[go: up one dir, main page]

JP3942431B2 - タンパク質−分子間相互作用解析法 - Google Patents

タンパク質−分子間相互作用解析法 Download PDF

Info

Publication number
JP3942431B2
JP3942431B2 JP2001520104A JP2001520104A JP3942431B2 JP 3942431 B2 JP3942431 B2 JP 3942431B2 JP 2001520104 A JP2001520104 A JP 2001520104A JP 2001520104 A JP2001520104 A JP 2001520104A JP 3942431 B2 JP3942431 B2 JP 3942431B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
molecule
labeled
target molecule
binding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001520104A
Other languages
English (en)
Inventor
弘志 柳川
直人 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP3942431B2 publication Critical patent/JP3942431B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • G01N33/542Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with steric inhibition or signal modification, e.g. fluorescent quenching
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

技術分野
本発明は、C末端がラベル化されたタンパク質と相互作用する分子を同定する方法に関する。本発明により、現在急速に蓄積されている遺伝子の塩基配列がコードするタンパク質の機能解析、例えばタンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−核酸相互作用、タンパク質−低分子化合物相互作用等の解析を迅速化するための手段が提供される。また、本発明はタンパク質の機能解析において不可欠である大量のデータを迅速に解析する方法(ハイスループット化)において有力な手段を提供する。
背景技術
分子生物学の進歩により、個々の遺伝子産物の解析が容易となった結果、生命現象を分子レベルで解析することが可能となった。例えば、タンパク質−タンパク質相互作用やタンパク質−核酸相互作用等の解析による生化学的機能解析を通して、遺伝子産物であるタンパク質の機能が解析される。
タンパク質−タンパク質相互作用の解析法としては、イーストツーハイブリッド(yeast two hybrid)法(Chien,C.T.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,9578−9582(1991))、ファージディスプレー法(Smith,G.P.,Science,228,pp.1315−1317(1985))、GST−融合タンパク質プルダウン法、免疫共沈法等が知られている。GST−融合タンパク質プルダウン法、及び免疫共沈法では、試験管内で反応が行われるのに対し、イーストツーハイブリッド法では、細胞内での相互作用が検出される。
タンパク質−核酸相互作用の解析法としては、電気泳動移動度シフトアッセイ(electrophoresis mobility shift assay)法(Revzin,A.,et al.,Anal.Biochem.,153,172(1986))、DNaseIフットプリント法(Calas,D.,et al.,Nucleic Acids Res.,,3157(1978))、メチル化緩衝法等が知られている。電気泳動シフトアッセイ法では、目的の核酸配列を有する断片を放射線同位元素等で標識してプローブとし、これとタンパク質ライブラリーを接触させ、次いでポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出する。タンパク質−核酸相互作用が存在すると、プローブの元の移動度と異なるバンドが検出される。この方法によれば、タンパク質が認識し結合する核酸配列、及びタンパク質内のDNA結合ドメイン等を解析できる。
一方、遺伝子産物であるタンパク質を直接ラベルし、相互作用を検定する方法も知られている。この方法は、ラベル化されたタンパク質から発せられる信号が、該タンパク質が他分子との相互作用することにより変化することを用いて解析するため、上記した方法と比し、感度、正確性において優れた方法である。
タンパク質の直接ラベル化方法としては、無細胞翻訳系や生細胞で遺伝子を発現させる際、基質となるアミノ酸を35S、H、14C等の放射能性同位元素でラベルしたものを用いることによりタンパク質に取り込ませる放射能ラベル化法が一般的である。しかし、この場合放射能を利用するため安全管理上、特別な施設等が必要とされる。
放射性化合物を利用しない方法としてはラベル化tRNAを用いる方法が知られている。この方法によれば、まず、アミノ酸のリジンのε−アミノ基にビオチン等のラベル物質を共有結合させ、これをリジン等のアンチコドンをもつtRNAにエステル結合させたもの(ビオチン−リジン−tRNA)を合成し、無細胞翻訳系に投入し、翻訳産物であるタンパク質をビオチン化する。この方法により作成されたタンパク質は、電気泳動後、メンブレンに移し、アルカリフォスファターゼとストレプトアビジンとの融合タンパク質によって化学発光させる。これを、X線フィルム等を使って、翻訳産物を同定する(Promega社、(1993)Technical Bulletin,No.182,P.2)。この方法は、合成したビオチン−リジン−tRNAが極めて不安定(−70℃で6カ月)であり、高価であるという欠点を有する。さらに、翻訳されたタンパク質は、複数のリジン側鎖がビオチンで修飾され、しかも、その修飾される側鎖は各分子ごとに異なるため、同一の遺伝子から翻訳されたにも関わらず、機能及び構造が本来のものとは異なる複数の翻訳産物が得られる。そのため、タンパク質の機能解析を極めて難しいものにする。
また、タンパク質のアミノ酸のNH、SH、OH基に、直接、化学的に蛍光物質を結合させる方法が複数知られている(PanVera社、(1998)Fluorescence Polarization Applications Guide Chapter 7)。しかし、これらの方法はどれもタンパク質を変性させる条件下で化学結合させるため、タンパク質の構造及び機能を著しく変化させる可能性が高い。しかも、蛍光物質がタンパク質の側鎖に部位特異的に結合することなく、複数の側鎖に非特異的に結合するため、本来のものとは構造及び機能が異なるタンパク質が複数存在することになり、タンパク質の機能解析において正確な情報が得られない。さらに、この化学修飾法においては、目的のタンパク質の精製操作が不可欠である。
本発明者等は、ピューロマイシン等の核酸誘導体を用いて翻訳系中でタンパク質のC末端にラベル物質を直接結合させる方法を先に提案している(特願平10−133170号明細書,特願平10−320093号明細書)。この方法により、構造及び機能を損なうことなくタンパク質をラベル化することが可能となった。しかし、この方法においてもC末端へのラベル分子の結合の効率に問題があった。
上記した公知のタンパク質のラベル化法には、これと相互作用する分子を同定する方法に用いるためには、ラベル化されたタンパク質が構造及び機能を保持できない、安全性に欠ける、ラベル化の効率が悪い等の問題点があった。また迅速に分子間相互作用を解析する方法として蛍光偏光解消法、表面プラズモン共鳴法等の手段が存在するにも関わらず、これを有効に利用するための技術については満足のいくものが得られていない。
発明の要約
そこで、本発明者等はC末端ラベル化タンパク質を用いてタンパク質と相互作用する分子を同定する方法を確立すべく鋭意検討した。その結果、C末端ラベル化タンパク質、C末端にスペーサーを介してラベル化物質が結合してなるタンパク質を固相化した固相化C末端ラベル化タンパク質、及びラベル化分子等を用いれば、タンパク質と相互作用する分子を効率的に同定し得ることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明によれば、
1.タンパク質−分子間相互作用の解析方法であって、下記の工程:
(1)C末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させる工程;及び
(2)該C末端ラベル化タンパク質又は標的分子が発する信号において、該C末端ラベル化タンパク質と標的分子との相互作用に基づいて発せられる信号の変化を検出する工程
を含む方法;
2.標的分子がタンパク質、核酸、糖鎖、又は低分子化合物である上記1に記載の方法;
3.標的分子が標識物質によりラベル化されているラベル化分子である上記1又は2に記載の方法;
4.標識物質が蛍光標識試薬である上記3に記載の方法;
5.C末端ラベル化タンパク質が、標識物質を含むラベル部とタンパク質のC末端に結合する能力を有する化合物を含むアクセプター部とを含むラベル化試薬の存在下で、該タンパク質のコーディング領域を含む核酸を転写及び/又は翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせることにより調製されたものである上記1ないし4のいずれかに記載の方法;
6.アクセプター部がピューロマイシン、3′−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、3′−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドの化学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体を含む上記5に記載の方法;
7.ラベル化試薬がラベル部とアクセプター部とがスペーサーを介して結合している化合物を含む上記5又は6に記載の方法;
8.C末端ラベル化タンパク質又は標的分子のいずれか一方が固相に結合している上記1ないし7のいずれかに記載の方法、及び上記方法において、固相への結合の態様が下記のa又はb:
a:該C末端ラベル化タンパク質又は該標的分子のいずれか一方が基盤に1種類ずつ番地付けされて固定化されている;又は
b:該C末端レベル化タンパク質又は該標的分子のいずれか一方が複数の穴を有するマイクロプレートの各穴底面に1種類ずつ固定化されている
のいずれかである方法;
9.C末端ラベル化タンパク質が、該タンパク質を構成するラベル部又はラベル部以外の部分により固相に結合している上記8に記載の方法;
10.C末端ラベル化タンパク質を構成するラベル部が特定のポリペプチドと特異的に結合する能力を有する分子を含み、該分子が固相表面に結合している特定のポリペプチドとの連結を介して固相に結合する上記9に記載の方法;
11.特定のポリペプチドとそれに特異的に結合する能力を有する分子の組み合わせが、ビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、及びエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールよりなる群から選ばれるいずれかの組み合わせである上記10項に記載の方法;
12.信号の変化の測定を表面プラズモン共鳴法、エバネッセント場イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、固相酵素免疫検定法、蛍光偏光解消法、及び蛍光相関分光法よりなる群から選択される1以上の方法により行う上記1ないし11のいずれかに記載の方法;
13.C末端ラベル化タンパク質が該タンパク質を構成するラベル部により固相に結合されており、標的分子が非ラベル化分子又は標識物質によりラベル化されたラベル化分子であり、信号の変化の測定が表面プラズモン共鳴法、エバネッセント場イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、及び固相酵素免疫検定法よりなる群から選択される1以上の方法により行われる上記1、2、5ないし11のいずれかに記載の方法;
14.ラベル化分子が蛍光標識試薬によりラベル化された標的分子である上記13に記載の方法;
15.C末端ラベル化タンパク質が該タンパク質を構成するラベル部以外の部分により固相に結合されており、標的分子が非ラベル化分子又は標識物質によりラベル化されたラベル分子であり、信号の変化の測定が表面プラズモン共鴫法、エバネッセント場イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、及び固相酵素免疫検定法よりなる群から選択される1以上の方法により行われる上記1、2、5ないし11のいずれかに記載の方法;
16.ラベル化分子が蛍光標識試薬によりラベル化された標的分子である上記15に記載の方法;
17.標的分子が固相に結合されており、C末端ラベル化タンパク質のラベル部より発せられる信号の変化の測定が表面プラズモン共鳴法、エバネッセント場イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、及び固相酵素免疫検定法よりなる群から選択される1以上の方法により行われる上記1、2、5ないし11のいずれかに記載の方法;
