JP3903832B2 - 内燃機関の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの吸排気バルブの開閉タイミングがエンジン運転状態によって制御されるようになっている内燃機関の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の負荷制御方法は、負荷に応じて吸入空気量を制御しその空気量に見合った燃料量を供給する方法と、吸入空気量は制限せずに負荷に応じて燃料を供給する方法の2通りがある。この違いは使用する燃料の性状によるものであり、前者はガソリンエンジン、後者はディーゼルエンジンに対応する。一般にディーゼルエンジンが燃費が良いといわれているのは吸入空気量を絞らないので、ポンピング損失が発生しないためである。一方、ガソリンエンジンでは吸入空気量で負荷制御を行っているため、低負荷時には空気量を絞る必要があるため吸気管途中にスロットル弁を設けている。したがって、スロットル弁より下流の吸気ポート内は大気圧より圧力が下がり、負圧となる。排気行程終了時の燃焼室内圧力はおおむね大気圧となっているため、吸気行程開始時には吸気バルブ上流(吸気ポート側)では負圧、下流(燃焼室側)では大気圧となっている。このため吸気ポート側から燃焼室側に空気を流入させるためには、ピストンの下降運動によって空気を吸入してやらなくてはならず、エンジンは空気を吸入するという仕事をしなくてはならない。この仕事はエンジンに対しては負の仕事であり、ポンピング損失と言われている。特に、低中負荷時はスロットル弁の開度が小さく常にこのポンピング損失が発生しているので、燃費が悪いのである。
【0003】
このポンピング損失を低減する技術として、同一燃料量に対して空気量を多くして燃焼させるリーンバーンが提案され実用化されている。しかし、リーンバーン方式においても空気量はスロットル弁で制御されており、かなりの運転領域でポンピング損失が発生している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポンピング損失の発生を極限まで低減するには、空気量を燃焼室近傍で制御することであり、吸気バルブで制御することが考えられている。吸気バルブの開弁期間およびリフト量を制御することで空気量を調整することができるが、アイドリング時に必要とする微妙な空気量の制御は、吸気バルブの開弁期間およびリフト量制御の精度に大きく影響する。
【0005】
上記の事情から、本発明は吸気バルブの制御により空気量を制御する内燃機関において、運転範囲の全般に渡ってポンピング損失を低減し燃費を改善することができる内燃機関の制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では内燃機関の運転状態が低負荷または中負荷と判定される時に、アクセルの操作量とは無関係にスロットル弁を高開度状態に制御し、且つ、前記吸気バルブを前記内燃機関のピストンが吸気行程中の下死点を過ぎる前、若しくは下死点を過ぎた後のいずれかに閉じるよう制御し、前記燃料噴射装置は前記吸気バルブが閉じてから燃料を噴射するよう制御し、内燃機関の運転状態が高負荷と判定される時に、前記スロットル弁の開度をアクセル操作量に応じて制御し、且つ、前記吸気バルブを前記内燃機関のピストンが吸気行程中の下死点後の所定のタイミングで閉弁するように制御し、前記燃料噴射装置は前記吸気バルブが閉じる前に燃料を噴射するよう制御するように構成した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1に示す内燃機関のエンジン1はコンロッド4およびクランクシャフト5からクランク機構を備え、そのクランク機構に連結されたピストン2とエンジン1のエンジンヘッド8によって燃焼室3が形成されている。その燃焼室3はエンジンヘッド8に装着されている吸気バルブ10,排気バルブ11および点火プラグ12によって密閉される。吸気バルブ10,排気バルブ11は可変バルブ機構30,40で動作される。エンジン1はスロットルバルブ17の操作とピストン2の往復動作によって、燃焼に必要な空気を燃焼室3に吸入する。