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JP3913455B2 - 無線受信システム - Google Patents

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JP3913455B2
JP3913455B2 JP2000296885A JP2000296885A JP3913455B2 JP 3913455 B2 JP3913455 B2 JP 3913455B2 JP 2000296885 A JP2000296885 A JP 2000296885A JP 2000296885 A JP2000296885 A JP 2000296885A JP 3913455 B2 JP3913455 B2 JP 3913455B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は無線受信システムに関し、特に、PDMA(Path Division Mul tiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)などの通信方式による無線受信システムであって、受信信号から、他のユーザによる干渉信号成分を除去することができる無線受信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、急速に発達しつつある携帯型電話機のような移動通信システムにおいて、周波数の有効利用を図るべく種々の伝送チャネル割当方法が提案されており、その一部のものは実用化されている。
【0003】
図27は周波数分割多重接続(Fre quency Division Multiple Access:FDMA),時分割多重接続(Time Division Multiple Access :TDMA)およびPDMAの各種の通信システムにおけるチャネルの配置図である。
【0004】
まず、図27を参照して、FDMA,TDMAおよびPDMAについて簡単に説明する。図27(a)はFDMAを示す図であって、異なる周波数f1〜f4の電波でユーザ1〜4のアナログ信号が周波数分割されて伝送され、各ユーザ1〜4の信号は周波数フィルタによって分離される。
【0005】
図27(b)に示すTDMAにおいては、各ユーザのデジタル化された信号が、異なる周波数f1〜f4の電波で、かつ一定の時間(タイムスロット)ごとに時分割されて伝送され、各ユーザの信号は周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とにより分離される。
【0006】
一方、最近では、携帯型電話機の普及により電波の周波数利用効率を高めるために、PDMA方式が提案されている。このPDMA方式は、図27(c)に示すように、同じ周波数における1つのタイムスロットを空間的に分割して複数のユーザのデータを伝送するものである。このPDMAでは各ユーザの信号は周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とアダプティブアレイ(adaptive array)などの相互干渉除去装置とを用いて分離される。
【0007】
このようなアダプティブアレイ無線基地局の動作原理については、たとえば下記の文献に説明されている。
【0008】
B. Widrow, et al. :“Adaptive Antenna Systems, ”Proc. IEEE, vol.55, No.12, pp.2143-2159 (Dec. 1967 ).
S. P. Applebaum :“Adaptive Arrays ”, IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.AP-24, No.5, pp.585-598 (Sept. 1976).
O. L. Frost, III:“Adaptive Least Squares Optimization Subject to Linear Equality Constraints, ”SEL-70-055, T echnical Report, No.6796-2, Information System Lab., Stanford Univ.(Aug. 1970 ).
B. Widrow and S. D. Stearns :“Adaptive Signal Processing, ”Prentice-Hall, Englewood Cliffs (1985).
R. A. Monzingo and T. W. Miller :“Introduction to Adaptive Arrays,”John Wi ley & Sons, New York (1980).
J. E. Hudson:“Adaptive Array Principles,”Peter Peregrinus Ltd., London (1981).
R. T. Compton, Jr.:“Adaptive Antennas − Concepts and Performance,”Prentice-Hall, Englewood Cliffs (1988).
E. Nicolau and D. Zaharia:“Adaptive Arrays ,” Elsevier, Amsterdam(1989).
【0009】
図28は、このようなアダプティブアレイ無線基地局の動作原理を概念的に示す模式図である。図28において、1つのアダプティブアレイ無線基地局201は、n本のアンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nからなるアレイアンテナ202を備えており、その電波が届く範囲を第1の領域203として表わす。一方、隣接する他の無線基地局206の電波が届く範囲を第2の領域207として表わす。
【0010】
領域203内で、ユーザAの端末である携帯電話機204とアダプティブアレイ無線基地局201との間で電波信号の送受信が行なわれる(矢印205)。一方、領域207内で、他のユーザBの端末である携帯電話機208と無線基地局206との間で電波信号の送受信が行なわれる(矢印209)。
【0011】
ここで、たまたまユーザAの携帯電話機204の電波信号の周波数とユーザBの携帯電話機208の電波信号の周波数とが等しいとき、ユーザBの位置によっては、ユーザBの携帯電話機208からの電波信号が領域203内で不要な干渉信号となり、ユーザAの携帯電話機204とアダプティブアレイ無線基地局201との間の電波信号に混入してしまうことになる。
【0012】
このように、ユーザAおよびBの双方からの混合した電波信号を受信したアダプティブアレイ無線基地局201では、何らかの処理を施さなければ、ユーザAおよびBの双方からの信号が混じった信号を出力することとなり、本来通話すべきユーザAの通話が妨げられることになる。
【0013】
[従来のアダプティブアレイアンテナの構成および動作]
アダプティブアレイ無線基地局201では、このユーザBからの信号を出力信号から除去するために、次のような処理を行なっている。図29は、アダプティブアレイ無線基地局201の構成を示す概略ブロック図である。
【0014】
まず、ユーザAからの信号をA(t)、ユーザBからの信号をB(t)とすると、図29のアレイアンテナ202を構成する第1のアンテナ♯1での受信信号x1(t)は、次式のように表わされる:
x1(t)=a1×A(t)+b1×B(t)+n1(t)
ここで、a1,b1は、後述するようにリアルタイムで変化する係数、n1はノイズ成分である。
【0015】
次に、第2のアンテナ♯2での受信信号x2(t)は、次式のように表わされる:
x2(t)=a2×A(t)+b2×B(t)+n2(t)
ここで、a2,b2も同様にリアルタイムで変化する係数、n2はノイズ成分である。
【0016】
次に、第3のアンテナ♯3での受信信号x3(t)は、次式のように表わされる:
x3(t)=a3×A(t)+b3×B(t)+n3(t)
ここで、a3,b3も同様にリアルタイムで変化する係数、n3はノイズ成分である。
【0017】
同様に、第nのアンテナ♯nでの受信信号xn(t)は、次式のように表わされる:
xn(t)=an×A(t)+bn×B(t)+nn(t)
ここで、an,bnも同様にリアルタイムで変化する係数、nnはノイズ成分である。
【0018】
上記の係数a1,a2,a3,…,anは、ユーザAからの電波信号に対し、アレイアンテナ2を構成するアンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nのそれぞれの相対位置が異なるため(たとえば、各アンテナ同士は互いに、電波信号の波長の5倍、すなわち1メートル程度の間隔をあけて配されている)、それぞれのアンテナでの位相と振幅に差が生じることを表わしている。
【0019】
また、上記の係数b1,b2,b3,…,bnも同様に、ユーザBからの電波信号に対し、アンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nのそれぞれでの位相と振幅に差が生じることを表わしている。各ユーザは移動しているため、これらの係数はリアルタイムで変化する。
【0020】
それぞれのアンテナで受信された信号x1(t),x2(t),x3(t),…,xn(t)は、対応するスイッチ10−1,10−2,10−3,…,10−nを介してアダプティブアレイ無線基地局201を構成する受信部1Rに入り、ウェイトベクトル制御部11に与えられるとともに、対応する乗算器12−1,12−2,12−3,…,12−nの一方入力にそれぞれ与えられる。
【0021】
これらの乗算器の他方入力には、ウェイトベクトル制御部11からそれぞれのアンテナでの受信信号に対する重みw1,w2,w3,…,wnが印加される。これらの重みは、後述するように、ウェイトベクトル制御部11により、リアルタイムで算出される。
【0022】
したがって、アンテナ♯1での受信信号x1(t)は、乗算器12−1を経て、w1×(a1A(t)+b1B(t))となり、アンテナ♯2での受信信号x2(t)は、乗算器12−2を経て、w2×(a2A(t)+b2B(t))となり、アンテナ♯3での受信信号x3(t)は、乗算器12−3を経て、w3×(a3A(t)+b3B(t))となり、さらにアンテナ♯nでの受信信号xn(t)は、乗算器12−nを経て、wn×(anA(t)+bnB(t))となる。
【0023】
これらの乗算器12−1,12−2,12−3,…,12−nの出力は、加算器13で加算され、その出力は下記のようになる:
w1(a1A(t)+b1B(t)+n1(t))+w2(a2A(t)+b2B(t)+n2(t))+w3(a3A(t)+b3B(t)+n3(t))+…+wn(anA(t)+bnB(t)+nn(t))
【0024】
これを信号A(t)に関する項と信号B(t)に関する項とに分けると次のようになる:
(w1a1+w2a2+w3a3+…+wnan)A(t)+(w1b1+w2b2+w3b3+…+wnbn)B(t)
【0025】
ここで、後述するように、アダプティブアレイ無線基地局201は、ユーザA,Bを識別し、所望のユーザからの信号のみを抽出できるように上記重みw1,w2,w3,…,wnを計算する。たとえば、図29の例では、ウェイトベクトル制御部11は、本来通話すべきユーザAからの信号A(t)のみを抽出するために、係数a1,a2,a3,…,an,b1,b2,b3,…,bnを定数とみなし、信号A(t)の係数が全体として1、信号B(t)の係数が全体として0となるように、重みw1,w2,w3,…,wnを計算する。
【0026】
すなわち、ウェイトベクトル制御部11は、下記の連立一次方程式を解くことにより、信号A(t)の係数が1、信号B(t)の係数が0となる重みw1,w2,w3,…,wnをリアルタイムで算出する:
【0027】
w1a1+w2a2+w3a3+…+wnan=1
w1b1+w2b2+w3b3+…+wnbn=0
【0028】
この連立一次方程式の解法の説明は省略するが、先に列挙した文献に記載されているとおり周知であり、現にアダプティブアレイ無線基地局において既に実用化されているものである。
【0029】
このように重みw1,w2,w3,…,wnを設定することにより、加算器13の出力信号は下記のとおりとなる:
出力信号=1×A(t)+0×B(t)=A(t)
【0030】
[ユーザの識別、トレーニング信号]
なお、前記のユーザA,Bの識別は次のように行なわれる。
【0031】
図30は、携帯電話機の電波信号のフレーム構成を示す概略図である。携帯電話機の電波信号は大きくは、無線基地局にとって既知の信号系列からなるプリアンブルと、無線基地局にとって未知の信号系列からなるデータ(音声など)とから構成される。
【0032】
プリアンブルの信号系列は、当該ユーザが無線基地局にとって通話すべき所望のユーザかどうかを見分けるための情報の信号系列を含んでいる。アダプティブアレイ無線基地局201のウェイトベクトル制御部11(図29)は、メモリ14から取出したユーザAに対応したトレーニング信号と、受信した信号系列とを対比し、ユーザAに対応する信号系列を含んでいると思われる信号を抽出するようにウェイトベクトル制御(重みの決定)を行なう。このようにして抽出されたユーザAの信号は、出力信号SRX(t)としてアダプティブアレイ無線基地局201の受信処理部へ出力される。
【0033】
一方、図29において、携帯電話へ送信する送信信号STX(t)は、アダプティブアレイ無線基地局を構成する送信部1Tに入り、乗算器15−1,15−2,15−3,…,15−nの一方入力に与えられる。これらの乗算器の他方入力にはそれぞれ、ウェイトベクトル制御部11により先に受信信号に基づいて算出された重みw1,w2,w3,…,wnがコピーされて印加される。
【0034】
これらの乗算器によって重み付けされた入力信号は、対応するスイッチ10−1,10−2,10−3,…,10−nを介して、対応するアンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nに送られ、図28の領域203内に送信される。
【0035】
ここで、受信時と同じアレイアンテナ202を用いて送信される信号には、受信信号と同様にユーザAをターゲットとする重み付けがされているため、送信された電波信号はあたかもユーザAに対する指向性を有するかのようにユーザAの携帯電話機204により受信される。図31は、このようなユーザAとアダプティブアレイ無線基地局201との間での電波信号の授受をイメージ化した図である。現実に電波が届く範囲を示す図28の領域203に対比して、図31の仮想上の領域3aに示すようにアダプティブアレイ無線基地局201からはユーザAの携帯電話機204をターゲットとして指向性を伴って電波信号が放射されている状態がイメージされる。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、PDMA方式では、同一チャネル干渉を除去する技術が必要である。この点で、干渉波に適応的にヌルを向けるアダプティブアレイは、希望波のレベルより干渉波のレベルが高い場合でも効果的に干渉波を抑制できるため、有効な手段である。
【0037】
しかし、PDMA通信方式では、干渉信号が近接する場合、十分干渉除去が行えないという問題がある。そこで、マルチステージ干渉除去(Multistage Interference Canceler:以下MICと記す。)を取り入れ、特性の向上を図ることが試みられている。
【0038】
このMICにおいては、干渉信号を除去するために、干渉除去する信号を正確に復元する必要がある。この復元信号(レプリカ信号)は、再変調信号(復調信号を変調した信号)、応答ベクトル(伝搬路係数)及び周波数オフセット情報を元に生成される。
【0039】
この応答ベクトルは、1スロット区間内で1つの点で推定して求められる。このため、フェージングなどによりスロット内の応答ベクトルが変動してしまった場合、推定した応答ベクトルに推定誤差が生じることになる。推定した応答ベクトルに推定誤差が生じると正確なレプリカ信号を生成することができない。