18.C末端ラベル化タンパク質及び標的分子が固相に結合されずに溶液中に存在しており、標的分子が非ラベル化分子又は標識物質によりラベル化されたラベル化分子であり、信号の変化の測定が蛍光偏光解消法及び/又は蛍光相関分光法により行われる、上記1、2、5ないし11のいずれかに記載の方法;
19.ラベル部とアクセプター部とを含むタンパク質のラベル化試薬であって、該ラベル部が特定のポリペプチドと特異的に結合する能力を有する分子であり、該アクセプター部がタンパク質のC末端に結合する能力を有する化合物であるタンパク質のラベル化試薬。
20.ラベル部がスペーサーを介してアクセプター部に共有結合している上記19項に記載の試薬;
21.スペーサーがポリエチレン又はポリエチレングリコールのいずれかである上記19又は20に記載の試薬;
22.ラベル部がビオチン、マルトース、グアニンヌクレオチド、金属イオン、グルタチオン、タンパク質結合性DNA、抗原分子、カルモジュリン結合ペプチド、ATP、及びエストラジオールよりなる群より選ばれる1以上の分子を含む上記19ないし21のいずれかに記載の試薬;
23.アクセプター部がピューロマイシン、3′−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、又は3′−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドのいずれかの化学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体を含む上記19ないし22のいずれかに記載の試薬;
24.C末端ラベル化タンパク質が該タンパク質を構成するラベル部により固相に結合していることを特徴とする固定化タンパク質;
25.C末端ラベル化タンパク質が、標識物質よりなるラベル部とタンパク質のC末端に結合する能力を有する化合物よりなるアクセプター部とから構成されるラベル化試薬の存在下で、該タンパク質のコーディング領域を含む核酸を転写及び/又は翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせることにより調製されたものである上記24に記載の固定化タンパク質;
26.ラベル化試薬のラベル部がスペーサーを介してアクセプター部に共有結合している上記24又は25に記載の固定化タンパク質;
27.ラベル部が特定のポリペプチドと特異的に結合する能力を有する分子であり、該分子が固相に結合された特定のポリペプチドと結合する上記24ないし26のいずれかに記載の固定化タンパク質;
28.アクセプター部がピューロマイシン、3′−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、又は3′−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドのいずれかの化学構造骨格を有する化合物又はその類縁体を含む上記24ないし28のいずれかに記載の固定化タンパク質;
29.ラベル部を構成する特定の分子と該分子と特異的に結合する能力を有する分子の組み合わせが、ビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、及びエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールよりなる群より選ばれるいずれかの組み合わせである上記24ないし28のいずれかに記載のタンパク質;
30.上記24ないし29のいずれかに記載の固定化タンパク質の集合体を含むプロテインチップ;
31.アダプタータンパク質が表面に結合した基盤を保持する手段、該基盤にC末端ラベル化タンパク質を導入する手段、及び該基盤を洗浄する手段を有する上記30に記載のプロテインチップを作成するための装置;
32.チップを保持する手段、該チップに標的分子を接着させる手段、該チップを洗浄する手段、及び該C末端ラベル化タンパク質からの信号を測定し、該C末端ラベル化タンパク質と標的分子との相互作用に基づく信号の変化を検出するための手段を有する、上記10、11、13、又は14のいずれかに記載の方法において多数の検体の同時解析を行うための装置;
33.タンパク質と相互作用する分子又は分子と相互作用するタンパク質の同定方法であって、
a.下記の工程:
(1)タンパク質のC末端をラベル化してC末端ラベル化タンパク質を製造する工程;
(2)C末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させる工程;及び
(3)C末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させることにより生じた該C末端ラベル化タンパク質又は該標的分子が発する信号の変化を検出した場合には該タンパク質と該標的分子とが相互作用すると判定する工程を含む方法;並びに
b.上記工程(1)ないし(3)に続き、
(4)相互作用すると判定された該タンパク質及び該標的分子を特定する工程
を含む方法;
34.特定のタンパク質と相互作用する分子又は特定の分子と相互作用するタンパク質の同定方法であって、
a.下記の工程:
(1)該タンパク質を含むC末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させる工程;及び
(2)C末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させることにより生じた該C末端ラベル化タンパク質又は該標的分子が発する信号の変化を検出した場合には該タンパク質と該標的分子とが相互作用すると判定する工程
を含む方法;並びに
b.上記工程(1)及び(2)に続き、
(3)相互作用すると判定された該タンパク質及び該標的分子を特定する工程
を含む方法;
35.タンパク質と相互作用する分子又は分子と相互作用するタンパク質のスクリーニング方法であって、下記の工程:
(1)該タンパク質を含むC末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させる工程;及び
(2)C末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させることにより生じた該C末端レベル化タンパク質又は該標的分子が発する信号の変化を検出した場合には該タンパク質と該標的分子とが相互作用すると判定する工程
を含む方法。
36.上記35でスクリーニングされた上記タンパク質と相互作用する分子又は上記分子と相互作用するタンパク質;
37.上記33又は34に記載のタンパク質に相互作用する分子の同定方法に使用するためのC末端ラベル化タンパク質;
38.上記35に記載のスクリーニング方法に使用するためのC末端ラベル化タンパク質
が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)C末端ラベル化タンパク質
(1−1)C末端ラベル化タンパク質の構成
本発明のタンパク質−分子間相互作用解析方法は、C末端ラベル化タンパク質を用いることに一つの特徴を有する方法である。C末端ラベル化タンパク質は、タンパク質部と該タンパク質のC末端がラベル化試薬により標識(ラベル)されているラベル部とにより構成される。
「タンパク質部」とは、その機能が既知又は未知である相互作用の解析対象として用いるタンパク質部を意味し、このタンパク質部と後述する標的分子との相互作用の有無の測定が行われる。
このタンパク質部は、天然タンパク質又はその変異体、及び人工タンパク質又はその変異体の何れでもよい。天然タンパク質としては、種々の生物の器官、組織又は細胞に由来するcDNAライブラリーから転写、翻訳される多様性を有するタンパク質のライブラリーをも含むものである。人工タンパク質としては、天然タンパク質の全てもしくは部分配列を組み合わせた配列、又はランダムなアミノ酸配列を含むものである。
(1−2)ラベル化試薬
「ラベル化試薬」は、標識物質を含む「ラベル部」と、タンパク質のC末端に結合する能力を有する化合物を含む「アクセプター部」とを含む。ラベル部とアクセプター部とは化学結合で連結されている。ラベル部とアクセプター部とは直接化学結合していてもよく、またスペーサーを介して化学結合していてもよい。
標識物質は、通常は蛍光性物質などの非放射性標識物質から選択される。蛍光物質としては、フリーの官能基(例えば活性エステルに変換可能なカルボキシル基、ホスホアミダイドに変換可能な水酸基、あるいはアミノ基など)を持ち、ピューロマイシン又はピューロマイシン様化合物などの上記核酸誘導体に連結可能な種々の蛍光色素、例えばフルオレセイン系列、ローダミン系列、エオシン系列、NBD系列などのいかなるものであってもよい。その他、ラベル部としては後述する特定のポリペプチドと特異的に結合する能力を有する分子(以下、「リガンド」と称することがある)、タンパク質、ペプチド、糖類、脂質類、色素、ポリエチレングリコールなどの非放射性標識物質、あるいはラベル化可能な化合物であれば、その化合物の種類、大きさを問わない。
これらの標識物質は、C末端ラベル化タンパク質と標的分子との相互作用に基づいて発生される信号の変化の測定に適したものが適宜用いられる。
ラベル化試薬を構成する「アクセプター部」としては、通常は核酸誘導体が用いられる。この核酸誘導体としては、無細胞タンパク質合成系又は生細胞中でタンパク質の合成(翻訳)が行われた時に、合成されたタンパク質のC末端に結合する能力を有する化合物である限り限定されないが、その3’末端がアミノアシルtRNAに化学構造骨格が類似しているものを選択することができる。代表的な化合物として、アミド結合を有するピューロマイシン(Puromycin)、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド(3’−N−Aminoacylpuromycin aminonucleoside、PANS−アミノ酸)、たとえば、アミノ酸部がグリシンのPANS−Gly、アミノ酸部がバリンのPANS−Val、アミノ酸部がアラニンのPANS−Ala、その他、アミノ酸部が全ての各アミノ酸に対応するPANS−アミノ酸化合物が挙げられる。
また、3’−アミノアデノシンのアミノ基とアミノ酸のカルボキシル基が脱水縮合して形成されるアミド結合で連結した3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド(3’−Aminoacyladenosine aminonucleoside,AANS−アミノ酸)、たとえば、アミノ酸部がグリシンのAANS−Gly、アミノ酸部がバリンのAANS−Val、アミノ酸部がアラニンのAANS−Ala、その他、アミノ酸部が全アミノ酸の各アミノ酸に対応するAANS−アミノ酸化合物を使用できる。
また、ヌクレオシドあるいはヌクレオシドとアミノ酸のエステル結合したものなども使用できる。さらにまた、核酸あるいは核酸に類似した化学構造骨格及び塩基を有する物質と、アミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質とを化学的に結合した化合物は、すべて本方法において用いられる核酸誘導体に含まれる。
アクセプター部としては、ピューロマイシン、PANS−アミノ酸もしくはAANS−アミノ酸がリン酸基を介してヌクレオシドと結合している化合物がより好ましい。これらの化合物の中でピューロマイシン(第1図の(I))、リボシチジルピューロマイシン(rCpPur:第1図のII)、デオキシジルピューロマイシン(dCpPur:第1図のIII)、デオキシウリジルピューロマイシン(dUpPur:第1図のIV)などのピューロマイシン誘導体が特に好ましい。
ラベル化試薬は、上記ラベル部とアクセプター部とを所望によりスペーサーを介して、それ自体既知の化学結合方法によって結合させることにより製造することができる。具体的には、例えば、適当な保護基で保護された上記アクセプター部を固相担体上に結合させ、核酸合成機を用いてスペーサーとしてスペーサーホスホアミダイト、ラベル部として蛍光物質などを結合したホスホアミダイトを順次結合させた後、脱保護を行うことによって作成することができる。上記各部の種類、あるいは結合の種類によっては液相合成法で結合させるかあるいは両者を併用することもできる。また、ラベル部としてニッケル等の金属イオンを結合させるには、金属イオンが配位しうるニトリロトリ酢酸やイミノジ酢酸等のキレート性の試薬用いて行うことができる。
ラベル部とアクセプター部をつなぐスペーサーとしては、ポリエチレン、ポリエチレングリコールなどの高分子物質が用いられ、好ましくはポリエチレングリコールが用いられる。
(1−3)C末端ラベル化タンパク質の調製
本発明で用いるC末端ラベル化タンパク質の調製法は特に制限されないが、例えば、上記ラベル化試薬の存在下で、前記タンパク質部をコードするコーディング領域をT7等のウイルスや細胞に由来するプロモーター領域の制御下に連結し、これを転写することによりmRNAを合成する。該コーディング領域DNAとしては、ラベル化の効率が数十倍よくするためにストップコドンを削除した配列が好ましく用いられる。また、それ自体既知の方法で生体から取得されたmRNAを用いることもできる。これらのmRNAは、翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせることにより調製することができる。
用いられる翻訳系としては、無細胞翻訳系又は生細胞などが挙げられる。無細胞翻訳系又は生細胞などは、その中にタンパク質をコードする核酸を添加又は導入することによってタンパク質合成が行われるものである限り制限されない。無細胞翻訳系としては、原核又は真核生物の抽出物により構成される無細胞翻訳系、例えば大腸菌、ウサギ網状赤血球、小麦胚芽抽出物などが使用できる。生細胞翻訳系としては、原核又は真核生物、例えば大腸菌の細胞などが使用できる。無細胞翻訳系を用いる場合、用いる核酸がDNAである場合、それ自体既知のRNAポリメラーゼなどを用いる方法により転写して合成したRNAを鋳型として導入する。
