JP3915357B2 - 熱硬化性樹脂化粧板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具又は器物等の表面材や建築物又は車両等の内外装材として使用する熱硬化性樹脂化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりメラミン化粧板等の熱硬化性樹脂化粧板は上記の如き各種の用途に広く使用されている。これらは一般に、チタン紙等の吸水性の良い原紙の表面に、木目等の所望の絵柄模様を印刷し、これにメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸してなる熱硬化性樹脂含浸模様紙を、合板等の基材の上に載置したコア紙(クラフト紙等の原紙にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸したもの)の上に載置し、更に必要に応じてその上にオーバーレイ紙(樹脂を含浸すると透明化する性質を有する原紙に、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸したもの)を載置して、加熱加圧成形することによって製造されている。
【0003】
上記加熱加圧成形の際には、製造される化粧板の表面を鏡面状又は所望のテクスチャー状等の一定の状態に仕上げる目的で、熱硬化性樹脂含浸模様紙若しくはオーバーレイ紙の上に、鏡面状又は所望のテクスチャー状の表面を有する金属板(鏡面板)を載置するのが一般的である。しかし、この方法でテクスチャー状の表面を有する熱硬化性樹脂化粧板を製造しようとすると、化粧板の表面のテクスチャーを絵柄模様と同調させることは極めて困難であるし、製造しようとするテクスチャーの種類の分だけ予め鏡面板を用意しておかなければならないので、製造コストが非常に高いものになってしまう等の問題点がある。
【0004】
上記の様な機械的な賦形法(メカニカルエンボス法)の他、化学的な賦形法(ケミカルエンボス法)も開発されている。これは、絵柄模様の形成の為の印刷インキとして、含浸する熱硬化性樹脂の硬化反応を遅らせる作用を有する化学物質(硬化抑制剤)を含有する印刷インキを少なくとも一部に使用することによって、加熱加圧成形の際に当該インキによる印刷部分の熱硬化性樹脂の硬化を遅らせ、成形後に未硬化状態で残存した樹脂を除去することによって、凹部を形成する方法である。この方法は、一種類の鏡面板を使用して所望のテクスチャーの形成が可能であり、テクスチャーの絵柄模様との同調も容易である利点がある。しかしながら、未硬化状態で残存した樹脂の除去作業や、未硬化状態の樹脂が付着した鏡面板の洗浄作業等が煩雑で、生産性が上がらない他、特殊な薬剤を使用することもあって、製造コストの低減はやはり困難である。
【0005】
より簡便な方法として、原紙の表面に印刷形成する絵柄模様の少なくとも一部として、艶消剤を含有する艶消インキを使用した艶消模様を設けるという方法も提案されている。この方法は、一種類の鏡面板で各種のテクスチャーに対応可能であり、しかも未硬化樹脂の問題などもなく、艶の変化によるテクスチャーを有する化粧板を生産性良く簡便且つ安価に製造可能であるという利点がある。しかしながら、この方法で実際に化粧板を製造すると、原紙への印刷の時点では十分な艶消効果を有する艶消模様が形成できても、加熱加圧成形の際に艶消インキが高い圧力によって押し潰され、表面の凹凸が減少する結果、製造された化粧板には期待した程のテクスチャー感が得られない場合があった。
【0006】
そこで、加熱加圧成形による艶消感の減殺を抑制する為に、艶消インキに配合する艶消剤として粒径が数μmから数十μmに及ぶ大粒径の硬質粒子を使用したり、艶消インキのバインダーとして硬化型樹脂を使用して艶消模様を十分に硬化させた後に加熱加圧成形を行う等の対策も取られてきたが、これらの対策によっても必ずしも十分な成果は挙がっていない。その原因について本発明者らが詳細に検討したところ、加熱加圧成形の際に、高熱によって流動化した未硬化の熱硬化性樹脂が原紙中から滲み出し、鏡面板と艶消模様との間に侵入して艶消模様上に被膜を形成し、この被膜が艶消模様の表面の凹凸を埋めることによって艶消効果が減殺されていることが判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記した問題点を解決する目的でなされたものであり、その目的とするところは、熱硬化性樹脂含浸紙層の表面に艶消模様を有する熱硬化性樹脂化粧板において、加熱加圧成形によっても艶消模様の艶消効果が減殺されることがなく、十分な艶差による優れたテクスチャー感を有する熱硬化性樹脂化粧板を提供することにある。
