JP3945910B2 - 光ファイバ及び光ファイバケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性を有する光ファイバ及び光ファイバケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック光ファイバは安価、軽量、柔軟性、大口径という特長を生かして照明用途、FA、通信分野などで実用化されており、コア材がポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」という)系のものが主流となっている。PMMAをコア材としたプラスチック光ファイバは、PMMAのガラス転移温度(Tg)が100℃程度であることから、より耐熱性の高い重合体を外側に被覆しても実際に使用できる温度は115℃程度が上限である。このためさらに耐熱性が要求される用途ではPMMAより耐熱性の高い材料をコア材として使用することが不可欠であり、ポリカーボネート(特開平6−200004号公報、特開平6−200005号公報)、α−フルオロアクリレート系重合体(特開平4−191707号公報)、耐熱性の高い脂環式基を主鎖に有する非晶性ポリオレフィン(第8回POFコンソーシアム講演要旨集)など種々の素材をコア材とする光ファイバが提案されている。
【0003】
しかしコア材としてポリカーボネートを用いた光ファイバはコア材の精製、異物除去等が困難であり、PMMAの光ファイバと比べて伝送特性が大きく劣る。また、プラスチック光ファイバのクラッド材として広く用いられるフッ化アルキル(メタ)アクリレート系の(共)重合体、フッ化エチレン系の(共)重合体はポリカーボネートとの相溶性が悪いため、ポリカーボネートをコア材に用いた光ファイバはコアとクラッドの密着性が低く、その界面の剥離等光ファイバの構造変化を起こしやすい。
【0004】
また、αーフルオロメタクリレート系の重合体は耐熱分解性が悪く分解物による着色等の問題が生じるため、これをコア材として用いた光ファイバは長期の熱安定性が低い。
【0005】
アートン(日本合成ゴム)、ゼオネックス(日本ゼオン)、アペル(三井石油化学)として上市されている脂環式基を主鎖に有する重合体は精製が困難であり、これらをコア材に用いた光ファイバは、ポリカーボネートをコア材とする光ファイバと同様に、伝送性能やコアとクラッドの密着性が低い等の問題点を有している。
【0006】
このような問題を解決するものとして、ボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート等の脂環式基を側鎖に有するメタクリレートとメチルメタクリレート(以下「MMA」という)との共重合体をコア材とする伝送特性が比較的良好な光ファイバが提案されている。(特開平63−74010号公報、特開昭63−163306号公報など)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし通常の脂環式基を側鎖に有する(メタ)アクリレートの単量体単位を有する重合体をコア材とする光ファイバは、高温保持時にコア材の重合体の脂環式基が脱離するという問題、即ちコア材の耐熱分解性が悪く、溶融賦形して光ファイバとする際の熱劣化が著しいという問題があった。
【0008】
本発明の目的は耐熱性及び伝送特性に優れ、かつコア材の熱劣化が小さいプラスチック光ファイバ及び光ファイバケーブルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記式(2)で示される単量体単位を含有する重合体をコア材とする光ファイバにある。
【0011】
【化6】
又、本発明の要旨は、2種類以上の単量体単位M1、M2、…及びMn(nは2以上の整数)からそれぞれ構成され、屈折率が順次低下する単独重合体HP1、HP2、…及びHPn、並びにこれら単量体単位の二種類以上から構成される共重合体CPの一種類以上からなる群より選ばれる重合体を同心円状に積層した多層構造のコアであって、中心部の屈折率が最も高く、外周部に向かって屈折率が順次低下してなるコアを有する光ファイバであって、単量体単位M1、M2、…及びMnのいずれか一つが式(2)で示される単量体単位である光ファイバにある。
【0012】
更に本発明の要旨は前記光ファイバの外周部に被覆層を備えた光ファイバケーブルにある。
【0013】
【発明の実施の形態】
まずクラッドと単一のコアからなり屈折率がコアとクラッドとの界面で急激に変化するステップインデックス型マルチモード光ファイバ(以下「SI型光ファイバ」という)を念頭に置いて本発明の光ファイバを説明する(第一の実施態様)。
