JP3906349B2 - 生分解性複合モノフィラメントおよびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性と力学的性質が均衡して優れたモノフィラメント、およびこのモノフィラメントからなる水産資材、特に釣糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、釣糸など水産資材用途に使用されるモノフィラメント素材としては、その力学的な要求特性から、主としてポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリ弗化ビニリデンなどの合成樹脂が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、これらの合成樹脂からなる水産資材用モノフィラメントは、自然の環境下ではほとんど分解しないため、使用後に捨てられたり、放置された場合には、そのまま半永久的に自然界に残存することになり、環境衛生上大きな問題となっていた。
【0004】
より具体的には、捨てられた廃棄釣糸が海底に林立していたり、またこれらの廃棄釣糸や切断釣糸が鳥や海洋生物に絡み付いて、殺傷したりする事態が頻発しており、環境保護および自然保護の両面よりその改善が強く望まれていた。
【0005】
そこで、近年では、実用後に自然界の菌類や微生物により生分解して自然消滅する釣糸、漁網、海苔網などの水産資材、あるいは各種産業資材用途に使用する生分解性繊維に関する開発が盛んになっている。
【0006】
そして、上記生分解性繊維を構成する生分解性ポリマーとしては、ポリブチレンサクシネートを代表とするポリアルキレンサクシネート類、ポリ−3−ヒドロキシブチレートを代表とするポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびポリ−ε−カプロラクトンなどが知られているが、それぞれのポリマー単独では、生分解性と繊維としての力学的な性能の両方を満足することが難しいことから、最近では異種のポリマーを組合せて複合化した繊維の検討が行われており、具体的には(A)高融点ポリマーと低融点ポリマーを組合せた芯鞘複合繊維(特開平6−207324号公報、特開平6−248516号公報)、(B)鞘部を難分解性ポリエステル、芯部を鞘部より2倍以上の劣化速度を有する易分解性ポリエステルとする芯鞘複合繊維(特開平7−305234号公報)、および(C)芯成分としてポリヒドロキシアルカノエートまたはその共重合体を、鞘成分としてポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのポリアルキレンジカルボキシレート類を用いた芯鞘複合繊維(特開平7−324227号公報)などがすでに提案されている。
【0007】
しかしながら、上記(A)の芯鞘複合繊維は、生分解性と熱接着性を重視したものであり、水産資材あるいは各種産業資材用途に使用する繊維としては、力学的な性能が不満足なものであった。
【0008】
また、上記(B)および(C)の芯鞘複合繊維は、生分解速度の制御を主題としたものであり、やはり、十分な力学的な性能を満足しているとは言い難いものであった。
【0009】
したがって、従来の生分解性複合繊維は、いずれも繊維としての十分な力学的性能と、特に水産資材用途としての十分な生分解性能を兼ね備えたものではなく、その改良が望まれているのが実状であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、水産資材あるいは各種産業資材用途に使用する繊維としての生分解性と力学的性質が均衡して優れたモノフィラメント、およびこのモノフィラメントからなる水産資材、特に釣糸を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の生分解性複合モノフィラメントは、融点が70℃以上であるポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、およびポリブチレン(サクシネート/アジペート)から選ばれた少なくとも一種を芯成分とし、ポリ乳酸、ポリ乳酸の共重合ポリマー、およびポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類から選ばれた少なくとも一種を鞘成分とすることを特徴とし、前記芯成分/鞘成分の重量比が、95/5〜40/60の範囲にあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の生分解性モノフィラメントは、各種水産資材、特に釣糸の用途に好適であり、なかでも本発明の生分解性モノフィラメントからなる釣糸は、優れた生分解性と共に、引張強度4.0g/d以上、結節強度3.0g/d以上という優れた力学的性質を発揮する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の生分解性複合モノフィラメントの芯成分には、融点が70℃以上であるポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、およびポリブチレン(サクシネート/アジペート)の中から単独または2種以上を組合わせてブレンドしたものが用いられる。
【0016】
また、本発明の生分解性複合モノフィラメントの鞘成分を構成するポリ乳酸としてはポリ−L−乳酸および/またはポリ−D−乳酸が、ポリ乳酸の共重合ポリマーとしてはL−乳酸/D−乳酸/ラセミ体乳酸の混合物をモノマーとする共重合ポリマーなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0017】
