JP3903513B2 - ジアセトキシブテンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアセトキシブテンの製造方法に関する。詳しくは、ブタジエンを酢酸及び酸素と反応させてジアセトキシブテンを製造する工程とテトラヒドロフラン(以下、THFと略記することがある)の開環重合によりポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記することがある)を製造する工程とを組み合せることにより副生する酢酸を有効利用するジアセトキシブテンの製造方法の改良に関する。
ジアセトキシブテンは、1,4−ブタンジオール、THFの原料として有用であり、PTMGは、ウレタン系弾性繊維又は熱可塑性エラストマーの原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
PTMGは、通常、無水酢酸中酸触媒を用いてTHFを開環重合させて製造されている(特開昭52−138598号、同54−116095号、特開平7−228684号公報等)が、この際、酢酸の炭素数1〜4の低級アルコールのエステルが副生し、現在の処有効には利用されていない。
【0003】
一方、THFの有力な合成法として、ブタジエンをパラジウム系触媒の存在下、酢酸及び酸素と反応させてジアセトキシブテンを製造し、次いで、得られたジアセトキシブテンをパラジウム系又はニッケル系触媒を用いて水素化してジアセトキシブタンを得、更にこれを加水分解してブタンジオール又はTHFを製造する方法(例えば特開昭52−79079号、同52−133912号公報等)が知られている。
この場合、反応原料であり且つ溶媒でもある酢酸はアセトキシ化反応終了後に未反応物を留去する工程及びジアセトキシブタンを加水分解する工程で回収され、蒸留精製後、アセトキシ化反応の原料として再利用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ジアセトキシブテンの製造においては、酢酸を回収して再利用しているが、損失分を追加する必要があり、他のプロセスで副生する酢酸を回収して使用することができれば、経済的であり、又、資源の有効利用ともなる。
しかしながら、他のプロセスで回収された酢酸中の不純物がジアセトキシブテン中に混入して、ブタンジオールの品質に悪影響を及ぼしたり、或いは製造触媒を失活させる惧れもある。
【0005】
本発明の目的は、ジアセトキシブテンを製造する工程とPTMGを製造する工程とを組み合せることにより不純物の混入による問題を生じることなく、PTMGの製造の際の副生酢酸エステルを有効に利用することができ、両プロセスの合理化を図ることができる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記の(A)及び(B)工程を有し、且つ工程(B−3)で得られる酢酸水溶液を工程(A−3)に供給することを特徴とするジアセトキシブテンの製造方法。
工程(A):次記3工程を有するジアセトキシブテンを製造する工程
(A−1)ブタジエンをパラジウム系触媒の存在下で酢酸及び酸素と反応させてジアセトキシブテンを生成する工程
(A−2)該反応生成物を蒸留して水、酢酸を塔頂から留出させてジアセトキシブテンを缶出する工程
(A−3)該塔頂留出分を蒸留して水及び軽沸分を留出させて酢酸を缶出する工程
工程(B):次記3工程を有するポリテトラメチレングリコールを製造する工程
(B−1)テトラヒドロフランを酸触媒の存在下、無水酢酸中で開環重合させてポリテトラメチレングリコールの酢酸ジエステルを得る工程
(B−2)該酢酸ジエステルをエステル交換触媒の存在下、炭素数1〜4の低級アルコールとエステル交換せしめ、ポリテトラメチレングリコール及び酢酸の低級アルコールエステルを得る工程
(B−3)該酢酸の低級アルコールエステルを触媒の存在下で加水分解して、酢酸水溶液と低級アルコールを得る工程
