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JP3904523B2 - エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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JP3904523B2 JP2003063444A JP2003063444A JP3904523B2 JP 3904523 B2 JP3904523 B2 JP 3904523B2 JP 2003063444 A JP2003063444 A JP 2003063444A JP 2003063444 A JP2003063444 A JP 2003063444A JP 3904523 B2 JP3904523 B2 JP 3904523B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高度の防湿性能を有する防湿フィルムにより封止されたエレクトロルミネセンス素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光化合物の固体(蛍光体)に電場を印加して、電気エネルギーを蛍光の発光エネルギーに変換する作用をエレクトロルミネセンス(EL)と呼ぶ。ELは、その基本素子構造から薄膜型と分散型に分類することができる。薄膜型EL素子は、蛍光体の薄膜からなる発光層を備えたものである。分散型EL素子は、粉末蛍光体を有機または無機のバインダ中に分散させた発光層を備えたものである。EL素子は、発光層を直接または絶縁層を介して一対の電極により挟んだ素子本体を備えており、一対の電極の少なくとも一方には透明性を有する電極が用いられている。EL素子は、駆動電圧が直流か交流かによって、直流駆動型(DC型)と交流駆動型(AC型)とに分けられる。
【0003】
EL素子は、薄膜、軽量の特徴を活かして、例えば、液晶表示素子用バックライト、常夜灯、道路標識、夜間広告、装飾などの面発光光源、あるいはコンピュータやワープロの端末ディスプレイ、テレビの画像ディスプレイなどのフラットディスプレイとして用途が広がりつつある。
【0004】
発光層を構成する螢光体は、吸湿すると、その発光輝度が著しく損なわれる。そのため、EL素子は、一般に、一対の電極間に発光層が配置されたEL素子本体を、透明な防湿体で封止した構造を有している。従来、EL素子の防湿体としては、ポリ塩化三フッ化エチレン(PCTFE)フィルムを主体とする防湿フィルムやガラス基板が用いられている。これらのうち、ガラス基板は、薄膜化や軽量化に限度があり、可撓性に欠けるという問題もある。
【0005】
一方、PCTFEは、フッ素系樹脂であるためコストが高く、しかもPCTFEフィルムは、雰囲気温度が50℃を越えるとその防湿性能が著しく低下するため、高温下でのEL素子の寿命が極端に短くなるという問題があった。加えて、将来、フッ素系樹脂原料の入手が難しくなることが予測されるという事情もあり、PCTFEに代わる他の樹脂材料が求められてきた。
【0006】
従来、このような他の樹脂材料として、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどが検討され、さらには、ケイ素酸化物の蒸着膜を設けた樹脂フィルムも検討されてきた。しかしながら、いずれの材料も、PCTFEフィルムを用いた場合に比べて、防湿性能が充分ではなく、EL素子の寿命を長くすることができないため、実用化に至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリ塩化三フッ化エチレンフィルムを主体とする従来の防湿フィルムと同程度あるいはそれを越える高度の防湿性能を有し、かつ、環境温度や湿度の変化に対して安定した防湿性能を示し、しかも薄膜化及び軽量化が可能な防湿フィルムにより封止されたEL素子及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を行う過程で、ケイ素酸化物薄膜に代表される金属または非金属の酸化物からなる蒸着膜を形成したポリビニルアルコールフィルム(以下、PVAフィルムと略記)に着目した。このような蒸着膜を形成したPVAフィルム(以下、蒸着PVAフィルムと略記)は、透明であり、水蒸気バリア性の尺度となる透湿度が極めて小さいものである。ところが、蒸着PVAフィルムは、実用上の防湿性能に劣るため、PCTFEフィルムのようにEL素子のパッケージ用防湿フィルムとして有効に用いられていない。
【0009】
実際、本発明者らは、蒸着PVAフィルムを含有する多層フィルムを防湿フィルムとして用い、EL素子の封止を行ったところ、高湿度条件に曝されると、EL素子の発光輝度が著しく低下することが判明した。蒸着PVAフィルムを含有する多層フィルム自体の透湿度は極めて小さいにもかかわらず、実用性能に劣る防湿フィルムしか得ることができない理由について、さらに検討を行った。その結果、蒸着PVAフィルムまたは蒸着PVAフィルムを含有する多層フィルムは、通常の製造条件下では、吸湿性樹脂であるPVAの吸湿が避けられず、PVAフィルムがある程度の水分を含有しており、それが実用性能に悪影響を及ぼしているのではないかと推定した。
【0010】
そして、PVAフィルムの両面に直接または接着剤層を介してケイ素酸化物薄膜を配置した構造の多層フィルムを用い、かつ、使用するPVAフィルムまたは蒸着PVAフィルム、あるいは多層フィルムを、実質的に絶乾状態になるまで徹底的に乾燥したところ、驚くべきことに、実用性能上、PCTFEフィルムを主体とする防湿フィルムに匹敵するか、それを上回る高度の防湿性能を有する新規な防湿フィルムの得られることを見いだした。
【0011】
本発明者らは、蒸着PVAフィルムまたは蒸着PVAフィルムを含有する多層フィルムの防湿性能は、単に、透湿度によって評価することができず、透湿量(測定法は、後記)を加味して評価すべきことを見いだした。実際、PVAフィルムの両面に直接または接着剤層を介してケイ素酸化物薄膜を配置した構造の多層フィルムについて、通常の製造条件下で作製したものと、本発明の製造方法に従って徹底的に乾燥したものを、それぞれ防湿フィルムとして使用して作製したEL素子の透湿量を測定したところ、両者の間に透湿量に極めて大きな差異があることが判明した。
【0012】
通常の製造条件下で作製した多層フィルムを用いたのでは、高湿度環境下に曝されると、EL素子の発光輝度保持率が大幅に低下し、ひどい場合には、発光輝度が喪失してしまうことがある。これに対して、徹底的に乾燥処理した多層フィルムからなる本発明の防湿フィルムを用いると、高湿度環境下に曝された場合であっても、長期間にわたって、高度の発光輝度保持率を示すEL素子を得ることができる。
【0013】
本発明で使用する防湿フィルムが、このような高度の防湿性能を示す理由または機構は、現段階では必ずしも全面的に明確ではないが、本発明者らは、次のように考えている。従来の蒸着PVAフィルムは、通常の製造条件下で吸湿しているため、ある程度の水分を含有している。これを初期吸水量と呼ぶ。蒸着PVAフィルムまたは蒸着PVAフィルムを含有する多層フィルムの透湿度は、この初期吸水量によりあまり影響を受けないが、透湿量については、大きく影響を受ける。この透湿量が大きいと、実用的な防湿性能に劣る防湿フィルムしか得ることができない。一方、蒸着PVAフィルムまたは蒸着PVAフィルムを含有する多層フィルムを徹底的に乾燥すると、初期吸水量が低下することに加えて、エイジング効果等により、PVAフィルム自体の耐透湿性が著しく向上し、さらには、後述するように、蒸着膜と接着剤層とによる耐透湿性の向上も寄与するものと推定される。このような乾燥処理による防湿性能の顕著な向上効果は、従来技術では予期することができない顕著なものである。
【0014】