【0008】
【発明を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、吸水性の良い原紙に撥液性艶消模様を設け、しかる後に該原紙に前記撥液性艶消模様によって撥かれる熱硬化性樹脂を含浸して熱硬化性樹脂含浸紙として、これを基材上に載置し、表面上に金属板を当接して加熱加圧成形し、原紙に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させて基材と一体化させてなることを特徴とする、熱硬化性樹脂化粧板の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示す側断面図であり、図2は本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態の製造工程を示す側断面図であり、図3乃至図5はそれぞれ本発明の熱硬化性樹脂化粧板の他の実施の形態を示す側断面図である。
【0011】
本発明の熱硬化性樹脂化粧板の一例を挙げれば、図1に示す様に、基材6上に、熱硬化性樹脂が含浸され硬化された樹脂含浸模様紙5が積層されて構成されるものであって、該樹脂含浸模様紙5は、原紙1の表面に撥液性艶消模様3を有している。そして、該撥液性艶消模様3が形成された箇所を除く部分の原紙1の表面は、原紙1への熱硬化性樹脂の含浸時に余剰の樹脂が原紙1の表面に残存するか、及び/又は、原紙1の内部に含浸されていた熱硬化性樹脂が加熱加圧成形時の高温により流動化して表面に滲出することによって形成された含浸樹脂被覆層4によって被覆されている。そして本発明の熱硬化性樹脂化粧板は、この含浸樹脂被覆層4の表面と撥液性艶消模様3の表面との艶状態の差によって、テクスチャー感や視覚的立体感が表現されているものである。
【0012】
なお、樹脂含浸模様紙5を構成する原紙1の表面には、撥液性艶消模様3の他、必要に応じて撥液性を有しない通常の印刷インキ等による模様(以下、通常模様という)2が形成されていても良い。この通常模様2の表面にも、上記した原紙1の表面におけると同様の原理により、含浸樹脂被覆層4が形成されている。また、樹脂含浸模様紙5と基材6との間には、必要に応じて接着剤層(図示せず)若しくは熱硬化性樹脂含浸紙からなるコア紙7が介在していても良い。
【0013】
係る本発明の熱硬化性樹脂化粧板を製造するには、例えば図2に示す如く、まず吸水性の良い原紙1の表面に、必要に応じて通常模様2を形成(図2(a))を形成した後、撥液性艶消模様3を形成し(図2(b))、しかる後、該撥液性艶消模様3によって撥かれる性質を有する熱硬化性樹脂を原紙1に含浸させると共に、該撥液性艶消模様3が形成された箇所を除く原紙1の表面に、原紙1中に含浸されずに原紙1の表面に残存した熱硬化性樹脂によって含浸樹脂被覆層4を形成する(図2(c))。
【0014】
こうして得た樹脂含浸模様紙を、必要に応じて熱硬化性樹脂含浸紙からなるコア紙7を介して、基材6上に載置し、樹脂含浸模様紙5の表面上に金属板(鏡面板)8を当接して加熱加圧成形し(図2(d))、原紙1中に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させて基材6やコア紙7と一体化させる。その際、高温により流動化した熱硬化性樹脂が原紙1の内部から表面に滲出し、撥液性艶消模様3と金属板(鏡面板)8との間隙に侵入しようとしても、撥液性艶消模様3によって撥かれるために侵入することができず、撥液性艶消模様3上には含浸樹脂被覆層4が形成されず、艶消感が保持される。こうして十分に硬化した後に脱型すれば、目的の熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる(図2(e))。
【0015】
なお、上記の製造工程において、通常模様2と撥液性艶消模様3とが重複する箇所を有しない場合には、両者の形成順序は上記と逆であっても良いが、両者が重複する箇所を有する場合には、上述した通り、通常模様2の形成後に撥液性艶消模様3を形成する必要がある。
【0016】
また、通常模様2や撥液性艶消模様3の形成は、原紙1への熱硬化性樹脂の含浸後であっても良い。この場合にも、後の加熱加圧成形工程において、高温により流動化し原紙1の表面に滲出した含浸樹脂は、撥液性艶消模様3により撥かれる為に、撥液性艶消模様3上に含浸樹脂被覆層4が形成されることはない。一方、撥液性を有しない通常模様2と金属板(鏡面板)8との間隙には、通常模様2の周囲の原紙1の表面から滲出したり通常模様2を透過して滲出した樹脂によって含浸樹脂被覆層4が形成されるから、結果的には前記した製造工程の場合と同様の構造の熱硬化性樹脂化粧板が得られる。
