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JP3941259B2 - レーダ装置 - Google Patents

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JP3941259B2
JP3941259B2 JP26161298A JP26161298A JP3941259B2 JP 3941259 B2 JP3941259 B2 JP 3941259B2 JP 26161298 A JP26161298 A JP 26161298A JP 26161298 A JP26161298 A JP 26161298A JP 3941259 B2 JP3941259 B2 JP 3941259B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体の衝突防止等に使用され、周波数変調されたレーダ波を送受信することにより、目標物体との相対距離や相対速度に関する情報を取り出すFMCW方式のレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年レーダ装置を自動車に搭載し、衝突防止等の安全装置として応用する試みがなされているが、車載用のレーダ装置としては、目標物の距離と相対速度とを同時に検出可能であり、しかも構成が比較的簡単で小型化・低価格化に適したFMCW方式のレーダ装置(以下、FMCWレーダ装置とよぶ)が用いられている。
【0003】
このFMCWレーダ装置では、図17(a)に実線で示すように、三角波状の変調信号により周波数変調され、周波数が時間に対して直線的に漸次増減する送信信号Ssをレーダ波として送信し、目標物体により反射されたレーダ波を受信する。この時、受信信号Srは、図17(a)に点線で示すように、レーダ波が目標物体との間を往復するのに要する時間、即ち目標物体までの距離に応じた時間Tdだけ遅延し、レーダと目標物体との相対速度に応じた周波数Fdだけドップラシフトする。
【0004】
そして、このような受信信号Srと送信信号Ssとをミキサで混合することにより、図17(b)に示すように、これら信号Sr,Ssの差の周波数成分であるビート信号Bを発生させ、送信信号Ssの周波数が増加する時のビート信号Bの周波数(以下、上り変調時のビート周波数とよぶ)をfu、送信信号Ssの周波数が減少する時のビート周波数(以下、下り変調時のビート周波数とよぶ)をfdとして、目標物体との距離R及び相対速度Vを、以下の(1)(2)式を用いて算出するように構成されている。
【0005】
【数1】
Figure 0003941259
【0006】
【数2】
Figure 0003941259
【0007】
なお、cは電波伝搬速度、Tは送信信号を変調する三角波の周期、△Fは送信信号の周波数変動幅、Foは送信信号の中心周波数である。
ここで、このようなFMCWレーダ装置を車載用レーダ装置として適用するには、約100〜200mを最大距離として、それ以下の範囲内にある目標物体を、少なくとも数mの距離分解能で検出できるように構成する必要がある。なお、FMCWレーダ装置の距離分解能△Rは、(3)式で表されることが知られている。
【0008】
【数3】
Figure 0003941259
【0009】
この(3)式から明かなように、数mの距離分解能を得るためには、周波数変動幅△Fを、100MHz程度に設定する必要があり、また、このような周波数変動幅△Fを確保するためには、送信信号の中心周波数Foを、ミリ波と呼ばれる周波数帯(数十GHz〜数百GHz)に設定する必要がある。
【0010】
そして、例えば、送信信号Ssを△F=100MHz、T=1msとした場合、目標物体との相対速度Vが0(即ちfu=fd)で、目標物体との距離Rが100mの時には、検出されるビート周波数fu,fdは、133KHzとなる。そして、100m以内の距離に目標物体がある場合には、133KHz以下のビート信号Bが検出され、また、相対速度Vが0ではない場合、相対速度Vが0の時の周波数を中心にして、ドップラシフト分だけ増減した周波数を有するビート信号Bが検出されることになる。即ち、車載用レーダ装置として使用する場合、数十KHz〜数百KHzのビート信号を検出できることが要求されるのである。
【0011】
ところがミリ波のような高周波帯の信号を扱う高周波用ミキサでは、信号強度の揺らぎの周波数成分からなるAM−FM変換ノイズや、周波数に反比例した強度を有する1/fノイズがミキサの出力に重畳される。しかも、これらAM−FM変換ノイズ及び1/fノイズ(以下、合わせて低周波ノイズとよぶ)の強度は、ビート信号Bと同じ数十KHz〜数百KHzの周波数領域で比較的強いため、ビート信号Bの信号対雑音比(以下、SN比という)を劣化させてしまうという問題があった。
【0012】
これに対して、例えば特開平5−40169号公報には、図18に示すように、高周波の送信信号Ssを生成する高周波発振器12と、高周波発振器12が生成する送信信号Ssの周波数を三角波状に直線的に変調するための変調信号Smを生成する三角波発生器26と、高周波発振器12からの送信信号Ssをレーダ波として送信する送信アンテナ16と、目標物体に反射したレーダ波を受信する受信アンテナ20と、受信アンテナ20からの受信信号Srに送信信号Ssを分配する分配器18からのローカル信号Lを混合してビート信号Bを発生させる高周波用ミキサ22とを備えた一般的な構成を有するFMCWレーダ装置において、更に、ビート信号Bの2倍以上の周波数を有するスイッチング信号を生成する第2の発振器36と、このスイッチング信号により受信アンテナ20からの受信信号Srを周期的にオン/オフするスイッチング回路38と、高周波用ミキサ22にて、スイッチングされた受信信号にローカル信号Lが混合されることにより、スイッチング周波数に応じた周波数領域に発生するビート信号の周波数成分を抽出するバンドパスフィルタ32と、バンドパスフィルタ32にて抽出された周波数成分を、更に第2の発振器36からのスイッチング信号をバンドパスフィルタ40によって整形した信号と混合することによって、ビート信号を本来の数十KHz〜数百KHzの周波数帯に再変換する中間周波用ミキサ23と、を備えたFMCWレーダ装置110が開示されている。
【0013】
この装置110では、スイッチング信号の周波数を数MHz程度に設定すれば、低周波ノイズの影響が十分に小さくなる領域(数MHz程度)にビート信号の周波数成分を発生させることができ、また、中間周波用ミキサ23は、高周波用ミキサ22が取り扱うミリ波に比べて周波数の低いビート信号やスイッチング信号(いずれも数MHz程度)を扱うので、その出力に重畳される低周波ノイズは、高周波用ミキサ22に比べて十分に小さい。
【0014】
即ち、高周波用ミキサ22では、低周波ノイズの影響が小さい周波数領域にビート信号Bを発生させ、このビート信号Bの周波数成分を、低周波ノイズの少ない中間周波用ミキサ23にて本来の周波数帯に変換しているので、低周波ノイズの影響を低減でき、ビート信号BのSN比が改善されるのである。
【0015】
しかし、この装置110では、受信アンテナ20と高周波用ミキサ22との間、即ちミリ波帯の高周波信号である受信信号Srの伝送経路にスイッチング回路38が挿入されているため、目標物体に反射して戻ってきた微弱なレーダ波の受信信号Srを一層減衰させてしまうという問題があった。
【0016】
しかもスイッチング回路38は、一般的にオン状態とオフ状態とで、回路の入力インピーダンスが変動し、スイッチング回路38に接続された他の回路、例えば高周波用ミキサ22等の動作に悪影響を及ぼすという問題もあった。
