと共に走行する空気の入力を防止するように構成される。塗工室の通気は、ノズル１７から下方向斜めに塗工室Ｐ２の内部へと向けられるその他のエアジェット、及び、流れガイドバッフル１２の上端近傍で動作するように適合されたノズル１６からウェブ１の走行に平行に向けられたその他のエアジェットにより供給される。これらのエアジェットの機能は、吹き付けノズルの直線アレイ下方にある、ウェブ処理物質の吹き付けによって飽和させられる吹き付けミスト容積を拡大して、ミストが、ウェブ１とコーター装置の間にある隙間を介して漏れることができないようにし、且つ、吹き付けノズルの直線アレイ上部の構造上へのウェブ処理物質の堆積を防止することである。エアジェットの更なる機能、特にノズル６から方向付けられるジェットの更なる機能は、ウェブの直線移動により塗工室Ｐ２の内部に引き起こされうる有害な乱流を防止することである。加圧エアダクト１３は、開口１５から補給エアを受け、これにより、補給エアの内部流れが、また、ウェブに沿って入ってくるエアの量を低減する。

流れガイドバッフル１２の上縁は、加圧エアダクト及びノズル１６の直下に位置する。図１の実施例では、流れガイドバッフル上に、吹き付けノズル２１用の貫通穴１９を提供する水平方向２列の開口が形成される。貫通穴１９では、流れガイドバッフル１２は、ノズル２１のちょうど上でノズル２１の先端の背後に後方向に曲げられている一方、ノズル２１の下方の貫通穴の下縁は、流れガイドバッフル１２の基本面と同一面に調整されている。典型的には、バッフルの曲げ部は、流れガイドバッフルの基本面から背後に５から１０ｍｍだけ延在する。ノズル貫通穴の最も下の列の真下で、流れガイドバッフル１２は、ウェブ１に向かって曲げられ、吸引チャンネル２２の入口開口２３で終了するようにされる。吸引チャンネル２２及び吸引開口２３は、コーター装置のマシーン横断方向全幅に亘って延在する。吸引開口２３の下縁では、ガスナイフ２３が動作するように適合され、エアの流れが、下方に位置する加圧エア室２５から供給される。

ウェブに対して流れガイドバッフル１２の反対側には、仕切り２６が配置され、仕切り２６の背後には、吹き付けノズルビーム室Ｐ４内に収容されるノズルアレイビーム２７が配置される。ノズルアレイビーム２７には、流れガイドバッフル１２の少なくとも基本面まで仕切り２６の開口３１を介して延在するのに十分な長さ、効果的には、流れガイドバッフルの基本面を超えるほどの十分な長さを有する吹き付けノズル２１が搭載される。本実施例では、コーター装置は、２つの介在されたノズルアレイビーム２７を含み、それぞれは、そこに搭載される直線型のノズルアレイを有する。流れガイドバッフル１２と仕切り２６との間には、吸引室Ｐ３が形成され、そこでは、圧力は、塗工室Ｐ２及び吹き付けノズルビーム室Ｐ４の圧力よりも小さく維持される。吸引室Ｐ３の上部には、吸引室Ｐ３及びその下部に配置される吸引ダクト２２内に付着されうる堆積物を取り除く物質を吹き付ける一若しくはそれ以上のノズル２８が設けられる。この洗浄物質は、例えば水、適切な化学物質、ウェブ処理物質、表面サイズ若しくはそれらの混合物であってよい。適切な洗浄物質の選択は、主に、プロセスで使用されるウェブ処理物質の種類により決まる。例えば、炭酸カルシウム系の塗工仕上げが使用されるとき、組立体の構造上の堆積物は、効果的には、クエン酸のような希酸により除去される。酸は、カルシウム及び２酸化炭素へと炭酸カルシウムを分解する。吸引室Ｐ３は、流れガイドバッフル１２を貫通する吹き付けノズルアレイの高さの上方に位置する表面を冷却する手段２９，３０を含む。冷却は、冷却流体が満たされた通路により実現されてよい。