エンジン1に吸入される空気はエアクリーナ15で空気中に含まれる埃やごみが除去され、空気量センサ16で燃料噴射量の演算に基となる吸入空気量が計測される。スロットルバルブ17の開度が小さい場合はスロットルバルブ17より下流の吸気ポート19および燃焼室3内は大気圧より低い負圧となるため、吸気管内圧力センサ14は吸気管内の圧力を常に計測し、エンジン1の制御に反映させている。エンジン1を制御するコントロールユニット63は、各種のセンサからの信号を基にエンジン1の運転状態を検出する運転状態検出手段66と、エンジン1に装着されている可変バルブ機構30,40の動作を制御する可変バルブ制御手段64と、燃料噴射弁13から噴射される燃料量と噴射時期を制御するコントロールユニット63を備えている。エンジン1を搭載した車両の運転者60によって操作されたアクセルペダル61の操作量はポテンショメータ62によって電気信号に変換され、コントロールユニット63内の運転状態検出手段66に入力される。運転状態検出手段に入力される信号として、その他には例えばクランクシャフト5に装着されたクランク角度センサ6,7から、前述した空気量センサ16から、吸気管内圧力センサ14から、排気管内に取り付けられた空燃比センサ24から、排気触媒の温度を検出する温度センサ25から、燃焼室3に取り付けられ燃焼室3内の圧力を検出する圧力センサ21,ノッキングを検出するノックセンサ22からのものがある。可変バルブ制御手段64は運転状態検出手段66からの信号を基にスロットルバルブ17を動作させるモータ18および吸気バルブ10を動作させる可変バルブ機構30に制御信号を出力し、エンジン1に吸入される空気量を調整する。コントロールユニット63は運転状態検出手段66からの信号を基に燃料噴射弁13に制御信号を出力し、燃料噴射量と噴射時期を調整する。
【0009】
まず、本発明のポイントである吸気バルブ10の閉弁タイミングと吸入空気量の関係を図2を用いて説明する。横軸は吸気バルブ10の閉弁タイミングであり、開弁タイミングはTDC近傍のある一定値に固定されているとする。図のように吸気バルブ10の閉弁タイミングを吸気行程から圧縮行程まで変化させると吸入空気量は実線101,破線102のように変化する。吸気行程中に吸気バルブ10を閉弁するということは燃焼室3に流入する空気を遮断することになるので、空気量が減少することになる。その閉弁タイミングを遅くしていく(BDCに近づけていく)と実線101のように空気量が増加していく。吸入空気量の最大値はBDCを少し(クランク角度で20〜30度)過ぎた閉弁タイミングで得られる。これは慣性過給といわれている現象で、吸入空気の慣性(質量)のためにBDCを過ぎたあとにも空気が流入してくるためである。BDC以降は圧縮行程であるため、そのタイミングを過ぎた後はピストン2の上昇運動のために燃焼室3内に吸入された空気が押し戻される(吸気ポート側に吹き戻る)ため、燃焼室3内の空気量は破線102のように減少する。また、点火タイミングまでの圧縮が不十分になると燃焼が不完全になるので吸気バルブ10の閉弁タイミングを遅らせ過ぎるのは好ましくない。
【0010】
次に運転状態検出手段66がエンジン1の状態を低・中・高負荷と判定した場合の吸気バルブ10の閉弁タイミング決定方法について図3を用いて説明する。後述(図9)するようにスロットル弁17はアイドリングなどの極低負荷時と高負荷時に空気量を制御するために使われているだけで、低中負荷状態ではほぼ全開状態となっている。そのため、燃焼室3内に流入する空気量は吸気バルブ10の開弁期間で制御される。開弁タイミングを一定とした場合は吸気バルブ10の閉弁タイミングで制御されることになる。したがって、吸気バルブ10の閉弁タイミングは図3に示すように低中負荷時は実線105または106のように決定される。106は吸気バルブ10を吸気行程のBDC前に閉弁する早閉じ式の場合であり、105はBDC以降に閉弁する遅閉じの場合である。遅閉じ式の場合は実線108で示す点火タイミングとの時間間隔に注意する必要がある。高負荷状態と判定した場合は実線107のように吸気バルブ10の閉弁タイミングはある一定値に固定される。この一定値とは前述したように空気の慣性を利用した慣性過給効果が最大になるようなタイミングであり、おおむねBDCの20〜30度後である。