これらの問題を解決するために、本発明者らは、既に特願平9−235157号(以下、「先願」という)にて、ミリ波帯の高周波回路部品を追加することなく、簡易な構成にて低周波雑音の影響を除去可能なレーダ装置を提案している。
【0017】
即ち、図19(a)に示されたレーダ装置120は、従来のレーダ装置110と同様に、高周波発振器12,分配器18,送信アンテナ16,受信アンテナ20,高周波用ミキサ22を備え、特に、高周波発振器12への変調信号Smを生成する変調信号生成回路14が、送信信号Ssの周波数を三角波状に直線的に変調するための直線変調成分Maを生成する三角波発生器26と、送信信号Ssの周波数を周期的に変調するための周期変調成分Mbを生成する正弦波発振器27と、これら直線変調成分Maと周期変調成分Mbとを加算合成して変調信号Smを生成する加算器28とにより構成されている。
【0018】
また、レーダ装置120には、CPU,ROM,RAMからなる周知のマイクロコンピュータ、ビート信号Bをデジタル値に変換してCPUに取り込むためのA/D変換器、A/D変換器を介して取り込んだデータについて、高速フーリエ変換(FFT)等を実行するための演算処理装置等を備えた信号処理部24が設けられている。
【0019】
このように構成されたレーダ装置120では、直線変調成分Maと周期変調成分Mbとで2重に変調され、図20に示すように周波数が変化する送信信号Ssを、レーダ波として送受信することにより、目標物体の検出を行っている。
この時、高周波用ミキサ22にて生成されるビート信号Bは、基本波成分(図17で示した周波数fu,fdの信号成分、以下、特に断らない限りfdを代表して用いる)に加え、周期変調成分Mb自体の周波数Fsの近傍に高調波成分(周波数Fs±fd)を有したものとなる。
【0020】
つまり、周期変調成分Mbの周波数Fsを適宜調整して、高周波用ミキサ22の低周波ノイズが十分に小さい領域に、ビート信号Bの高調波成分を発生させることにより、信号処理部24では、このSN比の良好な高調波成分を用いて目標物体の検出を行うことが可能となるのである。
【0021】
また、先願では、図19(b)に示すように、上記レーダ装置120の構成に加えて、高周波用ミキサ22が出力するビート信号Bから一次高調波成分(周波数Fs±fd)を抽出するバンドパスフィルタ32、及び、抽出された一次高調波成分に周期変調成分Mbを混合して第2ビート信号Cを生成する中間周波用ミキサ23を設けることにより、ビート信号Bの一次高調波成分を第2ビート信号Cの基本波成分(周波数fd)に再変換するように構成されたレーダ装置130も開示されている。
【0022】
この場合、第2ビート信号Cを処理する信号処理部24では、低周波の基本波成分を扱うことになるため、信号処理部24の回路構成を簡易化することが可能である。なお、従来のレーダ装置110にて説明したように、中間周波用ミキサ23を設けることによるノイズの増加は殆どなく、第2ビート信号CのSN比を劣化させてしまうことがない。
【0023】
しかも、これらのレーダ装置120,130は、いずれも、周波数の低い信号を取り扱う部分のみに回路を付加しており、高周波発振器12から送信アンテナ16及び受信アンテナ20から高周波用ミキサ22に至るミリ波の通過経路には、新たな素子を一切設けていないため、従来のレーダ装置110で問題となったスイッチングによるミリ波の損失やインピーダンス変動の悪影響を防止することができるだけでなく、高価なミリ波スイッチなどを用いる必要がないため装置のコスト低減にも役立つ。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらレーダ装置120,130についての理論的な考察及び実験を行った結果、以下に説明するように、目標物体までの距離が特定の関係にある場合、検出感度が低下してしまうという問題が見出された。
【0025】
即ち、まず、この種のレーダ装置を車載用レーダとして用いる場合、上述のように、数百mの範囲内にある目標物体を検出できることが要求されるため、先の(1)式等に基づき、直線変調成分Maの繰り返し周期Tは、例えば1ms程度、即ち周波数に直すと1kHz程度に設定される。これに対して、周期変調成分Mbの周期(1/Fs)は、高周波用ミキサ22での低周波ノイズが十分に小さくなるような領域にビート信号Bの一次高調波成分が発生するように、例えば数十μs程度、即ち周波数に直すと数MHz程度に設定される。
【0026】
このように、周期変調成分Mbの周波数Fsが、直線変調成分Maの繰り返し周波数(1/T)に比べて十分に大きい場合、高周波発振器12にて生成される送信信号Ssは、ある時刻t0にて瞬時的に見ると、直線変調成分Maの変調によって時刻t0に得られる周波数をfcとして、この周波数fcの信号(以下、搬送波とよぶ)を、周波数Fsの周期変調成分Mbにより周波数変調したものであると見なすことができる。
【0027】
ここで、搬送波Mc(t),周期変調成分Mb(t)は、各信号の振幅をK0,K1、各信号の位相をθ0,θ1であるとし、ωc=2πfc,ωs=2πFsとすると、次の(4)(5)式にて表すことができる。
Mc(t)=K0・cos(ωc・t+θ0) (4)
Mb(t)=K1・cos(ωs・t+θ1) (5)
これら(4)(5)式に基づき、送信信号Ssを分岐してなるローカル信号L(t)を(6)式により、更に、目標物体で反射されたレーダ波を受信した受信アンテナから得られる受信信号R(t)を(7)式により表すことができる。
【0028】
Figure 0003941259
つまり、ローカル信号L(t)及び受信信号R(t)のスペクトラムは、周波数fcの搬送波と、周波数fc±Fsの側波帯とを有したものとなる。
【0029】
但し、送信信号(即ちローカル信号L(t))に対して受信信号R(t)では、目標物体との距離及び相対速度に応じて、周波数がfd(ωd=2πfd)だけずれ、また、搬送波Mc及び周期変調成分Maの位相も、それぞれθc,θsだけずれるものとする。また、A,Bはそれぞれローカル信号L(t)における搬送波及び側波帯の振幅、αはローカル信号L(t)に対する受信信号R(t)の減衰率である。更に、計算簡略化のためθ0=θ1=0としている。
【0030】
そして、ローカル信号L(t)と受信信号R(t)とが高周波用ミキサ22にて混合されることにより発生するビート信号B(t)は(8)式にて表され、このうち、周波数Fs±fd(即ち、角速度ωs±ωd)で表される一次高調波成分B1(t)を表す項のみを抽出して変形すると(9)式が得られる。
【0031】
【数4】
Figure 0003941259
【0032】
更に、レーダ装置130における第2ローカル信号L2(t)は、次の(10)式にて表すことができる。
L2(t)=K2・cos(ωs・t+θ2) (10)
但し、K2は振幅、θ2は位相である。
【0033】
そして、第2ローカル信号L2(t)とBPF32にて抽出されたビート信号の一次高調波成分B1(t)とが中間周波用ミキサ23にて混合されることにより発生する第2ビート信号C(t)は(11)式にて表される。このうち周波数fd(即ち、角速度ωd)で表される基本波成分C0(t)のみを抽出して変形すると(12)式が得られ、更に、第2ローカル信号L2(t)は、(5)式に示した周期変調成分Mb(t)と同一波形であることから、計算簡略化のため行った上述の仮定に従えば、θ2=θ1=0とすることができ、更に式を変形すると(13)式が得られる。
【0034】