コーター装置は、流れガイドバッフル１２、移動するウェブ１、ウェブの入口側でノズル１８から噴射されるエアジェット、及び、ウェブの出口側でガスジェットナイフ２４により区画される吹き付け塗工領域をウェブ近傍に形成する。コーターにおいて、ウェブ１は、ウェブ１は、上述の吹き付け領域内で、ノズル２１から付与される吹き付け塗工ステップに晒され、ノズル２１は、塗工仕上げ剤、表面サイズ、若しくは、ポリマー塗工剤のような他の処理物質、ウェブを濡らすための水であってもよいウェブ処理物質の噴霧を噴射する。複数の吹き付けノズル２１が、ウェブのマシーン横断方向に亘って動作するように配置され、ウェブ上でのそれらの吹き付けパターンは、離散的若しくは部分的に重なるものであってよい。図２の実施例は、連続的に動作する２つの直線型のノズルのアレイを示しているが、ノズルアレイの数は、適宜変更されてよいことは明らかである。２若しくはそれ以上のノズルアレイを使用する利点は、それらが、例えば清浄や整備の必要時に代替的に使用できるということである。吹き付け塗工領域の上部領域は、ウェブを同時に支持するようにノズル１８を介して加圧エアダクトから放出されるエアジェットにより区画される。また、同一のダクトから、吹き付け塗工領域を換気するために、ノズル１６，１７を介してエアが放出される。エアジェットの機能は、吹き付けノズルの直線アレイ下方に留まる、ウェブ処理物質の吹き付け２０によって満たされる吹き付けミスト空間を拡大して、吹き付けノズルの直線アレイ上部の構造上のウェブ処理物質の堆積を防止することである。ノズル１６から放出されるエアジェットの更なる機能は、ウェブの直線移動により塗工室の内部に引き起こされうる有害な乱流を防止することである。塗工されている物質が、凝縮することが許容される場合、それは、液の蓄積を形成し、ウェブ処理物質の吹き付け内に落ちるときに、ウェブ１上に着陸し、塗工された被覆を劣化させる。

直線型ノズルアレイの上に位置する流れガイドバッフル１２の部分は、塗工室を支配する雰囲気の露点未満の温度まで冷却される。結果的には、冷却された表面上のミストからは、ウェブ処理物質の膜が凝縮し、流れガイドバッフルの表面に沿って下方に流れる。流体の処理物質の流れる膜は、浮遊ミストを捕まえ、これにより、ウェブ処理物質が乾燥し若しくはバッフルの表面上で固体化するのが防止される。ノズル２１の貫通穴１９の上縁は、吸引室Ｐ３に向かって内側に曲げられている。ここで、ウェブ処理物質の凝縮物が、流れガイドバッフル１２の表面に沿って下方に流される際、流れは、開口の湾曲した縁に沿い、従って、ノズル貫通穴１９を介して突出するノズル２１の先端の背後に流れが強制的に進行させられ、これにより、ウェブ処理物質の流体凝縮物が、ウェブ処理物質の吹き付け内に落ちることができなくなる。吸引室Ｐ３の圧力は、塗工室Ｐ２の圧力よりも小さく維持され、従って、塗工室Ｐ２から吸引室Ｐ３への流れがノズル貫通穴１９で誘起される。この点での流速は、十分に高くなければならず、ウェブ処理物質吹き付け２０の放出作用が、塗工室及びその塗工吹き付けへと凝縮液を吸引して戻してウェブ１上の有害な液になるのを可能とするのを防止する。十分に高い流速は、室間に適切な高い差圧を付与し、吸引室からのエアの十分高い排出流速を保証することによって保証出来る。このようにして、ノズル貫通穴を介した吸引流れは、ノズルの先端に形成された凝縮物と同様、吸引室Ｐ３内に収集される上方から下方に流れる凝縮物に向けられる。吸引室Ｐ３の圧力が吹き付けノズルビーム室Ｐ４の圧力より低く維持されるので、ウェブ処理物質の浮遊ミストが、吹き付けノズルビーム室Ｐ４及びコーターの内部に入るのを防止される。