【0011】
次に、可変バルブ機構と筒内噴射エンジンを組み合わせた時の制御方法について、ポート噴射エンジンの場合と比較して説明する。
【0012】
まず、図4にポート噴射エンジンに可変バルブ機構を組み合わせた場合の、吸排気バルブ10,11の開閉弁動作とその時のエンジン1の状態を模式的に示した。図1に記載したエンジン1に装着されるクランク角度センサ6,7から出力されるクランク角度に対するバルブリフト量を示した。矩形波70は排気バルブ11の、矩形波80は吸気バルブ10のバルブリフト量の変化を示している。クランク角度74で排気バルブ11は開弁動作71が始まり、直ちに最大リフト量近傍(最大リフト量含む)のある所定値72に達し、ある所定期間そのリフト量を継続維持する。この時エンジンは90のような状態にあり、排気バルブ11のみ開弁しており燃焼室3内の排気ガスはピストン2の上昇運動によって矢印90aのように排出される。クランク角度75で排気バルブ11は閉弁動作73が始まり、TDC前に閉弁が完了する。次に、TDC後のクランク角度84で吸気バルブ10が開弁動作81を開始し、直ちに最大リフト量近傍(最大リフト量含む)のある所定値82に達し、ある所定期間そのリフト量を継続維持する。この時エンジン1は91のような状態にあり、排気バルブ11は閉弁し吸気バルブ10のみ開弁しており、ピストン2の下降運動によって燃焼室3内に空気が矢印91aのように流入するとともに、燃料噴射弁13から噴射された燃料噴霧20が吸入される。この吸気行程中に燃料噴霧20と空気は十分に混合し、均一な混合気を形成する。吸気のBDCを過ぎるとピストン2は上昇運動を始め、エンジン1は92のような状態になる。この時、吸気バルブ10はまだ開弁しており燃焼室3内の混合気20bは矢印92aのように吸気ポート方向に一部を吹き返してしまう。BDC後のクランク角度85になって吸気バルブ10は閉弁動作83を開始し、閉弁する。吸気バルブ10が閉弁した後のクランク角度86以降は、エンジン1が1回転すると再びクランク角度76の位置となり同様の動作が繰り返される。したがって、BDCから閉弁までの期間は混合気20bを吹き返すので、燃焼室3内に残る混合気20b(すなわち燃料)は減少し、エンジン出力が低下することになる。また、吸気ポートに吹き返った混合気は次のサイクルで燃焼室3内に吸入されることになるので、空燃比がずれる原因となる。このことから、吸気ポートエンジンに本発明の可変バルブ機構の制御方法を採用することは好ましくない。
【0013】
次に図5に筒内噴射エンジンに可変バルブ機構を組み合わせた場合について説明する。吸気バルブ10と排気バルブ11の動作が図4と同じ場合について考える。排気バルブ11が開弁している期間はエンジン1の状態は93のようになっていて、排気ガスは矢印93aのように排出される。排気バルブ11が閉じ、吸気バルブ10が開弁するとエンジン1の状態は94のようになる。ピストン2の下降運動によって空気のみが矢印94aのように吸入される。吸気行程のBDC後はエンジン1は95のような状態で、吸気バルブ10はまだ開弁していてピストン2が上昇運動をするため燃焼室3内の空気は矢印95aのように吹き返す。この時吹き返されるのは空気のみである。BDC後のクランク角度85になって吸気バルブ10は閉弁動作83を開始し、閉弁する。吸気バルブ10が閉弁し燃焼室3が密閉された後に燃料20を噴射することで燃料の吹き返しを防止できる。吸気バルブ10の閉弁後に燃料を噴射することが本発明のポイントであり、筒内噴射エンジンと組み合わせた理由である。このような噴射タイミングの設定は点火88までの時間が短くなり燃料の気化時間が十分にとれないので、低負荷,低回転時に限られる。吸気バルブ10が閉弁した後のクランク角度86以降は、エンジン1が1回転すると再びクランク角度76の位置となり同様の動作が繰り返される。
【0014】
