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JP3911785B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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JP3911785B2
JP3911785B2 JP25023797A JP25023797A JP3911785B2 JP 3911785 B2 JP3911785 B2 JP 3911785B2 JP 25023797 A JP25023797 A JP 25023797A JP 25023797 A JP25023797 A JP 25023797A JP 3911785 B2 JP3911785 B2 JP 3911785B2
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Nippon Chemi Con Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、導電性高分子を電解質に用いた固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、タンタル、アルミニウム等の弁作用金属からなるとともに微細孔やエッチングピットを備えた陽極電極の表面に、誘電体となる酸化皮膜層を形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出して構成されている。
【0003】
そして、酸化皮膜層からの電極の引出しは、導電性を有する電解質層により行っている。したがって、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を担うことになる。例えば、アルミニウム電解コンデンサでは、液状の電解質を真の電極として用い、陰極電極はこの液状電解質と外部端子との電気的な接続を担っているにすぎない。
【0004】
真の陰極として機能する電解質層は、酸化皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが求められる。特に、陽極電極の微細孔やエッチングピットの内部における密着性が電気的な特性に大きな影響を及ぼしており、従来数々の電解質層が提案されている。
【0005】
固体電解コンデンサは、イオン伝導であるために高周波領域でのインピーダンス特性に欠ける液状の電解質の替わりに導電性を有する固体の電解質を用いるもので、なかでも二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られている。
【0006】
このうち、二酸化マンガンからなる固体電解質層は、硝酸マンガン水溶液に、タンタルの焼結体からなる陽極素子を浸漬し、300℃〜400℃前後の温度で熱分解して生成している。このような固体電解質層を用いたコンデンサでは、硝酸マンガンの熱分解の際に酸化皮膜層が破損し易く、そのため漏れ電流が大きくなる傾向が見られ、また二酸化マンガン自体の比抵抗も高いためにインピーダンス特性において充分満足できる特性を得ることは困難であった。
また熱処理によるリード線の損傷もあり、後工程として接続用の外部端子を別途設ける必要があった。
【0007】
一方、TCNQ錯体を用いた固体電解コンデンサとしては、特開昭58−191414号公報に記載されたものなどが知られており、TCNQ錯体を熱溶融して陽極電極に浸漬、塗布して固体電解質層を形成している。このTCNQ錯体は、導電性が高く、周波数特性や温度特性において良好な結果を得ることができる。
【0008】
しかし、TCNQ錯体は、融点と分解点が近く、温度コントロールによっては溶融したのち短時間で絶縁体に移行する性質があるため、コンデンサの製造過程における温度管理が困難であるほか、TCNQ錯体自体が耐熱性に欠けるため、プリント基板に実装する際のはんだ熱により著しい特性変動が見られる。
【0009】
さらに、以上のような二酸化マンガンやTCNQ錯体の持つ不都合を解決するため、最近では、ポリピロール等の導電性高分子を固体電解質層として用いることが試みられている。
【0010】
ポリピロールに代表される導電性高分子は、主に化学的酸化重合法(化学重合)や電解酸化重合法(電解重合)により生成されるが、化学重合では、強度の強い皮膜を緻密に生成することは困難であった。
一方、電解重合では、皮膜を生成する対象物に電圧を印加する必要があり、そのため表面に絶縁体である酸化皮膜層が形成された電解コンデンサ用の陽極電極に適用することは困難で、酸化皮膜層の表面に、予め導電性のプレコート層、例えば酸化剤を用いて化学重合した導電性高分子膜をプレコート層とし、その後このプレコート層を電極として電解重合による電解質層を形成する方法などが提案されている(特開昭63−173313号公報、特開昭63−158829号公報:二酸化マンガンをプレコート層とする)。
【0011】
しかし、予めプレコート層を形成するため製造工程が煩雑となるほか、電解重合では、陽極電極の被皮膜面に配置した重合用の外部電極の近傍から固体電解質層が生成されるため、広範囲にわたって均一な厚さの導電性高分子膜を連続的に生成することは非常に困難であった。
【0012】
そこで、箔状の陽極電極及び陰極電極を、セパレータを介して巻き取って、いわゆる巻回型のコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にピロール等のモノマーと酸化剤を浸漬して化学重合のみにより生成した導電性高分子膜からなる電解質層を形成することが試みられた。
【0013】
このような巻回型のコンデンサ素子は、アルミニウム電解コンデンサにおいて周知であるが、導電性高分子層をセパレータで保持することで電解重合の煩雑さを回避するとともに、併せて表面積の大きい箔状の電極により容量を拡大させることが期待された。
【0014】
さらに、巻回型のコンデンサ素子を用いることで、両極の電極とセパレータが一定の緊締力で保持され、両極の電極と電解質層との密着性に貢献することが期待された。
