JP3927403B2 - 血液凝固促進剤及び血液検査用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液凝固促進剤に関し、特にヘパリン投与を受けている患者から得られる血液検体の凝固を促進する血液凝固促進剤、及び血液検査用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
病気の予防や診断の目的で血液検査が一般に行われているが、血液検査の多くは血清検査である。その検査に要する血清は、通常、血液検査用容器に採取した血液を凝固させた後、遠心分離によって比重の異なる血餅から分離し、ピペットを用いて、あるいはデカンテーションにより採取している。
被験者から採取した血液が凝固するには比較的長時間を必要とし、結果を知るために再来院しなければならなかったり、特に緊急に検査を実施する必要のある場合には問題となる。
そこで、従来より血液凝固を短時間で行える凝固剤の検討がなされてきた。
【0003】
また、人工透析を受けている患者や血栓症患者の血液検体を扱う場合は、さらに別の問題が生じる。このような患者は、血栓防止のためにヘパリン投与が行われるため、血液10mlあたり1〜20単位程度のヘパリンが存在する。このヘパリンは、血液中のアンチトロンビンIIIと結合してトロンビンの作用を著しく阻害する。さらに、第XII因子などの血液凝固因子の作用をも阻害するといわれている。そのため、フィブリノーゲンのフィブリンへの転化がおこらず、その結果、血液が凝固せず、血清の分取が困難となる。
【0004】
これらの問題を解決するため、例えば、特開昭58−1460号公報には、硫酸プロタミンまたは蛇毒に含まれるトロンビン様酵素を凝固促進剤として用いた採血管が開示されている。
しかしながら、硫酸プロタミンはヘパリン中和剤であるため、凝固作用は十分でなく、また蛇毒に含まれるトロンビン様酵素はヘパリン中和作用と凝固作用を有するものの安定性が十分でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するものであり、その目的は、血液、更にはヘパリンを含む血液であっても、短時間で凝固させるとともに、安定性に優れる血液凝固促進剤及び血液検査用容器を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明1の血液凝固促進剤は、加水分解酵素並びに該加水分解酵素の安定化剤としてのアルブミン及び/又はアミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸(トラネキサム酸)を含有する。
【0007】
本発明1において、加水分解酵素はプロテアーゼであり、ペプチド鎖において、Argと任意のアミノ酸残基との結合及び/又はLysと任意のアミノ酸残基との結合を加水分解しうるものが用いられる。
上記加水分解酵素の量は、少なくなると血液凝固の時間が長くなったり凝固が不完全になることがあり、多くなると検査値に悪影響を及ぼす恐れがあるので、血液1mlあたり0.1〜100単位が好ましく、0.5〜50単位がより好ましい。
【0008】
上記加水分解酵素としては、例えば、トリプシン、トロンビン、蛇毒トロンビン様酵素等のセリンプロテアーゼ;カテプシンB、フィシン等のチオールプロテアーゼ;キニナーゼI等の金属プロテアーゼなどが挙げられ、特にセリンプロテアーゼが好適に用いられる。
【0009】
本発明1においては、上記アルブミン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸に加え、加水分解酵素の安定化剤として更にグリシン、ポリオール等を併用することもできる。ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、グリセロール、シュークロース、デキストロース、ソルビトール、ゼラチン等の糖類などが挙げられる。
【0010】
上記加水分解酵素の安定化剤の量は、少なくなると加水分解酵素の安定性を保つ効果が不十分となり、多くなると検査値に悪影響を及ぼす恐れがあるため、加水分解酵素1単位当たり0.01〜10mgが好ましく、0.05〜5mgがより好ましい。
【0011】
本発明2の血液凝固促進剤は、さらにアミン塩及び/又は第4級窒素を有する有機化合物を含有する。
本発明において、上記アミン塩及び/又は第4級窒素を有する有機化合物は、ヘパリンを吸着・中和して不活性化するヘパリン中和剤として作用する。
上記アミン塩を構成するアミンは第1級、第2級及び第3級アミンのいずれでもよく、アミン塩を構成する酸も無機酸及び有機酸のいずれでもよい。無機酸としては、例えば、塩酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、亜硫酸などが挙げられ、有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸などが挙げられる。アミン塩の有機残基は通常アルキル基であるが、イミノ基やエーテル基等の異種元素を含む炭化水素基であってもよい。アミン塩は、分子内塩でもよい。
好ましいアミン塩の具体例としては、例えば、(I)式で表されるヘキサデシルジメチルアミン塩酸塩や、(II)式で表されるテトラデシルジ(アミノエチル)グリシン等が挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
上記第4級窒素を有する有機化合物としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムが挙げられるが、アルキル基のかわりにアリール基を有する化合物やイミノ基、エーテル基等の異種元素を含む炭化水素基を有する化合物でもよい。
好ましい第4級窒素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、(III)式で表されるドデシルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0015】
【化3】
【0016】
このような比較的低分子量の化合物のほか、第4級窒素を有する有機重合体も用いることができる。上記有機重合体としては、例えば、(IV)式で表される繰り返し単位を有するポリカチオンが挙げられる。
【0017】
【化4】
【0018】
(ここで、R1〜R4は水素またはアルキル基、Xはハロゲン根又は酸根、Yはアルキレン基又は−アルキレン基−SO2−を示し、繰り返し数は5〜2000である。)
【0019】
上記(IV)式で表される化合物のうち、特に(V)式又は(VI)式で表される繰り返し単位を有するポリカチオンが好適である。
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