本発明においては式(1)及び式(2)で示される単量体(それぞれ(1−メチルトリシクロヘプチル)メチルメタクリレート及び(1−メチルヘキサシクロドデシル)メチルメタクリレート、以下それぞれ「MTCMA」及び「MHCMA」と略す)単位の少なくとも一方を有する重合体をコア材として用いる。
【0014】
一般に脂環式基の結合した(メタ)アクリルエステル系重合体は高温保持時に脂環式基が脱離する。即ちこの重合体は耐熱分解性が悪い。しかしMTCMA単位及びMHCMA単位は脂環式基がメチレン鎖を介してエステル基に結合しているため脂環式基の脱離を起こしにくい。そのため、MTCMA単位またはMHCMA単位を有する重合体はガラス転移温度が高く、耐熱分解性が良好であり、また精製が容易であるという特徴を有する。即ちこの重合体をコア材として用いた光ファイバは優れた耐熱性及び伝送特性を備え、かつ溶融賦形時のコア材の熱劣化が小さい。重合体のTgは115℃以上であることが好ましく、125℃以上であることが更に好ましい。
【0015】
ところで、MTCMA単位のみからなる単独重合体のTgは約136℃、MHCMAの単量体単位のみからなる単独重合体のTgは163℃である。光ファイバの耐熱性を重視する場合はTgがより高いMHCMA単位を用いることが好ましい。一方コア材の透明性を重視する場合は、より精製が容易なMTCMA単位を用いることが好ましい。又、MTCMA単位及びMHCMA単位を併用することも可能である。
【0016】
本発明の光ファイバのコア材を構成する重合体としては、MTCMA単位及び/又はMHCMA単位のみからなる重合体だけでなく、耐熱温度、曲げ、機械強度など要求される特性に応じて他の単量体単位との共重合体を用いることもできる。
【0017】
MTCMA単位またはMHCMA単位と他の単量体単位との共重合体とする場合に、コア材のTgが115℃以上と高く耐熱性が十分な光ファイバを得るためには、MTCMA単位のみが共重合されている場合には、重合体中に40重量%以上含まれていることが好ましく、50重量%以上含まれていることが更に好ましい。また、MHCMA単位のみが共重合される場合には、重合体中に25重量%以上含まれていることが好ましい。また、自動車のエンジンルームのような高温下において使用する場合に、コア材のTgを125℃以上とするためには、MTCMA単位のみが共重合されている場合には重合体中に70重量%以上含まれていることが特に好ましい。また、MHCMA単位のみが共重合されている場合には重合体中に40重量%以上含まれていることが更に好ましい。MTCMA単位及びMHCMA単位と他の単量体単位との共重合体とする場合のMTCMA単位及びMHCMA単位の含有量は要求されるTg及び透明性に応じて適宜調整する。この場合、MTCMA単位及びMHCMA単位の合計含有量が25重量%以上であることが好ましい。
【0018】
MTCMA単位及び/又はMHCMA単位とMMA単位とからなる共重合体をコア材として用いると、伝送特性及び機械強度の良好なプラスチック光ファイバを得ることができ、好ましい。例えばMMA/MTCMA=50/50(重量%)の共重合体のTgは118℃であり、これをコア材とした光ファイバは伝送特性及び機械強度に優れるだけでなくPMMAをコア材とする光ファイバと比較して耐熱性が飛躍的に向上する。又、MTCMA単位及びMHCMA単位はMMAとの共重合性も良好である。さらに本発明においては耐熱性及び透明性が失われない範囲で、MTCMA、MHCMA、MMA以外にも共重合可能な単量体を共重合することが可能である。伝送特性、機械的強度、及び耐熱性を高いレベルで兼ね備える光ファイバを得るためには、MMA/MTCMA/他の共重合可能な単量体=10〜60/40〜85/0〜25(重量%)の共重合体とすることが好ましい。また、MMA/MHCMA/他の共重合可能な単量体=10〜75/25〜85/0〜25(重量%)の共重合体とすることが好ましい。
【0019】
コア材を構成する重合体の分子量は特に限定されないが、70,000〜125,000程度であることが好ましい。
【0020】
本発明の光ファイバのクラッド材としては、公知のフッ素系重合体などを用いることができるが、光ファイバの耐熱性を良好なものとするためにはTg、又は示差走査熱量測定(DSC)により測定される溶融温度Tmがファイバの使用環境付近の温度以上すなわち115℃以上のものを用いることが好ましい。このようなクラッド材としては例えばフッ化ビニリデン単位とテトラフルオロエチレン単位とからなる共重合体、MTCMA単位またはMHCMA単位とフッ素化アルキルメタクリレート単位とからなる共重合体、α−フルオロアクリレート系の重合体、及びフッ素化アルキルアクリレート単位と多官能アクリレート単位等からなる架橋フッ素化重合体等があげられる。
【0021】
次に、コアの屈折率が段階的に変化する構造を有する光ファイバについて説明する(第二の実施態様)。