【0015】
しかし、モノマーと酸化剤とを混合した混合溶液をコンデンサ素子に含浸した場合には、モノマーと酸化剤の重合反応が急激に進むために、コンデンサ素子の内部にまで固体電解質層が形成されておらず、期待された電気的特性を得ることはできないことが判明した。
【0016】
そこで、反応の際の溶液の重合温度を低くする試みがなされ、ある程度良好な電気的特性が得られたが、耐圧特性だけは不充分であるという問題点があった。
また、低温で化学重合をする場合、厳重な温度制御が必要であるほか、製造装置が複雑になり、結果として製品コストが高くなってしまう問題点もあった。
【0017】
一方で、各種の導電性高分子についての検討が重ねられており、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)に着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在している。
【0018】
本出願人は、このポリエチレンジオキシチオフェンの重合反応速度が緩やかなことに着目して、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、モノマーと酸化剤溶液とを混合した混合溶液を含浸し、その後緩やかに起きるモノマーと酸化剤との化学重合反応で固体電解質であるポリエチレンジオキシチオフェンをコンデンサ素子内部で生成することを特徴とする発明(特願平8−131374号)を出願した。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上のように、コンデンサ素子にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を生成するために、モノマーと酸化剤溶液とを混合した混合溶液を含浸した場合には、この混合溶液の重合反応が経時的に進行することから、混合溶液は、重合反応と並行してコンデンサ素子に含浸されることになる。そのため、コンデンサ素子内部まで混合溶液が浸透せずに途中で固まること等により、生成される固体電解質層が不均一になり易い。また、このように混合溶液が途中で固まった場合を見越して、さらに混合溶液を内部に浸透させるためには、混合溶液を連続的に含浸することになるが、このような混合溶液の連続的な含浸は、材料面及び時間面での無駄が多く、生産性を低下させる。
【0020】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、巻回型のコンデンサ素子の内部に、緻密で均一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成し、電気的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを製造可能な、生産性に優れた製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体電解コンデンサの製造方法において、コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンからなるモノマーを含浸した後、酸化剤を含浸するようにしたものである。
【0022】
まず、請求項1に記載の製造方法は、コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンからなるモノマーを含浸する工程と、前記モノマーを含浸する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤を含浸する工程を有することを特徴としている。
【0023】
以上のような構成を有する請求項1に記載の製造方法は、化学重合による固体電解質層の生成は、コンデンサ素子中のモノマーの分布状態によって決定されるとの知見に基づき、モノマーの分布状態の改善を意図したものである。すなわち、請求項1に記載の製造方法においては、モノマーと酸化剤をこの順序で別々に含浸することにより、先に含浸されてコンデンサ素子内部に分布したモノマーと後から含浸された酸化剤がコンデンサ素子の内部で化学重合するため、巻回型のコンデンサ素子の内部に、緻密で均一なポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を生成することができる。
【0024】
請求項2に記載の製造方法は、コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する工程と、この工程の後に、コンデンサ素子を熱処理する工程と、この工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸する工程を有することを特徴としている。
【0025】
以上のような構成を有する請求項1に記載の製造方法によれば、単純にモノマーと酸化剤溶液とを個別に含浸するだけでなく、モノマーを揮発性溶媒で希釈して含浸し、熱処理した後に、酸化剤溶液を含浸しているため、次のような作用が得られる。
【0026】
すなわち、請求項1に記載の製造方法に基づいて、単にモノマーと酸化剤を個別に含浸する場合には、体積比で約1:3〜1:6と、圧倒的にモノマー量が少ないため、コンデンサ素子中でモノマー量の偏りが生じ、得られるコンデンサの特性が不十分となる可能性がある。なお、この場合のコンデンサの特性を向上するために、熱処理を施すことも考えられるが、コンデンサの特性を満足できる程度まで向上するためには、少なくとも、モノマーの含浸後、一定の温度で長時間放置する必要があり、生産性の向上は難しい。
【0027】
これに対して、請求項2に記載の製造方法においては、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンを揮発性溶媒で希釈することにより、モノマーをコンデンサ素子へ均一に含浸することが可能となり、続く熱処理によって揮発性溶媒を揮発させることができる。したがって、この後の酸化剤溶液の含浸により、この酸化剤溶液とコンデンサ素子に均一に含浸されたモノマーとを化学重合反応させることで、巻回型のコンデンサ素子の内部に、より緻密で均一なポリエチレンジオキシチオフェンからなるより高品質の固体電解質層を生成することができる。さらに、熱処理時間も短時間で済むため、生産性にも優れている。