、にある。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
(工程(A))
(A−1)
アセトキシ化反応は、ブタジエン、酢酸、及び分子状酸素を、パラジウム系触媒の存在下、反応させる公知の方法により行われる。パラジウム系触媒としては、パラジウム金属又はその塩(例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム等の無機又は有機酸塩)を単独で、或いは、助触媒としてビスマス、セレン、アンチモン、テルル、銅等の金属又はその塩(例えば、塩化ビスマス、セレン酸、酸化テルル、塩化アンチモン、塩化銅等)を組み合わせて用いられる。触媒は、シリカ、アルミナ、活性炭等の担体に担持させて用いることが好ましく、担持触媒中の触媒金属量は、通常、パラジウム金属が0.1〜20重量%、他の助触媒金属を使用する場合は当該金属が0.01〜30重量%の範囲で選定される。
アセトキシ化反応は、公知の固定床方式、流動床方式、触媒懸濁方式等の任意の方法で実施され、反応は40〜180℃、好ましくは60〜150℃の温度範囲で、常圧以上、通常、300kg/cm2 (29.4MPa)以下、好ましくは30〜150kg/cm2 (2.94〜14.7MPa)の圧力下で実施される。
【0008】
(A−2)
このようにして得られるアセトキシ化の反応生成物には、未反応のブタジエン等が含まれているので、脱ガス処理した後、蒸留してジアセトキシブテンを得るのが一般的であり、通常、第1蒸留塔(2)で、水、酢酸を塔頂から留去し、その塔底液を第2蒸留塔(3)に供給し、塔頂からジアセトキシブテンを得、ジアセトキオクタジエンを含む高沸物を塔底から抜き出す。
【0009】
(A−3)
第1蒸留塔の塔頂から回収される水、酢酸は、通常、酢酸回収工程に送られ、脱水されてアセトキシ化工程にリサイクルされる。本発明の場合、原料酢酸として工程(B−3)から回収される酢酸を一部使用する。その量は、品質上の問題から制限されることはないが、通常、全酢酸量に対して0.1〜10重量%である。
回収された酢酸水溶液は、次に酢酸分離塔(10)に供給して、蒸留を行い、塔底より酢酸を缶出し、一方、水及びその他の軽沸分を留去する。この場合、酢酸分離塔に供給する酢酸及び水として、前述のアセトキシ化反応物より分離回収された分や後述するPTMGの製造工程で副生する酢酸水溶液を含めて良い。
酢酸回収塔は、通常、理論段数10〜40段、塔頂圧力常圧〜2.0kg/cm2 、塔底温度100〜180℃、還流比0.1〜10で操作される。
【0010】
上記の酢酸分離塔の缶出液として酢酸を回収し、前述のアセトキシ化反応の原料として再利用する。また、酢酸分離塔からの留出分は、分離器に導入して静置すると、油相と水相に分離する。この中、油相はモノアセトキシブテンを主成分とするものであり、分離した油相は酢酸分離塔に循環しても良いし、系外に排出しても良い。一方、水相は加水分解反応に循環して再利用しても良い。
【0011】
(工程(B))
(B−1)
本発明においては、THFは無水酢酸の存在下、酸触媒を用いて開環重合される。原料のTHFについては、その製法は特に限定されず、工程(C)で得られるもの、公知の無水マレイン酸の水素化等により製造されるものも使用可能である。
また、その重合の際には、THF単独のみではなく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドのようなアルキレンオキサイド、或いは2−メチルTHF、3−メチルTHFのようなTHF誘導体と共重合させてもよい。
【0012】
酸触媒としては、超強酸性イオン交換樹脂、漂白土、ゼオライト等の公知のものを使用することができるが、固体酸触媒を用いた場合には触媒の分離が簡単に出来るので好ましい。固体酸は、懸濁床、固定床のいずれでも使用できるが、固定床流通反応で用いると触媒の分離操作を別途行う必要がなく特に好ましい。
【0013】
