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JP3936821B2 - 生分解性ポリエステルオレフィン、その製造方法及び生分解性被覆粒状肥料 - Google Patents

生分解性ポリエステルオレフィン、その製造方法及び生分解性被覆粒状肥料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解速度の制御が容易で力学特性の良好な成形体になし得るポリエステルオレフィンに係わり、その優れた特性により使用中には生分解が進行せず、使用後に生分解が始まることが望まれる農業・土木資材などの各種用途に適するものである。そして、この優れた生分解性及び成形加工性を有するポリエステルオレフィンをコート材とする改良された被覆粒状肥料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
生分解性を有する脂肪族ポリエステルとしては、ICI社が開発した微生物産性の「バイオポール(商品名)」を最初として、ポリ乳酸(カーギル社、三井化学社、島津製作所等開発)、ポリカプロラクトン(ダイセル社等開発)、ポリグリコール酸(大塚化学社等開発)等のオキシカルボン酸系の脂肪族ポリエステルや、昭和高分子社が開発した「ビオノーレ(商品名)」等のグリコール/ジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル、更に、本出願人等が開発したグリコール/ジカルボン酸/オキシカルボン酸併用系のポリエステル等が提案されてきた。
これらの脂肪族ポリエステルは、生分解性を有するもののその速度をコントロールすることは困難である。そのため、農業・土木資材など使用中には生分解が進行せず使用後に生分解が始まるような生分解性をある程度遅くしたい用途には不向きであった。
【0003】
また、これらの脂肪族ポリエステルが生分解性に難点があるポリエチレンを代替するには重合度が十分高いことが必要とされるが、従来の重合方法では脂肪族ポリエステルの重合度を上げるのが困難であり、ポリエチレンと同等の性能を持たせるのは難しい。また、ポリエチレンテレフタレートの製造で用いられているような従来の溶融法のポリエステル製造設備では、高温での反応が必要とされるので、熱分解しやすい脂肪族ポリエステルはこのような設備では高重合度体が得られない。
脂肪族ポリエステルは重合度が不十分であると、それをフィルム、シート更には射出成型品などにした場合、強度が不足するという問題がある。高重合体の脂肪族ポリエステルを得るために、昭和高分子社の「ビオノーレ」では鎖延長剤が一般に使用されている。しかしながら、鎖延長剤を用いて高分子量化することは製造工程を煩雑にするだけでなく、成形加工時の条件によってはゲル化などの可能性があり、成形加工時の条件設定が難しいという問題がある。
【0004】
特開平4−50224、特開平4−50225では生分解性を持たせさらにポリエチレンの性質もあわせもつポリエステルエチレンが提案されている。このポリエステルエチレンは脂肪族ポリエステルに比べれば生分解性は遅いが、ポリエチレンユニットの含量が多いので生分解性は遅すぎる傾向があり、その速度を適度にコントロールすることは難しい。又ポリエステルエチレンを製造するための重合は溶媒中で長時間を要するので高重合度体が得られにくく、工業的には実用性の低いものである。
【0005】
土壌中に施肥された肥料成分の溶出を物理的に制御するために、粒状肥料の表面を溶出速度調節剤を含有した皮膜で被覆する検討が広く実施されてきた。特に、特開昭50−99858、特公昭60−3040、特公昭60−37074に開示された、被覆材としてポリオレフィン樹脂等を用いた被覆肥料の製造法は実用化迄に至っている。
しかしながら、近年、皮膜の非崩壊性による環境負荷を懸念する声が上がっている。そこで、エチレン・一酸化炭素共重合体(特公平2−23516)又はエチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体(特公平2−23515)を皮膜に使用することで光分解による皮膜の崩壊性付与が提案されたが、土中ではそのメカニズムが作用しないため実質的な効果は達せられなかった。
【0006】
一方、生分解性を有する樹脂を粒状肥料の皮膜に使用した例としては、脂肪族ジカルボン酸およびグリコール成分からなる脂肪族ポリエステルの皮膜で被覆してなる被覆肥料が提案されている(特開平7−315976、特開平8−157290)。また、脂肪族ジカルボン酸およびグリコール成分に加え脂肪族ヒドロキシカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステルも提案されている(特開平9−249477)。しかし、これらの生分解性ポリエステルは分解が速いため肥料の溶出期間中に皮膜が崩壊してしまい、溶出制御が困難であった。また、一般に生分解性を有する脂肪族ポリエステルによる皮膜は、微生物の影響を受けない無菌の水中であっても極めて溶出期間の短いものしか得られないという欠点を有している。そのため、特開平3−146192、同4−89384、同7−315976、同9−263476では生分解性脂肪族ポリエステルとポリオレフィンやワックスなどとをブレンドした皮膜組成が提案されている。しかし、これらは溶出制御性と充分な生分解性とを両立するものではなかった。