【0028】
請求項3、4に記載の製造方法は、請求項1に記載の製造方法において、さらに揮発性溶媒の材料を具体的に限定したものである。
まず、請求項3に記載の製造方法は、請求項2に記載の製造方法において、前記揮発性溶媒として、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物の中から選択された材料を使用することを特徴としている。
また、請求項4に記載の製造方法は、請求項3に記載の製造方法において、前記揮発性溶媒として、メタノール、エタノール、アセトンの中から選択された材料を使用することを特徴としている。
【0029】
以上のような構成を有する請求項3、4に記載の製造方法によれば、次のような作用が得られる。
まず、請求項2に記載の製造方法において、使用される揮発性溶媒としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンと相互溶解して揮発性が高く、かつ、アルミニウム等からなる電極箔に作用しないものであれば、何でも使用可能である。しかし、特に、請求項3に記載のように、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物等を使用することにより、以上のような揮発性溶媒に要求される条件を満たすことができる。すなわち、これらの材料を揮発性溶媒として使用することにより、モノマーの均一的な含浸を促進できると共に、電極箔への悪影響を生じることがない。
【0030】
そして、以上のような揮発性材料の中でも、特に、現状では、請求項4に記載のように、メタノール、エタノール、アセトン等を使用することが望ましい。すなわち、メタノール、エタノール、及びアセトンは、上に列挙した材料の中で、特に安価であり、取り扱いも比較的容易であるため、これらの材料のいずれかを本発明に係る揮発性溶媒として使用することにより、生産性をより向上できる。
【0031】
請求項5に記載の製造方法は、請求項2に記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒を別々に含浸することを特徴としている。
【0032】
以上のような構成を有する請求項5に記載の製造方法によれば、次のような作用が得られる。
まず、請求項2に記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する工程では、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をそのままコンデンサ素子に含浸することも可能である。しかし、この場合には、混合した後に揮発性溶媒が揮発して経時的に組成が変化してしまう可能性もあるため、請求項5に記載のように、モノマーと揮発性溶媒とを別々に含浸することにより、組成変化の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸することができる。
【0033】
請求項6に記載の製造方法は、請求項2に記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸することを特徴している。
【0034】
以上のような構成を有する請求項6に記載の製造方法によれば、次のような作用が得られる。
まず、請求項2に記載の製造方法において、モノマーと揮発性溶媒の体積比は適宜選択可能であるが、揮発性溶媒の割合が少なすぎると、揮発性溶媒の使用によるモノマーの均一な分布作用が十分に得られず、また、揮発性溶媒の割合が多すぎても、大量の揮発性溶媒が無駄に消費されるだけである。そのため、具体的には、請求項6に記載のように、モノマーと揮発性溶媒を1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸することにより、コンデンサ素子に対して、モノマーを均一に含浸することができ、コンデンサ内部に高品質の固体電解質層を生成することができる。また、必要最小限の揮発性溶媒を使用するだけであるため、生産性を低下させることもない。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下には、本発明による固体電解コンデンサの製造方法の一つの実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0036】
図1は、本発明の製造方法によって製造してなる固体電解コンデンサを示しており、具体的には、次の手順で製造されている。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなり表面に酸化皮膜層が形成された陽極電極箔(陽極箔)1と、陰極電極箔(陰極箔)2とを、セパレータ3を介して巻回してコンデンサ素子10を形成する。
【0037】
次に、このコンデンサ素子10に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸する。具体的には、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とをコンデンサ素子10に含浸する。そして、このようにモノマー溶液を含浸させたコンデンサ素子10を熱処理することにより、揮発性溶媒を揮発させる。
【0038】
この後、コンデンサ素子10に酸化剤溶液を含浸して、セパレータ3に浸透した前記モノマー溶液との化学重合反応によりポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層5を生成する。この固体電解質層5は、セパレータ3で保持される。
【0039】