【0017】
但し、撥液性艶消模様3の形成を原紙1への熱硬化性樹脂の含浸の後で行うと、原紙1の表面に既に形成された含浸樹脂被覆層4の上に撥液性艶消模様3を形成することになり、撥液性艶消模様3と含浸樹脂との親和性が低いこともあって、撥液性艶消模様3と原紙1との十分な密着性が得られない場合がある。従って、撥液性艶消模様3の形成は、原紙1の少なくとも表面(撥液性艶消模様3の形成面)への熱硬化性樹脂の含浸の前に行うことが望ましい。
【0018】
原理的には、原紙1の裏面にまず樹脂を含浸し、表面に撥液性艶消模様3を形成した後に、表面側から再度樹脂含浸処理を施すことも差し支えない。しかしながら、製造工程の簡便性や、印刷工程の容易性等を考慮すると、未含浸の原紙1の表面に撥液性艶消模様3を形成した後に、該撥液性艶消模様3によって撥かれる熱硬化性樹脂を含浸する工程によることが、最も望ましい。
【0019】
本発明において原紙1としては、後に熱硬化性樹脂の含浸が可能な吸水性の良い紙等の繊維質シート状体であれば良く、例えば薄葉紙、チタン紙、上質紙、晒又は未晒クラフト紙等が使用可能である。中でも印刷適性と樹脂含浸適性の両面で優れたチタン紙が最も好適である。また、基材6の表面の質感を活かしたい場合等には、樹脂の含浸により透明化する性質を有する所謂透明紙を使用することもできる。原紙1の厚さには特に制約はないが、一般的には坪量20〜200g/m2程度の範囲内のものが使用される。
【0020】
本発明において、通常模様2や撥液性艶消模様3がなす絵柄模様の種類には特に制約はなく、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形、文字、記号等、或いはそれらの2種以上の組み合わせ等、所望により任意である。撥液性艶消模様3は、所望の絵柄模様の中で、艶消状の質感を表現したい箇所や、視覚的に凹状部として表現したい箇所等に形成する。前者の例としては木目柄における春材部(光沢状の秋材部に対する)、後者の例としては同じく木目柄における導管溝部分等を挙げることができる。なお、撥液性艶消模様3は無色であっても良いが、色彩模様と凹凸模様との同調効果を得る為、着色模様とすることが望ましい。
【0021】
通常模様2は、撥液性を有しない通常の印刷インキを使用して通常の印刷方法で設けることができる。印刷インキの種類には特に制約はなく、油性インキであっても良いが、樹脂含浸適性を考慮すると水性インキを使用することが望ましい。それは、水性インキの方が油性インキと比較して含浸樹脂の水溶液との馴染みが良く、後の含浸工程において迅速且つ均一に含浸可能であり、しかも含浸樹脂との一体化によって優れた強度を発現することができるからである。
【0022】
上記水性インキの種類にも特に制約はないが、特にそのバインダー樹脂がカゼイン、エマルジョン樹脂及び/又はラテックス樹脂を主成分とするものを使用することが最も望ましい。これらのバインダー樹脂は、インキの印刷後に乾燥工程を経ることによって難水溶化する性質を有しており、後の樹脂含浸工程において含浸樹脂の水溶液に再溶解しにくいので、絵柄模様を損なうことがなく、且つ含浸樹脂の汚染のおそれもないからである。
【0023】
上記エマルジョン樹脂としては、例えばアクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、ウレタン系等、上記ラテックス樹脂としては、例えばスチレン−ブタジエン系、アクリロニトリル−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等を使用することができる。
【0024】
また、これらカゼイン、エマルジョン樹脂及び/又はラテックス樹脂の他に、インキの安定性の向上を目的として、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の水溶性樹脂や、多糖類、セルロース誘導体等の水溶性高分子等を併用したものであっても良い。
【0025】
通常模様2の形成方法にも特に制約はなく、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法等の任意の印刷方法によることができる。また、下地着色を目的としてベタインキ層を設ける場合には、該ベタインキ層の形成方法として、上記各種の印刷方法の他、例えばロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、スプレーコート法、リップコート法、ダイコート法等の任意のコーティング方法によることもできる。