上記アミン塩及び/又は第4級窒素を有する有機化合物(中和剤)は少なくなるとヘパリンが中和されないためヘパリンを含む血液が凝固しなくなり、多くなると検査値に悪影響を及ぼす恐れがあるので、血液1mlあたり0.005〜10mgが好ましく、0.01〜5mgがより好ましい。
【0023】
本発明1又は2の血液凝固促進剤は、血液1ml当たり1×10-10 〜1×10-1gの割合で使用される。少なくなると血液凝固促進効果が得られず、多くなっても使用量に応じた効果は得られず、血液検査に種々の影響を与える可能性がある。
【0024】
血液凝固促進剤中には、さらに抗線溶剤及び/又は抗プラスミン剤が含有されてもよい。これらにより、血液の凝固反応過程で拮抗的に生成してくるプラスミンのフィブリン分解作用が阻害される。そのため血液の凝固が促進され、さらに凝固においても凝固状態を安定に保つことができる。
上記抗線溶剤及び/又は抗プラスミン剤としては、従来より臨床で用いられているアプロチニン、大豆トリプシンインヒビター、ε−アミノカプロン酸、p−アミノメチル安息香酸、アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等が、単独であるいは組み合わせて用いられる。これらは、得られる血清を用いた臨床検査に影響を及ぼさない程度の量で血液凝固促進剤中に含有される。例えば、アプロチニンは、血液1ml当たり約100〜600KIU(単位)の割合で、大豆トリプシンインヒビターは血液1ml当たり約500〜4000FU(単位)の割合で、そしてε−アミノカプロン酸、p−アミノメチル安息香酸及びアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸は、いずれも血液1ml当たり約10-2〜10-8gの割合となるように、血液凝固促進剤中に含有される。
【0025】
血液を凝固させるには、例えば、容器中に採取した血液に上記血液凝固促進剤を加えてもよいが、本発明3の血液検査用容器は、予め上記本発明1又は2の血液凝固促進剤が内部に収容されている。
上記血液検査用容器は、ガラス製であっても樹脂製であってもよい。また血液凝固促進剤は、例えば粉末状のまま使用してもよく、予め適当な溶媒に溶解もしくは分散させておいてもよい。高濃度の血液凝固促進剤が血液と接触して蛋白成分を変性させるのを避けるために、血液凝固促進剤を比表面積の大きい担体に担持させて、これを収容してもよい。
【0026】
上記担体としては、血液検査に有害な影響を与えず、大きい比表面積を有するものであれば特に限定されない。例えば、不織布、織布、樹脂ビーズ等が好適である。このような担体に上記血液凝固促進剤を担持させる方法としては、例えば、その溶液や分散液を担体に塗布する方法、溶液や分散液中に担体を浸漬して含浸させた後、乾燥させる方法の他、アラビアゴム等の適宜の助剤を含む血液凝固促進剤の水分散液を調製し、これを急速凍結乾燥して血液凝固促進剤担持粒子状物を得る方法などが挙げられる。
【0027】
このような血液凝固促進剤(血液凝固促進剤担持担体を含む)を収容した血液検査用容器は、通常の血液検査用容器のほか、真空採血管としても使用できる。この真空採血管は、通常のガラスもしくは合成樹脂製採血管内部に上記血液凝固促進剤を収容し、排気して、ブチルゴム製等の密封性の優れた栓で密封することにより調製される。
【0028】
本発明の血液凝固促進剤にはセリンプロテアーゼ等の加水分解酵素が存在するため、上記血液凝固因子の活性化が促進され、短時間で血液が凝固する。
さらに本発明2の血液凝固促進剤がヘパリンを含有する血液に加えられると、血液中のヘパリンがアミン塩などの中和剤に吸着・中和されて沈殿するため、ヘパリンのトロンビンや第XII因子に対する阻害作用がなくなる。そのため、血液は正常な凝固機能を回復する。
血液凝固に要する時間は、血液凝固促進剤中の加水分解酵素やその安定化剤、及び中和剤の種類、量、使用する容器の材質、血液中のヘパリンの量等により異なるが、合成樹脂製容器を用いると通常10〜20分である。
【0029】
このように、正常血液のみならずヘパリンが含有される血液も短時間のうちに凝固し、凝固状態が安定に保たれうる。さらに血清と血餅との分離が容易となるため、分離採取された血清中に血餅成分が混在することもない。血餅成分の収縮度合いも十分であるため、血清収率も高い。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
加水分解酵素としてトロンビン(商品名:トロンビン持田、持田製薬社製)、加水分解酵素の安定化剤としてアミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸を、それぞれ1ml当たり20000単位、2000mg含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。
次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0031】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸の含有量は、それぞれ40単位、4mgであった。
【0032】
次いで、上記のようにして調製した試料の血液凝固時間を測定したところ、5分以内で血液凝固が認められた。さらに、この試料を3000rpmで10分間遠心分離を行ったところ、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0033】
(実施例2)
加水分解酵素として蛇毒トロンビン様酵素(商品名:レプチラーゼ、東菱薬品社製)、加水分解酵素の安定化剤としてアミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸を、それぞれ1ml当たり10000単位、2000mg含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。
次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0034】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸の含有量は、それぞれ20単位、4mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、さらに遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0035】
(実施例3)