同じく、鞘成分を構成するポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類としては、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、およびポリ−3−ヒドロキシ(ブチレート/バリレート)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
なお、本発明で用いる上記各ポリマーには、例えば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、結晶化抑制剤、および可塑剤などの各種添加剤を、目的とする性能を疎外しない範囲で、その重合工程、重合後あるいは紡糸直前に添加することができる。
【0019】
本発明の目的は、水産資材あるいは各種産業資材用途に使用される繊維としての十分な力学的性能と生分解性とを均衡に兼備したをモノフィラメントを得ることであるが、ここでその力学的性能と生分解性について説明すれば次のとおりである。
【0020】
すなわち、本発明でいう繊維としての力学的性能とは、特に耐摩耗性と耐疲労性である。もちろん、ある程度の引張強さなどの基本的な性能は必要であるが、さらにこの耐摩耗性と耐疲労性を兼ね備えることが、水産資材あるいは各種産業資材用途に使用される繊維として必要な条件である。
【0021】
上述したように、生分解性ポリマーとしては、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレン(サクシネート/アジペート)、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびポリ−ε−カプロラクトンなどが存在するが、それぞれのポリマー単独で造られた繊維では、この耐摩耗性と耐疲労性の両方を併せて具備することが困難であった。例えば、ポリブチレンサクシネート(曲げ弾性率0.7GPa)から造られた繊維は、耐疲労性に優れるが耐摩耗性に劣り、ポリ乳酸(曲げ弾性率3.3GPa)またはポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類を代表するポリ−3−ヒドロキシ(ブチレート/バリレート)(曲げ弾性率2.7GPa)から造られた繊維は、耐摩耗性に優れるが耐疲労性に劣るといった具合に、一般的に二律背反的な面があった。
【0022】
そこで、本発明者らは、この両特性に優れる繊維を造ることを目的に鋭意検討した結果、比較的曲げ弾性率の低いポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、およびポリブチレン(サクシネート/アジペート)から選ばれた少なくとも一種を芯成分とし、比較的曲げ弾性率の高いポリ乳酸、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類を鞘成分とした複合モノフィラメントとすることによって、耐摩耗性と耐疲労性が共に優れた繊維が得られることを見出したのである。
【0023】
そして、特に芯成分/鞘成分の重量比を95/5〜40/60の範囲とした複合モノフィラメントは、強度が高く、釣糸として使用した場合のチヂレ難さについても良好であることから、水産資材用途、取り分け釣糸としてきわめて優れている。
【0024】
次に生分解性について説明する。生分解性については客観的な評価がなかなか難しい面があるが、一般的には自然環境下(たとえば土壌中)3〜6か月程度で引張強力が50%以下に低下、あるいは形状消失することが理想的である。生分解性を制御する手法としては、鞘成分を比較的分解速度の遅いポリマー、芯成分を鞘成分より分解速度の速いポリマーとした芯鞘複合繊維の技術(特開平7−305234号公報および特開平7−324277号公報)が既に知られているが、本発明の生分解性複合モノフィラメントは、むしろ逆に鞘成分が比較的分解速度が速いポリマー、芯成分が比較的分解速度が遅いポリマーで構成されており、その点で従来技術とは技術思想が異なる。
【0025】
しかしながら、予想に反して、本発明で造られた複合モノフィラメントは、生分解性に優れると共に、従来技術に比較して、引張強度、結節強度、耐摩耗性および耐疲労性などの力学的性質が格段にすぐれ、釣糸に代表される水産資材用としてきわめて有用であることが判明したのである。
【0026】
本発明の生分解性複合モノフィラメントは、以下に説明する方法により効率的に製造することができる。
【0027】
まず、上記生分解性複合モノフィラメントを溶融紡糸するに際しては、芯鞘複合用押出紡糸機を用いる通常の条件を採用することができ、ポリマー温度170〜240℃、押出圧力10〜500Kg/cm3 、口金孔径0.1〜5mm、紡糸速度0.3〜100m/分などの条件を適宜選択することができる。
【0028】
紡出されたモノフィラメントは、短い気体ゾーンを通過した後、冷却浴中で冷却されるが、ここで冷却媒体としてはポリマーに不活性な液体、通常は水が用いられる。また、冷却温度は60℃以下である必要があり、それを越える温度で冷却する場合には、次の延伸工程での延伸性が阻害される場合がある。
【0029】
冷却固化されたモノフィラメントは、引続き1段目の延伸工程に送られるが、延伸および熱固定の雰囲気(浴)としては、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびシリコーンオイルなどの加熱した熱媒体、乾熱気体浴、および温水浴などが用いられる。
【0030】
次いで延伸を行うに際しては、先ず1段目の延伸を2.5〜5.0倍の倍率に設定し、その後全延伸倍率が6.0倍以上となる延伸倍率で2段目または2〜3段目の多段延伸を行う。
【0031】
ここで、1段目の延伸倍率が2.5倍未満、および6.0以上では次工程での糸切れが発生しやすくなるため好ましくない。