【0007】
また、特開平9−194280、同9−309784では生分解性脂肪族ポリエステルと他のポリマーとのブレンドに加え、酸化分解を促進する物質を混合し溶出制御性と生分解性の両立をめざしている。ところが、生分解性脂肪族ポリエステルとポリオレフィンなどとは相溶性が悪く、その混合物から形成した皮膜は非常に脆く、強度の低いものであって使用過程における物理的な負荷に耐えうるものではなかった。
更に、特開平10−25180では、エステル基含量を規定したコポリエステルエチレンが生分解性と溶出制御性の両方を達成する方法として提案されている。しかし、ポリエチレンにエステル基のような極性基を主鎖に導入することは、工業的には困難であって実用性は極めて低い。例えば、上記特開平4−50224、同4−50225においては、ポリエチレンにエステル基を導入したポリエステルエチレンの重合が試みられているが、その重合は溶媒中で長時間の反応時間を要し、高重合体も得にくいため工業的実用性の低いものである。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようにポリエチレンの側鎖にエステル基を導入した場合では、生分解性がまだかなり遅く生分解皮膜とはなり得ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生分解の制御性に優れ、力学特性の良好なポリエステルオレフィンを提供すること、及びこの優れた生分解性及び成形加工性を有するポリエステルオレフィンをコート材とする被覆粒状肥料を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、その第1の要旨は、数平均分子量300〜50,000の長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である長鎖脂肪族ポリオール残基、下記式(I)で表される脂肪族ジオール単位、及び式(II)で表される脂肪族ジカルボン酸単位より構成され、長鎖脂肪族アルコール残基の(II)に対する重量比率が0.1から3.0であり、且つ数平均分子量が5,000〜300,000のポリエステルオレフィンに存する。
(I)−OR1O−(式中、R1は炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表す)
(II)−OCR2CO−(式中、R2は炭素数0〜40の2価の脂肪族炭化水素基を表す)
【0010】
本発明の第2の要旨は、数平均分子量300〜50,000の長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である長鎖脂肪族ポリオール類、下記式(i)で表される脂肪族ジオール化合物、及び式(ii)で表される脂肪族ジカルボン酸化合物を、長鎖脂肪族ポリオール類が式(ii)で表される脂肪族ジカルボン酸化合物に対し0.1から3.0(重量比率)であるように仕込み、溶融状態で重合させることよりなる平均分子量が5,000〜300,000のポリエステルオレフィンの製造方法に存する。
(i)HOR1OH(式中、R1は炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基)
(ii)R3OOCR2COOR3(式中、R2は炭素数0〜40の2価の脂肪族炭化水素基、R3は水素原子又は低級アルキル基を表す)
【0011】
本発明の第3の要旨は、数平均分子量300〜50,000の長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である長鎖脂肪族ポリオール残基、下記式(I)で表される脂肪族ジオール単位、及び式(II)で表される脂肪族ジカルボン酸単位より構成され、長鎖脂肪族ポリオール残基の(II)に対する重量比率が0.1から3.0であり、且つ数平均分子量が5,000〜300,000のポリエステルオレフィンを含有するコート層を有する生分解性被覆粒状肥料に存する(式I、IIは、前記と同義である。)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、生分解の制御性と共に力学特性にも優れたポリエステルオレフィンに係わるが、生分解性ポリマーはその用途によって要求される生分解速度、力学特性は多種多様である。コンポストバックなどに使う場合は、堆肥中で速やかに生分解することが望まれる。一方、粒状肥料用被覆材、農業用マルチフィルム、土木資材などでは、それらが使用されている間は生分解せず、使用後に生分解するように生分解速度を制御することが望まれる。
【0013】
本発明のポリエステルオレフィンは、脂肪族ジカルボン酸(又はエステル)と脂肪族ジオール成分に、更に末端に水酸基を有する低重合ポリオレフィンのポリオール類から成る長鎖脂肪族ポリオール類を併用し、重合生成したものである。そのため、本発明ポリエステルオレフィン中では、従来の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコール成分から成るポリエステルに比べエステル結合量が少なくなるので、生分解速度が遅くなり、上記のように遅い生分解速度を必要とする用途に適している。また、本発明ポリエステルオレフィンは長鎖脂肪族ポリオールに由来する鎖状炭化水素単位を含有することにより、鎖延長剤等を使用することなくフィルム、シート、更には射出成型品などに加工した場合、充分な強度を保持することができる。