この翻訳系において、ラベル化試薬を適当な濃度で存在させることにより合成されたタンパク質部のC末端にアクセプター部を介してラベル物質を結合させることができる。存在させるラベル化試薬の濃度としては、実際に用いるラベル化試薬、核酸、あるいは翻訳系によって異なるが、一般的には最終濃度が200〜0.1μMの範囲が好ましく用いられる。
好ましいラベル化試薬の濃度の選定は、種々の濃度のラベル化試薬を、用いる鋳型核酸とともに翻訳系に投入し、合成されたタンパク質を適当な方法で分離した後、タンパク質より発せられる信号の強度を測定し、最も高い値を示した系に投入したラベル化試薬の濃度を選択することによって行うことができる。
このようにして選定した、ラベル化試薬の濃度として具体的には、鋳型となる核酸が、T7プロモータとチオレドキシンのコーディング領域の全長DNA、ラベル化試薬がピューロマイシンとフルオレセインの結合体で、翻訳系がウサギ網状赤血球抽出液を用いた場合には、0.1〜1μM、また翻訳系に小麦胚芽抽出液を用いた場合には10〜50μMである。
本方法に用いるラベル物質が結合した核酸誘導体の濃度としては、実際に使用するRNA、ラベル物質、核酸誘導体、及び翻訳系等によって異なるが、下記の方法等により当業者は該濃度を適宜決定することができる。
上記したC末端ラベル化タンパク質を作成する系において、ラベル物質が結合した核酸誘導体、例えばフルオレセニルピューロマイシン(Fluorpur:第2図のI)を濃度を違えて添加し、得られた翻訳産物をSDSポリアクリルアミド電気泳動を用いる等して分離し、C末端に結合しているラベル物質より発せられる信号強度を測定し、最も信号強度の高い値を示した濃度を選択する。具体的には、T7プロモータの制御下にあるチオレドキシンのコーディング領域の全長を、Fluorpur、もしくはFluorthiopur(第2図のII)の存在下で大腸菌の無細胞転写翻訳系においてタンパク質を合成する場合には、Fluorpur、もしくはFluorthiopurの最適濃度は、0.1〜1μMである。またウサギ網状赤血球抽出液を用いた場合では0.3〜50μM、小麦胚芽抽出液を用いた場合には10〜50μMである。
このようにして合成されたC末端ラベル化タンパク質は、翻訳系に生細胞を用いた場合は細胞をそれ自体既知の方法で溶解後、ゲル濾過など(例えば、Bio−Spin6;BIO−Rad社製)によって未反応のラベル化試薬を除去し、取得することができる。また、無細胞翻訳系を用いた場合には、ゲル濾過によって未反応のラベル化試薬を除去すればよい。
また、本発明においてはC末端ラベル化タンパク質を固相に結合させる場合があるが、固相に結合させる方法としては、ラベル部を介して結合させる方法と、ラベル部以外の部分により結合させる方法が挙げられる。
ラベル部を介して結合させる場合に用いられるラベル部は特定のポリペプチドに特異的に結合する分子(以下、「リガンド」と称することがある。)であり、固相表面には該リガンドと結合する特定のポリペプチド(以下、「アダプタータンパク質」と称することがある)を結合させる(第3図)。アダプタータンパク質としては、結合タンパク質、受容体を構成する受容体タンパク質、抗体も含まれる。
アダプタータンパク質/リガンドの組み合わせとしては、例えば、アビジン及びストレプトアビジン等のビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールなどの、各種受容体タンパク質/そのリガンドなどが挙げられる。
これらの中で、アダプタータンパク質/リガンドの組み合わせとしては、アビジン及びストレプトアビジンなどのビオチン結合タンパク質、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、抗体/抗原分子(エピトープ)などが好ましく、特にストレプトアビジン/ビオチンの組み合わせが最も好ましい。これらの結合タンパク質は、それ自体既知のものであり、該タンパク質をコードするDNAは既にクローニングされている。
アダプタータンパク質の固相表面への結合は、それ自体既知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、タンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン−2,4−ジイソシアネート、アミノ基、カルボキシル基、又は水酸基あるいはアミノ基などを利用する方法を用いることができる。
ラベル部以外の部分により固相に結合させる場合は、通常はタンパク質を固相に結合させるのに用いられる既知の方法、例えばタンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン−2,4−ジイソシアネート、アミノ基、カルボキシル基、又は水酸基あるいはアミノ基などを利用して行うことができる。
(2)標的分子
「標的分子」とは、本発明においてC末端ラベル化タンパク質と相互作用する分子を意味し、具体的にはタンパク質、核酸、糖鎖、低分子化合物などが挙げられる。
タンパク質としては、C末端ラベル化タンパク質と相互作用する能力を有する限り特に制限はなく、タンパク質の全長であっても結合活性部位を含む部分ペプチドでもよい。またアミノ酸配列、及びその機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、あるいはcDNAライブラリー等から適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的分子として用いることができる。合成されたペプチド鎖はこれに糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。これらのうち好ましくはアミノ酸配列が既知の精製されたタンパク質か、あるいはcDNAライブラリー等から適当な方法を用いて翻訳、精製されたタンパク質を用いることができる。
核酸としては、C末端ラベル化タンパク質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はなく、DNAあるいはRNAも用いることができる。また、塩基配列あるいは機能が既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。好ましくは、タンパク質に結合能力を有する核酸としての機能、及び塩基配列が既知のものか、あるいはゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いることができる。
糖鎖としては、C末端タンパク質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はなく、その糖配列あるいは機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列あるいは機能が既知の糖鎖が用いられる。
低分子化合物としては、C末端タンパク質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はない。機能が未知のものでも、あるいはタンパク質に結合する能力が既に知られているものでも用いることができる。
これら標的分子がC末端タンパク質と行う「相互作用」とは、通常は、タンパク質と標的分子間の共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び静電力による結合のうち少なくとも1つから生じる分子間に働く力による作用を示すが、この用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。共有結合としては、配位結合、双極子結合を含有する。また静電力による結合とは、静電結合の他、電気的反発も含有する。また、上記作用の結果生じる結合反応、合成反応、分解反応も相互作用に含有される。
相互作用の具体例としては、抗原と抗体間の結合及び解離、タンパク質レセプターとリガンドの間の結合及び解離、接着分子と相手方分子の間の結合及び解離、酵素と基質の間の結合及び解離、核酸とそれに結合するタンパク質の間の結合及び解離、情報伝達系におけるタンパク質同士の間の結合と解離、糖タンパク質とタンパク質との間の結合及び解離、あるいは糖鎖とタンパク質との間の結合及び解離が挙げられる。
用いられる標的分子は、態様に応じて標識物質により標識して用いることができる。標識物質は、通常、蛍光性物質などの非放射性標識物質から選択される。蛍光物質としては、フリーの官能基(例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基など)を持ち、タンパク質、核酸等の上記標的物質と連結可能な種々の蛍光色素、例えばフルオレセイン系列、ローダミン系列、エオシン系列、NBD系列などのいかなるものであってもよい。その他、色素など標識化可能な化合物であれば、その化合物の種類、大きさは問わない。
これらの標識物質は、標的分子とC末端ラベル化タンパク質との間の相互作用に基づいて発生される信号の変化の測定又は解析方法に適したものが適宜用いられる。
上記標識物質の標的分子への結合は、それ自体既知の適当な方法を用いて行うことができる。具体的には、例えば、標的分子がタンパク質の場合、上記1.に記載したC末端を標識化する方法等を用いることができる。また標的分子が核酸の場合は、予め標識物質を共有結合などで結合させたオリゴDNAプライマーを用いたPCRを行う方法などによって簡便に標識化することができる。
また、本発明に用いられる標的分子は態様に応じて、固相に結合させる場合があるが、固相に結合させる方法としては、標識物質を介して結合させるものと、それ以外の部分により結合させるものが挙げられる。
標識物質を介して結合させる場合に用いられる標識物質はリガンドであり、固相表面には該リガンドと結合するアダプタータンパク質を結合させる。
アダプタータンパク質/リガンドの組み合わせとしては、例えば、アビジン及びストレプトアビジン等のビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールなどの各種受容体タンパク質/そのリガンドなどが挙げられる。
これらの中で、アダプタータンパク質/リガンドの組み合わせとしては、アビジン及びストレプトアビジンなどのビオチン結合タンパク質、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、抗体/抗原分子(エピトープ)、などが好ましく、特にストレプトアビジン/ビオチンの組み合わせが最も好ましい。これらの結合タンパク質は、それ自体既知のものであり、該タンパク質をコードするDNAは既にクローニングされている。
アダプタータンパク質の固相表面への結合は、それ自体既知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、タンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン−2,4−ジイソシアネート、アミノ基、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、又はホスホアミダイドに変換可能な水酸基あるいはアミノ基などを利用する方法を用いることができる。
標識物質以外の部分により固相に結合させる場合は、通常タンパク質、核酸、糖鎖、低分子化合物を固相に結合させるのに用いられる既知の方法、具体的には例えば、タンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン−2,4−ジイソシアネート、アミノ基、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、又はホスホアミダイドに変換可能な水酸基あるいはアミノ基などを利用する方法を用いることができる。
(3)信号の変化の測定法
上記で得られたC末端ラベル化タンパク質と標的分子を、標識物質の種類又は固相化の方法により適宜組み合わせてC末端タンパク質と接触せしめ、該C末端ラベル化タンパク質又は該標的分子が発する信号において両分子間の相互作用に基づいて発生される上記信号の変化を測定、検出することにより相互作用を解析する。
「測定」とは解析のために用いられる信号の変化を収集するための手段であり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。用いられる測定法としては、例えば、表面プラズモン共鳴法、エバネッセント場分子イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、固相酵素免疫検定法、蛍光偏光解消法、及び蛍光相関分光法等が挙げられる。
(3−1)表面プラズモン共鳴法
表面プラズモン共鳴法とは、金属/液体界面で相互作用する分子によって表面プラズモンが励起され、これを反射光の強度変化で測定する方法である(Cullen,D.C.,et al.,Biosensors,3(4),211−225(1987−88))。この方法を用いてタンパク質−分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端ラベル化タンパク質は上記した方法により固相化されていることが必要であるが、標的分子の標識化は必要ない。
C末端ラベル化タンパク質を固相化するための基盤としては、ガラスの等の透明基盤上に金、銀、白金等の金属薄膜が構成されたものが用いられる。透明基盤としては、通常表面プラズモン共鳴装置用に用いられるものであればいかなるものであってもよく、レーザー光に対して透明な材料からなるものとして一般的にはガラス等からなるものであり、その厚さは0.1〜5mm程度のものが用いられる。また金属薄膜の膜厚は100〜2000Å程度が適当である。このような表面プラズモン共鳴装置用固基盤として市販されているものも用いることができる。C末端ラベル化タンパク質の上記基盤への固相化は前述した方法により行うことができる。