【0040】
それゆえに、この発明の主たる目的は、実際の伝播環境により近い受信応答ベクトルを推定することにより通信品質を向上できるような無線受信システムを提供することである。
【0041】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のアンテナを用いて複数のユーザからの信号を受信し、受信された複数のユーザからの信号に基づいて、各ユーザに共通の入力信号ベクトルを作成し、複数段の干渉キャンセラを用いて前記入力信号ベクトルから干渉信号成分を除去する無線受信システムであって、前記干渉キャンセラは、前記複数のユーザのうちの特定のユーザに対応するユーザ信号成分を前記入力信号ベクトルから抽出する信号抽出手段と、前記入力信号ベクトルと特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出するパラメータ推定手段と、前記信号抽出手段で抽出された特定のユーザに対応するユーザ信号成分が復調エラーを含むか否かを判定するエラー判定手段と、からなる干渉除去部と、前記入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段にて算出された受信応答ベクトルに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力する演算手段と、を備え、前記エラー判定手段の判定結果に基づき前記パラメータ推定手段は、復調エラーを含まないと判定された全てのユーザのユーザ信号成分を取り込み、特定のユーザとその他のユーザのユーザ信号成分との間の相関値を演算し、且つ、前記エラー判定手段により、復調エラーを含むと判定されたユーザとのユーザ信号成分の相関は0とみなし、これらの相関値を含めて受信応答ベクトルを推定することを特徴とする。
【0042】
また、この発明は、上記の構成に加え、前記演算手段は、初期の入力信号ベクトルから前記エラー判定手段により復調エラーを含まないと判定されたユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段で推定された受信応答ベクトルとに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力するように構成すると良い。
【0043】
また、この発明は、複数のアンテナを用いて複数のユーザからの信号を受信し、受信された複数のユーザからの信号に基づいて、各ユーザに共通の入力信号ベクトルを作成し、複数段の干渉キャンセラを用いて前記入力信号ベクトルから干渉信号成分を干渉除去する無線受信システムであって、前記干渉キャンセラは、前記複数のユーザのうちの特定のユーザに対応するユーザ信号成分を前記入力信号ベクトルから抽出する信号抽出手段と、この抽出されたユーザ信号成分がそれぞれ復調エラーを含むか否かを判定するエラー判定手段と、前記入力信号ベクトルと、特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出するパラメータ推定手段と、からなる干渉除去部と、前記入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段にて算出された受信応答ベクトルに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力する演算手段と、複数のユーザ毎に設けられ前段の演算手段からの入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段で算出した受信応答ベクトルと前記エラー判定手段からのエラー判定信号が与えられる第1のゲート部と、前記干渉除去部からの各信号と前記第1のゲート部からの各信号と前段のエラー判定手段のエラー判定信号とが与えられる第2のゲート部と、を備え、前記第1のゲート部は前段のエラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部または前記第2のゲート部に前記各信号を選択して出力し、前記第2のゲート部は前記エラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部または第1のゲート部からの各信号を選択して出力し、前段のエラー判定手段でエラーを含まないと判定されたユーザに関しては、前記第1のゲート部に与えられた各信号が前記第2のゲート部を通過し、次段の干渉キャンセラに与えられ、前段のエラー判定手段でエラーを含むと判定されたユーザに関しては、前段の演算手段で干渉除去がなされた入力信号ベクトルに基づいて、前記エラー判定手段の判定結果に基づき、前記干渉除去部にて、復調エラーを含まないと判定された全てのユーザのユーザ信号成分を取り込み、特定のユーザとその他のユーザのユーザ信号成分との間の相関値を演算し、且つ、復調エラーを含むと判定されたユーザとのユーザ信号成分の相関は0とみなし、これらの相関値を含めて受信応答ベクトルを推定し、特定ユーザに対応する受信応答ベクトルとエラー判定信号とユーザ信号成分とを算出し、前記第2のゲート部から次段の干渉キャンセラに与えることを特徴とする。
【0045】
この発明は、複数のアンテナを用いて複数のユーザからの信号を受信し、受信された複数のユーザからの信号に基づいて、各ユーザに共通の入力信号ベクトルを作成し、複数段の干渉キャンセラを用いて前記入力信号ベクトルから干渉信号成分を干渉除去する無線受信システムであって、前記干渉キャンセラは、前記複数のユーザのうちの特定のユーザに対応するユーザ信号成分を前記入力信号ベクトルから抽出する信号抽出手段と、この抽出されたユーザ信号成分がそれぞれ復調エラーを含むか否かを判定するエラー判定手段と、前記入力信号ベクトルと特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出する第1のパラメータ推定手段と、からなる干渉除去部と、前記入力信号ベクトル、特定のユーザ信号成分、前記第1のパラメータ手段で算出した受信応答ベクトルに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力する演算手段と、複数のユーザ毎に設けられ前段の演算手段からの入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段で算出した受信応答ベクトルと前記エラー判定手段からのエラー判定信号が与えられる第1のゲート部と、初期の入力信号ベクトルと前記第1のゲート部からの特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出する第2のパラメータ推定手段と、前記干渉除去部からの信号と前記第2のパラメータ推定手段からの各信号と前記エラー判定手段のエラー判定信号が与えられる第2のゲートと、を備え、前記第1のゲート部は前段のエラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部、第2のパラメータ手段または前記第2のゲート部に前記各信号を選択して出力し、前記第2のゲート部は前記エラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部、第2のパラメータ手段または第1のゲート部からの各信号を選択して出力し、前記エラー判定手段の判定結果に基づき、前記第1、第2のパラメータ推定手段は、復調エラーを含まないと判定された全てのユーザのユーザ信号成分を取り込み、特定のユーザとその他のユーザのユーザ信号成分との間の相関値を演算し、且つ、復調エラーを含まないと判定されたユーザとのユーザ信号成分の相関は0とみなし、これらの相関値を含めて受信応答ベクトルを推定するとともに、前段のエラー判定手段でエラーを含まないと判定されたユーザに関しては、第1のゲート部に与えられた各信号が前記第2のパラメータ推定手段に与えられ、この第2のパラメータ手段からの各信号が第2のゲート部を介して次段の干渉キャンセラに与えられ、前段のエラー判定手段でエラーを含むと判定されたユーザに関しては、前段の演算手段で干渉除去がなされた入力信号ベクトルに基づいて、前記干渉除去部が受信応答ベクトルとエラー判定信号とユーザ信号成分とを算出し、前記第2のゲート部から次段の干渉キャンセラに与えることを特徴とする。
【0048】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用されるPDMA用基地局の無線装置(無線基地局)1000の構成を示す概略ブロック図である。
【0049】
図1に示した構成においては、ユーザPS1とPS2とを識別するために、4本のアンテナ♯1〜♯4が設けられている。ただし、アンテナの本数としては、より一般的にN本(N:自然数)であってもよい。
【0050】
図1に示した送受信システム1000では、アンテナ♯1〜♯4からの信号を受けて、対応するユーザ、たとえば、ユーザPS1からの信号を分離するための受信部SR1およびユーザPS1への信号を送信するための送信部ST1が設けられている。アンテナ♯1〜♯4と受信部SR1および送信部ST1との接続は、スイッチ10−1〜10−4により、選択的に切換えられる。
【0051】
すなわち、それぞれのアンテナで受信された受信信号RX1(t),RX2(t),RX3(t),RX4(t)は、対応するスイッチ10−1,10−2,10−3,10−4を介して受信部SR1に入り、受信ウェイトベクトル計算機20、受信応答ベクトル計算機22に与えられるとともに、対応する乗算器12−1,12−2,12−3,12−4の一方入力にそれぞれ与えられる。
【0052】
これらの乗算器の他方入力には、受信ウェイトベクトル計算機20からそれぞれのアンテナでの受信信号に対する重み係数wrx11,wrx21,wrx31,wrx41が印加される。これらの重み係数は、従来例と同様に、受信ウェイトベクトル計算機20により、リアルタイムで算出される。
【0053】
送信部ST1は、受信応答ベクトル計算機22において算出した受信応答ベクトルを受けて、後に説明するように、送信時での伝搬路を推定、すなわち、送信時点での仮想的な受信応答ベクトルを推定することで送信応答ベクトルを求める送信応答ベクトル推定機32と、送信応答ベクトル推定機32との間でデータを授受し、データを記憶保持するメモリ34と、送信応答ベクトル推定機32の推定結果に基づいて、送信ウェイトベクトルを算出する送信ウェイトベクトル計算機30と、それぞれ一方入力に送信信号を受け、他方入力に送信ウェイトベクトル計算機30からの重み係数wtx11,wtx21,wtx31,wtx41が印加される乗算器15−1,15−2,15−3,15−4とを含む。乗算器15−1,15−2,15−3,15−4からの出力は、スイッチ10−1〜10−4を介して、アンテナ#1〜#4に与えられる。
【0054】
なお、図1には図示していないが、受信部SR1および送信部ST1と同様の構成が、各ユーザに対しても設けられている。
【0055】
[アダプティブアレイの動作原理]
受信部SR1の動作を簡単に説明すると以下のとおりである。
【0056】
アンテナで受信された受信信号RX1(t),RX2(t),RX3(t),RX4(t)は、以下の式で表される。
【0057】
【数1】
Figure 0003913455
【0058】
ここで、信号RXj (t)は、j番目(j=1,2,3,4)のアンテナの受信信号を示し、信号Srxi (t)は、i番目(i=1,2)のユーザが送信した信号を示す。
【0059】
さらに、係数hjiは、j 番目のアンテナに受信された、i 番目のユーザからの信号の複素係数を示し、nj (t)は、j番目の受信信号に含まれるノイズ(雑音)を示している。
【0060】
上の式(1)〜(4)をベクトル形式で表記すると、以下のようになる。
【0061】
【数2】
Figure 0003913455
【0062】
なお式(6)〜(8)において、[…]T は、[…]の転置を示す。
ここで、X(t)は入力信号ベクトル、Hi はi番目のユーザの受信応答ベクトル、N(t)は雑音ベクトルをそれぞれ示している。
【0063】
アダプティブアレイアンテナは、図1に示したように、それぞれのアンテナからの入力信号に重み係数wrx1i〜wrx4iを掛けて合成した信号を受信信号SRX(t)として出力する。
【0064】
さて、以上のような準備の下に、たとえば、1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)を抽出する場合のアダプティブアレイの動作は以下のようになる。
【0065】
アダプティブアレイの出力信号y1(t)は、入力信号ベクトルX(t)とウェイトベクトルW1 のベクトルの掛算により、以下のような式で表わすことができる。
【0066】
【数3】
Figure 0003913455
【0067】
すなわち、ウェイトベクトルW1 は、j番目の入力信号RXj (t)に掛け合わされる重み係数wrxj 1(j=1,2,3,4)を要素とするベクトルである。
【0068】
ここで式(9)のように表わされたy1(t)に対して、式(5)により表現された入力信号ベクトルX(t)を代入すると、以下のようになる。
【0069】
【数4】
Figure 0003913455
【0070】
ここで、アダプティブアレイが理想的に動作した場合、周知な方法により、ウェイトベクトルW1 は次の連立方程式を満たすようにウェイトベクトル制御部11により逐次制御される。
【0071】
【数5】
Figure 0003913455
【0072】
式(12)および式(13)を満たすようにウェイトベクトルW1 が完全に制御されると、アダプティブアレイ100からの出力信号y1(t)は、結局以下の式のように表わされる。
【0073】
【数6】
Figure 0003913455
【0074】
すなわち、出力信号y1(t)には、2人のユーザのうちの第1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)が得られることになる。
【0075】
[無線装置1000の動作の概要]
図2は、無線装置1000の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0076】
無線装置1000においては、アダプティブアレイのウェイトベクトル(重み係数ベクトル)が各アンテナ素子における受信応答ベクトルにより一意に表わせることに着目し、受信応答ベクトルの時間変動を推定することによって間接的にウェイトを推定する。
【0077】
まず、受信部SR1において、受信信号に基づいて、受信信号の伝搬路の推定を行う(ステップS100)。伝搬路の推定は、式(1)〜(4)において、ユーザから送られる信号のインパルス応答を求めることに相当する。
【0078】
言い換えると、式(1)〜(4)において、たとえば、受信応答ベクトルH1が推定できれば、ユーザPS1からの信号受信時の伝送路の推定が行なえることになる。
【0079】
つづいて、送信応答ベクトル推定機32が、送信時の伝搬路の予測、すなわち、受信時の受信係数ベクトルから送信時点での受信係数ベクトルの予測を行う(ステップS102)。この予測された受信係数ベクトルが送信時の送信係数ベクトルに相当する。
【0080】
さらに、送信ウェイトベクトル計算機30が、予測された送信応答ベクトルに基づいて、送信ウェイトベクトルの計算を行い、乗算器15−1〜15−4に出力する(ステップS104)。
【0081】
[受信応答ベクトル計算機22の動作]
つぎに、図1に示した無線装置1000の受信応答ベクトル計算機22の動作について説明する。
【0082】
まず、アンテナ素子数を4本、同時に通信するユーザ数を2人とした場合、各アンテナを経て受信回路から出力される信号は、上述した式(1)〜(4)で表わされる。
【0083】
このとき、この式(1)〜(4)で表わされるアンテナの受信信号をベクトルで表記した式を再び記すことにすると、以下の式(5)〜(8)のようになる。
【0084】
【数7】
Figure 0003913455
【0085】
ここで、アダプティブアレイが良好に動作していると、各ユーザからの信号を分離・抽出しているため、上記信号Srxi (t)(i=1,2)はすべて既知の値となる。