【0014】
粒状肥料用被覆材として使用する場合、従来技術において開示されている生分解性脂肪族ポリエステルは、エステル結合単位含量が大きいので生分解が速すぎるだけでなく、親水性が強いために透湿性が高く肥料の溶出を速めてしまい、溶出制御を達成することができない。これに対し、本発明のポリエステルオレフィンは、上記の如く脂肪族ジカルボン酸とジオール成分に、更に特定の長鎖脂肪族ポリオール成分を併用して得られる重合体であるので、その構造中に含まれるエステル結合単位量は、従来公知の生分解性脂肪族ポリエステルよりも少ない。その結果、本発明のポリエステルオレフィンでは、生分解速度を制御することに加えて、疎水性が大きくなるので肥料の溶出を制御することも可能となった。また、ポリオレフィンなど他のポリマーとブレンドした場合も相溶性が良いので、他樹脂の特性も付与され、より高度な溶出制御を達成することが可能であると共に強度の強い皮膜を生成することができ、被覆粒状肥料として幅広い性能を付与することも可能である。
【0015】
本発明のポリエステルオレフィンは、前記式(I)で表される脂肪族ジオール単位、及び式(II)で表される脂肪族ジカルボン酸単位に加えて特定の分子量を有する長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である長鎖脂肪族ポリオール残基より構成されるものであり、そのポリエステルオレフィンの数平均分子量(Mn)は5,000〜300,000である。Mnが5,000より小さいと成形加工が困難だったり、成形できても機械的強度が不足するので好ましくなく、好ましくは10,000より大、より好ましくは20,000より大である。一方、Mnが大きすぎると溶融粘度が大きくなりすぎて成形加工が困難になる場合がある。Mnは通常300,000以下、より好ましくは200,000以下である。又粒状肥料用被覆材とする場合は、Mnが大きすぎると溶媒への溶解性が低くなりコーティングが困難になるので、好ましくは100,000以下、さらに好ましくは50,000以下である。
【0016】
本発明のポリエステルオレフィンを製造する場合に使用される原料は、生分解性及び成形加工性を損なわない限り特に限定されるものではないが、以下に示すような化合物が使用される。
本発明のポリエステルオレフィンを構成する長鎖脂肪族ポリオール成分は、数平均分子量300〜50,000の長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である。長鎖脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基を含むが、その主鎖中に分岐構造を含有していてもよい。分岐の種類は、主として側鎖アルキル基であり、エチル基、ブチル基等のエチル以上の低級アルキル基が好ましい。分岐点の炭素は3級炭素でも4級炭素でもよいが3級炭素の方が好ましい。分岐の量は特に制限されないが、ポリエステルオレフィンの透湿性を大きくしたい場合は、多くするのが好ましく、透湿性を小さくしたい場合は少なくするのが好ましい。長鎖脂肪族炭化水素基の数平均分子量は大き過ぎると生分解性が低下したり相分離が起きるので好ましくない。好ましくは、500〜30,000、より好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは1,500〜3,000である。
【0017】
また、長鎖脂肪族炭化水素基が有する平均水酸基数は、1.5〜2.5である。1.5より小さいとポリエステルに共重合する場合の反応性が低下し、所望の重合度が達成されず、他方、2.5より大きいと架橋構造が多くなりすぎて重合中に固化してしまい好ましくない。平均水酸基数は、1.7〜2.3がより好ましい。
長鎖脂肪族ポリオール成分は、脂肪族ジカルボン酸成分(II)に対して重量比で0.1から3.0で使用される。0.1より小さいとポリエステルオレフィンの溶融張力が小さくなり、フィルムなどに成形するのが困難になる。また3.0より大きい場合は耐熱性が小さくなり、フィルムや成型品、あるいは粒状肥料の被覆材として使用するには問題が生ずる。より好ましくは重量比で0.15から2.0、さらに好ましくは0.2から1.5、最も好ましくは、0.2から1.3である。
長鎖脂肪族ポリオール類としては、低分子量のポリオレフィン系飽和炭化水素骨格に水酸基を導入したポリオレフィン系ポリオールが挙げられ、具体的には三菱化学(株)より、商品名「ポリテール」で市販されているものを使用することが出来る。
【0018】
式(I)で表されるジオール単位に相当する脂肪族ジオール化合物(i)は、HOR1OH(式中、R1は炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基)で表され、特に限定されるものではない。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコ−ルなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上を混合して使用してもよい。これらの中、特にエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、1,4−ブタンジオールと1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルが更に好ましく、1,4−ブタンジオールが最も好ましい。
