JP3936574B2 - 高炉用高反応性コークスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉の燃料比を低減させ、生産性を向上させる高炉操業を可能とするための、高炉用高反応性コークス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の高炉においては、炉頂から鉄鉱石(焼結鉱)および通常高炉用コークスを層状に装入し、この鉄鉱石を炉内で還元した後、溶融状態にある銑鉄を製造している。
【0003】
ところで、高炉には、熱保存帯と呼ばれる温度が1000℃程度でほぼ一定の領域があり、この温度は通常高炉用コークスのガス化開始温度に相当する。すなわち、高炉内でC+CO2=2COで表されるコークスのガス化反応が起るためには、約1000℃以上の温度が必要となる。鉄鉱石の還元は、その約70%が熱保存帯より高温領域で生じるが、温度が高くなるに伴い、還元平衡ガス組成が高CO濃度側になり、還元反応を進めるためには、より高いCO濃度組成のガスが必要となる。さらに、約1100℃以上で、鉄鉱石からの融液生成が見られ、その結果として鉄鉱石(焼結鉱)中への還元ガスの浸透が抑制されてしまう。このため、熱保存帯温度が高いと、COガスによる鉄鉱石の間接還元を有効に活用できず、還元効率もある値以上に向上しない。
【0004】
そこで、従来高炉用高反応性コークスを製造することが、以下の様に試みられてきた。例えば、コークス化した際に反応性が高くなる非微粘結炭や一般炭を原料炭に配合するか、あるいはコークスのガス化反応を促進する触媒としての役割を持つアルカリ類や鉄分を、原料炭に配合する方法が挙げられる。
【0005】
高炉用高反応性コークスは、反応性が高いことから、高炉内のCO2がコークス表面に接した際、C+CO2=2COの反応がより低温から活発に行われる。また、その結果として、炉内に生じたCOガスが鉄鉱石と有効に反応して、還元反応が促進される。
【0006】
C+CO2=2COの反応は吸熱反応であり、高炉における熱保存帯温度を低下させる効果がある。すなわち、通常高炉用コークス使用時は、1000℃程度の熱保存帯が生成し、その温度がほとんど変化しないのに対し、高炉用高反応性コークスを使用することによって、熱保存帯温度を900〜950℃に低下させることが可能となる。その結果、還元平衡ガス組成が低CO濃度側になり、還元平衡到達点に余裕ができるため、還元がより進行することになり、還元効率が向上する。このため、高炉用高反応性コークスを通常高炉用コークスの一部、あるいは全量と置換して使用することができれば、高炉の還元効率が向上し、コークス比を低下できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非微粘結炭や一般炭の配合による方法は、配合量が少ないと反応性が向上せず、配合量を多くするとコークス強度を維持することが困難であった。コークス強度が低いと、高炉の炉頂から装入する時に粉化してしまい、高炉の通気性を悪化させることになる。また、鉄分を石炭と混合してコークス炉で乾留すると、ある一定の温度以上では、コークス炉の炉壁を構成する珪石煉瓦と鉄分が反応し、炉壁が損傷するため、望ましくない。
【0008】
以上の様に、これまでは、高炉での使用に適した高炉用高反応性コークスの製造方法が確立されていなかったため、高炉の還元効率向上には限界があった。
【0009】
そこで本発明においては、コークス強度を確保して高炉の通気性を維持することができ、かつ、高炉寿命、高炉安定操業の面で問題がない、高炉用高反応性コークスを製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1)炭素と二酸化炭素から一酸化炭素を生じる反応を活性化させる触媒であるアルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物、アルカリ土類金属とアルカリ土類金属化合物の混合物またはアルカリ土類金属化合物の混合物を水に溶解および/または分散させ、更に、疎水基と親水基を一分子内に持つ物質、および/または、接着機能を有する物質を添加した後、該液体をコークスと接触させ、触媒をコークスに付着させることを特徴とする高炉用高反応性コークスの製造方法。
(2)炭素と二酸化炭素から一酸化炭素を生じる反応を活性化させる触媒として、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物、遷移金属化合物の混合物よりなる群、またはアルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ金属とアルカリ金属化合物の混合物、アルカリ金属化合物の混合物よりなる群の、少なくとも1群の中から1種以上を併用することを特徴とする、(1)記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