【数5】
Figure 0003941259
【0035】
つまり、レーダ装置120の信号処理部24では、(9)式にて表されるビート信号の一次高調波成分B1(t)に基づき、また、レーダ装置130の信号処理部24では、(12)式にて表される第2ビート信号の基本波成分C0(t)に基づいて目標物体の検出が行われるのである。
【0036】
しかし、これら(9)(13)式から明らかなように、ビート信号の一次高調波成分B1(t)は、振幅を表す項にsin(θs/2)が乗じられているため、θs=2π±2nπ(nは整数)の場合に出力が零となり、また同様に、第2ビート信号の基本波成分C0(t)は、振幅を表す項に、sinθsが乗じられているため、θs=π±nπ(nは整数)場合に出力が零となる。
【0037】
上述の定義からθsとは、ローカル信号L(t)中での周期変調成分と受信信号R(t)中での周期変調成分との位相差のことであり、この位相差θsは、レーダ波が目標物体までの距離Rを往復したことにより生じたものであるため、次の(14)式にて表すことができる。
【0038】
【数6】
Figure 0003941259
【0039】
但し、λs=c/Fs,cは光速(レーダ波の伝搬速度)である。
そして、ビート信号の一次高調波成分B1(t)により検出を行うレーダ装置120では、目標物体までの距離Rが、周期変調成分Mbの周波数Fsに基づく波長λsの1/2の整数倍に等しい場合に、θs=2π±2nπの関係を満たし、また、第2ビート信号の基本波成分C0(t)により検出を行うレーダ装置130では、目標物体までの距離Rが、上記波長λsの1/4の整数倍に等しい場合に、θs=π±nπの関係を満たして、位相差θsが零となる。
【0040】
つまり、目標物体までの距離が上述のような特定の関係にある場合には、目標物体の検出に用いる信号B1(t),C0(t)の強度、ひいては検出感度が、大きく低下してしまうのである。
例えば、周期変調成分Mbの周波数がFs=10.5MHzの場合、この周期変調成分Mbに基づく波長は、λs=28mとなるため、レーダ装置120では、R=14m,28m,42m…の各距離において、また、レーダ装置130では、R=7m,14m,21m,28m…の各距離において、レーダの感度が低下することが予想される。
【0041】
実際にレーダ装置120を用いて、このようなレーダ波を目標物体に照射し、反射波の受信信号のピーク強度(即ち受信感度)を、目標物体までの距離を2〜20mの間で変化させながら測定したところ、図21のグラフに示すように、上述の理論通り、14mの地点でレーダ装置120の受信感度が低下することが確認された。
【0042】
本発明は、上記問題点を解決するために、直線変調成分と周期変調成分とにより周波数が2重に変調されたレーダ波を用いて目標物体との距離や相対速度を検出するレーダ装置において、該レーダ装置に要求される検知距離の全範囲内にて、感度のよい検出を行うことができるようにすることを目的とする。
【0043】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた第1発明である請求項1記載のレーダ装置では、送信信号生成手段が、時間に対して直線的に周波数を変化させる直線変調成分と、検出すべきビート信号の基本波成分の2倍以上の周波数で周期的に周波数を変化させる周期変調成分とにより変調された送信信号を生成する。
【0044】
この送信信号がレーダ波として放射され、この時、高周波用ミキサは、目標物体により反射されたレーダ波の受信信号に、送信信号生成手段からの送信信号をローカル信号として混合し、これら混合された両信号の周波数差を成分とするビート信号を生成する。
【0045】
すると演算手段は、送信信号が周期変調成分によって変調されていることにより、ビート信号に発生する高調波成分に基づいて、目標物体との距離又は相対速度を求める。
そして、特に本発明では、周期変調成分の周波数が、該周波数を有するレーダ波の半波長が当該レーダ装置に要求される最大検知距離より長くなるような大きさに設定されている。
【0046】
従って、本発明のレーダ装置によれば、直線変調成分と周期変調成分とにより周波数が2重に変調されたレーダ波を用いるレーダ装置に特有な現象である、目標物体が特定距離(周期変調成分Mbの周波数Fsに基づく波長λsの1/2の整数倍)にある場合のビート信号の一次高調波成分の強度低下(ひいては検出感度の低下)が、図22(a)に示すように、当該レーダ装置に要求される最大検知距離までの範囲内では発生せず、この範囲内にある目標物体を確実に検出することができる。
【0047】
つまり、当該レーダ装置との相対的な距離が時々刻々と変化する目標物体を、その検出中に見失ってしまうことがなく、装置の信頼性を向上させることができる。
なお、図22(a)は、レーダ装置の最大検知距離をRmax =100mとし、周期変調成分の周波数をFs=1MHz(即ち、λs≒300mであり、従って、λs/2>Rmax )とした場合、及びFs=2MHz(即ち、λs≒150mであり、従って、λs/2<Rmax )とした場合について、0〜160mの範囲内にある目標物体を検出した時に得られる信号強度を、(9)及び(14)式に基づいて算出したものである。但し、グラフの縦軸は距離0mの時を0dBとして相対強度で表したものである。
【0048】
ところで、周期変調成分としては、単純な正弦波,矩形波等を用いることができる他、請求項2記載のように、nビットのランダムな2値信号を基本単位とした繰り返し波形からなり、基本単位の繰り返し周波数が、ビート信号の基本波成分の2倍以上に設定されているものを用いてもよい。
【0049】
この場合、このような周期変調成分のスペクトラムは、基本単位の繰り返し周波数と同じ周波数を有する信号成分を基本波として含むため、この周期変調成分の基本波により生じるビート信号の一次高調波成分を用いて目標物体の検出を行えば、請求項1記載のレーダ装置と同様の効果を得ることができる。
【0050】
更に、請求項2記載のレーダ装置では、周期変調成分に、基本波の整数倍の周波数を有する高調波が含まれており、その信号強度も基本波と同程度に大きなものとなるため、この高調波の周波数近傍に生じるビート信号の高次高調波成分は、比較的大きな信号強度を有することになる。つまり、一次高調波成分以外の高次高調波成分でも、十分に大きな信号強度が得られ高精度な検出が可能となる。従って、請求項3記載のように、ビート信号に生じる高調波成分のうち、いずれか二つ以上を用いて目標物体の検出を行えば、より信頼性の高い検出を行うことができる。
【0051】
次に、第2発明である請求項4記載のレーダ装置では、請求項1記載のレーダ装置と同様に目標物体との距離及び相対速度の検出を行い、特に本発明では、周期変調成分の周波数が、請求項1記載のレーダ装置とは異なり、該周波数を有するレーダ波の半波長が当該レーダ装置に要求される距離分解能より短くなる大きさに設定されている。
【0052】
つまり、本発明のレーダ装置においては、ビート信号の一次高調波成分の強度低下が、当該レーダ装置に要求される距離分解能以下の距離毎に繰り返し発生することになる。しかし、距離分解能の大きさに区切られた任意の範囲を考えれば、その範囲全体としては、部分的に信号レベルの低下があったとしても、平均的には十分な信号レベルを有していることになるため、この平均的な信号レベルを検出することにより、目標物体の検出を行うことができる。
【0053】
従って、本発明のレーダ装置によれば、当該レーダ装置に要求される検出範囲内の目標物体を、要求される距離分解能の精度で確実に検出することができ、請求項1記載の発明と同様に、目標物体を、その検出中に見失ってしまうことがなく、装置の信頼性を向上させることができる。