なお、以上のように、コンデンサ素子10に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する方法や、熱処理後に酸化剤溶液を含浸する方法としては、公知の手段、例えば減圧含浸法、加圧含浸法等を用いることができる。ここで、3,4−エチレンジオキシチオフェンは、特開平2−15611号公報等により開示された公知の製法により得ることができる。
【0040】
そして、揮発性溶媒としては、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物の中から選択された材料を用いる。より具体的に、炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン等が使用可能であり、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等が使用可能である。また、エステル類としては、ギ酸エチル、酢酸エチル等が使用可能であり、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が使用可能である。さらに、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール等が使用可能であり、窒素化合物としては、アセトニトリル等が使用可能である。
【0041】
以上のような揮発性材料の中でも、特に、前述したように、メタノール、エタノール、アセトン等を使用することが望ましい。なお、水は、3,4−エチレンジオキシチオフェンにほとんど溶解しないため、水を揮発性溶媒として用いることは好ましくない。
【0042】
また、酸化剤は、ブタノールに溶解したp−トルエンスルホン酸第二鉄を用いている。この場合、ブタノールとp−トルエンスルホン酸第二鉄の比率は任意でよいが、本発明では一例として、40〜60%溶液を用いている。なお、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤との配合比は1:3〜1:6の範囲が好適である。
【0043】
一方、陽極箔1は、アルミニウム等の弁作用金属からなり、図2に示すように、その表面を、塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して多数のエッチングピット8を形成している。さらに、この陽極箔1の表面には、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層4を形成している。
陰極箔2は、陽極箔1と同様にアルミニウム等からなり、表面にエッチング処理のみが施されているものを用いる。
【0044】
陽極箔1及び陰極箔2には、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線6、7が、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続されている。このリード線6、7は、アルミニウム等からなり、陽極箔1、陰極箔2との接続部と外部との電気的な接続を担う外部接続部を構成しており、巻回したコンデンサ素子10の端面から導出される。
【0045】
セパレータ3は、通常のマニラ紙等のセパレータや、ガラスペーパーもしくはガラスペーパーと、マニラ紙、クラフト紙等の紙とを混抄したセパレータ(特願平8−131374号)を用いてもよいが、ビニロン繊維を主体とする不織布や、ビニロン繊維と、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、マニラ紙等の紙繊維等とを混抄した不織布(特願平9−165230号)を用いることが望ましい。
【0046】
コンデンサ素子10は、上記の陽極箔1と陰極箔2とを、セパレータ3を間に挟むようにして巻き取って形成している。両電極箔1、2の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意であり、セパレータ3も両電極箔1、2の寸法に応じてこれよりやや大きい幅寸法のものを用いればよい。
【0047】
以上のような構成を有する本実施の形態の作用は次の通りである。
すなわち、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンの量は、酸化剤に比べて圧倒的に少ないため、このモノマーのみをコンデンサ素子10に含浸した場合にはコンデンサ素子10中でモノマー量の偏りを生じやすいが、本実施の形態のように、モノマーを、メタノール、エタノール、アセトン等の揮発性溶媒で希釈することにより、モノマーをコンデンサ素子10へ均一に含浸することが可能となる。この場合、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をそのままコンデンサ素子10に含浸することも可能であるが、本実施の形態においては、特に、モノマーと揮発性溶媒とを別々に含浸することにより、経時的な変化の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸することができる。
【0048】
そして、このように、モノマーと揮発性溶媒を含浸したコンデンサ素子10を熱処理することによって、揮発性溶媒を揮発させることができる。
【0049】
したがって、酸化剤溶液の含浸により、この酸化剤溶液とコンデンサ素子10に均一に含浸されたモノマーとを化学重合反応させることで、巻回型のコンデンサ素子10の内部に、緻密で均一なポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層5を生成することができる。
【0050】
さらに、熱処理時間が短いため、生産性に優れている。また、揮発性溶媒として、安価で取り扱いも比較的容易なメタノール、エタノール、アセトン等を使用することにより、生産性をより向上できる。
【0051】
【実施例】
次に、本発明による固体電解コンデンサの製造方法と、それによって得られる固体電解コンデンサの実施例について、比較例と比較しながら具体的に説明する。