加水分解酵素としてトロンビン(商品名:トロンビン持田、持田製薬社製)、加水分解酵素の安定化剤としてアミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸、アミン塩及び/又は第4級窒素を有する有機化合物として下記式(VII)で表されるポリカチオンを、それぞれ1ml当たり5000単位、125mg、50mg含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。
次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0036】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヘパリンを1単位/ml含有するヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸、下記式(VII)で表されるポリカチオンの含有量は、それぞれ10単位、0.25mg、0.1mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、さらに遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0037】
【化7】
【0038】
(実施例4)
加水分解酵素として蛇毒トロンビン様酵素(商品名:レプチラーゼ、東菱薬品社製)、加水分解酵素の安定化剤としてアミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸、アミン塩及び/又は第4級窒素を有する有機化合物としてテトラデシルジ(アミノエチル)グリシンを、それぞれ1ml当たり10000単位、500mg、100mgを含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。
次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0039】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヘパリンを1単位/ml含有するヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸、テトラデシルジ(アミノエチル)グリシンの含有量は、それぞれ20単位、1mg、0.2mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、さらに遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0040】
(実施例5)
加水分解酵素として蛇毒トロンビン様酵素(商品名:レプチラーゼ、東菱薬品社製)、加水分解酵素の安定化剤としてグリシンを、それぞれ1ml当たり10000単位、500mg含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。
次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0041】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、グリシンの含有量は、それぞれ20単位、1mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、さらに遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0042】
(実施例6)
加水分解酵素として蛇毒トロンビン様酵素(商品名:レプチラーゼ、東菱薬品社製)、加水分解酵素の安定化剤としてポリエチレングリコール6000を、それぞれ1ml当たり10000単位、500mg含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。
次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0043】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、ポリエチレングリコール6000の含有量は、それぞれ20単位、1mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、さらに遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0044】
(実施例7)
加水分解酵素として蛇毒トロンビン様酵素(商品名:レプチラーゼ、東菱薬品社製)、加水分解酵素の安定化剤としてグリセロールを、それぞれ1ml当たり10000単位、500mg含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0045】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、グリセロールの含有量は、それぞれ20単位、1mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、さらに遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0046】
(比較例1)
加水分解酵素としてトロンビン(商品名:トロンビン持田、持田製薬社製)、アミン塩及び/又は第4級窒素を有する有機化合物として上記式(VII)で表されるポリカチオンを、それぞれ1ml当たり5000単位、50mgを含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。
次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0047】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヘパリンを1単位/ml含有するヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビン、上記式(VII)で表されるポリカチオンの含有量は、それぞれ10単位、0.1mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、30分以上経過しても血液凝固が認められず、また遠心分離を行うと、上層の血清中に不十分な凝固を示すフィブリンが認められた。
【0048】
(比較例2)
加水分解酵素としてトロンビン(商品名:トロンビン持田、持田製薬社製)を1ml当たり20000単位含有する水溶液を調製し、血液凝固促進剤とした。次いで上記血液凝固促進剤をポリエチレン製広口容器に密閉し、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
【0049】
ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)にヒト新鮮血を10ml用意し、上記血液凝固促進剤を20μl滴下した後、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビンの含有量は、40単位であった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、30分以上経過しても血液凝固が認められず、また遠心分離を行うと、上層の血清中に不十分な凝固を示すフィブリンが認められた。
【0050】
(実施例8)
上記実施例1で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸の含有量は、実施例1と同じである。
以下、上記実施例1と同様にして実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、また遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0051】
(実施例9)
上記実施例2で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸の含有量は、実施例2と同じである。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、また遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0052】
(実施例10)
上記実施例3で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヘパリンを1単位/ml含有するヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸、上記式(VII)で表されるポリカチオンの含有量は、実施例3と同じである。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、また遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0053】
(実施例11)
上記実施例4で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヘパリンを1単位/ml含有するヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸、テトラデシルジ(アミノエチル)グリシンの含有量は、実施例4と同じである。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、また遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0054】
(実施例12)
上記実施例5で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、グリシンの含有量は、実施例5と同じである。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、また遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0055】
(実施例13)
上記実施例6で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、ポリエチレングリコール6000の含有量は、実施例6と同じである。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、また遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0056】
(実施例14)
上記実施例7で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりの蛇毒トロンビン、グリセロールの含有量は、実施例7と同じである。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、5分以内で血液凝固が認められ、また遠心分離により、上層に清浄な血清を、下層に血餅が得られた。
【0057】
(比較例3)
上記比較例1で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヘパリンを1単位/ml含有するヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビン、上記式(VII)で表されるポリカチオンの含有量は、それぞれ10単位、0.1mgであった。
以下、上記実施例1と同様に実験を行ったところ、30分以上経過しても血液凝固が認められず、また遠心分離を行うと、上層の血清中に不十分な凝固を示すフィブリンが認められた。
【0058】
(比較例4)
上記比較例2で得られた血液凝固促進剤の20μlを、ポリエチレン製チューブ(16φ×10mm)に塗布し乾燥させ、血液検査用容器を作成した。
上記血液検査用容器を、25℃で1か月静置した後、以下の実験を行った。
ヒト新鮮血を10ml用意し、これを上記血液検査用容器に入れ、緩やかに攪拌し25℃で静置した。この時の血液1ml当たりのトロンビンの含有量は、比較例2と同じである。
以下、上記実施例1と同様にして実験を行ったところ、30分以上経過しても血液凝固が認められず、また遠心分離を行うと、上層の血清中に不十分な凝固を示すフィブリンが認められた。
【0059】
【発明の効果】
本発明の血液凝固促進剤及び血液検査用容器は、上述の通りであり、正常血液のみならずヘパリンが含有される血液も短時間のうちに凝固させるとともに、安定性に優れる。さらに、凝固状態が安定に保たれ、血清と血餅との分離が容易となるため、分離採取された血清中に血餅成分が混在することもない。血餅成分の収縮度合いも十分であるため、血清収率も高い。
従って、本発明の血液凝固促進剤及び血液検査用容器は、通常の血液検査だけでなく、ヘパリン投与を受けている人工透析患者や血栓症患者の血液検査における血清の分取に好適に用いられる。
Claims (2)
- ペプチド鎖において、Argと任意のアミノ酸残基との結合及び/又はLysと任意のアミノ酸残基との結合を加水分解しうる加水分解酵素、並びに上記加水分解酵素の安定化剤としてのアルブミン及びアミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸を含有する血液凝固促進剤が内部に塗布乾燥された血液検査用容器。
- 血液凝固促進剤が、さらに、アミン塩及び/又は第4級窒素を有する有機化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の血液検査用容器。
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