本方法において標的分子をC末端ラベル化タンパク質へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは標的分子を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液に固相化されたC末端タンパク質を接触させる方法を用いることができる。
これらの行程は市販の表面プラズモン共鳴装置、例えばBIAcore2000(Pharmacia Biosensor社製)によってもよい。
両分子を接触せしめた後、それ自体既知の表面プラズモン共鳴装置を用いて、それぞれの反射光の相対強度の時間的変化を測定することにより、固相化されたC末端ラベル化タンパク質と標的分子の相互作用が解析できる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記表面プラズモン共鳴装置に用いられる基盤に、複数のC末端ラベル化タンパク質を番地付けして固相化するか、あるいは1種類の固相化されたC末端ラベル化タンパク質に複数種の標的分子を接触させる方法等が用いられる。
(3−2)エバネッセント場分子イメージング法
エバネッセント場分子イメージング法とは、Funatsu,T.,et al.,Nature,374,555−559(1995)等に記載されている方法で、ガラス等の透明体に固相化した分子に溶液として第2の分子を接触せしめ、これにエバネッセント場が発生する角度でレーザー光等の光源を照射し、発生したエバネッセント光を検出器によって測定又は解析する方法である。これらの操作は、それ自体既知のエバネッセント場蛍光顕微鏡装置を用いて行うことができる。
この方法を用いてタンパク質−分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端ラベル化タンパク質あるいは標的分子のいずれか一方は上記した方法により固相化されていることが必要である。標的分子は固相化する場合は標識の必要はないが、固相化しないで用いる場合には上記した標識物質により標識化されていることが必要である。
C末端ラベル化タンパク質、あるいは標的分子を固相化するための基盤としては、ガラス等の材質の基盤が用いられ、好ましくは石英ガラスが用いられる。また、レーザー光の散乱等を防ぐために表面を超音波洗浄したものが好ましい。
本方法において固相化していないC末端ラベル化タンパク質あるいは標識化標的分子を固相化分子へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは固相化していないC末端ラベル化タンパク質あるいは標識化標的分子を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液を作成し、これを固相表面に滴下する方法が好ましい。
両分子を接触せしめた後、エバネッセント場照明により励起された蛍光をCCDカメラ等の検出器を用いて測定することにより、固相化された分子と相互作用する分子を同定することができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記基盤に、複数のC末端ラベル化タンパク質あるいは標識化標的分子を番地付けして固相化する方法等が用いられる。
(3−3)蛍光イメージングアナライズ法
蛍光イメージングアナライズ法は、固相化された分子に、標識化分子を接触せしめ、両分子の相互作用により、固相化された分子上にとどまった標識化分子から発せられる蛍光を、市販の蛍光イメージングアナライザーを用いて測定又は解析する方法である。
この方法を用いてタンパク質−分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端ラベル化タンパク質あるいは標的分子のいずれか一方は上記した方法により固相化されていることが必要である。標的分子は固相化して用いる場合には標識されているものと、されていないもののどちらも利用可能である。また、固相化しないで用いる場合には上記した標識物質により標識化されていることが必要である。C末端ラベル化タンパク質は、ラベル部を介して固定化されているものも、ラベル部以外の部分で固定化されているものも用いることができる。
C末端ラベル化タンパク質、あるいは標的分子を固相化するための基盤としては、通常タンパク質や核酸等を固定化するのに用いられるニトロセルロースメンブレンやナイロンメンブレン、あるいはプラスチック製のマイクロプレート等も用いることができる。
本方法において標識化標的分子あるいはC末端ラベル化タンパク質を固相化分子へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは標識化標的分子あるいはC末端ラベル化タンパク質を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液を作成し、これを固相表面に接触させる方法が好ましい。
両分子を接触せしめた後、好ましくは過剰に存在する標識化標的分子あるいはC末端ラベル化タンパク質を同緩衝液等により洗浄する工程を行い、固相上にとどまった標的分子あるいはC末端ラベル化タンパク質の標識物質から発せられる蛍光信号、又は固相化されている標識化分子から発せられる蛍光と固相上にとどまった標識化分子から発せられる蛍光が混ざり合った信号を、市販のイメージングアナライザーを用いて測定あるいは解析することにより、固相化された分子と相互作用する分子を同定することができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記固相表面に、複数のC末端ラベル化タンパク質あるいは標識化又は非標識化標的分子を番地付けして固相化する方法、あるいは1種類のC末端ラベル化タンパク質あるいは標識化又は非標識化標的分子に固相化されていない複数種のC末端ラベル化タンパク質あるいは標識化標的分子を接触させる方法等が用いられる。複数種のC末端ラベル化タンパク質あるいは標識化標的分子を接触させる場合には、固相にとどまった該分子を緩衝液の濃度の差等により解離させて取得し、これを既知の方法により分析することにより同定できる。
(3−4)固相酵素免疫検定法
固相酵素免疫検定法(Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA):Crowther,J.R.,Methods in Molecular Biology,42(1995))は、固相上に固定化した抗原に対し、抗体を含む溶液を接触せしめ、両分子の相互作用(抗原抗体反応)により、固相化された抗原上にとどまった抗体をこれと特異的に結合する標識化分子(IgG等)から発せられる蛍光、あるいは標識化分子を基質とする色素から発せられる信号を、市販の検出器(ELISAリーダー)を用いて測定又は解析する方法である。
この方法を用いてタンパク質−分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、抗原となるC末端ラベル化タンパク質を上記した方法により固相化されていることが必要である。また抗体となる標的分子は上記した標識物質により標識化されていることが必要である。
抗原となるC末端ラベル化タンパク質を固相化するための基盤としては、通常ELISAに用いられるプラスチック製のマイクロプレート等も用いることができる。
本方法において抗体となる標識化標的分子を固相分子へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは標識化標的分子を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液を作成し、これをマイクロプレートに注入する方法が好ましい。
両分子を接触せしめた後、好ましくは過剰に存在する固相化分子に結合していない標識化分子を同緩衝液等により洗浄する工程を行い、固相上にとどまった標識分子から発せられる蛍光を、市販のELISAリーダー等を用いて測定あるいは解析することにより、固相化された抗原分子と相互作用する分子を同定することができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記マイクロプレートの各穴にそれぞれ異なる複数の標識化標的分子を固相化する方法が用いられる。
(3−5)蛍光偏光解消法
蛍光偏光法(Perran,J.,et al.,J.Phys.Rad.,1,390−401(1926))は、蛍光偏光で励起された蛍光分子が、励起状態の間、定常状態を保っている場合には同一の偏光平面で蛍光を放射するが、励起された分子が励起状態中に回転ブラウン運動等を行った場合に、放射された蛍光は励起光とは異なった平面になることを利用する方法である。分子の運動はその大きさに影響を受け、蛍光分子が高分子である場合には、励起状態の間の分子の運動はほとんどなく、放射光は偏光を保ったままになっているのに対して、低分子の蛍光分子の場合は、運動速度が速いために放射光の偏光が解消される。そこで、平面偏光で励起された蛍光分子から放射される蛍光の強度を、元の平面とそれに垂直な平面とで測定し、両平面の蛍光強度の割合からこの分子の運動性及びその存在状態に関する情報が得られるものである。この方法によれば、夾雑物があってもこれに影響されることなく、蛍光ラベル化された分子と相互作用する標的分子の挙動を追跡できる。これは蛍光ラベル化された分子と標的分子が相互作用するときにのみ、偏光度の変化として測定されるからである。
この方法を行うための装置としては例えばBECON(Panyera社製)等が市販されており、本方法もこれらの装置を用いることにより行うことができる。
この方法を用いてタンパク質−分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端ラベル化タンパク質あるいは標的分子のいずれも溶液として供する必要である。標的分子は標識の必要はない。また相互作用を調べようとするC末端ラベル化タンパク質より非常に分子量の小さい分子は、C末端ラベル化タンパク質のブラウン運動に影響を及ぼさないため本方法においてはふさわしくない。
本方法においてC末端ラベル化タンパク質に標的分子を接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であれば如何なるものであってもよいが、好ましくは市販の蛍光偏光解消装置の測定用ウェルに通常生化学的に用いられる緩衝液等に適当な濃度でC末端ラベル化タンパク質溶解した溶液を投入し、さらに同緩衝液に適当な濃度で標的分子を溶解した溶液を投入する方法によって行われる。
本方法において測定するC末端ラベル化タンパク質及び標的分子との間の相互作用は、必ずしも抗原抗体方法ほど特異性は高くないことが考えられるため、最適の組み合わせを検出するためには、相互作用の程度を数値化することが有効である。相互作用の程度を示す指標としては、例えば一定濃度のC末端ラベル化タンパク質に対して、極大蛍光偏光度を与える最小標的物濃度の値等を用いることができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記蛍光偏光解消法測定装置の各測定用ウェルにそれぞれ異なる複数のC末端ラベル化タンパク質を投入し、これに特定の標的分子溶液を投入するか、あるいは特定のC末端ラベル化タンパク質を投入し、各ウェルに互いに異なる複数種の標的分子溶液を投入する方法が用いられる。
(3−6)蛍光相関分光法
蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy(FCS):Eigen,M.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,5740−5747(1994))は、共焦点レーザー顕微鏡等の下で、粒子の流動速度、あるいは拡散率、容積収縮等を測定する方法であり、本発明においては、C末端ラベル化タンパク質と標的分子間の相互作用により元のラベル化分子1分子の並進ブラウン運動の変化を測定することにより、相互作用する分子を測定することができる。
具体的には資料粒子が励起光により励起されて、資料液容積の一部において蛍光を放射し、この放射光を測定し光子割合を得る。この値は、特定の時間に観測されている空間容積中に存在する粒子の数と共に変化する。上述した種々のパラメターは自己相関関数を使用してこの信号の変動から算出され得る。このFCSを行う為の装置もカールツァイス(Zeiss)社等から市販されており、本方法においてもこれらの装置を用いて解析を行うことができる。
この方法を用いてタンパク質−分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端ラベル化タンパク質あるいは標的分子のいずれも溶液として供することが必要である。標的分子は標識の必要はない。また相互作用を調べようとするC末端ラベル化タンパク質より非常に分子量の小さい分子は、C末端ラベル化タンパク質のブラウン運動に影響を及ぼさないため本方法においてはふさわしくない。
本方法においてC末端ラベル化タンパク質に標的分子を接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であれば如何なるものであってもよいが、好ましくは市販のFCS用装置の測定用ウェルに通常生化学的に用いられる緩衝液等に適当な濃度でC末端ラベル化タンパク質溶解した溶液を投入し、さらに同緩衝液に適当な濃度で標的分子を溶解した溶液を投入する方法によって行われる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記FCS用測定装置の各測定用ウェルにそれぞれ異なる複数のC末端ラベル化タンパク質を投入し、これに特定の標的分子溶液を投入するか、あるいは特定のC末端ラベル化タンパク質を投入し、各ウェルに互いに異なる複数種の標的分子溶液を投入する方法が用いられる。
(4)相互作用する分子の同定方法