【0054】
また、本発明のレーダ装置によれば、周期変調成分の周波数が高く設定されることになるため、結果的に、低周波ノイズの影響がより小さい周波数領域にビート信号の一次高調波成分を発生させることができ、よりSN比の向上した感度のよい検出を行うことができる。
【0055】
次に、第3発明である請求項5記載のレーダ装置では、請求項1記載のレーダ装置と同様に目標物体との距離及び相対速度の検出を行い、特に本発明では、送信信号生成手段に、直線変調成分の変化に同期させて周期変調成分の周波数を周期的に切り替える変調成分切替手段が設けられている。
【0056】
従って、本発明のレーダ装置によれば、当該レーダ装置に要求される検出範囲内に、ビート信号の一次高調波成分の強度(検出感度)が特定距離にて低下する現象(以下、検出感度の低下現象という)が現れたとしても、この特定距離は、周期変調成分の繰り返し周波数に依存して変化するため、検出感度が低下する特定距離が互いに重なり合わないように、いくつかの繰り返し周波数の設定を選択すれば、この設定を適宜切り替えることにより、当該レーダ装置に要求される検出範囲内の目標物体を確実に検出することができる。
【0057】
なお、本発明のレーダ装置では、周期変調成分の周波数を、直線変調成分の変化に同期させて周期的に切り替えている
これは、この種のレーダ装置では、図17及び図20にて示したように、一般的に、上り変調と下り変調とからなる三角波状の直線変調成分を用い、上り/下りの各変調時にてそれぞれビート信号を検出し、検出された一対のビート信号に基づいて目標物体の検出を行っており、この直線変調成分を構成する三角波の繰り返し周期毎に、周期変調成分の周波数を切り替えていけば、効率よく様々な周波数の周期変調成分を用いて目標物体の検出を行うことができるからである。
【0058】
また、周期変調成分の周波数の切り替えは、上述のように周期的に行うのではなく、請求項記載のように、周波数切替制御手段により、演算手段にて算出された目標物体との距離に応じて制御するようにしてもよい。
即ち、(9)(14)式を用いて明らかにしたように、周期変調成分の周波数に基づく波長λs(従って周期変調成分の周波数)から、任意の距離Rにおける目標物体の検出感度を求めることができるため、現在検出されている目標物体までの距離に基づいて、その距離での感度が良好なものとなるように、周期変調成分の周波数を調節すれば、常に、良好な検出感度にて精度のよい検出を行うことができる。
【0059】
次に、第4発明である請求項記載のレーダ装置では、請求項1記載のレーダ装置の構成に加えて中間周波用ミキサを備えており、この中間周波用ミキサが、高周波用ミキサにて生成されたビート信号に、周期変調成分と同期した第2ローカル信号を混合し、この混合された信号の周波数差を成分とする第2ビート信号を生成し、演算手段が、中間周波用ミキサにて生成された第2ビート信号の基本波成分に基づき、目標物体との距離又は相対速度を求める。
【0060】
そして、特に本発明では、周期変調成分と第2ローカル信号との位相差を調節する位相差調節手段が設けられている。
先に説明した(12)式からわかるように、第2ビート信号の基本波成分C0は、sin(θs/2)の値が小さくなる領域以外に、cos(−θs/2+θ2)の値が小さくなる領域でも信号強度(即ち検出感度)の低下が生じる。しかし、後者については第2ビート信号の位相θ2を調節することによって、図22(b)に示すように、検出感度が低下する特定距離を変化させることができる。
【0061】
従って、例えば請求項記載のように、演算手段にて算出された目標物体の距離に応じて、位相差調節手段による位相差の調節量を制御する位相差調節量制御手段を設ければ、常に良好な検出感度にて目標物体の検出を行うことができる。
なお、図22(b)は、周期変調成分の周波数をFs=1MHz(λsが約300m)とし、第2ローカル信号の位相θ2(ここでは、周期変調成分の位相をθ1=0としているので、θ2は、周期変調成分に対する第2ローカル信号の位相差△θ=θ2−θ1を表している)を、0°,45°,90°,120°,135°,180°に設定した各場合について、0〜160mの範囲内にある目標物体を検出した時に得られる信号強度を、(12)式に基づいて算出したものである。但し、図22(a)と同様に、グラフの縦軸は距離0mの時を0dBとして相対強度で表したものである。
【0062】
ところで、位相差調節手段にて周期変調成分と第2ローカル信号との位相差が、固定的に調節される場合であっても、例えば、請求項記載のように、その位相差が90°±180°×mに調節されるのであれば、(12)式から明らかなように((12)式では周期変調成分の位相をθ1=0と仮定したものであるため、第2ローカル信号の位相θ2が位相差を表している)、sin(θs/2)に基づく特定距離でのみ検出感度の低下が生じることになる。従って、中間周波用ミキサを持たないレーダ装置と同様に取り扱うことができ、検出感度の低下現象への対処を容易に行うことができる。
【0063】
また、高周波用ミキサと中間周波用ミキサとの間に、ビート信号の信号成分のうち、第2ローカル信号の周波数近傍の信号成分のみを通過させるバンドパスフィルタ、或いはこの信号成分のみを増幅する増幅器のうち少なくとも一方からなる信号強調手段が設けられている時には、中間周波用ミキサに入力されるビート信号は、高周波用ミキサに入力される受信信号より、信号強調手段での位相遅延分だけ遅れることになる。
【0064】
このような場合には、この位相遅延分θdlを考慮して、請求項10記載のように、周期変調成分と第2ローカル信号との位相差△θが、△θ−θdl=90°±180°×m(mは整数)となるように位相差調節手段を設定すればよい。
なお、請求項1にて説明したように、周期変調成分の周波数に基づく波長λsの1/2が最大検知距離Rmax より大きくなるように設定する場合、実用的には余裕を見込んで大きめに設定するため、位相差調節手段では、その余裕に相当する分だけ位相差が小さめに調節されたとしても、最大検知距離Rmax 内で検出感度が低下することがない。そして、λs/2>Rmax に設定されている場合、周期変調成分と第2ローカル信号との位相差△θを、次の(15)式に示す△θRmaxに設定すると、最大検知距離Rmax にて検出感度の低下現象が生じることになる。
【0065】
【数7】
Figure 0003941259
【0066】
つまり、位相差調節手段での位相差△θ(信号強調手段を含む場合は、△θ−θdl)の調節量は、θRmax≦△θ≦90°(θRmax≦△θ−θdl≦90°)であれば、理論上、最大検知距離Rmax の範囲内で検出感度の低下現象が生じることはなく、例えば、λs/2が最大検知距離Rmax の1.5倍程度となるように周期変調成分の周波数を設定した場合には、最大検知距離Rmax での位相差△θRmaxは30°となる。しかし、この場合、実用的には、マージンを見込んで、位相差調節手段での位相差△θ(△θ−θdl)の調節量は、45°≦△θ≦90°(45°≦△θ−θdl≦90°)程度に設定することが望ましい。
【0067】
次に、請求項11記載のレーダ装置では、第2ローカル信号が、周期変調成分のn倍の周波数を有するように設定されている。即ち、このような周波数成分を有する第2ローカル信号を用いれば、中間周波用ミキサにて、ビート信号に含まれるn次高調波成分を第2ビート信号の基本波成分に変換することができる。
【0068】