【0019】
式(II)で表される脂肪族ジカルボン酸単位に相当する脂肪族ジカルボン酸化合物は、R3OOCR2COOR3(式中、R2は炭素数0〜40の2価の脂肪族炭化水素基、R3は、水素原子又は低級アルキル基を表す)で表されるカルボン酸及びそのアルキルエステルであり、特に限定されるものではない。具体的には、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ペンタデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、エイコサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、またはこれらの低級アルキルエステル化合物が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いてもよい。これらの中、特にアジピン酸、コハク酸が好ましい。
ジカルボン酸化合物の低級アルキルエステル成分としては、メチルエステルを主たる対象とするが、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等の1種または2種以上を混合してもよく目的により任意に選ぶことができる。
【0020】
長鎖脂肪族ポリオール類(A)、脂肪族ジオール化合物(i)及び脂肪族ジカルボン酸化合物(ii)の仕込み比率(モル比率)は、(A)、(i)、(ii)に対応する化合物のモル数をそれぞれ、A、i、iiとすると、
0.8≦(A+i)/ii≦2.0である。
(A+i)/iiが0.8より小さい、あるいは2.0より大きいと重合速度が低下するので好ましくない。(A+i)/iiは、好ましくは0.9≦(A+i)/ii≦1.5、より好ましくは1.0≦(A+i)/ii≦1.3である。
【0021】
本発明のポリエステルオレフィンは、例えば溶融重縮合によって長鎖脂肪族ポリオール類(ポリオレフィン系ポリオール)、ジオール化合物、ジカルボン酸(エステル)化合物を反応せしめて製造される。その際に使用される触媒は特に限定されないが、チタン化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物などを用いることができる。特にチタン化合物、又はチタン化合物と周期律表IIA族化合物の混合触媒が望ましく、チタン化合物とマグネシウム化合物の混合触媒が最も好ましい。混合触媒におけるチタン化合物とマグネシウム化合物の比率は、Ti/Mg当量比率で、1/10〜10/1が好ましく、特に1/3〜3/1が好ましい。
【0022】
触媒の使用量は、生成するポリマーに対して10〜10,000ppm、好ましくは20〜5,000ppm、より好ましくは50から1,000ppmである。触媒の添加時期は、重縮合反応以前なら特に限定されず、原料仕込み時に添加しても、減圧開始直前に添加してもよく、或いは3成分を溶解させた時点で仕込んでもよい。3成分を溶解させた時点で仕込むのが最もよい。
本発明における溶融重合の温度は、200℃以上で行われる。180℃以下では重合速度が低下するので好ましくない。好ましくは200℃以上、最も好ましくは220℃以上275℃以下である。275℃を越えると色調が悪化するので好ましくない。また、重縮合反応時の最終減圧度は10mmHg以下、より好ましくは5mmHg以下で選ぶのがよい。
【0023】
本発明のポリエステルオレフィンは、生分解速度の制御性、成形加工性に優れ種々の用途に適用されるが、必要に応じて、結晶核剤、滑剤、着色剤、離型剤、抗酸化剤、無機フィラー、有機フィラー、紫外線安定剤、顔料、帯電防止剤、蛍光剤、界面活性剤、他のポリマーなどを常法に従い添加することができる。これらは、重合時に添加してもよいし、重合後に添加してもよい。
【0024】
本発明のポリエステルオレフィンは、種々の樹脂類と混合し必要な特性を付与させることができる。混合される樹脂類は特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリオキシメチレン、塩化ビニリデン系共重合体、ジエン系ゴムなどの樹脂類、パラフィン、硬化油、固形脂肪酸、及び金属油、密ロウ、木ロウ、石油樹脂もしくはロジン等の低分子樹脂状物質から選ばれた1種もしくは2種以上を添加することができる。特に該ポリエステルオレフィンと相溶性が良好なポリオレフィン類と混合することにより幅広い性能をもたすことが可能である。添加割合は特に制限は無いが、前述したようにポリオレフィン類は一般に土中で安定なので少量が好ましい。
【0025】
本発明のポリエステルオレフィンを粒状肥料の被覆材として使用する場合は、従来の樹脂被覆肥料と同様種々の添加物を用いて肥料を溶出制御するとともに皮膜の分解性を高めることができる。