図6には吹き返しを発生させないように吸気バルブ10を早く閉弁(早閉じ式)する方法を示した。排気行程終了後のクランク角度84で吸気バルブ10が開弁動作81を開始し、直ちに最大リフト量近傍(最大リフト量含む)のある所定値82に達し、ある所定期間そのリフト量を継続維持する。この時エンジン1は94のような状態にあり、排気バルブ11は閉弁し吸気バルブ10のみ開弁しており、ピストン2の下降運動によって燃焼室3内に空気が矢印94aのように流入する。吸気行程の途中、クランク角度85で吸気バルブ10の閉弁動作83を開始させると、吸気バルブ10はBDCよりかなり前で閉弁することになり、空気の流入が遮られ吸入空気量は減少する。閉弁後のエンジン1は99のような状態になっていて、燃焼室3内は吸排気バルブ10,11で密閉されていてピストン2が下降運動をする。BDC後は圧縮行程となり、ピストン2の上昇運動によって燃焼室3内の空気が圧縮される。この早閉じ式の場合は吹き返し現象が発生しないので、燃料の噴射タイミングは吸気行程でも圧縮行程でもよく、リーンバーン運転を行うのに最適な噴射タイミングでかまわない。
【0015】
図7に高負荷時の吸排気バルブ10,11の動作とエンジン状態を示す。運転状態検出手段66がエンジン1の状態を高負荷と判定した場合には、吸気バルブ10は図2に述べたように慣性過給効果を考慮して空気量が最大になるような閉弁タイミングに制御される。排気行程終了後のクランク角度84で吸気バルブ10が開弁動作81を開始し、直ちに最大リフト量近傍(最大リフト量含む)のある所定値82に達し、ある所定期間そのリフト量を継続維持する。この時エンジンは97のような状態にあり、排気バルブ11は閉弁し吸気バルブ10のみ開弁しており、ピストン2の下降運動によって燃焼室3内に空気が矢印97aのように流入するとともに、燃料噴射弁13が燃料20を噴射する。この吸気行程中に燃料噴霧20と空気は十分に混合し、均一な混合気を形成する。高負荷時には多くの空気量を吸入できるように、吸気バルブ10はBDC後20〜30度付近で閉弁するようにクランク角度85で閉弁動作83を開始する。吸気バルブ10の閉弁タイミングは吸気管内の慣性過給効果などを考慮して空気量が多くなるように決められる。吸気バルブ10が閉弁後の燃焼室3内の状態は98のように均一混合気20bが形成されている。高負荷時の吸気バルブ10の動作としては、吸入空気量が多くなるように吹き返しが最小になるような閉弁タイミングに設定される。したがって、燃料の噴射タイミングは吸気バルブ10の閉弁タイミング前に設定し、吸入空気と燃料を十分混合する。
【0016】
次に、エンジン1の運転状態の判定方法について説明する。燃焼室3内圧力から判定する方法について図8を用いて説明する。横軸は吸気バルブ10の閉弁タイミングで(開弁タイミングはTDC近傍の一定値に固定されている)、縦軸は吸気バルブ10が閉弁した時の燃焼室3内圧力である。燃焼室3内圧力はエンジン1に装着されているセンサ21で計測される。エンジン1が過給機を装着している場合、吸入空気量は過給圧力に比例して増加する。したがって、過給圧力が大気圧以上に上昇し吸入空気量が増加すると、吸気バルブが閉弁するときの燃焼室3内圧力も破線111のように大気圧以上となる。このような状態の時は高負荷運転状態と判定し、大気圧以下の時は低中負荷状態と判定する。エンジン1が無過給エンジンの場合は燃焼室3内圧力は実線110のように常に大気圧以下となるため、この判定方法は適用できない。
【0017】
そこで、無過給エンジンにも適用できる別の判定方法について説明する。図9にアクセルの踏み込み量とスロットル弁開度の関係を示した。アクセルペダル61が踏み込まれていない状態においても、アイドリングに必要な空気量をエンジン1に供給するためスロットル弁17はわずかに開いている。スロットル弁17とアクセルペダル61がワイヤで接続されている場合は、スロットル弁17はアクセル踏み込み量に対応して破線118のように制御される。本発明の1つのポイントは極低負荷時と高負荷時を除いてスロットル弁17は全開すなわち実線116の状態として、ポンプ損失を低減することである。