従って、本発明のレーダ装置によれば、使用される環境条件に応じて低周波ノイズの他、外部からの妨害電波の少ない領域に発生している高調波成分が選択されるよう、上記倍数を適宜選択すれば、よりSN比が向上し検出感度を高めることができる。
【0069】
なお、第2ローカル信号が周期変調成分のn倍の周波数を持つようにするには、例えば、請求項12記載のように、周期変調成分をn倍に逓倍することにより第2ローカル信号を生成するようにしてもよいし、請求項13記載のように、第2ローカル信号を1/nに分周することにより周期変調成分を生成するようにしてもよい。
【0070】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
[第1実施例]
図1は、第1実施例のレーダ装置の全体構成を表すブロック図である。
【0071】
本実施例のレーダ装置10は、図19(a)を用いて説明した先願のレーダ装置120と同様に、三角波発生器26と正弦波発振器27と加算器28とからなる変調信号生成回路14,高周波発振器12,分配器18,送信アンテナ16,受信アンテナ20,高周波用ミキサ22,信号処理部24を備えている。
【0072】
なお、変調信号生成回路14,高周波発振器12が本発明における送信信号生成手段に相当し、信号処理部24が同じく演算手段に相当する。
そして、本実施例では、当該レーダ装置10に要求される最大検知距離がRmax =100m(以下、各実施例で同様)であり、正弦波発振器27が生成する周期変調成分Mbの周波数はFs=1MHz、即ち、レーダ波送出空間での周波数Fsである信号成分の波長(以下、空間波長とよぶ)λs(=c/Fs)が約300mであり、周期変調成分Mbの空間波長λsの1/2(即ち150m)が、最大検知距離Rmax より大きく(λs/2>Rmax )なるように設定されている。
このように構成された本実施例のレーダ装置10によれば、最大検知距離Rmax 以下の範囲では、レーダの検知感度が低下する現象を発生することがなく、常に良好な感度にて目標物体の検出を行うことができる
[第2実施例]
次に、第2実施例について説明する。
【0073】
本実施例では、第1実施例のレーダ装置10と全く同様のブロック構成をしており、正弦波発振器27の設定のみが異なっている。
即ち、本実施例では、当該レーダ装置10に要求される距離分解能が△R=1mであり、正弦波発振器27が生成する周期変調成分Mbの周波数は、Fs=300MHz、即ち、周期変調成分Mbの空間波長λsが約1mであり、この空間波長λsの1/2(即ち0.5m)が、距離分解能△Rより小さく(λs<△R)なるように設定されている。
【0074】
このように構成された本実施例のレーダ装置10によれば、検出感度の低下現象は、距離分解能△Rより短い周期で繰り返されるが、距離分解能△Rの範囲を測定単位として考えると、その測定範囲内では、平均的には十分な検出感度を得ることができる。このため、検出感度の低下現象を原因として、最大検知距離Rmax の範囲内で目標物体を見失ってしまうことがない。
【0075】
従って、第1実施例のレーダ装置10と同様に、常に良好な検出感度にて目標物体の検出を行うことができる。
[第3実施例]
次に、第3実施例について説明する。
【0076】
本実施例のレーダ装置10aは、第1実施例のレーダ装置10とは、一部構成が異なるだけであるため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本実施例のレーダ装置10aは、図2に示すように、周期変調成分Mbの生成用として、正弦波発振器27の代わりに、ランダムパターンからなるデジタル信号を繰り返し生成する信号発生器25を備えている以外は、第1実施例のレーダ装置10と全く同様の構成をしている。
【0077】
そして、信号発生器25は、図3に示すように、1ビット幅が0.1μsである10ビットのランダムパターン(本実施例では、「1001010110」)を基本単位として、これを繰り返し生成するように構成されている。
このように構成された信号発生器25が生成する周期変調成分Mbは、様々な周波数成分を含んでおり、具体的には、図4に示すように、基本単位の繰り返し周期Ts=1μsに基づく周波数Fs=1/Ts=1MHzをはじめとして、その整数倍の周波数成分(2MHz,3MHz…)を含んだものとなる。
【0078】
このように構成された本実施例のレーダ装置10aでは、周期変調成分Mbの各信号成分近傍に、ビート信号Bの高調波成分が発生し、しかも、2MHz以上の信号成分でも1MHzのものと同程度の信号強度が得られる。
つまり、このような周期変調成分Mbにより生成されるビート信号Bの高調波成分は、信号強度が十分に大きなものとなるため、信号処理部24では、使用する環境に応じて、目標物体の検出処理に用いる高調波成分として、使用される環境に応じてSN比の最も小さいものを適宜選択することで、精度のよい検出を行うことができる。
【0079】
また、特に、基本単位の繰り返し周期に基づく高調波成分(周波数Fs=1MHz)により目標物体の検出を行う場合には、第1実施例のレーダ装置10と同様に、この高調波成分の空間波長λsが約300mであり、λs/2>Rmax となるため、最大検知距離Rmax 以下の範囲では、レーダの検知感度が低下する現象を発生することがなく、常に良好な感度にて目標物体の検出を行うことができる。
[第4実施例]
次に、第4実施例について説明する。
【0080】
本実施例のレーダ装置10bは、第1実施例のレーダ装置10とは、一部構成が異なるだけであるため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本実施例のレーダ装置10bは、図5に示すように、周期変調成分Mbを生成するための構成として、正弦波発振器27の代わりに、発振周波数が互いに異なる第1正弦波発振器27a及び第2正弦波発振器27bと、切替信号SC1に従って、両正弦波発振器27a,27bの出力のうちいずれか一方を周期変調成分Mbとして加算器28に供給する切替スイッチ29とを備え、更に、三角波発生器26を起動する起動信号SC2や、切替スイッチ29への切替信号SC1を生成する変調信号制御部41を備えている。これら正弦波発振器27a,28a、切替スイッチ29、変調信号制御部41が、本発明における変調周期切替手段に相当する。
【0081】
なお、本実施例では、第1正弦波発振器27aの発信周波数が3.5MHz、第2正弦波発振器27bの発信周波数が4.5MHzに設定されている。
そして、変調信号制御部41は、起動信号SC2を出力して三角波発生器26を起動すると、以後、三角波発生器26が生成する三角波の1周期が終了する毎に、切替信号SC1を出力して加算器28に接続される正弦波発振器27a,27bを交互に切り替えることにより、周期変調成分Mbの周波数を切り替えるように構成されている。
【0082】
ここで、図6は、第1正弦波発振器27aにて生成された周期変調成分Mb(周波数3.5MHz)或いは第2正弦波発振器27bにて生成された周期変調成分Mb(周波数4.5MHz)のそれぞれを用いて、0〜150mの範囲内にある目標物体の検出を行った場合に、信号強度が変化する様子を(9)及び(14)式に基づいて求めた結果を表すグラフである。但し、グラフの縦軸は距離0mの時を0dBとした相対強度で表している。
【0083】
図6に示されているように、本実施例のレーダ装置10bによれば、周波数の異なる2種類の周期変調成分Mbを用いたそれぞれの場合での検出特性が、検出感度の低下現象を互いに補い合っているため、最大検知距離Rmax =100mまでの範囲内に存在する目標物体を良好な感度にて確実に検出できる。