反応条件は、目的とするPTMGの分子量や用いる酸触媒の種類によって異なるが、通常反応粗液中における酸触媒の濃度として0.1〜50重量%、無水酢酸の濃度として0.1〜30重量%程度で使用される。反応温度は通常−20〜150℃の範囲で、反応時間は通常0.5〜10時間の範囲で実施される。
得られた重合液は、通常未反応のTHFと無水酢酸を常圧又は減圧下で留去させる。留去させたTHFと無水酢酸は必要に応じて精製してTHFの開環重合或いは他の用途に再利用することができる。また、重合物中のオリゴマーを蒸留或いは限界濾過膜で濾過する等の公知の方法で低減させても良い。
【0014】
(B−2)
次いで、得られた重合物にエステル交換触媒とアルコールを加えてエステル交換反応を行う。エステル交換の方法としては公知の方法を使うことができる。例えば特開昭52−138598号公報には、炭素数1〜4の低級アルコールと触媒としてカルシウム、ストロンチウム、バリウム又はマグネシウムの酸化物、水酸化物又はアルコキシドを使用する方法が開示されている。また、特開昭56−157402号公報には、炭素数1〜10の直鎖及び分枝鎖のアルコールと触媒として酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを用い、必要に応じて0.01〜0.1%の水の存在下で反応を行う方法が開示されている。
【0015】
反応条件は特に限定されないが、通常PTMGの酢酸エステルに対して触媒を0.001〜1重量%、該低級アルコールを5〜30モル倍で用いる。反応は通常低級アルコールの沸点で実施されるが、加圧することにより、より高い温度で実施することもできる。また、少量の水の存在下で反応を行っても差し支えない。
反応形式はバッチでも連続でも実施できるし、2段階以上の反応器を用いても良い。副生する酢酸エステルは反応を押し切るために反応中に蒸留して留去させることが望ましい。
【0016】
得られたPTMGは必要に応じて公知の方法により触媒の中和、濾過及び低級アルコールの留去を行う。留去した低級アルコールは必要に応じて精製してエステル交換反応或いは他の用途に再利用しても良い。また、得られたPTMGは活性炭やイオン交換樹脂等を用いて精製したり、水とメタノールの混合液等の貧溶媒を使用してオリゴマーを分離したりしても良い。
通常、工業的には上記の方法で数平均分子量500〜3000のPTMGが得られ、ポリウレタン弾性繊維やポリエステルエラストマーの原料として使われる。
一方、該エステル交換反応により生成した酢酸エステルは低級アルコールと共沸留物を生成し、低級アルコールとの混合物として回収される。
【0017】
(B−3)
低級アルコールを含む該酢酸エステルは、公知の方法により加水分解される。加水分解触媒は、酸触媒でも塩基触媒でも良く、また固体触媒でも液体の触媒でも差し支えないが、固体触媒を用いると触媒の分離が簡単に出来るので好ましい。例えば三菱化学製イオン交換樹脂「ダイヤイオン」の技術資料には、ポリビニルアルコールの製造工程で副生する酢酸メチルを、イオン交換樹脂を触媒として加水分解し、酢酸とメタノールと水を回収する方法が開示されている。他にゼオライトや漂白土、シリカアルミナ等の複合金属酸化物、硫酸、p−トルエンスルホン酸等を使用しても良い。
【0018】
反応条件は特に限定されないが、通常30〜110℃の温度条件で実施される。水は、酢酸エステル1モルに対し、通常1〜50モル、好ましくは2〜25モルの範囲の量を使用する。反応形式は特に限定されないが、必要に応じてバッチ反応や懸濁床、固定床、反応蒸留等の公知の方法から選んで実施できる。
加水分解物は必要に応じて触媒を分離した後、蒸留により、低級アルコールと酢酸水溶液、及び未分解の酢酸エステルに分離される。該低級アルコールは再び前記のエステル交換反応に用いても良い。未分解の酢酸エステルは加水分解工程に戻すのが好ましい。
【0019】
工程(A)への酢酸水溶液の供給
PTMGの製造工程から回収される酢酸には不純物として水が含まれるが、本発明では該酢酸に水が含まれていても差し支えない。水を含んだ酢酸を1,4−BG製造工程の酢酸回収塔へ供給し酢酸と水を分離すれば良いので、予め水を分離する必要はない。