PVAフィルムの両面に直接または接着剤層を介して金属または非金属の酸化物薄膜を配置した構造の多層フィルムは、優れて小さな透湿度を示すが、両側に存在する酸化物薄膜の持つ水蒸気バリア性能に妨げられて、間に存在するPVAフィルム(代表的な吸湿性樹脂層)、ひいては多層フィルムの望ましい乾燥状態を簡単に得ることができない。しかし、高温で10時間以上、場合によっては、100時間以上にわたる徹底的な乾燥処理を行うことにより、一旦望ましい乾燥状態が得られると、その小さな透湿度と相まって、優れて小さな透湿量を安定的に保持し得る防湿フィルムを得ることができる。
【0015】
本発明で使用する防湿フィルムは、環境温度や湿度の変化によっても、その防湿性能に悪影響が出ることはない。また、層構成を適宜選択することにより、可撓性を持たせることが可能である。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一対の電極間に発光層が配置されたエレクトロルミネセンス素子本体を少なくとも一部が防湿フィルムである防湿体により封止してなるエレクトロルミネセンス素子において、該防湿フィルムが、
ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に直接または接着剤層(B)を介して金属または非金属の酸化物薄膜(C)が配置された層構成を含有する透明な多層フィルムからなり、
(1)温度60℃、相対湿度90%で測定した透湿度が0.05g/m2・24hr以下で、かつ、
(2)温度40℃、相対湿度100%で測定した50時間の透湿量が0.15g/m2以下
である防湿フィルムであることを特徴とするエレクトロルミネセンス素子が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、一対の電極間に発光層が配置されたエレクトロルミネセンス素子本体を少なくとも一部が防湿フィルムである防湿体により封止しなるエレクトロルミネセンス素子の製造方法において、該防湿フィルムとして、
ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に直接または接着剤層(B)を介して金属または非金属の酸化物薄膜(C)が配置された層構成を含有する透明な多層フィルムを使用し、かつ、
(1)温度60℃、相対湿度90%で測定した透湿度が0.05g/m2・24hr以下で、かつ、
(2)温度40℃、相対湿度100%で測定した50時間の透湿量が0.15g/m2以下
となるように、該多層フィルムまたは該多層フィルムを構成するポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を乾燥する工程を設けたことを特徴とするエレクトロルミネセンス素子の製造方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が対象とするEL素子の一例を示す断面模式図である。図1に示すEL素子は、電極2を設けた基板3と、電極4を設けた基板5により、発光層1を挟持してなるEL素子本体を、一対の防湿体6及び7間に封止してなる構造を有する。一対の電極2及び4には、それぞれリード電極が接続され、外部電源からの給電により、発光層1に電界を印加する構成となっている。
【0019】
発光層1は、粉末螢光体を有機または無機のバインダ中に分散させた分散型でもよいし、螢光体の薄膜からなる薄膜型でもよい。螢光体は、無機螢光体でも有機螢光体でもよい。また、発光層は、特開平7−135080号公報に開示されるような螢光体を有機−無機複合マトリクス中に分散させたハイブリッド型発光層であってもよい。基板3及び5は、例えば、プラスチックフィルム、ガラス板、金属板等からなり、その少なくとも一方を透明として、発光層からの光が外部に透過するようにする。なお、本明細書において、「透明」とは、発光層からの光を透過し得る程度に透明であることを意味する。
【0020】
各基板上に設けた電極2及び4は、金属やITO(インジウム−すず複合酸化物)等の金属酸化物等から形成され、その少なくとも一方を透明として、発光層からの光が外部に透過するようにする。したがって、基板−電極の複合体の一方は、不透明でもよく、その場合、一方の基板−電極複合体(例えば、基板5と電極4との複合体)をアルミニウム箔などの一枚の金属板で構成して、基板兼電極としてもよい。
【0021】
このような発光層1、基板3及び5、並びに電極2及び4からなるEL素子本体は、一つとは限らず、複数個を平面的に並べたり、あるいは縦に積層し、これら複数個のEL素子本体をまとめて一対の防湿体6及び7間に封止することもできる。
【0022】
一対の防湿体6及び7の少なくとも一方は、本発明の防湿フィルムにより構成するが、必要に応じて、他方はガラス基板または金属板であってもよい。そして、例えば、一方の防湿体7がガラス基板である場合、その上の基板5を省略し、電極4を直接ガラス基板上に設けてもよい。また、一対の防湿体6及び7が、いずれも本発明の防湿フィルムである場合、それらは、一枚の防湿フィルムの折り返し体であってもよい。このように、防湿体の一部は、ガラス基板や金属板であってもよい。したがって、本発明のEL素子は、EL素子本体を少なくとも一部が防湿フィルムである防湿体により封止してなるEL素子を包含する。
【0023】
図2は、本発明が対象とするEL素子の他の一例を示す断面模式図である。図2に示すEL素子は、透明導電フィルム(ITO)23と背面電極(Al箔)26との間に、有機バインダで固めた粉末蛍光体からなる発光層24とその片側に絶縁破壊防止用の誘電体層25を挟んだ構造を有するものである。さらに、図2のEL素子では、除湿用の吸湿フィルム22及び27を挿入し、防湿フィルム21及び28で封止して柔軟性を持たせてある。
【0024】
本発明では、防湿フィルムとして、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に直接または接着剤層(B)を介して金属または非金属の酸化物薄膜(C)が配置された層構成を含有する透明な多層フィルムからなり、特定の透湿度及び透湿量を有するものを使用する。
【0025】
酸化物薄膜(C)は、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の片面または両面に形成されていてもよいが、他の透明樹脂層(D)の上に形成されていてもよい。ただし、酸化物薄膜(C)は、それが蒸着により形成された面とは反対側の面上には、接着剤層(B)が配置されており、それによって、他の層と接着させると共に、酸化物薄膜(C)を保護してクラックの発生を防止し、さらには、防湿性能を一段と高める役割を果たす。
【0026】
本発明で使用する防湿フィルムは、代表的には、図3〜図8に示すような基本的な層構成を含むものであり、これらに、必要に応じて、さらに同種または異種の付加的な層を積層することができる。
図3には、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)33の両面に酸化物薄膜(C)32及び34を形成した複合フィルムXを用い、その両面に、それぞれ接着剤層aを介して、透明樹脂層(D)31及び35が積層されている構造の層構成が示されている。
【0027】
図4には、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)43の片面に酸化物薄膜(C)42を形成した複合フィルムXの片面に、接着剤層aを介して透明樹脂層(D)41を積層し、他面には、透明樹脂層(D)45の片面に酸化物薄膜(C)44を形成した複合フィルムYを接着剤aを介して積層した構造の層構成が示されている。
図5には、透明樹脂層(D)51の片面に酸化物薄膜(C)52を形成した複合フィルムXと、透明樹脂層(D)55の片面に酸化物薄膜(C)54を形成した複合フィルムYとを、それぞれ接着剤層aを介して、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)53の両面に積層した構造の層構成が示されている。
【0028】