分解性を促進する目的で、例えば、光分解性資材、生分解性資材、酸化促進物質、光分解促進物質、昇華性物質等の1種以上を加えることができる。
光分解性資材として特に制限は無いが、感光性官能基が導入された樹脂、例えば、一酸化炭素とオレフィン類の共重合体、ジエン系重合体、ビニルケトン系共重合体が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して80(重量)%以下、好ましくは50(重量)%以下、特に好ましくは20(重量)%以下である。添加方法としては、本発明のポリエステルオレフィンに必要があれば相溶化剤を用いて均一に分散させても良いし、微粉末状で分散させても構わない。
【0026】
生分解資材として特に制限は無いが、糖重合体及びその誘導体、蛋白質及びその誘導体、脂肪族ポリエステル、芳香族又は環状エーテルが導入された脂肪族ポリエステル、水溶性樹脂(例えばポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリリンゴ酸)が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して50(重量)%以下、好ましくは20(重量)%以下、特に好ましくは10(重量)%以下である。添加方法としては、本発明のポリエステルオレフィンに必要があれば相溶化剤を用いて均一に分散させても良いし、微粉末状で均一分散させても構わない。
【0027】
酸化促進物質・光分解促進物質として特に制限はないが、炭素不飽和結合を有する不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、油脂類、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属錯体が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して20(重量)%以下、好ましくは10(重量)%以下、特に好ましくは5(重量)%以下である。
昇華性物質として特に制限は無いが、ナフタリン、樟脳、硫黄が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して等量以下、好ましくは50(重量)%以下、特に好ましくは20(重量)%以下である。
また、保存安定性を考慮して、光安定剤を添加しても構わない。
【0028】
また、溶出パターンを調整する目的でポリオレフィン重合体(例えばポリエチレン)又はポリオレフィンを含む共重合体(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体)の1種以上を添加できる。特に、低分子量のポリエチレンワックスは生分解性があるので好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して等量以下、好ましくは50(重量)%以下、特に好ましくは20(重量)%以下である。
同様に、溶出パターン調整の目的で、界面活性剤類も添加できる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤の何れをも使用できるが、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤が好ましい。添加量は、目的とする溶出パターンに合わせて適宜選択される。
【0029】
更に、高価な樹脂の使用量の低減及び温度依存性を低減する目的で、例えば、無機粉末を添加するのが好ましい。特に、天然無機鉱物は、相当量添加しても溶出制御性が高く、かつ安価であるので好ましい。具体的には、タルク、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、金属箔、黒鉛、板状酸化鉄、板状水酸化アルミ、ハイドロタルサイト、炭カル、シリカ、クレーなどが挙げられ、特にタルク、マイカ、炭カル、クレーなどが好ましい。これらの天然無機鉱物は、いずれも添加量があまりに多すぎると、皮膜強度ならびに破砕強度が極端に低下し、溶出制御性が低下する。このような観点から、皮膜中の天然無機鉱物の添加割合は、重量で0〜80%の範囲である。また、いずれの天然無機鉱物も皮膜の連続性を阻害せず、かつ粉体同士が凝集を起こさない粒径、例えば膜厚の1/2以下の粒径が好ましい。
また、皮膜中に他の肥料成分、農薬、植物生理活性物などの農業資材、または植物の生長促進物質を混用することができる。それらの資材の皮膜中の分散位置に特に制限はない。
【0030】
本発明に使用される粒状肥料は特に限定されないが、溶出制御の観点から肥料成分が高く肥効が最も顕著に現れる尿素は特に好ましい。また、肥料自体に溶出制御性のあるイソブチリデンジウレアなどの化合物型緩効性肥料を用いるとさらに多様な溶出制御性が得られるので好ましい。さらに、粒状肥料の形状の真球性が高い場合、被覆均一性が高くなるので好ましい。
【0031】
本発明肥料の被覆率は特に限定されるものではなく、経済性、溶出制御性及び分解性を考慮して適宜選択される。経済性を高めるためには、被覆率が低いほうが有利である。一方溶出制御性を高めるには、被覆率が高いほうが有利である。皮膜の分解性を高めるためには、比表面積の小さい低被覆率が有利である。これらを考慮すると、被覆される肥料の重量に対して、被覆率が重量で4〜30%、好ましくは6〜20%の範囲である。最も好ましくは、8〜15%の範囲である。