また、該酢酸水溶液には低級アルコールが不純物として含まれる可能性がある。低級アルコールを含む酢酸水溶液をそのままアセトキシ化反応の原料として用いると低級アルコールが酸化されてカルボン酸等を生成し、製品の品質に影響を及ぼす可能性がある。この場合、該酢酸水溶液を酢酸分離塔に供給すれば、低級アルコールを水と共に留出させて分離することが出来る。留出した低級アルコールは分離器で油相と水相に分配された後、必要に応じて油相を排出し、系内に蓄積しないようにすることが出来る。また、必要に応じて水相を蒸留精製しても良い。
【0020】
工程(C) 前記(A)工程で得られるジアセトキシブテンは、水添してジアセトキシブタンとした後、加水分解して1,4−ブタンジオールを得ることができる。
(C−1)
ジアセトキシブテンからジアセトキシブタンを得る水添反応は、通常、パラジウム、ルテニウム等の貴金属触媒の存在下に、アセトキシブテンと水素を接触させ、40〜180℃の温度範囲で、常圧以上、通常、150kg/cm2 (14.7MPa)までの圧力下で反応させることにより実施される。水素化反応は、公知の固定床方式、流動床方式、触媒懸濁方式等の任意の方法で実施される。
水添反応生成物は、未反応水素の脱ガス処理した後、第3蒸留塔(5)で蒸留して、通常、塔頂からジアセトキシブタンを留出し、塔底から高沸物を缶出する。第3蒸留塔は、理論段5〜20段で、塔頂圧力5〜200mmHg(0.7〜26.7kPa)、塔底温度190℃以下、還流比0.1〜10で操作される。
【0021】
(C−2)
ジアセトキシブタンからブタンジオールを得る加水分解反応は、通常、陽イオン交換樹脂等の固体酸触媒の存在下に、ジアセトキシブタンと水素を接触させ、30〜110℃、好ましくは40〜90℃で、反応中、沸騰状態を生起したり或いは溶存ガス等による著しい気泡が発生するのを阻止する程度の常圧〜10kg/cm2 Gの範囲で実施される。
反応に使用する水の量は、ジアセトキシブタン1モルに対し、通常、2〜100モル、好ましくは4〜50モルである。
【0022】
反応は、回分式でも連続式等の任意の方法で実施される。また、イオン交換樹脂を用いる場合、懸濁状態で反応させる方式でも、イオン交換樹脂の充填層に反応原料を通過させる方式でもよく、工業的には固定床連続法が有利である。
懸濁床で反応を実施する場合、イオン交換樹脂の使用量は液重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜10重量%である。固定床連続法の場合は、所定温度に保たれたイオン交換樹脂充填層反応器に、水とジアセトキシブタンを連続的に供給するとともに、生成したブタンジオールと酢酸を過剰水との混合液として連続的に抜き出すことにより行われる。
【0023】
反応終了後、必要に応じ反応液から触媒を濾別し、蒸留してブタンジオールを得る。第4蒸留塔(7)では、水、酢酸を塔頂から留去し、未反応のジアセトキシブタン、加水分解反応生成物であるヒドロキシアセトキシブタン、ブタンジオール及びそのモノエステルを含む塔底液を第5蒸留塔(8)に供給し、塔頂からジアセトキシブタンや異性体を分離し、1,4−ブタンジオールを主成分とする塔底液を第6蒸留塔(9)に供給し、その塔頂から目的とする製品1,4−ブタンジオールを得、塔底から高沸物を缶出する。
【0024】
(C−3)
加水分解反応生成物であるヒドロキシアセトキシブタン、1,4−ブタンジオールを原料として、公知の方法(特開昭54−32409号、同57−108029号、特開平7−53424号各公報等)により、酸触媒、例えば、硫酸等の無機酸、パラトルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、強酸性イオン交換樹脂等の固体酸触媒等を用いて、環化・脱酢酸反応によりテトラヒドロフランを製造することができる。この際、ジアセトキシブタンの加水分解反応工程において、反応条件を適宜選定することにより、1,4−ブタンジオールとテトラヒドロフランを同時に製造することもできる。