図6には、透明樹脂層(D)61の片面に酸化物薄膜(C)62を形成した複合フィルムXと、透明樹脂層(D)66の片面に酸化物薄膜(C)65を形成した複合フィルムZとを、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)64の片面に酸化物薄膜(C)63を形成した複合フィルムYの両面に、それぞれ接着剤層aを介して積層した構造の層構成が示されている。
【0029】
図7には、透明樹脂層(D)71の片面に酸化物薄膜(C)72を形成した複合フィルムXと、透明樹脂層(D)76とを、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)74の両面に酸化物薄膜(C)73及び75を形成した複合フィルムYの両面に、それぞれ接着剤層aを介して積層した構造の層構成が示されている。
【0030】
図8には、透明樹脂層(D)81の片面に酸化物薄膜(C)82を形成した複合フィルムXと、透明樹脂層(D)87の片面に酸化物薄膜(C)86を形成した複合フィルムZとを、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)84の両面に酸化物薄膜(C)83及び85を形成した複合フィルムYの両面に、それぞれ接着剤層aを介して積層した構造の層構成が示されている。
【0031】
したがって、本発明で使用する防湿フィルムは、
(i) ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に直接または接着剤層(B)を介して酸化物薄膜(C)が配置され、さらに、
(ii)各酸化物薄膜(C)上に直接または接着剤層(B)を介して透明樹脂層(D)または酸化物薄膜(C)が形成された透明樹脂層(D)が配置された層構成
を含有する多層フィルムが好ましく、その基本構成の代表的な例としては、以下のような層構成を挙げることができる。
【0032】
(1) 透明樹脂層(D1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C1)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/酸化物薄膜(C2)/接着剤層(B2)/透明樹脂層(D2)、
(2) 透明樹脂層(D1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C1)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/接着剤層(B2)/酸化物薄膜(C2)/透明樹脂層(D2)、
(3) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/接着剤層(B2)/ 酸化物薄膜(C2)/透明樹脂層(D2)、
(4) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C2)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/接着剤層(B2)/酸化物薄膜(C3)/透明樹脂層(D2)、
(5) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C2)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/酸化物薄膜(C3)/接着剤層(B2)/透明樹脂層(D2)、及び
(6) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C2)/ ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/酸化物薄膜(C3)/接着剤層(B2)/酸化物薄膜(C4)/透明樹脂層(D2)。
【0033】
本発明の多層フィルムは、前記の如き基本構成の多層フィルムの少なくとも一方の面に、直接または接着剤層(B)を介して、透明樹脂層(D)及び酸化物薄膜(C)が形成された透明樹脂層(D)からなる群より選ばれる少なくとも一層の付加的な層がさらに配置されていてもよい。
【0034】
ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)は、それ自体が吸湿性の樹脂を用いても、吸湿性または非吸湿性の樹脂と塩化カルシウムのような吸湿性化合物とを混合して得られる吸湿性の樹脂組成物によって構成してもよい。ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂としては、ポリ酢酸ビニル(部分)けん化物であるポリビニルアルコール(PVA)を挙げることができる。PVAとしては、けん化度が通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上のものが望ましい。PVAフィルムを用いると、乾燥処理を徹底的に行えば行うほど、初期水分量を低減できると共に、透湿量を少なくすることができ、その結果、実用的な高度の防湿性能を有する防湿フィルムを得ることができ、その防湿性能は、環境温度や湿度の変化によっても、損なわれることがない。
【0035】
非吸湿性樹脂の例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン共重合体等が挙げられる。塩化カルシウム等の吸湿性化合物の添加により、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の透明性は若干損なわれることがあるが、発光層からの発光を透過し得るだけの透明性は充分維持し得る。ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の厚さは、通常5〜400μm、好ましくは10〜200μmである。本発明の多層フィルムでは、必要に応じて接着剤層を介して、複数の吸湿性樹脂層を積層してもよい。つまり、透明樹脂層(D)として、吸湿性樹脂層を一層以上配置することもできる。
【0036】
金属または非金属の酸化物薄膜(C)を構成する酸化物としては、透明性を有し適度な屈曲性を有する薄膜を与えるものであれば特に限定されない。金属酸化物としては、例えば、Al、Zn、Sn、In、Ti、またはこれらのいずれかの二種以上の金属の酸化物が挙げられる。非金属の無機酸化物としては、SiO、SiO2またはこれらの混合物などのケイ素酸化物が代表的なものであり、本発明において、特に好ましく用いることができる。ケイ素酸化物薄膜中には、10重量%以下の少量であれば、不純物として、カルシウム、マグネシウム、またはそれらの酸化物などが混入していてもよい。
【0037】
酸化物薄膜(C)の厚さは、通常10〜500nm、好ましくは20〜200nmである。この厚さが薄すぎると、防湿性能が不充分となり、厚すぎると、フィルムにカールが発生したり、酸化物膜自体に亀裂や剥離が生じやすくなる。
【0038】
酸化物薄膜は、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)や透明樹脂層(D)の上に、通常は蒸着法により形成されるが、それが形成された面とは反対側の面には接着剤層が設けられる。接着剤層を設けることにより、防湿性能が一段と高められる。接着剤層を構成する接着剤としては、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤、エラストマー接着剤のいずれでもよいが、好適には熱硬化性接着剤が用いられる。いずれの場合も熱処理することが望ましい。熱処理は、接着剤をはじめ各層を構成する樹脂成分が分解しない限り、高温で長時間行うことが好ましい。熱処理時間は、高温ほど短時間で済み、生産性の観点から好ましい。熱処理時間は、層構成に依存することはいうまでもない。
【0039】