【0026】
撥液性艶消模様3を形成するためのインキの種類にも特に制約はなく、通常模様2の使用する印刷インキと同種のものであっても異なっていても良いが、撥液性の付与の為に、撥液性のバインダー樹脂を使用するか、若しくは撥液剤を添加する必要がある。
【0027】
撥液性のバインダー樹脂としては例えばシリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂等、撥液剤としては例えばポリエチレンワックス等のパラフィン類や、脂肪酸又はその誘導体、金属石鹸、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等の低表面張力の物質が使用され、中でもシリコーン系化合物又はフッ素系化合物からなる撥液剤が撥液効果の面で最も優れている。
【0028】
また、撥液性艶消模様3を形成するための印刷インキには、印刷後のインキ層の表面に所望の艶消状の表面状態を得る為に、適宜の艶消剤が添加される。係る艶消剤としては、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス粉、タルク、クレー、珪藻土、シラスバルーン等の無機質粉体や合成樹脂ビーズ等が使用される。粒径は所望の艶消感に応じて任意であるが、平均粒径0.5〜50μm程度の範囲内から選ばれるのが最も一般的である。
【0029】
撥液性艶消模様3は、最終製品である熱硬化性樹脂化粧板において含浸樹脂被覆層4によって保護されることなく表面に露出する層であるから、化粧板の機械的及び化学的表面物性の観点からは、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂をバインダーとする印刷インキによって形成することが望ましい。この様に構成すると、加熱加圧成形時の熱や圧力の作用を受けても、撥液性艶消模様3の表面が平坦化して艶消感が損なわれることがなく、艶差によるテクスチャー感や視覚的立体感に優れた熱硬化性樹脂化粧板を安定的に製造することができる利点もある。
【0030】
係る硬化性樹脂としては、例えばメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノアルキド系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂や、(メタ)アクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等を使用することができる。
【0031】
撥液性艶消模様3のなす絵柄模様の種類には特に制約はなく、通常模様2と同調していても非同調であっても良いが、一般的には同調させた方がより意匠性に優れた熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる。
【0032】
こうして通常模様2や撥液性艶消模様3を形成した原紙1に含浸する熱硬化性樹脂としては、従来より係る熱硬化性樹脂化粧板の製造用に使用されている公知の任意の熱硬化性樹脂を採用することができる。具体的には例えばメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂等である。これらは一般に、水中に溶解又は分散した水系含浸液の形で原紙1に含浸される。
【0033】
熱硬化性樹脂の含浸は、通常模様2や撥液性艶消模様3を形成した(又は後に形成する)原紙1の撥液性艶消模様3面側から行っても良いし、反対面側から行っても良い。また、片面ずつ2回に分けて含浸させたり、両面から同時に含浸させても良い。含浸後に印刷を施す場合には、原紙1の抄造と同時に熱硬化性樹脂を含浸(混抄)させて製造された原紙1を使用することも可能である。熱硬化性樹脂の含浸率(含浸後の重量に占める含浸樹脂の重量の比率)は、通例20〜80%程度であり、中でも40〜70%程度の範囲内が最も望ましい。また、物性に優れた熱硬化性樹脂化粧板を得る為には、原紙1の全体に均一に樹脂が含浸されることが重要である。
【0034】
この様にして作製された樹脂含浸模様紙5を基材6上に載置し、樹脂含浸模様紙5の表面に金属板(鏡面板)8を載置して加熱加圧成形することによって、本発明の熱硬化性樹脂化粧板が得られる。
【0035】