【0084】
ところで、本実施例では、変調信号制御部41を、三角波発生器26が生成する三角波の1周期毎に周期変調成分Mbの周波数が切り替わるよう構成したが、図5中点線にて示すように、信号処理部24からの切替指令SCgがあると、それに応じて、三角波の周期の区切れ目(例えば下り変調から上り変調に切り替わるタイミング、又はその逆のタイミング)にて、切替信号SC1を出力するように構成してもよい。
【0085】
この場合、信号処理部24では、通常に行われる、ビート信号に基づいて目標物体との距離及び相対速度を検出する目標物体検出処理の他に、その検出結果に基づいて、変調信号制御部41への切替指令SCgを出力する周波数切替制御手段としての切替指令出力処理が実行される。
【0086】
この切替指令出力処理を、図7に示すフローチャートに沿って説明する。
即ち、本処理が起動されると、まずS110では、目標物体検出処理の検出結果を読み込み、続くS120では、衝突危険性のある目標物体、或いは最も近くに存在する目標物体を抽出する。
【0087】
続くS130では、S120にて抽出された目標物体との距離に基づき、その距離付近での検出感度がより良好となる周期変調成分の周波数を選択し、続くS140では、その選択に従って、変調信号制御部41が切替スイッチ29を切り替えるように切替指令SCgを出力して本処理を終了する。
【0088】
このように、注目すべき目標物体との距離の検出結果に基づき、周期変調成分Mbの周波数を切り替えるようにすれば、その目標物体が存在する距離付近での検出感度が常に良好なものとなるため、その目標物体を検出中に見失ってしまうことがなく、信頼性の高い検出を行うことができる。
【0089】
なお、本実施例では、周期変調成分Mbの周波数を2種類に切り替えたが、3種類以上に切り替えてもよい。特にこのような場合、正弦波発振器を複数設けるのではなく、周期変調成分Mbの生成に電圧制御発振器等、周波数を制御可能な発振器を用いてもよい。
[第5実施例]
次に、第5実施例について説明する。
【0090】
本実施例のレーダ装置10cは、第1実施例のレーダ装置10とは、一部構成が異なるだけであるため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本実施例のレーダ装置10cは、図8に示すように、第1実施例のレーダ装置10の構成に加えて、正弦波発振器27が生成する周期変調成分Mbから、この周期変調成分Mbに対して予め設定された位相差△θを有する第2ローカル信号L2を生成する位相差調節手段としての位相調節器42と、高周波用ミキサ22が生成するビート信号Bに、位相調節器42からの第2ローカル信号L2を混合して第2ビート信号Cを生成する中間周波用ミキサ23とを備えている。
【0091】
このように構成された本実施例のレーダ装置10cでは、ビート信号Bの信号成分のうち、周期変調成分Mbの周波数Fs近傍に生じる一次高調波成分(周波数Fs±fd)が、中間周波用ミキサ23にて第2ローカル信号L2(周波数Fs)と混合されることにより、第2ビート信号Cの基本波成分C0(周波数fd)に変換される。
【0092】
そして、信号処理部24では、第2ビート信号の基本波成分C0を用いて目標物体との距離や相対速度を検出する等の各種演算処理を実行する。
ここで位相調節器42は、図9に示すように、演算増幅器OP1を中心に抵抗R1,コンデンサC1と共に構成された周知の積分回路43と、同じく演算増幅器OP2を中心に抵抗R2,R3,R4と共に構成された周知の反転増幅器44とにより構成されている。
【0093】
そして、この位相調節器42に入力される周期変調成分Mbが、先の(5)式にて表されるものとすると、積分回路を通過した信号Mb’(t)の波形は(16)式で表され、更に、反転増幅器を通過した信号、即ち第2ローカル信号L2(t)の波形は(17)式で表される。
【0094】
Figure 0003941259
即ち、この位相調節器42は、周期変調成分Mb(位相θ1)と第2ローカル信号L2(位相θ2=θ1+π/2)との位相差△θ(=θ2−θ1)をπ/2[rad]、つまり90°に調整している。
【0095】
従って、本実施例のレーダ装置10cによれば、中間周波用ミキサ23を備えていない第1実施例のレーダ装置10と同様に、sin(θs/2)に相当する特定距離でのみ検出感度の低下現象が現れ、当該レーダ装置10cに要求される最大検知距離Rmax の範囲内では、検出感度の低下現象が現れないため、検出中に目標物体を見失うことがなく、信頼性の高い検出を行うことができる。
【0096】
ところで、本実施例では、周期変調成分Mbに対して90°の位相差を有する第2ローカル信号L2を生成するために、演算増幅器OP1,OP2を中心としたアナログ回路のみからなる位相調節器42を用いたが、例えば、図10(a)に示すように、正弦波発振器27の代わりに、生成すべき周期変調成分Mbの2倍の発信周波数(2×Fs)を有した矩形波X1を生成する矩形波発生器25aを用い、位相調節器42aは、矩形波発生器25aが生成した矩形波X1を周波数が1/2となるよう分周する第1分周器45と、第1分周器45の出力Mb’から高調波成分を除去することにより、基本波成分(周波数Fs)だけからなる周期変調成分Mbを生成する第1ローパスフィルタ(LPF)46と、矩形波発生器25aが生成した矩形波X1を反転する反転回路47と、反転回路47の出力X2を周波数が1/2となるよう分周する第2分周器48と、第2分周器48の出力L2’から高調波成分を除去することにより、基本波成分(周波数Fs)だけからなる第2ローカル信号L2を生成する第2LPF49とにより構成されているものを用いてもよい。
【0097】
このように構成された位相調節器42aでは、図10(b)に示すように、反転回路47により、矩形波X1,X2の位相差が180°となり、この両矩形波X1,X2をそれぞれ分周することで、位相差が90°の矩形波Mb’,L2’が生成され、更に、これら矩形波Mb’,L2’の基本波成分のみを抽出することにより、90°の位相差を有する周期変調成分Mb及び第2ローカル信号L2が生成される。
【0098】
即ち、位相調節器42aは、LPF46,49以外は、デジタル回路にて構成可能なため、簡単且つ安価に作製することができる。
また、図11に示すように、高周波用ミキサ22と中間周波用ミキサ23との間に、第2ローカル信号L2の周波数近傍の信号成分のみ通過させるバンドパスフィルタ(BPF)50や、同信号成分のみを増幅する増幅器52が設けられたレーダ装置10dの場合、これらBPF50や増幅器52での位相遅延量をθ3とすると、位相調節器42にて、第2ローカル信号L2の位相θ2を、遅延した信号に対する位相差△θ’(=θ2−(θ1+θ3)=△θ−θ3)が90°となるように調節すればよい。このレーダ装置10dでは、BPF50と増幅器52とをいずれも備えているが、いずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0099】
ここで、図12には、周期変調成分Mbの周波数を1MHzとし、目標物体の位置を10m,30m,75m,100mにそれぞれ固定し、それぞれについて、周期変調成分Mb(位相θ1)と第2ローカル信号L2(位相θ2)との位相差△θ(=θ2−θ1)変化させた時に得られる第2ビート信号Cの信号強度を、(12)及び(14)式を用いて求めた結果を示す。但し、グラフの縦軸は距離0mの時を0dBとした相対強度で表している。
【0100】