溶出制御性、分解性、保存安定性、皮膜強度を考慮して、皮膜は2層以上の構造でも構わない。
【0032】
皮膜の被覆方法は特に限定されず、常法により行うことができるが、使用される被覆材を溶剤に溶解または分散して肥料に噴霧後、瞬時に溶剤を乾燥させると均一被覆性が高くなるので好ましい。
使用される溶媒は被覆材を溶解または分散させ、速乾性のものであれば良い。具体的には、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素化炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が用いられる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例における長鎖脂肪族ポリオール成分としては、三菱化学(株)より市販されている末端に−OH基を有するポリオレフィン系ポリオール(商品名:ポリテール)を用いた。又、実施例における各物性の測定は以下の方法により行った。
【0034】
(1)数平均分子量の測定
▲1▼ 末端OH基は、生成ポリマーをヘキサフルオロイソプロパノール/重水素化クロロホルム=3/7(vol比)に溶解し、500MHz 1H−NMRによって測定した。
▲2▼ 末端COOH基は、生成ポリマーをベンジルアルコールに溶解し0.01N NaOHによる滴定で測定した。
得られた末端OH基と末端COOH基から次式に従って数平均分子量(Mn)を求めた。
Mn=2/[(末端OH基(当量/g)+末端COOH基(当量/g)]
【0035】
(2)熱的性質
DSC(示差走査熱量測定)法[条件:昇温速度16℃/min、窒素下測定]により融点を求めた。
(3)色調は、日本電色工業社製:測色色差計(Z−1001P型)を用いてL値、a値、b値を測定した。
【0036】
(4)被覆肥料の溶出特性の評価
a)水中溶出測定法
被覆肥料を25℃恒温水中に、7g/200ccの割合で投じ、経時的に水中の尿素態窒素を定量する。
b)土壌中溶出測定法
被覆肥料を、沖積土壌乾土200gに対し窒素として60mgを加え、水を350cc添加し、25℃で静置培養する。経時的に土壌中から被覆肥料を取り出し、残存窒素を定量し、溶出量を算出する。
【0037】
(5)被覆肥料皮膜の生分解性試験
各被覆肥料に1mmφの穴を開け、水洗して尿素を流し出し、得られた皮膜を乾燥し供試皮膜を得た。水分量を最大容水量の65%に維持した黒ボク土中に供試皮膜を各20(40〜50mg)/50g−乾土の割合で埋設し、30℃で暗所に調湿を実施して1年間放置した後、皮膜を土と分離し、下式に従い重量減少率を求める。
重量残存率(%)=[(W0−WB)/W0]×100
W0:埋設前重量
WB:1年後重量
【0038】
ポリエステルオレフィンの製造
(実施例1)
攪拌翼、減圧口、窒素導入口を備えたガラス重合管にポリテールHA(水酸基価50.1)41.7部、1,4−ブタンジオール46.1部、コハク酸54.9部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に系内を攪拌しながら185℃に昇温し一時間保持した。その後、一時間かけて220℃まで昇温し、反応生成物である水を留去しエステル化反応を行った。ここで、触媒としてテトラブチルチタネート0.08gと酢酸マグネシウム0.05gを1,4−ブタンジオールに溶解して系内に添加した。次に、1時間かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.5mmHgになるように徐々に減圧を適用した。230℃に到達してから3時間半後に重合反応を終了した。得られたポリエステルオレフィンの末端OHは76.5μeq/g、末端COOHは4.8μeq/gであり、数平均分子量は24,600であった。融点は112℃であった ポリエステルオレフィンの構造は、NMRで確認した。色調を測定したところ、L値=81.0,b値=1.5であった。
このポリエステルオレフィンを用いて230℃にて熱プレスによりフィルムを成形したところ、均一なフィルムが安定して得られた。
【0039】
(実施例2)
実施例1で使用したのと同じ重合管にポリテールHA(水酸基価50.1)40.3部、シクロヘキサンジメタノール59.6部、コハク酸42.5部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に系内を攪拌しながら185℃に昇温し一時間保持した。その後、一時間かけて220℃まで昇温し、反応生成物である水を留去しエステル化反応を行った。ここで、触媒としてテトラブチルチタネート0.08gと酢酸マグネシウム0.05gを1,4−ブタンジオールに溶解して系内に添加した。次に、1時間かけて260℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.5mmHgになるように徐々に減圧を適用した。260℃に到達してから5時間後に重合反応を終了した。得られたポリエステルの末端OHは83.0μeq/g、末端COOHは5.9μeq/gであり、数平均分子量は22,500であった。融点は120℃であった。色調を測定したところ、L値=73.0,b値=2.5であった。