極低負荷時においても、アイドリング直後から実線115のように空気量が急激に変化しないような傾斜をもってスロットル弁17は制御される。アクセル踏み込み量は運転者60の要求トルクを表わす指標となるので、アクセルペダル61が最大踏み込み量の3/4以上踏み込まれた場合は高負荷状態と判定し、実線117のようにスロットル弁17をアクセル踏み込み量に連動させる。アクセル踏み込み量3/4までは吸気バルブの閉弁タイミングで吸入空気量を制御するが、3/4以上では吸気バルブの閉弁タイミングは空気量が最大限に吸入されるようなタイミングに固定し、スロットル弁17や過給機の制御で空気量を増加させる。以上のスロットル弁17の操作はエンジン1に装着されている電子制御モータ18で行われる。したがって、アクセル踏み込み量でエンジンの運転状態を判定することが出来る。図10はアクセル踏み込み量と吸気バルブ10の閉弁タイミングとの関係を示したもので、その時の吸入空気量の変化を同時に示している。アクセル踏み込み量が3/4までは早閉じ式の場合には実線121、遅閉じ式の場合には120によって閉弁タイミングが決定される。3/4以降は前述したように空気が最大限に吸入されるようなタイミング122に制御される。実線で表示したのは空燃比が理論混合比の場合であり、空燃比を大きくしてリーンバーン運転を行う場合は同一トルク、すなわちアクセル踏み込み量に対して、空気量を131のように増加させる必要があるため、吸気バルブの閉弁タイミングは123または124および125のようになる。
【0018】
さらに別の判定方法として、ノッキングの有無で判定する方法について図11のフローチャートを用いて説明する。エンジン1に装着されているノックセンサ22は常にノッキングを検出している。ブロック141でノッキング有無を判定し、ノッキングが発生していない場合は低中負荷と判定し、再びノッキング判定ブロック141の処理を開始する。ノッキングが発生している場合は高負荷と判定し、ブロック142で、まずノッキングの強度を判定する。ノッキングはエンジン破損の原因になるので極力避けなければならないが、ノッキング強度が小さい場合は高負荷時の運転モード、すなわちブロック143で吸気バルブ10の閉弁タイミングを前述したBDC後20〜30度付近に設定し、スロットル弁17で空気量を制御し、ブロック144で燃料噴射タイミングを吸気バルブ閉弁タイミングより前に設定する。このようにすることによって、燃焼室3内で空気と燃料が十分に混合し、均一混合気が形成され、燃料の気化潜熱により燃焼室3内温度が低下し、ノッキングの発生が防止できる。ブロック145でノッキングの有無を判定し、ノッキングが発生していない場合は処理を終了する。ブロック145でノッキングが発生している場合と、ブロック142でノッキング強度が大きい場合はノッキング回避制御を行う。この状況で発生しているノッキングは燃焼室3内の燃焼圧力が大きくなり過ぎたために生じていると考えられるため、吸気バルブ10の閉弁タイミングを進角または遅角して実効圧縮比を低下させることで抑えられる。ブロック146でノッキングが発生しないような吸気バルブ閉弁タイミングが決定されるので、ブロック143では、吸気バルブ10の閉弁タイミングを前述したBDC後20〜30度付近の設定値からブロック146で決定された値に変更し、スロットル弁17で空気量を制御する。さらに、ブロック144で燃料噴射タイミングを吸気バルブ閉弁タイミングより前に設定する。このようにして、ノッキングの有無でエンジン1の運転状態を判定し、ノッキングが発生している場合は高負荷運転モードにするとともにノッキング回避制御を行う。
【0019】
図12は空燃比一定で、吸気バルブ閉弁タイミングを変化させた時のエンジン試験結果を示したものである。エンジンは4サイクル、4気筒の1.8 リットルで、エンジンの燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射式のものである。縦軸は燃料消費率であり、横軸は式(1)に示すようにエンジンのクランク軸から出力される正味軸トルクT(kgfm)を排気量Vs(L)で割り、正味平均有効圧力Pe(kg/cm2)に変換したものである。