上記(3)のそれぞれの方法により測定されC末端ラベル化タンパク質との間に相互作用が認められた分子は、該分子の一次構造が未知の場合、それ自体既知の適当な方法により、その一次構造を解析することができる。具体的には、相互作用を認められた標的分子がタンパク質の場合、アミノ酸分析装置等によりアミノ酸配列を解析し、一次構造を特定することができる。また、標的分子が核酸の場合には、塩基配列決定方法により、オートDNAシーケンサーなどを用いれば塩基配列を決定することができる。
(5)C末端ラベル化タンパク質の固相化のための装置
上記(1−3)に記載したC末端ラベル化タンパク質のラベル部を介した固相への固定化方法を行うために、既知の適切な手段を組み合わせて装置を構築することもできる。本装置における各手段自体はそれぞれ既知のものであり、これらの手段における、基盤の保持、C末端ラベル化タンパク質溶液の添加、洗浄等の各操作は、それ自体既知の方法により行えばよい。これらの操作を組み合わせ、全自動又は半自動の、C末端ラベル化タンパク質の固相化のための装置を構築することができる。
(6)タンパク質−分子間相互作用測定のための装置
上記(3)に記載したタンパク質−分子間相互作用測定を行うために、既知の適切な手段を組み合わせて装置を構築することもできる。本装置における各手段自体はそれぞれ既知のものであり、これらの手段における、基盤の保持、標的分子の添加、洗浄、信号検出等の各操作は、それ自体既知の方法により行えばよい。これらの操作を組み合わせ、全自動又は半自動の、タンパク質−分子間相互作用測定のための装置を構築することができる。
実施例
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明についての具体的認識を得る一助とみなすべきものであり、本発明の範囲は下記の実施例により何ら制限されるものではない。
実施例1 ストップコドンを削除した鋳型を用いたタンパク質のC末端ラベルの効率化の解析
(1)転写用DNAの構築とmRNAの作成
転写効率の高い大腸菌ウィルスT7のRNAポリメラーゼによって認識されるDNA配列(T7プロモーター配列)と翻訳の際に真核細胞のリボゾームによって認識されやすいDNA配列(Kozakコンセンサス配列)を持つ領域、及びその下流にβ−ラクタマーゼをコードするDNAが連結したDNA断片を、次のようにして構築した。
まず、T7プロモーター配列(Rosenberg,A.H.,et al.,Gene,56,125−135(1987))とKozakコンセンサス配列を含む1本鎖DNA(配列番号1)を化学合成し、DNAプライマー(配列番号2)とDNA/RNAプライマー(配列番号3)によってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。一方、β−ラクタマーゼ遺伝子を、DNA/RNAプライマー(配列番号4)とDNAプライマー(配列番号5)でPCRすることにより、β−ラクタマーゼをコードするDNAを増幅した。これらをRRR法(Nishigaki,K.,et al.,Chem.Lett.,131−132(1995))に従って、それぞれのPCR反応液にリボヌクレアーゼA(シグマ社製)を加え、60℃で30分反応させることによってDNA/RNAプライマー(配列番号3,4)のRNAの3’側のリン酸ジエステル結合を切断して突出末端を作った。これらをフェノール抽出後、プライマーリムーバー(Primer remover:Edge Biosystems社製)によってプライマー及び切断されたDNA断片を除去し、エタノール沈殿を行った。沈殿を乾燥後、T4DNAリガーゼ用バッファーに溶解し、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Polynucleotide Kinase:NEB社製)を加えて45℃、30分反応後、さらに30分かけて徐々に16℃に温度を下げてからT4DNAリガーゼ(NEB社製)を加え、上述の2つのDNA領域を結合させた。この反応液の一部を採取し、DNAプライマー(配列番号2及び5)を使って再度PCRで増幅し、転写用鋳型とした。PCRはAmpli Taq Gold DNA Polymerase(Perkin−Elmer社製)を用いた。
β−ラクタマーゼのストップコドンを除いたDNAプライマー(配列番号6)を上記DNAプライマー(配列番号5)の代わりに用いて上記と同様の操作を行うことにより、ストップコドンを除いたβ−ラクタマーゼをコードするDNAを含む転写用鋳型を作成した。
このようにして作成したストップコドンを有するβ−ラクタマーゼをコードするDNA、及びストップコドンを除去したβ−ラクタマーゼをコードするDNAは、RNA合成キット(Ribomax Large Scale RNA Production System:Promega社製)を用いて転写し、RNAとした。合成効率を上げるためにキャップアナログ(RNA capping Analogue:Gibco BRL社製)を用い、mRNAの5’末端を修飾した。キャップアナログ及び過剰の基質(NTP)を除去するためにプライマーリムーバー(Edge Biosystems社製)を使ってエタノール沈殿を行った。
(2)蛍光ラベル化試薬の調製
ピューロマイシン(Puromycin:SIGMA社製)を3mlの乾燥ピリジンに溶解し、減圧下で蒸発させ、脱水させた。この操作を3回繰り返した。これに5mlの4%テトラゾール/アセトニニトリル溶液とフルオレダイト(6−N−carboxy−di−O−pivaloyl−fluorescein−hexyl−O−(2−cyanoethyl)−(N,N’−diisopropyl)−phosphoamidite:日本パーセブティブ社製)を加え、室温で攪拌した。反応はシリカゲルの薄層クロマトグラフィー(TLC、展開溶媒、クロロフォルム:メタノール=9:1)でモニターした。通常、反応は2時間で終了する。反応後、溶媒を減圧下で追い出し、これに0.1Mのヨウ素をテトラヒドロフラン/ピリジン/水=80:40:2に溶解した溶液2mlを添加し、室温で攪拌しながら生成したフォスファイトトリエステルを酸化させた。90分後、溶媒を減圧下で除去し、残部をクロロフォルムで抽出した。抽出液は無水硫酸マグネシウム存在下で乾燥させた後、減圧下で溶媒を除去した。これをシリカゲルTLCに供し、クロロフォルム/メタノール=90:10で溶出させた。保護基のついたフルオレセニルピューロマイシン(Fluorpur)はシリカゲルTLCでクロロフォルム/メタノール=90:10で溶出させた場合、Rf0.26の分画に溶出された。
溶出された保護基のついたFluorpurを濃アンモニア水/エタノール=2:1の混合溶液1mlに加え、β−シアノエチル基を除去した。この反応によりFluorpurが7mg得られた。合成品がFluorpurであることは、そのpH9の溶液の紫外可視吸収スペクトルが272nm(ピューロマイシン部由来)と494nm(フルオレセイン部由来)に現れること、MALDI/TOFマススペクトロメトリーで[M+H]+の分子イオンがm/z1010に現れることから同定された。
(3)C末端ラベル化タンパク質の作成
上記(1)で作成したmRNAはウサギ網状赤血球無細胞翻訳系(Rabit Reticulocyte Lysate Systems,Nucleease Treated:Promega社製)、及び小麦胚芽無細胞翻訳系(Wheat Germ Extract:Promega社製)を用い、上記(2)で作成したFluorpurを最終濃度16μMになるように加え、それぞれの至適反応温度(ウサギ網状赤血球無細胞翻訳系:30℃、小麦胚芽無細胞翻訳系:25℃)で60分反応させた。
(4)タンパク質のラベル化の確認
上記(3)の各無細胞翻訳系反応液をSDSポリアクリルアミド電気動(SDS−PAGE)でSchaggerらの方法(Schagger,H.and von Jagow,G.,Anal.Biochem.166,368−379(1987))により20V定電圧にて90分電気泳動したゲルを蛍光イメージングアナライザー(Fluor Imager 595:Molecular Dynamics社製)で蛍光量を測定することにより行った。
最も効率よく蛍光ラベル化されたβ−ラクタマーゼタンパク質は、ストップコドンを削除したβ−ラクタマーゼmRNAを用いて小麦胚芽無細胞翻訳系により作成したものであった。同様の系でストップコドンのあるβ−ラクタマーゼをコードするDNAから転写したRNAを用いた場合に加え、ラベル化効率は10倍以上であった。
またウサギ網状赤血球無細胞翻訳系においてもストップコドンを削除したβ−ラクタマーゼをコードするDNAから転写したRNAを用いた場合、ストップコドンのあるものよりもラベル化効率が3〜4倍高かった。
実施例2 蛍光偏光解消法を用いたC末端ラベル化プロテインAの一部BドメインとヒトIgGとの相互作用の解析
(1)BドメインをコードするDNA断片の構築とそのmRNAの構築
転写効率の高い大腸菌ウイルスT7のRNAポリメラーゼによって認識されるDNA配列(T7プロモーター配列)と翻訳の際に真核細胞のリボソームによって認識されやすい配列(Kozakコンセンサス配列)と原核細胞のリボソームによって認識されやすい配列(シャイン・ダルガーノ配列:Shine−Dalgarno)を有し、その下流にプロテインAのBドメインをコードしたDNA断片を、次のようにして構築した。
まず、T7プロモーター配列とKozakコンセンサス配列及びシャイン・ダルガーノ配列を有する領域とBドメインをコードする配列を有する領域のDNAを独立して作成した。T7プロモーター配列(Rosenberg,A.H.,et al.,Gene,56,125−135(1987))とKozakコンセンサス配列及びシャイン・ダルガーノ配列を含む1本鎖DNA(配列番号7)を有機合成し、DNAプライマー(配列番号8)とBドメインの一部をコードしたプライマー(配列番号9)によってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。DNA合成酵素は、TaKaRaEx Taq Polymerase(宝酒造社製)を用いた。
一方、プロテインA遺伝子を載せたpRIT2Tプラスミド(New England Biolab.社製)を鋳型として配列番号8のアンチセンスプライマー(配列番号10)とDNAプライマー(配列番号11)を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行うことにより、BドメインをコードするDNA領域を増幅した。これらの2つのPCR産物を重複伸長(Overlap extension)法(Horton R.M.,et al.,Gene 77,61−68(1989))に従って、結合させ、2つのDNAプライマー(配列番号8及び配列番号11)でPCRすることによりBドメインをコードするDNA断片を作成した。いずれのPCRにおいてもDNA合成酵素は、TaKaRaEx Taq Polymerase(宝酒造社製)を用いた。
上記した方法で作成したDNAを、反応液100μl当たり10μg加え、RNA合成キットRibomax Large Scale RNA Production System(Promega社製)を使ってmRNAに転写した。翻訳効率を上げるためにキャップアナログ(RNA capping Analog;Gibco BRL社製)を最終濃度が7.2mMになるように加え、mRNAの5’側を修飾した。キャップアナログ及び過剰のNTP(ヌクロオチド3リン酸)を除去するために、プライマー除去剤(Primer Remover:Edge Biosystems社製)を使ってエタノール沈殿を行った。
(2)蛍光ラベル化試薬Fluorescein−puromycin(Fluorpur)の調製
ピューロマイシン(puromycin:Sigma社製)、26mg(48μmol)を3mlの乾燥ピリジンに溶かし、減圧下で蒸発させ、脱水させた。この操作を3回繰り返した。これに5mlの4%テトラゾール/アセトニトリル溶液とフルオレダイト(6−N−carboxy−di−O−pivaloyl−fluorescein−hexyl−O−(2−cyanoethyl)−(N,N’−diisopropyl)−phosphoamidite:日本パーセブティブ社製)を加え、室温で攪拌させた。反応はシリカゲルの薄層クロマトグラフィー(TLC、展開溶媒:クロロホルム:メタノール=9:1)でモニターした。通常、反応は2時間で終了する。反応後、溶媒を減圧下で追い出し、これに0.1Mのヨウ素をテトラヒドロフラン/ピリジン/水=80:40:2に溶かした溶液2mlを加え、室温で攪拌させながら生成したホスファイトートリエステルを酸化させた。
1時間半後、溶媒を減圧下で除去し、残部をクロロフォルムで抽出した。抽出液は無水硫酸マグネシウム存在下で乾燥させ、溶媒を除去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製)にかけ、クロロホルム/メタノール=90:10で溶出させた。保護基のついたFluorpurはシリカゲルTLC(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=9:1)でRf0.26のところに溶出された。次に保護基の脱保護を行なった。
保護基のついたFluorpurを濃アンモニア水/エタノール=2:1の混合溶液1mlに加え、β−シアノエチル基を除去するとFluorpurが7mg得られた。合成品がFluorpurであることは、そのpH9の溶液の紫外可視吸光スペクトルが272nm(ピューロマイシン部由来)と494nm(フルオレセイン部由来)に現れることならびに、MALDI/TOFマススペクトロメトリーで、分子イオンがm/z1010に現れることから同定された。
(3)C末端ラベル化タンパク質の作成