更に、テトラヒドロフランを製造する際に副生する水、酢酸をアセトキシル化工程で再使用することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
((B)工程)
(1) β型ゼオライトを直径2mm、長さ5mmに成形したものを800℃で焼成した。
容積が1容量部で、直径対長さの比が1:20のジャケット付きの反応管に前記のゼオライトを充填した。ジャケットには循環式恒温槽を繋ぎ反応管を40℃に保温した。この反応管に無水酢酸を5%含むTHFを0.5容量部/hrで流通させた。
反応管から流出した無色の重合液から未反応のTHF及び無水酢酸を減圧下で留去させ、PTMGの酢酸ジエステルを得た。THFの転化率は55%であった。
【0027】
(2) 前記(1)で得られたPTMGの酢酸ジエステル10000重量部及びメタノール10000重量部、水酸化カルシウム10重量部の混合物を20段の理論段数を持つ蒸留塔を備えた反応器に仕込み、撹拌下に6時間沸騰加熱し、蒸留塔の塔頂部よりメタノール/酢酸メチルの共沸混合物を留出させた。得られた共沸物は874重量部であった。
【0028】
(3) 前記の(2)で得られた共沸物874重量部と水3523重量部を撹拌装置を備えた釜に入れ、1容量部の三菱化学製イオン交換樹脂「ダイヤイオンSK1B」を充填した反応管へ0.5容量部/hrで供給した。反応管から流出した液を蒸留塔に供給し、塔底部より酢酸水溶液を缶出する一方、塔頂部よりメタノール及び酢酸メチルを留出させた。メタノールと酢酸メチルは別の蒸留塔で分離し、酢酸メチルは加水分解工程に供給した。
得られた酢酸水溶液は3845重量部で水の含有量は88%、メタノールの含有量は0.1%であった。
同様の処理を繰り返して(A)工程で必要とする量の酢酸水溶液を製造した。
【0029】
((A)工程)
図1に示すブタジエン、酢酸原料より1,4−ジアセトキシブテン(1,4−DABE)を製造し、更に1,4−ブタンジオール(1,4−BG)を製造するプロセスを説明する。
【0030】
(1) パラジウム担持触媒を充填したアセトキシ化反応器1に、ブタジエン、空気、酢酸分離塔10から缶出する酢酸及び新規に購入した酢酸を供給し、90kg/cm2 、100℃で反応させた。
【0031】
(2) 反応液は、気液分離後(図示せず)、蒸留塔2で酢酸、水、その他軽沸物を留去し、蒸留塔3にて1,4−DABEを留去した。
【0032】
(3) 一方、アセトキシ化反応系の蒸留塔2より留出回収した酢酸水溶液、加水分解反応系の蒸留塔7より留出回収した酢酸水溶液を酢酸分離塔10に供給し、常圧下、塔底温度159℃の条件で蒸留を行った。そして酢酸分離塔10の缶出液をアセトキシ化反応器1に循環した。
一方、酢酸分離塔10の塔頂からの留出液を分離器11に供給し、油相11aと水相11bに静置分離した。油相11aの大半は酢酸分離塔10に戻し、一部は系外に排出した。水相11bについては加水分解反応器6に循環した。
【0033】
このとき新規に購入した酢酸の供給量は15重量部/hrであった。新規に購入した酢酸の量を段階的に減少させ、一方、前記(3)で得た酢酸水溶液の酢酸分離塔10への供給量を段階的に増やした。最終的に新規に購入した酢酸の供給量は0とし、一方、前記(3)で得た酢酸水溶液の供給量を128重量部/hrとした。
【0034】
((C)工程)
(1) 蒸留塔3から留出した1,4−DABEは、パラジウム触媒を充填した水添反応器4において、水素流通下、反応圧50kg/cm2 、温度90℃で水添反応を行った。そして、反応液を気液分離後、蒸留塔5で蒸留し、1,4−ジアセトキシブタン(1,4−DAB)を留出させた。
【0035】