このポリエステルオレフィンを用いて実施例1と同様にしてフィルムを成形したところ、均一なフィルムが安定して得られた。
【0040】
(実施例3)
実施例1で使用したのと同じ重合管にポリテールHA(水酸基価50.1)24.6部、シクロヘキサンジメタノール36.4部、エイコサンジカルボン酸75.3部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に系内を攪拌しながら150℃に昇温し一時間保持した。その後、一時間かけて220℃まで昇温し、反応生成物である水を留去しエステル化反応を行った。ここで、触媒としてテトラブチルチタネート0.08gと酢酸マグネシウム0.05gを1,4−ブタンジオールに溶解して系内に添加した。次に、1時間かけて260℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.5mmHgになるように徐々に減圧を適用した。260℃に到達してから4時間後に重合反応を終了した。得られたポリエステルオレフィンの末端OHは90.5μeq/g、末端COOHは5.8μeq/gであり、数平均分子量は20,800であった。融点は93℃であった。色調を測定したところ、L値=72.0,b値=2.3であった。
このポリエステルオレフィンを用いて実施例1と同様にしてフィルムを成形したところ、均一なフィルムが安定して得られた。
【0041】
(実施例4)
実施例1で使用したのと同じ重合管にポリテールHA(水酸基価50.1)34.4部、1,4−ブタンジオール31.7部、ドデカンジカルボン酸70.5部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に系内を攪拌しながら150℃に昇温し一時間保持した。その後、一時間かけて220℃まで昇温し、反応生成物である水を留去しエステル化反応を行った。ここで、触媒としてテトラブチルチタネート0.08gと酢酸マグネシウム0.05gを1,4−ブタンジオールに溶解して系内に添加した。次に、1時間かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.5mmHgになるように徐々に減圧を適用した。230℃に到達してから3時間後に重合反応を終了した。得られたポリエステルオレフィンの末端OHは108μeq/g、末端COOHは6.9μeq/gであり、数平均分子量は17,500であった。融点は85℃であった。色調を測定したところ、L値=79.0,b値=1.5であった。
このポリエステルオレフィンを用いて実施例1と同様にしてフィルムを成形したところ、均一なフィルムが安定して得られた。
【0042】
(実施例5)
実施例1で使用したのと同じ重合管にポリテールHA(水酸基価50.1)43.7部、1,6−ヘキサンジオール53.0部、コハク酸46.1部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に系内を攪拌しながら185℃に昇温し一時間保持した。その後、一時間かけて220℃まで昇温し、反応生成物である水を留去しエステル化反応を行った。ここで、触媒としてテトラブチルチタネート0.08gと酢酸マグネシウム0.05gを1,4−ブタンジオールに溶解して系内に添加した。次に、1時間かけて250℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.5mmHgになるように徐々に減圧を適用した。250℃に到達してから5時間後に重合反応を終了した。得られたポリエステルオレフィンの末端OHは87.0μeq/g、末端COOHは12.5μeq/gであり、数平均分子量は20,100であった。融点は105℃であった。色調を測定したところ、L値=73.0,b値=2.5であった。
このポリエステルオレフィンを用いて実施例1と同様にしてフィルムを成形したところ、均一なフィルムが安定して得られた。
【0043】
(実施例6)
実施例1で使用したのと同じ重合管にポリテールH(水酸基価45.7)10.3部、1,4−ブタンジオール46.1部、コハク酸54.9部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に系内を攪拌しながら185℃に昇温し一時間保持した。その後、一時間かけて220℃まで昇温し、反応生成物である水を留去しエステル化反応を行った。ここで、触媒としてテトラブチルチタネート0.08gと酢酸マグネシウム0.05gを1,4−ブタンジオールに溶解して系内に添加した。次に、1時間かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.5mmHgになるように徐々に減圧を適用した。230℃に到達してから3時間後に重合反応を終了した。得られたポリエステルオレフィンの末端OHは70.5μeq/g、末端COOHは5.2μeq/gであり、数平均分子量は26,400であった。融点は115℃であった。色調を測定したところ、L値=82.0,b値=1.5であった。
このポリエステルオレフィンを用いて実施例1と同様にしてフィルムを成形したところ、均一なフィルムが安定して得られた。
【0044】
(比較例1)