作成したmRNAは、無細胞翻訳キットE.coli S30抽出物(Promega社製)を用いた翻訳系において、フルオニルピューロマイシン(Fluorpur)の最終濃度が16mMになるように加え、37℃で60分反応させた。未反応のFluorpurを取り除くために、25mlのTBS緩衝液(10mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH8.0)で平衡化したPD−10カラム(BIO−RAD社製)で溶出した。最初の1.6mlのフラクションにラベル化されたBドメインが溶出した。電気泳動で確認するためには、さらにCentricon3(アミコン社製)で遠心し、130μl程度まで濃縮した。
(4)タンパク質のラベル化の確認
上記(3)の各無細胞翻訳系反応液をSDSポリアクリルアミド電気動(SDS−PAGE)でSchaggerらの方法(Schagger,H.and von Jagow,G.,Anal Biochem.,166,368−379(1987))により20V定電圧にて90分電気泳動したゲルを蛍光イメージングアナライザー(FluorImager 595:Molecular Dynamics社製)で蛍光量を測定することにより行った。
さらに、pH.9の溶液中で494nmの吸光度から求めたフルオレセインを指標として、蛍光分光光度計(RF−502:島津社製)を使用してラベル化されたBドメインタンパク質の濃度を測定した。
(5)蛍光偏光解消測定装置によるBドメインとヒトIgGとの相互作用の解析 ラベル化されたBドメインタンパク質濃度を0.1から1nM程度にして、ヒトIgG(SIGMA社製)を10段階に希釈することで、0.01nMから10μMの濃度のサンプルを作成し、これに加えた。30分、室温で静置した後、蛍光偏光解消測定装置(BEACON2000,PanVera社)によって、その偏光度を測定した。各ヒトIgGの濃度に対する偏光度の結果を第4図に示した。この測定値に基づき、解離定数をもとめた結果、KD=6.4×10−8であった。これは、既知のデータと良く一致した。
実施例3 ビオチン化タンパク質のストレプトアビジンメンブレンへの固定化
(1)GFPuv4をコードするDNA断片の構築とそのmRNAの構築
T7プロモーター配列とKozakコンセンサス配列及びシャイン・ダルガーノ配列を含む1本鎖DNAを鋳型として、プライマーDNA(配列番号8)とGFPuv4の一部をコードしたプライマー(配列番号12)によってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。DNA合成酵素は、KOD Polymerase(東洋紡社製)を用いた。
一方、GFPuv4(Ito,Y.,et al.,Biochem Biophys Res.Commun,264(2),556−60(1999))をコードするDNAを鋳型として配列番号12のアンチセンスプライマー(配列番号13)とGFP遺伝子の3’末端プライマー(配列番号14)を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行うことにより、GFPuv4をコードしたDNA領域を増幅した。
これらの2つのPCR産物を重複伸長(Overap extension)法(Horton R.M.,et al.,Gene,77,61−68(1989))に従って結合させ、2つのDNAプライマー(配列番号8及び配列番号14)を用いてPCRを行うことによりT7プロモーターの下流にGFPuv4をコードするDNAが結合したDNA鎖を作成した。いずれのPCRにおいてもDNA合成酵素は、KOD Polymerase(東洋紡社製)を用いた。
上記した方法で作成したDNAを、反応液100μl当たり10μg加え、RNA合成キットRibomax Large Scale RNA Production System(Promega社製)を使ってmRNAに転写した。翻訳効率を上げるためにキャップアナログ(RNA capping Analog;Gibco BRL社製)を最終濃度が7.2mMになるように加え、mRNAの5’側を修飾した。キャップアナログ及び過剰のNTP(ヌクロオチド3リン酸)を除去するために、プライマー除去剤(Primer Remover:Edge Biosystems社製)を使ってエタノール沈殿を行った。
(2)ビオチンラベル化試薬Biotin−puromycin(Biotin−Puro)の調製
アミノ基と5’水酸基をそれぞれトリフルオロアセチル基とジメトキシトリチル基で保護したピューロマイシン(SIGMA社製)を3’水酸基を介して固相担体(NovasYn TG amino resin LL:Nova Biochem社製)に結合させ、ホスホアミダイド法により、核酸合成機(ABI 3498:Perkin Elmer社製)上でBiotin(Biotin TEG Phosphoramidide:グレンリサーチ社)、あるいはPEGスペーサー(Spacer 18:グレンリサーチ社製)を結合させた後に脱保護を行った。
(3)タンパク質のラベル化
作成したmRNA2μgは、無細胞翻訳キット小麦胚芽抽出物(Promega社製)を用いた翻訳系において、500μMビオチンピューロマイシン(Biotin−puro)2μl、又は500μMポリエチレングリコールピューロマイシン(PEG−puro)2μlをそれぞれ加え、26℃で60分反応させた。未反応のBiotin−puro又はPEG−puroを取り除くために、25mlのTBS緩衝液(10mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH8.0)で平衡化したPD−10カラム(BIO−RAD社製)で溶出した。
(4)タンパク質のラベル化の確認
ビオチンピューロマイシン(Biotin−puro)でラベル化されたタンパク質の確認は、上記のサンプルを各15μl取り、SAM2 Biotin Capture Membrane(Promega社製)にスポットし、10分間静置した後、このメンブレンをTBS緩衝液(10mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH8.0)で洗浄した。このTBS緩衝液の洗浄の前及び後に、FluoroImagerFX(Bio−Rad社製)を用いてメンブレン上の蛍光強度をイメージした。この結果を第5図に示す。TBS緩衝液で洗浄する前は、Biotin−puroとPEG−puroのそれぞれが同様の強度を示したが、洗浄後はPEG−puroでラベルされたGFPuv4は洗い流されていた。一方Biotin−puroによってラベル化されたGFPuv4はメンブレンにビオチンにより固定化された。
実施例4 蛍光イメージアナライザーを用いたビオチン化プロテインA、Bドメ インとヒトIgGとの相互作用の解析
(1)プロテインA、Bドメイン及びGFPuv4をコードするDNA断片の構築とそのmRNAの構築
T7プロモーター配列とKozakコンセンサス配列及びシャイン・ダルガーノ配列を含む1本差DNA(配列番号7)を鋳型としてプライマーDNA(配列番号8)とプロテインA、Bドメインの一部をコードした塩基配列及びリンカー配列(Gly−Gly−Gly−Gly−Serをコードする塩基配列)を含むプライマー(配列番号15)によってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。DNA合成酵素は、KOD Polymerase(東洋紡社製)を用いた。
一方、GFPuv4(Ito,Y.,et al.,Biochem Biophys Res.Commun,264(2),556−60(1999))をコードするDNAを鋳型として配列番号15のリンカー配列のアンチセンス配列及びGFPuv4の一部をコードする塩基配列を含むプライマー(配列番号16)とGFPをコードするDNAの3’末端プライマー(配列番号14)を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行うことにより、5’末端にリンカー配列が結合したGFPuv4をコードするDNA領域を増幅した。
これらの2つのPCR産物を重複伸長(Overlap extension)法(Horton R.M.,et al.Gene,77,61−68(1989))に従って、結合させ、2つのDNAプライマー(配列番号8及び配列番号14)を用いてPCRを行うことによりT7プロモーターの下流にプロテインA、BドメインをコードするDNA、及びリンカー配列を介してGFPuv4をコードするDNAが結合したDNA鎖を作成した。いずれのPCRにおいてもDNA合成酵素は、KOD Polymerase(東洋紡社製)を用いた。
上記した方法で作成したDNAを、反応液100μl当たり10μg加え、RNA合成キットRibomax Large Scale RNA Production System(Promega社製)を使ってmRNAに転写した。翻訳効率を上げるためにキャップアナログ(RNA capping Analog;Gibco BRL社製)を最終濃度が7.2mMになるように加え、mRNAの5’側を修飾した。キャップアナログ及び過剰のNTP(ヌクロオチド3リン酸)を除去するために、プライマー除去剤(Primer Remover:Edge Biosystems社製)を使ってエタノール沈殿を行った。
(2)ビオチンラベル化試薬Biotin−puromycin(Biotin−Puro)の調製
アミノ基と5’水酸基をそれぞれトリフルオロアセチル基とジメトキシトリチル基で保護したピューロマイシン(SIGMA社製)を3’水酸基を介して固相担体(NovasYn TG amino resin LL:Nova Biochem社製)に結合させ、ホスホアミダイド法により、核酸合成機(ABI 3498:Perkin Elmer社製)上でPEGスペーサー(Spacer Phosphoramidide 18:グレンリサーチ社製)、Biotin(Biotin TEG Phosphoramidide:グレンリサーチ社)、を順次結合させた後に脱保護を行った。
(3)タンパク質のラベル化
作成したmRNA 2μgは、無細胞翻訳キット小麦胚芽抽出物(Promega社製)を用いた翻訳系において、500μMビオチンピューロマイシン(Biotin−pupo)2μlを加え、26℃で60分反応させた。未反応のBiotin−puroを取り除くために、Bio−spinカラム(BIO−RAD社製)でゲル濾過を行った。
(4)C末端ビオチンラベル化Bドメイン−GFPuv4結合タンパクの固定化 上記(3)で作成したC末端ビオチンラベル化Bドメイン−GFPuv4結合タンパク(Biotin−DomainB−GFPuv4)をSAM2 Biotin Capture Plate(Promega社製)各ウェルに50μlずつ加え、15分間静置した後、各ウェルをTBS緩衝液(10mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH8.0)で洗浄した。次にBiotinと結合しなかったプレートに接着したストレプトアビジンをコートするために、1mM Biotin/PBS 100μlを加えた。その後200μlのTBS緩衝液で5回ウェルを洗浄した。次に1%BSA(SIGMA社製)/PBSでブロッキングした。またコントロールとしてBiotin−DomainB−GFPuv4を固定化していないウェルも同様にブロッキングした。
(5)蛍光イメージングアナライザーによる固相化BドメインとヒトIgGとの相互作用の解析
上記(4)で作成したBiotin−DomainB−GFPuv4を固定化した、又は固定化していないSAM2 Biotin Capture Plateの各ウェルに、Bドメインとaffinityの高いMonoclonal Anti−Human IgG I Biotin Conjugate(Mouse IgG2a isotype)(SIGMA社製)あるいは、Bドメインとaffinityの低いBiotin−Mouse Monoclonal Anti−Human IgA I(mouse IgG1 isotype)(SIGMA社製)をPBS緩衝液で5万倍に希釈したものを加え、1時間静置した。この各ウェルをTBS緩衝液で3回洗浄した後、ExtraAvidin−Alkaline Phosphatase(SIGMA社製)を加え、10分間静置後、TBS緩衝液で3回洗浄した。さらにAttphos substrate(Amersham pharmacia biotech社製)を加え、室温で20分反応させた。これを蛍光イメージングアナライザー(FluorImager FX:Bio−Rad社製)を用いてイメージングした結果を第6図に示した。
Biotin−DomainB−GFPuv4を固定化していないウェルにはバックグラウンドの蛍光しか観察されず、Biotin−DomainB−GFPuv4を固定化した各ウェルにおいては、Bドメインとaffinityの高いMouse IgG2a isotypeを投入したウェルにおける蛍光が、affinityの低いmouse IgG1 isotypeを投入したウェルにおける蛍光より強くなっており、相互作用の強度を測定、解析することができた。
産業上の利用可能性
本発明により、現在急速に蓄積されている遺伝子の塩基配列がコードするタンパク質の機能解析、例えばタンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−核酸相互作用、タンパク質−低分子化合物相互作用等の解析を迅速化するための手段が提供される。また、本発明により、タンパク質の機能解析において不可欠である大量のデータを迅速に解析する方法(ハイスループット化)において有力な手段が提供される。
【配列表】
Figure 0003942431
Figure 0003942431
Figure 0003942431
Figure 0003942431
Figure 0003942431
Figure 0003942431