ウェブ処理物質及び組立体の構造上に形成されるその凝縮物の過剰なミストは、組立体の下端に適合される吸引ダクト２２内に収集される。吸引ダクト２２は、負圧を吸引室Ｐ３に付与し、ウェブ処理物質の液相及びダクト内に吸引されるエアと同伴するそのミストを収集するために使用される。吸引ダクトの圧力は、周囲圧力に対して非常に低く維持されなければならず、円形断面の吸引ダクト２２に入る流れが実際に激しくなるようにする。コーター装置の真空システムは、吸引ダクト２２に接続される吸引ファンを含み、ダクトが、吸引ファンによりエアを排気されるようにする。ダクト２２は、吸引室Ｐ３と開口３２を介して連通するように構成されているので、塗工室は、吸引ダクト２２により負圧下に維持することができる。流れガイドバッフル１２の下部は、移動するウェブ１に向かって曲げられており、従って、吸引入口開口２３をウェブの近傍に位置付ける。吸引入口開口２３は、円形断面を有する吸引ダクト２２の内壁に接線方向に入口流れを方向付けるように形成されている。また、吸引室Ｐ３に入るその他の入口通路３２は、それに対して略接線方向に構成され、これにより、その一方の側面が、流れガイドバッフル１２の背後壁により形成される。入口通路の他方の壁は、流路壁３３によって形成される。流路壁は、流れガイドバッフル１２の背後壁と協働して、テーパーの付いた断面を入口通路に付与する。吸引ダクト２２への流速は、浮遊ミストの効果的な収集を実現するためにむしろ激しくなければならないので、高速流れが、テーパー付きダクト入口路及び入口開口２３，３２で確立でき、吸引ダクト入口のテーパー付き断面により更に増大される。これらの流れが吸引ダクト内に接線方向に入った後、強い渦が、吸引ダクト内部に生成され、これにより、流れの液相が吸引ダクト２２の壁にはね散らされ、従って、同伴したウェブ処理物質の部分を当該層に既にあるエアから分離する。同時に、ウェブ処理物質は、ダクトの内壁全体を濡らし、これにより、ダクト内のウェブ処理物質の乾燥を防止する。

本発明の特に特徴的な構成は、コーター装置構造の少なくとも２つの、効果的には、周囲空間Ｐ１の周囲圧力から隔離した３つの室Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４への分割である。塗工室Ｐ２の圧力は、ウェブ処理物質が周囲へ漏れるのを防止し塗工室内に蓄積される凝縮流体及び浮遊ミストを収集するため、周囲空間Ｐ１の圧力より低く、且つ、吸引室Ｐ３の圧力よりも高く維持されなければならない。効果的には、吹き付けノズルビーム室Ｐ４の圧力は、吸引室Ｐ３の圧力よりも上に維持され、ウェブ処理物質の浮遊ミストがコーター装置の内部空間に入るのを防止する。しかし、この室を真空に維持するのに代って、室を加圧することや、若しくは、代替的に、吹き付けノズル２１の貫通穴３１に気密シールを設けることも可能である。吸引ダクト２２及び吸引室Ｐ３で必要とされる負圧は、とりわけ、コーターシステムの大きさに依存し、典型的には、動作システムのこれらの空間は、周囲圧力より５０から６０００Ｐａ低い負圧が取られる。負圧の実際のレベルは、流速及び差圧が適切な高い流速を確立するのに十分である場合には決定的なものでないことは理解されるべきである。

本質的に、紙ウェブ１は、その走行に沿ってウェブ処理物質のミストをエアと共に捕捉する傾向にある。この浮遊粒子は、塗工室Ｐ２から漏れることが許容されなくてよい。図２の組立体では、ウェブ１の出口側は、コーターの出口端に位置し加圧エア室２５と連通するガスジェットナイフ２４によりシールされる。ガスジェットナイフ２４のスリットノズルから噴出されるガス、一般的にはエアは、効果的に、浮遊粒子ミストが周囲へと漏れるのを防止する。ブローワ若しくはコンプレッサが、加圧エア室２５の要求圧力を確立するために使用されてよく、その圧力が、周囲圧力より典型的には１００から６０００Ｐａ高い圧力レベルになるようにする。ガスジェットナイフ２４の上には、流れガイド３４が配置され、流れガイド３４は、塗工室Ｐ２内に至るまで、吸引ダクト２２の吸引入口開口２３を２つの通路に分離する。

流れガイド３４の機能は、下方向に落ちるウェブ処理物質液及びミストが、特にガスジェットナイフ２４と流れガイド３４の間の隙間を通る流れと共にガスジェットナイフに到達するのを防止することである。液体材料のガスジェットナイフ２４の上面上の堆積が生じた場合、典型的には０．１から２ｍｍの幅のガスジェットナイフの狭いスリットから排出される早いエア流れが、ウェブ１上に有害な液として液体を撒き散らすだろう。効果的には、流れガイド３４は、この空間での露点未満の温度まで冷却され、ウェブ処理物質の残留物が、流れガイドの表面上で乾燥した状態になれないようにする。効果的には、冷却は、例えば、流れガイド３４に中空を作成し、そこに冷却液通路を設定することによって実現できる。