本発明で使用する多層フィルムは、透明樹脂層(D)などの付加的な層を適宜配置することができる。そこで、以下、付加的な層について説明する。例えば、図3に示すような一枚のポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に酸化物薄膜(C)を形成すると、一般に、このような複合フィルムを含有する多層フィルムの可撓性が低下するので、特に高度の可撓性が要求される分野では使用が困難となる場合がある。また、このような複合フィルムを含有する多層フィルムを防湿フィルムとして使用すると、折り曲げの際に、特に外側に位置する酸化物薄膜(C)に亀裂が発生し、防湿性能が損なわれることがある。したがって、一般には、一枚のフィルムには、蒸着等によりその片面にのみ酸化物薄膜(C)を形成し、このように片面に酸化物薄膜(C)を形成した複合フィルムの2枚を、接着剤層を介して接合することが好ましい。つまり、可撓性の観点からは、図4〜図6に示す層構成により、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を一対の酸化物薄膜(C)により挟持する構成を採ることが好ましい。
【0040】
ただし、可撓性がそれほど要求されない用途分野では、図3、図7及び図8の層構成を含有する多層フィルムを使用することが可能である。これらの場合においても、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に酸化物薄膜(C)を形成した複合フィルムの両面に、他の透明樹脂層(D)または酸化物薄膜(C)を片面に形成した複合フィルムを、接着剤層(B)を介して接合することにより、酸化物薄膜(C)を保護することができる。接着剤層としては、例えば、厚みが1〜50μm程度のウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等の接着剤からなる層が用いられる。
【0041】
付加的な層としては、透明樹脂層(D)または酸化物薄膜(C)を形成した透明樹脂層(複合フィルム)が代表的なものである。透明樹脂層を形成する樹脂は、吸湿性樹脂でも非吸湿性樹脂であってもよい。好ましい非吸湿性樹脂からなる透明樹脂層(D)としては、80℃以下での形態安定性が高く、防湿性能の高いポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニリデン系等の延伸または未延伸フィルムが例示される。透明性樹脂層を形成する樹脂材料としては、この他に、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリアリーレート、ポリイミド等の耐熱性樹脂を挙げることができる。これら樹脂には、紫外線吸収剤やEL素子の色変換を行うための顔料等を混合することもできる。
【0042】
また、付加的な層として、例えば、PVAとポリ(メタ)アクリル酸またはその部分中和物との混合物から形成した熱処理フィルム(特開平6−220221号公報)、糖類とポリ(メタ)アクリル酸またはその部分中和物との混合物から形成した熱処理フィルム(特開平7−165942号公報)などのガスバリヤー性フィルム、これらのガスバリヤー性フィルムを熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に形成した複合フィルムなどを使用することができる。
【0043】
酸化物薄膜(C)は、吸湿性樹脂または非吸湿性樹脂からなる基材フィルム上に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応蒸着法などにより形成することができる。このうち反応蒸着法は、金属、金属酸化物、またはこれらの混合物を蒸着原料とし、酸素ガスを供給しながら蒸着を行う方法である。このような方法は、ケイ素、ケイ素酸化物、またはこれらの混合物を用いても行うことができる。
【0044】
酸化物薄膜(C)の形成に先立って、酸化物薄膜と基材フィルムとの間の接着強度を上げるため、アンカーコート剤を使用することができる。好適なアンカーコート剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、有機チタン系などの接着促進剤、及びポリウレタン、ポリエステル系などの接着剤を挙げることができる。さらに、アンカーコート剤として、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系の無溶剤タイプの接着剤を使用してもよい。したがって、本発明では、基材フィルム面上に、これらのアンカーコート剤を介して酸化物薄膜が形成された複合フィルムを使用する場合を包含する。
【0045】
また、透明樹脂層(D)として、吸湿性樹脂または非吸湿性樹脂のフィルムを、酸化物薄膜(C)を形成することなく単独で、接着剤層を介して接合するか、熱融着させることにより、付加的な層を形成することも好ましい。これは、酸化物薄膜(C)を形成した複合フィルムのみを積層したのでは、得られる多層フィルムの耐折り曲げ性が低下するので、柔軟性を高めるため、あるいは外表面の強度を向上させるために有効だからである。
上記したようなポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)以外の個々のフィルム(透明樹脂層)の厚さは、通常5〜400μm、好ましくは10〜200μm程度である。
【0046】
付加的な層の一部として、多層フィルム全体の水蒸気バリアー性を向上させるために、吸湿性樹脂層または非吸湿性樹脂層の少なくとも一方の面に酸化物薄膜(C)を形成した複合フィルムを一つ以上積層することができる。この場合、各複合フィルムの酸化物薄膜同士を接着剤層を介して積層してもよいし、酸化物薄膜面と他の透明樹脂層の面とを積層してもよい。
【0047】
本発明の多層フィルムには、最内層としてヒートシール可能な透明樹脂層を付加的に配置することができる。他方の防湿体との接合のために、例えば、厚さ10〜300μmのポリオレフィン系、エポキシ系等のホットメルト型シーラント層が設けられることも好ましい。このようなシーラント層は、透明であるため、一種の透明樹脂層であるということができる。このようなホットメルト型シーラント層は、本発明の防湿フィルムを用いてEL素子本体を封入する段階で、防湿フィルムの一方または両方のEL素子本体を包囲する部位にのみ設けることもできる。
【0048】
多層フィルムの最外層を形成する付加的な層としては、耐熱性を有する透明樹脂層が好ましい。最外層を耐熱性透明樹脂層とすることにより、EL素子の耐熱性を上げることができるだけではなく、ヒートシールする場合に、ヒートシール性を高めることができる。このような耐熱性透明樹脂層としては、融点またはビカット軟化点が100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上の熱可塑性樹脂フィルムを挙げることができる。より具体的には、延伸または未延伸ポリプロピレンフィルム、延伸または未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを挙げることができる。
【0049】
上記したような付加的な内層及び外層を含めた多層フィルムの全体の厚さは、透明性を損なわない限り限定されるものではないが、多くの場合、30〜1000μm、好ましくは50〜500μmである。
【0050】
本発明で使用する防湿フィルムを構成する透明多層フィルムは、(1)温度60℃、相対湿度(RH)90%の条件下での透湿度(水蒸気バリアー性の一つの尺度)が0.05g/m2・24hr以下、好ましくは0.04g/m2・24hr以下、より好ましくは0.03g/m2・24hr以下であって、かつ、(2)40℃、100%RHの条件下で50時間の透湿量(多層フィルムの初期吸水量の影響を受ける水蒸気バリアー性の尺度)が0.15g/m2以下、好ましくは0.13g/m2以下、より好ましくは0.10g/m2以下のものである。透湿量は、最も好ましくは0.05g/m2以下とすることができる。
【0051】