【図面の簡単な説明】
第1図は、ピューロマイシン及びその誘導体の化学構造である。IはPuromycin、IIはrCpPur、IIIはdCpPur、IVはdUpPurである。
第2図は、蛍光物質と結合したピューロマイシンの化学構造である。IはFluorpur、IIはFluorthiopurである。
第3図は、ラベル部としてのリガンドが、固相に結合したアダプタータンパク質を介して結合した固相化C末端タンパク質をあらわした模式図である。
第4図は、蛍光偏光解消測定装置によりドメインBとヒトIgGとの相互作用を測定し、その結果を各ヒトIgGの濃度に対する偏光度の変化として示した図である。
第5図は、ビオチンピューロマイシン(Biotin−puro)でラベル化されたタンパク質の蛍光強度を蛍光イメージングアナライザーのディスプレー上に表示した写真である。
第6図は、蛍光イメージングアナライザーによる固相化BドメインとヒトIgGとの相互作用の強度を蛍光強度として蛍光イメージングアナライザーのディスプレー上に表示した写真である。

Claims (8)

  1. タンパク質−分子間相互作用の解析方法であって、下記の工程:
    (1)C末端ラベル化タンパク質と標的分子とを接触させる工程;及び
    (2)該C末端ラベル化タンパク質又は該標的分子が発する信号において、該C末端ラベル化タンパク質と標的分子との相互作用に基づいて発せられる信号の変化を検出する工程を含み、
    該C末端ラベル化タンパク質を構成するラベル部は、特定のポリペプチドと特異的に結合する能力を有する分子を含み、該分子が固相表面に結合している特定のポリペプチドとの連結を介して固相に結合し、かつ
    該C末端ラベル化タンパク質は、標識物質を含むラベル部とタンパク質のC末端に結合する能力を有する化合物を含むアクセプター部とを含むラベル化試薬の存在下で、該タンパク質のコーディング領域を含む核酸を転写及び/又は翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせることにより調製されたものであり、該ラベル化試薬はラベル部とアクセプター部とがスペーサーを介して結合している化合物を含む
    解析方法。
  2. 標的分子がタンパク質、核酸、糖鎖、又は低分子化合物である請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 標的分子が標識物質によりラベル化されているラベル化分子である請求の範囲第1項又は第2項に記載の方法。
  4. 標識物質が蛍光標識試薬である請求の範囲第3項に記載の方法。
  5. アクセプター部がピューロマイシン、3′−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、3′−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドの化学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体を含む請求の範囲第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 特定のポリペプチドとそれに特異的に結合する能力を有する分子の組み合わせが、ビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、及びエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールよりなる群から選ばれるいずれかの組み合わせである請求の範囲第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の方法。
  7. 信号の変化の測定を表面プラズモン共鳴法、エバネッセント場イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、固相酵素免疫検定法、蛍光偏光解消法、及び蛍光相関分光法よりなる群から選択される1以上の方法により行う請求の範囲第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の方法。
  8. スペーサーがポリエチレン又はポリエチレングリコールのいずれかである請求の範囲第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の方法
JP2001520104A 1999-08-31 2000-08-31 タンパク質−分子間相互作用解析法 Expired - Lifetime JP3942431B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24470499 1999-08-31
PCT/JP2000/005920 WO2001016600A1 (fr) 1999-08-31 2000-08-31 Methode d'analyse d'une interaction mutuelle entre une proteine et une molecule