この光ファイバは例えば、2種類以上の単量体単位M1、M2、…及びMn(nは2以上の整数)からそれぞれ構成され、屈折率が順次低下する単独重合体HP1、HP2、…及びHPn、並びにこれら単量体単位の二種類以上から構成される共重合体CPの一種類以上からなる群より選ばれる重合体を同心円状に積層した多層構造のコアであって、中心部の屈折率が最も高く、外周部に向かって屈折率が順次低下してなるコアを有する光ファイバである。
【0022】
まずコアを構成する重合体の共重合組成について説明する。理解を容易にするために単量体単位の数nが3の場合について一般的な説明を行う。単量体単位の数nが3の場合、3種類の単独重合体HP1、HP2及びHP3はそれぞれ各単量体単位M1、M2及びM3から構成される。また、共重合体CPはそれぞれ2種類の単量体単位M1とM2もしくはM2とM3、または3種類の単量体単位M1、M2及びM3から構成される。これらのひとつのCP(またはひとつのHP)と他のCPは互いに相溶性の良いものを選択するのが好ましい。
【0023】
このような重合体が中心部の屈折率が最も高く、外周部に向かって屈折率が順次低下するように積層されて光ファイバのコアが構成される。高屈折率の重合体は、単量体単位M1からなる単独重合体HP1、単量体単位M1と単量体単位M2とからなる種々のモル組成比の共重合体CP、又は、単独重合体HP1と単独重合体HP2とからなる種々の混合組成比のブレンド重合体BPとして調製される。なお、単量体単位M1の含有量を多くすることにより3種類の単量体単位M1、M2及びM3から構成される共重合体CPを高屈折率重合体として用いることも可能である。
【0024】
又、低屈折率の重合体は同様にして、単量体単位M3の単独重合体HP3、単量体単位M3と単量体単位M2との種々のモル組成比の共重合体CP、又は、単独重合体HP3と単独重合体HP2との種々の混合組成比のブレンド重合体BPとして調製される。なお、単量体単位M3の含有量を多くすることにより3種類の単量体単位M1、M2及びM3から構成される共重合体CPを低屈折率重合体として用いることも可能である。
以上n=3の場合について説明してきたが、nが他の数の場合も以上の説明を応用できる。
【0025】
本発明においては単量体単位M1、M2、…及びMnのいずれか一つがMTCMA単位又はMHCMA単位である。即ち、コアを構成する多数の層のうち少なくとも一つの層がMTCMA単位及びMHCMA単位の少なくとも一方を含有する重合体からなる。MTCMA単位又はMHCMA単位を含有する重合体からなる層の断面積が光ファイバ全体の断面積に占める割合を大きくするほど、また各層を構成する重合体中に占めるMTCMA単位又はMHCMA単位の含有量を多くするほど、光ファイバの耐熱性は向上する。各層を構成する重合体中のMTCMA単位又はMHCMA単位の含有量は耐熱温度、曲げ、機械強度など要求される特性に応じて適宜設定される。
【0026】
単量体単位M1、M2、…及びMnのうちMTCMA単位又はMHCMA単位以外の単量体単位は公知のものから適宜選択されるが、伝送特性及び機械強度の良好なプラスチック光ファイバを得るためには、MMA単位などが好ましい。単量体単位M1及びM2を用い、M1としてMTCMA単位又はMHCMA単位を用い、M2としてMMA単位を用いることが更に好ましい。
【0027】
この第二の実施態様の光ファイバの構造についてさらに説明する。この光ファイバのコアは、伝送性能を良好なものとするにはできる限り上記のように各層間で屈折率が急激に変化するものとすることが望ましいが、階段状の屈折率分布を有する中間層として、混合層を配置することも可能である。ここで言う「混合層」はその両側の非混合層を構成する2つの重合体の混合物で構成される層である。この混合層において屈折率はなだらかに変化している。
【0028】
伝送する情報量を決定する伝送帯域をさらに向上するためにこのような混合層を配置することが有効である。混合層の割合が多すぎると光伝送損失が大きくなる。そこで光伝送帯域の大きさと光伝送損失の大きさのバランスを考慮して、屈折率分布の形状が選定される。混合層の厚みは、一般的に、半径方向における混合層の位置によって異なり、目標とする帯域性能や、層数にも依存するが、それぞれ0.3〜100μm程度が好ましく、1〜10μm程度であることがより好ましい。
【0029】
混合層と非混合層との界面における急な屈折率変化を抑え、界面での光散乱損失を小さくするため、隣接する非混合層間の屈折率差は小さいほど好ましく、0.016以下、より好ましくは0.008以下である。
【0030】
混合層を配置する場合、混合される重合体同士の相溶性を高め、光散乱損失が小さいブレンド重合体を得るため、隣接する非混合層を構成するCP(またはHP)とCPとの間の共重合組成比差をできるだけ小さくすることが好ましい。この共重合組成比の差は20モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることが更に好ましい。