【0086】
このとき、信号Srxi (t)が既知の信号であることを利用して、受信応答ベクトルH1 =[h11,h21,h31,h41]およびH2 =[h12,h22,h32,h42]を以下に説明するようにして導出することができる。
【0087】
すなわち、受信信号と既知となったユーザ信号、たとえば第1のユーザからの信号Srx1 (t)を受信信号X(t)に掛け合って、アンサンブル平均(時間平均)を計算すると以下のようになる。
【0088】
【数8】
Figure 0003913455
【0089】
式(16)において、E[…]は、時間平均を示し、S* (t)は、S(t)の共役複素を示す。この平均をとる時間が十分長い場合、この平均値は以下のようになる。
【0090】
【数9】
Figure 0003913455
【0091】
ここで、式(18)の値が0となるのは、信号Srx1 (t)と信号Srx2 (t)に互いに相関がないためである。また、式(19)の値が0となるのは、信号Srx1 (t)と雑音信号N(t)との間に相関がないためである。
【0092】
したがって、式(16)のアンサンブル平均は結果として以下に示すように、受信応答ベクトルH1 に等しくなる。
【0093】
【数10】
Figure 0003913455
【0094】
以上のような手続により、第1番目のユーザPS1から送信された信号の受信応答ベクトルH1 を推定することができる。
【0095】
同様にして、入力信号ベクトルX(t)と信号Srx2 (t)のアンサンブル平均操作を行なうことで、2番目のユーザPS2から送信された信号の受信応答ベクトルH2 を推定することが可能である。
【0096】
上述のようなアンサンブル平均は、たとえば、受信時の1つのタイムスロット内の先頭の所定数のデータシンボル列と最後尾の所定数のデータシンボル列について行われる。
【0097】
しかし、この応答ベクトルの推定を1スロット区間内で1つ求めて算出すると、フェージングなどによりスロット内の応答ベクトルが変動してしまった場合、正確な復元信号を生成することができなくなってくる。そこで、この発明では、後述するように、1スロット区間内の応答ベクトルを複数点推定し、この複数の応答ベクトルから各サンプルの応答ベクトルを算出するように構成したものである。
【0098】
なお、本発明は無線受信システムにおいて、受信時の処理を中心としたものであるので、ここでは、送信応答ベクトルの推定等については説明を割愛する。
【0099】
次に、図4は、本発明の応答ベクトル推定の前提となる応答ベクトルの推定原理を説明するための概念図である。「理想状態」とは、フェージングなどがなく応答ベクトルが変動しない場合である。
【0100】
図1の受信応答ベクトル計算機22によって、図2のステップS100において、計算された上り回線の同一スロット内の前縁部で受信応答ベクトルを推定して求める。そして、この受信応答ベクトルに基づいて、外挿を行うことによって受信応答ベクトルを推定してゆく。
【0101】
ここで、図3の「理想状態」とは受信応答ベクトルに推定誤差がないことを前提としている。即ち、スロット1内で1つの応答ベクトルを推定し、1スロット内の各シンボルの応答ベクトルとして算出している。推定誤差がないと正しいレプリカ信号が作成できる。
【0102】
しかしながら、図3のBに示すように、フェージングなどにより応答ベクトルに変動が生じてしまった場合、実際の応答ベクトルと理想状態を基準として推定した応答ベクトルとの間に誤差が生じる。このように、ノイズやサンプリング誤差による推定誤差のために、受信応答ベクトルがずれた場合、これらの受信応答ベクトルに基づいて、同様に直線外挿を行えば、正確な応答ベクトルが得られないことになる。
【0103】
上述したように、応答ベクトルは、エラーフリーユーザの再変調信号と受信信号(アンテナ入力信号)の相関のアンサンブル平均により推定される。そして、応答ベクトルに誤差が含まれると、干渉除去時に誤った情報を除去することになり、結果として必要な情報を除去してしまったり、ノイズを挿入することになるため、応答ベクトルは精度が要求される。
【0104】
そこで、本発明では、受信応答ベクトルの推定を複数の応答ベクトルから算出するものである。図4は、本発明の応答ベクトル推定の推定原理を説明するための概念図である。
【0105】
この図4に示す実施形態においては、前縁部(全ての参照(UW)信号が重なる区間)と中央部(ランプガードを除いた全てのユーザ信号が重なる区間)の2箇所の応答ベクトルを推定し、その情報を用いて内外挿し、1スロット内の各サンプルにおける応答ベクトルを算出している。このように、複数の点から応答ベクトルを推定することでフェージングなどにより、応答ベクトルが変動した場合にも対応することができる。
【0106】
以下に、上記前縁部、中央部で推定する応答ベクトルの推定方法につき、4多重された受信信号Xからユーザ1の応答ベクトルh1を推定する場合を例にとり説明する。
【0107】
受信信号Xは式(31)の通り表されるものとする。
【0108】
X=(h1*D1)+(h2*D2)+(h3*D3)+(h4*D4)+n…(31)
ここで、Diおよびhi(i=1,2,3,4)はユーザiにおける再変調信号及び応答ベクトル,nはノイズである。
【0109】
ここで、式(32)のように、式(31)の両辺にユーザ1の再変調信号D1をかけ、信号相関のアンサンブルの平均をとる。
【0110】
Figure 0003913455
【0111】
ここで、D*はベクトルDの各要素の複素共役をとり、更に転置したものとする。
また、E[D1*D1*]=1,E[n*D1*]=0である。
i=1を除くE[Si*S1*]の項において、Siユーザがエラーフリー(既知信号)ではない場合は、E[Si*S1*]=0と近似する。ただし、エラーユーザ信号も利用する場合には、E[Si*S1*]は実際に計算する。
【0112】
上記(32)式において、相関をとる項が自己相関のみの場合には、式(32)はE[X*D1*]=h1となり、容易に求まるが、相互相関をとる場合には、そのユーザに関する式(32)を同様にたて、連立方程式(行列演算)により、それぞれの応答ベクトルを算出する。
【0113】
なお、ユーザ同士の信号相関をとる際には、信号相関を求めるユーザiのシンボルタイミングを基準とし、全ユーザの情報の時刻をサンプル単位で一致させる必要がある。上記式(32)の場合は、ユーザ1のシンボル同期位置(サンプル位置)から1シンボル毎にデータを取り出し計算する。
【0114】
なお、ランプガード部の応答ベクトルは、電力の立ち上がり/立ち下がり区間となるため上記の方法では推定できない。
【0115】
上記のような手法を用いて、前縁部と中央部の2つの応答ベクトルを推定する。この前縁部と中央部の信号相関のアンサンブル平均により推定された応答ベクトルの値はそれぞれのアンサンブル平均区間の中央の値とみなす。
【0116】
上記により得られた前縁部、中央部の2点の応答ベクトル値を用いて、当該スロットの各サンプルの応答ベクトルを受信応答ベクトル算出器22が算出する。この算出に際して、2点間の中にあるサンプル点のものは内挿し、外にあるものは外挿する。上記した推定方法を用いた受信信号処理は図5に示すフロー図に従い行われることになる。
【0117】
図5に従い、この動作につき説明する。まず、アレイ処理の必要なユーザ数を判定する(ステップS101)。次に、受信した信号の同期位置を検出する(ステップS102)。受信信号から所望信号を抽出し(ステップS103)、所望信号の位相情報をビット情報に変換する復調処理が行われる(ステップS104)。
【0118】
そして、復調した信号が正しいか否か判定する、即ちエラーか否かを記録する(ステップS105)。その後、アレイ処理が必要なユーザ数の処理を実施したか否か判断され、実施されていない場合には、ステップS101に戻り、前述の動作を繰り返す。アレイ処理が必要なユーザ数の処理を実施すると、復調エラー判定結果に基づき、次のステージに遷移できるか否かを判断する(ステップS107)。
【0119】
次ステージに行くか否か判定し(ステップS108)、次ステージに行かない場合には動作が終了し、次ステージに行く場合には、復調したビット情報を再度位相情報に変換する(ステップS109)。
【0120】
続いて、除去するユーザ(再変調処理したユーザ)の位相振幅情報を推定し、応答ベクトルを推定する(ステップS110)。この応答ベクトルの推定は、前縁部(全ての参照(UW)信号が重なる区間)と中央部(ランプガードを除いた全てのユーザ信号が重なる区間)の2箇所の応答ベクトルを推定し、その情報を用いて内外挿し、1スロット内の各サンプルにおける応答ベクトルを算出する。
【0121】
続いて、再変調信号と応答ベクトルから除去するユーザ信号のレプリカ信号を生成する(ステップS111)。そして、受信信号からレプリカ信号を除去し(ステップS112)、ステップS101に戻り、前述の動作が繰り返される。
【0122】
上記したように、1スロットの中の複数点の応答ベクトルを推定し、その応答ベクトル値を用いて、当該スロットの各サンプルの応答ベクトルを用いることで、周波数オフセットが存在する場合にレプリカ信号の生成精度を向上させることができる。
【0123】
ここで、周波数オフセットとは、送信機側の周波数と受信機側の周波数の精度が異なるため、微妙にずれた周波数の差分である。推定した周波数オフセットThetaの単位が、1シンボルの場合は、シンボルが進む毎に、周波数オフセットの差が広がることになる。このように、周波数オフセットが存在し、その推定値に誤差が含まれる場合、上記した方法により応答ベクトルを算出することで、周波数オフセットの影響を減少させることができる。前縁部、中央部の2点の応答ベクトル値を用いた場合、周波数オフセットの影響がより打ち消し合い、レプリカ信号の生成精度の向上が期待できる。
【0124】
応答ベクトル時の推定時の影響につき説明する。応答ベクトル推定時において、周波数オフセットが存在する場合、再変調信号に対して、周波数オフセット(ここでは、周波数オフセットはすでに推定されているものとする)の逆補償を施し、基準信号を生成する必要がある。即ち、受信信号Xに周波数オフセットが含まれているために逆補償が必要である。
【0125】
このとき、周波数オフセットに誤差があると、基準信号に誤差が乗ってしまうことになる。例えば、誤差がΔthetaだとすると、シンボルiの位置での逆補償では、i×Δthetaの誤差がのることになる。
【0126】
上記した本発明の応答ベクトルの推定を用いると、誤差を埋めようとする動作になる。以下、その動作につき説明する。
【0127】
「ランプガードを除いた全てのユーザ信号が重なる区間」では、シンボル全てに対して、周波数オフセット逆補償を施し、アンサンブル平均がとられるため、基準信号に対する周波数オフセット誤差は、区間の中心のシンボル位置での誤差(m×Δtheta)が含まれることになる。
【0128】
ここで、ユーザ1の真の周波数オフセットがtheta、ユーザ2から4に関しては、説明を簡単にするために、周波数オフセットがないような受信信号Xがあったとすると、式(31)は式(33)のようになる。
【0129】
Figure 0003913455
【0130】
しかし、推定されたユーザ1の周波数オフセットにマイナスの誤差Δthetaが含まれているとすると、式(32)は(34)のようになる。
【0131】
Figure 0003913455
ここで、S1はユーザ1における再変調信号に周波数オフセット(theta−Δtheta)を乗算した基準信号である。
【0132】
ここで、説明を簡単にするために、ユーザ1とユーザ2から4の相互相関を0とすると、式(34)は次のようになる。
【0133】
E[X*(theta−Δtheta)*D1*]=h1
【0134】
上記のように、推定する応答ベクトルにΔtheta分の誤差がのり、真の応答ベクトルh1に対しΔthetaが付加されることになる。即ち、周波数オフセットにマイナスの誤差があるために、基準信号S1がマイナス方向に誤差を生じることになり、それと真の応答ベクトルの間に差が生じるため、その差を埋めようとして応答ベクトルがプラス方向に位相が進むことになる。従って、前縁部、中央部の2点の応答ベクトル値を用いた場合、周波数オフセットの影響がより打ち消し合い、レプリカ信号の生成精度の向上が期待できる。
【0135】
図6は、この発明が適用されるマルチステージの干渉キャンセラとして提案されたPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。この発明の受信システムは、同じ時刻に送信されたm(mは2以上の整数)人のユーザ1,…,k,…,mからの信号S1(t),…,Sk(t),…,Sm(t)を互いに分離して並列に取出すものである。
【0136】
図6において、従来例と同様に、PDMA用基地局の受信システムには、4本のアンテナ3〜6と、周波数変換回路7と、A/D変換器8とが設けられている。A/D変換器8から出力された入力信号ベクトルX1(t)は、第1段目の演算装置101と、第1段目のアダプティブアレイAA11,…,AAk1,…,AAm1と、第1段目のパラメータ推定器PE11,…,PEk1,…,PEm1とに与えられる。アダプティブアレイの詳細については後で説明する。
【0137】
アダプティブアレイAA11,…,AAk1,…,AAm1からは、対応するユーザの信号成分を最も強く含む(その他にも他のユーザからの干渉信号成分をも含む)複素信号であるユーザ信号Y11(t),…,Yk1(t),…,Ym1(t)がそれぞれ出力され、第1段目の演算装置101に与えられるとともに、それぞれ対応する検波器DE11,…,DEk1,…,DEm1で検波される。
【0138】
パラメータ推定器PE11,…,PEk1,…,PEm1は、それぞれ、入力信号ベクトルX1(t)と、検波器DE11,…,DEk1,…,DEm1の対応する検波出力とに基づいて、対応するユーザの受信応答ベクトルH11,…,Hk1,…,Hm1を推定し、第1段目の演算装置101に与える。より具体的に、各パラメータ推定器は、対応するユーザの信号成分が入力信号ベクトルにどの程度含まれているか、対応するユーザの信号成分が入力信号ベクトルに対してどの程度位相回転しているか、などを推定する。
【0139】
そして、上記したパラメータ推定器は受信応答ベクトルを例えば、前縁部と中央部の信号相関のアンサンブル平均により推定された2点の応答ベクトルの値を用いて、当該スロットの各サンプルの応答ベクトルとして算出する。
【0140】
第1段目の演算装置101は、各ユーザi(i=1,2,…,m)ごとに、入力信号ベクトルX1(t)から、当該ユーザiを除く他のすべてのユーザの信号成分を差し引くことにより、干渉信号成分を除去し、当該ユーザiのさらなる入力信号ベクトルXi2(t)を算出し出力する。演算装置101の動作については、図7を参照して後で詳細に説明する。
【0141】
第1段目の演算装置101は、ユーザごとに対応して入力信号ベクトルX12(t),…,Xk2(t),…,Xm2(t)を出力し、対応する第2段目のアダプティブアレイAA12,…,AAk2,…,AAm2に与える。
【0142】
第2段目のアダプティブアレイAA12,…,AAk2,…,AAm2から出力されるユーザ信号Y12(t),…,Yk2(t),…,Ym2(t)は、第2段目の演算回路102に与えられるとともに、それぞれ対応する検波器DE12,…,DEk2,…,DEm2で検波される。
【0143】
パラメータ推定器PE12,…,PEk2,…,PEm2は、それぞれ、入力信号ベクトルX1(t)と、検波器DE12,…,DEk2,…,DEm2の対応する検波出力とに基づいて、対応するユーザの受信応答ベクトルH12,…,Hk2,…,Hm2を推定し、第2段目の演算装置102に与える。演算装置102は、さらなる入力信号ベクトルX13(t),…,Xk3(t),…,Xm3(t)を出力し、対応する(図示省略した)第3段目のアダプティブアレイAA13,…,AAk3,…,AAm3に与える。
【0144】