【0032】
また、全延伸倍率が6.0倍未満では、得られるモノフィラメントの引張強度、結節強度が低くなるため好ましくない。
【0033】
多段延伸後には、必要に応じて延伸歪みを除去することなどを目的として、適度な定長、弛緩熱処理を行うこともできる。
【0034】
このようにして得られる本発明の生分解性複合モノフィラメントは、強度、耐摩耗性、耐疲労性など繊維としての力学的性能と、適度な生分解性(土壌中3〜6か月で引張強力が50%以下に低下、あるいは形状消失する)を兼備していることから、各種産業資材用途、なかでも釣糸、漁網、生簀網などの水産資材用途、取り分け釣糸としてきわめて有用である。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに説明するが、実施例におけるモノフィラメントの評価は以下の方法に準じて行った。
【0036】
(1)引張強度および結節強度:JISL1013の規定に準じて測定した。
(2)チヂレ難さ:スピニングリールにモノフィラメントを50m巻いて、実際にルアーフィッシングを3時間行った後のモノフィラメントのチヂレ具合を目視で相対評価した結果を、下記の基準で示した。
○ チヂレがほとんどない
△ チヂレがややある
× チヂレがひどい。
(3)耐摩耗性:直径50mmの回転体表面に#320のサンドペーパーを巻つきけて、これを毎分180回転で回転させる。一方モノフィラメントに1/20デニールの荷重をかけて垂直にたらし、これを前記回転体に対し90°の角度で接触させ、モノフィラメントが切断するまでの回転数(回)を測定した。試験回数は5回とし、その平均値で示した。回数が多いほど耐摩耗性が優れている。
(4)耐疲労性:屈曲疲労試験機(TOYOSEIKI社製)用いて測定した。すなわち、試長8cmのモノフィラメントの一端側に500gの荷重をかけ、他端側にチャックを振角度220°、回転数180回/分の条件で振子運動させた場合に、モノフィラメントが切断するまでの運動回数を測定した。試験回数は5回とし、その平均値で示した。回数が多いほど耐屈曲疲労性が優れている。
【0037】
(5)生分解性:資料を土壌中に3か月間放置して取り出し、モノフィラメントがその形状を消失しているか、引張強力保持率が50%以下になるものを「良好」、生分解性を示すがそこまで至らないものを「やや遅い」と評価した。
【0038】
[実施例1]
ポリブチレンサクシネート(MI:1.0g/10分、融点:114℃…ポリマーA1)を芯成分(80重量部)とし、ポリ−L−乳酸(MI:1.5g/10分、融点:175℃…ポリマーB1)を鞘成分(20重量部)として、エクストルーダー型複合紡糸機で230℃で溶融し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さらに20℃の水浴中で冷却した。
【0039】
次に、この未延伸糸を70℃の温水1段目延伸浴中で4.5倍(E1)に延伸し、引続いて85℃の2段目乾熱浴中で2.13倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が9.6倍のモノフィラメントを得た。
【0040】
引続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させ熱処理を施すことにより、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0041】
[実施例2]
ポリブチレン(サクシネート/アジペート)(MI:1.5g/10分、融点:95℃…ポリマーA2)を芯成分(80重量部)とし、ポリ−3−ヒドロキシ(ブチレート/バリレート)(MI:8g/10分、融点:162℃…ポリマーB2)を鞘成分(20重量部)として、実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸を得た。
【0042】
次に、この未延伸糸を80℃の温水1段目延伸浴中で3.7倍(E1)に延伸し、引続いて95℃の2段目乾熱浴中で2.22倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が10.0倍のモノフィラメントを得た。
【0043】
続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させ熱処理を施すことにより、0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0044】
[実施例3]
実施例1で用いたポリマーA1を芯成分(70重量部)とし、実施例1で用いたポリマーB1(15重量部)と実施例2で用いたポリマーB2(15重量部)のブレンドポリマーを鞘成分として、実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸を得た。
【0045】
次に、この未延伸糸を75℃の温水1段目延伸浴中で4.3倍(E1)に延伸し、引続いて90℃の2段目延伸浴中で2.18倍(E2)に延伸し、全延伸倍率(E1×E2)が9.4倍のモノフィラメントを得た。
【0046】
続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させるつ処理を施すことにより、直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0047】
[比較例1]
実施例1で用いたポリマーA1単独とした以外は、実施例1と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0048】
[比較例2]