まず、次の表1は、本発明を適用した典型的な実施例1〜5と、比較例1〜3の、固体電解質層生成用の手順を比較的に示している。
【0052】
【表1】
Figure 0003911785
【0053】
この表1に示す各例について説明すれば、本発明に係る実施例1は、モノマーの含浸処理を行い、さらに数分程度の熱処理を行った後に酸化剤を含浸する例である。そして、実施例2〜5は、アセトンやメタノール等の揮発性溶媒を使用してモノマーの含浸処理を行い、さらに数分程度の熱処理を行った後に酸化剤を含浸する例であり、使用する揮発性溶媒の種類とそのモノマーとの体積比について差異を持たせたものである。
また、比較例2,3は、揮発性溶媒を使用せずに室温で放置する例であり、モノマー含浸から酸化剤含浸までの時間に差異を持たせたものである。さらに、比較例1は、従来技術に係るモノマーと酸化剤の混合液を含浸する技術を適用した例である。
以上のような実施例1〜5と比較例1〜3のそれぞれについて、初期特性を測定したところ、次の表2に示すような結果が得られた。
【0054】
【表2】
Figure 0003911785
【0055】
この結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜5は、静電容量、tanδ、及び等価直列抵抗(ESR)のいずれの特性に関しても、比較例1〜3に比べて良好な値を示している。また、比較例2、3は、比較例1に比べれば良好な値を示しているが、特に、比較例3は、モノマー含浸から酸化剤含浸までに長時間を要するものであり、数分程度の短時間の熱処理を行う実施例1〜5に比べて生産性が低い。
【0056】
なお、本発明は、前記実施の形態や実施例1〜5に限定されるものではなく、揮発性溶媒の種類は適宜選択可能であり、モノマーと揮発性溶媒との体積比も、1:1〜1:3の範囲内で適宜選択可能である。また、前記実施例においては、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸したが、モノマーと揮発性溶媒とを別々に含浸することも可能であり、この場合には、組成変化の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸することができる。さらに、酸化剤やその溶媒の種類、およびその比率等も適宜選択可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法によれば、ポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を生成する際に、コンデンサ素子にモノマーを含浸した後に酸化剤を含浸することにより、巻回型のコンデンサ素子の内部に、均一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成し、電気的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを製造可能である。
【0058】
特に、本発明に係る典型的な製造方法においては、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸し、コンデンサ素子を熱処理した後、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸することにより、巻回型のコンデンサ素子の内部に、より高品質の固体電解質層を生成することができるため、より高い電気的特性を持つ固体電解コンデンサを製造可能である。この製造方法は、特に、数分程度の熱処理を行うだけであり、安価で取り扱いの容易な揮発性溶媒を使用できるため、生産性に優れており、極めて実用的な製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が対象とするコンデンサ素子の一例を示す分解斜視図。
【図2】本発明によって生成された固体電解質層を有する陽極箔を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1…陽極箔
2…陰極箔
3…セパレータ
4…酸化皮膜層
5…固体電解質層
6、7…リード線
8…エッチングピット
10…コンデンサ素子

Claims (6)

  1. 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンからなるモノマーを含浸する工程と、
    前記モノマーを含浸する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤を含浸する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する工程と、
    前記モノマー溶液を含浸する工程の後に、コンデンサ素子を熱処理する工程と、
    前記熱処理する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸する工程
    を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記揮発性溶媒として、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物の中から選択された材料を使用する
    ことを特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記揮発性溶媒として、メタノール、エタノール、アセトンの中から選択された材料を使用する
    ことを特徴とする請求項3記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒を別々に含浸する
    ことを特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸する
    ことを特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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