このように、アダプティブアレイとパラメータ推定器と演算装置とからなる干渉キャンセラを直列に複数段(第1段から第L段まで)設けたことにより、それぞれの段から出力されるユーザ信号に含まれる他のユーザ信号成分の割合を段階的に減少させて、干渉の除去がさらに図られることになる。その結果、通信特性のさらなる向上が図られる。
【0145】
図7は、図6に示した複数段の演算装置の一例としての演算装置101の具体的なブロック図である。図7において、演算装置101は、乗算器MP1,…,MPk-1,MPk+1,…,MPmと加算器ADkとから構成されている。なお、説明の簡略化のために図示していないが、図示した乗算器および加算器以外にも、乗算器MPkおよび加算器AD1,…,ADk-1,ADk+1,…,ADmが演算装置101に内蔵されているものとする。
【0146】
乗算器MP1,…,MPk-1,MPk+1,…,MPmにはそれぞれ、アダプティブアレイAA11,…,AAk-1,AAk+1,…,AAmからのユーザ信号Y11(t),…,Y(k-1)1(t),Y(k+1)1(t),…,Ym1(t)と、パラメータ推定器PE11,…,PE(k-1)1,PE(k+1)1,…,PEm1からの受信応答ベクトルH11,…,H(k-1)1,H(k+1)1,…,Hm1とが与えられる。この受信応答ベクトルは、上述したように、前縁部と中央部の信号相関のアンサンブル平均により推定された2点の応答ベクトルの値を用いて、当該スロットの各サンプルの応答ベクトルとして算出したものである。
【0147】
乗算器MP1,…,MPk-1,MPk+1,…,MPmの出力は加算器ADkの負の入力に与えられ、入力信号ベクトルX1(t)は加算器ADkの正の入力に与えられる。これにより、入力信号ベクトルX1(t)からユーザk以外のユーザに対応する信号成分が減算され、ユーザkに対応する信号成分Xk2(t)が加算器ADkから出力されることになる。前述のように、これらのアダプティブアレイ、パラメータ推定器および演算装置は全体として、1段の干渉キャンセラを構成しているものとする。
【0148】
この結果、かなりの干渉信号成分が除去されることになる。そして、このようにして演算装置101により干渉信号成分がかなり除去された新たな入力ベクトル信号Xk2(t)を第2段目以降の干渉キャンセラに与えることにより、最終的に出力されるユーザ信号Sk(t)に含まれる他のユーザからの干渉信号成分の割合を十分に低下させることができ、良好な通信特性を実現することができる。
【0149】
なお、加算器ADk以外の図示しない加算器の各々にも、並行して同様に、乗算器MP1,…,MPk,…,MPmのうちの当該加算器に対応する乗算器以外のものからの出力と、入力信号ベクトルX1(t)とが与えられる。そしてこれらの加算器はそれぞれ、図6に示す新たな入力信号ベクトルを出力して第2段目以降の干渉キャンセラに与えている。
【0150】
次に、図6および図7に示した装置のさらに具体的な動作について説明する。アンテナ素子数をn本、同時に通話するユーザ数をm人とすると、A/D変換器8から出力される入力信号ベクトルX1(t)は次式で表わされる。
【0151】
Figure 0003913455
上記の第(41)式および第(42)式をベクトル表記に直すと次の第(43)式が得られる。
【0152】
Figure 0003913455
【0153】
次に,図7の演算装置101から新たな入力信号ベクトルXk2(t)が出力される動作についてさらに詳細に説明する。
【0154】
パラメータ推定器PE11,…,PEk1,…,PEm1でHi(i=1,2,…,m)が推定できるものとする。また1段目のアダプティブアレイAA11,…,AAk1,…,AAm1が比較的良好に動作したとすると、Yi1(t)≒Si(t)とみなすことができる。
【0155】
この段階で、すべてのユーザ信号とすべてのユーザ信号の受信応答ベクトルとが求まったことになる。ここで、2段目のユーザkの信号検出に用いる入力信号ベクトルXk2(t)を第(46)式により求めることができる。
【0156】
Figure 0003913455
この第(46)式に第(43)式を代入すると、第(47)式が得られる。
【0157】
k2(t)=Hkk(t)+N(t) … (47)
1(t)とXk2(t)を比較すると、Xk2(t)の方がSk(t)以外の干渉成分Si(t)(i=1,2,…m、ただしi≠k)が減少していて、2段目のアダプティブアレイがより動作しやすくなる。
【0158】
図6に示すように、干渉キャンセラを複数段接続して構成したマルチステージの干渉キャンセラでは、受信信号をアダプティブアレイによってユーザごとに分離し、当該ユーザ以外のユーザの信号を干渉波として受信信号から除去して得た結果を、当該ユーザの入力信号として次段の干渉キャンセラに与えている。この結果、次段の干渉キャンセラでは、入力されるユーザ信号の干渉波が少ない分、通信特性の良いユーザ信号が得られる。そして、このような干渉波の除去を複数段繰返すことによって干渉波の除去はさらに進み、CIR(Car rier to Interference Ratio)はより改善され、所望のユーザ信号をより抽出しやすくなる。
【0159】
しかしながら、上述のようなマルチステージ干渉キャンセラを用いれば確かに干渉波の除去は進むものの、次のような問題点が生じる。
【0160】
(1) 上述のマルチステージ干渉キャンセラの例では、各アダプティブアレイで抽出されたユーザ信号を、その復調エラーの有無を判定することなく、受信信号から干渉波成分として除去するように構成されている。したがって、もしもアダプティブアレイで抽出されたユーザ信号に復調エラーがあり、何らかの変形した波形、たとえばインパルス状の波形を有する信号となっていれば、このようなエラーを含む信号成分が受信信号から減算された結果得られる各演算装置の出力(次段の干渉キャンセラへの入力信号)には、復調エラーの影響によるインパルス状のノイズが含まれることになるなどの影響が生じることになる。
【0161】
(2) 図7に関連して説明したように、加算器ADkにより受信信号X1(t)から除去される各信号は、各パラメータ推定器で算出される受信応答ベクトルと、各アダプティブアレイで抽出されたユーザ信号との積(以下、レプリカ信号と称する)である。
【0162】
ここで、各パラメータ推定器によって算出された受信応答ベクトルは、当該ユーザのユーザ信号と、その他のユーザのユーザ信号との間の相関値については全く考慮せず、そのような相関値を0とおいて算出されている。
【0163】
現実には、複数のユーザ信号間には相関があり、したがって上記算出方法は現実の伝播環境にはそぐわないものである。したがって、このように他のユーザのユーザ信号との相関値を0とおく算出方法で求めた受信応答ベクトルを用いて干渉波の除去を行なうと、各演算装置の出力にエラーが含まれてしまう可能性がある。
【0164】
以下の実施形態は上述の問題点(1)および(2)を解決しようとするものである。
【0165】
この発明の参考例1
図8は、この発明の参考例1によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。
【0166】
図8において、演算装置101′と、複数のユーザごとに設けられた第1のゲート部GA,干渉除去部ICおよび第2のゲート部GBとが、第1段目の干渉キャンセラの基本構成をなしている。
【0167】
なお、図示の簡略化のために省略しているが、演算装置102′の後段にも複数のユーザごとに第1段目の干渉キャンセラと全く同じ態様で第1のゲート部GA,干渉除去部ICおよび第2のゲート部GBが設けられており、演算装置102′とこれらの図示しない構成要素GA,IC,GBとで第2段目の干渉キャンセラが構成されているものとする。
【0168】
さらに図示省略するが、この2段目の干渉キャンセラの後段にも、第1段目の干渉キャンセラと全く同じ態様で構成された(演算装置と、第1および第2のゲート部と、干渉除去部とからなる)干渉キャンセラが複数段続いているものとする。
【0169】
したがって、図8の受信システムは、全体としてマルチステージの干渉キャンセラで構成されたことになり、最終段の干渉キャンセラの複数のユーザごとに設けられた第2のゲート部GB(図示せず)の出力が、当該受信システムの最終出力となる。
【0170】
まず、図6の受信システムと同様に、A/D変換器8からは入力信号ベクトルX1(t)が出力され、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′に与えられるとともに、第1段目の干渉キャンセラの前段に複数のユーザごとに対応して設けられた複数の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1にも共通に与えられる。
【0171】
図8の受信システムにおいて、干渉除去部ICはすべて同じ構成を有しており、その一例として干渉除去部ICk1の構成を図9に示す。
【0172】
図9において、干渉除去部ICk1に入力された入力信号ベクトルX1(t)からアダプティブアレイAAk1で抽出されたユーザkの複素信号は、復調器DMk1によってビット情報信号に変換される。このビット情報信号は、エラー判定器EDk1に与えられるとともに再変調器RMk1にも与えられる。
【0173】
エラー判定器EDk1は、復調器DMk1からのビット情報信号に基づいて、アダプティブアレイAAk1からの抽出信号の復調エラーの有無を判定する。そして、復調エラー有りと判定すれば、Lレベルのエラー判定信号Ek1を発生して第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′に与える。
【0174】
再変調器RMk1は、復調器DMk1からのビット情報信号を再度、複素信号であるユーザ信号Yk1(t)に変換し、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′に与えるとともに、パラメータ推定器PEk1に与える。
【0175】
パラメータ推定器PEk1は、入力信号ベクトルX1(t)と、ユーザ信号Yk1(t)とに基づいて、対応するユーザの受信応答ベクトルHk1を算出し、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′に与える。この実施形態においても、受信応答ベクトルは、上述したように、前縁部(全ての参照(UW)信号が重なる区間)と中央部(ランプガードを除いた全てのユーザ信号が重なる区間)の2箇所の応答ベクトルを推定し、その情報を用いて内外挿し、1スロット内の各サンプルにおける応答ベクトルを算出している。以下の実施形態においても同様である。
【0176】
図9示すような、アダプティブアレイ、復調器、エラー判定器、再変調器およびパラメータ推定器からなる配列は、図8のすべての干渉除去部ICに共通であるので、さらなる説明は繰返さない。
【0177】
図10は、図8の受信システムを構成する複数段の干渉キャンセラの一例としての第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′の具体的構成を示すブロック図である。図10において、演算装置101′は、乗算器MP1,…,MPk-1,MPk,MPk+1,…,MPmと、ANDゲートAND1,…,ANDk-1,ANDk,ANDk+1,…,ANDmと、加算器ADとから構成されている。
【0178】
乗算器MP1,…,MPk-1,MPk,MPk+1,…,MPmにはそれぞれ、前段の干渉除去部IC1 1,…,IC(k-1)1,ICk1,IC(k+1)1,…,ICm1からのユーザ信号Y11(t),…,Y(k-1)1(t),Yk1(t),Y(k+1)1(t),…,Ym1(t)と、受信号応答ベクトルH11,…,H(k-1)1,Hk1,H(k+1)1,…,Hm1とが与えられる。
【0179】
乗算器MP1,…,MPk-1,MPk,MPk+1,…,MPmの出力はそれぞれ対応するANDゲートAND1,…,ANDk-1,ANDk,ANDk+1,…,ANDmの一方入力に与えられ、これらのANDゲートの他方入力には、前段の干渉除去部IC11,…,IC(k-1)1,ICk1,IC(k+1)1,…,ICm1からの対応のエラー判定信号E11,…,E(k-1)1,Ek1,E(k+1)1,…,Em1が入力される。
【0180】
ANDゲートAND1,…,ANDk-1,ANDk,ANDk+1,…,ANDmの出力は加算器ADの負の入力に与えられ、A/D変換器8からの入力信号ベクトルX1(t)は加算器ADの正の入力に与えられる。
【0181】
加算器ADの出力は入力信号ベクトルX2(t)として演算装置101′から出力され、図8に示すように、複数のユーザにそれぞれ対応する第1のゲート部GA12,…,GAk2,…,GAm2に共通に与えられる。
【0182】
また、図10の演算装置101′のブロック図では図示省略したが、前段のそれぞれの干渉部IC11,…,ICk1,…,ICm1から出力された受信応答ベクトルH11,…,Hk1,…,Hm1、エラー判定信号E11,…,Ek1,…,Em1、およびユーザ信号Y11(t),…,Yk1(t),…,Ym1(t)は、演算装置101′をそのまま通過し、ユーザごとに第1段目の干渉キャンセラの対応する第1のゲート部GA12,…,GAk2,…,GAm2にそのまま与えられる。
【0183】
ここで、図10参照して、上述のように前段の干渉除去部において復調エラー有りと判定されたユーザ信号、たとえばY11(t)に対応した干渉除去部IC11のエラー判定器ED11からLレベルのエラー判定信号E11が演算装置101′の対応するANDゲートAND1の他方入力に与えられる。この結果、当該ANDゲートは閉じられ、対応する乗算器MP1から出力される、受信応答ベクトルH11とユーザ信号Y11(t)との積、すなわちレプリカ信号の加算器ADへの入力は阻止される。
【0184】
この結果、入力信号ベクトルX1(t)から減算されるべきそれぞれのユーザの干渉波成分(レプリカ信号)から、復調エラーを含むユーザ信号に対応する干渉波成分(レプリカ信号)が除外される。このため、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′から出力される入力信号ベクトルX2(t)に、たとえばインパルス状のノイズが含まれることがなくなる。
【0185】
第1段目の干渉キャンセラにおいて、各ユーザごとに対応する第1のゲート部GA、たとえばユーザ1に対応するゲート部GA12の選択制御入力には、前段の干渉除去部IC11から演算装置101′を通過したエラー信号E11が与えられる。
【0186】
そして、前段の干渉除去部IC11でエラー有りの判定がなされていたときには、第1のゲート部GA12は、エラー判定信号E11に応じて、演算装置101′で新たに算出された、ノイズを含まない高精度の入力信号ベクトルX2(t)を選択して干渉除去部IC12に与える。
【0187】
この干渉除去部IC12は、先に図9のICk1に関連して説明したように、この入力信号ベクトルX2(t)に基づいて、受信応答ベクトルH12と、エラー判定信号E12と、ユーザ信号Y12(t)とを新たに算出し、第2のゲート部GB12に与える。
【0188】
一方、前段の干渉除去部IC11でエラー無しの判定がなされていたときには、第1のゲート部GA12は、エラー判定信号E11に応じて、演算装置101′を通過してきた、受信応答ベクトルH11,エラー判定信号E11,ユーザ信号Y11(t)を選択して第2のゲート部GB12へ与える。
【0189】
第2のゲート部GB12の選択制御入力には、第1のゲート部GA12と共通にエラー判定信号E11が与えられる。第2のゲート部GB12は、前段の干渉除去部IC11でエラー有りの判定がなされていたときは、エラー判定信号E11に応じて、干渉除去部IC12で新たに算出された受信応答ベクトルH12,エラー判定信号E12およびユーザ信号Y12(t)を選択して出力し、第2段目の干渉キャンセラを構成する演算装置102′に与える。
【0190】