図３の実施例では、塗工領域の上側の部位でのエアジェットは、流れガイドバッフル３５の適切な表面形状によって不要とされる。ここで、流れガイドバッフル３５は、ウェブ１の入口端でウェブに近接するよう配置され、次いで、塗工室を形成するようにウェブ１から離反する方向に曲げられるような表面形状を設定される。かかる表面形状により、入ってくるウェブと共に移動するエア境界層が、ウェブ１と流れガイドバッフル３５との間の隙間で強いエア流れを引き起こす。この激しいエア流れは、ウェブ処理物質のミストが周囲へと塗工室からウェブ１の入口側を介して漏れるのを防止する。次に、流れガイドバッフル３５の後方曲げ形状は、入ってくるエア流れの断面を急激に増加することを可能とし、これにより、エアの圧力及び速度が落ちる。結果的には、入ってくるエアの乱流が消え、流れが、ウェブ処理物質の吹き付け２０に最大パワーで到達することができなくなる。

ウェブ１と流れガイドバッフルの入口側端との間に残る隙間の近傍には、ウェブの入口隙間の湿ったエア若しくは蒸気を吹くノズル３５（複数でも可）が設けられ、塗工室に入るエアを湿らせ、室の冷却された表面上の凝縮を改善する。図３では、最も上側の直線型アレイの上の、冷却される領域２９は、図２の実施例と同様に、僅かにノズルアレイよりも上に延在して示されている。しかし、冷却領域は、更に延在してもよく、流れガイドバッフル３５の入口側端部まで延在してもよい。その他の詳細については、上述の組立体は、図２に示すものと同様である。

図４には、鉛直方向上側に走行するウェブを処理するのに適した実施例が示されている。ここで、吸引ダクト２２は、組立体の上側の部分に配置されるが、それ以外、コーター装置の基本構成及び機能は、上述のものと同一である。しかし、コーター装置のウェブ入口側には、液体凝縮物及び滴を収集するための第２の吸引ダクト３７が設けられなければならない。本実施例では、組立体の出口側の吸引ダクトは、塗工室Ｐ２に向かってのみ開口し、これにより、ダクトが浮遊ミストのみを収集する機能をする。吸引室Ｐ３の負圧は、吸引ダクト３７の入口側を介して付加される。

図５には、ノズルを清浄するための清浄構成が示されている。清浄のため、吹き付けノズルビーム室Ｐ４は、直線型ノズルアレイのそれぞれに対して、別の清浄室３８が設けられ、ノズル２１の端部は清浄室３８内に挿入することができる。清浄室３８は、プレート２１の端部に向けて清浄液を吹き付ける清浄ノズル３９、及び、使用した清浄液の除去のための排出ライン４０を内蔵する。清浄液の高圧ジェットをウェブ処理物質吹き付けノズル２１の端部に付加することによって、詰まったノズルオリフィスでさえも開口することが可能となり、これにより、ノズル本体にそのオリフィスを介して侵入する清浄液が内部に渦を引き起こし、これにより、ノズル本体の内部の垢及び凝縮物を除去することができる。ノズルアレイビーム２７のいずれも、自己の清浄室３８を有し、そこでは、全体のノズルアレイが単一のステップで清浄される。清浄ノズル３９は、ノズルアレイと平行に移動し一度に１つのノズルを処理するように構成されてよく、若しくは、代替的に、別の清浄ノズルが、アレイのウェブ処理物質ノズルのそれぞれに対して設けられてよい。流れガイドバッフル１２の貫通穴１９及び仕切りの開口３１は、ブラインドフラップ４１，４２を備え、ノズルアレイビーム２６及び吹き付けノズル２１がその清浄位置にあるときに開口を通る如何なる流れをも防止する。

図６の実施例は、両側ノズルアレイビーム４３を用いて実現され、ウェブ処理物質を吹き付ける吹き付けノズル２１は、反対方向に合わせられている。この構成は、清浄中も連続した態様で装置を稼動することを可能とする。図７の実施例は、吹き付けノズルの４つのビームシステム４４を使用する。ここに示すノズルビーム組立体は、１つが常に塗工位置にあり、２つが清浄位置に有り、１つが整備位置にある４つのノズルアレイを含み、ノズルの交換のような修理作業が実行できる。この実施例は、異なる位置へのノズルアレイの素早い切り替えを可能とし、ノズルアレイに実行される清浄や整備作業による中断を不要とする。この構造は、また、異なるノズルアレイのノズルの異なるサイズの使用を許容し、生産の紙グレードの素早い切り替えを容易にする。