図12に示すように、周期変調成分Mbの周波数が1MHz、即ち、その空間波長λsの1/2が、最大検知距離Rmax の約1.5倍程度に設定されている場合、位相差△θが、45°〜90°の範囲内に設定されていれば、10m〜100mまでの間の検知距離では、検出感度の低下現象が現れないことがわかる。
【0101】
従って、位相調節器42では、位相差△θ(BPF50や増幅器52を備えている場合には△θ’)が90°となるよう、第2ローカル信号L2の位相θ2を必ずしも厳密に調節する必要はなく、位相調節器42を比較的精度の低いもの、例えば遅延線により構成したもの等を用いてもよい。この場合、装置を安価に構成することができる。
[第6実施例]
次に、第6実施例について説明する。
【0102】
本実施例のレーダ装置10eは、第5実施例のレーダ装置10cとは、一部構成が異なるだけであるため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本実施例のレーダ装置10dは、図13に示すように、位相調節器42が調節指令SCpに従って第2ローカル信号L2の位相θ2を任意に変化させることができるように構成されていると共に、信号処理部24が、目標物体検出処理での検出結果に基づいて、位相調節器42への調節指令SCpを出力する位相差調節量制御手段としての調節指令出力処理を実行するように構成されている。
【0103】
この調節指令出力処理を、図14に示すフローチャートに沿って説明する。
本処理が起動されると、まずS210,S220は、先に説明した切替指令出力処理と全く同様に、目標物体検出処理の検出結果を読み込み、その中から衝突危険性のある目標物体、或いは最も近くに存在する目標物体等、注目すべき目標物体を抽出する。
【0104】
続くS230では、S220にて抽出された目標物体との距離に基づき、その距離付近で安定した検出感度が得られるような位相差を算出し、続くS240ではその位相差を位相調節器42に実現させるための調節指令SCpを出力して本処理を終了する。
【0105】
即ち、先に図12にて示したように、目標物体までの距離を固定して考えた場合、周期変調成分Mb(位相θ1)と第2ローカル信号L2(位相θ2)との位相差△θ=θ2−θ1が特定の値にある時に、第2ビート信号Cの信号強度が低下し、その低下現象が現れる位相差は、目標物体までの距離に応じて変化する。
【0106】
しかし、本実施例のレーダ装置10eによれば、注目すべき目標物体との距離の検出結果に基づき、周期変調成分Mbと第2ローカル信号L2との位相差を適宜調節(例えば、目標物体が75m付近にある場合には、位相差△θ=90°)できるようにされており、注目すべき目標物体が存在する距離付近での検出感度を常に良好なものとすることができるため、その目標物体を検出中に見失ってしまうことがなく、信頼性の高い検出を行うことができる。
[第7実施例]
次に、第7実施例について説明する。
【0107】
本実施例のレーダ装置10fは、第5実施例のレーダ装置10cとは、一部構成が異なるだけであるため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本実施例のレーダ装置10fは、図15に示すように、第5実施例のレーダ装置の構成に加え、正弦波発振器27と位相調節器42との間に、正弦波発振器27からの周期変調成分Mbの周波数Fsをn倍に逓倍して第2ローカル信号L2(周波数n×Fs)を生成する周波数逓倍器54を備えている。
【0108】
このように構成された本実施例のレーダ装置10fでは、中間周波用ミキサ23にて、ビート信号Bと第2ローカル信号L2が混合されることにより、ビート信号Bのn次高調波成分Bn(周波数n×Fs±fd)が、第2ビート信号Cの基本波成分C0(周波数fd)に変換される。
【0109】
従って、本実施例のレーダ装置10fによれば、ビート信号Bを構成する高調波成分のうち最もSN比の優れたものが、第2ビート信号Cの基本波成分C0に変換されるよう周波数逓倍器54の逓倍数nを設定することにより、常に良好な感度にて検出を行うことができる。
【0110】
ところで本実施例では、周期変調成分Mbの周波数をn倍することで、n倍の周波数を有する第2ローカル信号L2を生成しているが、逆に、図16に示すレーダ装置10gのように、正弦波発振器27の発振周波数を周期変調成分Mbの周波数Fsのn倍とし、この正弦波発振器27の出力の周波数を1/n倍に分周する分周器56を設け、この分周器56の出力を周期変調成分Mbとして加算器28に供給すると共に、正弦波発振器27の出力をそのまま位相調節器42に供給するように構成することにより、周期変調成分Mbのn倍の周波数を有する第2ローカル信号L2を生成するようにしてもよい。
【0111】
このように構成されたレーダ装置10gでは、上述のレーダ装置10fと全く同様の効果を得ることができる。
なお、レーダ装置10fにおける周波数逓倍器54の逓倍数n、及びレーダ装置10gにおける分周器56の分周数1/nを、信号処理部24からの指令により切り替え可能に構成してもよい。この場合、使用条件の変化に応じて、ビート信号Bの高調波成分のうち最もSN比のよいものが適宜選択して第2ビート信号Cの基本波成分C0に変化されるようにすれば、外来ノイズの発生状態がどのように変化したとしても、常に当該レーダ装置10f,10gの検出能力を最大限に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1及び第2実施例のレーダ装置の概略構成図である。
【図2】 第3実施例のレーダ装置の概略構成図である。
【図3】 周期変調成分の波形を表す説明図である。
【図4】 周期変調成分のスペクトラム図である。
【図5】 第4実施例のレーダ装置の概略構成図である。
【図6】 目標物体までの距離に応じてビート信号の信号強度が変化する様子を表すグラフである。
【図7】 切替指令出力処理を表すフローチャートである。
【図8】 第5実施例のレーダ装置の概略構成図である。
【図9】 位相調節器の詳細な構成を表す回路図である。
【図10】 位相調節器の他の構成を表すブロック図、及びその動作を表すタイミング図である。
【図11】 第5実施例の変形例の概略構成図である。
【図12】 周期変調成分と第2ビート信号との位相差に応じて第2ビート信号の信号強度が変化する様子を表すグラフである。
【図13】 第6実施例のレーダ装置の概略構成図である。
【図14】 調節指令出力処理を表すフローチャートである。
【図15】 第7実施例のレーダ装置の概略構成図である。
【図16】 第7実施例の変形例の概略構成図である。
【図17】 FMCWレーダ装置の動作原理を表す説明図である。
【図18】 従来のレーダ装置の概略構成図である。
【図19】 先願に示されたレーダ装置の概略構成図である。
【図20】 先願のレーダ装置に用いられるレーダ波の変調状態を表す説明図である。
【図21】 ビート信号の検出感度の低下現象を表す実験結果である。
【図22】 ビート信号及び第2ビート信号の検出感度の低下現象を表すグラフである。
【符号の説明】
10,10a〜10g…レーダ装置 12…高周波発振器
14…変調信号生成回路 16…送信アンテナ 18…分配器
20…受信アンテナ 22…高周波用ミキサ 23…中間周波用ミキサ
24…信号処理部 25…信号発生器 25a…矩形波発生器
26…三角波発生器 27,27a,27b…正弦波発振器
28…加算器 29…切替スイッチ 32,50…バンドパスフィルタ
41…変調信号制御部 42,42a…位相調節器 43…積分回路