一方、第2のゲート部GB12は、前段の干渉除去部IC11でエラー無しの判定がなされていたときには、エラー判定信号E11に応じて、第1のゲート部GA12から送られてきた、受信応答ベクトルH11,エラー判定信号E11およびユーザ信号Y11(t)をそのまま選択出力して、受信応答ベクトルH12,エラー判定信号E12およびユーザ信号Y12(t)として、第2段目の干渉キャンセラを構成する演算装置102′に与える。
【0191】
ユーザ1以外の他のユーザに対応するゲート部GA,GB、干渉除去部ICにおいても全く同じ動作がなされるので、その説明を省略する。
【0192】
以上の動作を要約すると、入力信号ベクトルX1(t)を受けた前段の干渉除去部ICのうち、エラー無しと判定されたユーザに関しては、当該干渉除去部ICで算出された受信応答ベクトルHと、エラー判定信号Eと、ユーザ信号Y(t)とがそのまま、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′と、第1のゲート部GAと、第2のゲート部GBとを通過し、第2段目の干渉キャンセラに与えられる。すなわち、一旦干渉除去部ICでエラー無しと判定されたユーザに関しては、もはや後段の干渉キャンセラの干渉除去部ICに与えられることはなく、受信応答ベクトルHやエラー判定信号Eやユーザ信号Y(t)が新たに
算出されることはない。
【0193】
一方、入力信号ベクトルX1(t)を受けた前段の干渉除去部ICのうち、エラー有りと判定されたユーザに関しては、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′でノイズを導入することなく高精度に干渉波除去がなされた入力信号ベクトルX2(t)に基づいて、第1段目の干渉キャンセラの干渉除去部ICが改めて受信応答ベクトルHとエラー判定信号Eとユーザ信号Y(t)とを算出し、第2段目の干渉キャンセラに与える。
【0194】
第2段目の干渉キャンセラの演算装置102′は、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′と全く同じ構成を有しており、図10に関連して説明した動作と全く同じ動作を実行する。すなわち、初期入力信号ベクトルX1(t)から、復調エラーを含まないユーザ信号に対応するレプリカ信号のみが減算され、次の入力信号ベクトルX3(t)が加算器AD(図10)から出力されることになる。
【0195】
すなわち、前段の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1でエラー無しと一旦判定されたユーザに関しては、後段のどの段の干渉キャンセラにおいてもそのレプリカ信号は初期入力信号ベクトルX1(t)からの減算の対象となる。
【0196】
一方、一旦前段の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1でエラー有りと判定され第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′で初期入力信号ベクトルX1(t)からの減算対象から除外されたユーザであっても、第1段目の干渉キャンセラの干渉除去部IC12,…,ICk2,…,ICm2のいずれかでエラー無しと判定された場合には、後段のどの段の干渉キャンセラにおいてもそのレプリカ信号は初期入力信号ベクトルX1(t)からの減算の対象となる。
【0197】
この結果、第2段目の干渉キャンセラの演算装置102′では、ノイズを導入することなくさらに高精度で干渉波除去がなされた入力信号ベクトルX3(t)が得られる。
【0198】
演算装置102′を含む第2段目の干渉キャンセラの動作は、演算装置101′、第1のゲート部GA12,…,GAk2,…,GAm2、干渉除去部IC12,…,ICk2,…,ICm2、第2のゲート部GB12,…,GBk2,…,GBm2からなる上述の第1段目の干渉キャンセラの動作と全く同じである。
【0199】
このような干渉キャンセラを複数段直列に接続し、各段の干渉キャンセラの演算装置において、初期入力信号ベクトルX1(t)から、エラー無しと判定されたユーザのレプリカ信号のみを減算することによって、各段の干渉キャンセラにおいて高精度な干渉波の除去を行なうことができる。
【0200】
そして、前段を含むいずれかの段における干渉除去部ICでエラー無しと一旦判定されたユーザに関しては、その干渉除去部ICで算出された受信信号ベクトルHとエラー判定信号Eとユーザ信号Y(t)とが最終段の干渉キャンセラの第2のゲート部GB(図示せず)から出力され、そのうちのユーザ信号Y(t)が最終的なエラーのないユーザ信号として抽出され、当該受信システムから出力されることになる。
【0201】
一方、すべての段における干渉除去部ICにおいてエラー有りと判定されたユーザに関しては、最終段の干渉キャンセラの干渉除去部ICで算出された受信信号応答ベクトルHとエラー判定信号Eとユーザ信号Y(t)とが第2のゲート部GBから出力され、そのうちユーザ信号Y(t)が最終的にエラーを伴うユーザ信号として抽出され、当該受信システムから出力されることになる。
【0202】
この参考例1の効果についてより具体的に説明する。上述の参考例1においては、マルチステージの干渉キャンセラの各段ごとに、演算装置において初期入力信号X1(t)から、それぞれの(エラーのない)ユーザに対応する干渉成分すなわちレプリカ信号を除去するように構成されている。このような実施の形態1の構成により、次のような効果が得られる。
【0203】
たとえば、4人のユーザのうち、ユーザ4の受信信号を求める場合において、前段の干渉除去部IC11およびIC21でユーザ1および2のみが復調エラー無しと判定された場合、ユーザ1および2のレプリカ信号のみが第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′において初期入力信号ベクトルX1(t)から減算されることになる。この結果、第1段目の干渉キャンセラのユーザ4に関する受信信号X2(t)は、
初期入力信号−(ユーザ1のレプリカ信号+ユーザ2のレプリカ信号)
となる。
【0204】
次に、第1段目の干渉キャンセラの干渉除去部IC32において、ユーザ1および2に加えて、ユーザ3についても復調エラー無しと判定された場合、第2段目の干渉キャンセラの演算装置102′において、ユーザ1、ユーザ2およびユーザ3のレプリカ信号が初期入力信号X1(t)から減算されることになる。この結果、第2段の干渉キャンセラのユーザ4に関する受信信号X3(t)は、
初期入力信号−(ユーザ1のレプリカ信号+ユーザ2のレプリカ信号+ユーザ3のレプリカ信号)
となる。
【0205】
この発明の参考例2
図11は、この発明の参考例2によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。この参考例2による受信システムは、各段の干渉キャンセラの演算装置において初期入力信号ベクトルX1(t)からレプリカ信号の減算を行なった図8の参考例1における受信システムと異なり、各段の干渉キャンセラの演算装置で新たに算出された入力信号ベクトルから、それぞれのユーザに対応する干渉成分すなわちレプリカ信号を減算するように構成したものである。
【0206】
図11に示した参考例2による受信システムは、以下の点で図8に示した参考例1による受信システムと異なっている。すなわち、図11における演算装置101′と、ゲート部GA12,…,GAk2,…,GAm2と、干渉除去部IC12,…,ICk2,…,ICm2とからなる第1段目の干渉キャンセラでは、演算装置101から出力された入力信号ベクトルX2(t)が、図8のX1(t)の代わりに、2段目の干渉キャンセラの演算装置102"に与えられている。また、図11では、図8の第2のゲート部GAが設けられておらず、干渉除去部ICの出力である受信応答ベクトルH,エラー信号Eおよびユーザ信号Y(t)と、ゲート部GAを介して前段の干渉除去部ICから通過してきた受信応答ベクトルH,エラー判定信号Eおよびユーザ信号Y(t)とが並列に、2段目の干渉キャンセラの演算装置102"に与えられている。
【0207】
また、この2段目の干渉キャンセラの演算装置102"(および以降の各段の干渉キャンセラの演算装置)は、前述の図10に示す構成ではなく、図12に示すような構成を有している。
【0208】
図12に示した演算装置102"では、前段の干渉キャンセラの干渉除去部IC、たとえば干渉除去部IC12からの受信応答ベクトルH12,エラー判定信号E12,およびユーザ信号Y12(t)と、さらに前段の干渉除去部IC11から第1段目の干渉キャンセラを通過してきた受信応答ベクトルH11、エラー判定信号E11、およびユーザ信号Y11(t)とがゲート部GC1に与えられる。
【0209】
ゲート部GC1の選択制御入力には、エラー判定信号E11が与えられ、エラー判定信号E11がエラー無しを示す場合には、干渉除去部IC11からの受信信号応答ベクトルH11,エラー判定信号E11,ユーザ信号Y11(t)を選択して受信信号応答ベクトルH12,エラー判定信号E12,ユーザ信号Y12(t)として出力し、エラー判定信号E11がエラー有りを示す場合には、干渉除去部IC12からの受信信号応答ベクトルH12,エラー判定信号E12,ユーザ信号Y12(t)を選択して出力する。
【0210】
一方、第1段目の干渉キャンセラの干渉除去部IC12からの受信応答ベクトルH12とユーザ信号Y12(t)とが乗算器MP1で乗算され、その出力はANDゲートAND1の一方入力に与えられる。またANDゲートAND1の他方入力には、干渉除去部IC12からのエラー判定信号E12が与えられる。
【0211】
ANDゲートAND1と加算器ADとの間には、ゲート部GD1が設けられており、ゲート部GD1の選択制御入力には、エラー判定信号E11が与えられる。エラー判定信号E11がエラー無しを示す場合、ゲート部GD1は閉じてANDゲートAND1の出力を加算器ADの負入力に与えない。一方、エラー判定信号E11がエラー有りを示す場合、ゲート部GD1は開いてANDゲートAND1の出力を加算器ADの負入力に与える。
【0212】
加算器ADの正入力には、実施の形態1のように初期入力信号ベクトルX1(t)ではなく、前段の干渉キャンセラの演算装置101′で算出された入力信号ベクトルX2(t)が入力される。
【0213】
以上は、ユーザ1に対応する構成の説明であるが、演算装置102"は、ユーザ1からユーザmまで同様の構成を含むものとする。
【0214】
以上の構成を有する参考例2の受信システムの動作を説明すると、入力信号ベクトルX1(t)を受けた前段の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1のうち、エラー無しと判定されたユーザに関しては、当該干渉除去部ICで算出された受信信号ベクトルHと、エラー判定信号Eと、ユーザ信号Y(t)とが、そのまま第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′と、ゲート部GAと、第2段目の干渉キャンセラの演算装置102"のゲート部GCとを通過し、第2段目の干渉キャンセラのゲート部GA(図示せず)に与えられる。
【0215】
すなわち、一旦前段の干渉除去部ICでエラー無しと判定されたユーザに関しては、後段の干渉除去部ICに与えられることはない。
【0216】
一方、入力信号ベクトルX1(t)を受けた前段の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1のうちエラー有りと判定されたユーザに関しては、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′でノイズを導入することなく高精度で干渉波除去がなされた入力信号ベクトルX2(t)に基づいて、第1段目の干渉キャンセラの干渉除去部ICが、改めて受信応答ベクトルHと、エラー判定信号Eと、ユーザ信号Y(t)とを算出し、第2段目の干渉キャンセラの演算装置102"(図12)に与える。
【0217】
第2段目の干渉キャンセラの演算装置102"では、前段の干渉キャンセラの演算装置101′から出力された入力信号ベクトルX2(t)から、復調エラーを含まないことが前段(第1段目)の干渉キャンセラの干渉除去部ICで判定されたユーザに対応するレプリカ信号のみが、入力信号ベクトルX2(t)から減算される。
【0218】
ここで、既に、前段の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1のいずれかで、たとえば干渉除去部IC11でエラー無しが判定されたユーザ1に関しては、そのレプリカ信号は既に演算装置101′で、初期入力信号ベクトルX1(t)から減算されてしまっており、演算装置102"の加算器ADに与えられる入力信号ベクトルX2(t)にはもはや含まれてはいない。そのようなエラー無しと判定されたユーザ1に関しては、第1段目の干渉キャンセラのゲート部GA12で、前段の干渉除去部IC11の出力である受信応答ベクトルH11、エラー判定
信号E11、ユーザ信号Y11(t)が選択されて、さらに演算装置102"のゲート部GC1を通過して後段に出力される。したがって、このユーザ1に対応する第1段の干渉キャンセラの干渉除去部IC12にはX2(t)は与えられず、受信信号応答ベクトルH12、エラー判定信号E12、ユーザ信号Y12(t)は出力されない。
【0219】
したがって、エラー無しと既に判断されたユーザ1に関しては、乗算器MP1、ANDゲートAND1による演算は行なわれず、加算器ADによる入力信号ベクトルX2(t)からの減算からは除外される。ただし、干渉除去部IC12への入力X2(t)が0であっても、干渉除去部IC12の動作によって何らかのノイズが発生し、乗算器MP1、ANDゲートAND1を介して加算器ADに入力されることを防止するため、エラー無しが判定されたユーザ1に関してはゲート部GD1が閉じ、ANDゲートAND1から加算器ADへの出力は完全に遮断される。
【0220】
この参考例2の効果についてより具体的に説明すると、この参考例2によれば、各段の干渉キャンセラは、自段の演算装置で算出した入力信号ベクトルから、レプリカ信号を次段の演算装置で除去するように構成されている。
【0221】
たとえば、4人のユーザのうち、ユーザ4の受信信号を求める場合において、前段の干渉除去部IC11およびIC21においてユーザ1および2のみがエラー無しと判定された場合、第1段目の干渉キャンセラのユーザ4に関する受信信号ベクトルX2(t)は、
初期入力信号−(ユーザ1のレプリカ信号+ユーザ2のレプリカ信号)
となる。
【0222】
次に、第2段目の干渉キャンセラでのユーザ4に関する受信信号は、この参考例2では、
2(t)−(ユーザ3のレプリカ信号)
となる。
【0223】
すなわち、前述の参考例1では、各段の干渉キャンセラの演算装置において、初期入力信号ベクトルX1(t)からのレプリカ信号の減算を行なっているため、一旦エラー無しとして減算したユーザのレプリカ信号も、後続の各段で繰返し入力信号ベクトルから減算し直す必要があるが、この参考例2では、エラー無しとして既に入力信号ベクトルから減算されたユーザについては、後段でもはや入力信号ベクトルから減算をやり直す必要はない。したがって、この参考例2によれば、計算処理量の大幅な軽減を図ることができる。
【0224】
この発明の参考例3
図13は、この発明の参考例3によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。この参考例3では、基本的に、縦方向にk段目の干渉除去部IC1kにおいてユーザkの信号検出に使用した受信信号ベクトルX1k(t)から、検出されたユーザkの信号Y1k(t)とパラメータ推定器から出力された受信応答ベクトルH1kとを乗算して得た値を減算することにより得られた信号ベクトルを、(k+1)段目の干渉除去部IC1(k+1)のアダプティブアレイの入力信号ベクトルX1(k+1)(t)とすることにより、次段の干渉除去部においてより正確にユーザ信号Y1(k+1)(t)を抽出するようにしたものである。
【0225】
すなわち、A/D変換器8から出力された入力信号ベクトルX11(t)は、第1段目の干渉除去部IC11に与えられる。図13において、干渉除去部ICはすべて同じ構成を有しており、その一例として、干渉除去部IC1kの構成を図14に示す。