(3)遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物または遷移金属化合物の混合物よりなる群の遷移金属がニッケルと鉄、またはコバルトと鉄であることを特徴とする、(2)に記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
(4)アルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物、アルカリ土類金属とアルカリ土類金属化合物の混合物またはアルカリ土類金属化合物の混合物よりなる群のアルカリ土類金属がカルシウムであり、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物または遷移金属化合物の混合物よりなる群の遷移金属が鉄またはニッケルであることを特徴とする、(2)又は(3)に記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
(5)前記液体をコークスと接触させる手段が、前記液体をコークスに噴霧することであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、反応性が高く、かつ強度の高いコークスを製造する方法について検討し、コークス炉で製造したコークスの表面に触媒を物理的に付着させることにより、コークスの強度を維持したまま反応性を向上させる方法を発明した。
【0012】
コークス炉より排出される高炉用コークスの温度は、900℃〜1100℃と高温であるので、排出後直ちに冷却される。冷却する方法は大きく分けて湿式消火と乾式消火の二種類がある。
【0013】
湿式消火においては、コークスは消火電車に排出された後、消火塔に搬送されて、上部より散水することにより冷却される。湿式消火されたコークスは、コークワーフ上に排出され、ベルトコンベアーにより高炉へ搬送される。
【0014】
一方、乾式消火においては、コークスは受骸バケットに排出されたのち、乾式消火装置に搬送され、密閉容器内で窒素ガスにより冷却される。冷却されたコークスは、乾式消火装置より排出されて、ベルトコンベアーにより高炉へ搬送される。
【0015】
触媒は通常粉体であるので、コークスと粉体をそのまま混合しても、触媒粒子はほとんどコークス表面に残留しない。
【0016】
発明者は、触媒をあらかじめ水に溶解および/または分散させておき、その液体をコークスに接触させることで触媒粒子のコークス表面への残存率が飛躍的に向上することを見出した。
【0017】
触媒の水への溶解度が低く、触媒粒子が水に分散している場合、触媒粒子は、水に同伴されてコークス表面の凹凸、あるいは細孔内に入り込んで物理的に付着し、水が蒸発した後も保持される。また、触媒の水への溶解度が高く、イオン状態で水に溶けている場合は、コークス表面の凹凸、あるいは細孔内に入り込んだ触媒の比表面積はさらに向上し、反応性は飛躍的に向上する。
【0018】
C+CO2=2COの反応を活性化させる触媒としては、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物、アルカリ土類金属とアルカリ土類金属化合物の混合物またはアルカリ土類金属化合物の混合物がある。
【0019】
アルカリ土類金属とは、周期律表2族に属するBe、Mg、Ca、Sr、Baの総称であり、アルカリ土類金属の化合物とは、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、塩(例えばハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩など)、複塩などである。代表的なものとしては、生石灰、石灰石があるが、これらは製鉄プロセスにおいて従来から工業的に利用されているため、容易かつ安価に入手することができ、自然界に豊富な資源を用いることができる。
【0020】
ここで、アルカリ土類金属の添加量としては、添加量が多いほど触媒としての効果が大きいので、特に上限と下限を定めるものではないが、一般的に、コークス中の炭素に対して0.01mol%以上の担持量であることが望ましい。この量は、たとえば生石灰(CaO)および石灰石(CaCO3)の場合、コークス中の炭素に対しそれぞれ0.048質量%以上および0.084質量%以上の担持量に相当する。また、コークス中には約10%の灰分が含まれるので、生石灰(CaO)および石灰石(CaCO3)の場合、コークス質量に対しそれぞれ0.043質量%以上および0.076質量%以上の担持量に相当する。
【0021】
また、C+CO2=2COの反応を活性化させる触媒として、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物または遷移金属化合物の混合物がある。遷移金属とは、不完全に満たされたd殻をもつ原子またはそのような陽イオンを生ずる元素であり、周期律表の3族から11族までの元素(Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Cu、Agなど)であり、遷移金属化合物とは、これら遷移金属の水酸化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、塩(例えばハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩など)、複塩などである。遷移金属と遷移金属化合物の混合物とは、上記の遷移金属と遷移金属化合物をそれぞれ1種類以上含む混合物のことである。遷移金属化合物の混合物とは、上記の遷移金属化合物を2種類以上含む混合物のことである。