実施例1で用いたポリマーB1単独とした以外は、実施例1と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0049】
[比較例3]
実施例2で用いたポリマーB2単独とした以外は、実施例2と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0050】
[比較例4]
実施例1で用いたポリマーB1を芯成分(80重量部)とし、ポリマーA1を鞘成分(20重量部)とした以外は、実施例1と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0051】
[比較例5]
実施例2で用いたポリマーB2を芯成分(80重量部)とし、ポリマーA2を鞘成分(20重量部)とした以外は、実施例2と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0052】
[比較例6]
実施例2において、芯成分のポリマーA2の比率を97重量部とし、鞘成分のポリマーB2の比率を3重量部とした以外は、実施例2と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0053】
[比較例7]
実施例1において、芯成分のポリマーA1の比率を30重量部とし、鞘成分のポリマーB1の比率を70重量部とした以外は、実施例1と同一の製法で直径0.22mmのモノフィラメントを得た。
【0054】
上記実施例1〜3および比較例1〜7で得られた各モノフィラメントについて、モノフィラメントとしての上記各特性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0055】
【表1】
表1の結果から明らかなように、融点が70℃以上であるポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、およびポリブチレン(サクシネート/アジペート)から選ばれた少なくとも一種を芯成分とし、ポリ乳酸およびそれの共重合ポリマー、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類から選ばれた少なくとも一種を鞘成分とし、芯成分と鞘成分の重量比が95/5〜40/60の範囲にある本発明のモノフィラメント(実施例1〜3)は、繊維としての優れた力学的性能と生分解性を兼ね備えたものであり、生分解性モノフィラメントとしての要求性能を理想的に満たすものである。
【0056】
また、この生分解性複合モノフィラメントを実際に釣糸として使用した場合には、使用後のチヂレもほとんどなく、釣糸としてきわめて良好であった。
【0057】
一方、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類をそれぞれ単独に用いたモノフィラメント(比較例1〜3)、およびポリ乳酸およびそれの共重合ポリマー、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類から選ばれた少なくとも一種を芯成分とし、融点が70℃以上であるポリアルキレンジカルボキシレート類を鞘成分とした、本発明とは芯/鞘成分を逆転した複合モノフィラメント(比較例4、5)は、強度、耐摩耗性、耐疲労性、生分解性のいずれかが劣り、水産資材用途における要求性能を満足するものではなかった。
【0058】
また、芯成分/鞘成分の重量比が95/5〜40/60の範囲から外れた複合モノフィラメント(比較例6、7)は、本発明が目的とする効果を充分に満たすものではなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の生分解性複合モノフィラメントは、繊維としての力学的性能および生分解性が均衡に優れていることから、環境、自然保護の両面から改善が強く望まれている各種産業資材用途、中でも水産資材用途、取り分け釣糸用途のモノフィラメントとしての要求性能を十分に満たすものである。
Claims (5)
- 融点が70℃以上であるポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、およびポリブチレン(サクシネート/アジペート)から選ばれた少なくとも一種を芯成分とし、ポリ乳酸、ポリ乳酸の共重合ポリマー、およびポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類から選ばれた少なくとも一種を鞘成分とし、芯成分/鞘成分の重量比が、95/5〜40/60の範囲にあることを特徴とする生分解性複合モノフィラメント。
- ポリ乳酸がポリ−L−乳酸および/またはポリ−D−乳酸であり、ポリ乳酸の共重合ポリマーがL−乳酸/D−乳酸/ラセミ体乳酸の混合物をモノマーとする共重合ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の生分解性複合モノフィラメント。
- ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類が、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、およびポリ−3−ヒドロキシ(ブチレート/バリレート)から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の生分解性複合モノフィラメント。
- 請求項1〜3記載の生分解性複合モノフィラメントからなることを特徴とする水産資材。
- 請求項1〜3記載の生分解性複合モノフィラメントからなり、引張強度4.0g/d以上、結節強度3.0g/d以上であることを特徴とする釣糸。
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