上述に加えて、本発明は、代替実施例を有することができる。

上述の模範的な実施例において、ウェブ１は、鉛直方向上方向若しくは下方向に走行するように適合されている。しかし、異なるウェブ走行が推考されうり、実際に、コーター装置は、ウェブが、鉛直に若しくは如何なる斜め位置で、常時コーターの上を走行するように構成される場合に、如何なる位置にも適合できる。同時に両面塗工するためのシステムにおいて、ウェブは、鉛直方向に走行するように構成されなければならない。コーター装置の上側若しくはそのそばで直接的に走行するウェブを有することによって、ウェブ処理物質の凝縮物が、ウェブ上に着陸するのが防止される。また、ノズルアレイ及びノズルビームの数は、模範的実施例のものから変化されてもよい。従って、単一のノズルビーム組立体が、例えば３つの直線型ノズルアレイを含んでよく、コーター装置内の直線型ノズルアレイの数は、利用可能な空間によって許容される可能な限り大きい数でありうる。ノズルは、効果的には、連続する直線型アレイ組立体として操作され、これにより、清浄、整備及び動作位置間の移送及び各位置での操作が最も単純化される。明らかに、ノズルの個々の取り扱いが推考されうるが、この代替例は、装置の構成を複雑化する。同時両面塗工が、ウェブの反対側の個々のノズルと正確に位置合わせされた個々のノズルを備えるノズルアレイを有することで実現できるが、反対のノズルアレイ及び可能であればその個々のノズルが互いに千鳥配置された場合、一般的にウェブの制御がより容易であることがわかっている。上述の模範的実施例において、落ちてくる膜は、凝縮するミストから流れガイドバッフル上に形成される。あるウェブ処理物質若しくは所与の動作条件が、凝縮を形成するほど十分な量のミストを生成しない場合、落ちてくる膜は、流れガイドバッフルの上縁で動作するように構成されたノズル若しくは狭いスリットによって確立することができる。明らかに、落ちてくる膜は、現に使用されているウェブ処理物質以外の他の物質から生成されてもよい。吸引ダクトの断面は、円形と異なってもよいが、エア流れの渦は、円形断面のダクトで最も容易に誘起され、更に、この種のダクトは、乾燥したウェブ処理物質が蓄積しうる角部を有さない。ウェブの出口側で塗工室をシールするガスジェットナイフの上側のリップは、ウェブに到達するように形成されてよく、最終的にウェブに平行に曲げられてよく、これにより、ガスジェットナイフにより誘起されるエア流れは、ガスジェットナイフの先端まで湾曲形状に沿い、従って、ガスジェットナイフが汚れない状態に保たれる。

本発明による吹き付けコーター組立体を利用するコーター構成を示す図である。 本発明の第１実施例を示す図である。 本発明の第２実施例を示す図である。 反転した動作位置での図３の組立体を示す図である。 図３の組立体と、それと協働する清浄システムの第１実施例を示す図である。 図３の組立体と、それと協働する清浄システムの第２実施例を示す図である。 図３の組立体と、それと協働する清浄システムの第３実施例を示す図である。

Claims (18)