本発明者らの研究結果によれば、通常のフィルムの場合には、透湿度と透湿量は、測定温度や時間を始めとする諸条件が同じであれば、測定法と単位は異なっているものの、ほぼ1:1の対応関係を示す。しかしながら、両面に酸化物薄膜(C)のような透湿性の低い層を隣接するポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を含有する多層フィルムにおいては、透湿性の低い層が形成される前に、通常の製造条件下では、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)が吸湿によりある程度の水分量を含有することにある。この吸湿による水分量(初期吸水量)は、透湿度に対しては本質的な影響を与えないが、透湿量を増大させ、EL素子のパッケージフィルムとしての実用的な防湿性能を左右することが判明した。すなわち、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の初期吸水量が大きいと、その影響を受けて、透湿量が増大する傾向を示す。
【0052】
本発明の多層フィルム(防湿フィルム)を規定する透湿度は、後述の濾紙封入法によるものであり、透湿量は、モダンコントロール社製水蒸気透過試験機(PERMATRAN−W3/31SW)を用い、ASTM F1249(JIS K7129B法に対応)により求めた累積透湿量である。透湿度と透湿量の測定法を異にしているのは、EL素子の長時間輝度試験に相当する過酷試験にふさわしい条件、すなわち、60℃、90%RHの雰囲気下にEL素子を750時間放置するような条件で、透湿度を測定できる測定方法を求める必要があったのに対し、このような条件で、透湿度と透湿量を同時に測定できる装置がないためである。
【0053】
本発明では、以下の方法により、透湿量を測定する。ASTM F1249(JIS K7129B法)に準拠のモダンコントロール社製水蒸気透過試験機のPERMATRAN−W3/31SWにより、透湿量を測定する。具体的には、測定対象のフラットな多層フィルム(試験片)を拡散セルに固定し、拡散セルを試験片によって乾燥室と調湿室に隔てる。拡散セル全体が40℃に置かれているので、経時により、試験片の温度も40℃になる。試験片により隔てられる前から、乾燥室は、乾燥窒素流に曝されており、一方の調湿室は、蒸留水を含ませたスポンジを用いて100%RHに曝されつつ、窒素流下にある。試験片により隔てられてない時には、両室は、乾燥窒素流と100%RHの混在状態となっている。試験片によって両室が隔てられた後も、しばらくの間は、乾燥室及び調湿室ともに、それぞれ本来の湿度であるべき0%RH及び100%RHにはならないが、試験片で隔てられて1時間程度が経過すれば、それぞれ本来の湿度に至っているので、この時点から透湿度の測定を開始する。試験片を通して乾燥室に透過してくる水蒸気は、乾燥窒素流中に混ざり、赤外センサーまで運ばれる。この赤外センサーを用い、水蒸気によって吸収される赤外エネルギーの割合を測定して電気信号として取り出して、これによって、水蒸気透過度を算出する。水蒸気透過度は、通常、1時間おきに測定する。この水蒸気透過度の50時間にわたる積分値(累積水蒸気透過量)を透湿量とする。この測定方法では、40℃、100%RHの条件で透湿量を測定しているが、一般に、40℃、90%RHの条件で測定することが求められる場合があるので、前記方法で得られた透湿量に0.9を掛けることにより、40℃、90%RHの条件下での透湿量とすることができる。乾燥した多層フィルム中のPVAの水分量を直接測定することは困難であるが、透湿量を測定することにより、その防湿性能の基準とすることができる。
【0054】
本発明では、濾紙封入法により透湿度を測定する。具体的には、多層フィルム2枚の間にEL素子代替物の濾紙を入れて封止する。封止は、EL素子本体を封止するのと同様な方法でなされる。すなわち、ホットメルト型シーラントで封止される面を内側にし、向き合う形で、あるいはヒートシール性樹脂シーラント層同士を内側にし、対向させる形でなされる。EL素子代替物としては、100mm×100mmのワットマン(Whatman)濾紙No.2を3枚、150℃で2時間乾燥した後、重ねたものを用いる。ヒートシールは、シール可能な温度で2本の加熱ゴムロールの間を通して多層フィルムの四辺に対して、幅15mm(シール幅)でなされる。上記のようにして得られた濾紙封入サンプルを、それぞれ5個ずつ60℃、90%RHの雰囲気下に750時間放置する。この方法で得られた重量増加分をW0と表示する。W0は、測定時までに多層フィルムの面からとシール部から透過した合計水分量である。
【0055】
濾紙と多層フィルムとの間に、大きさが100mm×100mmで、実質的に透湿度がゼロである厚さが50μmのアルミニウム箔を濾紙の上下各々に1枚ずつ入れた以外は、上記方法と同じ方法で測定した重量増加分をW1と表示する。W1も、測定時までに多層フィルムの面からとシール部から透過した合計水分量である。シール部からの水分の透過量は、W0及びW1との間に差異はない。また、W1は、アルミニウム箔で水分の浸透を防いで測定した値である。したがって、両者の差(W0−W1)は、多層フィルムのフィルム面から透過した水分量である。すなわち、この差は、多層フィルムのフィルム面の100mm×100mmの面積部分を垂直に透過して濾紙に吸収された水分量、換言すれば、多層フィルムの規格化された面積における厚さ方向の透湿能の尺度としての透湿量が求められる。これから、常法に従って、24時間(24hr)当たりの透湿度を求めたものが、本発明でいう透湿度である。
【0056】
上記透湿度も、理論的には、多層フィルムの初期吸水量の影響を受けないとはいえない。しかし、全体として測定される吸湿量は、60℃、90%RH、750時間という過酷な条件で測定されるので、その間にフィルムを透過する水分量に比べて、初期吸水量が無視できる程度になる。このため、上記透湿度は、初期吸水量(当初吸湿水分量)の影響を除いた水蒸気バリアー性の重要な尺度となり得るものである。
【0057】
上記の透湿度及び透湿量の要件を満たす透明な多層フィルム(防湿フィルム)を形成するには、乾燥条件に留意する必要がある。すなわち、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両側に透湿度の低い酸化物薄膜(C)を隣接して有する本発明の防湿フィルムは、その製造過程で、通常の製造条件にしたがって、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の吸湿水分量を特にコントロールしないで製造した後には、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)中に既に存在する吸湿水分量を透湿度の低い酸化物薄膜(C)を通して短時間の乾燥により所定の吸湿水分量を与えるレベルまで減少させることはできない。したがって、防湿フィルムの製造過程で、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)に直接または接着剤層を介して、両側に酸化物薄膜(C)を配置する前に、ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を予め充分に乾燥させておくか、絶乾状態またはそれに近い状態で製膜したポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を用いて防湿フィルムを形成するのが効率的である。しかし、一旦、酸化物薄膜(C)間に挟持されたポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を含有する多層フィルムを形成した後であれば、長時間の乾燥工程を要する。このような乾燥時間は、既に吸湿した水分量の多寡、積層樹脂の種類、特に吸湿性樹脂の吸湿能力や、ガスバリヤー層のバリヤーの程度、各層の厚さ、層構成(特に何枚積層されているか)、酸化物薄膜(C)が何層あるか等、さらには、乾燥条件等によっても異なる。
【0058】