【0022】
代表的な遷移金属としては、鉄があるが、製鉄プロセスにおいては、資源として再利用するには劣質な、鉄粉、鉄酸化物や、鉄粉、鉄酸化物を含むスラリーを容易かつ安価に入手することができるというメリットがある。
【0023】
ここで、遷移金属の添加量としては、添加量が多いほど触媒としての効果が大きいので、特に上限と下限を定めるものではないが、一般的に、コークス中の炭素に対して0.01mol%以上の担持量であることが望ましい。この量は、たとえば鉄(Fe)および鉄鉱石の場合、コークス中の炭素に対しそれぞれ0.047質量%以上、0.078質量%以上の担持量に相当する。また、コークス中には約10%の灰分が含まれるので、鉄(Fe)および鉄鉱石の場合、コークス質量に対しそれぞれ0.042質量%以上および0.068質量%以上の担持量に相当する。
【0024】
さらに、C+CO2=2COの反応を活性化させる触媒としては、アルカリ金属、アルカリ金属化合物またはアルカリ金属化合物の混合物がある。
【0025】
アルカリ金属とは周期律表1族に属するLi、Na、K、Rb、Cs、Frの総称であり、アルカリ金属の化合物とは、アルカリ金属の水酸化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、塩(例えばハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩など)、複塩などである。
【0026】
ここで、アルカリ金属の添加量としては、添加量が多いほど触媒としての効果が大きいので、特に上限と下限を定めるものではないが、一般的に、コークス中の炭素に対して0.01mol%以上、0.1mol%以下の担持量であることが望ましい。この量は、例えば、ナトリウム(Na)の場合、コークス中の炭素に対し、0.018質量%以上、0.18質量%以下の担持量に相当する。また、コークス中には約10%の灰分が含まれるので、ナトリウム(Na)の場合、コークス質量に対し0.016質量%以上、0.16質量%以下の担持量に相当する。
【0027】
これらの、アルカリ土類金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の混合物と、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物、遷移金属化合物の混合物よりなる群、またはアルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ金属とアルカリ金属化合物の混合物、アルカリ金属化合物の混合物よりなる群の、少なくとも1群の中から1種以上を併用することにより、反応をより活性化させることが可能である。
【0028】
上記記載の方法により触媒成分を担持させたコークスは、いずれの方法においても従来のコークスよりもC+CO2=2CO反応の温度が低下するが、反応温度低下の程度は、触媒成分および雰囲気により異なる。遷移金属類であるニッケルまたはコバルトを単独で担持した場合、二酸化炭素雰囲気では、低温活性が最も高いが、一酸化炭素が共存すると、低温活性は、従来コークスよりも優れるものの、二酸化炭素雰囲気よりも低下する。触媒担持時にニッケルと鉄またはコバルトと鉄をいっしょに用いることにより一酸化炭素共存雰囲気における低温活性低下を抑制できる。
【0029】
特に、ニッケルと鉄をいっしょに用いる場合、Niの比率の高い配合の場合、反応開始温度を低下できることが、また、 Feの比率の高い配合の場合、反応速度を向上できることを新たに見い出した。従って、目的に応じてNiとFeの配合比率を、適宜設定すれば良い。
【0030】
通常これらは、ニッケル塩と鉄塩または、コバルト塩と鉄塩の形態で用いることが多い。
【0031】
また、アルカリ土類金属類であるカルシウム単独担持の場合も一酸化炭素共存雰囲気で、上記と同様に低温活性が低下するが、カルシウムの場合は、遷移金属類である鉄またはニッケルをいっしょに用いることにより一酸化炭素共存雰囲気における低温活性低下を抑制できる。
【0032】
これらも通常は、カルシウム塩と、鉄塩またはニッケル塩の形態で用いることが多い。
【0033】
コークス表面の凹凸、あるいは細孔内にさらに触媒を浸透させようとするには、疎水基と親水基を一分子内に持つ物質を触媒水溶液に添加すればよい。これは、コークスは炭素を主体とする物質のため、表面に親水基をほとんどもたず、水との濡れ性が悪いためである。疎水基と親水基を一分子内に持つ物質としては、例えばアルコールや界面活性剤などがある。
【0034】