【0020】
Pe=1.257*T/Vs …(1)
吸気バルブ閉弁タイミングが30°の場合、Peに対する燃料消費率SFC(g/psh)は実線180のように変化する。この時の空燃比は14.7である。自動車用エンジンではPeがaからe付近の低中負荷の運転範囲が多いため、この範囲の燃料消費率を低減することは車両の燃費(km/L)を向上させるには効果的である。吸気バルブ閉タイミングを変更して、例えば50°の場合、Peがaからd付近のSFCは○印になり燃料消費率が改善されていることがわかる。この時の空燃比は14.7 である。同様に空燃比一定で吸気バルブ閉弁タイミングを大きくしていくと燃料消費率は改善している。これはスロットル開度が大きくなりポンプ損失が低減したことと、膨張行程が圧縮行程より長くなり熱効率が向上したためである。しかし、吸気バルブ閉弁タイミングを大きくし過ぎると圧縮行程が短くなり、すなわち圧縮圧力が低くなってしまい燃焼が不安定または不完全となり好ましくない。最大出力は吸気バルブ閉弁タイミングが30°の場合はPeがfであるのに対し、50°では吸入空気量の吹き返しのため空気量が少なくなるためeとなる。吸気バルブ閉弁タイミングを70°,90°とさらに大きくすると、同様の理由により最大出力はそれぞれd,bとなる。
【0021】
図13は空燃比と吸気バルブ閉弁タイミングを変化させた時のエンジン試験結果を示したものである。吸気バルブ閉弁タイミングが30°と70°の場合で、空燃比はそれぞれ14.7 と20である。実線180は吸気バルブ閉弁タイミングが30°で空燃比14.7 の場合で、空燃比20のリーンバーン運転した場合、SFCは実線185のように運転範囲全域で向上する。これはリーンバーン運転によりスロットル開度が大きくなり、ポンプ損失が低減したためである。吸気バルブ閉弁タイミングを70°の場合も、空燃比14.7 の実線182に対して空燃比20のリーンバーン運転を行うと実線186となり、リーンバーン運転は可能であり、同様の燃費低減効果が期待できるという結果を示している。
【0022】
図14に吸気バルブのバルブリフト量と吸入空気量の関係を示す。吸気バルブ10のバルブリフト量を制御することで吸入空気量は実線190のように変化する。この時においても図2に記載した吸気バルブ10の閉弁タイミングによる空気量制御の効果は期待できる。ここでは吸気バルブ10の閉弁タイミングは一定に制御されているとする。吸気バルブ10のバルブリフト量が増加すると空気の流入面積がそれに比例して増大するため、吸入空気量も実線190のように増加する。したがって、エンジン1の運転状態が低中負荷と判定された状態では、スロットル弁17は全開状態となっていても吸入空気量を制御できる。吸入空気量が少ない時はバルブリフト量が小さいので、吸気バルブ10を通過する空気流速は大きくなり、燃焼室3内にリーンバーン等に必要な空気流動を生成できる。エンジン1の運転状態が高負荷と判定された状態では、バルブリフト量を最大リフト量まで大きくし、燃焼室3内に空気が入り易い状況にする。このようにすることで最大出力も確保できる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の内燃機関の制御方法では、可変バルブ機構とスロットル弁を併用することで空気量を制御し、アイドリングなどの極低負荷時の燃焼を安定させるとともに低中負荷時のポンピング損失を低減し、また高負荷時には大出力の確保をはかることができる優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が採用されるシステム図。
【図2】吸気バルブの閉弁タイミングと吸入空気量の関係を示す図。
【図3】運転状態検出結果と吸気バルブの閉弁タイミングを示す図。
【図4】遅閉じ式の本発明を採用した吸気ポート噴射エンジンの状態を示す図。
【図5】遅閉じ式の本発明を採用した筒内噴射エンジンの状態を示す図。
【図6】早閉じ式の本発明を採用した筒内噴射エンジンの状態を示す図。
【図7】本発明を採用した筒内噴射エンジンの高負荷運転時の状態を示す図。