1. 紙若しくは板紙の移動するウェブにウェブ処理物質を施すための組立体であって、
   移動するウェブの近傍に配置され、ウェブに対向する塗工室であって、ウェブ、コーター装置の壁（１２）、及び、塗工室のウェブ入退側で動作するように適合されたシール手段（１８，２４，３５）によって画成される塗工室と、
   ウェブ上にウェブ処理物質を吹き付けるための少なくとも１つのノズルを内蔵する少なくとも１つの直線型ノズルアレイと、
   ウェブの方向から見て塗工室の背後に位置し、塗工室と連通するように構成された吸引室と、
   塗工室の圧力を周囲圧力より低くし、吸引室の圧力を塗工室の圧力より低くして、吸引室及び塗工室内の流れを確立することでウェブ処理物質のミスト及び堆積を取り除く手段（２２）であって、前記組立体内に含まれる前記物質の自由流れ方向が、周囲から塗工室に向かい、次いで、塗工室から吸引室及び該流れを確立する手段（２２）に向かうようにする手段（２２）とを含み、
   前記吸引室が、前記塗工室を区画しウェブに対向する壁（１２）の下縁部を介して前記塗工室に開口するように構成され、ウェブ処理物質がウェブに付着しないようにし、装置の形成される凝縮物がコーター装置内から吸引ダクト（２２）を含む１つの同一経路を介して除去されることができるようにされた、組立体。
2. 前記流れを確立する手段は、吸引室の端部に適合される吸引ダクト（２２）、及び、該ダクトに接続される吸引ファンを含むことを特徴とする、請求項１記載の組立体。
3. 前記吸引ダクトは、円形の断面を有し、前記吸引ダクトは、吸引ダクトに渦を誘起するために、前記円形断面に対して少なくとも部分的に接線方向に向けられた開口（２３，３２）を介して吸引室及び塗工室に接続されることを特徴とする、請求項２記載の組立体。
4. 塗工室に対して吸引室の背後に位置する吹き付けノズルビーム室であって、その圧力が吸引室の圧力より高くとどまるように吸引室と連通するよう構成された吹き付けノズルビーム室によって特徴付けられる、請求項１乃至３のいずれか記載の組立体。
5. 塗工室が、ウェブ処理物質吹き付けノズルを収容するための貫通穴を有する流れガイドバッフルにより部分的に区画され、該貫通穴の少なくとも上部が、塗工室から吸引室に至るように曲げられていることを特徴とする、請求項１乃至４のいずれか記載の組立体。
6. 前記直線型ノズルアレイの上側に位置する流れガイドバッフルの領域の少なくとも一部が、該流れガイドバッフルを冷却する手段（２９，３０）を含むことを特徴とする、請求項６記載の組立体。
7. ウェブの走行方向で吸引室の前記開口からの下流が、塗工室をシールするガスジェットナイフ（２４）に適合することを特徴とする、請求項６記載の組立体。
8. ウェブが、前記コーター装置の上側を走行するように構成されていることを特徴とする、請求項１乃至７のいずれか記載の組立体。
9. ウェブが、鉛直方向に走行するように構成されていることを特徴とする、請求項１乃至８のいずれか記載の組立体。
10. 前記コーター装置は、両面塗工を実行するためにウェブの両側で動作するように構成されていることを特徴とする、請求項１乃至９のいずれか記載の組立体。
11. 塗工室に連通する吸引ダクトの開口（２３）、若しくは、前記ガスジェットナイフの上側のリップに適合し、前記ガスジェットナイフの汚れを防止するエアフローガイド（３４）によって特徴付けられる、請求項７記載の組立体。
12. 吹き付けノズルビーム室の内部で動作するように適合され、前記少なくとも１つの直線型ノズルアレイのノズル（２１）を有する少なくとも１つのノズルアレイビーム（２７）であって、少なくともその動作可能位置及び少なくとも１つの他の位置ま で回転できるようにされたノズルアレイビーム（２７）によって特徴付けられる、請求項４記載の組立体。
13. 吹き付けノズルビーム室の内部で動作するように適合され、ウェブ処理物質吹き付けノズルを収容するように位置し、ウェブ処理物質吹き付けノズルの先端に洗浄用物質を吹き付ける少なくとも１つの清浄ノズル（３９）を内蔵する少なくとも１つの清浄室（３８）によって特徴付けられる、請求項１２記載の組立体。
14. 少なくとも２つの直線型ノズルアレイを有する少なくとも１つの吹き付けノズルビーム組立体（４３，４４）によって特徴付けられる、請求項４又は１２記載の組立体。
15. 湿りガス若しくは湿り蒸気を塗工室内に吹き込む少なくとも１つのノズル（３６）によって特徴付けられる、請求項１乃至１４のいずれか記載の組立体。
16. 吸引室内へ清浄用物質を吹き付ける少なくとも１つのノズル（３８）によって特徴付けられる、請求項１乃至１５のいずれか記載の組立体。
17. 前記直線型ノズルアレイ、及び、効果的にはそのノズルも、互いに対向して動作するように位置付けられていることを特徴とする、請求項１０記載の組立体。
18. 前記直線型ノズルアレイ、及び、効果的にはそのノズルも、ウェブの走行を安定化させるために、千鳥状に位置付けられていることを特徴とする、請求項１０記載の組立体。

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