また、触媒粒子のコークス表面への残存率を向上させるには、接着機能をもつ物質を添加すればよい。この物質はいわばのりのような作用をし、触媒粒子とコークス表面とをくっつける役割をする。具体的には、例えば水溶液接着剤として代表的なポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニルなどがあり、ゼラチンやデンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロースなども用いることができる。
【0035】
さらに、触媒を溶解および/または分散させる際に、疎水基と親水基を一分子内に持つ物質、および接着機能を有する物質を共に液体に添加することにより、それぞれ単独で用いるよりも、より大きな反応性向上効果を享受することができる。
【0036】
ここで触媒を溶解させた状態とは、触媒がイオン状態で水に溶けている状態を意味する。また、触媒を分散させた状態とは、触媒の水への溶解度が低く、粒子あるいはコロイド状態で分散している状態を意味する。
【0037】
触媒を溶解および/または分散させた液体とコークスを接触させる方法としては、液体をコークス上部から噴霧する方法、液体中にコークスを浸す方法などが考えられるが、コークス中の水分が上昇することは高炉操業上必ずしも好ましいことではないので、噴霧が望ましい。
【0038】
触媒を溶解および/または分散させた液体をコークスに噴霧する場所としては、例えば以下の場所が考えられる。
【0039】
湿式消火の場合は、消火に用いる水中に触媒を溶解および/または分散させておけばよい。乾式消火の場合も、乾式消火装置排出後のコークス温度は80〜150℃程度の温度であるので、乾式消火装置より排出直後のコークスに触媒を溶解および/または分散させた液体を噴霧することにより、コークス顕熱で水を蒸発させ、触媒のみをコークス表面に付着させることが可能である。
【0040】
あるいは、高炉にコークスを搬送するベルトコンベアーの上、あるいは乗り継ぎシュート部などでも噴霧することができる。
【0041】
一般的に、高炉に近い場所で触媒を溶解および/または分散させた液体を噴霧した方が、コークス表面における触媒保持率は高いので、設備制約条件やコストなどを総合的に判断して噴霧場所を決定すればよい。
【0042】
【実施例】
炉幅425mm、炉高400mm、炉長600mmの試験コークス炉を用い、粘結炭65%、非微粘結炭35%の配合炭を装入密度0.83dry−t/m3の装入密度で装入し、炉温1250℃、乾留時間18.5時間の条件で乾留した。焼成後のコークスについては、窒素で冷却した後、JIS K2151に準じたコークスのドラム強度試験法で用いられるドラム回転試験機で30回転の衝撃を与えたコークスを20±1mmに整粒し、以下のような方法で触媒を添加した。
【0043】
参考例1は、石灰石を水に対し5質量%分散させた液体をコークス上に噴霧した。
【0044】
参考例2は、粉状鉄鉱石を水に対し5質量%分散させた液体をコークス上に噴霧した。
【0045】
参考例3は、石灰石および粉状鉄鉱石をそれぞれ水に対し2.5質量%分散させた液体をコークス上に噴霧した。
【0046】
参考例4は、石灰石および粉状鉄鉱石をそれぞれ塩化ナトリウム1質量%水溶液に対し2.5質量%分散させた液体をコークス上に噴霧した。
【0047】
実施例1は、石灰石を水に対し5質量%分散させた後、エタノールを5質量%添加した溶液をコークス上に噴霧した。
【0048】
実施例2は、石灰石を水に対し5質量%分散させた後、エタノールを5質量%、ポリビニルアルコールを1質量%添加した溶液をコークス上に噴霧した。
【0049】
これらのコークスについて、乾燥後の質量を測定し、触媒を添加する前後での質量変化からコークス表面に担持された触媒の質量を求めた。触媒担持率は、担持触媒質量のコークス中の炭素質量に対する比を百分率で表した。いずれの参考及び実施例においても、触媒の担持量は、望ましい担持量の範囲内であった。また、上限値に制約のあるNaの担持量は、参考例4においてコークス中の炭素に対して0.04質量%であり、本発明の範囲内であった。
【0050】
さらに、振動式ふるいで3分間これらのコークスを処理した後の質量を測定し、ふるい処理前後での質量変化から衝撃による触媒の剥離量を求めた。衝撃後触媒残存率(%)は、(1−触媒剥離量/触媒添加量)×100で表した。
【0051】
その後、これらのコークスを反応容器内に充填し、温度1100℃でCO2ガス(5リットル/min)と1時間反応させた後の質量を計算して、(1−反応後の質量/反応前の質量)×100を反応率(%)として求めた。
【0052】
表1に示すように、反応率は比較例の8%に対し、実施例は30−35%に上昇していることがわかる。
【0053】
【表1】
【0054】
以上より、本発明により、反応性が高い、高炉用高反応性コークスが製造可能であることがわかる。
【0055】
次に、炉幅400mm、炉高600mm、炉長600mmの試験コークス炉を用い、粘結炭70%、非微粘結炭30%と、粘結炭の配合率をやや増加させた配合炭を、装入密度0.81dry−t/m3の装入密度で装入し、炉温1270℃、乾留時間18.5時間の条件で乾留した。焼成後のコークスについては、窒素で冷却した後、JIS K2151に準じたコークスのドラム強度試験法で用いられる回転試験機で30回転の衝撃を与えたコークスを20±1mmに整粒し、以下のような方法で触媒を添加した。