(2) 蒸留塔5から留出した1,4−DAB、及び後述の分離器11から得られる水を用いて強酸性イオン交換樹脂を充填した加水分解反応器6中において50℃で加水分解反応を行い、1,4−BG、1,4−ヒドロキシアセトキシブタン(1,4−HAB)、1,4−DABを主成分とする反応混合物とした。加水分解液は、蒸留塔7にて酢酸、水及びその他軽沸物を留去した。蒸留塔7の缶出液は蒸留塔8に供給し、塔頂より軽沸分、上部側流より1,4−DAB、1,4−HABを、中部側流より1,4−BGを留出させた。そして、1,4−BGは蒸留塔9において精留し、1,4−BGの製品とした。
得られた1,4−BGの純度を表−1に示す。
【0036】
比較例1
実施例1においてPTMGの製造工程より回収した酢酸水溶液を供給せず、新規に購入した酢酸のみで運転した場合の1,4−BGの純度を表−1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明方法によれば、不純物の混入による問題を生ずることなく、THFの開環重合によりPTMGを製造する際に副生する酢酸エステルをTHFの原料であるジアセトキシブテンの製造に有効利用することができ、併せて両プロセスの合理化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法における反応(A)のフローシートの一例である。
【符号の説明】
1 アセトキシ化反応器
2 第1蒸留塔
3 第2蒸留塔
4 アセトキシ化反応器
5 第3蒸留塔
6 加水分解反応器
7 第4蒸留塔
8 第5蒸留塔
9 第6蒸留塔
10 酢酸分離塔
11 分離器
11a 油相
11b 水相
Claims (8)
- 下記の(A)及び(B)工程を有し、且つ工程(B−3)で得られる酢酸水溶液を工程(A−3)に供給することを特徴とするジアセトキシブテンの製造方法。
工程(A):次記3工程を有するジアセトキシブテンを製造する工程
(A−1)ブタジエンをパラジウム系触媒の存在下で酢酸及び酸素と反応させてジアセトキシブテンを生成する工程
(A−2)該反応生成物を蒸留して水、酢酸を塔頂から留出させてジアセトキシブテンを缶出する工程
(A−3)該塔頂留出分を蒸留して水及び軽沸分を留出させて酢酸を缶出する工程
工程(B):次記3工程を有するポリテトラメチレングリコールを製造する工程
(B−1)テトラヒドロフランを酸触媒の存在下、無水酢酸中で開環重合させてポリテトラメチレングリコールの酢酸ジエステルを得る工程
(B−2)該酢酸ジエステルをエステル交換触媒の存在下、炭素数1〜4の低級アルコールとエステル交換せしめ、ポリテトラメチレングリコール及び酢酸の低級アルコールエステルを得る工程
(B−3)該酢酸の低級アルコールエステルを触媒の存在下で加水分解して、酢酸水溶液と低級アルコールを得る工程 - 工程(A−3)で得られた酢酸を工程(A−1)のアセトキシ化反応工程に供する請求項1に記載の方法。
- 工程(B−3)で得られた酢酸水溶液が10重量%以上99重量%以下の水を含むものである請求項2に記載の方法。
- 工程(B−3)で得られた酢酸水溶液の該低級アルコール含有量が酢酸含有量の10%以下である請求項3に記載の方法。
- 工程(A−3)に供給する酢酸中における工程(B−3)からの回収酢酸の比率が10%以下である請求項1に記載の方法。
- 工程(B−2)で用いる低級アルコールがメタノールである請求項1に記載の方法。
- 工程(A)で得られるジアセトキシブテンを次記3工程を有する工程(C)に供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
(C−1)ジアセトキシブテンを貴金属触媒の存在下で水素添加してジアセトキシブタンを得る工程
(C−2)該ジアセトキシブタンを固体酸触媒の存在下で加水分解してヒドロキシアセトキシブタン及び/又は1,4−ブタンジオールを得る工程
(C−3)該加水分解反応生成物を酸触媒の存在下環化反応させてテトラヒドロフランを得る工程 - 工程(C)で得られたテトラヒドロフランを工程(B)に供給する請求項7に記載の方法。
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