【0031】
本実施態様の光ファイバは、コアのみから構成することができる。開口角を大きくし、光ファイバを曲げた場合の光の漏れを小さくして伝送特性を良くするためには、コアの外周部にクラッドを設けることが好ましい。クラッドは2層以上の多層構造とすることができる。クラッド材としては前記第一の実施態様のクラッド材として例示した重合体などが使用可能である。
これらの点を除き、第一の実施態様の説明を応用して光ファイバを構成することが可能である。
【0032】
以上説明した構造の光ファイバ以外に、本発明の光ファイバは第一の実施態様において説明したコア材を用いて、コアの屈折率がなだらかに変化するグレーデッドインデックス型マルチモード光ファイバ(以下「GI型光ファイバ」という)とすることも可能である。GI型光ファイバとしては例えば重合体と低屈折率及び又は高屈折率のドーパントからなるコアを有する光ファイバであってドーパントの分布により屈折率分布が付与されているもの、重合体のみからなるコアを有する光ファイバであって中心から外周に向かって重合体の共重合組成比が変化しているものなどがある。GI型光ファイバはコアのみから構成することも、コアの外周部にクラッドを設けることも可能である。また、本発明の光ファイバは複数の島部が互いに隔てられた状態で共通の海部により一体化されてなる海島型の光ファイバとすることもできる。海島型の光ファイバにおいては島部全体をコアとすることも島部をコアとクラッドから構成することも可能である。コア材としては第一の実施態様において説明したものが用いられ、海部を構成する材料としては前記のクラッド材として例示した重合体などが使用可能である。なお、本発明は以上例示した光ファイバに限定されない。
【0033】
本発明において、コア/クラッド構造又は海島型の光ファイバの外周部に保護層を形成することができる。この材料としては、前記のコア材やクラッド材として例示したものを用いてもよく、その他の無機材料または有機材料を用いてもよい。
【0034】
コア材の製造方法、すなわち重合方法は、公知の(メタ)アクリル系単量体の重合方法が使用される。伝送特性に優れた光ファイバを得るためには、熱開裂型の重合開始剤を用いた塊状重合法により重合体を製造することが好ましい。
【0035】
屈折率が段階的に変化する構造を有する光ファイバのコアを製造する場合は例えば各層に用いる重合体を複合紡糸ノズルを用いて積層して押出賦形するなど公知の方法が使用される。GI型光ファイバのコアや海島型光ファイバを製造する場合も公知の方法が使用される。
【0036】
コアの外周部にクラッドを形成する方法は特に限定されず、公知の方法が使用される。例えばクラッド材を酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の溶媒に溶解して得られる溶液を、コーティング法、浸漬法によってコアの表面に被覆することによりクラッドを形成することができる。又、SI型光ファイバを製造する場合、複合紡糸ノズルを用いた複合紡糸法によりコア及びクラッドを押出賦形することにより、クラッドを形成することもできる。屈折率が段階的に変化する構造を有する光ファイバまたはGI型光ファイバのコアにクラッドを形成する場合も同様の方法が使用可能である。
【0037】
また、コアの外周部にクラッドを形成する場合と同様にしてコア/クラッド構造の光ファイバのクラッドの外周部に保護層を形成することができる。即ち、コーティング法や浸漬法を用いたり、複合紡糸ノズルを用いてコア、クラッド及び保護層を押出賦形することにより、保護層を形成することができる。海島型の光ファイバについても公知の複合紡糸ノズルなどを用いて光ファイバの外周に保護層を形成することが可能である。
【0038】
また、本発明のコア/クラッド構造もしくは海島型の光ファイバ、又はコア/クラッド/保護層構造の光ファイバもしくは保護層付きの海島型の光ファイバに更なる耐候性・耐熱性を付与するため、被覆層を光ファイバの外周部に形成し光ファイバケーブルとすることも可能である。被覆層を構成する被覆材は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、各種UV・紫外線硬化樹脂など、公知の材料から適宜選択することが可能である。また耐熱性向上の観点からはナイロン、ポリアミド、ケブラー、シリコン樹脂などの耐熱性に優れた材料を用いることが望ましい。
【0039】
ケーブルの加工方法は特に限定されず、被覆材の物性によって適宜選択することができる。走行する光ファイバの側面から溶融された被覆材を流し込んで被覆するT型ダイを用いて光ファイバに被覆する方法が加工性に優れているので好ましい。