【0226】
図14を参照して、前段の干渉除去部IC1(k-1)から与えられた入力信号ベクトルX1k(t)は、アダプティブアレイAA1kに入力されるとともに、加算器AD1kの正入力とパラメータ推定器PE1kとに与えられる。アダプティブアレイAA1kによって入力信号ベクトルX1k(t)から複素信号であるユーザ信号Y1k(t)が抽出され、復調器DM1kによってビット情報信号に変換される。このビット情報信号は、エラー判定器ED1kに与えられるとともに、再変調器RM1kにも与えられる。エラー判定器ED1kは、与えられたビット情報信号に基づいて、アダプティブアレイAA1kからの抽出信号の復調エラーの有無を判定する。そして、エラー有りと判定すれば、Lレベルのエラー判定信号E1kを発生し、外部へ出力する。再変調器RM1kは、与えられたビット情報信号を再度複素信号であるユーザ信号Y1k(t)に変換して出力する。このユーザ信号Y1k(t)はパラメータ推定器PE1kと乗算器MP1kとに与えられるとともに外部に出力される。
【0227】
パラメータ推定器PE1kは、検出されたユーザ信号Y1k(t)と入力信号ベクトルX1k(t)とに基づいて受信応答ベクトルH1kを推定する。そして乗算器MP1kは、受信応答ベクトルH1kとユーザ信号Y1k(t)とを乗算し、その結果を加算器AD1kの負入力に与える。なお、乗算器MP1kと加算器AD1kとの間にはANDゲートAND1kが設けられており、その一方入力にはエラー判定器ED1kからエラー判定信号E1kが与えられる。
【0228】
図13を参照すると、ユーザ1〜mに対応して縦方向に干渉除去部IC11,…,IC1mが直列に接続されており、これらのm個の干渉除去部が1段目の干渉キャンセラを構成しているものとする。各段の干渉除去部ICは図14のk段目の干渉除去部と同様に構成されるので、その説明は繰返さない。
【0229】
次に、図13および図14に示した参考例3の基本動作について説明する。図6および図7の本発明の受信システムに関連して説明した第(41)式〜第(45)式は、この参考例3においても適用される。
【0230】
まず、k段目の干渉除去部IC1kの出力ユーザ信号はY1k(t)である。パラメータ推定器PE1kは、ユーザkのユーザ信号Y1k(t)と入力信号ベクトルX1k(t)とから、ユーザkの受信応答ベクトルH1kを出力する。そして、乗算器MP1kによりユーザ信号Y1k(t)と受信応答ベクトルH1kとを乗算し、その結果を加算器AD1kにより入力信号ベクトルX1k(t)から減算する。その結果を、次段の干渉除去部IC1(k+1)への入力信号ベクトルX1(k+1)(t)とする。すなわち、次式が得られる。
【0231】
1(k+1)(t)=X1(t)−H1k1k(t) … (49)
この第(49)式に前述の第(43)式を代入すると、第(50)式が得られる。
【0232】
Figure 0003913455
【0233】
この第(50)式から理解されるように、入力ベクトル信号X1(k+1)(t)は、前段の干渉除去部の入力信号ベクトルX1k(t)からユーザ信号Y1k(t)の成分(すなわち、k+1段目の干渉除去部のアダプティブアレイAA1(k+1)にとっては干渉信号成分)が除去されたベクトル信号になっている。よって、k+1段目の干渉キャンセラのアダプティブアレイAA1(k+1)の入力信号ベクトルとしてはX1k(t)よりもX1(k+1)(t)を用いた方が当該アダプティブアレイがより良好に動作し、その結果、より正確なユーザ(k+1)の信号Y1(k+1)(t)を抽出することができる。
【0234】
図13および図14に示した参考例3による受信システムでは、1段目の干渉キャンセラの各段(たとえばk段目)のアダプティブアレイAA1kで抽出されたユーザ信号が復調エラーを含む場合には、エラー判定器ED1kがLレベルのエラー判定信号E1kを発生してANDゲートAND1kの一方入力に与える。これにより、乗算器MP1kから出力される受信応答ベクトルH1kとユーザ信号Y1k(t)との積、すなわちレプリカ信号の加算器AD1kへの入力が阻止される。
【0235】
この結果、各段の加算器AD11,…,AD1k,…,AD1mで行なわれる干渉波成分の減算処理のうち、エラーを含む抽出されたユーザ信号の減算は除外されることとなり、各段の減算結果にそのようなエラーが反映(たとえばインパルス状ノイズの発生)することはなくなる。したがって、各段から出力されるユーザ信号が復調エラーの影響を受けることを防止することができる。
【0236】
以上のように、干渉除去部IC11,…,IC1mの直列接続からなる1段目の干渉キャンセラにおいて、エラーが判定された干渉除去部においては干渉波の除去は中止されるため、干渉波成分の除去という面からは必ずしも十分ではないと考えられるが、一旦復調エラーを含むユーザ信号の減算を行なってしまえば、以後のすべての段におけるユーザ出力信号はその影響を受けて不正確な出力信号になってしまう。そのような欠点を考えると、若干干渉波成分の除去が不十分になったとしても出力ユーザ信号の有効性の確保という点で、この縦方向のk段の干渉除去部からなる干渉キャンセラはそれ自体十分効果があると考えられる。
【0237】
しかしながら、この図13の参考例3では、干渉波成分の除去をさらに促進するために、図13に示した縦方向のk段の干渉除去部IC11,…,IC1mの直列接続を1段目の干渉キャンセラとし、これを横方向に複数段接続してマルチステージの干渉キャンセラとして構成している。これにより、後続段における処理のためにより一層の干渉波成分の除去を図ることができる。
【0238】
すなわち、複数のユーザ1〜mに対応するそれぞれの段、たとえば縦方向に1段目の干渉除去部IC11から出力されたエラー判定信号E11は、横方向に隣接する次段の干渉キャンセラの1段目のゲート部GE21の入力に与えられるとともに、ゲート部GF21およびGG21の選択制御入力に与えられる。また、干渉除去部IC11から出力されたユーザ信号Y11(t)もゲート部GE21の入力に与えられる。
【0239】
また、1段目の干渉キャンセラの最終段の干渉除去部IC1mからの入力信号ベクトルX21(t)もゲート部GE21の入力に与えられる。
【0240】
エラー判定信号E11が、干渉除去部IC11において復調エラー無しであったことを示す場合は、ゲート部GE21は入力されたエラー判定信号E11に応じて、エラー判定信号E11そのものとユーザ信号Y11(t)をそのまま通過させ、ゲート部GF21の入力に与えるとともに、入力信号ベクトルX21(t)をゲート部GG21の入力に与える。
【0241】
一方、エラー判定信号E1 1が、干渉除去部IC11において復調エラー有りであったことを示す場合は、ゲート部GE21は入力されたエラー判定信号E11に応じて、入力信号ベクトルX21(t)を干渉除去部IC21の入力に与える。
【0242】
干渉除去部IC21は、図14に示す干渉除去部IC1kと同じ構成を有し、算出したエラー判定信号E21およびユーザ信号Y21(t)をゲート部GF21の入力に与え、入力信号ベクトルX22(t)をゲート部GG21の入力に与える。
【0243】
ゲート部GF21は、エラー判定信号E11がエラー無しを示す場合には、前段の干渉除去部IC11からゲート部GE21を通過したエラー判定信号E11およびユーザ信号Y11(t)を選択して、それぞれエラー判定信号E21およびユーザ信号Y21(t)として出力する。
【0244】
一方、ゲート部GF21は、エラー判定信号E11がエラー有りを示す場合には、干渉除去部IC21で新たに算出されたエラー判定信号E21およびユーザ信号Y21(t)を選択してそのまま出力する。
【0245】
ゲート部GG21は、エラー判定信号E11がエラー無しを示す場合には、干渉除去部IC1mからゲート部GE21を通過した入力信号ベクトルX21(t)を選択して、後段のゲート部GE22の入力に与える。
【0246】
一方、ゲート部GG21は、エラー判定信号E11がエラー有りを示す場合には、干渉除去部IC21で新たに算出された入力信号ベクトルX22(t)を選択して、後段のゲート部GE22の入力に与える。
【0247】
すなわち、前段の干渉キャンセラの干渉除去部IC11で一旦エラー無しを判定されると、干渉除去部IC11で算出されたエラー判定信号E11およびユーザ信号Y11(t)が、そのまま横方向に複数段接続された干渉キャンセラをそのまま通過していき、最終段の干渉キャンセラのゲートGF(図示せず)から最終出力として出力される。また、前段からの入力信号ベクトルX21(t)が干渉除去部IC21を介さずそのままゲート部GG21の入力に与えられる。
【0248】
一方、前段の干渉キャンセラの干渉除去部IC11でエラー有りと判定された場合には、干渉除去部IC11ではユーザ1に対応するレプリカ信号の入力信号ベクトルからの減算が禁止されているため、干渉除去部IC21に入力される入力信号ベクトルX21(t)にはユーザ1の干渉成分が未だ含まれたままである。そこで、干渉除去部IC21は、エラー無しのユーザについては干渉波成分が既に除去されている入力信号ベクトルX21(t)に基づいて、改めてユーザ1の干渉波成分の除去を行なう。干渉除去部IC21の動作については図14を参照して既に説明したとおりである。
【0249】
ユーザ1に対応する1段目の干渉除去部IC21から出力されたユーザ信号Y21(t)および干渉除去部IC21における復調エラーの有無を示すエラー判定信号E21はゲート部GF21を介して次段の干渉キャンセラのゲート部GE(図示せず)の入力に与えられる。また、前段の干渉除去部IC11におけるエラーの有無に応じて、干渉除去部IC21で新たに算出された入力信号ベクトルX22(t)または前段の干渉除去部IC1mからゲート部GE21を介してそのまま出力された入力信号ベクトルX21(t)が後段のゲート部GE22に与えられる。この入力信号ベクトルX22(t)は、干渉除去部IC12におけるエラーの有無に応じて干渉除去部IC22に与えられるか、または干渉除去部IC22を通さずにゲート部GG22を介してさらに次段に通過させられる。
【0250】
このユーザ2に対応する2段目の構成および動作は、上述のユーザ1に対応する1段目の構成および動作と同じである。
【0251】
以上のようにこの発明の参考例3によれば、縦方向に直列に接続されたユーザ1〜mに対応するm段の干渉除去部から構成される干渉キャリアを、横方向に複数段設けることにより、より一層の干渉波成分の除去を図ることができる。
【0252】
この発明の実施の形態1
図15は、この発明の実施の形態1によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。図15に示した受信システムの構成は、以下の点を除いて、図8に示した参考例1の受信システムと同じである。
【0253】
すなわち、図8の参考例1では、各干渉除去部ICに含まれた再変調器(図9)から出力された複素信号であるユーザ信号は、当該干渉除去部に含まれたパラメータ推定器(図9)に与えられるだけで、他のユーザの干渉除去部のパラメータ推定器には与えられていなかったが、図15の実施の形態1では、各ユーザの干渉除去部の再変調器から出力されたユーザ信号は、当該ユーザに加えて他のすべてのユーザの干渉除去部のパラメータ推定器にも与えられるように構成されている。
【0254】
図6に示した本発明の受信システムに関連して説明したように、当該ユーザのユーザ信号と他のユーザのユーザ信号との間の相関値について全く考慮せずに(相関値を0とおいて)受信応答ベクトルを推定すれば、出力信号に誤差が含まれる原因となる。
【0255】
図15の実施の形態1では、複数のユーザ信号間の相関値をも考慮して各ユーザの受信応答ベクトルを推定しようとするものであり、以下にその算出方法について説明する。
【0256】
たとえば、4人のユーザの信号Y11(t),Y21(t),Y31(t),Y41(t)と、受信応答ベクトルH11,H21,H31,H41とにより、受信信号X1(t)は次のように定義されるものとする。
【0257】
Figure 0003913455
ただしnはノイズ成分である。
【0258】
ここで、ユーザ1のユーザ信号Y11(t)と受信信号X1(t)とのアンサンブル平均をとれば、第(11)式は以下のように展開される。なお、上つきの*は複素共役を表わす。
【0259】
Figure 0003913455
ここでE[Y11(t)*Y11 *(t)]=1,[n*Y11 *(t)]=0であるので、第(52)式は、次のようになる。
【0260】
E[X1(t)*Y11*(t)]
=H11+H21*E[Y21(t)*Y11*(t)]+H31*E[Y31(t)*Y11*(t)]+H41*E[Y41(t)*Y11*(t)] … (53)
図6および図7の本発明の前提となる受信システムでは、ユーザ信号間の相関値であるE[Y21(t)*Y11*(t)],E[Y31(t)*Y11*(t)],E[Y41(t)*Y11*(t)]を、実際の伝播環境では相関があるにもかかわらず0とおいていたので、結果的に得られるE[X1(t)*Y11*(t)]=H11は誤差を含んでいたが、この実施の形態1では、これらのユーザ間の相関値(アンサンブル平均)を実際に計算した上で受信応答ベクトルH11,H21,H31,H41を計算している。以下の計算は、たとえば前段の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1では、パラメータ推定器PE11,…,PEk1,…,PEm1によって実行される。
【0261】
すなわち、受信応答ベクトルH11,H21,H31,H41を未知数とすると、これらを求めるために4つの方程式からなる連立方程式が必要である。そこで、上述のE[X1(t)*Y11 *(t)]の値に加えて、3つのアンサンブル平均、すなわちE[X1(t)*Y21 *(t)],E[X1(t)*Y31 *(t)],E[X1(t)*Y41 *(t)]の値をも実際に計算する。
【0262】
そしてユーザ信号間の個々の相関値(アンサンブル平均)を実際に計算して、上記3つのアンサンブル平均の展開結果に代入すれば、未知数をH11,H21,H31,H41とする連立方程式ができあがり、これを解くことによって、実際の伝播環境に近い受信応答ベクトルH11,H21,H31,H41を高い精度で推定することができる。そして、次段の干渉キャンセラにおいても同様にユーザ信号間の相関値を実際に計算して受信応答ベクトルの推定を行なっている。
【0263】
なお、各段の干渉キャンセラにおいては、前段の干渉除去部でエラー無と判定され、既に一度レプリカ信号の減算が行なわれている場合であっても、初期入力信号ベクトルからレプリカ信号の再度の減算を行なうため、除去の精度を向上させる目的で、別途パラメータ推定器PEA12,…,PEAk2,…,PEAm2が設けられている。
【0264】
特に、この実施の形態1では、エラー判定器による抽出信号の復調エラーの判定結果に関係なく、すべてのユーザ間の個々の相関値(アンサンブル平均)を実際に計算して利用している。したがって、いずれかのユーザに関して復調エラーが発生している場合も考えられるが、エラー有りの信号とエラー無しの信号との間の相関値が、実際の信号(エラー無しの信号とエラー無しの信号)の間の相関値に近い場合には、実際の伝播環境に近い受信応答ベクトルを推定することができる。
【0265】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、従来は0とみなしていたユーザ信号間の相関値を実際に計算しているため、エラーのない受信応答ベクトルを推定することが可能となる。
【0266】
この発明の実施の形態2
図16は、この発明の実施の形態2によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。図16に示した受信システムの構成は、以下の点を除いて、図15に示した実施の形態1の受信システムと同じである。
【0267】
すなわち、図15の実施の形態1構成に加えて、図16では、各ユーザのエラー判定器のエラー判定信号がすべてのユーザの干渉除去部のパラメータ推定器に与えられるように構成されている。この結果、復調エラーの有無によって、信号間の相関値の計算の是非を決定することができる。