【0056】
参考例5は、石灰石を水に対し5質量%分散させた液体中にコークスを5秒間浸した。
【0057】
参考例6は、粉状鉄鉱石を水に対し5質量%分散させた液体中にコークスを5秒間浸した。
【0058】
参考例7は、石灰石および粉状鉄鉱石をそれぞれ水に対し2.5質量%分散させた液体中にコークスを5秒間浸した。
【0059】
参考例8は、石灰石および粉状鉄鉱石をそれぞれ塩化ナトリウム1質量%水溶液に対し2.5質量%分散させた液体中にコークスを5秒間浸した。
【0060】
実施例3は、石灰石を水に対し5質量%分散させた後、エタノールを5質量%添加した溶液中にコークスを5秒間浸した。
【0061】
実施例4は、石灰石を水に対し5質量%分散させた後、エタノールを5質量%、ポリビニルアルコールを1質量%添加した溶液中にコークスを5秒間浸した。
【0062】
これらのコークスについて、乾燥後の質量を測定し、触媒を添加する前後での質量変化からコークス表面に担持された触媒の質量を求めた。触媒担持率は、担持触媒質量のコークス中の炭素質量に対する比を百分率で表した。いずれの実施例においても、触媒の担持量は、望ましい担持量の範囲内であった。また、上限値に制約のあるNaの担持量は、参考例8においてコークス中の炭素に対して0.03質量%であり、本発明の範囲内であった。
【0063】
さらに、振動式ふるいで3分間これらのコークスを処理した後の質量を測定し、ふるい処理前後での質量変化から衝撃による触媒の剥離量を求めた。衝撃後触媒残存率(%)は、(1−触媒剥離量/触媒添加量)×100で表した。
【0064】
その後、これらのコークスを反応容器内に充填し、温度1100℃でCO2ガス(5リットル/min)と1時間反応させた後の質量を計算して、(1−反応後の質量/反応前の質量)×100を反応率(%)として求めた。
【0065】
表2に示すように、反応率は比較例2の7%に対し、実施例は22−23%に上昇していることがわかる。
【0066】
【表2】
【0073】
【発明の効果】
本発明により、極めて簡易な方法で、高炉用高反応性コークスが製造可能となった。本発明により、高炉での使用に適した高炉用高反応性コークスの製造方法が確立され、高炉の還元効率向上が期待できる点で、その工業的価値は大きい。
Claims (5)
- 炭素と二酸化炭素から一酸化炭素を生じる反応を活性化させる触媒であるアルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物、アルカリ土類金属とアルカリ土類金属化合物の混合物またはアルカリ土類金属化合物の混合物を水に溶解および/または分散させ、更に、疎水基と親水基を一分子内に持つ物質、および/または、接着機能を有する物質を添加した後、該液体をコークスと接触させ、触媒をコークスに付着させることを特徴とする高炉用高反応性コークスの製造方法。
- 炭素と二酸化炭素から一酸化炭素を生じる反応を活性化させる触媒として、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物、遷移金属化合物の混合物よりなる群、またはアルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ金属とアルカリ金属化合物の混合物、アルカリ金属化合物の混合物よりなる群の、少なくとも1群の中から1種以上を併用することを特徴とする、請求項1記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
- 遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物または遷移金属化合物の混合物よりなる群の遷移金属がニッケルと鉄、またはコバルトと鉄であることを特徴とする、請求項2に記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
- アルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物、アルカリ土類金属とアルカリ土類金属化合物の混合物またはアルカリ土類金属化合物の混合物よりなる群のアルカリ土類金属がカルシウムであり、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属と遷移金属化合物の混合物または遷移金属化合物の混合物よりなる群の遷移金属が鉄またはニッケルであることを特徴とする、請求項2又は3に記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
- 前記液体をコークスと接触させる手段が、前記液体をコークスに噴霧することであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉用高反応性コークスの製造方法。
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