【0040】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
参考例1
MTCMA/MMA=70/30(重量%)の共重合体(Tg125℃)をコア材として用い、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=80/20(重量%)の共重合体をクラッド材として用い2層の複合紡糸ノズルから同時に押しだして糸状体を形成した。なお、この時の複合紡糸ノズルの温度は220℃であり、コア材とクラッド材との吐出比は96:4(断面の面積比)であった。140℃に加熱した延伸部にこの糸状体を通過させ2倍に延伸してSI型プラスチック光ファイバを製造した。この光ファイバの直径は1mmでクラッドの厚みは10μm、コアの直径は980μmであった。
【0041】
励振NA0.1、測定波長650nmにおける光ファイバの伝送損失を15m−5mカットバック法にて測定したところ220dB/kmであった。また、この光ファイバを120℃の雰囲気中に1000時間放置した後の損失増加は26dB/kmであった。
【0042】
実施例2〜実施例4
表1に示したコア材及びクラッド材を用いた点を除き参考例1と同様にしてSI型光ファイバを製造し、表1の結果を得た。
【0043】
比較例1及び比較例2
表1に示したコア材及びクラッド材を用いた点を除き参考例1と同様にしてSI型光ファイバを製造し、表1の結果を得た。比較例1の光ファイバは耐熱性が、比較例2の光ファイバは伝送特性が劣っていた。
【0044】
実施例5
表1に示したコア材(Tg=146℃)及びクラッド材を用い、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=80/20(重量%)の共重合体を保護層として用いて3層の複合紡糸ノズルから押しだし、コア材、クラッド材及び保護層材の吐出比を95:2:3(断面の面積比)とした点を除き参考例1と同様にして光ファイバを製造した。得られた光ファイバは直径が1mmでコア径が970μm、クラッドの厚みが8μm、保護層の厚みが7μmであった。表1の結果を得た。
【0045】
実施例6
コア材として中心から順にMHCMAの単独重合体、MHCMA/MMA=85/15(重量%)の共重合体、及びMHCMA/MMA=70/30(重量%)の共重合体を用い、クラッド材としてフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=80/20(重量%)の共重合体を用い4層の複合紡糸ノズルから同時に押しだして糸状体を形成した。また、吐出比を中心から順に50:30:18:2(層厚比)とした。これらの点を除いて参考例1と同様にしてコアの屈折率が段階的に変化する構造を有する光ファイバを得た。
実施例1と同様にして評価したところ光ファイバの伝送損失及び損失増加はそれぞれ251dB/km及び32dB/kmであった。
【0046】
実施例7
表1に示したコア材及びクラッド材をそれぞれ島材及び海材として用い、ホール数が127個の複合紡糸ノズルから吐出して直径1mm、島径80μmの海島型光ファイバを製造し、表1の結果を得た。
【0047】
実施例8、実施例9
実施例2及び実施例4の光ファイバの外周部に、被覆用ダイを用いて溶融温度140℃のポリエチレンを被覆し、直径2.2mmのプラスチック光ファイバケーブルを製造し、表2の結果を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明の光ファイバ及び光ファイバケーブルは、耐熱性及び伝送特性に優れ、かつコア材の熱劣化が小さい。
Claims (3)
- 請求項1または2に記載の光ファイバの外周部に被覆層を備えた光ファイバケーブル。
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WO2018124069A1 (ja) | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 株式会社クラレ | メタクリル共重合体および成形体 |
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1998
- 1998-06-18 JP JP17151298A patent/JP3945910B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2018124069A1 (ja) | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 株式会社クラレ | メタクリル共重合体および成形体 |
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