乾燥条件としては、多層フィルムまたは多層フィルムを構成するポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂(A)を、常圧下または減圧下に、35〜150℃の温度で、少なくとも10時間乾燥する方法が好ましい。特に、多層フィルムを作成した後に乾燥する場合には、35〜150℃、好ましくは40〜120℃の温度で、常圧下に10時間以上、好ましくは30時間以上、より好ましくは50時間以上、特に好ましくは100時間以上乾燥する。減圧下では、1Torr以下の減圧下に、35〜150℃、好ましくは40〜70℃で、10時間以上、好ましくは30時間以上、より好ましくは50時間以上乾燥する。乾燥温度が低い場合には、できるだけ長時間、例えば、100時間以上、場合によっては、150時間以上乾燥することが好ましい。さらに、常圧下での乾燥と減圧下での乾燥を組み合わせる方法も好ましい。このように、徹底的に乾燥することにより、多層フィルム、特にポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)が実質的に絶乾状態にまで乾燥する。それによって、従来知られていない顕著な防湿性能を達成することができる。この防湿性能は、前記の透湿量を測定することにより定量化することができる。
【0059】
上記のようにして得られた多層フィルムからなる防湿フィルムを用いて、EL素子本体を封止することにより、本発明のEL素子が得られる。防湿フィルムを用いてEL素子本体を封止するには、防湿フィルム自体に封止性能をもたせる手段と、別な封止体を用いる手段のいずれか、あるいは併用がなされる。
【0060】
具体的には、(1)防湿フィルムの一方の面にホットメルト型シーラント層を設け、あるいは設けることなく、2枚の防湿フィルムあるいは1枚の防湿フィルムともう一方の防湿体であるガラス基板(または金属板など)との間に、EL素子本体を置き、その周りをホットメルト型シーラントで封止する、(2)防湿フィルムの一方の面にポリエチレンのようなヒートシール性を有する透明樹脂層をシーラント層として設け、2枚の防湿フィルムの間にEL素子本体を置き、その周りを熱圧着により封止する方法などが採用される。ホットメルト型シーラントとしては、エポキシ樹脂が代表的な例である。
【0061】
【実施例】
以下、実施例、比較例、及び参考例により、本発明をより具体的に説明する。物性の測定法は、次のとおりである。
(1)透湿量:前述の通り。
(2)透湿度:前述の通り。
【0062】
(3)EL素子の発光輝度維持率:
EL素子サンプルを、相対湿度90%の条件下で500時間放置した後、室温で、動作電圧100V、動作周波数400Hzの電源に接続し、初期発光輝度L0 を測定し、次いで、電圧を印加したまま室温で750時間後の発光輝度L1を測定し、発光輝度保持率を次式により算出した。
発光輝度保持率=(L1/L0)×100(%)
【0063】
[参考例1]
ケイ素酸化物薄膜が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム〔蒸着PETフィルム;厚さ12μm;三菱化学興人パックス(株)製「テックバリアーT」〕を乾燥処理(熱処理)することなく用いて、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
[参考例2]
参考例1で用いたのと同じ蒸着PETフィルムを100℃で100時間熱処理した後、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
[参考例3]
参考例1で用いたのと同じ蒸着PETフィルムのケイ素酸化物薄膜面上にポリウレタン系接着剤〔厚さ3.5μm;東洋モートン(株)製「AD−502/CAT−10」〕を積層し、さらに、その上に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム〔PETフィルム;厚さ16μm;ユニチカ(株)製「EMBLET−S」〕を積層して、多層フィルムを作製した。この多層フィルムを熱処理することなく用いて、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
[参考例4]
参考例3で用いたのと同じ多層フィルムを100℃で100時間熱処理した後、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0003904523
【0068】
(脚注)
(1)PET/SiO:ケイ素酸化物薄膜が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
(2)AD:ポリウレタン系接着剤層
(3)PET:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
【0069】
表1の結果から明らかなように、熱処理(長時間乾燥)により透湿度が改善され、特にケイ素酸化物薄膜上に接着剤層を設けた多層フィルムを熱処理すると透湿度が大幅に改善される。ただし、基材フィルムが吸湿性樹脂層ではなくPETフィルムで、かつ、両側にケイ素酸化物薄膜と接着剤層を設けていないので、透湿度の水準自体は、充分でない。
【0070】
[実施例1]
図9に示す構造のEL素子を、以下のようにして作製した。
<EL素子本体の作製>
シアノエチルポリビニルアルコール、チタン酸バリウム粉末、及びN,N′−ジメチルホルムアミドを均一に混合して、絶縁用ペーストを調製した。シアノエチルポリビニルアルコール、ZnSに活性剤としてCuを加えた粉末螢光体、及びN,N′−ジメチルホルムアミドを均一に混合して、発光層用ペーストを調製した。
【0071】
アルミニウム箔からなる背面電極97(厚さ70μm)上に、絶縁用ペーストをスクリーン印刷して、絶縁層96(厚さ30μm)を形成し、その上に、発光層用ペーストをスクリーン印刷して、発光層95(厚さ40μm)を形成した。
【0072】
ポリエチレンテレフタレートフィルム93上に、ITO(インジウム・すず複合酸化物)の透明な蒸着層94を形成した透明導電性フィルム(厚さ75μm)を、前記の発光層95上に重ね合わせ、ロールラミネーターにより加熱圧着した。背面電極97と透明導電性フィルム上のITO層94からは、電極リード線を導出した。このようにして作製したEL素子本体の両面に、それぞれ、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる接着剤層(厚さ30μm)aを介して、ナイロンからなる吸湿フィルム(厚さ75μm)92及び98を被覆した。以下、これをEL素子本体として使用した。
【0073】
<防湿フィルムの作製>
図10に層構成を示す多層フィルムからなる防湿フィルムを作製した。この多層フィルムの層構成は、外面から内面にかけて、次の通りである。
【0074】
未延伸ポリプロピレンフィルム101〔厚さ50μm;東セロ(株)製「RXC−18」〕、
ポリウレタン系接着剤層a1〔厚さ3.5μm;東洋モートン(株)製「AD−502/CAT−10」〕、
透明なケイ素酸化物薄膜103(厚さ127nm)が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム102〔厚さ12μm;三菱化学興人パックス(株)製「テックバリアーT」〕、
ポリウレタン系接着剤層a2〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
透明なケイ素酸化物薄膜104(厚さ51nm)が蒸着された二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム105〔厚さ12μm;三菱化学興人パックス(株)製「テックバリアーS」〕、
ポリウレタン系接着剤層a3〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
透明なケイ素酸化物薄膜(厚さ51nm)106が蒸着された二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム107〔厚さ12μm;前記と同じ〕、
ポリウレタン系接着剤層a4〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