【0268】
より具体的に、前述の実施の形態1の例を用いて説明する。たとえば4人のユーザのうち、ユーザ1および2の抽出信号に復調エラーはなく、ユーザ3および4の抽出信号に復調エラーがあると判断されたものとする。エラー有りのユーザの信号については、次段の干渉キャンセラで改めてユーザ信号が抽出されることになる。
【0269】
したがって、この実施の形態2では、エラーのないユーザ1および2の信号の相関のみを利用し、エラー有りのユーザ3および4の信号との相関は0とみなしている。たとえば、前述の第(13)式では、相関値のうちE[Y31(t)*Y11*(t)]およびE[Y41(t)*Y11*(t)]は0とみなす。したがって、第(53)式は、次のようになる。
【0270】
E[X1(t)*Y11 *(t)]=H11+H21*E[Y21(t)*Y11 *(t)]
【0271】
この式では、未知数がH11,H21の2つであるため、E[X1(t)*Y11 *(t)]の値に加えて、E[X1(t)*Y21 *(t)]の値をも計算する。そして、ユーザ1および2の相関値E[Y21(t)*Y11 *(t)]を計算し、E[X1(t)*Y11 *(t)]およびE[X1(t)*Y21 *(t)]の双方の展開式に代入すれば、未知数をH11,H21とする連立方程式ができあがり、これを解くことによって受信応答ベクトルH11,H21を高い精度で算出することができる。
【0272】
特に、この実施の形態4では、エラーのないユーザ信号間の相関値を実際に計算して利用することにより、実際の伝播環境により近い受信応答ベクトルを推定することが可能となる。
【0273】
この発明の実施の形態3
図17は、この発明の実施の形態3によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。図17に示した受信システムの構成は、以下の点を除いて、図11に示した参考例2の受信システムと同じである。
【0274】
すなわち、図11の参考例2では、各干渉除去部ICに含まれた再変調器から出力された複素信号であるユーザ信号は、当該干渉除去部に含まれたパラメータ推定器に与えられるだけで、他のユーザの干渉除去部のパラメータ推定器には与えられていなかったが、図17の実施の形態3では、図15の実施の形態1と同様に、各ユーザの干渉除去部の再変調器から出力されたユーザ信号は、当該ユーザに加えて他のすべてのユーザの干渉除去部のパラメータ推定器にも与えられるように構成されている。
【0275】
図17に示した実施の形態3による受信システムは、図15に示した実施の形態1による受信システムと、次の点で異なっている。
【0276】
まず、図17の実施の形態3の構成では、初期入力信号ベクトルX1(t)ではなく、当該干渉キャンセラの演算装置で算出された入力信号ベクトルから、新たにエラー無しと判定されたユーザのレプリカ信号の減算が行なわれる。すなわち、前段の干渉除去部でエラー無しと既に判定されたユーザに関してはレプリカ信号の減算はやり直さないため、図15の実施の形態1のようにパラメータ推定部PEA12,…,PEAk2,…,PEAm2を追加する必要はない。
【0277】
その代わりに、前段の干渉除去部のエラーの有無に応じて、当該干渉キャンセラの干渉除去部で新たに算出したユーザ信号または前段の干渉除去部で既に計算済のユーザ信号のいずれかを選択して相関値計算の対象とするためのゲート部GH12,…,GHk2,…,GHm2が設けられている。
【0278】
以上のように、この発明の実施の形態3によれば、従来は0とみなしていたユーザ信号間の相関値を実際に計算しているため、前述の実施の形態1と同様に、エラーのない受信応答ベクトルを推定することが可能となる。
【0279】
この発明の実施の形態4
図18は、この発明の実施の形態4によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。図18に示した受信システムの構成は、以下の点を除いて、図17に示した実施の形態3の受信システムと同じである。
【0280】
すなわち、図17の実施の形態3の構成に加えて、図18では、各ユーザのエラー判定器のエラー判定信号がすべてのユーザの干渉除去部のパラメータ推定器に与えられるように構成されている。この結果、復調エラーの有無によって、信号間の相関値の計算の是非を決定することができる。
【0281】
すなわち、この実施の形態4では、前述の実施の形態2と同様に、エラーのないユーザ信号間の相関値を実際に計算して利用することにより、実際の伝播環境により近い受信応答ベクトルを推定することが可能となる。
【0282】
この発明の実施の形態5
図19は、この発明の実施の形態5によるPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。この実施の形態8による受信システムは、基本的に、図13に示した参考例3による受信システムの構成に、図15の実施の形態1で説明した技術を適用したものである。
【0283】
すなわち、図13の参考例3では、各干渉除去部に含まれる再変調器(図14)から出力された複素信号であるユーザ信号は、当該干渉除去部のパラメータ推定器に与えられるだけで他のユーザの干渉除去部のパラメータ推定器には与えられていなかったが、図19の実施の形態5では、各ユーザの再変調器から出力されたユーザ信号は、当該ユーザに加えて、次段以降のユーザの干渉除去部のパラメータ推定器にも与えられるように構成されている。
【0284】
より詳細に説明すると、図19の実施の形態5では、初期入力信号ベクトルX1(t)が、各干渉除去部ICに共通に印加され、後述するように各干渉除去部ICのパラメータ推定器PEおよび加算器ADの正入力に与えられているものとする。そして、前段の干渉除去部から出力された入力信号ベクトルが、当該干渉除去部のアダプティブアレイAAに与えられる(第1段目の干渉除去部IC11では初期入力信号ベクトルX1(t)がアダプティブアレイAA11に与えられる)。
【0285】
第1段目の干渉キャンセラの干渉除去部IC11においては、図14に示すように、当該干渉除去部で発生したユーザ信号Y11(t)をパラメータ推定器PE1kに与えることによりパラメータ推定しており、他のユーザのユーザ信号は用いられていない。
【0286】
しかし、後段の干渉除去部IC12においては、当該干渉除去部で発生したユーザ信号Y12(t)に加えて、前段の干渉除去部IC11で発生したユーザ信号Y11(t)も用いてパラメータ推定している。
【0287】
同様に、各段の干渉除去部は、当該干渉除去部で発生したユーザ信号に加えて、当該干渉除去部の前段にあたる干渉除去部からのユーザ信号を用いてパラメータの推定を行なっている。
【0288】
たとえば、第1段目の干渉キャンセラの最下段の干渉除去部IC1mは、当該干渉除去部で発生したユーザ信号Y1m(t)に加えて、前段の干渉除去部IC11,…,IC1(m -1)で発生したユーザ信号Y11(t),…,Y1(m-1)(t)を用いてパラメータの推定をしている。
【0289】
図20、図19に示す干渉除去部の一例として第1段目の干渉キャンセラのk段目の干渉除去部IC1kの構成を示すブロック図である。図20に示した干渉除去部は、図15に示した干渉除去部と以下の点で異なっている。
【0290】
すなわち、前段の干渉除去部から出力された入力信号ベクトルX1k(t)はアダプティブアレイAA1kに与えられるだけであり、初期入力信号X1(t)がパラメータ推定器PE1kの入力および加算器AD1kの正入力に与えられる。パラメータ推定器PE1kには、当該干渉除去部で発生したユーザ信号Y1k(t)に加えて、前段の干渉除去部IC11,…,IC1(k-1)からのユーザ信号Y11(t),…,Y1(k-1)(t)も与えられ、これらのユーザ信号の相関値に基づいて、パラメータ推定器PE1kは、受信応答ベクトルH11,H12,…,H1kを算出する。
【0291】
これらのユーザ信号Y11(t),…,Y1k(t)と、受信応答ベクトルH11,…,H1kとは、対応する乗算器MP1k1,MP1k2,…,MP1kkによってそれぞれ乗算され、その乗算結果はそれぞれANDゲートAND1k1,AND1k2,…,AND1kkを介して加算器AD1kの負入力に与えられる。
【0292】
ANDゲートAND1k1,AND1k2,…,AND1kkの他方入力には前段の干渉除去部IC11,…,IC1(k-1)からのエラー判定信号E11,…,E1(k-1)および当該干渉除去部で発生したエラー判定信号E1kがそれぞれ入力され、エラー有りを示すエラー判定信号が入力されたANDゲートは閉じてエラーを含むレプリカ信号の初期入力信号ベクトルX1(t)からの減算は回避される。
【0293】
この結果、加算器AD1kからは、ノイズ成分を含まない入力信号ベクトルX1(k+1)(t)が算出され、次段の干渉除去部IC1(k+1)のアダプティブアレイAA1(k+1)に与えられる。
【0294】
第2段目以降の干渉キャンセラの干渉除去部IC21,IC22,…も同様の構成を有しているものとする。
【0295】
すなわち、図19および図20の例では、干渉除去部IC11,…,IC1mにおける受信応答ベクトルH1 1,H12,…,H1k,…,H1mは次のように求められる。まず、初期入力信号ベクトルX1(t)は次のように表わされる。
【0296】
1(t)=H1111(t)+…+H1k1k(t)+…+H1m1m(t)
図19の第1段目の干渉キャンセラの構成では、各段の干渉除去部ICで初期入力信号ベクトルX1(t)に基づいてユーザ信号Y1k(t)が推定できる。したがって、各ユーザ信号と上記初期入力信号ベクトルX1(t)とのアンサンブル平均をとれば、ユーザ間の相関値(アンサンブル平均)を実際に計算した上で受信応答ベクトルH11,H12,…,H1k,…,H1mを求めるための連立方程式が得られる。
【0297】
さらに、次段の干渉キャンセラの動作は基本的に図13を参照して説明した動作と同じで有り、異なるのは次の点である。
【0298】
すなわち、ゲート部GE21には、前段の干渉除去部IC12,…,IC1mからユーザ信号Y12(t),…,Y1m(t)およびエラー判定信号E12,…,E1mが与えられており、干渉除去部IC11でエラーが判定されたときには、これらのユーザ信号Y12(t),…,Y1m(t)およびエラー判定信号E12,…,E1mが干渉除去部IC21に与えられ、そのうちのユーザ信号がパラメータ推定に用いられる。
【0299】
次に、ゲート部GE22には、前段の干渉除去部IC13,…,IC1mおよびIC21から,ユーザ信号Y13(t),…,Y1m(t),Y21(t)およびエラー判定信号E13,…,E1m,E21が与えられており、干渉除去部IC12でエラーが判定されたときには、これらのユーザ信号Y13(t),…,Y1m(t),Y21(t)およびエラー判定信号E13,…,E1m,E21が干渉除去部IC22に与えられ、そのうちのユーザ信号がパラメータ推定に用いられる。以下、干渉キャンセラの各段の干渉除去部において同様の動作(パラメータ推定)が実行される。
【0300】
以上のように、図19の実施の形態5による受信システムは、複数のユーザ信号間の相関値をも考慮して各ユーザの受信応答ベクトルを算出しようとするものである。したがって、この実施の形態5よる受信システムは、前述の実施の形態1による受信システムと同様に、実際の伝播環境で得られるものに近い受信信号応答ベクトルを高い精度で推定することができる。
【0301】
この発明の実施の形態6
図21は、この発明の実施の形態6によるPDMA用基地局の受信システムにおける干渉除去部の構成を示すブロック図である。この実施の形態6による受信システムは、基本的に、干渉除去部の構成を除いて図19に示した受信システムと同じ全体構成を有しており、図13に示した参考例3による受信システムの構成に、図17の実施の形態2で説明した技術を適用したものである。図21に示した干渉除去部は、以下の点を除いて、図20示した実施の形態5の干渉除去部と同じである。
【0302】
すなわち、図20の実施の形態5の干渉除去部構成に加えて、図21の実施の形態6では、前段の干渉除去部のエラー判定器のエラー判定信号(たとえばE11,…,E1(k-1))を次段の干渉除去部のパラメータ推定器に与えられるように構成されている。
【0303】
図21の実施の形態6による受信システムは、復調エラーの有無によって信号間の相関値の計算の是非を決定するものである。特に、この実施の形態6による受信システムでは、エラーがないユーザ信号間でのみ相関値を計算して、受信信号応答ベクトルの算出に利用することにより、前述の実施の形態2による受信システムと同様に、実際の伝播環境で得られるものに近い受信応答ベクトルを高い精度で推定することができる。
【0304】
他の参考例1
ところで、図8〜図21に示された各形態は、PDMA用基地局の受信システムに関するものである。近年、このPDMA通信方式に加えて、CDMA通信方式が提案されており、すでに実用化されている。
【0305】
このCDMA通信方式では、送信側で、送信されるデジタルデータのシンボルに所定の拡散符号を乗算して遥かに高い周波数の信号として送信し、受信側では上記拡散符号を用いて受信信号を逆拡散することによりデータの復調を行なっている。
【0306】
ここで、拡散符号として互いに相関のない異なるものを複数種類用いれば、同一周波数の複数のデータ信号が拡散されて送信されている場合であっても、送信時に対応する拡散符号で逆拡散を行なうことにより所望のユーザの信号のみを確実に分離抽出することができる。したがって、このCDMA通信方式を用いることにより、さらなる通信容量の増大を図ることが可能となる。このようなCDMA通信方式はすでに実用化され、当該技術分野において周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0307】
以下に説明する他の参考例は上記無線受信システムを、CDMA通信方式に適用したものである。
【0308】
図22は、この発明の他の参考例1によるCDMA用基地局の受信システムを示すブロック図であり、図23および図24は、それぞれ、図22に示した干渉除去部および演算装置の具体的なブロック図である。
【0309】
図22ないし図24に示す他の参考例1のCDMA受信システムは、以下の点を除いて、図8ないし図10に示した参考例1のPDMA受信システムと同じである。
【0310】
すなわち、図8に示す参考例1の受信システムの干渉除去部ICの構成を、図9に示す参考例1の構成から、図23に示す他の参考例1の構成に変更したものである。図23示す干渉除去部(一例としての干渉除去部ICK1′)では、アダプティブアレイおよびパラメータ推定器の前段に、CDMA通信方式で送信されアンテナ3〜6で受信された信号を逆拡散するための逆拡散器ISk1が設けられている。各干渉除去部において逆拡散器でユーザごとに逆拡散された受信信号は、対応するアダプティブアレイおよびパラメータ推定器に与えられ、前述の実施の形態1と同じ動作により、それぞれのユーザ信号が抽出されて、後段の干渉キャンセラの演算装置に与えられる。
【0311】
図24に示す1段目の干渉キャンセラの演算装置101aは、乗算器MP1,…,MPk-1,MPk,MPk+1,…,MPmの出力をそれぞれ拡散する拡散器S11,…,S(k-1)1,Sk1,S(k+1)1,…,Sm1が設けられている点を除いて、図10に示した演算装置101′と同じである。
【0312】
すなわち、CDMA通信方式により拡散されたままの入力信号ベクトルX1(t)からの減算を行なうために、各乗算器の出力が再度対応する拡散符号により拡散される。
【0313】
そして各拡散器の出力、すなわち演算装置101aの出力は、後段の対応する干渉除去部の逆拡散器により再度逆拡散されて、アダプティブアレイおよびパラメータ推定器に与えられる。
【0314】
第2段の干渉キャンセラの演算装置102aは、図24示す演算装置101aと同じ構成を有している。他の動作は、図8ないし図10に示した参考例1と同じである。