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3942431B2 true JP3942431B2 (ja) 2007-07-11

Family

ID=17122696

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001520104A Expired - Lifetime JP3942431B2 (ja) 1999-08-31 2000-08-31 タンパク質−分子間相互作用解析法

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP1211514A4 (ja)
JP (1) JP3942431B2 (ja)
WO (1) WO2001016600A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018194406A1 (ko) * 2017-04-19 2018-10-25 주식회사 프로티나 단백질-단백질 상호작용 분석 방법 및 장치

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1350846A4 (en) 2000-12-07 2005-01-26 Univ Keio C-TERMINAL MODIFIED PROTEIN AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF, IN THE PREPARATION OF C-TERMINAL MODIFIED PROTEIN TO BE USED, AND TRANSLATION TEMPLATE AND METHOD FOR DETECTING PROTEIN CHANGING EFFECT USING THE C-TERMINAL MODIFIED PROTEIN
JP4963142B2 (ja) * 2000-12-14 2012-06-27 学校法人慶應義塾 遺伝子型と表現型の対応付け分子とその構成要素、および対応付け分子の製造方法と利用方法
JP2002253240A (ja) * 2001-02-27 2002-09-10 Gencom Co 分子間の相互作用の分析方法
JP2003294736A (ja) * 2002-04-01 2003-10-15 Japan Science & Technology Corp 蛍光蛋白質融合プローブを用いたスクリーニング方法
JP2004105070A (ja) * 2002-09-18 2004-04-08 Inst Of Physical & Chemical Res 無細胞タンパク質合成系を用いたリガンド結合タンパク質の製造方法及びその使用
JPWO2004113530A1 (ja) * 2003-06-18 2006-08-03 三菱化学株式会社 ラベル化蛋白質合成用ポリヌクレオチド
EP1650562A4 (en) 2003-07-31 2006-08-30 Genefield Inc PROCESS FOR SCREENING USEFUL PROTEIN
US7435538B2 (en) * 2003-09-08 2008-10-14 Cellfree Sciences Co., Ltd. High throughput screening method of drug for physiologically active protein
JP4374447B2 (ja) 2003-12-25 2009-12-02 独立行政法人産業技術総合研究所 タンパク質と糖鎖との相互作用を分析する方法
JP4338590B2 (ja) 2004-06-03 2009-10-07 独立行政法人科学技術振興機構 蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。
CN100458443C (zh) * 2004-07-09 2009-02-04 中国医学科学院药物研究所 一种高通量筛选反向蛋白质芯片、制备方法及其检测方法
US8445413B2 (en) 2004-10-15 2013-05-21 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Linker for constructing mRNA-puromycin-protein conjugate
JP2006320271A (ja) * 2005-05-20 2006-11-30 Tokyo Institute Of Technology 低分子化合物とタンパク質の結合評価方法
US8597576B2 (en) 2005-06-23 2013-12-03 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Analyzer for glycan or complex carbohydrate
JP2009278866A (ja) * 2006-09-04 2009-12-03 Olympus Corp Dnaに於けるdna結合性タンパク質の結合部位の検出方法
KR20110036638A (ko) 2008-07-25 2011-04-07 리차드 더블유. 와그너 단백질 스크리닝 방법
JP5759678B2 (ja) * 2010-04-14 2015-08-05 国立大学法人埼玉大学 核酸リンカー
CN111366566B (zh) * 2020-03-18 2020-09-11 江苏支点生物科技有限公司 一种在无细胞蛋白质合成环境下进行荧光测定的方法及多孔板

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3806430A1 (de) * 1988-02-29 1989-09-07 Boehringer Mannheim Gmbh Verfahren zur bestimmung eines proteins nach dem prinzip des fluoreszenz-polarisations-immunoassays
US5279954A (en) * 1989-06-30 1994-01-18 Board Of Regents Of The University Of Nebraska And Bionebraska Exopeptidase catalyzed site-specific bonding of supports, labels and bioactive agents to proteins
JPH03103765A (ja) * 1989-09-18 1991-04-30 Toyobo Co Ltd 固定化抗体または抗原を用いる蛍光偏光免疫測定法
FR2717499B1 (fr) * 1994-03-17 1996-05-24 Ulp Fragments d'anticorps recombinants synthétisés et biotinylés dans E. coli, leur utilisation en immunodosages et en purification par immunoaffinité.
JP4297519B2 (ja) * 1994-06-30 2009-07-15 武二 西川 尋常性天疱瘡患者自己抗体に認識される融合蛋白質、並びに尋常性天疱瘡の治療薬、治療器具、及び診断剤
JP3624227B2 (ja) * 1997-03-12 2005-03-02 独立行政法人理化学研究所 反応チップ及びその作製方法
US6376257B1 (en) * 1997-04-24 2002-04-23 University Of Rochester Detection by fret changes of ligand binding by GFP fusion proteins
JP3346727B2 (ja) * 1997-09-19 2002-11-18 日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 バイオチップ及びバイオチップ読取り装置
US7794946B1 (en) * 1998-02-04 2010-09-14 Life Technologies Corporation Microarray and uses therefor

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018194406A1 (ko) * 2017-04-19 2018-10-25 주식회사 프로티나 단백질-단백질 상호작용 분석 방법 및 장치

Also Published As

Publication number Publication date
EP1211514A1 (en) 2002-06-05
EP1211514A4 (en) 2005-03-09
WO2001016600A1 (fr) 2001-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3942431B2 (ja) タンパク質−分子間相互作用解析法
US11971417B2 (en) Single-molecule protein and peptide sequencing
US20080312103A1 (en) Linker For Constructing Mrna-Puromycin-Protein Conjugate
JP3750020B2 (ja) C末端修飾タンパク質およびその製造方法、ならびに、c末端修飾タンパク質の製造に用いる修飾剤および翻訳テンプレート、ならびに、c末端修飾タンパク質を用いたタンパク質相互作用の検出方法
JP4459436B2 (ja) アドレス化可能なモジュール式認識系、その調製および使用
US20230104998A1 (en) Single-molecule protein and peptide sequencing
WO1998011436A1 (en) Non-specific affinity enhancement to identify combinatorial library members
US20010049111A1 (en) Methods, procedures, and formats for using microelectronic array devices to perform multiplex immunoassay analyses
JP2002253240A (ja) 分子間の相互作用の分析方法
US20020106692A1 (en) Screening of target-ligand interactions
CN101278194A (zh) 用于分析物检测的协同指示系统、组分以及方法
JPWO2003048363A1 (ja) 対応付け分子とc末端ラベル化蛋白質の複合体および対応付け分子の複合体、ならびにそれらの複合体を利用した蛋白質間相互作用解析方法
WO2005001086A1 (ja) 固定化mRNA-ピューロマイシン連結体及びその用途
JP2004053416A (ja) C末端標識タンパク質を用いるタンパク質−分子間相互作用の解析方法
JP2002257832A (ja) タンパク質のラベル化試薬
JP4747292B2 (ja) 翻訳テンプレートおよびそのライブラリー、それらから合成される蛋白質および蛋白質のライブラリー、ならびにそれらを構成する要素、ならびにそれらの製造法および利用方法
US20040198958A1 (en) Carrier-ligand fusions and uses thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040401

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3942431

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100413

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110413

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130413

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140413

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term