未延伸ポリプロプレンフィルム108〔厚さ50μm;前記と同じ〕、
ポリウレタン系接着剤層a5〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
未延伸ポリプロプレンフィルム109〔厚さ50μm;前記と同じ〕、
ポリオレフィン系ホットメルト型シーラント層110〔厚さ70μm;三井デュポン(株)製のEEA系ホットメルト接着剤「A710」〕。
【0075】
上記の層構成の透明な多層フィルムは、ドライラミネート法により、65℃で上記各ウレタン系接着剤層を介して各層を積層して作製した。図10中、X、Y、及びZは、各蒸着フィルムを示す。
【0076】
このようにして作製した多層フィルムを、1Torr以下の減圧下に、45℃で150時間、真空乾燥し、次いで、シリカゲル乾燥剤の入った密閉缶に入れて保管した。このように乾燥処理して得られた多層フィルムからなる防湿フィルムについて、透湿度及び透湿量を測定した。結果を表2に示す。
【0077】
<EL素子の作製>
前記で作製した防湿フィルム2枚を各ポリオレフィン系ホットメルト型シーラント層110面で対向させ、その間に前記で調製したEL素子本体を置き、140℃で加熱圧着し、周辺をシールすることにより、EL素子本体を防湿フィルム91及び99で封止した電解発光型EL素子を作製した。このEL素子を用いて、発光輝度保持率を測定した。結果を表2に示す。
【0078】
[比較例1]
実施例1と同じ層構成の多層フィルムを、乾燥処理を施さない他は実施例1と同様にして用いて、透湿度、透湿量、及びEL素子の発光輝度保持率の測定を行った。結果を表2に示す。
【0079】
[実施例2]
<防湿フィルムの作製>
図11に層構成を示す多層フィルムからなる防湿フィルムを作製した。この多層フィルムの層構成は、外面から内面にかけて、次の通りである。
【0080】
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層111〔厚さ16μm;ユニチカ(株)製「EMBLET−S」〕、
ポリウレタン系接着剤層a1〔厚さ3.5μm;東洋モートン(株)製「AD−502/CAT−10」〕、
透明なケイ素酸化物薄膜113(厚さ45nm)が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム112〔厚さ12μm;三菱化学興人パックス(株)製「テックバリアーH」〕、
ポリウレタン系接着剤層a2〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム114〔厚さ25μm;日本合成化学工業(株)製「ボブロン」〕、
ポリウレタン系接着剤層a3〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
透明なケイ素酸化物薄膜116(厚さ45nm)が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム115〔厚さ12μm;前記と同じ〕、
ポリウレタン系接着剤層a4〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム117(厚さ25μm;前記と同じ)、
ポリウレタン系接着剤層a5〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
透明なケイ素酸化物薄膜層118(厚さ45nm)が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム119(厚さ12μm;前記と同じ)、
ポリウレタン系接着剤層a6〔厚さ3.5μm;前記と同じ〕、
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム120(厚さ16μm;前記と同じ)、
ポリオレフィン系のホットメルト型シーラント層121〔厚さ50μm;ヒロダイン工業(株)製「ヒロダイン7589」〕。
【0081】
前記のポリウレタン系接着剤層a6、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム120、及びポリオレフィン系ホットメルト型シーラント層121を除く各層について、ドライラミネート法により65℃で各ポリウレタン系接着剤層を介して積層して多層フィルムを作製した後、常圧下、100℃で100時間乾燥した。
【0082】
次いで、この多層フィルムの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム119面上に、ポリウレタン系接着剤層a6を介して二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム120を、ポリオレフィン系ホットメルト型シーラント層121と共に、65℃でドライラミネートして透明な多層フィルムを作製した。この多層フィルムを1Torr以下の減圧下に50℃で50時間真空乾燥した。このように乾燥処理して得られた多層フィルムからなる防湿フィルムについて、透湿度及び透湿量を測定した。また、この防湿フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、EL素子を作製し、発光輝度保持率を測定した。結果を表2に示す。
【0083】
[比較例2]
実施例2と同じ層構成の多層フィルムを、乾燥処理を施さない他は実施例2と同様にして用いて、透湿度、透湿量、及びEL素子の発光輝度保持率の測定を行った。結果を表2に示す。
【0084】
[比較例3]
実施例1の防湿フィルムの代わりにポリオレフィン系ホットメルト型シーラント層(厚さ50μm)を片面に有するポリ塩化三フッ化エチレンフィルム(厚さ200μm)を用いた他は、実施例1と同様にして、透湿度、透湿量、及びEL素子の発光輝度保持率を測定した。結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
Figure 0003904523
【0086】
(脚注)
(1)PCTFE/PO:ポリオレフィン系ホットメルト型シーラント層を片面に有するポリ塩化三フッ化エチレンフィルム
(2)90%RHでの透湿量:100%RHでの透湿量に0.9を掛けて換算した値である。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリ塩化三フッ化エチレンフィルムを主体とする従来の防湿フィルムと同等かそれより低い透湿度を示し、かつ、ポリ塩化三フッ化エチレンフィルムを主体とする従来の防湿フィルムと同等あるいはそれ以上の防湿性能を示す防湿フィルムにより封止されたEL素子が提供される。本発明で使用する防湿フィルムは、環境温度や湿度の変化に対して安定した防湿性能を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、防湿フィルムで封止されたEL素子の層構成の一例を示す断面模式図である。
【図2】図2は、防湿フィルムで封止されたEL素子の層構成の他の例を示す断面模式図である。
【図3】図3は、本発明の防湿フィルムが含有する層構成の具体例を示す断面模式図である。
【図4】図4は、本発明の防湿フィルムが含有する層構成の他の具体例を示す断面模式図である。
【図5】図5は、本発明の防湿フィルムが含有する層構成の他の具体例を示す断面模式図である。
【図6】図6は、本発明の防湿フィルムが含有する層構成の他の具体例を示す断面模式図である。
【図7】図7は、本発明の防湿フィルムが含有する層構成の他の具体例を示す断面模式図である。
【図8】図8は、本発明の防湿フィルムが含有する層構成の他の具体例を示す断面模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施例で使用しているEL素子の断面模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施例1で作成した防湿フィルムの断面模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施例2で作成した防湿フィルムの断面模式図である。