【0315】
この発明の他の参考例2
次に、図25は、この発明の他の参考例2によるCDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。図25に示す他の参考例2は、以下の点を除いて、図13に示した参考例3と同じである。すなわち、各段の干渉除去部ごとに、対応するアダプティブアレイおよびパラメータ推定器の前段に、CDMA通信方式で送信された入力信号ベクトルを逆拡散するための逆拡散器(図14の干渉除去部IC1k′では逆拡散器IS1k)が設けられている。それぞれの逆拡散器でユーザごとに逆拡散された入力信号ベクトルは、対応するアダプティブアレイおよびパラメータ推定器に与えられ、前述の実施の形態3と同じ動作により、それぞれのユーザ信号が抽出される。なお、各干渉除去部における乗算器の出力は、CDMA方式により拡散されたままの対応する入力信号ベクトルからの減算を行なうために拡散器(図14では拡散器S1k)により再度拡散される。その他の動作は図13に示した参考例3と同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0316】
なお、図8ないし図10に示した参考例1および図13および図14に示した参考例3にCDMA通信方式を適用した例を実施の形態10および11として説明したが、その他の実施の形態として開示した受信システムに対しても、図示省略するがこのCDM通信方式が同様に適用されることはいうまでもない。
【0317】
図26は、上述の各形態の受信システムにおいて用いられるアダプティブアレイの一例を示すブロック図である。
【0318】
図26において、各アダプティブアレイには入力ポート181〜184が設けられており、それぞれの入力ポートにはA/D変換器8でA/D変換された4本のアンテナ3〜6からの入力信号が入力される。これらの入力信号は、ウェイトベクトル計算器176と乗算器171〜174とに与えられる。
【0319】
ウェイトベクトル計算器176は、入力ポート181〜184からの入力信号と、メモリ177に予め記憶されている特定のユーザの信号に対応したトレーニング信号または加算器175の出力を用いて、所望のユーザ信号が抽出されるようにウェイトベクトルw1〜w4を計算する。
【0320】
乗算器171〜174は、入力ポート181〜184の入力信号とウェイトベクトルw1〜w4とをそれぞれ乗算して加算器175へ出力する。加算器175は、乗算器171〜174のそれぞれの出力信号を加算してその結果得られる所望のユーザ信号をウェイトベクトル計算器176に与えるとともに、出力ポートから出力する。
【0321】
なお、上述の実施の形態及び各参考例においては、再変調器によって再変調されたデータを演算装置等に与えるように構成しているが、アダプティブアレイの出力と再変調されたデータとは、もともと同一内容のデータとみなすこともできるので、アダプティブアレイの出力データを演算装置等に入力しても同様の効果が得られる。
【0322】
さらに、上述の各実施の形態及び参考例では、干渉キャンセラを複数段接続したハードウェア構成として受信システムを実現した例について説明したが、これらの受信システムはデジタル信号プロセッサ(DSP)によって全体としてソフトウェアで実現することもできる。
【0323】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0324】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、従来は0とみなしていたユーザ信号間の相関値を実際に計算しているため、エラーのない受信応答ベクトルを推定することが可能となり、移動通信システムなどの無線通信システムにおける通信品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が用いられるPDMA用基地局の無線装置(無線基地局)1000の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】 無線装置(無線基地局)1000の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】 本発明の応答ベクトル推定の前提となる応答ベクトルの推定原理を説明するための概念図である。
【図4】 本発明の応答ベクトル推定の推定原理を説明するための概念図である。
【図5】 この発明の動作を示すフロー図である。
【図6】 この発明のPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図7】 図6示した演算装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 この発明の参考例1によるPDMA用基地局の受信システム
のブロック図である。
【図9】 図8に示した干渉除去部の構成を示すブロック図である。
【図10】 図8に示した演算装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 この発明の参考例2によるPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図12】 図11に示した演算装置の構成を示すブロック図である。
【図13】 この発明の参考例3によるPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図14】 図13に示した干渉除去部の構成を示すブロック図である。
【図15】 この発明の実施の形態1によるPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図16】 この発明の実施の形態2によるPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図17】 この発明の実施の形態3によるPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図18】 この発明の実施の形態4によるPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図19】 この発明の実施の形態5および6によるPDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図20】 この発明の実施の形態5によるPDMA用基地局の受信システムの干渉除去部の構成を示すブロック図である。
【図21】 この発明の実施の形態6によるPDMA用基地局の受信システムの干渉除去部の構成を示すブロック図である。
【図22】 この発明の他の参考例1によるCDMA用基地局の受信システムのブロック図である。
【図23】 図16に示した干渉除去部の構成を示すブロック図である。
【図24】 図16に示した演算装置の構成を示すブロック図である。
【図25】 この発明の他の参考例2によるCDMA用基地局の受信システムの干渉除去部の構成を示すブロック図である。
【図26】 アダプティブアレイの構成を示すブロック図である。
【図27】 FDMA,TDMAおよびPDMAの各通信方式におけるユーザ信号のチャネル配置図である。
【図28】 従来のPDMA用基地局の受信システムを示すブロック図である。
【図29】 アダプティブアレイ無線基地局の構成を示す概略ブロック図である。
【図30】 携帯電話機の電波信号のフレーム構成を示す概略図である。
【図31】 アダプティブアレイ無線基地局とユーザとの間の電波信号の授受をイメージ化した模式図である。
【符号の説明】
3〜6 アンテナ、7 周波数変換回路、8 A/D変換器、101,102,10L,101′,102′,10L′ 演算装置、176 ウェイトベクトル計算器、181〜184 入力ポート、IC 干渉除去部、DM 復調器、RM 再変調器、ED エラー判定器、PE パラメータ推定器、MP 乗算器、AD 加算器、AND ANDゲート、GA,GB,GC,GD,GE,GF,GG,GH ゲート部。

Claims (4)

  1. 複数のアンテナを用いて複数のユーザからの信号を受信し、受信された複数のユーザからの信号に基づいて、各ユーザに共通の入力信号ベクトルを作成し、複数段の干渉キャンセラを用いて前記入力信号ベクトルから干渉信号成分を除去する無線受信システムであって、
    前記干渉キャンセラは、前記複数のユーザのうちの特定のユーザに対応するユーザ信号成分を前記入力信号ベクトルから抽出する信号抽出手段と、前記入力信号ベクトルと特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出するパラメータ推定手段と、前記信号抽出手段で抽出された特定のユーザに対応するユーザ信号成分が復調エラーを含むか否かを判定するエラー判定手段と、からなる干渉除去部と、前記入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段にて算出された受信応答ベクトルに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力する演算手段と、を備え、前記エラー判定手段の判定結果に基づき前記パラメータ推定手段は、復調エラーを含まないと判定された全てのユーザのユーザ信号成分を取り込み、特定のユーザとその他のユーザのユーザ信号成分との間の相関値を演算し、且つ、前記エラー判定手段により、復調エラーを含むと判定されたユーザとのユーザ信号成分の相関は0とみなし、これらの相関値を含めて受信応答ベクトルを推定することを特徴とする無線受信システム。
  2. 前記演算手段は、初期の入力信号ベクトルから前記エラー判定手段により復調エラーを含まないと判定されたユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段で推定された受信応答ベクトルとに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力することを特徴とする請求項1に記載の無線受信システム。
  3. 複数のアンテナを用いて複数のユーザからの信号を受信し、受信された複数のユーザからの信号に基づいて、各ユーザに共通の入力信号ベクトルを作成し、複数段の干渉キャンセラを用いて前記入力信号ベクトルから干渉信号成分を干渉除去する無線受信システムであって、
    前記干渉キャンセラは、前記複数のユーザのうちの特定のユーザに対応するユーザ信号成分を前記入力信号ベクトルから抽出する信号抽出手段と、この抽出されたユーザ信号成分がそれぞれ復調エラーを含むか否かを判定するエラー判定手段と、前記入力信号ベクトルと、特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出するパラメータ推定手段と、からなる干渉除去部と、前記入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段にて算出された受信応答ベクトルに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力する演算手段と、複数のユーザ毎に設けられ前段の演算手段からの入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段で算出した受信応答ベクトルと前記エラー判定手段からのエラー判定信号が与えられる第1のゲート部と、前記干渉除去部からの各信号と前記第1のゲート部からの各信号と前段のエラー判定手段のエラー判定信号とが与えられる第2のゲート部と、を備え、前記第1のゲート部は前段のエラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部または前記第2のゲート部に前記各信号を選択して出力し、前記第2のゲート部は前記エラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部または第1のゲート部からの各信号を選択して出力し、前段のエラー判定手段でエラーを含まないと判定されたユーザに関しては、前記第1のゲート部に与えられた各信号が前記第2のゲート部を通過し、次段の干渉キャンセラに与えられ、前段のエラー判定手段でエラーを含むと判定されたユーザに関しては、前段の演算手段で干渉除去がなされた入力信号ベクトルに基づいて、前記エラー判定手段の判定結果に基づき、前記干渉除去部にて、復調エラーを含まないと判定された全てのユーザのユーザ信号成分を 取り込み、特定のユーザとその他のユーザのユーザ信号成分との間の相関値を演算し、且つ、復調エラーを含むと判定されたユーザとのユーザ信号成分の相関は0とみなし、これらの相関値を含めて受信応答ベクトルを推定し、特定ユーザに対応する受信応答ベクトルとエラー判定信号とユーザ信号成分とを算出し、前記第2のゲート部から次段の干渉キャンセラに与えることを特徴とする無線受信システム。
  4. 複数のアンテナを用いて複数のユーザからの信号を受信し、受信された複数のユーザからの信号に基づいて、各ユーザに共通の入力信号ベクトルを作成し、複数段の干渉キャンセラを用いて前記入力信号ベクトルから干渉信号成分を干渉除去する無線受信システムであって、
    前記干渉キャンセラは、前記複数のユーザのうちの特定のユーザに対応するユーザ信号成分を前記入力信号ベクトルから抽出する信号抽出手段と、この抽出されたユーザ信号成分がそれぞれ復調エラーを含むか否かを判定するエラー判定手段と、前記入力信号ベクトルと特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出する第1のパラメータ推定手段と、からなる干渉除去部と、前記入力信号ベクトル、特定のユーザ信号成分、前記第1のパラメータ手段で算出した受信応答ベクトルに基づいて干渉信号成分を除去し、次段への入力信号ベクトルを算出して出力する演算手段と、複数のユーザ毎に設けられ前段の演算手段からの入力信号ベクトル、特定のユーザに対応するユーザ信号成分、前記パラメータ推定手段で算出した受信応答ベクトルと前記エラー判定手段からのエラー判定信号が与えられる第1のゲート部と、初期の入力信号ベクトルと前記第1のゲート部からの特定のユーザ信号成分と、全てのユーザ信号と特定のユーザ信号との間の相関値と、に基づいて特定の端末からの伝搬路のスロットの中から複数の時点での受信応答ベクトルを推定し、この複数の時点の受信応答ベクトルに基づいて1スロット内の受信応答ベクトルを算出する第2のパラメータ推定手段と、前記干渉除去部からの信号と前記第2のパラメータ推定手段からの各信号と前記エラー判定手段のエラー判定信号が与えられる第2のゲートと、を備え、前記第1のゲート部は前段のエラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部、第2のパラメータ手段または前記第2のゲート部に前記各信号を選択して出力し、前記第2のゲート部は前記エラー判定手段のエラー判定信号に応じて前記干渉除去部、第2のパラメータ手段または第1のゲート部からの各信号を選択して出力し、前記エラー判定手段の判定結果に基づき、前記第1、第2のパラメータ推定手段は、復調エラーを含まないと判定された全てのユーザのユーザ信号成分を取り込み、特定のユーザとその他のユーザのユーザ信号成分との間の相関値を演算し、且つ、復調エラーを含まないと判定されたユーザとのユーザ信号成分の相関は0とみなし、これらの相関値を含めて受信応答ベクトルを推定するとともに、前段のエラー判定手段でエラーを含まないと判定されたユーザに関しては、第1のゲート部に与えられた各信号が前記第2のパラメータ推定手段に与えられ、この第2のパラメータ手段からの各信号が第2のゲート部を介して次段の干渉キャンセラに与えられ、前段のエラー判定手段でエラーを含むと判定されたユーザに関しては、前段の演算手段で干渉除去がなされた入力信号ベクトルに基づいて、前記干渉除去部が受信応答ベクトルとエラー判定信号とユーザ信号成分とを算出し、前記第2のゲート部から次段の干渉キャンセラに与えることを特徴とする無線受信システム。
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