ここで使用する基材6の種類には特に制約はなく、目的とする熱硬化性樹脂化粧板の用途に応じて任意であり、例えば木材単板、合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板等の木質基材や、板紙、織布、不織布、樹脂含浸紙、樹脂含浸布等の繊維質基材、石膏ボード、スレート板、珪酸カルシウム板、スラグ石膏板、木毛セメント板、スラグセメント板、軽量気泡コンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート板等の無機質基材、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン板、ステンレス板等の金属基材、アクリル樹脂板、スチロール樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、ナイロン樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリプロピレン樹脂板、ポリエステル樹脂板、ガラス繊維強化プラスチック板等の合成樹脂基材等、或いはこれらから選ばれる2種以上の複合体又は積層体等を適宜使用することができる。
【0036】
基材6上に樹脂含浸模様紙5を積層する際には、必要に応じて適宜の接着剤(図示せず)を介して積層しても良いし、接着剤等を介さずに直接積層しても良い。また、必要に応じて、従来のメラミン樹脂化粧板等におけると同様、コア紙7を介して積層することもできる。
【0037】
上記コア紙7とは、例えばチタン紙、晒又は未晒クラフト紙、ガラス繊維不織布等の適宜の原紙に未硬化状態の熱硬化性樹脂が含浸されているものであり、該熱硬化性樹脂としては、例えばメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂等、任意であり、目的の熱硬化性樹脂化粧板に要求される物性等に応じて適宜選択すれば良い。具体例を挙げれば、従来よりメラミン樹脂化粧板用のコア紙として広く採用されているフェノール樹脂含浸クラフト紙等を使用することができる。
【0038】
樹脂含浸模様紙5を基材6上に積層し接着するための加熱加圧成形方法としては、上述した金属板(鏡面板)8を当接して平圧プレスする方法の他、円圧式の連続ラミネート方式を採用することもできる。特に、金属製無端ベルトを使用した連続ラミネート方式を採用すると、表面の反りや波打ち等がなく、しかも層間密着性良く稠密に硬化一体化された高品質の熱硬化性樹脂化粧板を、高速度で連続的に製造できる利点がある。
【0039】
加熱加圧成形の工程において、成形後の含浸樹脂被覆層4の表面形状は、使用する金属板(鏡面板)8や金属製無端ベルトの表面形状がそのまま賦形されたものとなるから、これらの金属板(鏡面板)8や金属製無端ベルトとして、表面が鏡面状等の平滑面に研磨されたものを使用すれば、表面の光沢度や平滑性に優れた熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる。
【0040】
勿論、必要に応じて、所望の任意の艶消状やテクスチャー状の金属板(鏡面板)8や金属製無端ベルトを使用することによって、所望の任意の表面仕上げ状態の熱硬化性樹脂化粧板を得ることも可能である。
【0041】
本発明の熱硬化性樹脂化粧板は、以上に詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形を加えて実施することができる。
【0042】
例えば、図3に示す実施の形態は、先に図1に示した実施の形態における1枚の樹脂含浸模様紙5を、樹脂の含浸により透明化する性質を有する原紙である透明紙11に、撥液性艶消模様3を形成すると共に、熱硬化性樹脂を含浸してなる表面樹脂含浸模様紙51と、通常の原紙12に通常模様2を形成すると共に熱硬化性樹脂を含浸してなる中間樹脂含浸模様紙52とを表面側から順次積層した、2枚の樹脂含浸模様紙51、52によって置換したものである。
【0043】
係る構成を採用すると、通常模様2と撥液性艶消模様3とが透明紙11で隔離されているので、見る角度によって両者の位置関係が変化して見えることにより、深み感や視覚的立体感に優れた高意匠性の熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる。
【0044】
撥液性艶消模様3のインキ膜厚を十分に薄く形成し、後の樹脂含浸工程において、撥液性艶消模様3が形成された箇所を除く原紙1の表面上に、撥液性艶消模様3の膜厚よりも厚い含浸樹脂被覆層4を形成させることによって、撥液性艶消模様3の形成箇所に凹状部を形成し、該凹状部を保持しつつ加熱加圧成形を行うと、撥液性艶消模様3が形成された箇所に同調した凹状部を有する熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる(図4)。この様な構成の熱硬化性樹脂化粧板は、艶の変化と同調した表面凹凸形状を有することにより、極めて立体的な意匠感に富んだものとなる。