【符号の説明】
1:発光層、2,4:電極、3,5:基板、6,7:防湿体、
21,28:防湿フィルム、22,27:吸湿フィルム、23:透明導電フィルム、24:発光層、25:誘電体層、26:背面電極、
31,35:透明樹脂層、32,34:酸化物薄膜、33:吸湿性樹脂層、
41,45:透明樹脂層、42,44:酸化物薄膜、43:吸湿性樹脂層、
51,55:透明樹脂層、52,54:酸化物薄膜、53:吸湿性樹脂層、
61,66:透明樹脂層、62,63,65:酸化物薄膜、64:吸湿性樹脂層、
71,76:透明樹脂層、72,73,75:酸化物薄膜、74:吸湿性樹脂層、
81,87:透明樹脂層、82,83,85,86:酸化物薄膜、84:吸湿性樹脂層、
91,99:防湿フィルム、92:吸湿フィルム、93:ポリエチレンテレフタレートフィルム、94:ITO層、95:発光層、96:絶縁層、97:背面電極、98:吸湿フィルム、
101,108,109:未延伸ポリプロピレンフィルム、102:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、103,104,106:ケイ素酸化物薄膜、105,107:二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、110:ポリオレフィン系ホットメルト型シーラント層、
111,112,115,119,120:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、113,116,118:ケイ素酸化物薄膜、114,117:二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、121:ポリオレフィン系のホットメルト型シーラント層、
a:接着剤層、X,Y,Z:複合フィルム。

Claims (10)

  1. 一対の電極間に発光層が配置されたエレクトロルミネセンス素子本体を少なくとも一部が防湿フィルムである防湿体により封止してなるエレクトロルミネセンス素子において、該防湿フィルムが、
    ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に直接または接着剤層(B)を介して金属または非金属の酸化物薄膜(C)が配置された層構成を含有する透明な多層フィルムからなり、
    (1)温度60℃、相対湿度90%で測定した透湿度が0.05g/m2・24hr以下で、かつ、
    (2)温度40℃、相対湿度100%で測定した50時間の透湿量が0.15g/m2以下
    である防湿フィルムであることを特徴とするエレクトロルミネセンス素子。
  2. 多層フィルムが、
    (i) ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に直接または接着剤層(B)を介して酸化物薄膜(C)が配置され、さらに、
    (ii)各酸化物薄膜(C)上に直接または接着剤層(B)を介して透明樹脂層(D)または酸化物薄膜(C)が形成された透明樹脂層(D)が配置された層構成
    を含有するものである請求項1記載のエレクトロルミネセンス素子。
  3. 多層フィルムが、
    (1) 透明樹脂層(D1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C1)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/酸化物薄膜(C2)/接着剤層(B2)/透明樹脂層(D2)、
    (2) 透明樹脂層(D1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C1)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/接着剤層(B2)/酸化物薄膜(C2)/透明樹脂層(D2)、
    (3) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/接着剤層(B2)/酸化物薄膜(C2)/透明樹脂層(D2)、
    (4) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C2)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/接着剤層(B2)/酸化物薄膜(C3)/透明樹脂層(D2)、
    (5) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C2)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/酸化物薄膜(C3)/接着剤層(B2)/透明樹脂層(D2)、または
    (6) 透明樹脂層(D1)/酸化物薄膜(C1)/接着剤層(B1)/酸化物薄膜(C2)/ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)/酸化物薄膜(C3)/接着剤層(B2)/酸化物薄膜(C4)/透明樹脂層(D2)
    の層構成を含有するものである請求項2記載のエレクトロルミネセンス素子。
  4. 多層フィルムが、その少なくとも一方の面に、直接または接着剤層(B)を介して、透明樹脂層(D)及び酸化物薄膜(C)が形成された透明樹脂層(D)からなる群より選ばれる少なくとも一層の付加的な層がさらに配置されているものである請求項2記載のエレクトロルミネセンス素子。
  5. 多層フィルムが、その少なくとも一方の面に、直接または接着剤層(B)を介して、透明樹脂層(D)及び酸化物薄膜(C)が形成された透明樹脂層(D)からなる群より選ばれる少なくとも一層の付加的な層がさらに配置されているものである請求項3記載のエレクトロルミネセンス素子。
  6. 多層フィルムが、その最外層に耐熱性の透明樹脂層(D)が配置されているものである請求項2ないし5のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  7. 多層フィルムが、その最内層にヒートシール可能な透明樹脂層が付加的に配置されているものである請求項2ないし5のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  8. 金属または非金属の酸化物薄膜(C)が、ケイ素酸化物薄膜である請求項1記載のエレクトロルミネセンス素子。
  9. 一対の電極間に発光層が配置されたエレクトロルミネセンス素子本体を少なくとも一部が防湿フィルムである防湿体により封止しなるエレクトロルミネセンス素子の製造方法において、該防湿フィルムとして、
    ポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)の両面に直接または接着剤層(B)を介して金属または非金属の酸化物薄膜(C)が配置された層構成を含有する透明な多層フィルムを使用し、かつ、
    (1)温度60℃、相対湿度90%で測定した透湿度が0.05g/m2・24hr以下で、かつ、
    (2)温度40℃、相対湿度100%で測定した50時間の透湿量が0.15g/m2以下
    となるように、該多層フィルムまたは該多層フィルムを構成するポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を乾燥する工程を設けたことを特徴とするエレクトロルミネセンス素子の製造方法。
  10. 乾燥工程において、該多層フィルムまたは該多層フィルムを構成するポリビニルアルコール層である吸湿性樹脂層(A)を、常圧下または減圧下に、35〜150℃の温度で、少なくとも10時間乾燥する請求項記載の製造方法。
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