【図8】吸気バルブの閉弁タイミングと燃焼室内圧力の関係を示す図。
【図9】本発明におけるアクセル踏み込み量とスロットル開度の関係を示す図。
【図10】本発明におけるアクセル踏み込み量と吸気バルブの閉弁タイミング,吸入空気量の関係を示す図。
【図11】ノッキングによる運転状態判定方法のフローチャート図。
【図12】吸気バルブの閉弁タイミングを変化させたときの正味平均有効圧力と燃料消費率の関係を示す図。
【図13】吸気バルブの閉弁タイミングと空燃比を変化させたときの正味平均有効圧力と燃料消費率の関係を示す図。
【図14】吸気バルブのバルブリフト量と吸入空気量の関係を示す図。
【符号の説明】
1…エンジン、2…ピストン、3…燃焼室、4…コンロッド、5…クランクシャフト、8…エンジンヘッド、10…吸気バルブ、11…排気バルブ、12…点火プラグ、13…燃料噴射弁、19…吸気ポート、20…燃料噴霧、21…燃焼圧力センサ、22…ノックセンサ、24…空燃比センサ、30…吸気バルブ用可変バルブ機構、40…排気バルブ用可変バルブ機構、63…コントロールユニット。
Claims (7)
- 内燃機関のシリンダの吸気ポート及び排気ポートにそれぞれ設けられた吸気バルブと排気バルブを含む弁機構と、
前記弁機構を制御する弁機構制御手段と、
前記内燃機関の各気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射装置と、
前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
アクセルの操作量に応じて吸入空気量を制御するスロットル弁を備えた内燃機関の制御方法において、
前記運転状態検出手段が内燃機関の運転状態を低負荷または中負荷と判定した時に、アクセルの操作量とは無関係に前記スロットル弁を高開度状態に制御し、
且つ、前記吸気バルブを前記内燃機関のピストンが吸気行程中の下死点を過ぎる前、
若しくは下死点を過ぎた後のいずれかに閉じるよう制御し、
前記燃料噴射装置は前記吸気バルブが閉じてから燃料を噴射するよう制御し、
前記運転状態検出手段が内燃機関の運転状態を高負荷と判定した時に、前記スロットル弁の開度をアクセル操作量に応じて制御し、
且つ、前記吸気バルブを前記内燃機関のピストンが吸気行程中の下死点後の所定のタイミングで閉弁するように制御し、
前記燃料噴射装置は前記吸気バルブが閉じる前に燃料を噴射すること
を特徴とする内燃機関の制御方法。 - 請求項1に記載のものにおいて、
前記運転状態検出手段は燃焼室内圧力検出手段を用いて前記内燃機関の運転状態を判定し、
前記燃焼室内圧力が大気圧以下の場合は低負荷または中負荷と判定し、
前記燃焼室内圧力が大気圧以上の場合は高負荷と判定すること、
を特徴とする内燃機関の制御方法。 - 請求項1に記載したものにおいて、
前記運転状態検出手段はアクセル操作量検出手段を用いて前記内燃機関の運転状態を判定し、
前記アクセル操作量が最大操作量の3/4以下の場合は低負荷または中負荷と判定し、
前記アクセル操作量が最大操作量の3/4以上の場合は高負荷と判定すること、
を特徴とする内燃機関の制御方法。 - 請求項1に記載のものにおいて、
前記運転状態検出手段はノッキング検出手段を用いて前記内燃機関の運転状態を判定し、
前記内燃機関にノッキングが発生した場合は高負荷と判定すること、
を特徴とする内燃機関の制御方法。 - 請求項1に記載のものにおいて、
前記運転状態検出手段はノッキング検出手段を用いて前記内燃機関の運転状態を判定し、
前記内燃機関にノッキングが発生した場合は高負荷と判定すると共に、前記内燃機関は前記弁機構を用いて吸気バルブの閉弁タイミングを調整しノッキング回避制御を行うこと、
を特徴とする内燃機関の制御方法。 - 請求項1に記載のものにおいて、
前記内燃機関はリーンバーン運転を行うこと、
を特徴とする内燃機関の制御方法。 - 請求項1に記載のものにおいて、
前記内燃機関は過給機を備えたこと、
を特徴とする内燃機関の制御方法。
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