実施例1で使用したのと同じ重合管に1,4−ブタンジオール60.1部、コハク酸68.5部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に系内を攪拌しながら185℃に昇温し一時間保持した。その後、一時間かけて220℃まで昇温し、反応生成物である水を留去しエステル化反応を行った。ここで、触媒としてテトラブチルチタネート0.08gと酢酸マグネシウム0.05gを1,4−ブタンジオールに溶解して系内に添加した。次に、1時間かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.5mmHgになるように徐々に減圧を適用した。230℃に到達してから4時間後に重合反応を終了した。得られたポリエステルの末端OHは95.0eq/g、末端COOHは13.5μeq/gであり、数平均分子量は18,400であった。融点は110℃であった。
このポリエステルを用いて実施例1と同様にしてフィルムを成形したところ、均一なフィルムを成形することができなかった。
【0045】
被覆肥料の製造
上記実施例1〜6で得られたポリエステルオレフィン及び比較例1のポリエステルを用い、各々トリクロロエチレンに溶解した噴霧液(濃度2w/v%、80℃)2kgを、粒径2〜4mmの尿素粒1kgに図1に示す噴流式コーティング装置を使用し、乾燥風(流動ガス)温度90℃、風量100m3/時間で噴霧被覆し、被覆率10%(対肥料)の粒状肥料を得た。
なお、図1の装置においては、槽内に充填した粒状肥料1を、下部から導入される乾燥風(流動ガス)3で噴流させながら、これに皮膜材料を溶解または分散した噴霧液(皮膜溶液)2を噴霧することにより肥料を被覆するものである。
【0046】
【発明の効果】
本発明ポリエステルオレフィンは、生分解速度の制御が容易なため、農業・土木資材など使用中には生分解が進行せず、使用後に生分解が始まることが望まれる用途に適用することができる。また、複雑な工程を経ずに力学特性の良好な成形体を提供することができる。
該ポリエステルオレフィンを構成成分とする皮膜によって被覆された本発明の粒状肥料は、溶出制御性が高く、且つ肥料溶出後に生分解により皮膜を分解し消散せしめることができ、また十分な機械的強度を持たすことができる点で従来の肥料より優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 噴流式コーティング装置の概略図である。
【符号の説明】
1 粒状肥料
2 皮膜溶液
3 乾燥風
4 ガイド管

Claims (4)

  1. 数平均分子量300〜50,000の長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である長鎖脂肪族ポリオール残基、下記式(I)で表される脂肪族ジオール単位、及び式(II)で表される脂肪族ジカルボン酸単位より構成され、長鎖脂肪族ポリオール残基の(II)に対する重量比率が0.1から3.0であり、且つ数平均分子量が5,000〜300,000のポリエステルオレフィン。
    (I)−OR1O−(式中、R1は炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表す)
    (II)−OCR2CO−(式中、R2は炭素数0〜40の2価の脂肪族炭化水素基を表す)
  2. 数平均分子量300〜50,000の長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である長鎖脂肪族ポリオール類、下記式(i)で表される脂肪族ジオール化合物、及び式(ii)で表される脂肪族ジカルボン酸化合物を、長鎖脂肪族ポリオール類が式(ii)で表される脂肪族ジカルボン酸化合物に対し0.1から3.0(重量比率)であるように仕込み、溶融状態で重合させることを特徴とする数平均分子量が5,000〜300,000のポリエステルオレフィンの製造方法。
    (i)HOR1OH(式中、R1は炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表す)
    (ii)R3OOCR2COOR3(式中、R2は炭素数0〜40の2価の脂肪族炭化水素基、R3は、水素原子又は低級アルキル基を表す)
  3. 数平均分子量300〜50,000の長鎖脂肪族炭化水素の末端に水酸基を有し、その平均水酸基数が1.5〜2.5である長鎖脂肪族ポリオール残基、下記式(I)で表される脂肪族ジオール単位、及び式(II)で表される脂肪族ジカルボン酸単位より構成され、長鎖脂肪族ポリオール残基の(II)に対する重量比率が0.1から3.0であり、且つ数平均分子量が5,000〜300,000のポリエステルオレフィンを含有するコート層を有する生分解性被覆粒状肥料。
    (I)−OR1O−(式中、R1は炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表す)
    (II)−OCR2CO−(式中、R2は炭素数0〜40の2価の脂肪族炭化水素基を表す)
  4. ポリエステルオレフィンの数平均分子量が5,000〜50,000であることよりなる請求項3記載の生分解性被覆粒状肥料。
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