【0045】
逆に、撥液性艶消模様3を盛り上げ印刷等の手法により十分に厚く形成し、含浸樹脂被覆層4を撥液性艶消模様3よりも薄く形成させると、艶消部分が凸状部となった熱硬化性樹脂化粧板を得ることもできる(図5)。この場合、加熱加圧成形の際に、樹脂含浸模様紙5の表面に金属板(鏡面板)8等の硬質体を直接当接して成形すると、成形圧力によって撥液性艶消模様3が原紙1中に埋入し、図1に示す形態と外見上実質的に変わらなくなってしまうので、樹脂含浸模様紙5と金属板(鏡面板)8との間に、例えばシリコーンゴム板等の耐熱性弾性体を介して加熱加圧成形を行うのが良い。
【0046】
【実施例】
吸水性の良い坪量100g/m2の化粧紙用チタン紙に、カゼインを主成分とした水性インキを使用して、ダイレクトグラビア印刷方式によって木目模様を印刷し、更にインラインで、シリコーン系撥液剤及びシリカ系艶消剤を添加した硬化型ウレタン樹脂系インキを使用して、ダイレクトグラビア印刷方式によって前記木目模様と同調した導管模様状に撥液性艶消模様を印刷形成した。
【0047】
しかる後、該撥液性艶消模様によって撥かれる性質を有する水性メラミン系樹脂液を浸漬含浸し、撥液性艶消模様上の含浸樹脂被覆層を十分に撥かせた後、十分に乾燥させた。その際、含浸乾燥後の樹脂含浸模様紙の坪量が200g/m2となる様に樹脂含浸量を調節した。
【0048】
得られた樹脂含浸模様紙を、コア紙(フェノール樹脂含浸クラフト紙)を介して厚さ5mmのパーティクルボード基材上に載置し、樹脂含浸模様紙の表面に鏡面板を当接させて加熱加圧成形硬化させて、本発明の熱硬化性樹脂化粧板を得た。
【0049】
【発明の効果】
本発明の熱硬化性樹脂化粧板は、熱硬化性樹脂含浸紙層の表面に艶消模様を有する熱硬化性樹脂化粧板において、前記艶消模様が撥液性を有する撥液性艶消模様であることにより、加熱加圧成形工程において、熱硬化性樹脂含浸紙層を構成する原紙中に含浸された熱硬化性樹脂が、加熱により流動化して原紙の表面上に滲出してきても、撥液性艶消模様によって撥かれる為に、撥液性艶消模様と鏡面板等との間隙に侵入せず、撥液性艶消模様上に含浸樹脂被覆層が形成されないから、撥液性艶消模様の艶消感が含浸樹脂被覆層によって減殺されることがなく、他の部分との艶の差によるテクスチャー感や材質感、視覚的立体感等に優れた高意匠性の熱硬化性樹脂化粧板を容易に得ることができるという優れた効果を奏するものである。
【0050】
就中、前記熱硬化性樹脂含浸紙層が、吸水性の良い原紙に撥液性艶消模様を設け、しかる後に該原紙に前記撥液性艶消模様によって撥かれる熱硬化性樹脂を含浸してなる熱硬化性樹脂含浸模様紙を、少なくとも表面に具備することにより、撥液性艶消模様がそれと親和性の低い含浸用熱硬化性樹脂の被覆層を介さずに原紙上に直接に設けられるので、原紙と撥液性艶消模様との間に十分な密着性を確保することができる。しかも、樹脂の含浸工程では、含浸樹脂が撥液性艶消模様によって撥かれることにより、撥液性艶消模様上に含浸樹脂被覆層が形成されることなく、テクスチャー感等に優れた高意匠性の熱硬化性樹脂化粧板を容易に得ることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態の製造工程を示す側断面図である。
【図3】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示す側断面図である。
【図4】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示す側断面図である。
【図5】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1‥‥原紙
11‥‥透明紙
12‥‥原紙
2‥‥通常模様
3‥‥撥液性模様
4‥‥含浸樹脂被覆層
5‥‥樹脂含浸模様紙
51‥‥表面樹脂含浸模様紙
52‥‥中間樹脂含浸模様紙
6‥‥基材
7‥‥コア紙
8‥‥金属板(鏡面板)
Claims (1)
- 吸水性の良い原紙に撥液性艶消模様を設け、しかる後に該原紙に前記撥液性艶消模様によって撥かれる熱硬化性樹脂を含浸して熱硬化性樹脂含浸紙として、これを基材上に載置し、表面上に金属板を当接して加熱加圧成形し、原紙に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させて基材と一体化させてなることを特徴とする、熱硬化性樹脂化粧板の製造方法。
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