44…反転増幅器 45,48…分周器 46,49…ローパスフィルタ
47…反転回路 52…増幅器 54…周波数逓倍器 56…分周器

Claims (13)

  1. 時間に対して直線的に周波数を変化させる直線変調成分と、検出すべきビート信号の基本波成分の2倍以上の周波数で周期的に周波数を変化させる周期変調成分とにより変調され、レーダ波として送信される高周波の送信信号を生成する送信信号生成手段と、
    目標物体により反射された前記レーダ波の受信信号に、前記送信信号生成手段からの送信信号をローカル信号として混合し、該混合された信号の周波数差を成分とするビート信号を生成する高周波用ミキサと、
    前記送信信号が前記周期変調成分によって変調されていることにより、前記ビート信号に生じる高調波成分に基づいて、目標物体との距離又は相対速度を求める演算手段と、
    を備えたレーダ装置において、
    前記周期変調成分の周波数を、該周波数を有するレーダ波の半波長が当該レーダ装置に要求される最大検知距離より長くなる大きさに設定したことを特徴とするレーダ装置。
  2. 請求項1記載のレーダ装置において、
    前記周期変調成分は、nビットのランダムな2値信号を基本単位とした繰り返し波形からなり、該基本単位の繰り返し周波数が、前記ビート信号の基本波成分の2倍以上に設定されていることを特徴とするレーダ装置。
  3. 請求項2記載のレーダ装置において、
    前記演算手段は、前記ビート信号に生じる高調波成分のうち、いずれか二つ以上を用いて目標物体の検出を行うことを特徴とするレーダ装置。
  4. 時間に対して直線的に周波数を変化させる直線変調成分と、検出すべきビート信号の基本波成分の2倍以上の周波数で周期的に周波数を変化させる周期変調成分とにより変調され、レーダ波として送信される高周波の送信信号を生成する送信信号生成手段と、
    目標物体により反射された前記レーダ波の受信信号に、前記送信信号生成手段からの送信信号をローカル信号として混合し、該混合された信号の周波数差を成分とするビート信号を生成する高周波用ミキサと、
    前記送信信号が前記周期変調成分によって変調されていることにより、前記ビート信号に生じる高調波成分に基づいて、目標物体との距離又は相対速度を求める演算手段と、
    を備えたレーダ装置において、
    前記周期変調成分の周波数を、該周波数を有するレーダ波の半波長が当該レーダ装置に要求される距離分解能より短くなる大きさに設定したことを特徴とするレーダ装置。
  5. 時間に対して直線的に周波数を変化させる直線変調成分と、検出すべきビート信号の基本波成分の2倍以上の周波数で周期的に周波数を変化させる周期変調成分とにより変調され、レーダ波として送信される高周波の送信信号を生成する送信信号生成手段と、
    目標物体により反射された前記レーダ波の受信信号に、前記送信信号生成手段からの送信信号をローカル信号として混合し、該混合された信号の周波数差を成分とするビート信号を生成する高周波用ミキサと、
    前記送信信号が前記周期変調成分によって変調されていることにより、前記ビート信号に生じる高調波成分に基づいて、目標物体との距離又は相対速度を求める演算手段と、
    を備えたレーダ装置において、
    前記送信信号生成手段に、前記直線変調成分の変化に同期させて前記周期変調成分の周波数を周期的に切り替える変調成分切替手段を設けたことを特徴とするレーダ装置。
  6. 時間に対して直線的に周波数を変化させる直線変調成分と、検出すべきビート信号の基本波成分の2倍以上の周波数で周期的に周波数を変化させる周期変調成分とにより変調され、レーダ波として送信される高周波の送信信号を生成する送信信号生成手段と、
    目標物体により反射された前記レーダ波の受信信号に、前記送信信号生成手段からの送信信号をローカル信号として混合し、該混合された信号の周波数差を成分とするビート信 号を生成する高周波用ミキサと、
    前記送信信号が前記周期変調成分によって変調されていることにより、前記ビート信号に生じる高調波成分に基づいて、目標物体との距離又は相対速度を求める演算手段と、
    を備えたレーダ装置において、
    前記送信信号生成手段に、前記周期変調成分の周波数を切り替える変調成分切替手段を設けると共に、
    前記演算手段にて算出された目標物体との距離に応じて、前記変調成分切替手段による前記周期変調成分の周波数を切り替えを制御する周波数切替制御手段を設けたことを特徴とするレーダ装置。
  7. 時間に対して直線的に周波数を変化させる直線変調成分と、検出すべきビート信号の基本波成分の2倍以上の周波数で周期的に周波数を変化させる周期変調成分とにより変調され、レーダ波として送信される高周波の送信信号を生成する送信信号生成手段と、
    目標物体により反射された前記レーダ波の受信信号に、前記送信信号生成手段からの送信信号をローカル信号として混合し、該混合された信号の周波数差を成分とするビート信号を生成する高周波用ミキサと、
    該高周波用ミキサが生成するビート信号に、前記周期変調成分と同期した第2ローカル信号を混合し、該混合された信号の周波数差を成分とする第2ビート信号を生成する中間周波用ミキサと、
    該中間周波用ミキサにて生成された第2ビート信号の基本波成分に基づき、目標物体との距離又は相対速度を求める演算手段と、
    を備えたレーダ装置において、
    前記周期変調成分の周波数を、該周波数を有するレーダ波の半波長が当該レーダ装置に要求される最大検知距離より長くなる大きさに設定すると共に、
    前記周期変調成分と前記第2ローカル信号との位相差を調節する位相差調節手段を設けたことを特徴とするレーダ装置。
  8. 請求項7記載のレーダ装置において、
    前記演算手段にて算出された目標物体との距離に応じて、前記位相差調節手段による前記位相差の調節量を制御する位相差調節量制御手段を設けたことを特徴とするレーダ装置。
  9. 請求項7記載のレーダ装置において、
    前記位相差調節手段は、前記位相差を90°±180°×m(mは整数)に調節することを特徴とするレーダ装置。
  10. 請求項7記載のレーダ装置において、
    前記高周波用ミキサと前記中間周波用ミキサとの間に、前記高周波用ミキサが生成するビート信号の信号成分のうち、前記第2ローカル信号の周波数近傍の信号成分のみを通過させるバンドパスフィルタ、或いは該信号成分のみを増幅する増幅器のうち、少なくともいずれか一方からなる信号強調手段を設け、
    前記位相差調節手段は、前記位相差△θを、前記第2ローカル信号とほぼ同じ周波数を有する信号成分の前記信号強調手段での位相遅延分をθ dl として、△θ−θ dl =90°±180°×m(mは整数)となるように調節することを特徴とするレーダ装置。
  11. 請求項7ないし請求項10いずれか記載のレーダ装置において、
    前記第2ローカル信号は、前記周期変調成分のn倍(nは正の整数)の周波数を有することを特徴とするレーダ装置。
  12. 請求項11記載のレーダ装置において、
    前記送信信号生成手段は、前記第2ローカル信号を、前記周期変調成分の周波数をn倍することにより生成することを特徴とするレーダ装置。
  13. 請求項11記載のレーダ装置において、
    前記送信信号生成手段は、前記周期変調成分を、前記第2ローカル信号の周波数を1/nに分周することにより生成することを特徴とするレーダ装置。
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